2010年1月16日土曜日

広島、博多。

    ラピュタ阿佐ヶ谷で、昭和の銀幕に輝くヒロイン【第51弾】若尾文子
    62年大映東京吉村公三郎監督『その夜は忘れない(26)』
   下りの寝台特急あさかぜ?、電気カミソリで髭を剃る加宮恭介(田宮二郎)は、東京の週刊ジャーナルの雑誌記者。加宮に女(穂高のり子)が声を掛ける「お先に!!」「早いなあ」「あなたこそ」「僕は広島までだから…」「昨日はご馳走さま!!」「食堂車のビールぐらい(笑)。ええと、君の店はどこだっけ…」「名刺お渡ししたじゃない」女は加宮のワイシャツの胸ポケットから自分の名刺を引っ張り出す。「博多か…。今度中洲に行ったら飲み比べしよう」「きっとよ!!」
   広島駅で降りた加宮は、「新広島ホテルまで」と声をかけてタクシーに乗る。戦後17年目の夏、広島の街はあの悲劇がなかったのようである。
新広島ホテルにチェックインした加宮は、カーテンを開ける。目の前には、広島平和公園が広がっている。突然部屋の電話が鳴る。大学時代の友人で、ラジオ広島テレビの制作部に勤める菊田吾郎からの電話だ。「さっきも電話をくれたんだってな」「ビデオなんてものが発明されたせいで、徹夜で編集だったんだよ」副調整室で、牛乳瓶を片手に、コッペバンを食べながら電話をしている菊田の顔には無精髭が生えている。「17年目の広島の取材。そんな記事を今でもやるのか?よっぽど暇なんだな…。草の根会?あるよ、今でも。じゃあまた連絡するよ」
   広島の夏の強い日差しの下を原爆公園や、広島平和記念資料館の展示物を見る加宮。資料館の担当者に「見学者は少ないんですね」「記念日が近付くと、全国から随分来なんしゃるんですが…」「広島の方は?」「それが、ちーとも来んですね…」広島原爆病院の種田医師(中村伸郎)に話を聞く加宮。「遺伝に関しての、大学の朝比奈教授のレポートです。お会いになるんでしたから、連絡しておきます」「お願いします」「病室ご覧になりますね」患者は年配の人間が多い。患者と見舞い客の写真を撮らせて貰う加宮。どこからか入院患者が聞いている、エリーゼのためにのオルゴールが聞こえている。
   次に加宮は、被災者のサークル、草の根会の事務局を訪ねる。「前は会員が50数名いたんじゃが…。昔はこれから不安じゃと言うことで、いつも集まっていたんですが…」
「最近は、不安が無くなったと言うことですか?」「もう、忘れたいと言うこともあるかも知れん」「差し支えなければ、会員の方の名簿を拝見したいのですか…」
   すみれ洋裁店、美しい女(田中三津子)が中にいる。夏はきぬを口ずさんでいる。「田村ふさ子さんですか?」「はい」振り返った女の反対側の頬には大きなケロイドがある。「ああ、草の根会の紹介で来んしゃったね」鼻歌を歌いながら、茶を持って来る「おかまいなく」「広島ん夏は、暑いでしょう。」数冊の雑誌を開き「これが私です。写真を撮るなら外に出ますか?」明るくサバサバしたふさ子に戸惑う加宮。「こんなことを伺っていいのか分かりませんが、顔の傷はあなたの幸不幸に影響していますか」ふさ子は笑い出す「新聞社の人はみんな同じこと言うんじゃのう。それは悩んだこともあったけんど、考えてもしょうがないけえ」
   原爆ドームの前で、アメリカ人観光客相手にブロークンな英語で土産を売る男。「アメリカの雑誌で、原爆を土産にしていると書いてあったようじゃけど、私は、何時までも、世の中に原爆のことを忘れさせないために立つことにしているんじゃ。この手のケロイドも、目の前にああなったまま聳えている原爆ドームがある限り、生きた人間の上に原爆落とすとどうなるか、見せないけんのじゃき」
    喫茶店に若い娘「原爆のこと?もう忘れた」耳の後ろに大きなケロイドはあるが、「来月結婚するかもしれんの」彼氏とツイストを踊る娘。
     広島市民球場。ナイターの客席は満員だ。加宮が内野席に現れると、菊田が手を振る。菊田の隣には、若い娘加賀美子(江波杏子)がいる。「うちの劇団の女優で、加賀美子、通称ヨシ坊。ヨシ坊、原爆知ってるか?」「うち知らん、生まれる前やもん」

   切ない恋愛映画。これは素晴らしい!!


