2009年11月21日土曜日

若いって素晴らしい(苦笑)

    午前中は宅急便を待ちながら、雑誌や本、新聞の整理。例によって、出て来た本を読み始めると、全く捗らない。
 
   神保町シアターで、日本文芸散歩。
    57年大映東京田中重雄監督『永すぎた春(657)』
   本郷の焼け残ったT大の正門前に、古書店の雪重堂がある。主人夫婦、木田敬三(花布敬三)とむつ(滝花久子)、小説家志望の頼りない長男東一郎(船越英二)。古本屋の柱時計は、いつも遅れている。そんな家にも春は訪れる。店から、「二百円はとっても無理です」と言う声が聞こえる。妹の百子(若尾文子)だ。鹿児島弁の学生(早川雄三)は、麻雀に負けて、金を払わなければならない友人が待っているのだと言う。他の店で、180円と値段が付いているので、90円しか駄目ですと言うと、了解する学生。「しかし、噂通りの別嬪でごわすなあ」と言う。店員の春吉(伊藤直保)が、「そんなこと言ってもお嬢さんは駄目ですよ」と言う。百子は電話を取り、「分かったを、すぐ行く!春ちゃん店番頼むわね」と声を掛けて飛び出す。
   図書館の前で待つ百子の前に、宝部郁雄(川口浩)が現れる。「どこから電話をしたの?」「図書館の中からさ。」「で、郁雄さん、どうだったの?」「お袋が、大変だった」
あれこれと見合い写真を出す郁雄の母(沢村貞子)。「僕は誰も嫌だよ。」「やっぱり、郁雄さんは、あの古本屋さんの娘がいいのね」「母さんだって、彼女に会って、なかなかいいお嬢さんだって言ったじゃないか」「結婚するとなると、やっぱり家柄とか、釣り合いってものがあるでしょう。」「そりゃてんで古いや。法律的に言っても、僕たちは自由に結婚が出来るんだ。」「まあ、法律的にだなんて…。法科に入れるんじゃなかったわ…。」
郁雄「まあ、それから親父が帰って来て、卒業してからなら結婚してもいいので、婚約は認めて貰えたんだ。」「まあ、卒業まで、一年以上もあるわ。それに私お母さんとうまくやって行けるかしら…」と百子。「大丈夫さ。あれでもお袋は意外とサッパリしているから、考えを変えちゃうと思うんだ。」
   料理屋の個室に、郁雄と父(見明凡太郎)と母がいる。そこに、百子と両親がやってくる。婚約の席のようだが、両家の会話は全く噛み合わない。笑いを堪えられなくなった百子が部屋を出ると、郁雄も後を追う。廊下で笑い合う2人。郁雄は婚約指輪を百子に差し出す。
婚約をしたものの、郁雄が試験を終えるまで、会わないと約束していた百子は暇を持て余している。花を活けていた母のむつに、「退屈だわ。古市にでも行こうかしら」「止めておくれ。婚約中のお前が、古本市で大声を出していたことが先様に分かったら、会わせる顔がありません。」と言う。「それはそうかもしれないけれどやっぱり古市に出掛けることにするわ」
古市に百子の姿がある。法制史の本が出品され、客から頼まれていたことを思い出し、競りに参加する百子。どんどん上がって行く指し値。最後にいきなり900円に上がる。驚いて百子が振り返ると、従兄の一哉(入江洋佑)だ。「チータ!!競りは神聖なものよ。冗談はよしましょう」結局、法制史は百子が350円で競り落とした。
   郁雄の家の前に、百子と一哉の姿がある。「せっかくここまで来たのに、声を掛けなくていいのかい?」「あの窓の部屋で郁雄さんが勉強をしていると思うだけで、私は満足だわ。帰りましょう。」
百子の部屋に郁雄の姿がある。百子がお茶を持って上がってくる。「郁雄さんどうしたの?試験勉強をしなければいけないんじゃないの」「君は僕の勉強の邪魔をするんだ。勉強中に窓の外を見ると、君が見せつけるように、若い男と談笑をしている。それを見てから、僕は勉強の手が着かないんだ。」「あら、あなたは嫉妬をしたのね。春さん!一哉さんとわたしの関係を話して。」百子と和也は従兄同士で、今日の一哉の服装を説明する春吉。「分かったよ。恥ずかしいな。」郁雄と百子が口付けを交わそうとすると、まだ春吉が見ている。
      銀座のショウウィンドウに向かい、ベレー帽を直す百子。今日は久し振りに郁雄と、郁雄の友人で前衛画家の高倉竜二(川崎敬三)の個展を見に行く約束をしていたのだ。最近の郁雄が自分にマンネリを感じているのではないかと思った百子は、絵画の個展に合わせて、郁雄を驚かそうとベレー帽を被ってきたが、何だかしっくりこないまま30分遅れていた。高倉は郁雄に「どうも動員が少ないのは自分の才能のせいではないかと思うんだ」と愚痴を言う。「そんなことはない、僕は面白いと思うよ」と慰める郁雄に、会場にいた商業デザイナーの本城つた子(角梨枝子)が、そんな思いやりはいらないわよと声を掛けてくる。

