2008年12月31日水曜日

50歳400本(3)順不同、4月1日~12月31日鑑賞(*)ドキュメンタリ作品

2008年邦画
実録連合赤軍』若松孝二監督
靖国』李纓監督(*)
アフタースクール』内田けんじ監督
ぐるりのこと』橋口亮輔監督
きみの友だち』廣木隆一監督
闇の子供たち』阪本順治監督
片腕マシンガール』井口昇監督
東南角部屋二階の女』池田千尋監督
パコと魔法の絵本』中島哲也監督
おくりびと』滝田洋二郎監督
トウキョウソナタ』黒沢清監督
俺たちに明日はないッス』タナダユキ監督
豚がいた教室』前田哲監督
Kー20 怪人二十面相・伝』佐藤嗣麻子監督

2008年洋画
最高の人生の見つけ方』ロブ・ライナー監督
シークレットサンシャイン』イ・チャンドン監督
アルティメット・エージェント』ベットターイ・ウォンカムラオ監督
881歌え!パパイヤ』ロイストン・タン監督
JUNO』ジェイソン・ライトマン監督
ホットファズ』エドガー・ライト監督
テネイシャスD~運命のピックを探せ~』リアム・リンチ監督
ぼくの大切なともだち』パトリス・ルコント監督
地球でいちばん幸せな場所』ステファン・ゴーガー監督
胡同の理髪師』ハスチョロー監督
いま ここにある風景』ジェニファー・バイチオル監督(*)
女工哀歌(エレジー)』マイケル・ペレド監督(*)
アメリカン・ティーン』ナネット・バーンスタイン監督(*)
ボクらのミライに逆回転』ミッシェル・ゴンドリー監督
ブロードウェイ♪ブロードウェイ~コーラスラインへの道』ジェイムズ・D・スターン&アダム・デル・デオ監督(*)
チェチェンへ アレクサンドラの旅』アレクサンドル・ソクーロフ監督
BOY A』ジョン・クローリー監督
ヤング@ハートスティーブン・ウォーカー監督(*)

金返せ!
『髪がかり』河崎実監督
『ロックンロール☆ダイエット』元木隆史監督
『築地魚河岸三代目』
『愛流通センター』土屋哲彦監督
『憐-REN-』堀禎一監督
『宿命』キム・ヘゴン監督
『落語娘』『桜の園』『魔法遣いに大切なこと』中原俊監督
『蛇にピアス』蜷川幸雄監督
『ピョコタン・プロファイル』梶野竜太郎監督
『最強☆彼女(346)』クァク・ジェヨン監督
『特命係長 只野仁 最後の劇場版』植田尚監督

女優
藤純子
岡田茉莉子
新珠三千代
永作博美
左幸子
香山美子
森下愛子
加賀まりこ
野添ひとみ
北川景子
風祭ゆき
山田五十鈴
山口美也子
乙羽信子
竹下景子
野川由美子
轟夕起子
芦川いずみ
浅丘ルリ子
清水まゆみ
吉永小百合
小山明子
加藤ローサ
荻野目慶子
横山道代
郝蕾 〔ユー・ホン〕
若尾文子
吉行和子
池内淳子
若尾文子
横山リエ
真木洋子
任田順好/沢淑子
桑野みゆき
アヤカ・ウィルソン
有馬稲子
吉高由里子
グイ・ルンメイ
田中美佐子
麻生久美子


男優
柄本時生
若山富三郎
高倉健
森繁久弥
天津敏
宮口精二
室田日出夫
志村喬
安倍徹
待田京介
嵐寛寿郎
月形龍之介
浜村純
森雅之
勝新太郎
伴淳三郎
丹波哲郎
三國連太郎
汐路章
フランキー堺
片岡千恵蔵

順位はつけられないので、全て順不同。

50歳400本(2)

4月  コーエン兄弟監督『カントリー(1)』ケヴィン・リマ監督『魔法にかけられて(2)』アン・リー監督『ラスト・コーション(3)』 草野陽花監督『ブラブラバンバン(4)』51年松竹大船木下恵介監督『カルメン故郷に帰る(5)』マット・リーブス監督『クローバーフィールド(6)』若松孝二監督『実録連合赤軍(7)』堤幸彦監督『すし王子NYに行く(8)』リー・タマホリ監督『ネクスト(9)』サヴィエ・ジャン監督『ヒットマン(10)』田中誠監督『うた魂♪(11)』

5月 ローランド・エメリッヒ監督『紀元前一万年(12)』ガス・ヴァン・サント監督『パラノイドパーク(13)』セルゲイ・ボドロフ監督『モンゴル(14)』本広克行監督『少林少女(15)』和泉聖治監督『相棒(16)』トッド・ヘインズ監督『アイム・ノット・ゼア(17)』ロバート・レッドホード監督『大いなる陰謀(18)』李纓監督『靖国(19)』ロブ・ライナー監督『最高の人生の見つけ方(20)』樋口正嗣監督『隠し砦の三悪人 the last princess(21)』福田陽平監督『お姉チャンバラ(22)』佐藤信介監督『砂時計(23)』シルヴェスタ・スタローン監督『ランボー 最後の戦場(24)』内田けんじ監督『アフタースクール(25)』フランク・ダラボン監督『ミスト(26)』マイク・ニコルズ監督『チャーリーウィルソンズウォー(27)』

6月 マーク・ヘルフリッチ監督 『噂のアゲメンに恋をした(28)』松原真吾監督『築地魚河岸三代目(29)』イ・チャンドン監督『シークレットサンシャイン(30)』麻生学監督『長い長い殺人(31)』三谷幸喜監督『ザ・マジックアワー(32)』篠原哲雄監督『山桜(33)』河崎実監督『髪がかり(34)』望月六郎監督『JOHNEN定の愛(35)』ベットターイ・ウォンカムラオ監督『アルティメット・エージェント(36)』スティーブン・スピルバーグ監督『インディ・ジョーンズ~クリスタルスカルの王国(37)』三池崇史監督『神様のパズル(38)』ポール・ハギス監督『告白のとき(39)』橋口亮輔監督『ぐるりのこと(40)』カーステン・シャリダン監督『奇跡のシンフォニー(41)』 柳明菜監督『今日という日が最後なら、(42)』是枝裕和監督『歩いても歩いても(43)』

7月 奥秀太郎監督『ドモ又の死(44)』ウォシャウスキー兄弟監督『スピードレーサー(45)』阪本順治監督『カメレオン(46)』68年スタンリー・キューブリック監督『2001年宇宙の旅(47)』チャウ・シンチー監督『ミラクル7(48)』セリーヌ・シアマ監督『水の中のつぼみ(49)』エドガー・ライト監督『ホットファズ(50)』原田眞人監督『クライマーズ・ハイ(51)』宮崎駿監督『崖の上のポニョ(52)』廣木隆一監督『きみの友だち(53)』リアム・リンチ監督『テネイシャスD~運命のピックを探せ~(54)』河崎実監督『ギララの逆襲洞爺湖サミット危機一髪(55)』パトリス・ルコント監督『ぼくの大切なともだち(56)』タナダユキ監督『百万円と苦虫女(57)』吉田恵輔監督『純喫茶磯辺(58)』ジェイソン・ライトマン監督『JUNO(59)』竹藤佳世監督『半身反義(60)』

8月 ロブ・ミンコフ監督『ドラゴンキングダム(61)』76年東映京都中島貞夫監督『狂った野獣(62)』ジョン・スティーブンソン監督『カンフーパンダ(63)』ステファン・ゴーガー監督『地球でいちばん幸せな場所(64)』土屋哲彦監督『愛流通センター(65)』阪本順治監督『闇の子供たち(66)』ワン・イエミン監督『闘茶(67)』伊勢真一監督『ゆめみたか~愛は歌田川律~(68)』ロウ・イエ監督『天安門、恋人たち(69)』55年東映京都内田吐夢監督『血槍富士(70)』57年東映京都内田吐夢監督『大菩薩峠第一部(71)』73年東宝大森健次郎『二十歳の原点(72)』63年東映京都内田吐夢監督『宮本武蔵二刀流開眼(73)』60年東映京都内田吐夢監督『妖刀物語(74)』井口昇監督『片腕マシンガール(75)』75年東映京都森崎東監督『喜劇特出しヒモ天国(76)』中村義洋監督『ジャージの二人(77)』 58年東映京都内田吐夢監督『大菩薩峠第二部(78)』62年東映京都内田吐夢監督『恋や恋なすな恋(79)』66年東映京都中島貞夫監督『893愚連隊(80)』クリストファー・ノーラン監督『ダークナイト(81)』M・ナイト・シャマラン監督『ハプニング(82)』石井康晴監督『花より男子ファイナル(83)』本木克英監督『ゲゲゲの鬼太郎千年呪い歌(84)』 59年東映京都内田吐夢監督『大菩薩峠完結編(85)』『我ら天下をめざす(86)』『人に歴史あり ~十八歳の暗黒(87)』『こんにちわーChim↑Pom!!(88)』『日本イスラーム化計画(89)』『古澤健のMっぽいの、好き(90)』『フロム・パラダイス(91)』『人間爆発(92)』『セックスと嘘とビデオテープとウソ(93)』 ハスチョロー監督『胡同の理髪師(94)』キム・スンレ監督『私たちの生涯最高の瞬間(95)』エド・ニューマイヤー監督『スターシップトゥルーパーズ3(96)』サタケミキオ監督『同窓会(97)』マイク・ニューウェル監督『コレラの時代の愛(98)』堀禎一監督『憐-REN-(99)』クロード・ルルーシュ、チェン・カイコー他『それぞれのシネマ(100)』ロイストン・タン監督『881歌え!パパイヤ(101)』辻本貴則監督『ハード・リベンジ・MILLY(102)』金子功監督『THE MASKED GIRL 女子高生は改造人間(103)』73年東映京都中島貞夫監督『ポルノの女王にっぽんSEX旅行(104)』押井守監督『スカイクロラ(105)』真島理一郎、古谷雄作、五月女ケイコ他『東京オンリーピック(106)』57年日活川島雄三監督『幕末太陽傳(107)』36年第一映画溝口健二監督『祇園の姉妹(108)』ミッシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ボン・ジュノ監督『TOKYO(109)』李闘士男監督『デトロイト・メタル・シティ(110)』ロブ・コーエン監督『ハンナプトラ3(111)』65年松竹篠田正浩監督『美しさと哀しみと(112)』

9月  浅野忠信、中村獅堂他『R246 STORY(113)』安達正軌監督『死にぞこないの青(114)』スティーブ・マイナー監督『デイ・オブ・ザ・デッド(115)』堤幸彦監督『20世紀少年(116)』ジェニファー・バイチオル監督『いま ここにある風景(117)』ジェイ・チョウ監督『言えない秘密(118)』63年日活今村昌平監督『にっぼん昆虫記(119)』中野裕之監督『七人の侍』中野裕之他『男たちの詩(123)』岩松了監督『たみおのしあわせ』ロビン・リー監督『DNAがアイ・ラブ・ユー(124)』スー・チャオピン監督『シルク(125)』ダニー・レヴィ監督『わが教え子、ヒトラー(126)』中原俊監督『落語娘(127)』68年大映三隅研二監督『とむらい師たち(128)』ターセム監督『落下の王国(129)』 ジョン・ポールソン監督『レス・ポールの伝説(130)』61年日活川島雄三監督『花影(131)』68年東映中川信夫監督『怪談 蛇女(132)』63年東映製作今井正監督『武士道残酷物語(133)』61年東宝鈴木英夫監督『黒い画集第2話 寒流(134)』74年東映原田隆司監督『忘八武士道 さ無頼(135)』83年富士映画田中登監督『丑三つの村(136)』 ピーター・バーグ監督『ハンコック(137)』ゼロ・チョウ監督『TATOO-刺青(138)』リン・チンチェ監督『遠い道のり(139)』04年キム・テギュン監督『オオカミの誘惑(140)』犬堂一心監督『グーグーだって猫である(141)』72年東宝深作欣二監督『軍旗はためく下に(142)』ティムール・ベクマンベトフ監督『ウォンテッド(143)』65年日活中平康監督『結婚相談(144)』58年松竹今井正監督『夜の鼓(145)』62年日活藏原惟膳監督『憎いあんちくしょう(146)』94年東宝市川昆監督『四十七人の刺客(147)』78年松竹斎藤耕一監督『渚の白い家(148)』59年日活斉藤武市監督『南国土佐を後にして(149)』62年日活中平康監督『危(ヤバ)いことなら銭になる(150)』62年松竹小林正樹監督『からみ合い(151)』 59年松竹大船木下恵介監督『風花(152)』57年松竹小林正樹監督『黒い河(153)』マキノ雅彦監督『次郎長三国志(154)』北野武監督『アキレスと亀(155)』池田千尋監督『東南角部屋二階の女(156)』蜷川幸雄監督『蛇にピアス(157)』マイケル・パトリック・キング監督『Sex And The City(158)』ジェニファー・フラケット&マーク・レヴィン『幸せの1ページ(159)』ジュリー・テイモア監督『アクロス・ザ・ユニバース(160)』62年日活蔵原惟繕監督『硝子のジョニー~野獣のように見えて(161)』65年松竹山田洋次監督『霧の旗(162)』71年松竹貞永方久監督『嫉妬(163)』63年日活蔵原惟繕監督『何か面白いことないか(164)』61年松竹渋谷實監督『もず(165)』元木隆史監督『ロックンロール☆ダイエット(166)』71年東映京都加藤泰監督『緋牡丹博徒 お命戴きます(167)』59年日活中平康監督『密会(168)』

10月 ジャン=ピエール・アメリス監督『ベティの小さな秘密(169)』63年日活吉村廉監督『アカシアの雨がやむとき(170)』70年三船プロ製作稲垣浩監督『待ち伏せ(171)』小原剛監督『芸者VS忍者(172)』58年松竹大船大庭秀雄監督『黒い花粉(173)』63年松竹京都吉田喜重脚本監督『嵐を呼ぶ十八人(173)』65年東映東京今井正監督『越後つついし親不知(174)』萩生田宏治監督『コドモのコドモ(175)』69年大映東京増村保造監督『女体(176)』69年日活浦山桐郎監督の『私が棄てた女(177)』62年大映東京川島雄三監督『しとやかな獣(178)』 62年日活蔵原惟繕監督『銀座の恋の物語(179)』53年松竹大船、川島雄三監督『東京マダムと大阪夫人(180)60年松竹大船野村芳太郎監督『観賞用男性(181)』61年松竹大船野村芳太郎監督『恋の画集(182)』64年松竹京都さむらいプロ五社英雄監督『三匹の侍(183)』65年大映増村保造監督『清作の妻(184)』62年松竹小林正樹監督『からみあい(185)』土屋トカチ監督『フツーの仕事がしたい(186)』71年松竹斎藤耕一監督『内海の輪(187)』60年東宝川島雄三監督『接吻泥棒(188)』マイケル・ペレド監督『女工哀歌(エレジー)(189)』キム・ヘゴン監督『宿命(190)』 ホ・ジノ監督『ハビネス(191)』キム・ジョンヒョン監督『最高のパートナー(192)』チン・グアンギョ監督『ビューティフル・サンデー(193)』鶴田法男監督『おろち(194)』 ナネット・バースタイン監督『アメリカン・ティーン(195)』56年東宝鈴木英夫監督『彼奴を逃すな(196)』64年松竹大船前田陽一監督『にっぽんぱらだいす(197)』ジェイ・リー監督『ゾンビストリッパーズ(198)』 56年東京映画久松静児監督『女囚と共に(199)』秋原正俊監督『二重心臓(200)』中島哲也監督『パコと魔法の絵本(201)』内田栄治監督『地球でたったふたり(202)』ミシェル・ゴンドリー監督『ボクらのミライに逆回転(203)』滝田洋二郎監督『おくりびと(204)』DJカルーソー監督『イーグル・アイ(205)』ピーター・シガール監督『ゲットスマート(206)』60年東京映画川島雄三監督『赤坂の姉妹より 夜の肌(207)』61年松竹大船篠田正浩監督『三味線とオートバイ(208)』金田敬監督『春琴抄(209)』66年大映増村保造監督『陸軍中野学校(210)』67年東宝岡本喜八監督『日本のいちばん長い日(211)』61年東映京都加藤泰監督『怪談 お岩の亡霊(212)』64年東映京都加藤泰監督『幕末残酷物語(213)』65年日活鈴木清順監督『春婦傳(214)』55年日活久松静児監督『警察日記(215)』56年日活久松監督『神阪四郎の犯罪(216)』65年東映京都加藤泰監督『明治侠客伝 三代目襲名(217)』70年東映京都加藤泰監督『緋牡丹博徒 お竜参上(218)』66年東映京都加藤泰監督『沓掛時次郎 遊侠一匹(219)』62年東映京都加藤泰監督『瞼の母(220)』曽利文彦監督『ICHI(221)』69年東映京都加藤泰監督『緋牡丹博徒 花札勝負(222)』61年東京映画久松静児監督『喜劇・駅前弁当(223)』61年松竹大船中村登監督『斑女(224)』城定秀夫監督『デコトラ★ギャル奈美(225)』63年東映京都加藤泰監督『真田風雲録(226)』68年松竹加藤泰監督『みな殺しの霊歌(227)』72年松竹加藤泰監督『人生劇場 青春・愛欲・残侠編(228)』62年東京映画久松静児監督『喜劇 駅前温泉(229)』58年東京映画久松静児監督『みみずく説法(230)』66年松竹松野宏軌監督『侠勇の花道 ドス(231)』。73年松竹加藤泰監督『花と龍 青春・愛憎・怒涛編(232)』63年宝塚映画久松静児監督『丼池(233)』73年東宝配給加藤泰監督『日本侠花伝(234)』81年大和新社製作東宝配給加藤泰監督『炎のごとく(235)』三原光尋監督『しあわせのかおり(236)』

11月 黒沢清監督『トウキョウソナタ(237)』73年東宝森谷司郎監督『日本沈没(238)』69年創造社大島渚監督『新宿泥棒日記(239)』57年東宝稲垣浩監督『柳生武芸帳(240)』64年大映京都三隅研次監督『座頭市血笑旅(241)』71年東陽一監督『やさしいにっぽん人(242)』イ・ヘヨン、イ・ヘジョン監督『ヨコヅナマドンナ(243)』山本清史監督『男女逆転 吉原遊廓(244)』74年疾走プロ原一男監督『極私的エロス 恋歌1974(245)』68年日活今村昌平監督『神々の深き欲望(246)』65年東京映画久松静児監督『花のお江戸の法界坊(247)』62年松竹大船篠田正浩監督『涙を、獅子のたて髪に(248)』57年大映東京増村保造監督『くちづけ(249)』 71年東映京都深作欣二監督『博徒外人部隊(250)』大林宣彦監督『その日の前に(251)』52年松竹京都大曽根辰夫監督『旗本退屈男 江戸城罷り通る(252)』59年宝塚映画久松静児監督『飛びっちょ勘太郎(253)』村兼明洋監督『ロック誕生(254)』59年大映京都安田公義監督『千代田城炎上(255)』65年東宝・三船プロ岡本喜八監督『(256)』ジェイムス・D・スターン&アダム・デル・デオ監督『ブロードウェイ♪ブロードウェイ~コーラスラインへの道(257)』古厩智之監督『ホームレス中学生(258)』ジョン・ファヴロー監督『アイアンマン(259)』55年日活佐藤武監督『スラバヤ殿下(260)』55年日活川島雄三監督『銀座二十四帖(261)』62年大映川島雄三監督『雁の寺(262)』59年宝塚映画川島雄三監督『貸間あり(263)』72年創造社日本ATG大島渚監督『夏の妹(264)』59年東京映画川島雄三監督『グラマ島の誘惑(265)』62年東京映画川島雄三監督『青べか物語(266)』58年宝塚映画川島雄三監督『暖簾(267)』68年東映京都山下耕作監督『大奥絵巻(268)』68年東映京都山下耕作監督『極道(269)』63年東映京都山下耕作監督『関の弥太ッぺ(270)』59年日活中平康監督『才女気質(271)』65年東映東京石井輝男監督『網走番外地(272)』65年『網走番外地望郷編(273)』61年大映東京川島雄三監督『女は二度生まれる(274)』62年日活滝沢英輔監督『しろばんば(275)』55年日活田坂具隆監督『女中ッ子(276)』中原俊監督『桜の園(277)』56年日活川島雄三監督『須崎パラダイス 赤信号(278)』63年東京映画川島雄三監督『喜劇 とんかつ一代(279)』63年東京映画川島雄三監督『イチかバチか(280)』64年大映池広一夫監督『座頭市千両首(281)』72年東宝三隅研次監督『御用牙(282)』68年東映京都山下耕作監督『緋牡丹博徒(283)』66年東映京都山下耕作監督『続花と龍 洞海湾の決闘(284)』73年東宝増村保造監督『御用牙 かみそり半蔵地獄責め(285)』66年東映京都山下耕作監督『続兄弟仁義(286)』69年東映京都山下耕作監督『緋牡丹博徒鉄火場列伝(287)』69年創造社大島渚監督『少年(288)』SPO/ジェリーロジャー山本清史監督『大奥百花繚乱(289)』68年松竹野村芳太郎監督『白昼堂々(290)』77年松竹加藤泰監督『江戸川乱歩の陰獣(291)』大島渚監督『白昼の通り魔(292)』00年近代映画協会新藤兼人監督『三文役者(293)』70年大映増村保造監督『やくざ絶唱(294)』長澤雅彦監督『天国はまだ遠く(295)』深川栄洋監督『真木栗ノ穴(296)』54年日活山村聰監督『黒い霧(297)』62年松竹吉田喜重監督・脚本『秋津温泉(299)』58年日活今村昌平監督『テント劇場より 盗まれた欲情(300)』69年東映京都山下耕作監督『昭和残侠伝 人斬り唐獅子(301)』58年日活鈴木清順監督『踏みはずした春(302)』62年日活浦山桐郎監督『キューポラのある街(303)』63年日活浦山桐郎監督『非行少女(303)』57年日活中平康監督『美徳のよろめき(304)』59年日活今村昌平監督『にあんちゃん(306)』61年日活今村昌平監督『豚と軍艦(307)』59年日活西村克己監督『不道徳教育講座(308)』59年日活西村克己監督『風のある道(309)』62年日活西村克己監督『草を刈る娘(310)』63年日活鈴木清順監督『悪太郎(311)』69年東映京都山下耕作監督『日本女侠伝 侠客芸者(312)』39年日活京都マキノ雅弘監督『鴛鴦歌合戦(313)』67年東映東京マキノ雅弘監督『侠骨一代(314)』66年日活鈴木清順監督『けんかえれじい(315)』70年東宝岡本喜八監督『座頭市と用心棒(316)』60年大映森一生監督『不知火検校(317)』39年日活京都マキノ雅弘監督『江戸の悪太郎(318)』 42年大映京都マキノ雅弘監督『すっ飛び駕(319)』65年日活藏原惟繕監督『夜明けのうた(320)』60年日活蔵原惟繕監督『狂熱の季節(321)』59年日活蔵原惟繕監督『第三の死角(322)』40年日活京都マキノ雅弘監督『続清水港 清水港代参夢道中(323)』50年東横映画マキノ雅弘監督『殺陣師段平(324)』59年日活藏原惟繕監督『われらの時代(325)』60年日活藏原惟繕監督『ある脅迫(326)』55年日本自転車工業会松本俊夫監督『銀輪(327)』が64年日活藏原惟繕監督特集『黒い太陽(328)』64年日活藏原惟繕監督『執炎(329)』70年東映京都山下耕作監督『日本女侠伝 鉄火芸者(330)』