   京橋フィルムセンターで、映画監督 大島渚
    60年松竹大船大島渚監督『日本の夜と霧(27)』
     霧深い林の中を歩く男太田(津川雅彦)。「君は誰だ!?」と誰何されるが、「結婚式に出るんだ」と答える。大きなコテージ風の建物の中では、野沢晴明(渡辺文雄)と原田玲子(桑野みゆき)の披露宴が行われている。媒酌人は野沢の出身大学の字田川教授夫妻(芥川比呂志、氏家慎子)だ。字田川は、6.15の安保反対闘争で、学生も教員も初めて共闘できた意義を雄弁に語っている。司会は、大学時代学生寮の委員長で党員の中山勝彦(吉沢京夫)と妻の美佐子(小山明子)だ。同じ寮だった坂巻(佐藤慶)と東浦(戸浦六宏)は皮肉な眼差しで、中野たちを見ていた。
    新婦の友人斎藤(上西信子)の音頭で「若者よ鍛えておけ~♪」と歌っていると、突然、太田が乱入する。「新婦友人として話をさせてくれ」と強引に発言する。「太田!!君には逮捕状が出ているんじゃないか?」「何で隠れているんだ!?」「隠れてなんかいませんよ?」

  4日間で打ち切りになったことが、ネット上では一番の反応のようだが、今のテレビのポジションが映画だったので、上映しちゃって、興業的にOKならまあいいかと思った松竹が、全然興収(当時は配収)が壊滅的だったので、慌てて差し替えたということかなあと思う。視聴率至上主義≒配収主義。
  まあ、それよりも、戦中派と、焼け跡派の60年安保の世代と、団塊世代の70年安保世代(この時代は出てこないが・・・)とのジェネレーションギャップと、戦中~戦後の唯一の前衛党であった筈の日共の変節への失望と絶望が、焼け跡派のトラウマになってしまったということなのかと考え始めると、35年前に見た時の印象とはかなり異なっている。 ディベイトでは、咬み咬みだろうが何だろうが、自分の主張を兎に角話し続けて、相手に発言だせないのも戦術のウチだと思えば、他人事ではない。芸術かアートかではなく、政治的なメッセージを、松竹から発信する大島は凄い。

   シネマヴェーラ渋谷で、消えゆく曽根中生!?
   
   78年エル・アイ・エル曽根中生監督『博多っ子純情(28)』
    博多の夏は、祇園山笠から始まる。博多人形職人郷五郎(小池朝雄)とスミ(春川ますみ)の一人息子六平(光石研)は、博多三中の二年生。締め込みを買ってくれと言うが、まだ駄目だと認めて貰えない。しかし、父親が足を挫いたため、代わりに牽かせて貰うことになった。クラスメートで親友の阿佐道夫(小屋町英浩)と黒木真澄(横山司)とは、違う地区なので、競争相手だ。六平の西は昨年最下位だったのだ。張り切って走るが、六平は転び取り残される。水を頭から被って気合いを入れ、山を追い掛ける六平。翌日学校では、黒木と昨日のことで言い争いだ。しかし、クラスの小柳類子(松本ちえ子)と喧嘩になると、直ぐに男同士仲直りだ。



    無法松「郷!!あん時の借りはこれで返したと!!」「ありがとうございました」「礼を言うならあの子にいいな」「小柳!!きさん、何で余計なことをしたと!!」

   当時、長谷川法世の原作も大好きで、曽根中生の監督で、当時かなり期待して見に行き、最高傑作だと思った気がしていたのだが(苦笑)。
  うーん、十分好きな映画なのだが・・・。中村れい子は、このオーディションで出て来たんだったか。立花美英→中村れい子、そう考えると、先週見た曽根中生の「悪魔の部屋」うーん、中2男子として、隣の家のバツ1お姉さんが、数年後ポルノ映画に出る切なさを感じるな。自分が大人になって、結婚して幸せにするつもりだったのに(苦笑)。

   79年にっかつ曽根中生監督『天使のはらわた 赤い教室(29)』
    学校の廊下をビールの音をさせ歩いてくる女の影、突然三人の男子学生が襲い掛かり、教室に連れ込み、暴行をする。8mm映画の粗い画像、突然切れる。「すみません。何せ古いフィルムなんで、直ぐ続きを」再開される。女の抵抗は真に迫っていて、見ている客たちは思わず息を飲む。暴行した男子学生は逃げ、女は脱力したように下着を着け服を着るが、カメラを見る目には絶望感に湛えられている…。
    ブルーフィルムの上映が終わり、村木哲郎(蟹江敬三)は、チンピラにモデルを教えてくれと迫る。