    宝部之一(見明凡太朗)浅香千鶴子(八潮悠子)浅香あき(村田知英子)きくえ(如月敏子)おはま(村田扶実子)中座(守田学)出っ歯の男(伊達正)山崎夫人(岡村文子)横山夫人(耕田久鯉子)藤田夫人(志賀暁子)今井夫人(香住佐代子)辻夫人(楠よし子)森川夫人(目黒幸子川田夫人(新宮信子))
眼鏡をかけた女の子(久保田紀子)多美子(樋口登志子)女学生(小田桐桂子花作の女中(鍵山寿子)

  若尾文子と川口浩の若いカップルに、角梨枝子が誘惑するという図式はどこかで見たなあと思うと、同じ田中重雄監督の58年に、同じ大映東京で撮った『愛河』だった。川口は東大生から、早稲田を出て商社に就職した新入社員。数年後のふたりのようだが、今回は在学中に結婚してよかった、よかった。まあ、現代なら結婚式前の“本当の結婚(笑)”に悩んだり、結婚してからの、外での“本当の結婚(笑)”への罪悪感も無くなったと思うので、昨今の結婚の意味について、あまりに日本人の貞操観念の堕落に、原作を書いた三島由紀夫は草葉の陰で切歯扼腕しているかもしれない。



     赤坂見附グラフィティで、実籾の歌姫のライブ。

2009年11月20日金曜日

親は親同士、子は子同士・・・なのか・・・。

   昼から講義2コマ。
   ポレポレ東中野で、女優 岡田茉莉子
   65年中日映画社吉田喜重監督『水で書かれた物語(656)』
  某銀行上田支店のシャッターが降りる。中では伝票の整理と現金の計算で忙しい。行員の松谷静雄(入川保則)は、伝票の束の中に何も書かれていない封筒を見つける。中の便箋には「松谷静雄さま。橋本由美子は、果たしてバージンでしょうか?」と書かれている。銀行の通用口を出ると、クラクションが鳴らされる。乗用車が一台止まっている。運転席には婚約者の橋本ゆみ子(浅丘ルリ子)、後部座席には、由美子の父で地元デパートの社長伝蔵(山形勲)が乗っている。伝蔵は「今日は遠乗りをするんだろう。野暮なことはしないので、私は途中で降りるから。」と言う。
  事実、伝蔵は、途中「山崎の奴が、静香さんとの再婚の話を進めてくれないかと言っているんだ。」と、静雄の母靜香の話をひとしきりすると、橋本家の別邸で降りて行った。「あの家、今何になっているんだ?」「いいえ、留守番のお婆さんがいるだけよ。」
   伝蔵が中に入ると、女物の草履と日笠が玄関に置いてある。離れに歩いていく伝蔵。そこには、先ほど話に出た静雄の母、靜香(岡田茉莉子)の姿がある。「いや、お待たせしましたな。ところで、静雄くんは式は質素にと言っているが、一人娘の結婚はそういう訳にはいかん。」「静雄に話してみますわ。」婆や(田中筆子)がビールを運んでくる。「あんたという人は変わらないなあ。」「もう、10年以上にもなりますわ。」「あんたと、またここでわしが会おうとは思わなかった。」靜香の手を握ろうとする伝蔵。
    ドライブをしている静雄と由美子。由美子がハンドルをきり、旅館の方へ向かう。「まずいよ。」「父は、私が結婚する気になっただけで喜んでいるのよ。何も言わないわ。」
旅館の敷地を先に歩いて行く由美子。温泉に入っている静雄。洗い場で顔を洗っている。ふと振り向くと、湯船の中に幼い頃の静雄の姿がある。「静雄ちゃん」靜香が呼ぶ。母の周りをぐるぐると回る静雄。静雄が腰かけていた洗い場には、靜香の夫で、静雄の父、松谷高雄(岸田森)の姿がある。湯船の中の妻と子供を幸せそうに眺め、「静雄、身体を洗ってやろう。」と呼ぶ。静雄の身体に石鹸をつけ洗ってやる。突然苦しみ出す高雄。喀血する。「あなた!!」と靜香が叫び、夫を支え、「まだ、お風呂はいけなかったのかしら・・・。」
  現代、浴衣姿で部屋に戻る静雄。由美子に「この旅館、戦争中に来たことがあるよ。」由美子、静雄を誘う。「いいのよ・・・。」「いや。」「おかしいわ、私たち夫婦になるのよ。」「いいんだ、式を挙げるまではちゃんとしたいんだ。」「こんなことを気にしているの?」否定して、会社で受取りポケットに入れていた「橋本由美子は処女でしょうか。」という手紙を由美子は読んだようだ。手紙を取り上げ、灰皿の上で手紙を焼く静雄。