12月 54年近代映画協会新藤兼人監督『どぶ(331)』76年東映京都山下耕作監督『夜明けの旗 松本治一郎伝(332)』68年東映京都山下耕作監督『前科者(333)』48年吉本プロ/大泉スタジオマキノ雅弘監督『肉体の門(334)』41年東宝東京マキノ雅弘監督『昨日消えた男(335)』ジョン・ウー『レッドクリフ(336)』65年鈴木清順監督『悪太郎伝 悪い星の下でも(337)』66年鈴木清順監督『河内カルメン(338)』68年神代辰巳監督『かぶりつき人生(339)』56年中平康監督『狂った果実(340)』56年川島雄三監督『わが町(341)』64年中平康監督『砂の上の植物(342)』53年東宝マキノ雅弘監督『抱擁(343)』66年日活京都山下耕作監督『日本侠客伝 血斗神田祭り(344)』ジョニー・トー監督『 ~EXILLE(345)』クァク・ジェヨン監督『最強☆彼女(346)』本田隆一監督『GSワンダーランド(347)』55年東宝川島雄三監督『愛のお荷物(348)』4年東宝成瀬巳喜男監督『芝居道(349)』60年東宝成瀬巳喜男・川島雄三監督『夜の流れ(350)』50年大映黒澤明監督『羅生門 デジタル完全版(351)』ベン・スティラー監督・脚本・原案・製作『トロピックサンダー史上最低の作戦(352)』56年東宝成瀬巳喜男監督『流れる(353)』77年東映京都山下耕作監督『ピラニア軍団 ダボシャツの天(354)』山本眸古監督『小梅姐さん(355)』43年東宝成瀬巳喜男監督『歌行燈(356)』38年東宝成瀬巳喜男監督『鶴八鶴次郎(357)』74年東映京都山下耕作監督『極道VS不良番長(358)』 71年東映京都山下耕作監督『日本女侠伝(じょきょうでん) 血斗乱れ花(359)』71年東映京都山下耕作監督『女渡世人 おたの申します(360)』75年東映京都山下耕作監督『日本仁侠道 激突編(361)』64年東映京都内田吐夢監督『飢餓海峡(362)』42年東宝マキノ正博監督『待って居た男(363)』55年日活マキノ雅弘監督『人生とんぽ返り(364)』タナダユキ監督『俺たちに明日はないッス(365)』グリンダ・チャーダ監督『ジョージアの日記 ゆーうつでキラキラな毎日(366)』ブライアン・デ・パルマ監督『リダクテッド(367)』梶野竜太郎監督『ピョコタン・プロファイル(368)』57年東京映画杉江敏男監督『肌色の月(369)』68年東映京都山下耕作監督『博奕打ち 総長賭博(370)』小栗謙一監督『TOKYO JOE(371)』36年第一映画溝口健二監督『祗園姉妹(372)』36年第一映画溝口健二監督『浪花悲歌(373)』リドリー・スコット監督『ワールド・オブ・ライズ(374)』矢口史靖監督『ハッピーフライト(375)』77年日活神代辰巳監督『悶絶!!どんでん返し(376)』77年日活曾根中生監督『新宿乱れ街いくまで待って(377)』83年日活中原俊監督『3年目の浮気(378)』78年日活田中登監督『人妻集団暴行致死事件(379)』熊切和嘉監督『ノン子36歳(家事手伝い)(380)』村上正典監督『赤い糸(381)』51年松竹京都伊藤大輔監督『おぼろ駕籠(382)』58年松竹大船渋谷実監督『悪女の季節(383)』58年宝塚映画木村恵吾監督『野良猫(384)』52年新星映画/前進座山本薩夫監督『箱根風雲録(385)』73年日活曽根中生監督『不良少女 野良猫の性春(386)』81年日活根岸吉太郎監督『女教師 汚れた放課後(387)』83年日活小沼勝監督『縄と乳房(388)』ロバート・ ワイズ監督『地球が静止する日(389)』中原俊監督『魔法遣いに大切なこと(390)』英勉監督『ハンサムスーツ(391)』73年日活曽根中生監督『不良少女 野良猫の性春(392)』79年日活藤田敏八監督『十八歳、海へ(393)』アレクサンドル・ソクーロフ監督『チェチェンへ アレクサンドラの旅(394)』73年天象儀館大和屋竺監督『愛欲の罠(395)』前田哲監督『豚がいた教室(396)』福澤克雄監督『私は貝になりたい(397)』植田尚監督『特命係長 只野仁 最後の劇場版(398)』佐藤嗣麻子監督『Kー20 怪人二十面相・伝(399)』アンドリュー・スタントン監督『WALL・E/ウォーリー(400)

製作年のないものは、2008年製作あるいは2008年日本公開

50歳、400本。

   渋谷シネマヴェーラで官能の帝国ロマンポルノ再入門2
   73年天象儀館大和屋竺監督『愛欲の罠(395)』。伊勢丹向かいのビル建設現場の屋上から 新宿通りを歩く男をライフルで狙撃する殺し屋。彼の名は星(荒戸源次郎)。電話ボックスで、依頼人と電話で話し、腕は合格した。彼は眉子(絵沢萌子)と言う情婦と暮らしている。依頼人高川から電話があり、羽田空港で自分の組織の大物を消して欲しいと言う。国際線ターミナルから外国人の男が出てくる。組織のかなりの人数が出迎えている。防弾ガラスつきの車で移動だ。しかし、なぜか冷房が故障しており、別の車に乗り換えることに。車を出た途端、ビルから狙撃され倒れる。星はトラックで逃走、しかしビルを降りた所で眉子を乗せ、組織に顔がバレていないのをいいことに殺害現場を見学する。帰宅すると高川から電話で、何故現場に現れるような素人のみたいな失敗をしたんだと攻められ、直ぐに翌日謝礼の金を引き出して眉子と逃げ身を隠せと言われる。自分のことを組織は知らない筈だと腑に落ちない星。
   朝目覚めると眉子が消えている。星は、何故か三人の娘を家に連れてきて、酒池肉林だ。そこに、高川から電話が来る。眉子の心臓を一発撃って殺せという指令だ。葛藤しながら見事、眉子を仕留める星。しかし、数日後、眉子を見つけて驚く星。実は、眉子は、高川の愛人で星を見張っていたのだ。心臓に防弾カバーをしていたのだ。翌日、高川(大和屋竺)がやってくる。組織にバレ追われているという。しかし、怪しげな人形を操る殺し屋マリオに高川と眉子は殺される。高川の一味として、組織に追われることになる星。外出から戻ると待ち伏せしていた二人の殺し屋を消す星。
   星は、逃走し、立川の青線に潜り込む。老婆(天野照子)と夢子(安田のぞみ)しかいない店に、星は10日居続ける。組織への脅えからインポになってしまう星。組織の殺し屋から連絡が入る。近くのゲームセンターに来いと言う。なぜ、俺の居場所を知ったのかと尋ねる星に、実は、ここの少し先に組織の本部がある。お前は逃げるつもりで、組織に近づいていたのだという言った。後頭部のあるツボを撃てば、笑ったような顔で死んでしまうので、空気銃で勝負を決めようと言う。殺し屋は、星の片目を打つ。星は一度逃げるが、戻る。星たちを尾行していた私服刑事が笑顔を浮かべて死んでいる。星の前に殺し屋が現れる。片目が使えない星が不利かと思ったが、星は、殺し屋の効き目を打ち、身体が揺れたところを後頭部を撃つ。
   星は、夢子のもとへ戻る。インポが治り、二人は、寝る暇もなく抱き合っている。老婆が夢子しかいない店なのにチョンの間の客がいて、困るという。すぐ終わらせて帰ってくるといって夢子はほかの部屋に。約束の15分が経っても、30分が経っても夢子は戻らず、業をにやした星が客の部屋に行くと、夢子が、股間に桜の枝を突き刺されて死んでいる。血の花を咲かせやがってといい店を去る星。
   車を組織の本部に向かい、しかし、広大な敷地の中には誰もいない。やっと、温室の中でマリオを見つける。向き合う星とマリオ。組織のメンバーは、アメリカの大組織にスカウトされ、今残っているのはボスと本郷だけだと言う。温室の中は蚊が多い。腹話術の人間に蚊が止まったのを見て、人形を撃つ星。果たして、マリオとは、人形遣いのほうが人形だったのだ。小さなホールのようなところの客席にボス(山谷初男)がいる。お前がボスかと聞いて、ボスを仕留める星。カメラに向かってお辞儀をする星。
   うーん。大和屋竺監督、田中陽造脚本というキラ星のような映画だが、ほとんど上映されていないという話が頷けてしまう映画。ずっと観たかった映画だ。怪作と言えないことはないが、関わったすべての人間にとっての習作だったということかもしれないな。何よりも、荒戸源次郎は、カメラの前では役者以下の存在だ。この映画を製作したからこそ、その後の大プロデューサー荒戸源次郎が生まれたのかもしれないな。自主制作映画サークルが、ピンク映画というフィールドで自分たちの映画を作るのだというエネルギーに溢れた映画と考えれば、いろいろなことを思い出し、切なくなる映画だ。
     新宿武蔵野館で、前田哲監督『豚がいた教室396)』。6年2組の担任の星先生(妻夫木聡)4月の新学期クラスに子豚を連れてきた。1年間、みんなで育てて、最後に食べたいと言う。クラスで話し合って、飼うことに決めた。事後承諾になり、教頭(大杉漣)は渋い顔だが、校長(原田美枝子)は、若い原の生徒たちに命について考えさせようと言う熱意を買って承認する。生徒たちは、日曜日学校に来て、みんなで校庭に小屋を作る。名前もPちゃんと決めた。可愛さに夢中になるが、糞の処理や小屋を飛び出したり大変だ。母親たちが、子供が擦りむいたり、豚臭くなったり、Pちゃんの話しかしなくなったと文句を言いにやってくるが、校長は生徒たちと原の信頼関係を認め、もう少し見守ってやって欲しいと頭を下げる。
   夏休み、台風、運動会、クリスマス、正月、沢山の思い出が出来るが、いよいよ3学期、卒業までに、Pちゃんをどうするか決めなければならない。生徒たちの意見は様々で、意見はまとまらない。最後に殺さずに、三年生のPちゃんを飼いたいと言ってきたクラスに後を託すか、食肉センターに渡すかと投票すると13票ずつ全くの同数だ。Pちゃんはかなり大きくなっていて三年生では世話が出来るか心配だ。最終的に、担任の星が6年2組の一員として、食肉センターに渡す決定を出した。結局自分たちが飼い始めたのだから自分たちが責任を持つと言うことを生徒たちは納得する。卒業式を経て、Pちゃんとの別れの日がやってきた。Pちゃんの大好物のトマトをみんなで一つずつやる。Pちゃんを載せたトラックが走り出す。いつまでも泣きながら追いかけていく生徒たち。
   素晴らしいなあ。子役たちの魅力がほとんどの部分を占めるが、若い現代の教師の役を妻夫木聡が好演している。6年で転校してきて中々溶け込めなかった甘利花(甘利はるな)が、「コドモのコドモ」に続いてとてもいいが、他の子供たちもPちゃんと6年2組を体験し成長しながら演じている姿が本当にいい。子供いいなあ。
    新宿ピカデリーで、福澤克雄監督『私は貝になりたい(397)』。高知の外れで床屋を営む清水豊松(中居正広)と房江(仲間由紀恵)の夫婦がいた。豊松に召集令状が来る。堅苦しい片足が不自由な豊松には、訓練はとても過酷だ。また滝田(荒川良々)をかばったことで、上等兵立石(六平直政)に目を付けられいたぶられた。戦局は悪化し、B29の大編隊が飛来し焼夷弾を落としていく。たった1機しか撃墜できなかったことで、面子の潰れた連隊長の安井中将は、撃墜機の乗員を必ず捕らえ、的確に処理しろと指令を出す。果たして2名の米兵が捕らえられ、部隊長の尾上大佐(伊武雅刀)は銃剣での刺殺を命じ、最も不甲斐ない隊員と言うことで、豊松と滝田が選ばれる。
   終戦を迎え、再び豊松は床屋に戻る。房江は2人目を妊娠したようだ。生活の全てが戻ったかに見えたとき、家の前にMPのジープが止まる。豊松は、捕虜殺害の容疑で逮捕、身柄を横浜に送られた。安井始め部隊の主だった者が集められている。実行犯に当たる豊松と滝田の言うことは取り上げられない。むしろ連合軍側の関係者は嘲笑しているだけだ。判決の日が来た。指示を出した矢野中将と実行した豊松、滝田の3人には絞首刑が言い渡された。
  巣鴨プリズンに収監された。同室だった大西(草彅剛)は、翌日別ブロックに移り、深夜処刑される。
豊松は、最初、房江に判決のことを知らせていなかった。しかし、教誨師の小宮(上川隆也)が手紙を出す。二人の子供を連れ上京し、面会する房江。それから、房江は、助命嘆願書への200名の署名を集め始める。田舎で、戦犯を助けることへの抵抗は想像以上に強い。しかし、乳飲み子を背負い雪の中を
頭を下げ続ける房江。
  200名の署名を集め、再び面会する房江。同房で英語に堪能な西沢(笑福亭鶴瓶)の助けで米大統領への手紙を出し、サンフランシスコ条約締結の準備が始まり、死刑の執行が長い間されていないのは、判決が見直される予兆だと巣鴨内では囁かれていることもあり、豊松の表情は明るい。房江も、町内にもう一軒床屋が開店する話があるので、散髪台を新調すると言って、豊松を驚かす。
  豊松と西沢の房に、MPがやってくる。豊松にブロックを移れと言う。死刑囚、無期刑、有期刑などの房は分けられているのだ。助命嘆願が受け入れられたと、泣いて喜ぶ豊松、西沢、死刑囚の房全体が、豊松を祝福する声は唸りのように響いていた。しかし、別室に連れていかれた豊松への宣告は、180度違うものだった。今日の24時に絞首刑が執行されるのだ・・・。
  中居正広頑張っているなあ、でもSMAP中居としては頑張っているというカッコが着いてしまう。橋本忍の脚本がいくらよくて、製作費を増やしても、今のお茶の間とか、テレビ文化の枠の中でしか楽しめない映画。ひょっとすると、世界にあの時代の日本を訴えることができる企画だったのに、もったいないなあ。「チェチェンへ アレクサンドラの旅」を見た後だけに本当にそう思う。
  植田尚監督『特命係長 只野仁 最後の劇場版(398)』。大手広告代理店電王堂の総務部2課の係長只野仁(高橋克典)は、風采の上がらない窓際係長の表の顔とは別に、黒川会長(梅宮辰夫)の特命係長としての裏の顔がある。今、人気絶頂のグラビアアイドル、シルビア(秋山莉奈)が電王堂にやって来る。営業一部は、彼女が出演するCMを多数手掛けている。更に近々80億円のビッグプロジェクトのフラワー・アース・フェスティバルのイメージキャラクターとなっている。電王堂でビールメーカーのキャンペーンガールの記者発表が行われたが、最中にセットが崩れ落ち、危うく大怪我をするところを只野の機敏な対応で難を逃れた。
   その後、只野は会長に呼ばれ、シルビアの事務所に暗黒王子というものから脅迫状が届いており、無事にイベントを成功させるため、電王堂のシルビア担当として護衛するよう指示される。とても鈍臭い只野はマネージャーの加藤エミ(西川史子)やシルビアに呆れられるばかりだ。営業二部の部長村川(吹越満)の行動が怪しい。村川が担当するクライアントは、シルビアのCMの競合メーカーに完敗し、恨みを持っているらしい。フラワー・アース・フェスティバルの担当は、大阪支社の山西(赤井英和)。黒川は、汚れ仕事を文句も言わずにやってきた山西に、何とか日の目を見せてやりたいと思っている。
   しかし、投げナイフの名手や、巨大な男に阻まれ、只野は、シルビアを誘拐されてしまう。フラワー・アース・フェスティバルまであと時間はわずか。シルビアを救いだし、お台場の会場に連れていくことができるのか?また、この策略の黒幕は一体誰か?
    テレビドラマの10倍予算があれば、映画になるのかということを思ってしまうが、まあ、この映画をお金払ってみる人は、そんなこと気にしないだろうし、テレビと同じ方がいいんだろうな。しかし、それで製作委員会は出資に見合った収入があったのだろうか。「私は貝になりたい」と一緒で、映画業界を馬鹿にしていながら、映画コンプレックスのあるテレビ屋主導の映画って、儲かるんだろうか。万が一儲かっているとして、儲け以外の何かを生み出しているのだろうか。
   佐藤嗣麻子監督『Kー20 怪人二十面相・伝(399)』。電磁波の無線電動装置の公開記者発表が行われている。どこでも電線なしに、電力を送られるという画期的な装置は、小型模型でも凄まじい威力を発揮した。これは、兵器として利用されると大変なことになるが、実験助手に化けた怪人20面相によって奪い取られた。小林少年は、実はこの装置の開発には亡くなった羽柴財閥の先代が援助しており、実は完成しているという噂があると明智小五郎に説明している。その頃、遠藤平吉(金城武)は、サーカスで超人的な演技を見せていた。ここは、第二次世界大戦が回避された世界。1949年、日本は強大な軍隊の力と、厳しい階級社会となっている。資産家たちの財産を盗み貧しい者に配る怪人二十面相と探偵明智小五郎の対決が世間を賑わしている。ある日カストリ雑誌の編集者(鹿賀丈史)が、平吉を訪ねてくる。羽柴財閥令嬢の葉子(松たか子)と男爵明智小五郎(仲村トオル)との婚約式の模様を盗み撮りして欲しいと言うのだ。明智のもとに、怪人二十面相からの脅迫状が届く。婚約式の会場に飾られているバベルの塔を描いた模写の絵画を当日盗むというのだ。一石二鳥じゃないかと不敵に笑う明智小五郎。
   高層の羽柴ビル最上階ホールで式が始まった。天井のガラスに張り付いた平吉がカメラのシャッターを押すと、中層階で爆発が起きて、ホールは大混乱に。明智の助手の小林少年が平吉を見つける。ガラスを射撃し、床に落下した平吉は逮捕される。内務省の取り調べは過酷な拷問だ。傷ついて独房に入れられた平吉。近くに収監されている男が、自分は20面相の素顔を見たことがあるから、平吉は違うという。男の言う特徴は、カストリ雑誌の編集者そのものだ。初めて平吉は嵌められたことに気がつく。
   移送車に乗せられる平吉。しかし、車が橋に通りかかったときに、橋が壊され、平吉は奪還される。平吉を助けたのは、サーカスのカラクリ職人の源治(国村隼)だ。彼の本職は泥棒で、共同生活を送る泥棒村の仲間たちの手伝いで大がかりなカラクリを仕掛けたのだ。しかし、平吉は、泥棒なんて卑怯で、仲間を平気で裏切る最低の人間で、怪人二十面相と同じだと言って去る。しかし、泥棒村を出て、闇市をうろついていると、至る所に怪人二十面相遠藤平吉の写真入りの指名手配のビラが貼られている。追いかけられ逃げていると、サーカス団で働いていた孤児で、平吉を兄貴と慕うシンスケ(今井悠貴)に会う。彼は、身寄りのない子供たち数十人を守っていた。
   シンスケたちを救うためにも、泥棒になると源治に頭を下げる平吉。源治は、泥棒村に伝わる泥棒ノートを平吉に貸す。怪人二十面相も学んだというその泥棒術を、自分は習得できなかったが、平吉ならマスターできるのではと言うのだ。サーカスで超人的な運動神経と奇術の器用さを持っていた平吉は、凄いスピードでマスターしていく。ある日、トレーニングで街を走っていると、羽柴葉子が、怪人二十面相に追いかけられているところを見つける。怪人二十面相と戦う平吉。さすがに、その時点では、二十面相の方が技術は上だ。しかし、何とか、葉子を助け出し泥棒村に連れていく。財閥令嬢の葉子のあまりの浮世離れに驚く平吉、源治、源治の妻菊子(高島礼子)。しかし、怒った平吉が、シンスケたち孤児たちが生活するバラックに置き去りにすると、翌朝、孤児たちに炊き出しをし、今後自分が何をすればよいか分かったと言う葉子に、平吉は好意を持つ。
   明智小五郎邸の、電線を切る源治の仲間たち。小林少年の修理依頼の電話に、電気会社を装って、邸に入り込む平吉と源治。バビロンの塔の複写絵を探し廻る二人。菊子と孤児たちは、シスターと聖歌隊に化け、小林少年を玄関に釘付けにする。一方、葉子も、明智小五郎を何とか、自分の家に引き留めようと下手な芝居を打っている。何とか、絵を見つけ修理完了を装って、邸を脱出しようとした瞬間、明智が帰宅。感のいい明智は、二人を捕まえる。縛られた二人の前で、明智の詰問に真相を告げる葉子。怪人20面相が狙ったこのバビロンの塔の複製画に、無線電送装置の隠し場所の秘密があるのではと思って、平吉たちに協力してもらったのだと説明する。なぜ自分に相談しなかったのだと聞きながら、反対する小林少年を押し切って、協力してこの謎を解こうと言う明智。平吉は、この絵の下に何かヒントが書かれているのではという。それを透かし見ることのできる装置は、帝都にたった一台。陸軍研究所にある。
   明智に化けた平吉は怪人20面相から装置を盗むという脅迫状を理由に警備が厳重な陸軍研究所に入る。そして、本物の明智が現れ、騒ぎを起こしているうちに、バビロンの塔の複製がの下絵を写し取ることに成功する。それは、葉子が祖父から貰った寄木細工の図面であり、それを鍵に使い、羽柴ビルの最上階ホールの床の模様でもあった。果たして、平吉と葉子明智たちは、無線伝送装置を発見し、破壊することができるのか・・・?
   原作読んだことはないが、なかなか脚本も出来ているし、49年の帝都というCGによる作り込みも虚構という前提でよく出来ている。そういう意味では、「私は貝になりたい」の焼け跡の光景は手抜きもいいところだ。ただ、怪人二十面相の姿は、どこかで見たまんまで、もう少し、考えて欲しかったなあ。扮装だけでなく、飛び方まで・・・。ハリウッドからパクったアジア映画に見えてしまうのが、もったいない。
   アンドリュー・スタントン監督『WALL・E/ウォーリー400)
   ストーリーは誰でも知っていると思うし、面倒なので書かない。一言でいえば、地球に人間が住めなくなってからも、ずっと未来のこと、散乱するゴミやガラクタを片付けるロボットが一台、そこに、地球から脱出した宇宙船から探査ロボットがやってくる。旧型のロボットと最新型のロボットのラブストーリー。今年見たハリウッド映画の中では、一番いいかもしれない。ひょっとして、役者のギャラが高すぎる弊害で、オールCGが一番安上がりなうえ、贅沢に制作できる方法なのかもしれない。