2010年1月15日金曜日

卒業写真

昼から講義2コマ。卒業アルバム用に写真を撮ってもらう(苦笑)。

    銀座シネパトスで、「日本映画レトロスペクティブ-PART6-」~喜劇 みんなで笑い初め!~
    64年東京映画佐伯幸三監督『喜劇駅前女将(24)』

    両国にある酒屋吉良屋の女将満子(森光子)が電話をしている。「お義姉さん!うちの人が兄さんとお相撲を見に行っているけど、銚子の叔父さんと和夫ちゃんが来ているので、そっちに寄ったら帰るように言って下さい。」電話をしている先は、柳橋の孫寿司の女将千代(京塚昌子)だ。吉良屋は、吉良上野介に贔屓にされた三百年の歴史を持つ老舗である。吉良屋の居間には銚子で漁師をしている力造(加東大介)と息子の和夫(峰健二→峰岸徹)がいる。
   その頃、吉良屋の主人徳之助(森繁久彌)は、義兄の孫作(伴淳三郎)を連れて錦糸町の裏通りにあるバー凱旋門にやって来ていた。色気たっぷりのバーのマダム藤子(淡路恵子)に、徳之助は入れあげ、ダブルの高級ベッドを買ってやっていた。藤子の色香が気になる孫作。
  満子の弟の次郎(フランキー堺)は、孫寿司で板前修行をしているが、腕は一向に上がらない。しかし置屋菊太郎の芸者染太郎(池内淳子)とは相思相愛の仲だ。早くに店仕舞いの支度をしている孫寿司に、染太郎がお腹が空いたと駆け込んで来た。次郎は染太郎を隣りの中華料理屋の六十番に入る。しかし六十番の主人大沢鶴吉(山茶花究)も店仕舞いをしている。「随分早いね」「ワタシ、一人でやっているから、風呂に行くヒマもない。銭湯に行こうと思っているヨ。もう10日も風呂入ってないヨ」嫌な顔をする染太郎だが、じゃあ、ラーメンを自分で作るからと次郎。銭湯に送り出し「ここは旨いが、不潔だからなあ」と言う。麺を纏めて湯に入れ、丼にスープを入れる。目分量で入れた麺は凄い量に膨らみ、丼に山盛りだ。シナチクやチャーシューを入れようとすると、何故か鶴吉が戻って来て、戸を開け「チャーシューは二枚ヨ」と声を掛ける。「はい、薄いチャーシュー二枚ね」と答えるが、出掛けてしまえばこちらのものだ。再び戸が開いたので、「はいはい薄いチャーシュー二枚ね」次郎が、顔も見ずに生返事をすると、クリーニング屋の山本平助(三木のり平)だ。次郎がせっかく染吉に食べさせようとしたチャーシューを横取りする山本。主人がいる時に届けないと、代金を払って貰えないのだと言いながら、次々にチャーシューを横取りする山本。しかし山本は、醤油かラー油の瓶を倒し、せっかく持ってきた鶴の白衣と次郎の白衣を汚してしまい、洗濯して来ると持って帰る。
    夜遅く、吉良屋に酔った徳之助が帰って来た。「あんた今までどこ行っていたの?」「孫さんに強引に誘われちまって」「銚子の叔父さんが和夫ちゃんを連れていらしているのよ。せめて電話だけもしてくれれば!!」「叔父さんは?」「もうとっくに寝ちゃったわよ」「そうか…」「藤子さんと呑んでいたの?」「えっ!?」「あんたデパートから、こんなダブルベッドの配達証明書が届いているわよ!?足立藤子って誰なの?」「お前は俺を信用出来ないのか?」「前科があるじゃないの!?」「お前は警察か?これは違う。実は頼まれて名前を貸したんだ」「そんな見え透いた嘘を!!誰に貸したか言えないの!!」「しょうがないなあ。孫さんだよ」「えっ?兄さんが!!お義姉さんに言った方が」「それは、へんな波風立てない方がいいに決まっている。絶対秘密だぞ!!」「ごめんなさい。ワタシ焼き餅妬いちゃって…」「いいんだよ、お前。今の俺にはお前だけに決まっているじゃないか」「うっふん」
  久しぶりに夫婦がいい感じになったところに、起きて来た力造がバツの悪そうに「あっ悪かったな、酒を少し飲めればと思ったんだ」救われた徳之助「いや、おい酒持って来い」すっかり機嫌を取り戻した光子が台所に行くて、「すみませんでした。」「和夫ちゃんは?」「模擬試験だって言うで、付いてきたんだ。もう来年は大学生だよ」「大学生か…」小指を立て「いや実はそれだけじゃなくてこっちのほうも(笑)…。川のあっち側は最近どうだい?悪いけど、明日付き合ってくれ」「明日ですか…」藤子と約束でもしていたのか、ちょっと歯切れの悪い徳之助。
   翌朝、珍しく徳之助が店頭にいると、飲み屋の女が酒を買いに来る。ミカンの缶詰めか何かを黙って渡す徳之助。そこに町会の?がやって来て、ハンコ屋の爺さんが、吉良屋の家作を、子供たちの相撲道場に貸してくれと言う話の返事の催促に来た。町会長のところに行ってくると、そそくさと出掛ける徳之助。
   満子が力造と、店の前に立っていると、ハンコ屋の孫娘の由美(大空真弓)が、祖父の唯一の楽しみの酒を買いに空の一升瓶を下げて来る。勤めの帰りに取りにくるのだ。店の前で、野球のユニフォームを着た山本の娘が車にはねられた。大したことはなくて光子は胸を撫で下ろす。吉良屋の裏の山本クリーニング店の平助と妻の京子(乙羽信子)には、7人の子供がある。親子で野球チーム、両国アイロンズを作っていて、週末は皆で試合なのだ。
   両国駅に、景子(淡島千景)の姿がある。出迎えに来た染太郎と、菊太郎姐さん(沢村貞子)。「よく来てくれたね。変わらないね」「20年振りだから浦島太郎だわ」景子と染太郎は実の姉妹だった。二人とも柳橋で芸者をしていたが、戦争中徳之助と孫作が、召集の間に、結婚して大阪に行っていたが、未亡人となり、帰って来たのだ。東京見物をしながら帰ろうと金太郎の勧めで、水上バスに乗る三人。両国の水上バスの停留所で、染太郎に手を振っている由美の姿がある。「知り合い?」「学校の同級生で、親友なの…」由美は、停留所で切符売りをしているようだ。三人が錦糸町にやって来る。店を始めようという景子に、菊太郎はいい空き店があると聞いて連れて来たのだ。バー凱旋門の前で、孫作に会う。孫作は、この店の持ち主がハンコ屋の爺さんで、相撲道場をやるところと交換でなければ、貸してくれないと言って、一肌脱ぐと約束する。
   その夜、銚子の叔父と、徳之助、孫の三人はお座敷で、芸者相手に、新ネタ二百三号地を見せていた。幸子が両国に帰って来ていると孫作から聞いて、気もそぞろな徳之助。