   日傘を差し、橋の上を歩く靜香。「静雄ちゃーん。」河原で10歳くらいであろうか同級生と遊んでいる静雄。静雄の友達たちが口ぐちに言う。「静雄のお母さんは本当にきれいだな。」「俺静雄のお母さんの夢を見たよ。」「えっ?」「お前知らないのか。」ガラス板に口から水を吹きかける友人。
   宴会の座敷から酔った静雄が出てくる。足がふらついている。芸者花絵(弓恵子)が声を掛ける。「静雄さん。大丈夫?」「接待酒だ。」「静雄さん、さあ行きましょう。」「何で僕の名前を知っている?」布団が敷かれた部屋に静雄を連れ込む花絵。座敷では、上座に座った伝蔵がご機嫌で手拍子を打っている。「由美子さんとは中学の同級生なの。社長が、女将さんに頼んだことなんで、いいのよ。」自ら帯を解き、静雄を誘う花絵。
   夜遅く、静雄帰宅する。門には静雄と靜香の表札が二つ掛けられている。静雄が洗面所で吐いていると靜香起きて来て、「ずいぶんと飲んだのね。結婚前なんだから少しは控えなさい。」「橋本の親父さんと少し飲みました。」「塩水を飲んで、全部吐いちゃいなさい。楽になるわよ。」
   もんぺ姿の靜香が、伝蔵の別邸に向かう。小学生の静雄は後をつけている。別邸の門をくぐる靜香。静雄も続いて中に入って行く。離れに入る靜香。目が覚める静雄。二日酔いなのか頭に手をやり顔を顰める静雄。「静雄さん」と靜香が呼ぶ声がする。「珍しい人が来ているのよ。」1階に階段を降りると客間に、靜香の花の弟子だった山谷みさ子(加代キミ子)が娘を連れて来ていた。「まあまあ、静雄ちゃん立派になって。この度の縁談、わたし自分のことのように嬉しくって。お師匠さまの生け花の後援者でもある橋本社長のお嬢さんでしょう。本当によかったわね。」「みさ子さん、子供は二人?」「もう一人、お腹の中に3か月。」
   中学生になった静雄が帰宅する。家の前で、靜香の弟子の娘たちが、静雄ちゃん、静夫ちゃんと取り囲み、からかう。家に入り、母とみさ子が話しているのを窺う。「みさ子さん、あなた、男の人、こんど旦那さまになる方が初めてじゃないわよね。でも男の人は、そういうことをとても気にされるから・・・。」「酒造り屋の若旦那で、東京の大学に行って、サッカーばかりしている人なんです。」「大事にしなさいね。」「お師匠さまと、お話が出来てすっきりしました。」帰ろうとするみさ子を呼び止め、「ちょっと買い物に行きたいので少し留守番をしてもらってもいいかしら。」と靜香。残ったみさ子は、「静雄ちゃん。静雄ちゃん」と2階に声を掛けるが、返事はない。2階の自分の部屋で机に向かっている静雄(中川いたる)。みさ子が上がってくる。「やっぱりいたのね。」静雄に体を寄せて、「静雄ちゃん、私はもうすぐ結婚するの・・・。」更に体を寄せて、「お師匠さんに内緒よ・・・。」と言って顔を近付けるみさ子。
   再び、白い封筒が届いた。すぐ近くの女子行員の下島京子(三村薫)の挙動がおかしいのに気が付いた静雄は、廊下の外に出て、「どうして、こんなことを」「わたし、あなたが好きでした。」「でも、これは君の文字じゃない。男の字だ。誰に頼まれた?誰に利用されたんだ?!」伝蔵が社長をするデパートに行き、ウィッグ売り場の男の店員村田(中村孝雄)に封筒を見せる静雄。デパートの屋上で、「社長には内緒にしてください。絶対クビになってしまう。」「先日の内容はともかく、今回の僕の母が社長と関係があったというのは本当か?」「噂ですよ、噂。お二人が歩いているところを見かけたのは事実です。」「結婚相手の親同士が会うことに不思議はないだろう!!」と言って、村田の頬を打ち、足早に帰って行く静雄。

山崎支店長(桑山正一)橋本光枝(益田愛子)

2009年11月19日木曜日

寒い一日。

  ニコ生で、「JASRACシンポジウム2009~ネット配信のビジネスモデルと権利処理システムの構築に向けて~」を見ているうちに、というか聞いているうちに、キリが無くなり、「ゼロの焦点」を見に行くつもりが間に合わなくなる。新宿ジュンク堂で、本を漁ってから、