2008年12月30日火曜日

十八歳、海へ

  午前中掃除と惰眠。渋谷シネマヴェーラで、官能の帝国ロマンポルノ再入門2
  73年日活曽根中生監督『不良少女 野良猫の性春(392)』。どうも、気になって、再見。
  79年日活藤田敏八監督『十八歳、海へ(393)』。予備校お茶の水ゼミナール夏期講習。模擬テストの成績が張り出されている。国立理数系Sクラス、1位は、釧路香蘭の有島佳(森下愛子)、最下位は、今治の桑田敦天(永島敏行)だ。掲示板を見る予備校生の中を桂を探す姉 悠(島村佳江)。佳と桑田は鎌倉の海に来ている。しかし金の無い2人は、浜辺を歩いているだけだ。夜になる。暴走族が争う声が聞こえる。1人のバイクに乗った男を取り囲み、追い越しを責めている暴走族。巻き添えを恐れ桑田は及び腰だ。ヘルメットを脱いだ男を見て、佳は予備校の同じクラスで、いつも一番前で眠っている男だと言う。男は暴走族のリーダー(深水三章)に、フィジカルな喧嘩は嫌いだから死にっこしようと持ちかける。服に石を詰め、海に入りどちらがギブアップするかの競争だ。佳は、太宰治だと言い、目を輝かす。結局、族のリーダーは溺れ、男は、濡れた服のままバイクで去る。佳は声を掛けようとするが、できなかった。
   そのまま2人は朝を迎える。昨夜の場所に行き、同じことをやってみようと言う。海に入っていく2人。肩まで海に浸かると、佳はいつも続いている偏頭痛が無くなったという。海岸を散歩していた老人大八木(小沢栄太郎)が、心中と勘違いし、海に飛び込み、自分の屋敷に連れて帰る。暖かい風呂に案内され、服を乾かしてもらい、二度と自分の前で死ぬなと言って小切手を貰う。翌日予備校の教室の一番前にバイクの男がいる。佳が男の視線を辿ると、予備校のビルの屋上に思い詰めた表情の男がいて、投身自殺をする。バイクの男を追って学食に行き、カレーを食べている男に話かける佳。男の名は、森本英介(小林薫)。ホテルでボーイをしながら、5年も浪人しているらしい。
   森本が働くホテルに、佳と桑田がチェックインしている。ボーイの制服姿の森本に会った。佳は、睡眠薬心中をほのめかす。気が気でない森本は部屋を訪ねてみる。結局翌朝、心中未遂で病院に運ばれる。二人の部屋を覗き、警備員の目を盗んで、大八木の連絡先が書かれた書置きを盗む森本。病室に、大八木と悠がいる。森本が大八木に連絡したのだ。悠にこの二人は心中未遂詐欺の常習だと伝え、世の中はそんなに甘くないと怒りながら病院を出る大八木。病院の入口まで大八木を見送った悠に、森本は自分がおおごとにしないため、大八木宛の書置きを盗んだと伝える。
   数日後、悠が予備校にやってきた。退院以降、佳は悠の家を出たままだと言う。森本にロタ島行きのチケットを預け、佳に渡してほしいと頼む。佳は、桑田と、桑田の友人で帰省中の大学生榊原(下條アトム)の下宿を借りて同棲している。結局、佳には拒絶されたチケットを返しに、悠が給食の管理衛生士をしている小学校を訪ねる森本。小学校の避難階段で、悠を抱きしめキスをする森本。結局、悠は、森本とロタ島に出かける。悠の妻子ある男との恋愛に反対する佳によって、その恋愛は終止符を打ったと告白する悠。ロタ島の三日間によって、癒される二人だが、旅行前の約束通り、日本に戻り次第別れる。
   ホテルで働いているときに、森本は意外な人物に出会う。それは、医師会の理事でもあり医大の教授をしている父(鈴木瑞穂)だった。実は、医大への裏口入学が露見しそうになり、しばらく身を隠せと言われて以来、父への連絡を絶っていた森本だった。父は、こんな制服を着た息子を見たくない。今すぐ辞めろという。学会が箱根であるので、箱根のホテルに来いと言い、連絡先を渡す父親。父親からのクレームでホテルの仕事を首になってしまう森本。実は、その日、夏期講習4日を残していたが、佳と桑田の部屋に、持ち主の桑田の友人が戻ってきてしまった。悪いやつじゃないし居候として文句は言えないと桑田は言うが、あと4日しかない東京での夏を大事にしたいのだと佳は言って、森本のもとに泊めてほしいと言ってきていたのだ。森本は、自分の部屋を二人に貸す。そして、心中未遂で金が欲しいなら、箱根のホテルでやればいいという。家を出た森本は、二度と会わない約束だった悠の部屋を訪ねる。驚く悠を乱暴に求めるのだ。
   翌日、森本は、箱根のホテルでチェックインし、佳と桑田の二人に泊まらせる。森本は、昨夜と、ロタ島への旅行は、悠と一緒だったことを告白する。ショックを受け、初めて人に裏切られたとつぶやく佳。森本は、父親の名を記した遺書を書き、封筒を持っていてくれと佳に渡す。最初、庭園の松の枝で、首を吊るが、予定通り縄は切れる。次に睡眠薬をビールで飲み始める二人。佳は、森本から預かった封筒を開ける。そこには、森本の父親の名と、あなたのせいでわたしたちは死にますと書いてある。森本は、父親への復讐のために自分たちの心中未遂を利用したのだと知った佳は、その手紙を千切り、森本の名と予備校の電話番号を書いて、意識を失う。
   翌日、予備校の授業を受けている森本を呼ぶ予備校の教師(小中陽太郎)。箱根の警察にバイクを飛ばす森本。二人の死体が並んでいる。自分の工作を見破られたことを知り、心中が未遂に終わらなかった理由は、自分にあるのではないかと思う森本。
   海岸に、森本と悠がいる。釧路で佳の葬儀を済ませたことを報告する悠。初めて人に裏切られたと言われたという森本の言葉に、あなたのせいで自殺したのではなく、二人は夏が終わることを耐えられなかったからでしょうという悠。呆然と立ち尽くす森本を残し、浜辺を歩いて行く悠。この二人の夏もまた終わったのだ。
   ロマンポルノというよりも、藤田敏八監督の青春映画の傑作のひとつだ。森下愛子の奇跡的な演技が素晴らしい。特に、森本から預かった父親への復讐の遺書を読み、森本の連絡先を書く彼女の表情は女優森下愛子の誕生を高らかに宣言した。しかし、森下愛子は、その後吉田拓郎の再婚相手として引退してしまったことが本当に悔やまれる。日本映画界の損失というよりも、自分の当時のアイドル、竹田かほりが甲斐よしひろに、森下愛子が吉田拓郎に、木ノ内みどりが後藤次利に、三連打で奪い取られ、自分の心に、当時のニューミューシックへの憎悪を決定づけたからだ(苦笑)。  
   ユーロスペースで、アレクサンドル・ソクーロフ監督『チェチェンへ アレクサンドラの旅(394)』。
チェチェンの前線にある基地に、一人の老婆がやってくる。彼女の名はアレクサンドラ(ガリーナ・ヴィシネフスカヤ)。80歳の彼女は、数年前夫を亡くしチェチェン国境近くの町で一人で暮らすロシア人。27歳の孫のデニスは職業軍人。大尉として前線に赴任されて長く。孤独な彼女は、孫が働く場所を見に来たのだ。
   彼女は荒涼として蒸し暑い駐屯地の中を歩き回る。ロシア兵はみな若く子供のようだ。アレクサンドラは外の市場に出かけ、体調をくずし、ロシア語が流暢なチェチェン人の女性マリカの家に案内される。彼女の家は、爆撃にあい崩れかかった廃墟のような建物の中だ。物もなく、希望もないこの街だが、「男同士は敵同士でも、私たちは最初から姉妹よ」とマリカは言う。アレクサンドラを駐屯地まで送り届けてくれたのは、マリカの隣室の若者だ。悲しみを湛えたまなざしをしている彼も、とても若い。もう解放してほしいという若者に、アレクサンドラは、日本のある婦人の言葉として、どんな辛いことも必ず終わる。人間に必要なのは理性だと言う。戻ったアレクサンドラをデニスは待っていた。アレクサンドラは、今一人でとても寂しいと告白する。デニスは、軍人としてここにいることの意味はわからないといい、アレクサンドラを抱きしめ、子供のころによくやったように、アレクサンドラの髪を編む。
  翌朝、デニスは、アレクサンドラを起こしにやってきて、前線に5日間ほど出かけるので、帰ったほうがいいという。装甲車やトラックで部隊が出発していく中をアレクサンドラは基地をあとにする。駅の近くの市場でマリカたちに別れを告げる。彼女たちは、駅まで見送りにきてくれた。軍事用の貨物車に乗り込み、汽車は走りだす。駅の方向をずっと見続けるアレクサンドラ。
   差し入れを持ち、神宮前の喜々の忘年会に参加。楽しい酒だなあ。

2008年12月29日月曜日

魔法遣いは、人をハンサムに出来るだろうか。

   午前中は宅配便を待ちながら掃除。午後からシネマート六本木で、
   中原俊
監督『魔法遣いに大切なこと(390)』。鈴木ソラ(山下リオ)は、北海道美瑛で母(永作博美)と2人暮らし。魔法士だった父親の遺志を継いで、公認魔法士になるため、魔法研修を受講しに東京の魔法庁に上京してきた。魔法士は、代々受け継がれ、その資格を持つ者は、必ず講習を受け、法律に従って国家公務員として魔法士の仕事につくことが、義務づけられている。入所した動機は4人、大阪出身で実力も自信がある浅葱ほのみ(緑友利恵)真面目な秀才の黒田浩二(太賀)と、茅ヶ崎でプロサーファーを目指していた緑川豪太(岡田将生)だ。豪太は、家出した父親から才能を受け継いたが、嫌々参加しており、実技は全く出来ない。講習期間実習生は、午後から魔法庁で担当教官の川田(余貴美子)と?の下で講義や実習を行うが、夜と午前中は、魔法士の自宅にホームステイしながら、それぞれの仕事に付いて学んでいくのだ。ソラと豪太は、中目黒にある所長の白石沙織(木野花)と甥で魔法士の原誠一郎(田中哲司)がいる魔法研究所にお世話になることに。初日の依頼は、老女赤池菊子(草村礼子)が南方戦死した夫の黒焦げの遺品が何かを知りたいと言うものだ。原が手をかざすと、炭化した破片は柘植の櫛の形に。訝しげな顔の菊子の腕に触れ、出征する時に妻が髪に挿してした櫛を抜いて行った記憶を甦らす。菊子は涙を流した。
    翌日はソラが魔法を掛けなければならない。権田伊佐男(鶴見信吾)の妻は数年前から植物人間の状態だった。5才の息子が母の声を聞いたことがないと言ったのを聞いて魔法依頼をしたのだ。ソラは目を覚まさせることに成功した。しかし、事故のショックでの記憶喪失で母親は夫と息子を見ても誰だか分からない。指導員は、依頼通りだと慰めるが、ソラは自分の魔法の力のせいだと落ち込む。実はソラには持病がある。魔法士の遺伝性の病気で、強いショックを受けると発症し、一度発症すると余命は1年しかないと言うものだ。ソラの父親も同じ病気で亡くなったている。ソラの余命はあとわずか。果たしてソラは資格を取れるのか。豪太との恋の行方は?
   今年新作3本目の中原俊。どれも悲しい出来だ。今回は、脚本も演出も甘い。魔法遣いが普通に存在する世界と言うフィクションは、もっと力業のようなものが必要なんじゃないんだろうか。勿論、ハリーポッターシリーズのような超大作でない以上、お金の使いどころは限られると思う。しかし、旭川空港から母親と別れて上京、羽田からリムジンバスに乗り、赤坂で魔法庁を探して歩いているとビルの看板が乳母車を押す母親の上に落下してくるのを、山下リオが細い両腕を手を上げて止めるというのと、研修初日で、水を凍らせるのが、魔法使いで、それも国家機関の研修の参加者は全国で4人と言うのは失笑ものだ。なぜ、16才の少年少女が、たかが2週間の研修を受けただけで、国家公務員として一生の生活が保障されるのだろう。終盤の盛り上がりである、お台場に乗り上げたイルカの群れを魔法士たちが力を合わせて助けるスペクタクルシーンのようなものを、むしろ、冒頭に持ってきて、魔法士という職業の存在を正当化する方法もあったんじゃないだろうか。まあ、細かくリアリティを自分の感覚で文句を言うことの無意味さは理解しているつもりだし、ファンタジーだし、原作はそうだったのかもしれないが、製作委員会がそれなりの金を出して劇場公開し、1800円の入場料を払うものなのか。そこそこの予算とそこそこのスタッフが撮る、邦画バブルのありがちな作品の一つがここにある。小説、アニメ、映画という連動でマーケティングが完結しているかのようで、この商品がどんなもので、どんな客に、どう伝えるかという本来のマーケティングの欠如。
    続いて英勉監督『ハンサムスーツ(391)』 。大木琢郎(塚地武雅)は、イタリアで修行してきたほどの料理の腕だが、母親が亡くなり、母の大衆食堂を、明(ブラザートム)の手伝いで継いでいる。料理の腕は確かだが、太ってブサイクな琢郎は豚郎と客や町内に呼ばれている。
   バイト募集の貼り紙を見て美少女、星野寛子(北川景子)が応募してくる。あまりの可愛さに一度は断るが、くしゃみをして飛んだ唾をよけなかったことで琢郎は寛子を雇うことにする。寛子は一躍食堂のアイドルだ。寛子の可愛さに夢中になった琢郎は、友達の狭間真介(池内博之)と谷山久恵(本上まなみ)のカップルに相談する。煽られた琢郎は、思わず寛子に愛を告白する。自分のどこが好きなんですかと聞かれ、思わず見た目の全てだと答える琢郎。外見のことしか言わない琢郎に怒った表情で出て行く寛子。結局振られてしまい落ち込む琢郎。
   そんな琢郎は公園で声を掛けてきた男の話を思い出し、真介たちの結婚式用のスーツを買いに、紳士服の青山に出掛ける。途中のバスの中でも、混雑で触れただけの女は汚いものを見るように飛び退くのだ。青山の白木(中条きよし)は、それを着ただけでハンサムになれるハンサムスーツの試作品の一般モニターになれと言う。白木自身スーツを脱ぐと別人(温水洋一)だ。何で僕がと尋ねる琢郎にあらゆる不細工な要素を兼ね備えているモニターだからだと言う。騙されたつもりで、着てみた琢郎が鏡を見ると全くの別人(谷原章介)だ。モニターを承諾し、スーツを着ている時は白川杏仁と名乗ることにする。帰りは女性たちは、行きと正反対の反応だ。自分の一挙一動を見つめ、ため息をつく女性たちに生まれて初めての快感を覚える。更に怪しげな格好の紳士神山晃(伊武雅刀)に、モデルのスカウトを受ける。
    食堂に帰ると、新しいバイト応募者がいる。広子と打って変わった不細工な橋野本江(大島美幸)だ。常連客たちが駄目だと言いかけると、何故か琢郎は、外見が問題ではないからと採用する。貴子は、働き者で、明るく大衆食堂にはびったりだ。琢郎はハンサムスーツを着て神山の事務所に行ってみる。モデルたちの外見に馴れている筈のカメラマンたちも、スタジオにいる女性たちも、ハンサムは杏仁を大絶賛だ。しかし、クールビューティーな超有名モデルの来香(佐田真由美)は、モデルはそんな甘いものではなく、モデルは無理だと言う。杏仁は、微笑みのない来香は不幸せだと言って、琢郎がいつもやって気持ち悪がられる古臭いギャグをやる。ハンサムな来香がやる古臭いギャグは逆にギャップ上の面白さがあり、来香は爆笑する。来香は杏仁を気に入ったようだ。撮影後、来香に誘われ自宅での友人との食事に招待される。来香の友人は何故か真介と久恵のカップルだ。杏仁の癖に、親しい友人と一緒だと言う2人。琢郎だとバレることを恐れ必死な杏仁。来香と徐々にいいムードになっていく杏仁。いよいよベッドインという時に、シャワーを浴びたことで、熱に弱いハンサムスーツの弱点が現れてしまう。必死に逃げだす琢郎。今までの暗黒の青春とは正反対の生活に、だんだん、ハンサムスーツを離せなくなってくる琢郎。しかし、杏仁の姿で、寛子と再会した時に、全く顧みられかったことと、本江と一緒にいる時に、とても心が休まる琢郎。
  杏仁の誕生パーティが開かれる。東京ガールズコレクションへの出演も決まり、神山から提示された年収は5000万だ。更に、来香には、バースデープレゼントは自分の寝室にあると囁かれる。絶頂の杏仁に、杏仁のせいでモデルの仕事が無くなった大沢(山本浩典)にホットコーヒーを掛けられる。しかし、バースデーケーキのサプライズで照明を消され、何とか今回も逃げ出すことができた。
  再び琢郎は、紳士服の青山に行き、熱に強いハンサムスーツがないかと聞く。白木は、試作品でなく完成品のパーフェクトスーツを見せる。しかし、これを着たが最後、二度と元の姿には戻れないと言う。どちらを選ぶか悩む琢郎。その晩、寛子に会う。きれいでかわいい寛子には、不細工な自分の気持なんかわからない、一度ブサイクになってみればいいんだと、言ってしまう琢郎。杏仁として生きる決意をする。
  東京ガールズコレクションが開演する。楽屋の携帯がなり、明から本江が交通事故にあって・・・という電話がかかってくる。ステージを来香とともに歩きだす杏仁。しかし、途中で立ち止まり、自分は今最高にカッコええ男やけど、最低な男や。大きな幸せのために、小さな幸せのすべてを捨ててしまったのだからと、唐突に走り出す杏仁。二度と脱げない筈のパーフェクトスーツ。しかし、ショーを台無しに追ってきた神山に腕を握られた時、なぜか琢郎のテーマソングの「マイ・レボリューション」が流れる。全裸で着なければいけない筈のパーフェクトスーツを、間違えて本江から貰った音声チップ内蔵のリストバンドをつけたままだったのだ。大沢と玲美(佐々木希)の楽屋に駆け込んで、カッターで自分の腕を切る杏仁。玲美は気絶する。そこに全裸の琢郎が立っている。
   本江の病院へと駆ける琢郎。病院に行くと、実はバイクが本江にぶつかったが、怪我したのはバイクの男だった。これから食堂の仕事に専念するといって、一緒にいてほしいと本江に告白する琢郎。本江は、嘘をついていたと言う。実は、本江はブスーツを来た寛子だったのだ。
   ブスの瞳に恋しているの作者というか森三中の大島美幸の夫である放送作家の鈴木おさむの脚本はわかりやすく、くすぐりも多く笑えるものだし、人は外見だけではないというテーマは普遍的なものだと思うが、、何か、流行りものの要素を散りばめた薄っぺらい印象が拭えない。紳士服の青山の特別協賛という名前のプロダクト・プレイスメント、わかりやすく言えば、製作費の一部を宣伝費として企業に出してもらうことで、儲けを分配しなくてもいいスポンサーを見つける最近の邦画ビジネス。マーケティング手法の筈が、金儲けになっていることの弊害はないのか。「魔法遣い~」と「ハンサムスーツ」は、邦画バブルの産物という点では、共通している気がしてしまう。
   夜は、かって、実籾の歌姫で一緒に仕事をしたプロデューサーT氏の事務所の忘年会。T氏の個人事務所の~と言っても、T氏の父上は、歌謡界の大作曲家。大作曲家の事務所と合同なので、きらめく芸能界大忘年会だ。こんな華やかな席に失業中の自分がいていいのかと思いながらも、結局飲めばご機嫌に。

2008年12月28日日曜日

何だか師走感ない侘しさよ

     渋谷シネマヴェーラで官能の帝国ロマンポルノ再入門2
     73年日活曽根中生監督『不良少女 野良猫の性春(386)』。河内赤坂村の鳩子(片桐夕子)は、東京に家出してきた。新宿で若い男にパンストを買って貰い回転寿司を奢って貰った所を、スーツ姿のゴマメという男に付いて行くと危ないと言われる。しかし、ゴマメ(江角英明)も、ワイがお前のPTAになったると言う割に、部屋に連れ込むと襲いかかる。鳩子は、こんな話やったと思っとったといいながら、おっちゃんのことが好きやからええでと言う。しかし二人がSEXをしていると、ゴマメの仲間で、ストリッパーのヒモをしているプロ(木夏衛)とベッド(三都徹)も加わる。その晩、四人はすき焼きを囲んでいる。ゴマメは大阪の佃煮屋の婿養子だったが蒸発、プロは2軍の野球選手、ベッドはイタリアンベッドのセールスマンだった。
   翌朝、鳩子のハンドバックから金を抜き取り、新宿の街に、鳩子に靴を買ってやる。財布をなくした自分にお金をだしてくれると思い込んだ鳩子は大喜びだ。馬券を買うが、北栄会の松田(高橋明)に借金の形に取り上げられる。スケコマシのテクニックとして、女は三日間放置するというゴマメの信念がある。寂しく過ごした鳩子は、ゴマメが戻ってきたことがうれしく、働きに出るという。金になると言って、トルコで働かせるゴマメ。トルコの最初の客は、北栄会の松田の舎弟の五郎(沢田情児)だ。ゴマメは、鳩子に給料の前借りをさせて北栄会への借金を返そうと思ったが、断られたという鳩子。松田はゴマメを痛めつけるが金はない。松田は五郎に、ゴマメのスケを連れて来いと命じる。松田に乱暴される鳩子。鳩子は、こういうのを女の転落というんでしょうねと言う。少し前に読んだ週刊誌の記事だ。しかし、そのあと、鳩子は、松田の舎弟の五郎(沢田情児)の部屋についていく。事が終わった後、五郎に「五郎いのち」と刺青を入れてくれと頼まれ承諾する鳩子。五郎は松田に鳩子をくれと頼みに行く。冗談じゃないと言う松田をナイフを持って追いかける五郎。しかし、五郎は車にはねられ即死する。
   数年が経った。ゴマメは、プロから千葉から船橋を回っている時に、芝居をしている鳩子を見かけたという話を聞き、千葉の茂原に行く。紅団という劇団は、トラックで回りながら、街中で半裸でパフォーマンスをしたり、白塗り軍服姿の石原莞爾がでてくるようなアングラ劇団だ。団長の順子は、四国の道後温泉で半病人になっている鳩子を助けたのだ。四国でキャバレーに売られてから、ヌードスタジオ、温泉芸者と堕ちていったとゴマメに話す鳩子。劇団に残るので、近くの駅までゴマメを送っていくと言う鳩子。しかし、街を歩いているときに、犬に吠えられ、警官を見かけると、鳩子の手を引いて、逃げ出してしまうゴマメ。ビルの屋上に逃げる二人。下には、何台ものパトカーが止まり包囲される。鳩子の気を引きたくて、飛び降りるふりをするゴマメ。しかし、団長の順子の声を聞いて、鳩子はゴマメの手を離してしまう。「ワイ、死にとうないんや~」と叫びながら落ちていくゴマメ。  
   曽根中生らしい、優柔不断でだらしない男と、性に奔放でたくましい女の猥雑な話。母のように愚かだが自分の全てを受け止めてくれる女というのは、男のロマンというか幻想ではないのか。しかし、そのぬるま湯はあまりに心地よい。曽根中生らしい男のファンタジー。
     81年日活根岸吉太郎監督『女教師 汚れた放課後(387)』。都立高校教師の倉田咲子(風祭ゆき)は、恋人の小沢(小池雄介)とベッドにいる時に、渋谷警察署から、担任ではない女子生徒野本スエ子(太田あや子)の引受人として来て欲しいとの電話を受ける。スエ子は、シンナーを吸うフーテンたちに混じって捕まったのだ。また彼女は見知らぬ男たちと頻繁にホテルに行っているらしい。売春はしていないと言うスエ子。スエ子は、大手商社でOLをしている姉トモ子(鹿沼エリ)の部屋に、スーパーのレジ打ちのパートをしている母サチ(藤ひろ子)と居候をしている。姉は、自分の人生もあるので、早く他のアパートを借りて出て行ってくれと言う。
  スエ子の担任の山川(粟津號)にスエ子のことを聞く咲子。最近秋田から転校してきたスエ子は成績優秀だが、父親がかって教育実習に来た女子大生を強姦したことで逮捕、両親は離婚し。東京にいる姉を頼って母親と上京した、不幸な身の上だとの説明を受ける。咲子は、かって秋田の山中の中学に教育実習に行った際に、ストッキングで顔を隠した男に強姦された記憶が蘇る。その時、シンナーの匂いがしているということで、スエ子の父、野本末吉(三谷昇)を犯人だと指摘したのだ。
   そのことと、スエ子が関係あるのかと思い、東京タワーでスエ子に会う咲子。スエ子から結局真犯人は別にいたのだと言われ、秋田警察に電話して真実を知る咲子。真犯人は、咲子の事件で味をしめて未遂事件を起こして逮捕されたのだ。無実の人間の人生を狂わせたのだと思い落ち込む咲子。恋人の小沢に秋田の事件を含めて告白する。しかし、小沢は、この事実を一緒に背負うのは嫌だという。結局肉体だけの関係だったのだ。
   咲子は、清掃夫をしている末吉を探し、謝罪し金を渡す。末吉は、一度は断るが、どうしてもと頭を下げ続ける咲子に金を受け取る。安居酒屋で酒を飲む二人。末吉は、お互い被害者だから気にするなと言う。しかし、問わず語りに、その後の人生を語りだす。真犯人が捕まり釈放されたが、小さな鉱山の町では、犯罪者の娘と言われてスエ子は、他人とのコミニュケーションをうまく出来なくなったのだ。翌日、スエ子は咲子を呼び出し、金を返す。別に恨んでいるわけではないし、咲子が自分と似ているような気がして、唯一本心を話できる人間なのだと言う。
   末吉がいなくなった。残り物のシンナーを集めて吸っていたことがばれて清掃夫を首になったのだ。咲子が渋谷を歩いていると、やくざの頭を石で殴りつける末吉がいる。末吉を連れて逃げ出す咲子。上野駅から列車に乗った二人だが、途中急に、末吉の具合が悪くなる。海岸沿いの旅館にタクシーが着きスエ子が降りる。身体がかなり弱って、寝ている末吉。どこに行きたいのかと聞くと、以前来たこの旅館の思い出を語ったので連れてきたのだという咲子。そこでは、旅芸人の一座が舞台に上がっている。徐々に体調を回復し、舞台上でドンパン節を歌う末吉。その夜、一座と酒を酌み交わす末吉、咲子、スエ子。明日で、常磐ハワイアンセンターへ行くという。翌朝早く、末吉が部屋を出ていく気配に、咲子が後をつけると、海岸で首をくくろうとする末吉。死なせてくれというので、隣で咲子も首に縄をかける、いきなり縄を吊った木が折れ、下に落ちる末吉。末吉を抱きしめる咲子。いつの間にか二人は抱き合い、関係を持っている。それを見ていたスエ子は、旅芝居の役者に抱かれた。初めて快感を覚えるスエ子。
  東京で、スエ子からの手紙を読んでいる咲子。末吉親子は、旅芸人の一座に同行している。末吉は、シンナーを止められたようだ。しばらくの間休学して、この生活を続けると書いてあった。手紙を仕舞い、歩き始める咲子。「寒い」とつぶやく・・・。
   田中陽造の脚本を得て、根岸吉太郎の名前を確実なものにした作品。にっかつロマンポルノ(日活からにっかつに社名が変わっていた)の後期の名作。セックスによる心の救済がテーマだと言われるが、今にも通じる永遠のテーマ。風祭ゆきよかったなあ。
  83年日活小沼勝監督『縄と乳房(388)』
   京都のストリップ小屋。SMの女王黛小夜(松川ナミ)公演最終日の看板が出ている。小夜はイサオ(田山涼成)との2人でSMショーで全国のストリップ劇場を回っていたが、小夜は次の金沢を最後に
足を洗うと言っている。公私ともパートナーだった2人だが、最近どちらもしっくり行かないのだ。翌日京都観光で、清水などを回るが喧嘩ばかりだ。
   あるやくざの紹介で、金沢行きを1日延ばして多額のギャラのSM愛好家の座敷に呼ばれる。嵯峨駅から歩くと本当に大きなお屋敷だ。出迎えたのは、着物の似合う京美人の妙子(志麻いずみ)、彼女の夫の川村建造(仙波和之)は、京大の大学院にいた時に妙子の父親に気に入られ、入婿となり、京友禅の元締めのような仕事をしている。川村に仕込まれ、二人は金にあかせて、地下に拷問部屋を作るようなハードマニアだ。二人の前でショーを始める小夜とイサオだが、妙子は全く物足りないという。小夜のプロとしてのプライドが燃え上がる。地獄のような一夜が始まった。嵐山の渡来橋近くの河原で、傷や痣だらけの小夜とイサオ。しかし、二人で旅を続けようという小夜。イサオもうれしそうに頷いた。
   新宿ピカデリーで『地球が静止する日(389)』。
地球外微生物学教授のヘレン(ジェニファー・コネリー)は授業が終わって、直ぐに帰宅、家には亡くなった夫の連れ子のジェウイコブがいる。ジェイコブが今でも死んだ父親の話をするのが、ヘレンには複雑な心境だ。その日も、ゲームを止めさせ、晩御飯を食べさせる事に苦労していた。そこに電話が入り、緊急事態が起き出頭しろとの電話が入る。家の外の物々しい一群は有無を言わせずに、ヘレンを連れていく。ジェイコブは隣家にあずかって貰う。
   厳重な警備の中、集められるヘレンはじめ科学者たち。NASAの説明は、秒速3万Kで何かの物体が地球に激突するという。その物体の質量とスピードは地球全体を破壊する。隠し持った携帯でヘレンはジェイコブに電話をかけるが、地下室に入っていろというしかない。物体は、マンハッタンのワシントンパークに落ちた。実際は、巨大な球体が軟着陸したのだ。放射能保護服を着て球体に近づく科学者と、軍隊、警察、あまりの事態に命令系統も混乱している。ヘレンの前に、一人の人間のシルエットのようなものが現れる。平和的な交流をしようと手を出すヘレン。しかし、銃撃されたエイリアンは倒れ、飛び散った赤い鮮血のようなものがヘレンの保護服に飛び散る。突然巨大な人間型のロボットのようなものが、通信、武器、一切の機能を停止させる。倒れたエイリアンがロボットに語りかけると元に戻る。一方的に侵略する意図はないようだ。
   急きょ、エイリアンは収容され、治療をされることに。執刀した医師は驚く。覆っているクラゲのようなゼラチン状のものの中に、人間と同じ構造をもったものがあるのだ。銃弾を取り出し、縫合する。DNAの解析によると、3種類のDNAによって構成されているが、基本的には地球で活動するために、地球人のDNAを採取して作り上げられたもののようだ。果たして、このエイリアンが地球にやってきた目的は?!
   表情に乏しく人間味にかけるキアヌ・リーブスの顔がエイリアン役にぴったり。21世紀版のノアの方舟はアイロニーだが、人間は変われるのかというと変われないだろうなと自分は思ってしまうな。どんどん盛り上げて、煽っていくテンポの割には、愛は地球を救う結末が少し端折りすぎな気がするが。
    高田馬場の四谷天窓で、実籾の歌姫小笠原愛のライブ。以前自分企画飲み会に来てくれたデザイナーのNさんがいる。HPで調べて来てくれたのだ言う。一緒に仕事をした時も思っていたが、いい人だなあNさん。更に、家まで車で送ってもらった。