   62年東京映画久松静児監督『喜劇駅前温泉(25)』
    蒸気機関車が山を登ってくる。猪苗代湖らしき光景。岩代熱海駅に、沢山の観光客が降りてくる。5、6人の旅館の客引きが声を掛けるが、全員バスかタクシーで磐梯温泉に向かうのだ。駅前温泉街は、観光の目玉に欠け苦戦していた。番頭たち「このままじゃ、駄目だな」「今、観光協会で理事たちが相談しているんだろう」
   駅前温泉観光協会。理事長の伴野孫作(伴淳三郎)が、かなりのズーズー弁で捲し立てている「いい、アイディアがなければ、この300年の歴史を持つ駅前温泉は駄目になる。やっぱり、一大温泉施設を作り、トルコ風呂から、人魚風呂サ作って・・」「人魚風呂って何だべ?」「裸の女が按摩のサービスをするんだ。アンマ屋主人きよ(赤木春恵)「うちの子たちにぜひやらせて下さいネ」芸者置屋金太郎姐さん(沢村貞子)「そんな下品な!!」孫作「前から、あんたんところの芸者にストリップやってくれと頼んでるでねえか」「お金はどうする?」「これを観光協会の一大事業として、半分のお金を会員に出して貰う。お金のない人は借金サしてもらうんだ」そこに、前理事長の吉田徳之助(森繁久弥)がやってきて「そんな低俗な企画は、絶対認めないぞ。そもそも三百年の歴史を持つこの伝統ある温泉を、低俗下劣な観光地にしてたまるものか。温泉はあくまでも、温かい温泉と人情、それが売り物なのであり・・・」「そんなこと言っているから、どんどん寂びれていくんでねえか」犬猿の仲の孫作ろ徳之助は喧々諤々でやり合い、揉み合っている。「くそ!!今日は流会だ!!!。おい!!事務局員何してる?」観光協会の事務局員の坂井次郎(フランキー堺)「では、よろしかったら、お蕎麦でも食べて」徳之助「観光協会の蕎麦など食べたら、腹をこわす」理事たち笑う。次郎「あっ、そろそろ下りの汽車が着く頃だっぺ」
  磐梯温泉に向かう観光客が駅前から姿を消した頃、駅舎からこの街には場違いに都会的な女(淡路恵子)が出てくる。番頭たちが群がるが、「ほら、強引な客引きをすると、お客様が迷惑サしてるでねえか」と次郎は言って、「この温泉にお泊りですか?私観光協会の者ですが、ご案内させていただきます」と女をタクシーに乗せる。

  駅前シリーズは、やっぱり個人的には、久松静児監督の映画だな。ドタバタの中に、ちょっと泣かせる要素がある。まあ、お涙頂戴に子役の使い方が上手いということもあるんだろうが。

  大門の歯医者に行き、インプラントの調整をして帰る。

帰り道は遠かった。来た時よりも遠かった

     昨年見た黒澤映画が「白痴」だけだったのを反省し、京橋フィルムセンターに「野良犬」を見に行ったのだか、小ホール入れなかった(苦笑)。肩を落とし京橋から日比谷まで歩き、