  下高井戸シネマで、
  沖田修一監督『南極料理人(655)』
  1997年南極。ドームふじ基地。日本との時差6時間、南緯77度19分、東経39度42分、標高3,810m、年平均気温-54℃、昭和基地から1,000kmも内陸へ入った、富士山よりも標高の高い基地。その気温ゆえにそこはペンギンもアザラシも、ウィルスさえ存在しない。その標高ゆえに水は100℃に達さず85℃で沸騰してしまう。そのため、麺類は普通に茹でると芯が残る。
  走って逃げる男を追い掛ける二人。もう嫌だと言う若者に逃げる場所はないのだと諭し、麻雀をやろうと言う男。西村淳(堺雅人)が夕食の支度をしている。刺身を切り、天麩羅を揚げ、サラダ、鰤の照焼き、ぬた・・・。
   第38次南極越冬隊のうち、ドームふじ基地の8人の男たちが食卓を囲む。川原靖(高良健吾)"兄やん"大学院から派遣された雪氷サポート、平林雅彦(小浜正寛)通称"平さん"大気学者、西平良(黒田大輔)通称"盆"通信会社から派遣された通信担当、福田渚(豊原功補)札幌の医大より派遣・通称"ドクター"、兼田宏(きたろう)通称"タイチョー"気象庁から派遣された気象学者、御子柴靖(古舘寛治)通称"主任"自動車メーカーより派遣された車両担当、本山敏之(生瀬勝久)通称"本さん"雪氷学者、西村淳、海上保安庁から派遣された調理担当。
   翌朝、西村がカセットをラジカセに掛け、館内放送で流す。各自部屋から出てきて、洗面所に向かう。歯を磨く者、髭を剃る者、洋式便器に座っている本さん、盆と平さん並んでいる。「見るな!」と本さんが叫ぶが、少し下がるが、すぐに元通りになる。テレビ体操のビデオをドクターが流し、それに合わせて体操をする退院たち。食卓を囲み、隊長の指示で各自の今日の予定を報告する。平さんが、造水槽が25cmも減っていると言う。氷はあっても水は溶かして作るしかできないので大変貴重品なのだ。食事を始める。せっかく味付け盛り付けに、西村が細心の注意を払った食べ物を、無言で食い散らかす隊員たち。
   西村の妻・みゆき(西田尚美)が赤ん坊を背負って買い物をしている。家では西村は、長女の友花(小野花梨)と長男と三人で川の字に寝転がってテレビのアニメ番組を見ている。西村が放屁をすると、思いっきり西村の尻を殴る友花。帰宅した妻が夕食の仕度をしている。鳥の唐揚を揚げている。食卓、唐揚を箸で取った西村が、「油っぽいなあ。二度揚げしないとカラッと揚がらないんだよ。胃にもたれそうだ。」と言うと、「それなら食べなきゃいいじゃない」と怒る妻。娘の友花も「食べなきゃいいじゃない。」と繰り返す。テレビを見たまま椅子の上で胡坐を組んで食事をしている友花。テレビを消し、胡坐をかくなと言う西村。平然とテレビをつけ、「うるさいなあ」と友花。
   海上保安庁、船長(嶋田久作)が、西村の先輩の鈴木次郎(宇梶剛作)を呼び、南極越冬隊への派遣が決まったことを報告する。鈴木は子どもの頃から南極に行くことが夢だった。海上保安庁に入り20年念願の夢が叶ったと涙を浮かべる鈴木に、西村たち後輩は拍手をし、胴上げをする。しかし、ある夜、鈴木はバイク事故を起こしてしまう。船長は、西村を呼び、「鈴木の代わりとして、南極越冬隊員に選ばれた。おめでとう」と言い、握手をしようとする。手を出そうとしない西村。「おめでとう」と再度言いい、無理矢理手を握る船長。「家族と相談して、決めます」と何度も言う西村。「おめでとう」と表情を変えずに言い続ける船長。
KDD清水さん(小出早織)