2008年12月27日土曜日

もう、いくつ寝るとお正月か・・・。

    阿佐ヶ谷ラピュタで、昭和の銀幕に輝くヒロイン第44弾 乙羽信子。58年宝塚映画木村恵吾監督『野良猫(384)』。大原君江(乙羽信子)は、金龍という妹芸者だった留田春子(環三千世)を頼って、河内から大阪ミナミに出て来た。春子の旦那の浮田五郎(山茶花究)は、帝国モダン芸術会と言う怪しげなヌードスタジオを経営している。ヌードモデルなら1日500円稼げるのだ。久しぶりの再会に夜はご馳走を作ると、春子が買い物に出ている隙に、浮田はモデルとしての試験で全裸になれと言う。盲腸の手術跡が大きいので難しいかもと言っておいて、魚心あれば水心と迫る浮田。すがる気持ちで身を任せる君江。そこに春子が帰宅、大阪での仕事がなくなった君江。仕事を探して闇市をさ迷う君江。女プロレスの訓練所を覗いていると、倉田忠平(田崎潤)にレスラーにならないかと言われるが断る君江。  飯やの看板を見つけ食事をしていると隣の工夫が自分の鮹の皿を君江に押し付けたことで、お金が足りなくなる。奢ってくれた親切な男は勿論下心から。金をやるからどうだと誘われ、仕方なしに頷く君江。男は、倉本に隣の部屋を借りる。その部屋の持ち主は、村上兵太郎(森繁久弥)。兵太郎は、かって飛田新地で3代続く遊廓の主人だったが、妻子が出て行ってから、捨て鉢な生き方で極貧の生活を送っていた。君江は、かって兵太郎の遊廓から足抜けした紅若だったのだ。
昔を懐かしむ2人。無一文の2人には夢も希望も無い。2人で死のうと思う。考えあぐねた末、汽車に飛び込むことにした。逡巡し、なかなか死ねない2人。いよいよとなった時に、君江がつわりを催す。河内の悪い男の子で3ヵ月だと言う。兵太郎は、自分たちは死ね決意をしているが、子供の意志はどうなんだろうと言い、自分が今のような自堕落な生活を送っているのは、今3歳になる息子に会えないからだと付け加えた。2人は生きて行くことに、日の出だ。朝日を浴びて線路を歩いていく2人。
線路沿いで、汽車に飛び込もうとするが、死にきれないやりとりが最高だ。乙羽信子さんは、足が本当に綺麗な人だったんだなあ。少し頭が緩いというか、貞操観念が少し希薄な、不幸な身の上だが、明るい女性の役が素敵だ。
    神保町シアターで女優・山田五十鈴。52年新星映画/前進座山本薩夫監督『箱根風雲録(385)』。箱根権現に近在の百姓が筵旗を掲げて集まってくる。水乞いの儀式のためだ。芦ノ湖は満々と水を湛えているが、この湖水の利用は出来ず、いつも水不足に悩まされ、米麦も採れず、蕎麦、ヒエ粟しか採れない。水呑百姓どころか満足に水も飲めないのだ。箱根権現の大僧正快長(河原崎国太郎)を商人友野与右衛門(河原崎長十郎)が訪ねてくる。箱根の湖尻峠に穴を掘って、三島側に流し、灌漑用水にしたいので承諾して欲しいと言うのだ。気鬱で殆ど引きこもっていた快長は、箱根に来て初めて楽しみに出会ったと言う。しかし、大老、老中、各奉行に呼び出され、事業計画を問い質され、武士の自分たちの用水事業が難航しているのに、町人風情が何か企てているのではないかという言いがかりや、お万の方(内田礼子)の、芦ノ湖は徳川の守り神を祀ってあり、町人の分際で将軍家に弓なすつもりかと責められ、友野は涙する。しかし、大老の酒井雅楽頭(薄田研二)は、弘文院学士林大学頭(嵯峨善兵)に、友野の後ろ盾が日本橋の豪商松村(三島雅夫)であると調べさせた上で、工事の施工
を承認する。
友野は、貧農の若者捨吉(坂東春之助)の才知を認め、自分の土木技術を惜しみなく伝え、図面を引かせる。しかし、捨吉の寝たきりの父は、怪しげなキリシタンの技を使う友野を手伝うことには反対だ。近在の百姓たちも、水が引けて米が作れるとは信じておらず、工事の賃金だけのために働いている。日当が遅れる度に不満ばかり洩らしている。磊落した侍で、盗賊黒鞍隊の大将になっている蒲生玄藩(中村翫右衛門)からマツ(岸旗江)が逃げてきた。玄藩は、友野を攫い、徳川を転覆させ天下を穫るための軍師になれと言う。友野は戦の技術ではなく、民を救うことしか出来ないと断る。マツと捨吉が助けに玄藩のアジトにやってきて無事逃げることができた。
    何年も過ぎ、百姓たちの中に、水不足への思いが薄れ諦観がもたげ始めた頃、坑道に出水があった。命の代金まで払っていないと現場に出ずに、手慰みの丁半博打を始める百姓たち。金が底をつき始めた頃に豪商の松島が江戸からやってくる。喜ぶ友野に、実は勘定奉行から友野への援助を止めなければ、取り潰しにすると言われ、支援中止の謝罪に来たのだ。しかし、松島の話の中でたとえ話の金山という言葉で、出水対策の瓢箪石を思いついて素直に喜ぶ友野と妻のリツ(山田五十鈴)を見て、内密に援助を約束する松島。しかし、そのやり取りは、沼津奉行(加藤嘉)の間者に聞かれていた。沼津奉行の手のものにより、斬られる松島。直ちに、金策の為に旅支度をするリツ。命を賭けている夫の為に、自分も命を賭けるので、万が一自分が死んだら、夫の面倒をみてくれと頼むリツに、名主の妻のイネ(河原崎しづ江)は、友野夫妻の思いを初めて理解する。
瓢箪石の方法で出水を防げると、博打をうつ百姓たちに、手伝ってくれと頭を下げる友野。しかし帰ってきた答えは、日当をもらえなければ仕事はしない。お前の金儲けのために、これ以上のタダ働きはしたくないというものだった。落ち込む友野は、工事から手を引き江戸に帰る決意をする。捨吉は、途中で投げ出すのは卑怯だと言うが、自分の独り相撲だったのではと挫折を感じた友野は承知しない。しかしその時、リツが帰ってきた。すべてを投げうつつもりで、親類から可能なだけ借金をし、また、江戸の屋敷、商売の株まですべてを売り払ってきたのだ。この村に骨を埋めるという夫婦の覚悟は、百姓たちの気持ちを動かす。最も強欲なトラ(飯田蝶子)まで、村人から博打で巻き上げた金を使ってくれと差し出した。しかし、友野は、今まで自分は百姓を救うといった驕った態度だったのではないかと頭を下げる。
    すべての人々の気持ちが一つになって工事は進んでいく。しかし、沼津奉行の妨害工作は厳しくなった。支えに傷をつける隠密。果たして友野は崩れた木材の下敷きに。友野に会ってから心が満たされなくなった玄藩は、盗賊を続けることが空しくなり、現場に来ていた。満身の力で、友野を救う玄藩。それから、身を偽り、百姓に混じって働く玄藩の姿がある。
    いよいよ、両方から掘る鎚の音が聞こえ、開通する。大喜びし、涙を流す村人たち。しかし、幕府の捕り方たちが、やってくる。友野を捕らえようとすると、村人たちが立ちはだかる。必死に止め縄につく友野。しかし、友野を救おうとする百姓たちの思いは誰にも止められない。火縄銃が放たれ、死人まででる事態だ。玄藩は、アジトに引き返し、子分たちを引き連れ友野を取り戻しに馬を走らす。しかし、捕り方たちは、鉄砲隊を幾重にも用意していた。捕り方や奉行を討つものの、絶命する玄藩たち。
   結局友野は、箱根用水の開通とともに、幕府の兇刃に倒れる。しかし、その箱根用水は今でも静岡の田畑に水を供給し続けている。
   江戸時代版「黒部の太陽」みたいなものだな。独立プロとしては、スケールの大きい作品を頑張って作っているといえるのではないか。