    TOHOシネマズみゆき座で、マイケル・ムーア監督『キャビタリズム マネーは踊る(23)』
    自由競争、アメリカンドリーム、自由主義、資本主義、議会制民主主義、グローバル化、日米安保、勝ち組負け組、(株式)市場、成長戦略…。
    古今東西のフッテージが使うことで、かなり許諾料がかかったろうが、表現は洗練されている。
   ローマ帝国時代の奴隷制度の上に成り立つ民主制と今の貧しき人々の映像をミックスさせた冒頭など、切なく笑える。中流だとか、頑張って勝ち組にと言う幻想を振り撒いていた、新聞、テレビと言ったメディア産業が、ジャーナリズムと言う羊の皮を被った狼と言うより、狼におもねる狐たちの嘘。結局、1%の人間の利益の為に誘導している現実。アメリカとは少し違うが、政治家、官僚、資本家が私腹を肥やし世襲する家族制度がくっついている分、日本の土着的な臭いが嫌悪感を覚える。
   自民政権をリセットせざる負えなくなったが、民主党では、もっとも政治的に狡猾で、角栄以来の中国シンパの小沢一人を排除出来れば、むしろ官僚や資本家、労働官僚たちにとってコントロールしやすい政権だという判断なのかもしれない。今の小沢叩きは、日中国交回復の角栄がロッキードで地に落ちたことを思うと、同じ虎の尾を踏んだのか。
   暫く、事業仕分けなどで、官僚たちは痛めつけられた振りをして、国民のガス抜きをした後で、財政難と少子高齢化への不安と、アジア新興国からの恐怖心を煽って、再び戦前がやってくるような気がしてならない。「それでも、日本は『戦争』をまたまた選んだ」になって欲しくないな。
    戦後日本の街頭テレビに提供された、“プロレス”エンターテイメント・ショウ。
    我々が楽しめるキャストがいる限り、演出家は変わらない。未来は、カリスマ的指導者を戴く国家社会主義に進むのか、一つのパイを人数で分けるムーア言うところの民主主義に進むのか…。
    金融資本主義と金融恐慌に関する映画ではなく、資本主義が民主主義イコールではなかったと言う映画なのだと自分は思った。
   しかし、アメリカのパイロットたちの収入が、2万$に満たないというのは凄い。日本なら月収だろうと思うが、勿論年収。女性機長がウエイトレスのアルバイトをしたり、貧困者向けの食事の配給切符を貰っていたり、売血したり。ハドソン川に無事に不時着陸させ、ヒーロー扱いされた機長の話は日本でも相当報道された記憶があるが、議会の公聴会で、パイロットの地位改善について訴えていた話しは、一切報道されなかったと思う。
    欧米の格安エアラインについて、光の部分のみ報道されているが、サービスなどのコストカットではなく、パイロットや整備関係者の低賃金と過剰労働によってなりたっているのだとしたら、マイケル・ムーアの言う通り、そんなエアラインには乗りたくない。やはり、アメリカ化=グローバル化の呪縛から逃れるべきだ。

   夜は銀座の居酒屋で、富山の後輩Kと、某FM局の東京支社長と久しぶりに飲み会。老舗居酒屋で、飲んだだけでは済まず、丸の内の串揚げ、気がつくと立ち呑み食い出来なくなっていて終了(苦笑)。東京駅始発の中央線なのに、気が付くと吉祥寺。帰り道は遠かった。

2010年1月13日水曜日

戦争と教育と食事。

    昨日神保町三省堂で、ふと買った加藤陽子『それでも、 日本人は「戦争」を選んだ』。面白くて、昨日の横浜往復と朝一番で一気に読む。オフィシャルな記録のピースを繋ぎ合わせて語られる日本近代史。高校生向けの講義録なので、とても分かり易い。
   今年初めての講義。加藤さんの歴史講義録を読んで反省すること暫し、今年は、もっと学生が目から鱗を落とすことに注力しよう。とはいえ、急にそんな画期的な教師になれる訳では毛頭なく、来年度からかなあなんて、志の低い自分。
   夜は、誘われて急に、(社)日本フードアナリスト協会のフードビジネス交流会兼新年会。何だか、自分は確かに食い意地だけは張っているが、どうなんだろうかと思いながら出席すると、なかなか面白い人たちが集っている。結構楽しい。

2010年1月12日火曜日

横浜には、

    神保町シアターで、女優高峰秀子。
    54年松竹大船木下恵介監督『女の園(21)』
   学園の鐘が鳴る。服部敏子(山本和子)校庭で女子学生たちに囲まれ、林檎箱の上に立ち「この不幸を生んだのは、学園の封建と学生への弾圧に依るものです!!今後私たちの人権と学園の自由を守るために、全学決議を行いたいと思います。皆さん!!講堂に集まって下さい。」講堂に走る女子学生たち。男の教師たちが「静まれ!」「解散しなさい!!」「認めない!!」と叫ぶ、補導官の平戸喜平教授(金子信雄)「君たちの気持ちは分かるが、規則に従って集会を開きなさい、外部に誤解されて、下手に騒ぎが大きくなると、君たちが傷つくんだ!」「届けを出しても認めて貰えないんじゃないですか?」一人の女子学生が学内では歌唱を禁止されている学生歌を歌い始める。学生たちに広がり瞬く間に、大きな歌声となる。一人女子学生たちに囲まれ途方に暮れている平戸。
  京都正倫女子大学校。
  平戸が「では祝辞を創立者、校母の大友梅野さまから頂きます」。大友(東山千栄子)「46回の入学式を迎えるにあたり、元農林大臣の?さま、衆議院議員の?さま、後援者である?の林野さま、市会議員の?さまのご臨席を賜っておりますことを、学生共々御礼申し上げます。本学は明治47年の創立以来、女子の高等教育のために、順風美徳をモットーに教育してまいりました・・・・。」
   学長(毛利菊枝)の挨拶も、封建的とも言える言葉が続く。学生寮、寮監の五條真弓(高峰三枝子)が、寮生たちを前に、夕食の前に訓示をする。「学校以外は、制服ではありませんが、節度を持った服装が求められます。腕を丸出しにした、なんたらスリーブといった下品な服装は、本学の学生には相応しくありません。派手派手しいリボンで髪を飾り立てるなどは、もっての他です。わかりましたね、滝岡富子さん」富子(岸恵子)下を向いて「わかりました」と答える。富子の髪は、水玉のリボンで結ばれている。