   終わってから、友人のハイブリッドコピーライターのT氏とラジカル鈴木氏のトークショー。アースフェスタ世田谷の地球と食の映画祭の一環なのだ。

2009年11月18日水曜日

あぁあ中央線よぉ、空を飛んで あの娘の胸に突き刺ぁされぇ

    メールの整理やら、学校のレジュメ作りやらしていると、あっと言う間に、昼。
   慌てて、昼飯を食べ学校へ。3コマあるのだが、何だか終日眠い日。1年のイベントに関して、学校での稟議などハードルが結構あることが判明する。しかし、企画は進み、面白くなってきたので、なんとか実現するぞ。
  それから、編集専攻2年の2人を連れて、池袋のライブハウス「林ん子屋(リンゴ屋うーんどうなんだ)」で、浅草の歌姫・辻香織のバースデーライブ。何か花束でもと一応思わないでもなかったが、会場に着き開場まで結構時間があったので、電車賃しか持たない教え子二人を連れて飯を食いに。自分は飲んでいるうちに、結構絶好調に。
    ライブは良かった。ワンマンでのライブ(対バン無し、サポートミュージシャン無し、ゲスト有り) は、かなり落ち着いていい感じで時間が持つようになったなあ。
    アンコールに客席からのリクエストで「一本道」。(一応説明すると、友部正人の歴史的名曲。1970年代前半、中央線沿線に住むひねくれたガキには吉田拓郎の「高円寺」よりも、この曲か、RCサクセションの「国立市中区3-1」だった。)この後の西日本ツアー追っ掛けたくなる(笑)。ワンマンの京都行きたいなあ。ただのファン状態(苦笑)。
    打ち上げ誘われるも、盛り上がって、ツアー着いて行くと絶対宣言してしまうので、遠慮する。

2009年11月17日火曜日

打合せ多いが、成約なし。

     午前中は大門の歯医者。神谷町まで雨の中歩いて、元同僚と昼食。愛宕にあるちょっと変わった蕎麦屋。外は行列、中は超満員。ラー油が効いた汁で蕎麦を喰うのだが、辛いのと満員で暑いので汗をかく。外に出ると急に冷える。
    それから、提案している企画についての打合せ。進捗遅いなあ。内部にいて板挟みになるのと、外部にいて板挟みになるのはどちらがキツいのだろうか。自分は板挟みに慣れっこなので、キツくはないのだが、状況が分かるだけに外の人に説明して分かってもらうことは難しい(笑)。
     有楽町にある放送局に企画提案。音源が存在すれば出してますよと言われる(苦笑)。そりゃそうだ。超ウルトラ企画だと思ったのだが、誰も思いつくよな(苦笑)。ただ、忙しい中時間を割いてくれたT氏、やっぱり人物だなあ。一緒に仕事したいなあ。最後に、まあ駄目なところから何でも始まりますよねと言ってくれて、嬉しい。
     四ノ橋のデザイン会社に。雨だし、日を改めていいですよとメールを貰ったが、強引に押し掛ける。何とか仕事を貰い帰る。博華で餃子とビールで始めて、調子に乗って、冷奴と老酒燗。

2009年11月16日月曜日

やなかあうん。

    シネマート新宿で、舩橋淳監督『谷中暮色(652)』
    谷中霊園に続く桜並木。咲き誇ったソメイヨシノの下、散歩をする老若男女、ジョギングする男。墓地の中、法事の団体、天正寺五重塔跡と言う石碑。鬼ごっこをする保育園児たち、住んでいるのか分からない古びた家屋、路地、緑のおばさん…。
   谷中とは、本来上野と本郷という2つの台地に挟まれた谷を言った…。
    常在寺、山門を開け、支度をする老婆。目が不自由なようだ。本堂の掃除を始める…。ハタキを掛け、畳を箒で掃き、雑巾モップで板の間を拭く。僧侶が朝のお務めで読経をしている。
   桜並木を自転車で走る娘、かおり(佐藤麻優)。谷中フィルム協会に入って行く。「吉田さんのところにはフィルムありませんでした。」山崎、「ひょっとして、フィルムありませんかとだけ聞いたんじゃないでしょうね。」「ええ。」「いきなり知らない若い人が来て、古いフィルムを下さいと言っても無理よ。お年寄りとは、時間を掛けてゆっくり話して信頼してもらって初めて相談が出来るの。私は、吉田さんと30分程電話で話した上で、谷中の古いフィルムを探していると言ったら、あるかもしれないので探しておくと言って下さったのよ…。まだ探していないかもしろないから、探すのをお手伝いしましょうかと言うところから始まるのよ」「そうだったんですか…。」

   久喜、十兵衛(野村勇貴)、79才の郷土史家加藤勝丕、かおり、お浪(佐藤麻優)80才になる谷中日蓮宗常在寺の盲目の墓守小川三代子、久喜の相棒・平八(藤田健吾)源太親分(友松タケホ)お吉・若宮さん(若柳禄扇)谷中フィルム協会の山崎さん(山野海)青野(阿部亮平)清吉(新井秀幸)ゲーセンの男(八重樫慎)

   かなり良かった。ドキュメンタリーを混ぜながら、谷中五重塔のフィルムを探すドラマの現在と、幸田露伴の「五重塔」を原作とする五重塔を作る宮大工の江戸時代の時代劇の交錯は、なかなか見応えがある。勿論、時代劇風ドラマは、京都撮影所のスタッフを使ったらなあとか、ドキュメンタリー部分もおいおい何でそこに三脚置きっぱなしなんだとか、目くじら立てたくなってしまうが、そんなものは関係なしに、伝わって来る。個人的に最後は少し長いと思うが・・・・。今年の邦画の中で、確実にもう一度見たいリスト入りが確定だ。
   今年の宮大工ものと言えば「火天の城」(笑)、完全に負けてますよ。