2008年12月26日金曜日

悪女は魅力的。

    新宿ピカデリーで、村上正典監督『赤い糸(381)』。竹宮芽衣(南沢奈央)は、父(甲本雅裕)母(渡辺典子)姉(岩田さゆり)の4人家族の中学3年。クラスメートの西野敦史・アッくん(溝端淳平)高橋陸・タカ(木村了)藤原夏樹(柳下大)神谷充(田島亮)山岸美亜(岡本玲)中西優梨(鈴木かすみ)たち仲良しグループ(失笑)。
   文化祭の出し物を決めで、敦史は占い、芽衣は大道具の担当に。タカ、夏樹、充はバンドで筋肉少女隊の「日本インド化計画」をやることに。内気な沙良(桜庭ななみ)を誘うと歌や演奏は出来ないがダンスならということで、美亜と優梨と3人でゴスロリファッションでダンサーに。教室の占いも盛況だ。敦史のもとに幼なじみの麻美(石橋杏奈)がやってくる。父親が自殺し天涯孤独になって力になってくれと言う。敦史が教室に戻ると、芽衣が1人。芽衣を占ってやると言って生年月日を聞く敦史。芽衣は2月29日生まれ。同じ誕生日の人間に会ったことかあるかと聞く敦史。8歳の時に1度だけあると言う芽衣に、更に詳しい話を聞こうとするが、バンドのライブが終わったみんなが帰ってきた。
文化祭が終われば長崎への修学旅行だ。自由行動はグループで打ち合わせろと先生に言われて、8人で話していると、敦史が芽衣に2人で行動しようと言う。みんなに冷やかされるが、2人は帰りに本屋で長崎のガイドブックを買い、芽衣の姉の情報で、ビードロの色付けをやろうと決まった。芽衣を家まで送り母に会う。敦史の名字を聞いて母の名前と近況をはぜか聞く芽衣の母。
  いよいよ修学旅行だ。自由行動の前夜、敦史に入院している母が、病院の前で事故にあったという連絡が入り敦史は東京に帰ることに。その夜、2人は宿舎を抜け出して、長崎の夜景が見える公園に。敦史が自分の初恋を話し始める。敦史も2月29日の誕生日で、8歳の誕生日の雪の日に同じ誕生日の女の子とぶつかって女の子のバースデーケーキを落としてしまった話をする。8歳の誕生日に、2人は既に出会っていたのだ。運命的な縁を感じる2人。キスをし、手を繋いで夜景を眺め、16歳の誕生日を一緒に迎えようという2人。宿舎に帰ると沙良がまだ起きていた。両思いの二人を自分のことのように喜び、自分もタカへの思いを伝えるという沙良。
   翌朝、芽衣は、1人でビードロの絵付けに行くと言う芽衣。夏樹と優梨はカップルで、美亜、充、タカ、沙良は4人で出掛ける筈が、急に芽衣が乗った市電に飛び乗るタカ。驚く芽衣に、1人じゃ心配たがらと言うタカ。しかし、ビードロの絵付けをしている店の前を偶然通り、芽衣とタカが一緒にいることを目撃し、芽衣の携帯に電話する沙良。1人だとつい嘘をつく芽衣。宿舎に帰ってくると、沙良は、芽衣に自分は芽衣を1番大切に思っていたが、芽衣は自分が必要でなかった。嘘をつかれたのがつらい。芽衣の中に自分はいないのなら、自分で自分の存在を消すと言って、宿舎の屋上から飛び降りてしまう沙良。病院の集中治療室の前で、立ち尽くす仲間たち。沙羅の母と芽衣の両親が東京から駆けつける。両親を前にただ泣くことしか出来ない芽衣。実は、母は東京で敦史に会っていた。敦史の母(山本未来)は、覚醒剤の依存症で病院の出入りを繰り返していた。芽衣には出生の秘密があり、そのことに敦史の母が関係していたのだ。敦史に全てを打ち明け、芽衣には理由を告げずに、会わないようにして欲しいと頼む母。
   それ以来夏休みの間も、芽衣からの電話やメールに一切応えなくなった敦史。沙良は大阪に転校することに、放課後沙良の家に走る芽衣たち。沙良はいたが、事件の前後も芽衣たちの記憶を失っていた。大阪で、やり直すので、芽衣たちも沙良のことを忘れるように頼む沙良の母。翌日学校に行くと黒板には、沙良が記憶を失ったのは芽衣だ。死んで詫びろという落書きに溢れている。メールも死ね!ウザい!など酷いものばかりだ。タカは芽衣ではなく、自分を責めろと言う。しかし、芽衣は、沙良の心に自分を恨む気持ちも含めて消えてしまったので、自分が沙良にした事を忘れずにずっと背負っていくと話す。
   ずっと待っていた敦史のメールが来た。しかし、もう好きでもなくなったと言って去っていく敦史。呆然と見送る芽衣。敦史も、母親が入った療養施設の近くに引っ越す。高校受験が近づく。タカは芽衣に同じ高校に受かったら付き合ってくれと告白する。いつも近くで見守ってくれていたタカの気持ちに応えたいと頷く芽衣。合格発表の日、芽衣と美亜は合格したが、タカは落ちた。夜間に進むと言うタカに付き合って、毎日5時に会う約束をする芽衣。
  しかし、次第にタカと芽衣の間はギクシャクしたものになっていく。芽衣がタカを好きになろうと努力していることに苛立つタカは、芽衣を束縛し、思う通りにならないと暴力を振るうようになる。そんな頃、充に同じ学校の好きな子が出来たと美亜から相談される芽衣。放課後に相談すると約束をするが、タカから大事な打ち合わせがあるというメールがある。結局、美亜を取るか自分をとるのかといわれてタカから殴られる芽衣。結局、辛い美亜の話を聞いてあげることができない。美亜は、中学の同級生に誘われ、辛いことを忘れられると言われて、薬に手を出し、学校に来なくなる。美亜と何とか連絡を取ろうとする芽衣。タカからの電話に出ずに、街を探し回る芽衣。偶然、敦志は瞳孔が開き薬に溺れている美亜に会う。薬をやめろと言っているところに、芽衣が現れる。もう薬は辞めて学校に行くと芽衣に言う美亜に、そんな簡単に止められないという敦志。私は美亜を信じると言う芽衣。そこにタカが現れる。何本電話したと思っているんだと叫んで、芽衣を殴るタカに、敦志がやめろとタカを殴る。タカを庇って、自分が相談したかった時に何もしなかった敦志ではなく、自分を支えてくれたタカを信じると言う芽衣。打ちのめされて去る敦志。
  夏祭りの神社、浴衣姿の芽衣は、タカを探しながら縁日の人混みを歩いている。敦志と話しているタカ。何で別れたんだと聞くタカ。好きでなくなったと敦志は答えるが、文化祭の日に芽衣と敦志が話しているのを聞いてしまい、二人には運命的な関係があると思っていたと言うタカ。好きでも付き合えないことはあるんだ呟く敦志。芽衣の携帯にメッセージを吹き込んでいるタカ。自分のことを好きになろうと努力してくくれている芽衣の心に、自分への自信がないために暴力を振るったりしてきたことを詫び、中学時代のような友人に戻ろうと。しかし、吹き込んだあと、神社の前で自動車事故で亡くなるタカ。
  2月29日ファミレスで、芽衣の誕生日を祝う美亜、優梨、夏樹、充。ようやく美亜も元に戻った。家に帰ると、父と母が言い争いをしている。母は、姉を芽衣を呼び、二人が離婚すること、また実は芽衣は、二人の実の娘ではなく、亡くなった親友の娘であり、その親友の死には、覚醒剤に溺れた敦志の母が関係しており、そのために自分が敦志に芽衣と別れてくれと頼んだのだと告白する。その頃、スーパーのレジ打ちのパートの遅番に出るが、帰宅したら誕生日を祝おうと言う母を見送った敦志に、療養施設から電話が入る。完治した筈の母は、親類の不幸を理由にした一時退院でしかなく、病院に戻らないので心配しているという話だった。勤めていると聞いていたスーパーに行くと、母はすぐに辞めたと言われる。捜し歩き、母が薬に溺れる原因を作った男の店に行くと母がいる。男は、母は息子を捨てて自分と一緒にいたいと言っていると暴露する。近くにあったアイスピックで男の足を刺す敦志。
  8歳の時に二人が出会ったケーキ屋の前に立っている芽衣。雪が降ってきた。現れる敦志。16歳の誕生日を一緒に過ごそうという約束を二人は果たしたのだ。人間は一生の間に3万人の人に会い、そのうち3000人の人と学校や職場で出会い、300人の人と仲良くなるという話をして、二人が出会ったことは意味があり、きっと自分たちが出会ったことも凄いことだと思わないかと言う敦志。私は、何があっても敦志を信じればよかったと言う芽衣。二人はそれぞれの道に戻っていく。
  うーん携帯小説の映画化らしく、愛とか、信じるとか、運命といった言葉ばかり。そして、みな直ぐ死んじゃう。死んじゃうけど、飛び降りたり自動車事故もテレビのコード以上に全く惨たらしいところは出てこないできれいにラッピングされている。覚醒剤に関しても、心の弱い人間が辛いことを忘れるためのちょっとした逃げ道だ。薄っぺらいなあ。まあ、中学生が考える人生や愛や恋や運命は狭い世界での経験でしかないからしょうがないが、日本の小児的なメンタリティを感じるなあ。しかし、「恋空」の映画ドラマ展開に関するTBSの失敗を踏まえて(苦笑)、CXはうまくやっているのだろうか。テレビ見てないので何とも言えないが、映画はドラマのオープニングスペシャルみたいなものなのか。何だか、テレビドラマを大スクリーンで見ているようで物足りなさが残る。
   神保町シアター、女優・山田五十鈴51年松竹京都伊藤大輔監督『おぼろ駕籠(382)』。
   当時権勢を誇る若年寄沼田隠岐之守(菅井一郎)の邸宅には、賂をもった多くの人間で門前市をなしていた。隠岐之守の用人生島(山本礼三郎)に、許嫁の三沢が大奥で中藹になるといいう話があるが、それでは一生結婚できなくなるので返してほしいと頼む小野田数馬(永田光男)の姿がある。生島は取り合わず、思いつめた数馬は、城中で隠岐之守に直訴し、皆に取り押さえられ、隠岐之守の門前で腹を召した。それを、目撃していたのは、久しぶりに江戸に戻ってきた夢覚和尚(坂東妻三郎)と、隠岐之守に疎まれ無役になっている本田内蔵助(月形龍之介)。深川の飲み屋で飲んでいると、酔った羽織芸者のお仲(田中絹代)が入ってくる。男嫌いで通しているお仲も、夢覚には好感を持ったようだ。
  一緒に飲んでいると、内蔵助と懇意のコソ泥の蝙蝠の吉太郎(三井弘次)が来て、不思議なものを見たという。深川の水路の傍に、身分の高い女中が載ったおぼろ駕籠が灯りも灯さず2提見かけ、なんだろうと思っていると、一提が信濃屋の別邸に入って行った。大奥の女中と役者との逢引かと別邸に忍び込むと、御殿女中のお勝(月宮乙女)が会っていたのは、旗本の次男坊小柳進之助(佐田啓二)。お勝は、自分が中藹に推挙される話があるが、自分は進之助が好きなので、受けたくないと相談している。進之助は、知人に譲ってもらった刀の金を支払いに行って戻ってくると言って出ていく。進之助が別邸を出てしばらくし、吉太郎が忍び込むとお勝は血だけ残して不在だ。裏木戸に向かって血は垂れており、木戸の向こうは川が流れている。
   翌日、お勝の死体が上がった。一緒に進之助の買ったばかりの刀の鞘も見つかる。昨晩の刀代を払った時に、誘われて賭場を眺めていたという進之助の証言も朝までなんて嘘だと否定され、進之助の進退は極まった。目明しの門前の亀蔵(伊志井寛)は、足跡が二人分あり、高級な紙入れが落ちていたことと、下手人が身元が割れる鞘を死体と一緒に流す訳がないと、進之助は嵌められたと思っている。しかし、火盗改めから、進之助を下手人とするよう圧力がかかる。更に重要な証拠である紙入れを預からせろという火盗改めに、亀蔵は中に入っていた家紋入りの紙を抜いて渡す。
   酔った夢覚和尚が歩いていると、捕縛される前に、家のために自害せよと叔父や兄(安部徹)たちに迫られ逃亡、追いかけられている進之助を救う。内蔵助の屋敷に逃げ込むと、小野寺家がやってきて引き渡せと言う。拒否する内蔵助。内蔵助と夢覚は、進之助が死んだことにする。河原の乞食たちの中に混じって夢覚と進之助は暮すことに。お勝担当の御前女中だったお蝶(折原啓子)は、事件が起きて宿下がりして以来、内蔵助と夢覚に進之助を助けてほしいと頼んできていたが、徐々に進之助といい感じになってきている。吉三郎は、亀蔵の家に忍び込み、証拠の家紋入りの紙を盗んで夢覚に渡す。
徳川家の代参法要に、中藹三沢(山田五十鈴)がやってくるという話を聞いて、吉三郎とお蝶は、紙入れの紋を確かめに。果たして、お勝殺人の現場の紙入れは三沢のものだ。しかし、吉三郎やお蝶は、怪しげな風体の者たちに捕らえられてしまう。
   夢覚とお仲は、代参法要のあとに、三沢が高級割烹の四季庵に廻ることを知る。四季案の離れでは、三沢と隠岐守の要人生島が話している。生島は、火盗改めから手に入れた三沢の紙入れを見せ、三沢を脅す。もともと、三沢は、隠岐守が殿中の権勢を確実なものにするため中藹に押したのだが、お勝を殺したのは三沢の考え。重要な証拠があるのを、なんとか進之助に罪を着せようと手を打ってきたのだ。生島は、紙入れを自分の手に置くことによって、自分の力としようと考えたのだ。表情一つ変えずに、癪を起したふりをして、女を武器に生島を懐柔しようとする三沢。二人が抱き合っているところに、夢覚が現れる。三沢を誘拐し、外に待たせた駕籠に乗せ、お仲に預ける。生島の立てた追手を倒して、追う夢覚。
   信濃屋別邸に連れ込んだ三沢を前に、お勝殺しを認めろと迫るお仲。さすがに、大奥中藹を務める三沢は、平然と否定するが、許嫁小野田数馬の死の真相を聞いて、顔色が変わる。隠岐守からは、病死したと偽りを教えられていたのだ。自害しようとする三沢の小太刀を取り上げる夢覚。死ぬ前に、罪の償いをしろと言うのだ。
   夢覚は、隠岐守の屋敷に、大僧正の扮装で大行列をしたてて乗り込む。出迎えた生島は、自分の目の前で三沢を誘拐した男の顔に驚く。隠岐守の面前で、河内山宗春ばりに、今回の事件の真相を話し、小野田数馬の無罪を認めろという。土産だと持参した京人形と書かれた箱を開けると三沢が入っている。隠岐守の傀儡で罪を犯した生き人形だと言う皮肉だ。隠岐守は、認めざるを負えない。退席する前に、このくらいのことを仕切れない用人生島を責め、解任する。三沢は、夢覚に、これで自害していいかと聞いて、小野田数馬の後を追う。
   河原の乞食たちが、飲み騒いでいる。三味線を弾き喉を披露しているお仲。夢覚に生き返してもらた進之助の侍姿への着替えを、手伝うお蝶。夢覚たちも当てられ気味だ。三沢、お勝ら政争の具にされ命を失くしたおんなたちを、不幸だと呟く夢覚。お仲は、夢覚の後ろ姿に、「わたしは?」と問いかけるが、何も答えず去っていく夢覚。お仲の目にあふれる涙。
   主役は夢覚和尚を演ずる坂東妻三郎だが、権力者の陰謀を暴いていく社会派推理小説のような展開なので、チャンバラシーンは、あまりない。まして破戒坊主でも、坊主の自分に殺生させるのかと言いながらの殺陣、あくまでも受けて逃げるための刀や、金剛杖だったりするので思い切りは悪い。全盛時のバンツマのチャンバラを知らない、お恥ずかしの自分にはもちろんつべこべ言えないし、もの足りないとも思わないが、旗本本多内蔵助の月形龍之介の、動かないかっこよさが目立つ。思わずワイズ出版「月形龍之介」を買い求めてしまう(苦笑)。スチール写真の眼力凄いなあ。
   58年松竹大船渋谷実監督『悪女の季節(383)』。 大金持ちの八代(東野英治郎)は、人間ドックを受け、何万人に1人の健康的な肉体だと、医者から誉められる。68歳の八代は、20歳は若いと言われ、帰宅し、妻の妙子(山田五十鈴)に100歳まで生きると大威張りだ。妙子は陰で診断書を破り捨て冗談じゃないと怒る。彼女は、芸者をしていてひかされたが、籍を入れてくれる訳でも、2号のようにお手当を毎月貰える訳でもなく、無給の女中を20年近くさせられてきた。転がり込む遺産のことで我慢してきたのに、この生活が何十年と続くと考えると冗談ではない。
   焼き肉を食べて、八代が眠ったのを見て、ガス栓を開いておいて、1階のばあやに風呂を焚くと言って元栓を開けさせた。ばあやはかなり耄碌しており、主人の顔を忘れるほどだ。風呂に入りながら、様子を窺う妙子。しかし、白タクの運転手で、妙子のかっての客だった片倉(伊藤雄之助)が、車の月賦の無心をしようと家に忍び込んできたことで、間一髪八代は助かる。片倉は、ガス漏れに不審を抱き、妙子にカマをかけ、警察に話に行くと脅して、白状させる。しかし、金と八代の眼球だけが欲しいだけの片倉は、矢島殺しの片棒を担ぐことに。妙子と片倉は、殺し屋の秋ちゃん(片山明彦)に手伝ってもらうことに。色々考えを巡らすがうまく行かない。
   そこに妙子の娘の眸(岡田茉莉子)がやってくる。眸は義父の八代に、今後一切縁を切るので、百万くれと頼むが、八代の方が一枚上手で、ちゃんと結婚して届けを持ってきたら、お祝いとして百万をあげるとはぐらかされる。眸の百万は、ヌードダンサーをしている友人の美美(岸田今日子)に車の代金を払わなければならないのだ。もう待てないと言われて、ピストルを渡される。眸は、自分で手を下そうと、八代の寝室に忍び込むと、ベッドにナイフを突き立てる影が。灯りを点けると八代の甥の慎二郎だ。彼は、死の直前の母親から船員だった叔父の八代が、南米で成功した父親の全財産であるダイアモンドを横取りするために、ヨーロッパで狩猟時の事故を装って父親を殺したのだという告白を聞いていた。その口止めのために、母親を自分の女にした非道な男の八代に復讐するのだと言う。協力するという眸。二人は、バイクで都内の街を走り、キスをする。
    八代と妙子は、片倉の運転する車で山道を走っている。浅間にある別荘に向かっているのだ。3人の乗る車を、バイクの集団が追い抜いていく。その中に慎二郎と眸の姿を見つけて驚く八代と妙子。別荘に着くと、バイクの若者たちが庭を占拠している。あまりの騒がしさに、八代は、裏山続きの気象観測所に泊まらせて貰おうとするが、教授からは学生たちが多く物置しか空いていないと言われる。それでも騒がしい自分の別荘よりはいいと言って移る。しかし途中、別荘の防空壕に入り缶詰などの裏側にある隠し扉を開け、宝石箱を入れ替えている。
   夜になり、眸に促されて慎二郎は八代にナイフを向ける。八代は、母親の話を、有名な小説の話で、自分は、全財産を慎二郎に譲るつもりでいるのだと言い、慎二郎は説得され戻ってくる。小説の話かどうか、明日図書館に確かめにいくのだと言い出す慎二郎に呆れる眸。八代のもとに、殺し屋の秋ちゃんが現れる。八代の殺しを頼まれたが、あまりにギャラが安いので、情報を教えるので金をくれと言う。依頼人は妙子で、八代を怒らせて心臓発作を装って殺そうとしているのだと言うと、まさに妙子と片倉がやってくる。八代のベッドの陰に隠れる秋ちゃん。片倉に脅され貞操の危機にあると訴える妙子。真実を知っている八代は、妙子と片倉がどう話そうが、全く動じない。
   翌日、山を下りて図書館で、八代に担がれたことを知って怒る慎二郎。自分の言ったとおりだと言う眸。山に戻る二人。秋ちゃんは、八代が財産をどこかに隠していることを知って、穴を掘っている。そこから出てきたのは、旧日本軍の不発弾だ。しかし秋ちゃんはこれが八代の隠した宝石箱だと信じて疑わない。開けようと金槌で叩いていると暴発、秋ちゃんは爆死、近くにいた慎二郎も巻き添えを食う。重症で唸っている慎二郎の前で、八代、妙子、眸、片倉が言い争いをしている。妙子の女の武器も、真実を知っている八代には通じない。妙子と眸は、掴みあいの大ゲンカをする。その最中、慎二郎は死ぬ。お前に全財産を譲るつもりだったと言い、天国に持って行けと言って、気象観測用の気球に宝石箱をつけ放す八代。片倉と眸は、漂う気球を追いかけていく。別荘に残った妙子と八代。八代は、あの宝石箱は偽物だと言う。妙子は、別荘の猟銃を取り出し、八代に突き付け、本物の宝石箱を取り立たせる。蓋を開けると、手元のものは偽物だった。八代の勘違いで本物を飛ばしてしまったのだ。殺せるものなら殺してみろという八代に、引き金を引く妙子。弾は当たらなかったが、八代は心臓発作を起こして倒れる。
  いつのまにやら気球を追って浅間山の火口に、片倉と眸は来ている。そこに妙子が現れ、八代は死んだという。気球は火口の入口に止まっている。もう疲れたから三人で山分けしようと言う片倉に同意するふりをして、片倉を突き落とす眸。眸と妙子はつかみ合いになるが、縺れ合ったまま火口に落ちていく。強い風が吹いて再び、浮き上がる風船。火口に、立ち上がった片倉らしい姿が見えるが、硫黄煙にかすんでよく見えない。
  岡田茉莉子の悪女がキュートだなあ。丸く大きな瞳をくりくり動かす表情は、本当にかわいい。

2008年12月25日木曜日

サラリーマンは気楽な稼業と来たも~んっだ。

  家で探し物。片付いていたものも引っ張り出して、散らかる。大掃除のやり直しのような状態に。
  夜は、青山マンダラで、植木等生誕祭というライブに。かって、元の会社所属だったNUUという女性シンガーソングライターが企画したイベント。かって、担当していた今は粥屋のSに誘われて、後輩Kと。音楽ライターで、代官山のライブハウスのブッキングマネージャーをしているKさんと、本当に久しぶりに再会。元の会社のアーティストやらスタッフの話をする。NUUが、クラリネット、ギター、パーカッションをバックに編成したものと、クモノス・カルテットという7人編成(?)のグループが、クレージーキャッツの曲を中心に。
  近くの「とちの樹」で遅い食事。何だか、ご機嫌で酔っ払って歩いていると、駅に着かない(苦笑)。うまい具合にタクシーが通りかかって、乗ってしまう。運転手さんは、ずっと今の政治に怒っていた。
  

2008年12月24日水曜日

悲しい女が似合う女優坂井真紀。

     渋谷シネマヴェーラで、官能の帝国ロマンポルノ再入門2
     83年日活中原俊監督『3年目の浮気(378)』。専業主婦の京子(門万里子)と、人形メーカーの企画部に勤めるサラリーマンの秀樹(阿部雅彦)は結婚して3年目。秀樹は会社のOLで、最近パパと別れたばかりの知美(林亜里沙)に迫られ浮気をしている。妻の京子は水泳教室のコーチ川又(金田明夫)に独身だと言っている。隣に住む大家の夫婦、斉藤又一郎(鶴田忍)、博美(朝比奈順子)は、非常にSEXにオープンで積極的だ。ヒロシ&キーボーの「三年目の浮気」のヒットで企画された、3年目の少し倦怠期を迎えた夫婦の危機を描くコメディー。
  未見、根岸吉太郎脚本、中原俊監督ということで、少し期待していたが、まあ、ロマンポルノの末期。手慣れた作り方ばかりが目について、退屈だった。
 78年日活田中登監督『人妻集団暴行致死事件(379)』。
   東京から荒川を渡った埼玉県吉加谷市の旧住民の若者有田善作(酒井昭)20才は、ガス会社のガス管埋設の仕事をしている。その日は、大雨で仕事は中止に、ガールフレンドの八重子(志方亜紀子)と食事をして「ロッキー」を見た。3回目のデート、なんとかモノにしたいと迫るが、拒絶される。農家の息子池本礼二(深見博)19才は、鋳物工場を辞めて、家の畑を手伝っている。職安に失業保険を貰いに行くと、中学の1年先輩の歌川昭三(古尾谷雅人)20歳に会う、白タクをしている昭三はキャバレーで働く元スケバンの尚子(日夏たより)と優子(岡麻美)を紹介してくれると言う。優子は頼めばやらせてくれるというのだ。女将(絵沢萌子)の飲み屋ヤマサトで、3人は再会。直子たちの勤めるキャバレーに行こうとするが、所持金が足りない。そこに荷台に卵を積んだ車が止まっている。捌くルートを知っていると言って自分たちの車に積み替えさせる昭三。しかし、直子たちのキャバレーはもう閉店していた。川に卵を投げ捨てる3人。
   翌朝、善作と礼二は家族に起こされる。昨晩の卵泥棒が通報され、既に昭三は警察に捕まっているという。礼二の祖父は、被害者の江口泰三(室田日出男)のもとに2人を連れて行き、謝らせた上に、金を払って示談にしてくれるように頼んだ。泰三は、元々上野で香具師をしており、人がいい。警察に直ぐに行き、昭三も貰い下げた。3人に焼き肉を奢った上に、後の小遣いまで渡す泰三。その金で、尚子と優子を誘い、3人は思いを遂げる。しかし、善作と礼二の性欲に油を注いだことにしかならなかった。善作と礼二が帰宅すると言うので、昭三は実家に帰る。藍染めを営む父親(小松方正)は、他の2人は親が動いてくれたので、警察に入らず済んだのに、酷い親だという昭三に、こんな親不孝な息子は知らないと言う。父子2人殴り合いだ。兄は笑っているだけだ。母親一人とりなそうとするが、まずは謝れしかいわない母に、昭三はいたたまれず、家を出る。
   昭三がアパートを借り、引っ越し祝いをすることになる。直子たちも来るので、いつもお世話になっている泰三も呼ぼうと言うことに。しかし、礼二が泰三を連れてアパートに行くと女の子はいない。団地の大学生たちにドライブに誘われて帰ってしまったのだ。せっかくの若い連中の好意に応えようと、酔わせると裸になると言う噂のヤマサトの女将を呼ぶ。盛り上がったが、部屋の中で小便までしてしまう女将。酔った女将を途中で撒いたが、泰三は酔いつぶれてしまった。3人は送って行くが、泰三の家に着いた時、泰三の妻枝美子(黒沢のり子)を強姦してしまう。江梨子は心臓が悪く死んでしまう。
  日活ロマンポルノの中では、傑作としてあげられることの多い作品。長部日出雄の原案をもとに、佐治乾脚本。古尾谷雅人がセンセーショナルに登場した「女教師」に続いて、また確か「嗚呼!!花の応援団」のオーディションから出てきた深見博らが、ギラギラした近郊の不良少年として好演、また「サード」でデビューした志方亜紀子と、当時は「音楽」から久しぶりの登場の印象だった黒沢のり子という二人の少年たちの欲望に花を散らす無垢なヒロイン二人など、見るべきものはたくさんあるが、何よりも、干されていたピラニア軍団の兄貴分の室田日出夫が、非常に力が入った素晴らしい演技を見せる。
   ヒューマントラストシネマ文化村通りで、熊切和嘉監督『ノン子36歳(家事手伝い)(380)』。
   ノン子は、かって売れない芸能人だった。マネージャーだった夫宇田川(鶴見信吾)と離婚し、実家の神社に戻ってきている。何もなく、行き場のない田舎町へのやりきれなさに、ノン子の屈託は深まるばかりだ。神主の父(斉木しげる)は、自堕落な娘に腹を立て、母(宇都宮雅代)は、殺伐としたノン子の気持ちを持て余し気味だ。同級生の富士子(新田恵利)に会う。やはりバツイチだが、母親から引き継いだ和風スナック藤のママをしている。
  ある日、若い男マサル(星野源)が神社を訪ねてきて、お祭りの時に店を出させて欲しいという。縁日は香具師の仕切りなので、安川時生(津田寛治)のところに何故かノン子が連れて行くことに。神主修行中の義弟の要領を得ない連絡のせいて、何度も無駄足を踏む2人。やっと会えた時生は、届け出や他の店への承諾が必要なので駄目だと言う。しかし、ワタルは、香具師は義理と人情の人なので、最後には承諾してくれるだろうと判断する。
  富士子の店で、煙草を買ってくると言って放り出されたマサルは、なぜかお祭りの日まで、ノン子の家に居候することになる。ノン子の父は、薪割りなどの手伝いをさせる。不器用で、しかし何かをしようとしている若者にノン子の気持ちは動き始めている。元夫の宇田川が、復帰の話をもってやってくる。断りながら、しかし気持は揺れ、一夜を共にしてしまうノン子。
   ひよこが詰められた沢山の段ボールが届く。マサルは、オスのひよこが破格の値段で売ってもらえることを知って、夜店で売って、ひと儲けしようと考えたのだ。しかしお祭りの日、大雨が降り、延期になってしまう。泥だらけのひよこを一つずつ洗っているマサルを見ているノン子。逃げたひよこを二人で追いながらいつのまにやら笑顔が戻っているノン子。マサルと結ばれるノン子。この街を出ることにしたというノン子に、お祭りが終わったらいっしょに旅しようというマサル。しかし、ノン子の街を出るという意味は、東京に出て、もう一度やり直すという意味だ。
  ようやく、お祭りの日がやってきた。いきなり、時生に、土下座をしてひよこを売らせてくれと言い出すワタル。驚きながら、断った筈だという時生。お前らは義理人情じゃないのかというマサルに、お前には義理はないという時生。時生にしがみついて許すまで離れないというマサルを、香具師の若者たちが引き剥がして、痛めつける。ノン子の父親が止め、とにかく出て行ってくれとマサルに言う。
 そのころ、ノン子は、巫女姿で祭事を手伝う筈だったが、怪しげな変装をした元夫の姿を見つける。東京に戻るというノン子に、いきなり土下座した宇田川は、再デビューの話は嘘で、先日は借金の保証人になってもらいに来たのだと謝る。更に、富士子が借金の相談に乗ってくれるので、もうノン子は無用になったと言う。キレるノン子が家に戻るところを、ボコボコにされたマサルが追いかけてくる。祭りのお囃子が鳴っている。うるさい!と叫んでうずくまるノン子。気がつくと、お囃子の音とマサルの姿が消えている・・・。
   この後の破天荒な展開とあっけないエンディングは、新作だし書かない。好き嫌いは分かれるだろう。しかし、自分は、「鬼畜大宴会」に感じた違和感が少し弱まった。熊切監督よくなったなあという感じだ。自分勝手に思い込んだストーリーで他者に期待していたことを裏切られて、暴力的な衝動でぶち壊してしまうマサルは、最近の無差別殺人に通じるものを感ずる。ノン子が出した結論は、こういう感じなんだと思う。坂井真紀、「連合赤軍」といい、救いのない少し痛い女の役が似合う女優になったな。
  地元でミニ忘年会。今日も少し飲みすぎに。