    49年映画芸術協会/新東宝山本嘉次郎監督『春の戯れ(22)』
   長い鎖国から開国したことで、一気に日本は変わって行った。しかし、人々の新しい心と古い心の間には、相容れない葛藤が起こった。そんな時代の品川が舞台である。
   岡蒸気が走り、ランプがガタガタ揺れている。品川の居酒屋入船屋の主人金蔵(徳川夢声)「マア公!マア公!いねえのか・・・。」表に出ると、店の前で、お花(高峰秀子)があさりの殻剥きをしている。「お花坊、ウチのマア公知らねえか」「あたしゃ、マアちゃんの番してる訳じゃないんだ。知らないよ!!」「なんだ、このガキ!!いつもマア公の尻ばっかり追いかけていやがるくせに」店の裏で、早船屋の甚平(鳥羽陽之助)が、「出るよ!出るよ!船が出るよ!」と声を掛けている。「出るよ、出るよ!って朝から言っているが、一向に出やしねえな」「新橋まで岡蒸気が通ってから客が減ってしょうがねえ」「ボロ船じゃ勝てねえよ」「ボロ船と言いやがったな」「ボロ船でもお世辞だ。あんなもの船じゃねえ。あ〝ぶね”えだ。」「言いやがったな、ちくしょうめ。お前の所で売っている酒なんざ、酒じゃねえ!願い〝さげ~”だ。」「ウチのマア公知らねえか?」「朝、横浜にノルマンジャア号が着いたっていうから、見に行ったんじゃねえのか?」「

  神保町から横浜に出て、元会社の先輩のオフィスに。相談に乗って貰いつつ、酒奢って貰う。情けないなあ(苦笑)

2010年1月11日月曜日

渋谷から吉祥寺

   シネマヴェーラ渋谷で、消えゆく曽根中生!?