  神保町シアターで、日本文芸散歩

  60年東京映画豊田四郎監督『珍品堂主人(653)』。
    加納夏磨(森繁久彌)は珍品堂と呼ばれている。骨董屋ではなく、元学校の教師だったが趣味が高じて、美術鑑定家となっていた。骨董屋の宇田川(有島一郎)が留守宅に来ていた。 茶室に飾られている足利時代の灯籠は珍品堂が惚れ込んで手に入れたものだったが、宇田川らは偽物だと決め付けた。結局本物だと分かり、珍品堂の鑑定眼は知れ渡ったのだ。宇田川は、資産家の九谷(柳永二郎)のもとに唐三彩の壺を持込もうと思って、珍品堂に同行を頼みに来たのだ。九谷は、珍品堂の保証がないと買ってくれないのだ。
  珍品堂から電話が入る。妻のお浜(乙羽信子)が出ると、新橋の喫茶店からだと言う。宇田川が要件を話すとどうしても抜けられない 用事があると言う。しかし、九谷の所に行くと言うと、その気になったようだ。珍品堂は新橋の小料理屋の三蔵にいた。三蔵の女主人佐登子(淡路恵子)といい 仲になっており、一緒に外出する予定だったのだ。拗ねる佐登子に、店の改装費をこの仕事で用立ててやるとの空手形を残し、九谷の屋敷に出かける珍品堂。唐三彩の壺は怪しいものだった。珍品堂が本物だと太鼓判を押せば、九谷は承諾し、九谷からの目利き料と宇田川のキックバックが入るのだが、同意することはできない。茶道教授だという和装の美人(淡島千景)も、その唐三彩はどうかと言う。珍品堂は、目利きもできるらしいその女に心惹かれるが、九谷の目黒の使われていない屋敷を改造して料理屋にするというアイディアを話すために、外出する九谷の車に同乗する。
  目黒の屋敷で、久谷は珍品堂の事業計画を聞く。金はあるのかと尋ねられ、直ぐに百万、開店前に百万と答える珍品堂。
   珍品堂は、宇田川の下に何点かの骨董を持ち込み金に変える。渋々百万の小切手を切っておきながら、珍品堂の後にやって来た外国人客に、皿一枚を125万だとふっかけている。
   久谷との待ち合わせで三蔵に行くと、佐登子が赤坂のお座敷に上がっていた時分に、久谷は随分贔屓にしていたと言う。珍品堂が百万の小切手を出すと、久谷は「悪いが色々と調べさせて貰ったが、君はかなり無理をしただろう。君のことを器用貧乏だと言う人もいる。」と口を開く。改装費はいくら掛かると尋ねられ、二千万だと答える珍品堂に、久谷は百万の小切手を返した上に、全額自分が出してやろうと言う。頭を下げる珍品堂。
  久谷の屋敷で、店で使う器などの説明を珍品堂が久谷にしていると、内装の設計図を持って、先日のお茶の師匠がやって来る。名を蘭々女と言い、空間プロデューサーのような仕事をしているようだ。美しい蘭々女に珍品堂は気もそぞろだ。久谷は、彼女は魅力的だが、非常に金銭欲の強い男のような女だから気をつけろと忠告する。
  珍品堂は、店の名前を途上園と付け、料理人も板前の勘さん(石田茂樹)を選ぶ。女中頭には以前から佐登子をと思っていたが、蘭々女は、自分の内弟子の於千代(千石規子)を指名し、押し切られてしまう。女中の面接の日、番頭の村木(東野英治郎)経理係の佐々(林寛)下足番の格さん(若宮忠三郎)らが出迎える。
   応募者の2号は阿井さくら(横山道代)だ。典型的なアプレガールのさくらに珍品堂は当惑するが、蘭々女は即座に不合格と決めた。次の応募者は年増の新山さく(都家かつ江)。いきなり、奴さんを踊り出し、珍品堂は不合格だと思うが、蘭々女は合格だと言う。珍品堂が支配人の筈だったが、ほとんど蘭々女に仕切られている。
   鼻の下を長くしている珍品堂に、蘭々女は出入りしている質屋が持ち込んだ白鳳仏を家まで見に来ないかと言う。一目見るなり、珍品堂は惚れ込み、途上園開店準備で久しく帰宅していない自宅に戻る。妻に見つからないように茶室に行き、灯籠を手にする。一番大事な灯籠を手放しても、白鳳仏を手に入れたくなったのだ。あいにく妻に見つかるが、勝手にさせろと捨て台詞を吐いて、家を後にする。
   開店後、途上園は大好評を博す。珍品堂が選んだ器と、馴染み客の好み、残した料理などを記録した顧客カードを作ってまで、心を配って提供する珍品堂の献立は評判を呼んだのだ。 
  蘭々女は、女中たちの行儀作法を教えながら、気に入った女中利根(峯京子)き、入浴中に足を洗わせ、着物を買い与えるなど、徐々に本性を表し始める。