2008年12月23日火曜日

山口美也子さんの登場は、衝撃だった。

   天気もいいし、日だまりで、惰眠と読書。気持ちいいなあ。
   気がつくと午後に。2時過ぎには、ようやく目も覚めたので、遅昼を西荻で済ませ、渋谷に。
  渋谷シネマヴェーラで日活ロマンポルノをやっているのだ。官能の帝国ロマンポルノ再入門2
77年日活神代辰巳監督『悶絶!!どんでん返し(376)』。 東大出のエリートサラリーマン北山俊夫(鶴岡修)は、父親が常務の会社で係長をしている。父の秘書の長谷川久美子(宮井えりな)と交際し順調な生活を送っていたが、ある日会社の人間に連れられて行ったキャバレーメキシコで朱美(谷ナオミ)というホステスに会い、彼女のアパートに行ったことから人生が変わった。朱美の情夫の川崎竜二(遠藤征慈)が出てきて、無理矢理俊夫を犯したのだ。トイレに立てこもり泣き続ける俊夫。
   やっと解放され出社するも、常務の父親には怒られ、尻も痛くて最低だ。しかし、夜は久美子とレンタルルームで関係を持つ。竜二は、舎弟の丸山(粟津號)と、スケバンのみどり(牧レイカ)たちを使って美人局をやっている。スケバンたちを脅すために、大組織山下組とさも関係があるかのように装うが、どこの組織にも入っていない半端者だ。みどりが引っ掛けた老人は、心臓が悪く竜二と丸山が飛び込んだら腹上死、埋め立て地に捨てに行くが穴を掘り埋めるのはスケバンたちだ。次の客は俊夫だ。スケバンと丸山を追い出し、俊夫にのしかかる竜二。最初は抵抗していたものの、いつしか快感を覚える俊夫。
   竜二と朱美、俊夫の3人の生活が始まった。俊夫に夢中で、次第に朱美を構わなくなる竜二。徐々に女装していく俊夫、朱美と俊夫の立場は逆転する。ついには竜二と俊夫は、神前で血書で永久の愛を誓い合う。丸山と惚れあうようになっていたみどりは、男を取らなくなり、それを俊夫は竜二と一緒になって締める。今月の上がりの計算が出来ず、中学中退だからと言う竜二。俊夫は、トウダイよというので、どこの灯台だ?と聞く竜二。東京大学よと答える俊夫。徐々に、スケバンたちからの上がりの回収は俊夫の仕事になった。
   アパートに久美子がやってくる。お金を払うので、俊夫を返してという久美子に、爆笑する朱美。
久美子と朱美がつかみ合いの喧嘩をしていると、俊夫が戻ってきた。女装し、更に豊胸手術までしている恋人の姿に愕然とする久美子。父親に二度と戻らないと伝えろと言って、俊夫は買ってきたケーキを、久美子の顔に押し付ける。ケーキをぶつけ合う三人。
   彫物の入った痩せぎすの男を、引っかけたときに、刑事に踏み込まれる。刑事と揉み合ううちに、客を脅すために持っていたナイフで刺してしまう竜二。あわてて、家に戻って、朱美に逃げると言う。私も連れて行ってという俊夫に、お前なんか連れていたら目立ってしょうがないので駄目だという竜二。待たせてあった車に乗り込む竜二と朱美。車の後ろに必死にしがみつく俊夫。振り落とす竜二たち。道に転がり落ちる俊夫。崩れた化粧を隠しながら、艶然と微笑む俊夫。
   77年日活曾根中生監督『新宿乱れ街いくまで待って(377)』
   女優志望の山口ミミ(山口美也子)は、新宿ゴールデン街のママ揺子(絵沢萌子)の店で働いている。彼女にはシナリオライター志望の沢井(神田橋満)がヒモのように付いている。夜毎クリエーターの卵や虫のような人々が集まっては、飲み騒ぎ喧嘩をしている70年代のゴールデン街。そこでは、世の中に認められない屈託や、自分の才能に対する不安が澱んでいる。沢井が書いたシナリオは没になる。ママは、ミミに、店の客の映画監督三浦護(渡辺護)に沢井を紹介したらと言う。女たらしで有名な監督は、ミミに次の映画に出ないかと言い、キスをしたらしい。嫉妬する沢井。沢井はディスコで10代の少女をナンパしてホテルに連れ込むが、役に立たない。しかし、不良少年二矢(清水浩一)に殴られる。原稿を書くでもなく、ミミの金で怠惰な毎日を送る沢井にキレるミミ。しかし、結局、喧嘩の後の強引なセックスは、毎日を何も変えやしない。ミミは、監督と飲み自宅に案内をする。階段に座っている沢井。「幕は自分で下ろせ」と言って帰る監督。何で寝るんだと聞く沢井。寝ることに理由なんてないと叫ぶミミ。急にウィスキーをラッパ飲みして暴れるミミ。倒れて寝てしまう。以前からミミに気があるピンク映画の助監督正平(堀礼文)に、やれと言うが、タオルをかけ正平は帰った。
   海を見に行くと書置きを残して、ミミが出かけた。男と行ったんだろうと酔いつぶれる沢井は、ママの揺子を家に連れ込んで寝てしまう。翌朝、ミミは帰っきて、事情を察し、別れるために戻ってきたと言って、沢井の荷物を外に出す。揺子は、ミミに消毒液の臭いがしたので、たぶん中絶してきたのだろうと、沢井に告げる。
   ミミは、三浦監督の新作「性少女マコ」での主演デビュー記者会見に出席している。記者たちの取材を受けるミミ。揺子の店で、お別れパーティをやっている。祭りのような盛り上がりだ。ミミは、見納めだと言って裸になる。店を出た沢井の足を、待ち伏せしていた二矢が刺す。おんなのためにそこまでやるのかと沢井は問いかけるが、二矢は答えずに去る。痛てえなあと言いながら立ち上がる沢井。
   懐かしいなあ。どっちも、シナリオ持ってたくらいだからなあ。当時、何度も見たので、ほとんどセリフまで覚えている。こういうシナリオ書きたくても、ガキ過ぎて全く駄目だったこととか、走馬灯のように思い出される。
  山口美也子さんもよかった。それまでの日活ロマンポルノの女優さんは、白川和子さんや宮下順子さんたちのようなピンク映画から叩き上げた女優さんか、平凡パンチのグラビアとかから出てきたような色っぽいセクシー女優や、どこかに転がっていたのを誰かが拾ってきたような不良少女が多かったし、所詮ポルノ映画、裸になって、客を興奮させればいいので、たたき上げで現場を沢山通ったピンク映画出身の女優さん以外、芝居は二の次、三の次、アフレコなのでセリフは本当に棒読みだったが、山口美也子さんは違った。この映画のミミさながら、自分たちの近くから出てきて、ポルノのための裸というよりは、映画のための裸になっている気がしたものだった。
   とはいえ、ゴールデン街は、当時金もない18位の自分には、誰か先輩やOBに連れて行ってもらう時しか味わえない大人の街だった。それも、小さくなって飲んでいると喧嘩が起きて更に小さくなれ小さくなれと心の底で祈ったり、歩いていると客引きのオカマのお姉さんにからかわれて厳しかった思い出ばかりだ。しかし、この映画に出てくるブラックシープというディスコは、フィリピンの生バンが入っていて、ここはお馴染だと嬉しかった思い出も。
   観客若い人多いな。女性の姿もかなり。日本映画底辺の時代、東映と日活の映画には、なにか殺伐として荒涼としながら変な熱気のようなものがあった。
   場内BGMは当時のサントラを流しているので、かなり雰囲気出てるけど、殺伐さはなく、普通の映画館。AV世代には、ポルノ映画という感覚もないだろうし。山口美也子さんの裸を見ていて、なぜか「俺たちに明日はないッス」の安藤サクラの裸を思い出す。
  そういえば、昔は場末の映画館は禁煙じゃなかった。どうして大丈夫だったんだろうか(苦笑)。

2008年12月22日月曜日

あぁ二日酔い。

  あぁ二日酔い。むちゃくちゃだるい。家で飲み会やると帰宅しない分楽だけど、起きている間飲んでいるので、酔うなあ。午後3時からだから何時間飲んでいたのか。いつから寝ていたのだろう(苦笑)。明け方、喉が渇いて目が覚めると、約1名ホットカーペットに寝ている人間がいて、トイレから出ると消えていた。寝ぼけていたのかとびっくりする(笑)。午後イチから再就職支援会社でリクルートエージェントの講演があり、申し込んでいたのだが、スーツを着て中央線に乗り、中野駅あたりで、絶不調に。新宿で下車し、コーヒーを飲みながら休んでいると復活。全く間に合わないので、欠席の連絡を。結局、新宿ピカデリーで映画見ることに。
    リドリー・スコット監督『ワールド・オブ・ライズ(374)』
    CIAの中近東担当エージェントのフェリス(デカプリオ)は、イラクでイスラム過激派との戦いに明け暮れていた。ヨーロッパでの自爆テロが続き、組織の情報の入手が求められる。上司のホフマン(ラッセル・クロウ)は、ワシントンの家庭生活の合間に、無人偵察機での監視映像と、世界中から傍受した電話、ネットなどの情報に基づいて、携帯で指示を送ってくる。しかし、アナログな手段でやりとりされる重要事項は、現場ど命をやりとりしたないと得られない。結局、フェリスは、イラク人助手とともに、アジトを襲って貴重な情報を入手するが、一味にやられ助手は死亡、その吹き飛んだ骨がフェリスの身体中に刺さった。傷が癒える間もなく、ホフマンからヨルダンのアンマンのアジトへ向かえと言う指示が。助手の遺族への補償を要求するが、ホフマンは認めない。
    フェリスは、ヨルダンのCIA支局長を首にして後任に。ヨルダン情報局長のハニに、情報を渡して、協力を要請する。紳士然として理知的なハニは、アラブ語が堪能で、頭の回転も速いフェリスが気に入ったが、嘘をつくなと言う。アラブでは、何よりも信頼関係が大切だ。ホフマンがワシントンで子供の通学の送り迎えの途中で、フェリスに相談なしで指示した裏工作は、フェリスをピンチに。なんとか阻止したが、フェリスは野犬に咬まれる。狂犬病のワクチンを打ちにいった病院でフェリスは、看護婦のアイシャに会う。今度は、アムステルダムの市場で爆弾テロが、日本人を含む観光客を爆死させた。なかなか、止められないホフマンは焦る。再びフェリスに言わずに打った手は、ハニを激怒させ、フェリスは国外退去になる。
   ワシントンで失意のフェリスは、アラブの現場を知ろうとしないホフマンを非難する。アラブの現場と自分で言ってうまい謀略を思いつくフェリス。ヨルダンの成功した建築家のサディキを、ある秘密組織の代表に仕立て上げ、トルコでの仕事発注と呼びだしておいて、トルコの米軍基地を爆破、犯行声明をサディキ名で行ったのだ。組織のリーダーのアル・サリームは引っかかって、動き出す。しかし、サディキは、アル・サリームの接触にアメリカ人にはめられた旨を告白して殺される。
   アイシャが誘拐される。組織からの呼び出しに、単身出向くフェリス。砂漠に連れて行かれる彼を無人偵察機は捕えていたが、砂埃を上げて複数の車が違う方向に走り去ることで、完全に巻かれてしまった。アル・サハリたちに、激しい暴力を振るわれる。指をハンマーで潰され、殺される寸前に、ハニの部隊が乱入、フェリスは救出され、アル・サハリも逮捕された。アイシャを誘拐し、フェリスを捕え、アル・サハリに引き渡したのはハニの作戦だった。アイシャたちは、安全に保護されていると言うが、なかなか信じないフェリス。しかし、ハニの打つ手の見事さは認めざるを得なかった。
    アル・サハリを捕え、組織をつぶしたことで、フェリスにワシントンでの昇進についてはなしに来るホフマン。しかし、フェリスは、CIAを辞めて、アラブに残ることを選ぶ。アイシャが働く病院の外から、彼女が元気に仕事をしているのを見つめるフェリス。
    この間観た「リダクテッド」と、この映画はイラクでアメリカがしていることの上と下ということかもしれない。挟み撃ちにされたアジア人の非戦闘員の死体の山。これは、やはり「アラビアのロレンス」を見て、アジアの東の端にいて、西端のことを思うしかない。
     矢口史靖監督『ハッピーフライト(375)』。
     羽田発ホノルル行きのジャンボが離陸し、計器のトラブルで羽田空港に戻ってくるまで、機材トラブルや、離陸時のカモメの激突や、台風の関東上陸や、様々な乗客トラブルなど、襲いかかるありとあらゆる苦難の数々とともに、新人スッチー(綾瀬はるか)と機長昇進の実地試験中のコーパイ・副操縦士(田辺誠一)の成長譚をメインにしながら、運航に関わる多くのスタッフ、空港に屯する航空マニアや、乗客たちの群像劇。矢口監督の細やかな観察力をもとに、よく構成されている映画だと思うが、それ以上でも以下でもない。無難な映画だな。全日空の宣伝映画としてなら、素晴らしい出来だと思うが・・・。

2008年12月21日日曜日

自宅忘年会

  拙宅で、手料理をふるまう忘年会。作り出すと止まらないので、メニュー多かったかとも思う。しまった砂肝炒め作るのを忘れていた。残った材料どうしようか・・・。家で飲むと酔うなあ。ということで、気がついたら寝ていて、洗いものもされている。沢山来てくれてありがとう。

2008年12月20日土曜日

大掃除

朝から大掃除の続き、奥からいろいろな物を出したり捨てたりしまったり。片付いたと言えるかどうか(失笑)。それから明日の忘年会の食材の買い出し。夕方ふと渋谷に行かなければいけないことを思い出し、何だか埃っぽい感じで、さらっと顔をだし、年末の挨拶。何だか、久しぶりに体を使った1日だ。普段楽しているだけに、腰やら背中やらに来ている感じなので、地元のブチ・スーパー銭湯で埃と汗を流す。明日は、何人来ることやら。結局博華で餃子とビール。

2008年12月19日金曜日

溝口健二・山田五十鈴2作品。

  早朝から大掃除、やりはじめると止まらずたちまち昼に。カーテンを洗濯し、窓ガラスを磨き、たまった雑誌の整理・・・・。
  神保町シアター、女優・山田五十鈴
  36年第一映画溝口健二監督『祗園姉妹(372)』。祗園の芸妓おもちゃ(山田五十鈴)は、姉の梅若(梅村蓉子)と2人暮らし。老舗の木綿問屋が潰れて旦那の古沢(志賀廼家弁慶)が姉を頼って転がり込む。かっての恩や義理、世間の目などに縛られた姉の考え方におもちゃは歯がゆい気持ちを持っている。お人好しの姉は、芸は立派だが、旦那に家や着物をねだる訳でもないので、総振舞でも新しい着物も買えないのだ。おもちゃは、置き屋の女将に姉の総振舞への出演を頼み、呉服屋の番頭木村(深見泰三)が自分に気があることをいいことに極上の反物を巻き上げる。総振舞の日、骨董屋の聚楽堂の主人(大倉文男)が古沢に会いたいと言うので梅若は家に連れてくるのだが、聚楽堂は、とても酔っており、古沢に絡む。聚楽堂を送り届ける時に、おもちゃは、梅若が聚楽堂に気があるが、古沢が居ついて困っていると言って手切れ金を迫る。帰宅して、金を渡すと出ていく古沢。聚楽堂への工作もばれ、梅若は家を出て、古沢が居候している元番頭定吉(林家染之助)の元へ行く。
   木村がおもちゃに用立てた反物のことが主人工藤三五郎(進藤栄太郎)にばれた。おもちゃに文句を言いにきた工藤だが、逆におもちゃの虜に。工藤がおもちゃの家に いるときに、店を首になった木村が現れ、2人に毒づいて出ていく。
  ある日、おもちゃは騙されて車に乗ると、聚楽堂と木村から今までの借りを返すのだと脅される。車から飛び降りて、重傷を負うおもちゃ。梅若は置屋の女将から連絡をもらって駆けつける。しかし、一度、おもちゃの身の回りを用意しに、家に帰ると、古沢も定吉もいない。定吉の妻から、古沢が妻の郷里で、工場の支配人の職が決まったので、すぐに発ったと言われる。書き置きもなく、「自分のようなしょうもない男は忘れて、いい旦那をさがせ」という伝言しかなかったと聞いて、落ち込む梅若。病室で、芸妓という職業の不幸を嘆くおもちゃ。
   36年第一映画溝口健二監督『浪花悲歌(373)』。薬種問屋の電話交換手をしている村井アヤ子(山田五十鈴)は、父親準造(竹川誠一)が会社の金を使い込んだ300円という大金で悩んでいた。返さなければ警察に訴えると会社の人間は連夜村井家を訪れるが、準造は、こそこそ逃げ回っており、家の中だけ勇ましい。アヤ子が好きな西村(原健作)は同じ会社の会計係。相談しても頼りにならない。結局、以前から妾にならないのかと口説いていた薬種問屋の社長麻居惣之助(志賀廼家弁慶)の世話になって、300円を出して貰うことにする。会社を辞め家を出て、惣之助が用意してくれた高級アパートに住む。惣之助は、従業員から婿養子になったので、妻のすみ子(梅村蓉子)が、家庭を顧みず遊びあるいているので寂しい思いをしていたのだ。
  人形浄瑠璃を二人で見ているところをすみ子に見つかる。医師の横尾(田村邦男)の機転で、アヤ子が、惣之助の友人の株屋藤野喜蔵(進藤栄太郎)の愛人だと装って、すみ子にごまかした。しかし、惣之助が高熱を出して倒れたと往診を頼まれた時に、横尾が本宅に出向いたことで、結局ばれてしまった。偶然、西村に再会する。アヤ子を、ずっと探していたという。西村には、妾をしていたとは言えずに、悩むアヤ子。 
   その頃、アヤ子の兄で東京の大学にいっている弘(浅香新八郎)が、父からの仕送りがなくなって学費が払えず、就職は決まっているのに、卒業できなくなると言って、帰省している。偶然妹の幸子(大倉千代子)に駅で、その話を聞く。幸子からは家に帰って200円なんとかしてくれと言われ、冗談じゃないと答えるアヤ子。しかし、思い直して、以前から口説いていた株屋の藤野に会い、200円を巻き上げた上で、袖にして藤野を激怒させる。200円の小切手を父親に送る。
   アパートに西村がやってきた。好きな人と結婚できることで有頂天になるアヤ子。金を返せと言ってきた藤野も追い返す。しばらく後に刑事がやってきて、アヤ子と西村は逮捕される。西村は、アヤ子のしたことに驚き、自分は巻き添えになっただけだという。アヤ子は、初犯で未成年ということで、許された。父に連れられ、実家に戻るアヤ子。妹の幸子も、兄の弘も、一口もきかない。こんなことをしたアヤ子を一方的に責め、何で家に連れ帰ったと父親にまで文句を言う。家を出るアヤ子。途中医師の横尾に会う。自分のような不良少女はどうしたら治るか横尾に尋ねるが、分からないと答える横尾。町をさすらうアヤ子。
   2本とも、目の前の不幸を、自分でなんとか解決しようと、男を手玉にとって成功したかにみえるが、結局破滅する娘を、山田五十鈴が演じている。現代では、誰も彼女を責めないと思うが、70年前の倫理感では自業自得ということなのか。若くきれいな女をものにしようとしながら、金にせこい男たちこそ自業自得だと思うのだが、なんだか切ないなあ。アヤ子に至っては、父親と兄に大金を渡す為に、自ら身を売ったようなものなのに。父ちゃんも自分が業務上横領で捕まらなかったのは娘のお陰で、長男の200円まで工面したのに、その事情を一切、長男や次女には教えないんだもんな。
    修理に出していた腕時計を受け取りに東急ハンズに、博華で餃子とビールで身体を暖めて、帰宅後、大掃除の続き、堀起こせば、堀起こすだけ、やろうという場所を思いつく。どこかで線引きしないと、キリがない。

2008年12月18日木曜日

大掃除を始めると止まらないので、書きあがりません。

    阿佐ヶ谷ラピュタで昭和の銀幕に輝くヒロイン第44弾 乙羽信子
    57年東京映画杉江敏男監督『肌色の月(369)』。
女優の宇野久美子(乙羽信子)は、同じ劇団の滝(仲代達也)への失恋から自殺を決意した。和歌山に旅に出ると皆に言って夜行に乗る。車中で助監督の楠田(酒井左千夫)らに会う。豊橋で下車するが、洗面所で着替え駅のアナウンスで偽装工作をした。豊橋で大池孝平(千田是也)の車に乗せてもらい別荘に。ここの湖は吸い込み口があり、水死体は上がらないと聞き、ここで投身自殺をすることにする。
   夜になり、缶詰めの食事を済ませると、大池は暖炉の前の揺り椅子で自分は寝るので、二階の寝室で休めという。夜遅くなっても、大池は起きているようだ。久美子は困っているうちに眠ってしまう、早朝目が覚めると大池はいない。湖に出てみると、昨日見つけておいたボートが見つからない。探していると別荘地の管理人の石倉(千秋実)が声を掛けてくる。大池は銀行から多額の浮き貸しで、警察から追われているが、東京の実家に投身自殺をする遺書が届いて大騒ぎになっていて、探していると言う。
   久美子は、足を滑らしてずぶ濡れになる。暖炉で服を乾かしていると、警察がやって来た。皆久美子が大池と入水心中して、一人助かったと思っている。大原の後妻の喜代(淡路景子)と息子の隆(石浜朗)もやって来るが、久美子を大池の愛人だと疑っている。警察は、大池の浮き貸しで作った隠し財産の行方を、追っていて久美子は共犯者扱いだ。ここに来た理由を言えば容疑は晴れるかもしれないが、自殺する気持ちは変わっていない。
   警察は湖で水死体を探すが見つからず、翌日も潜水夫を読んで探索することになった。管理人の石倉にバンガローへ泊まらせてもらうが、刑事が張り込んでいる。翌朝石倉が迎えに来て、隆がアクアラングを使って潜るので立ち会えと言う。大池の上着が見つかる。急にボートが転覆し、泳げない久美子は溺れる。インターンの隆に依って蘇生した。警察は後追い心中をしようとしたんだろうと決め付ける。
   大池の別荘の寝室で寝ている久美子。大原の妻子と警察は引き上げ、一人残される久美子。息子は気をつけてと書き置きを残す。書き置きは風で飛ぶが、久美子が目覚めた時には瓶入りのジュースが上に載せられていた。目覚めた時は夜中だったが、1階で物音がする。そこでずぶ濡れの大池が揺り椅子に座っているのに気がつく。かなり弱っているようだ大池は心臓に持病があるのだ。水を渡すと警察を呼んでくれというが、日の出まで後2時間くらいだと言うと大池は話始める。実は管理人の石倉は浮き貸しの共犯で、偽装自殺しようと計画し、工作したが、石倉の裏切りに遭い、穴の空いたボートに乗せられ危うく死ぬところを泳いで来たのだと。久美子は枕元にあったジュースを半分大池に渡し自分も飲むと、寝てしまう。朝起きると、大池は死んでいる。刑事たちがやってきた。久美子は逮捕された。既に刑事たちは、豊橋での偽装と身元まで全て知っていた。大池から聞いた話を伝えても信用されない。ジュースには睡眠薬が入っていて、久美子に殺人の嫌疑までかかる。何日も取り調べが続き衰弱していく久美子。
   自宅で大池の葬儀が行われているが、弔問客はすぐ帰り。妻子と石倉の3人だ。隆はジュースの中の睡眠薬に関する証言で警察に喚ばれる。誰が入れたか分からない。大池家の愛犬がいなくなった。ある時、隆は近くの犬が庭を掘っていることに気が付く。そこには、殺された愛犬が埋められている。後妻と石倉が外出から戻ってくる。サンドイッチを買ってきたので食べろという。隆がしばらく病院に泊まり込みだというと、病院で食べろと渡す後妻。翌朝、大池家の寝室で、後妻と石倉が寝ている。庭で犬が吠えている。二人で降りてみると犬を埋めた場所を掘ろうとしているではないか。慌てて、別の場所に埋め直そうとしているときに、刑事たちがやってきた。埋められた犬の死体の薬物と、サンドイッチに入れられた薬物が一致したのだ。犬で致死量を実験したのだ。
   病院の昼休みに、隆がバレーボールをしていると久美子がやってきた。女優をやめて、しばらく和歌山でのんびりすると言いに、あいさつにきたのだ。
  久生十蘭の推理小説が原作、脚本進藤兼人が書いた方がよかったんじゃないのか(笑)。ちょっと、テンポがもたつく感あり。
   山下耕作ノ世界。68年東映京都『博奕打ち 総長賭博(370)』。
昭和9年、天龍組総長荒川(香川良介)は、兄弟分の仙波多三郎(金子信雄)から、政界の黒幕川島と組んで、大陸から麻薬や武器を密輸入して儲ける話を持ち込まれるが、総長は侠客の本分とは違うと断る。しかし、その場で荒川は、脳卒中で倒れる。跡目の話となり、一門衆の組長たち兄弟会と組内六人衆で話合いが行われる。組内筆頭の中井信次郎(鶴田浩二)を押す声が多いが、中井は大阪から流れてきた自分ではなく、兄弟分で組の為に刑務所にいる松田鉄男(若山富三郎)が筋だと言う。しかし松田は後刑期が二年残っていると、仙波は5厘下がりのNO.3で石田組の石戸孝平(名和宏)を押す。次の話し合いで、中井が固辞する以上、荒川の娘婿である石戸が二代目だと、仙波は一門衆の意見をまとめ押し切った。
   松田の仮釈放が決まった。中井は、自分の妹で、今は松田の妻になっている弘江(藤純子)に伝えに行く。千鳥という小料理屋をやりながら、息子を育て苦労してきた弘江は涙する。松田組の若い衆で中井が預かっていた音吉(三上真一郎)と清(大木勝)の2人は松田組に帰る。中井の妻つや子(桜町弘子)は、2人に法被を返す。身内の祝いで千鳥盛り上がる中、中井は松田を呼び、跡目の話をする。松田はてっきり中井が継いだと思い祝うが、5厘下がりの石戸と聞いて怒る。頭を下げる中井。その場では中井を立て了解するが、一門会の松田の出所祝いの席で爆発する。石戸が中井を差し置いて上座にいることを渡世の義理に反していると言うのだ。仙波と石戸に、この跡目は認めないと吠えたことで会は流れた。
   、かって松田が潰した愚連隊の桜会の三下たちが、ビリヤードをしていると、天龍会の法被を着た連中が、松田が出所したのに親分の仇を討たないお前らは腰抜けだと煽り、松田は千鳥にいると教える。久しぶりに子供を背負って遊んで帰ってきた松田たちを三下たちが襲うが、敵ではない。彼らは天龍組の法被を着た連中にヤサを教えられたと白状した。松田は石戸の所に行く。石戸は松田が因縁をつけてきたと思い、一触即発の事態だ。中井の必死の仲立ちで松田の謹慎ということで何とか収まった。
    先代総長の引退と二代目の襲名披露に全国の親分衆を集めて盛大な花会を開くのだが、その準備と当日の仕切り一切を任され、各地の顔役への挨拶に旅に出なければならない中井。千鳥で弘江を前に、松田に妻子の為にくれぐれも自重してくれと頭を下げる。しかし結局松田は石戸とぶつかることに、大阪の西浜組の西尾宇一郎親分(曽我廼家明蝶 )に松田の身の振り方含め相談しているところに町田と石戸の抗争の知らせが。急ぎ帰京し、何とか納めようと奔走する。杯を返すとまで言った中井に、最後には松田は折れる。しかし、松田の無念に、子分の音吉は単身石戸を狙って失敗する。中井組に逃げ込んで来た音吉に、自分の努力を全て無駄にした怒りを抑え、再び中井は、石戸の元へ。
松田が中井組に現れ、音吉と二人で殴り込みに行こうとするのを皆で止める。特につや子は、金井の言いつけでもあり、身を張って松田たちを止めるが、音吉を慕う千鳥の小女久美(服部三千代)と音吉を見て逃がす。その責任をとって、自ら命を断つつや子。
   雨の中、つや子の墓前の中井と久江の前に、松田が現れる。今回の件で松田には破門状が回されていた。どうしても男の意地として、花会を潰し石戸の命を取るという松田に、盃を返す中井。
   花会の日がやってきた。石戸は、仙波と川島から、天龍組を解散し仙波が会長を務める右翼組織に加わって、今日の花代を全て、その組織が買い付けた大量の麻薬の買付け資金に渡せと言われる。岩戸を兄弟会が押したのは、仙波が金をばら撒いたからだとも言われるが、岩戸は、筋が違うと拒否する。伊豆湯河原に全国の名だたる親分衆が続々と集まる。中井が仕切る会場の厳重な警備に、岩戸が早朝地元の神社に参拝するところを松田が襲う。石戸は腹を刺されるが、仙波のたくらみを中井に話し、自分の不明をわびるとともに、意地でも襲名して、仙波たちの良いようにはされないと言う。西尾の後見で石戸の襲名が認められた。腹の傷も、ぎりぎり手遅れにならずにすんだ。しかし、仙波組代貸の北川(沼田曜一)がとどめを刺す。
  亡くなった石戸の前で、仙波は、殺した松田の始末と花代を兄弟会が預かることを求められる中井。しかし、松田の始末をしてくるまで、花代に手をつけるなと言う。松田の潜伏する旅館に現れる中井。音吉は、金井のドスに自ら刺され、今までのことを詫びる。松田も覚悟していたように金井に倒された。その時、音吉に呼ばれていた弘江と息子が実に連れられて旅館に現れる。松田の死体の前で、中井に「人殺し」とつぶやく弘江。ドスを捨て、沈痛な面持ちで、花会に戻る中井を、北川たち仙波組が襲う。
   花会も無事終わり、二代目の仏前で、中井組の代貸し青木(中村錦司)たちが、花代の計算をしていると、仙波たち兄弟会が現れ、全て自分たちが預かると言う。中井が帰るまでという青木に、兄弟会に意見をするのかとすごむ。仙波に北川が戻ったという言づけがあり、首尾よく中井を消したかと声をかけると、北川は既にこと切れていた。中井が現れ、全て北川から聞いたと言い仙波に迫る。渡世人のくせに叔父貴である自分を斬るのかと言われ、俺はただの人殺しだといって仙波を斬る中井。
   三島由紀夫が任侠映画の最高傑作だと褒めたということで、これを山下耕作の最高傑作だという人間が多いが、本当にそうなのだろうかと、全作品見ているわけではないが、自分は思う。うまくストーリーはまとまっているのかもしれないが、松田がなぜ筋を通そうとしたのかということをもう少し丁寧に書かないと、ただの頭の悪い武闘派が、横紙破りしただけに見えてしまう。任侠映画の最高峰とか、山下耕作の最高傑作と言ってしまうと、山下耕作に失礼な気がするのだが・・・。
  新宿バルト9で、小栗謙一監督『TOKYO JOE(371)』。
シカゴ暗黒街、マフィアの大幹部にケン・エトーという日系二世がいた。またの名をトーキョー・ジョー。1983年彼が捕まることで自分たちの身が危うくなると思ったマフィアの大幹部たちは、エトーの口封じを目的に、二人のヒットマンを差し向ける。頭部を撃たれながら奇跡的にエトーは一命を取り留める。エトーが信じていた組織への誓いを正に逆に彼らが破ったことを知り、エトーはFBIに協力することを決める。FBIの証人保護プログラムの保護下で、彼は誠意を持って証言し、シカゴのマフィア組織は壊滅した。
夜は、元同僚たちと新宿でもつ鍋。