   82年にっかつ曽根中生監督『悪魔の部屋(18)』
    小田急線が前を通る高級マンション。電話が鳴り、新妻伏島世志子(中村れい子)が受話器を取る。「はい、もしもし」「伏島課長の奥さんでいらっしゃいますか?。私シルバー興業株式会社企画課の中村と申します。課長から出張に戻って食事をすることになっているので、迎えに行くよう申しつかりました。ホテルニューシルバーの最上階のお部屋もお取りしてあります」「はい」「では30分程後に迎えに伺います」「30分後ですね」
   マンションに迎えに来た中村と言う男(ジョニー大倉)は茶色いスーツを着て、きっちり七三髪で、眼鏡わかけた真面目そうな会社員だった。タクシーで、待ち合わせだと言うホテルニューシルバーに行く間、「奥様は24歳だと、課長から伺いましたが、どうしてお知り合いになったんですか」「主人の妹と同じ大学だったんです」「新婚3ヵ月か、こんな綺麗な奥さん貰って課長は幸せだなあ」ホテルに着き、中村は2020号室の鍵を受け取り「ご案内します」「いえ、お部屋の鍵を頂けば自分で参りますわ」「いえ、仕事ですから…。」
    2020号室のドアを開け、世志子を中に入れると、中村は鍵を閉める。何か不安の表情を浮かべる世志子に、「あんた幸せかい?」「あなた、一体誰なの?寛之さんの会社の人じゃないの?」「あんたの旦那の部下じゃないことだけは確かだな。だから中村でも、鈴木でも、佐藤でも、良かったんだ。だから、いくら待っても旦那は来ない。今日から、ここで俺と暮らすんだ」「あなた、このホテルの持ち主を知ってるの?私の主人の父です」「だから誘拐したんだ」締めていたネクタイを持つ男を見て「殺すのね!?助けて!!」世志子の頬を打ち、床に転がす男。倒れた世志子を引きずり、ベッドルームに連れて行く男。「やめてください!!今帰してくれたら、誰にもいいません!!警察にだって!」抵抗虚しく、陵辱される世志子。
    その頃、東京駅に着いた夫の寛之(堀内正美)が、青電話から家に電話をするが、勿論誰も出ない。
   世志子が気がつくと、男はシャワーを浴びていた。部屋の電話が繋がっていることを確認し、身にまとう物を探し逃げようとすると、「無駄なことはしないほうがいい」と男が出て来た。「これで帰宅すれば、何事も無かったと、寛之に取り繕えると思っているかもしれないが、俺は何があったかを全て話してやる。そうしたら、あんたの夫は二度とあんたに触れないだろう」唇を噛み涙を浮かべる世志子。「お腹が空いたわ、私は朝ご飯食べてから何も食べていないの…!?ジュースが飲みたい。」「ジュースなら冷蔵庫にあるだろう」「フレッシュースが飲みたいわ。食事もしたい」「我が儘だな。食べる物は何でもいいのか?」男はルームサービスを頼んでいた。「コーヒーもあるぞ」
    食事を終えると「さあ、あんたの旦那に電話をするか」「止めて下さい」男は電話を掛け、寛之が出ると「あんたの奥さんを預かっている。俺はあんたの奥さんを犯した」信用しない寛之に、世志子をいたぶり声をださせ、「お前の親父とどうするか相談をしろ!俺の名前は、中戸川不時だと言え!!その間、お前のかわいい奥さんを、1日2回犯してやる。明日また電話をする!!」そして、ベッドに世志子を縛り付け、再び陵辱する男。
   翌日、ベッドサイドの電話で、寛之に電話する男。「親父と相談したか」「さっきまで、ここにいた」「で、どういう結論になった!?」「警察にも届けない。探しもしない」「奥さんがどうなってもいいのか」「女房が帰って来るまで、待つと言うことだ!!いい加減にしろ!?」寛之が受話器を荒々しく切った。「聞いたかい?」「主人の周りには刑事たちが沢山いたのよ」「違うな、そうだったら、向こうから電話を切るなんてありえない」涙を浮かべる世志子を再び陵辱する男。
   翌朝世志子「部屋の掃除を頼んで頂戴、ずっとシーツもガウンも同じものじゃ嫌だわ」巨人中日戦を見ていた男は「だいぶ苛立ってきたな。」フロントに電話をして「部屋の掃除を頼む。そしてルームサービスを頼む。フランス料理を二人前2012号室に」暫くしてテレビを消し「さあ行こうか!!」「?」部屋を出て廊下の向かいの2012号室に案内する男。
    そこにはルームサービスが用意されている。「今日はここに泊まる。そして明日は向こうの部屋に泊まるんだ」「私は誰にも会わないのね」「何で俺がこんなにお金を持っているか不思議だろう…。指宿温泉って知ってるか?2カ月まで俺はそこの経営者だった。俺はこの計画を企てるに当たって、自分の旅館を売り払った。」その夜再び世志子を抱く男、しかし、世志子の反応は変わって来た。身体の底の変化を否定するかのように「わたし…指宿温泉って知っているわ…。行ったことはないけれど…。わたし、朝食に果物が食べたいわ…。そう、林檎が食べたいわ…」饒舌な世志子。
   翌朝、世志子は林檎を剥いている。「かわいい人だ。あんたが煉瓦じゃないことが分かった。あんたの身体が俺に慣れて来ている」「違うわ!!私は諦めているだけよ!!」「それは、あんたの心が言っていることだろう。裏腹に、あんたの肉体と性感は、遥かに俺に慣れ始めている…」「止めて!!」「言ってやろうか!?濡れてただろう…」「止めて!!」果物を男に投げつける世志子。果物ナイフを手に立ち上がって「殺すわよ!!」揉み合いの末、果物ナイフを叩き落とすが、世志子は隠し持っていたフォークを男の腕に突き立てる。突き刺さったフォークを見て、我に返り「ごめんなさい」と言って、血を止めようと布を傷口に巻く世志子。「本当にごめんなさい。どうにでもして!!」「どうにでもして?」「殴るでも蹴るでも」「そうしたかったら、刺されて直ぐやっている。お前は謝ったから、今までのことは許してやる」泣きだす世志子。

    67年日活鈴木清順監督『殺しの烙印(19)』
    銃声、飛ぶ航空機。羽田国際空港、降りて来る花田五郎(宍戸錠)と真実(小川万里子)。タクシーに乗り込むが、運転手の春日義平(南廣)とは知り合いのようだ。「春日!久し振りだな」「隣の御婦人は?」「女房だ」「手を貸してくれないか?ドジを踏んで踏んで、組織を追い出された。何とか今回の仕事をやり遂げて、戻りたいんだ。花田が手伝ってくれれば、うまくやれる。報酬は500万だ」「やろう、俺も金が入り用なんだ」
   バーのカウンター。困った顔のバーテン(長弘)に、花田「メシを炊けって言ってるんだ」真美「ライスのことよ。私はジョニ黒のダブル」酒を呷る春日「プロの寂しさに俺は耐えられなかった。酒と女は殺し屋の命取りだ。かってナンバーを持っていた俺は酒でしくじった」
   組織の男藪原道彦(玉川伊佐男)は写真を出して「この男を防衛しながら、あるところまで運んでくれ。これは250万、残りは後で。殺し屋NO.3の腕に相応しい仕事だろう。車は品川に回しておく。1度はここに電話をして欲しい」とメモを見せると、燃やしてしまった。」
   花田は、厨房で、料理人の不審な視線を受けながら、ガス炊飯器の湯気が出ているのを恍惚とした表情で見つめている。バーでは薮原は真美の身体を弄っている。「嫌な癖。ぞっとするわ、飯の炊ける臭いが、何よりも好きだっていうんだから・・・。」
   春日を連れた花田が、組織が用意した車のところに行くと、後部座席に額を撃ち抜かれたばかりの死体がある。「車を運んできた男だろう」「どうする?」「しょうがない、このまま運んで、あっちで捨てよう。これだけの恐ろしい腕だ。心あたりはあるか?」「プロNo.2の佐倉か?No.4の高・・・。でなければ、No.1か?」「幻のNO.1か・・・」
   沖合のクルーザーから、アクアラングを付けた男が海に飛び込む。どこかの埠頭で海からあがる。男(南原宏治)を後部座席に乗せ、「気にしないだろうから言うが、あんたの座っているところには、少し前まで死体が座っていたんだ」顔色ひとつ変えない男。春日が運転し、助手席に花田が座り、車を走らせていると、尾行する車がある。「もっとスピードを出せ」
    緊迫感が高まり、春日はウィスキーのポケット瓶を取り出し、口にする。花田は止めろと言うが、手が震えると言うのだ。左折してすぐ停めろと花田が言う。急停車した助手席から、花田が飛び出すと、尾けてきたと思っていた黒い車は、若い連中が大騒ぎしながら、走り去った。春日は酒のためピストルが握れなくなっていた。
    花田は運転を変わり指示された山道を進む。先にある洋館の屋上に人影がある。仕掛けてくるのだろう。進路を車が塞いでいる。追突して停まると、撃ってきた。頼りの春日は、止めろと言っても酒を飲み続ける。クライアントを守れと春日を残し、走り数人を倒す。