三蔵の小女(河美智子)蘭々女史(淡島千景)途上園の女中於千代(千石規子)番頭村木(東野英治郎)阿井さくら(横山道代)途上園の女中新山さく(都家かつ江)女中利根(峯京子)喜代(小林千登勢)板前勘さん(石田茂樹)格さん(若宮忠三郎)島々徳久(山茶花究)アルバイト学生佐山(高島忠夫)明子(市原悦子)会計助手佐々(林寛)白鳳仏
 
  森繁久彌主演映画都内映画館で続々上映と日経の東京版に出ていたが、別に関係なく編成されていた筈だったが、満員札止めに。本当は社長シリーズでも上映したら、いいんだろうになあ。

  89年東宝降旗康男監督『あ・うん(654)』
  昭和14年春、一軒の貸家を掃除をする門倉修造(高倉健)の姿がある。米櫃に米を入れ、風呂を沸かす。東京に向かう汽車に、水田仙吉(板東英二)たみ(富司純子)さと子(富田靖子)の家族がいる。三年半振りの東京勤務と門倉の話しで弾んでいる。

  昔見た時はそんなにいいと思わなかったが、今見ると丁度よい。高倉健のように渋い大人になりたかったが、どうしても人はいいのだが、浅慮で軽はずみな板東英二の方にしかなれなかったなあ(苦笑)。

  夜は、外苑前の粥屋喜々で、元会社の後輩から就職相談。

2009年11月15日日曜日

都々逸。

   ラピュタ阿佐ヶ谷で、昭和の銀幕に輝くヒロイン【第50弾】叶順子
   59年大映東京渡辺邦男監督『暴風圏(649)』
    タクシーが走って行く。曲がり角を曲がり見えなくなると、激しい衝突音がする。事故現場に駆け出す通行人たち。トラックに正面衝突したタクシー。乗客は亡くなっているようだ。遠くからサイレンが聞こえてくる。
    ゴルフ場、新島美沙子(叶順子)、「あのサイレンは何かしら?」「近くの工事現場で、ダイナマイトを爆破させる合図です。」と藤川俊之(高松英郎)。「これを入れればお嬢さんが優勝ですよ。」見事パットを入れて優勝する美沙子。
   「お父さんが交通事故で亡くなられたと言う電報が届いています。最終ホールの時には届いていたのでしが、僕の独断でお伝えしませんでした。僕の車でご案内します。」絶句する美沙子。「朝、お父さまに優勝すると約束してきたのに…。優勝カップを見せる相手がいなくなってしまったわ。」
家の仏壇の前に、美沙子と伯母のトキ(村田知栄子)がいる。つまんないわと言う美沙子に、喪に服すものですよと言うトキ。ピアノを弾こうとしてトキに止められる。お経を唱えるのならともかく…と言われ、「南無阿弥陀仏…南無阿弥陀仏…」と歌う美沙子。トキは耳を押さえて二階に逃げ出した。
    新島運送の会議室、交通事故死した社長の後任で、何日も会議が続いていた。新島社長が一代で築き上げた会社なだけに、社外から呼ぶと言う話も社内から昇格すると言う話も纏まらなかった。浦野専務(花布辰男)、山口専務(小原利之)を中心に社長の令嬢の美沙子を社長にしたらどうかと言う意見が出る。自分たちのロボットとして扱えれば好都合で、若い女社長ということにマスコミが飛びついて話題になれば宣伝費も掛からずいいじゃないかと言う。
   美沙子が山口に呼ばれて2時にやってきたが、山口は会議室に入ったきりで待たされていた。中に入ろうとして秘書室の田代隆司(菅原謙二)に止められる。社長のお嬢さんでも、重大会議だから駄目だと言う田代と、美沙子が言い争いをしていると、山口が出て来て、お嬢さんがいらしたら中に通せと言っていた筈だと怒られる田代。得意気に会議室に入る美沙子。重役たちから、社長就任を要請された美沙子は、人材難の会社なのね、外部から社長を呼ぶと、色々困ったこともあると言うことねと言って、ロボット社長は嫌なので、自分は全力を挙げて頑張るので、役員一丸となって協力すること、自分にちゃんと給料を支払うこと、見目麗しくて、優秀な男性秘書をつけることと3つの条件を出す。前社長秘書の田代は、頑固で、頭もそんなによくないと?がついたが、とりあえず社長就任を承諾する。何よりも、美沙子は経営学で大学院を卒業したばかりなのだ。
   秘書課の植草マリ(金田一敦子)は、運転助手の小坂(田宮二郎)と結婚の約束をしている。田代が、今住んでいるアパートを出てくれたら、そこに住みたいと図々しいお願いだ。
美沙子は、父親の墓に社長就任の報告に出掛けると、墓前で涙を流している美しい女性(水戸光子)がいる。かってお世話になったと言うが、ゆっくりお話をと言うと逃げるように走り去った。
   田代が下宿で、マリと夕食を取っていると友人の中川(早川雄三)がサックスがいないので、アルバイトをしてくれないかと言う。美沙子は、父親の形見になった?をゴルフ場に忘れていたのを届けてくれた藤川にお礼を言おうと藤川が経営するクラブリラに出掛ける。藤川は、何故か美沙子に社長就任は辞退したほうがいいと言う。必ず失敗して君の美しさを汚すと言う藤川に感情的になって反発する美沙子。ステージで演奏するバンドには、テナーサックスを吹く田代の姿がある。