  

2008年12月17日水曜日

冬の雨

   恵比寿ガーデンシネマで、グリンダ・チャーダ監督『ジョージアの日記 ゆーうつでキラキラな毎日(366)』。ジョージアはイギリスロンドンの南西にあるイーストボーン&ブライトンに住む14才。いい年をして、娘の前でベタベタキスをするくせに、石器時代のような価値観で誕生パーティーをクラブで開くことに反対する両親、凶暴な飼い猫のアンガスに変な服を着せて遊ぶ妹の4人家族。鼻が木星並みに大きくてブスなせいでボーイフレンドもいないしキスも未経験だ。今日も、新学期なので眉毛を抜いても物足りなくて髭剃りを出したら妹の体当たりのせいで、眉毛が半分無くなった。しかしキスの10段階を一緒に考えたジャス、スウェーデン人の彼がいるロージー、少し幼いエレンという仲のいい女友達4人組の友情は盤石だ。と思って、仮装パーティーに赤ピーマンのせオリーブの被り物を着て参加したら、前菜4品のセットの筈だったのに、みんなは普通の格好で来ていて、落ち込むジョージア。
   2年上にロンドンから転校生がやってくる。ロビーとトムという二卵性双生児だ。絵に書いたようなクールさに、4人は追い掛ける。二人の母がやっている自然食屋で、偶然を装って買い物をするジョージアとジャス。ジャスとトムはいい感じだ。猫の話で盛り上がるがロビには、巨乳で学校一ビッチなリンジーと付き合っているらしい・・・。
   典型的で少女マンガのようなティーンエイジャーのラブストーリーでも、みんな生き生きして青春映画として成功している。陰陽、ドライウェット対照的だが、「俺たちに明日はないッス」の女子版のようで、続けて見られてよかった。まあ、17才の男子と14才の女子、そんなもんだろうな。主人公の親友のジャス役のエレノア・トムリンソン可愛い!!!未見の「幻影師アイゼンハイム」に出ていたことを知り、確か年末、新文芸坐で上映される筈なので見に行こうと心に決める。しかし、“ゆーうつでキラキラな毎日”って、80年代な感じで少し痛いと思うんだが、来ている感じなんだろうか。
   渋谷シアターNで、ブライアン・デ・パルマ監督『リダクテッド(367)』。アメリカのイラク侵攻で起きた米兵のイランの少女の強姦殺人を、ドキュメンタリー的な作り方で描き出す。ヒスパニック系のサラサール19歳は、南カリフォルニア大学の映画学科に入学するため、兵役に志願し、イラクサマラに派兵される。小隊は、弁護士のマッコイとインテリで静かに読書をするゲイブを除けば、南部出身のプアホワイトを代表するようなフレークとラッシュだ。彼らは、検問所に配属される。近くで少年たちがサッカーをしているような平和そうな場所でも、検問所をハイスピードで突破した車を銃撃すると産院に急ぐ妊婦とその兄を射殺してしまったり、転がっているボールに仕掛けられた爆弾で曹長が爆死したりする。
  来る日も来る日も、検問所での仕事に鬱屈する兵士たち。特にラッシュは、通学する少女の身体検査は変質的である。小隊のメンバーである日ポーカーをしているとあの少女の家に捜索しに行こうということになる。彼女の父親は、既にシーア派として逮捕していた。止めようとするマッコイとゲイブだが、フレークとラッシュの狂気は押さえられない。
   サラサールが撮っているカメラの映像や、米陸軍のカメラ、ユーチューブや、他のネット上の動画のみで繋いでいるかのような演出なので、演出されない動画で構成されているかのようだ。見ていて色々な思いが交錯する。イラク人もアジア人だ。
   シアターTSUTAYA 渋谷で梶野竜太郎監督『ピョコタン・プロファイル(368)』。ちょっと最近いい映画を見過ぎていたので、目が醒める。久々の手作り映画感。久し振りにストーリー纏めるのも馬鹿らしいので映画タイトルクリックすれば、オフィシャルHPへ飛ぶのでチェックしたいひとはチェックしてください。こんなに楽しめない映画もないなあとずっと思っていたが、結末を見て少し考えが変わった。今の素材で45分に縮めたら面白くなるんじゃないだろうか。これも製作委員会なんだな。まあ、保証あるからだろうが、よく1800円でこの映画掛けるなあとむしろ劇場に思う。

2008年12月16日火曜日

BGM;南沙織「17才」

   午前中は 赤坂のメンタルクリニック、不況の話は、盛り上がると言うのか盛り下がるというのか、仕事首になってメンタルクリニックに来る患者もいるらしい。日本は季節が変わるように、一挙に何でも冬のうすら寒い世の中に変わった。欧米と違って日本はバブル崩壊の経験があるから大丈夫と、少し前までみんな言っていた気がする(苦笑)。日本だけ良ければ円高が急速に進んで、車、家電厳しくなるのは誰でも分かるようなものだが。まあバブルで学んだといえば、風向きが変わったら、アメリカ的に直ちに人減らしして、利益率の下げ幅を圧縮して、企業防衛することだけは素早い決断して、町中に失業者溢れかえると言うことか。完全失業率も、職探しは、失業保険の間は、職安に通うが、支給が終わり次第職安から足が遠のき、お上は当てにならないので、自分で街を彷徨く限りは、失業者のカウントから外れる。何だか年金未払い者を数字の上だけ、除外して払込の率を改善したのと同じ手口だ、厚労省だし(苦笑)。
   お惣菜5品を独身美人OLに届け、昼ご飯を元同僚とフィッシュのチキン&キーマカレー。独身美人OLに坊主頭が少し伸びて怖くなくなったと言われたので、渋谷に出て散髪。床屋の鏡で出来上がりを見て、この人相ゆえに就活うまくいかないのかもと反省する。もっと、世の中に迎合した髪型や眼鏡にしたほうがいいのだろうか・・・。
   ユーロスペースで前から見たかったタナダユキ監督『俺たちに明日はないッス(365)』。
   比留間は(柄本時生)は、高校3年。ただただ、セックスの実現だけが頭をしめており、肥満児の安藤通称安パイ(草野イニ)の胸を100円で揉ませてもらうことと1日最高13回の自涜のみが毎日な青春だ。
   クラスの友野(三輪子)が、担任の吉田(田口トモロヲ)とラブホテルから出て来るところを目撃し、愛読書のフランス書院文庫の女子高生教師ものの文章が脳内を交錯する。口では、友野にやらせろと脅すが、病弱だが大人びてクールな友野が猛烈に気になっているのだ。仲間の峯(遠藤雄弥)は、学校をサボって公園で、昼寝をしていると、近くに同じ学校の制服を着た“ちづ”(安藤サクラ)が、倒れていて驚く。ちづは初潮を迎え貧血を起こして倒れたが、金魚屋の父親(ダンカン)とずっと2人暮らしだったので、全く生殖についての知識がなかったのだ。峯はスーパーに一緒に行って、生理用品を買ってやる。他人に言ったら殺すとちづには言われていたが、その夜ビールを飲みながら麻雀をやっていたら、楽しくなって全部話してしまう。安パイはビールを買いに行かされると巨乳で可愛い同級生の秋恵(水崎彩女)に会う。巨乳であることが、コンプレックスだと打ち明ける秋恵。
   翌日、峯は、二日酔いで学校の水飲み場で顔を洗っていると、千紗が男子にからかわれている。済まない気持ちになる。ちづがやってきて友達がいなくなったので、みんなが知っていることを教えろと言う。峯はちづをピンク映画館に連れて行く。ちづにセックスしたことあるかと聞かれて、勿論だと言う峯。ちづにセックスしようと言われ、好きでもないので嫌だと言う峯。友野は、朝礼などで度々倒れる。比留間は、心配で保健室を覗きに行くと、担任の吉田と友野がいちゃついている。校舎の裏で、吉田を殴る比留間。
  しづが、比留間たちにセックスしよと言う。大喜びで、何故か峯の家に行く。順番のジャンケンをしている比留間たち。峯は、もっと大事にしろ、好きな相手とやれと言う。しづは、峯を好きだからと言う。白けてふらふらと出ていく比留間たち。そのあと、峯としづは、ぎこちなく抱き合う。峯は自分も初めてだと言う。誰でも最初は初めてだと、嬉しそうに言うしづ。うまく出来ない峯、ピンク映画のように上に乗ってみるしづ。二人は結ばれる。ぎこちなく、しかし互いを大事そうに抱き合う二人。
   秋恵とデートをする安パイ。安パイといると安心すると言って、キスをする秋恵。秋恵とラブラブな安パイ。学校でもディープキスをする二人。しかし、何故か、秋恵は安パイの胸を揉む。安パイのおっぱいは痣だらけだ。
   友野は、家で吉田とのことを怒られたらしい。いつものようにやらせろという比留間にいいよと言う友野。手近のホテルでなく、バスに乗って海に行こうと言う比留間。友野は、身体が弱かったので海に来たのは何年振りだろうと言う。海辺のラブホテルの料金を見て愕然とする比留間。貸そうかという友野に、セックスはどこでもできると言う比留間。海岸の小屋で、キスをする比留間。しかし、13連発の自慢の息子は全く役にたたない。焦っているうちに、友野は体調を崩す。今度にしようよという友野に、今日じゃなくちゃなくちゃ駄目なんだと言うが、全く駄目なのは自分自身。南沙織の17才を歌いながら、水辺で戯れ、溺れる友野。慌てて、全裸で海に飛び込み、救急車に乗せる。病院の待合室に、比留間と吉田がいる。友野は大丈夫だ、自分は既に妻と別居しており、友野が卒業次第結婚するんだという吉田。よろめきながら、吉田だってガキじゃないか、これって何って言ったか、失恋というやつかとつぶやいて病院を出る比留間。
   安パイは、放課後、級友と掃除をしていると、秋恵の机が倒れる。中から出てきたのは、相撲やレスリングなどデブ専のマニアックな雑誌ばかりだ。気持ち悪がる級友たち。その後、校舎の裏で、秋恵と安パイが話している。安パイは、最初から僕の身体が目当てだったの?と聞く。最初はそうだけど、今は中身だと秋恵は言うが、納得しない安パイ。気持ちの問題だったら、他人の机の中を見るのはどうなのと言って秋恵は去る。
   しづは妊娠した、峯は既に金魚屋を手伝っている。卒業したら、本格的に継ぐらしい。安パイは激やせした。別人のようだ。卒業式を迎える。教室に戻ってきて、吉田が、自分も今日で教師を辞めると言う。みんなから希望とかパワーを貰ったんだと言う吉田に、希望なんて言うなと叫んで殴りかかる比留間。今回は吉田も逆襲して殴り返す。大騒ぎになり2人を止める級友たち。ぼこぼこの顔を水飲み場で冷やしている比留間。ティッシュを渡す友野。こういう時はハンカチだろと毒づきながら受け取る比留間。吉田は、生徒たちと記念撮影をしている。じゃあなと友野に一言言って校門に向かう比留間。その背中に、海に行ったことはずっと忘れないと言う友野。明日から何をしようかと考え始める比留間。明日を生まれて初めて意識したのだ。  
   きれいで美しい思い出ではなく、青臭く、恥とマスだけかいてやりきれない10代。いい映画だなあ。タナダユキよくなるなあ。特に、病院の吉田と比留間のやりとりのくだりはとてもいい。比留間も安パイもかっこよくなく、イケメンの筈の峯も何だか冴えない、女の子もみんなそこそこ可愛いんだけど、アイドルや女優のレベルまできれいでない(ほんとは、みんなモデルや女優だけど)感じがリアリティあっていい。青春映画ジャンル今年のベスト1を争うな。素晴らしい映画を観た。

2008年12月15日月曜日

本数は3本でも、6時間以上映画見ていると脳みそは駄目

  池袋新文芸坐で、野上照代が選んだ映画たち。64年東映京都内田吐夢監督『飢餓海峡(362)』。
  昭和22年、 層雲丸遭難事故。台風の直撃で大荒れの北海道岩内、駅で待っている男犬飼太吉(三國連太郎)のもとに、2人の仲間が駆け寄り、函館行きの汽車に飛び乗る。2人は強盗殺人の上、放火してきたらしい。荒天で汽車は止まる。3人は、函館まで歩くことにする。函館では、青函連絡船の層雲丸が港の外で転覆し、大騒ぎだ。この騒ぎに乗じて、本州へ逃げようと救援隊を装って船を借りる。
   岩内の町は焼けたが、警察は火元の家が強盗殺人の末火を着けられたことを突き止める。また、層雲丸の死者の中に2名乗員名簿にない死体があった。函館暑の刑事弓坂(伴淳三郎)は、2つの事件の関連性を疑う。その頃、犬飼は下北半島の恐山で、1人の貧しい娼婦杉戸八重(左幸子)と出会う。森林列車で山を降り、大湊の八重がいる花やに上がる。いくつもの地獄を通った犬飼の精神は、八重との一時で癒される。八重は、膝枕で犬飼の爪を切ってあげる。八重は、泊りにしてくれと言うが、用心した犬飼は断る。しかし犬飼は帰り際、ヤミで儲けた金だからと言ってまとまった金を置いて去る。八重は、病の父親や幼い弟妹たちの生活のために、自分で高等小学校を出て直ぐに、自ら身を売ったのだ。見たこともない大金をくれた犬飼は、八重に強烈な印象を植え付けた。犬飼がくれた金が包まれていた層雲丸転覆と岩内の大火の記事が載った新聞と犬飼が残した大きな足の爪を、八重は一生宝物として持ち歩くことになる。八重は、犬飼から貰った金で、遊郭の借金を返し、病気の父親(加藤嘉)を湯治に連れて行く。弓坂は、八重に会いに温泉まで行くが、八重は男について嘘の証言をした。函館暑に戻った秋元を待っていたのは、網走刑務所を出所して行方不明になっている2人の写真が届いている。洞爺丸の事故での身元不明者だった沼田八郎と木島忠吉だ。また岩内の手口が死んだ沼田の手口と一緒だった。実行犯は3人、本州に逃げだのは1人だったのだ。
   弓坂は八重が嘘をつき、その理由が今回の事件の鍵だと直感し、八重が地元の友人を頼って出稼ぎに出た東京に出張する。友人宅を張るが間一髪で逃げられる。八重も、身体を売る商売から足を洗おうとするが、結局娼婦に逆戻りだ。5年ほと経ち、八重は新聞に京都舞鶴の資産家樽見京一郎が受刑者のために多額の寄付をしたという記事を見つける。名前は違うが、見間違える筈もない。一言お礼を言って、あの時のお金を返そうと舞鶴を訪ねる。樽見の邸宅を訪ねるが、自分ではないと頑なに否定する樽見。八重は自分のあの日からの10年まで否定された気がする。しかし、樽見の親指の傷に真実を知り狂喜する八重。興奮する八重を抑えようと樽見は殺してしまう。また現場を目撃した書生も手にかける樽見。
    雨の中三輪トラックを運転し心中に見せかけ、二人の死体を海に捨てる。翌日死体を調べた舞鶴暑の警部補味村(高倉健)は、女の懐にあった新聞記事の切り抜きを頼りに、心当たりがないか樽見に尋ねる。2人の死体を見て樽見は、女は知らない人間だが、男が自分の書生であると認める。しかし死んだ2人の死因はどちらも力の強い男に締め殺されたのだ。樽見が犯人であるという証拠は得られない。
   しかし、八重の父親が、10年前彼女を訪ねて函館暑の刑事がやってきたと証言したことから糸口が見つかる。刑事を辞め少年院の刑務官をしている弓坂を訪ねる高倉。2人の間で樽見が犬飼であると確信する。しかし物的証拠はない・・・・。
  野上照代さんと三國連太郎さんのトークショー付き。月曜でも満員だった。しかし3時間強、長く感じさせないのは本当に凄いな。自分には、何回見てもどうも唐突で釈然としない結末も含め(毎回えっ?って驚いてしまう自分は学習能力がないのか・・・)、日本映画の頂点の作品の一つだろうな。
   神保町シアターで女優・山田五十鈴。42年東宝マキノ正博監督『待って居た男(363)』。
   ある旅籠で、新妻を狙った事件が起きた。小さなことから始まったが、殺人事件に繋がる。本格推理時代劇。あらすじは改めて。長谷川一夫とエノケンのやりとりが見もの。この頃の時代劇は、夫のいる女は皆鉄漿を塗っている。そのせいか、若い娘の高峰秀子がより可愛く見えてしまうが、そんな可憐な高峰秀子が実は・・・。
    55年日活マキノ雅弘監督『人生とんぽ返り(364)』。新国劇に、それまでの歌舞伎のような型でない、新しい殺陣を取り入れた殺陣師段平の物語。50年版の「殺陣師段平」のリメイク。何だか、製作が逆の印象を持つ程、山田五十鈴は若々しい。段平を森繁久弥、おきくを左幸子、50年版より情緒的か。森繁より、月形龍之介の段平の方が芝居の世界でしか生きられない少しやさぐれた段平のイメージだろうか、しかしその分森繁の段平は、お春(山田五十鈴)とのやりとりなど流暢でスマートかな。好みだと思うが、個人的には先にみた分、「殺陣師段平」だろうか。しかし、京都南座から最後の幕が開いて新国劇の人間がみんなお辞儀をするところまでの流れは、こっちかな。森繁と山田五十鈴の亡霊はちょっとどうかと思うが。
  しかし、飢餓海峡の八重といい、このおきくといい、不幸のどん底を健気に生きてきた娘の役の左幸子は凄いな。純粋過ぎて、少しバランスが崩れている感じ。怖いくらいの存在感だ。多分実生活で会うと、もの凄く好きになって、結果自分はボロボロになる感じだろうか。