    吉祥寺バウスシアターでレイトショウ、松江哲明監督『ライブテープ(20)』
    財布から5円玉(?)を出し、賽銭箱へ投げ、柏手を2回打つ娘(長澤つぐみ)。ピンク色の着物の着付けは素人目で見てもヒドい(苦笑)。着付けしてもらって外出し、どこかで脱いでしまったので、何とか自分で見よう見まねで着てみましたという感じ。初詣の参拝者の行列は長い。その横を娘は鳥居から出て行く。武蔵野八幡宮らしい。鳥居脇に、天然パーマ、黒サングラス、ヤマハのFGを下げた男が立っている。歌い始める。『18の夏』「失楽園で抜いてた…18の夏~♪」歩き始める。目の前の信号を渡りながら歌う。『豆腐』「♪豆腐のような毎日を~♪」
    サンロードに入って『こころに脂肪がついちゃって』「♪こころに脂肪がついちゃって~♪」
    ナチュラルハウスの前しゃがんで歌いだす、『100年後』「♪100年後、君と待ち合わせ。あの角の2階にある喫茶店で待ち合わせ~♪」バウスシアターの時計は、15時16分を指している。松江「今、82?120で!!」藤野「140で行く」
   金子印店前からABC前の信号を渡り、再び『こころに脂肪がついちゃって』を歌いだす。サンロードを歩き始め、ホープ軒の路地に左折し、目の前の自販機でホットの飲み物を買い、手を温めながら飲む。松江「もうちょっとカッコ悪く。出せます?」「はい」『マン・ション』歌い始める。「♪~自動販売機で~♪」再びサンロードを歩き、伊勢丹方向に右折。松江「いつも、サングラスを掛けて歌っていますよね。今日はちょっと取りません?」一度手を伸ばすがいったん躊躇、しかし、思い切ってサングラスを外し、向こうから歩いてきた母子連れの男児に「あげるよ」と言って手渡す。
   『このカラダ』を歌いながら、佐藤肉店の横を通り、いつの間にかハモニカ横丁に入って行く。二胡の奏者がいる。いつの間にか合奏になる。『ロマンスカー』歌っていると「めざましテレビ」の大塚さん似のおじさんが脇をすまなそうに通って行く。店の椅子に座り、フィンガーピッキング。再び歩き始め、バス通り、気がつくとポケットからサングラスを取り出し再び掛ける。『メッセージ』吉祥寺ロンロンの南北連絡路に入って行く。
    南口カレー屋のシャッター前でアルペシオ。『ダンス』気がつくと横断歩道の先、ドトール前にサックスを持った男が立っている。いつのまにか、サックスとのデュオに。五日市街道を渡り、山梨中央銀行前に。カメラ信号が変わり渡れない。松江「前野さん!そこでサッドソング!!!」『sad song』歌い始める。カメラと松江追いつき、歩き始める「サングラス持ってたんですね。男の子にあげたちゃったのに。今回の段取りと違うんじゃないですか?」「いつも掛けて歌っているし・・。掛けないと見えない・・・。景色が見えないんだ・・・。」
  武蔵野公会堂前で『青い部屋』を歌いながら歩く。立ち止り、松江入ってくる。「天気予報を作ったのはいつでしたっけ」「6年前?2001年?突然、父が心筋梗塞で倒れたっていうメールが母からあって・・・、倒れて死んじゃったって。親父がいきなり死んじゃって途方に暮れて・・・。その頃、歌をやり始めていた頃で。親父とのやりとりで、携帯ばっかいじっているという言葉が出て、一気に歌詞を書いた。」「お母さんは聞いているんですよね」「お母さん・・・聞いているんです」「何か言っています?」「健太らしくていいんじゃないのとメールが着て・・・。結構客観的で・・・」


    月曜メンズ1000円のせいだか、祝日のせいだか凄い人だ。100人以上の入場だ。