 ポレポレ東中野で、女優 岡田茉莉子
 67年現代映画社/松竹吉田喜重監督『情炎(650)』
   石段を登って行く古畑織子(岡田茉莉子)。林の中にある庵で、歌会が開かれている。「あなたが、今日の会に来て下さるとは意外だった。」と能登(木村功)。「もう、歌を止めていると思っていました。」「五年前に止めました。」「告別式以来でしょうか。」「2月に無事に一周忌を終えました。」「そんなに経ちますか…。そういえば、告別式の日は、とても寒かった。」
   五年ほど前に遡る。和文タイプを打っている織子。そこに能登がやって来る。編集部を能登が出ると追い掛ける織子。「お話しがあります。」と声を掛ける。「私は桃井繁子の娘です。母と会わないで頂きたいのです。母はだらしのない女です。」「現代には、こういうおかしな親孝行もあるもんだな。」と応える能登。
   織子が帰宅すると、母親の繁子(南美江)が化粧に余念がない。「織子かい?私は出掛けるが、夕食の支度は出来ているよ。鯵の干物があるけれど、私は気が短いせいか、上手く焼けないので、自分で焼いておくれ」「嘘!お母さんは魚の臭いが自分の体に付くのがイヤなんだわ。これから男の人に逢うから…。」「親に向かって何てこと言うの?」「私昼間、能登さんに会って、もうお母さんと会わないで下さいと頼んだわ。」「えっ!?で、何て言われたんだい。」「現代には、こんなおかしい親孝行もあるもんだなって言われちゃったわ」「あの人は、そういう気の利いたこと言うだわ」と感心している母親。

   神保町シアターで、日本文芸散歩
   50年松竹大船大庭秀雄監督『帰郷(651)』
   1944年昭南(シンガポール)のカジノ。ルーレットを囲む客たちの中に、チャイナドレスの田代マダム高野佐衛子(木暮実千代)がいる。隣には中国服の華僑らしい男(佐分利信)。席を離れたマダムに目つきの悪い男(三井弘次)が、「隣に座っていた男の身元を探れ」と囁く。「今日はツイていないので、身包み剥がされちゃうからこれ以上は駄目よ」と応える。
   翌日、海岸で、マダム相手に、ここの海や空の色は日本とは全く違って美しいと熱弁を振るう報道部の画家小野崎公平(日守新一)。そこに海軍少将の牛木利貞(柳永二郎)が、会わせたい男が一人いるのだと声を掛けてくる。華僑の大物、明子葉の邸宅に、吉木を訪ねると、カジノにいた華僑のような男を紹介される。元海軍で牛木と同期だった守屋恭吉だった。牛木は、シンガポール参謀長の自分まで同行する大作戦があり、生きて帰れないだろうから、守屋を宜しく頼むと言う。守屋は色々と事情があって身が危ういのだと付け加えた。守屋は和装のマダムを見て、日本を離れて14,5年経ち、妻と娘の消息を知らないが、久しぶりに日本の空気に触れたと言う。しかし、マダムがかなりの量のダイヤモンドを買い漁っていることを知っていた。マダムは驚くが、華僑の情報網は確かなものですと事も無げに言う。

守屋伴子(津島恵子)高野信輔(徳大寺伸)隠岐達三(山村聡)節子(三宅邦子)岡村俊樹(仁科周芳→市川笑猿)岡部雄吉(高橋貞二)お種(坪内美子)


  下北沢スロコメで、後輩Kと、柳家紫文の都々逸
   ユルユルな感じでいいなあ。パンツのゴム伸びきった気分なまま、後輩Kと下北沢の街を歩き、珉亭に入り、ビールを頼んだ時点で、餃子売り切れを宣告される。調子が狂い、炒め物で飲み、〆に麻婆豆腐と中ライスを頼むと、通常、大盛丼分のライスが出てくる。卑しい我々は完食。苦しい…。膨満感に七転八倒しながら帰宅する。