2008年12月14日日曜日

ためになる任侠映画。

    読書と惰眠。阿佐ヶ谷ラピュタで山下耕作ノ世界。71年東映京都『女渡世人 おたの申します(360)』。上州伊勢崎生まれの小松まさ子は上州小政(藤純子)という通り名の女渡世人。大阪の南田一家(遠藤辰雄)の賭場に客人となっていた。そこで、岡山宇野の船宿浜幸の若旦那の矢吹良吉(林彰太郎)が浜幸宛ての証文で300円もの金を借りるて勝負するが、まさ子に負けて一文無しになり、とっさにイカサマだと騒ぎ、梅田の銀蔵(待田京一)に刺され命を落とす。今わの際に、良吉はまさ子に両親への伝言を託す。小政は、300円の取り立てに宇野へ出向くことを請け負った。
   宇野に向かう船中で、船場の呉服問屋から反物を持って出奔した福松(南利明)と、渡り床の音羽誠二郎(菅原文太)に出会う。渡誠には、金比羅様の土鈴の御守りを貰う。宇野に着き、浜幸を訪ねると、目の不自由な良吉の母おしの(三益愛子)が出迎える。おいえは息子が死んだことを知らない。主人の矢吹幸作(島田正吾)は、小政の用件を聞き、店と家屋の権利書を担保に小西商会から金を借りてまさ子に300円を渡す。その頃まさ子は、浜幸の裏長屋で仕事をする女たちと親しくなっていた。そこに滝島組の連中が多摩の飯場か女渡世人 おたの申しますら工夫が逃げだと捕まえにくる。女たちの中の乳飲み子を抱えるおのぶの夫の三蔵だった。主人は三蔵を逃がすが、瀧島に捕まり、浜幸の主人が逃がしたと白状してしまう。浜幸に現れた瀧島周蔵(金子信雄)は、浜幸の権利書を持っており、中西と、この一角を遊廓にする計画があるので、立ち退けと言う。
   結局政子は大阪に戻らず、浜幸の危機を救おうとする。しかし、女たちは、良吉の借金を取りに来たと知って、憎悪の目で政子を見る。梅田の銀蔵は瀧島組の客人として再会する。政子を助けてくれたが、浜幸の権利書と引換に自分と一緒になってくれと言う。実は銀三は、渡清の弟勘次郎の女千代に横恋慕した末、弟を斬った男だった。誠二郎は銀三を探し続けていたのだ。清次郎と銀三の勝負は、清次郎が勝つ。土下座して浜幸の権利書を出す銀三に止めを刺そうとした清次郎に、再び刑務所にはいるに値しない男だとまさ子は止める。まさ子は、良吉の代わりに、おしのを金毘羅さまのお参りに連れて行く。おしのは、まさ子に、本当は良吉の妻なんだろうと言う。言葉を詰まらせるまさ子。
  浜幸の裏長屋に放火する滝島組。まさ子は火の中に取り残されたおのぶの赤子を助け出すが、女たちの憎悪の視線は変わらない。涙するまさ子に、銀次郎は、自分たちのような日陰ものは日向には出られないのだと慰める。放火までする滝島組に、拳銃を片手に幸作は乗り込む。しかし、卑劣な銀三に刺殺される。滝島組に呼ばれたまさ子に、滝島は、逃がした筈の福松と三蔵の死体ともに引き取れと言う。更に、そこに大阪の南田も現れた、浪速の銀三の仲人で、滝島と兄弟の杯を交わしたと言う。南田は、渡世の義理で引き受けた筈の300万はどうしたと聞く。自分が返すので少し待ってくれというまさ子に、浜幸の権利書と裏長屋の住人たちの立ち退き承諾書を今日中に持って来いと言う。渡世人の掟として、承諾せざる負えないまさ子。更に銀蔵は自分への落とし前をつけろという。ただちに皆の前で、指を詰めるまさ子。
   幸作たちの通夜が行われている。まさ子が抜けると、清次郎がついてくる。滝島組に乗り込むふたり。
   女渡世人シリーズ。菅原文太と通い合う想い。プラトニックと以前書いたがプラトニックとはちょっと違う。精神肉体ともに、相手への強い想いはお互いの中に溢れそうになっている。しかし、あと1滴で溢れるコップを支えながら、侠客としてのプライドや面子や矜持のために、我慢に我慢して、更に我慢するんだな。意地の張り合いというか忍耐競争というか我慢比べを男同志だけではなく、男女の恋愛の中にも美しいとするんだろうな。その溜めに溜めた忍耐を、義理で死にに行く時のエネルギーに変えるのだな。切ない。
 75年東映京都『日本仁侠道 激突編(361)』。
   三多摩八王子をシマに持つ龍神一家の龍神一蔵(高倉健)は、恋女房お幸(大谷直子)の兄であり、恩義のある親分の2代目である青梅扇谷一家の東金参次郎(渡辺文雄)から、八王子の三業地開発を十国一家の神戸雷吉(小松方正)と一緒にやろうと持ちかけられる。しかし、神戸は新宿の三業地も地元の組と組んで立ち上げながら自分たちのものにしている。参次郎は、組が生き残るには神戸と組むしかないという考えだが、一蔵は先代の教えの自分のシマは自分で守れと言うもので、十国組と組むことを断る。
  十国組は、龍神組のシマ内の日野で賭場を開いた。すぐに駆けつけてテラ銭を取り上げる一蔵。扇谷一家の500人の土方頭の房州熊(宍戸錠)は、龍神組の賭場のお得意の澤野喜兵衛の娘おきみ(竹下景子)で面子をつぶされており、一蔵を殺そうとして拳銃を撃つ。一蔵を庇って、音無しの三五郎(渡瀬恒彦)が撃たれた。十国組に匿われる。
   再び十国組がシマ内を荒らした際に、殴り込むことを決める。龍神組に草鞋を脱いでいた旅常こと友次常次(北大路欣也)が単身十国組の賭場に乗り込んで、代貸しを刺す。十国組からの喧嘩状を受けて、一触即発になったところに、関東に名を轟かす、秩父の藤が崎一家の国嶺達之助(辰巳柳太郎)が仲裁を買ってでる。手打ち式が行われたが、兄貴分の参次郎は姿を現さなかった。
   龍神組の巳代吉(藤間文彦)は、喜兵衛の相手をしていたので、おきみと二世を誓っていたが、ある日、房州熊の子分たちどくろの留(岩尾正隆)とはっぱの松(川谷拓三)に強姦されてしまう。追いかけてきた巳代吉は留を刺し殺す。十国組から巳代吉の身柄を渡せという話があったが、一蔵は、巳代吉を破門にする。おきよは、いつまでも巳代吉を待っていると言う。
  お幸に子供ができたことが分かり、夫婦の結びつきはより深くなったが、参次郎は、神戸と兄弟の杯を交わし、龍神組と敵対する側に入った。達之助を見舞いに秩父まで出かけると、藤が崎一家の跡目を継いでくれないかと頼まれる。そんな大きな名前を継ぐことはできないと断る。しかし、その話は、参次郎に伝わる。秩父と八王子を一蔵が束ねると、青梅の扇谷一家は挟み撃ちになってしまうのだ。おきみが働く料理屋に、一蔵とお幸が訪れる。そこに、はっぱの松がダイナマイトを投げ込む。再び三五郎は身を挺して一蔵たちを救った。しかし、房州熊や十国組の刺客が襲う。お幸を庇っておきみも死ぬ。房州熊が、参次郎からの刺客だと話すのを聞いてショックを受けるお幸。
  シマ内でここまでやられて、一蔵は十国組に殴り込むことにする。新堀左吉(待田京介)と番笠銀次(林彰太郎)を組に残し、4人のメンバーを連れていくことにする。お幸が消えた。おきみの病院を一蔵が訪ねると、花嫁衣装を着たおきみの亡きがらの横で自害しているお幸。一蔵は、二人の手を結ばせる。八王子から中央線に乗って新宿へ。
  龍神組などと甘く見ている神戸たち。そこに斬り込む一蔵たち。参次郎が一蔵を撃とうとした時に、巳代吉が飛び込んできて身代わりになった。参次郎、神戸たちを斬る一蔵。そこには、連れてきた自分の子分たちや十国一家の人間もみな死んでいる。真っ赤に血塗られた座敷の中を歩く一蔵。
   日本任侠道というタイトルそのままに、任侠のしきたりが、横内正のナレーションで語られる。非常によく纏まられた映画。映画を楽しみながら、自然とヤクザのしきたりに詳しくなる、ためになる任侠映画。

2008年12月13日土曜日

藤純子の眼差しは切なすぎるなあ。

  午前中は宅急便を待ちながら、本を読みつつ惰眠を貪る。地元食材買い物をして、
  阿佐ヶ谷ラピュタで山下耕作ノ世界。74年東映京都『極道VS不良番長(358)』。
  島村組を解散し堅気になった島村清吉(若山富三郎)は、「大日本ホルモン焼移動レストラン株式会社」を作り、15人の若い衆とホルモン焼きの屋台を連ねて岐阜にやってきた。大勝の兄貴(大木実)と会い、住まいを格安で紹介してもらう。売主はバーのママ道代(美浦わか)、支払いを半年待ってくれとの不躾な島村の頼みを聞いてくれるが、実は前の借主が博打の借金が嵩み、妻が首を吊ったので離れには幽霊がでるから安いのだという。その夜、島村が離れに寝ていると、女の声がする。思わず、小便を漏らす島村。女は、源五郎(小林勝彦)の情婦のテン子(橘真紀)で、源五郎会いたさに、十三のトルコから逃げてきたのだ。追い返そうとする源五郎に、二人で離れに住めと言う島村。
  その日の昼間、岐阜の市内を、アメリカで人間ロケットとして有名な神崎弘(梅宮辰夫)のバイクスタントショーの宣伝をしている。結局子供が二人しか集まらなく、逃げるつもりが、バイクのトラブルで空を飛び、大怪我を負う神崎。入院した部屋に、マモル(山城新伍)、アパッチ(安岡力也)、?(鈴木やすし)らが詰めている。神崎は、弟の謙次(渡瀬恒彦)ら暴走族の新宿カポネ団のリーダーなのだ。神崎の入院代を工面するために、謙次は、岐阜を仕切るヤクザの中部興業の石黒銀蔵(内田朝雄)に、日系二世でピストルを10丁売ると偽って、水鉄砲を売りつける。うまく逃げおおせたかと思ったが、チームのニッキー(森田日記)が撃たれる。ニッキーは島村によって助けられる。引き取りに一人で乗り込んできた謙次に、ニッキーを引き渡す
  中部興業の妨害を受けながらも、何とか売り上げる島村たち、50万貯まり道代に渡そうとすると、大阪の大衆組の連中(川谷拓三)らがテン子を捕まえにやってくる。道代に返す筈の50万をテン子の前借り分として大衆組に渡してしまう島村。道代に謝罪に行く島村。その日道代は石黒に借金の返済を迫られている。島村に好感を持った道代は、店を閉め、酔って島村を誘惑する。いよいよという時に、道代の弟でバーテンをしている鉄男(嵐誠)が帰ってきて、中部興業に入ってやくざになるという。悲しむ道代に、その後何かと鉄男に極道の道の切なさを説く島村。
   中部興業が、島村の大好きな歌手小林みちる(ジュディ・オング)の交通遺児のためのチャリティコンサートを開くと聞いて感激し、石黒に手伝いを申し入れる島村。みちるがホテルに着いた。出迎える島村たち。しかし、一瞬の隙をついてカポネ団がみちるを誘拐する。中部興業に身代金1000万を持って来いという電話が入る。自らの100万も出し石黒からの200万と合わせて、指定の場所に出向く島村。金を取りにきた若造を二人ぶちのめし、カポネ団が根城にしているモーテルに出向く。身代金の約束が違うと謙次は拳銃を向けるが、ニッキーが止める。みちるを返してもらうが、謙次に交通遺児へのチャリティは、会場などを安く借りるための方便で、結局中部興業の金儲けなのだと教えられ、ショックを受ける島村。取り返したみちるを「大日本ホルモン焼き移動レストラン株式会社」に連れてきてホルモン焼きを御馳走する島村。みちるはお礼のしるしに歌を披露する。石黒たちがやってきた。チャリティーの信憑性を問いただす島村に、引き上げる石黒たち。
   みちるのコンサートの日がやって来た。観客もいっぱいだ。お金の流れに不正がないか目を光らす島村たち。そこに、カポネ団がやってきて、金を奪って逃げた。その途中で、みちるを見たさに施設を抜けて来た交通遺児の男の子がはねられる。一人だけ大勝の手助けもあり捕まえる。男の子は重体で大手術に。捕まえたカポネ団を呼び出し、一人で暴走族に取り囲まれる島村。しかし、カポネ団は、“武装”ホルモン焼き屋台に囲まれていた。結局島村と謙次の1対1の決闘になり、謙次が勝った。
病院の手術室の前で待ち続ける島村たち。そこにカポネ団がやってくる。子供の血液型がRH-だと聞いて献血に来たのだ。手術は成功した。大勝は、看病しているうちに情が移り、養子にしたいと言う。同じ病院に入院していた神崎弘が車椅子に乗って現れた。自分の医療費のために謙次が無理をしたことを詫び、謙次に東京へ帰れと言う。
  その夜、島村はカポネ団の送別会をやってやる。島村組もカポネ団も、今までの経緯を水に流して酒を酌み交わした。東京に帰るカポネ団を見送る島村たち。しかし、岐阜を出る前にマシンガンが彼らを襲う。名古屋の新栄会の助っ人たちだ。謙次一人残る。ニッキーも絶命した。中部興業、新栄会の話を聞いて、島村たちは、再び島村組の法被を着る。“武装”ホルモン屋台が重戦車のように中部興業を取り囲む。銃撃さえ弾き飛ばす屋台。そこに、謙次も駆けつけ、島村と、中に飛び込む。石黒を斬った島村を一発の銃弾が、鉄男がピストルを握っている。島村に、とどめをさせと恫喝され泣き崩れる鉄男。島村は、自分が一人罪を被るので、謙次に逃げろという。謙次は、自分の組に入れてお前の性根を叩き直すと言っただろといって、刑務所に付いていくと言う。二人は、外に待つ警官隊のもとへと歩いていく。
 若山富三郎の3枚目振りは絶好調だ。仮面ライダーの変身ポーズみたいなものや、キックボクシングの要素、子連れ狼の乳母車のような屋台など、少し悪乗り気味な気もしないでもないが、楽しい。
    71年東映京都『日本女侠伝(じょきょうでん) 血斗乱れ花(359)』。
    明治中頃のある年の大晦日、大阪船場の呉服問屋平野屋の女将おてい(藤純子)に堂島の叔父(内田朝雄)か訪ねて来ている。これが最後だと言って二百円貸してくれた。お汀の夫藤吉(津川雅彦)は婿養子、石炭で一山当てると全く家業に身が入らない。結局、虎の子の二百円を持って平吉(山本麒一)と逃げ出す。お汀は夫を追って筑豊にやって来る。藤吉は二百円でこの山を買ってしまったと言い、平吉と2人で掘っている。やっと石炭層を見つけたものの支柱が折れ、石炭を握り締めたまま夫は死んでしまう。おていは藤吉の夢を叶えるために山を継ぐと言いだし、叔父夫婦は怒り大阪に帰ってしまう。
    おていは船場の店をたたみ、平野炭鉱の炭坑主としての人生が始まる。新しい炭坑は坑夫も集まらない。近くの大島鉱業の笹倉炭鉱に抗夫を回して貰うように頼みに行くが、逃げた抗夫への折檻の余りに酷さに、抗長の笹倉勘造(遠藤辰雄)に一言言うと取り囲まれ危ない目に会う。川船頭の吉岡組の吉岡幸次(高倉健)に助けられる。前渡しで払った給金を持ち逃げされ、再び吉岡に助けられる。あまりの素人さに吉岡は、かって、十丁鶴嘴の銀蔵と筑豊に名前を轟かせた先掘りの父親吉岡銀蔵(水嶋道太郎)のもとに連れて行く。素人誰もが儲かると思って石炭に手を出す風潮を嫌っていた銀蔵は、女まで炭坑をやるのかと言ったが、夫は石炭に命を賭けたという思いつめたていの話を聞いて、炭坑を見せろと言う。いい石炭だと言い、力を貸してくれることになった。また筑豊の石炭を一手に収めようという野望を持つ、大島儀十(大木実)は、ていの美貌に目をつけていたが、ていは袖にする。また吉岡の行動が目障りになった、大島と笹山は、吉岡を消そうとする。5人組に襲われた吉岡は、しかし3人を殺し、2人に怪我をさせたということで服役する。
    2年の間は、平野鉱山は順調だったが、厚い岩盤に遮られる。銀蔵も平吉もこの山は終わったと言う。しかし、ていは、石炭が出なくとも賃金は払い続けるので、新しい鉱脈が見つかるまで掘り続けてくれと言うのであった。ていの貯えは底を付き、着物も全て無くなった。大阪の親類を訪ねても金を貸してくれるものは誰もいなかった。ていは、大島のもとに行き3000円の借金を頼む。笹山は自分の体を担保にいれろと辱しめるが、大島は1か月利子2割5分という高利で金を貸す。戻ると、鉄砲水が出て、3名の抗夫が亡くなった。さすがのていも、抗夫の妻の責めにはこたえた。断念しかけたところで、銀蔵と平吉が駆け寄ってくる。また何か起きたかと眉をひそめるていに、銀蔵は石炭を見せる。ていに負けたのだと頭を下げる銀蔵。石炭は、縮緬炭と言われる筑豊でも一等級のものだ。
    更に5年が経った。大島は、芦屋百軒の石炭問屋の組合長として、炭鉱主を召集する。はるかに炭坑主の足元を見たような契約条件の改悪だ。ていは、問屋あっての山だが、山あっての問屋だと言って、席をたつ。しかし、一緒に立ち上がったのは、松木(中村錦二)だけだ。ていと松木は、若松の石炭問屋を訪ね、最も石炭を大事にしている問屋を探しだし、扱ってもらう契約を取り付ける。
    大島は川船頭の元締め、村井仁平(天津敏)に圧力をかけ、若松への運び出しをさせないようにする。その頃、ちょうど、吉岡が出所してきた。川船頭の組合から抜けてまで、吉岡組は、平野鉱山と松木鉱山の石炭を若松に運ぶ。村井も大恩のある大島に従いつつも、吉岡と縄張りを交換したのだと伝える。他の炭坑主も、大島のあまりのひどいやり口に、平野鉱山と松木鉱山の後に従う動きが出てきた。大島と笹山は、いよいよ手段を選ばなくなった。まず、松木を殺した。平野鉱山にダイナマイトを投げ込み抵抗した銀蔵たちを殺した。自分が大島たちを追い込んだのだと自分を責めるてい。ありったけの金を銀行から下ろして、吉岡組の川船頭たちと他の炭坑主に宴席を設けるてい。その夜、ていは、村井を訪ね、私がつっぱったから、死んだものや村井に迷惑をかけたのだと頭を下げる。黙って聞いていた村井だが、大島と笹山のもとへ行き、これからは協力しないと言う。大島は村井を撃ち、死体を川に流した。
    平野鉱山の貯炭場で川面を眺めるていに吉岡は言う。「自分が想う人だから言うが、ていの夫と自分の父親が命を賭けた炭坑を閉めないと約束してくれ」と。涙を浮かべて頷くていは、吉岡にも、大島のもとへ行かないと約束してくれと言う。吉岡の手にある鶴嘴に決意を見たのだ。吉岡は頷いて、川に船を出す。しかし、吉岡は、日本刀を持って大島の事務所に単身殴り込む。笹山を、そして大島を斬るが、大島の弾を数発受けている。一人歩きながら意識が遠くなる吉岡の瞼には、ていの姿が浮かんでいた。数年がたち、貯炭場で川を眺めているてい、平吉がやってくる。平吉と話をしながらも、ていの目は遠い所を見ている。河原には女郎花が咲いている。
  日本女侠伝シリーズ4作目。いいなあ。高倉健と藤純子は思い合っていても、あくまでもプラトニックだ。平吉が、二人の気持ちを察して、二人を騙して、待合いに呼びつけた時も隣の部屋にある布団を見て、出ましょうかと高倉健は言う。情感に溢れた藤純子の瞳は何とも言えない。山本麒一は、切なく屋台で飲んでいるのに・・。プラトニックな男女の機微は、山下耕作監督ならでは。
  結局、今日も博華で餃子とビール。

2008年12月12日金曜日

芸事習いたくなったなあ。

  ポレポレ東中野で、山本眸古監督『小梅姐さん(355)』。
  不世出の民謡歌手、赤坂小梅の生涯を追ったドキュメンタリー。福岡筑豊の田川で生まれ、実家の前が検番だったために、歌と三味線が好きで、家族の反対を押し切って勘当までされても芸者になり、民謡を歌わせたら日本一と噂され、ビクターで新民謡を吹き込んで、東京赤坂の花柳界に移って赤坂小梅となり、コロムビアから歌謡曲「ほんとにそうなら」でデビュー、大ヒット、以来全国的人気歌手として戦中、戦後を生き、芸能界を引退したのちも、千葉の勝山で、民謡を歌ったり、人に教えたりして83年の人生を全うした。身体も人間も大きな人だなあ。最終日のせいか、意外にかなりの動員が。
   神保町シアターで女優・山田五十鈴、43年東宝成瀬巳喜男監督『歌行燈(356)』。
   恩地喜多八(花柳章太郎)は、能の恩地流の若師匠である。12月25日名古屋能楽堂での公演も終わり、家元で父の恩地源三郎(大矢市次郎)と鼓の辺見雪叟(伊志井寛)と、古市の温泉に入って行こうとすると、古市の按摩の宗山(村田正雄)の謡いは相当のもので、東京でも聞けないと大評判らしい。家元は放っておけと言うが、若い喜多八は、雪の中宗山の家に行き、東京からわざわざ聞きに来たのだと言って無理矢理歌わせる。しかし、素人芸の悲しさ、喜多八の合いの手に息が続かなくなり絶句させる。宗山も、ことここに及んで、若い男が恩地流の若師匠であることが分かり、引き止めようとするし、娘のお袖(山田五十鈴)を追い掛けさせるが、喜多八は宗山の妾と勘違いして「金で身を売るような真似をするな」と言い捨て去る。
   翌朝喜多八が目覚めると、辺見が呼びに来る。宗山は、昨夜鼻をへし折られて自殺したという。地元の人間も、新聞記者たちも増長する宗山を嫌っており責めてはいないが、源三郎は、これは喜多八の驕りであり、素人の人間の命を奪ったことは許し難いので、喜多八を恩地流から破門、謡いを禁じた。東京に帰り、喜多八の後任を弟弟子にするが、拙い芸で、辺見は喜多八を探し出すと言うが源三郎は許さない。
  2年が過ぎ、喜多八は博多節の門付けをしている。いい喉に客を取られた次郎蔵(柳永二郎)に因縁をつけられるが、ちゃんとした芸を持ちながら礼儀正しい喜多八に惚れ込む次郎蔵。次郎蔵が客を引き喜多八が唄うやり方でかなり上手く稼いだ。次郎蔵は元々桑名の料理人で、金も溜まったので、親方に頭を下げて戻ると言う。喜多八は、最近宗山の夢にうなされており、墓参りをしようと思っていると次郎蔵に告白した。次郎蔵は、事件を覚えており、そういうことなら宗山の娘のお袖を救ってやれと言う。お袖は宗山の死後、継母に鳥羽の廓に売られ、客に媚びを売れないことで、酷い目にあっているところを次郎蔵が助けて伊勢の春木屋で芸者になっていると言う。しかし歌も三味線も一向に出来ないので、困っていると言うのだ。
   喜多八は伊勢に行き、春木屋に門付けして博多節を唸っていると、姉さんからおひねりを預かったお袖が出てくる。喜多八はお袖に、舞「松風」を一週間で教え込むと言う。東京の父に向かって、謡を封印するという約束を一週間だけ破ることを祈る喜多八。
   38年東宝成瀬巳喜男監督『鶴八鶴次郎(357)』。鶴屋鶴次郎(長谷川一夫)は新内の太夫。お世話になった先代の娘の鶴八(山田五十鈴)の三味線で、鶴屋鶴次郎、鶴八として喜楽亭に上がり、人気を博している。二人は幼馴染で、お互いの技量も認め、憎からず思っているが、素直になれず、喧嘩ばかりして、鶴次郎の番頭の佐平(藤原釜足)らをやきもきさせている。
  有楽座の名人会に出演の話が来る。これは、人気だけではなく実力も認められた証であるが、些細なことで喧嘩をしている。先代からのごひいき、岩善の若旦那松崎(大川平八郎)と鶴八に焼き餅を焼いた鶴次郎は、金持ちの四谷の下駄屋の娘が、弟子入りだけでなく婿入りして欲しいという話にさも気があるかのように言う。このままでは、鶴次郎鶴八の芸も危ういと佐平は、名人会のプロデューサーの竹野(三島雅夫)に相談する。
  竹野は、打ち上げを兼ねて温泉に二人を招待する。普段と違う環境で、素直になった二人は、お互いの気持ちを確かめ合う。鶴次郎は、寄席を持ちたいという夢を語り、二人で、実現しようと誓う。鶴八に二度と松崎に会うなという鶴次郎。
  幸い喜楽亭を譲ってもいいという話があり、悩んだ末名づけた鶴屋亭は竹野を支配人にいよいよ実現の運びとなった。オープン直前になって、開亭資金の一部の金を松崎から借りていることを知って激怒する鶴次郎。怒りのあまり、他人の女に金を出す人間などないので、お前は松崎の妾だったんだろうと言ってしまう。全てがぶち壊しだ。鶴次郎鶴八は解散となった。尚二人の芸を惜しむ佐平さえ、追いだす鶴次郎。
  2年後、鶴八は松崎のもとに嫁いでいる。芸事の好きな一家で幸福な鶴八。一方鶴次郎の芸は荒むばかり。ドサ廻りをしながら、細々と寄席に上がっているが、酒で失敗することも度々だ。陰ながら鶴次郎を心配している佐平は、竹野と諮り、鶴次郎鶴八の2年ぶりの名人会復活を計画する。頭を下げる佐平に、松崎の了承を受ける鶴八。
  やはり、鶴次郎鶴八の復活は大好評で帝劇からの出演依頼まで来た。しかし、最終日舞台が引けて、鶴次郎は、2年ぶりの鶴八の三味線は聞くに堪えないものなので、これきりにすると言う。憮然と去る鶴八。佐平を飲み屋に誘った鶴次郎は、鶴八の芸は、先代を超え名人の域に達しているが、松崎と離縁してでも再び芸人に戻ると鶴八が言うのを聞いて、愛する人間の幸せを考えると松崎のもとに返したかったんだと告白する・・・。
  うーん、この結論でいいのか。鶴次郎が芸人の悲哀を舐めたのは、自分の精神的な幼さによる自業自得だろうと突っ込みたくなる。しかし、当代随一の人気者長谷川一夫と山田五十鈴は、結ばれちゃいけないんだろうな。やきもきしてしまうのは、この映画に引き込まれているということなんだろう。
  赤坂小町と、成瀬巳喜男の芸事2本。何だか、もう少し枯れたら、小唄か鼓でも習いたくなってしまう単純な自分なのであった(苦笑)。博華で餃子とビール。