ラピュタ阿佐ヶ谷で、昭和の銀幕に輝くヒロイン【第50弾】叶順子。
59年大映東京渡辺邦男監督『暴風圏(649)』
タクシーが走って行く。曲がり角を曲がり見えなくなると、激しい衝突音がする。事故現場に駆け出す通行人たち。トラックに正面衝突したタクシー。乗客は亡くなっているようだ。遠くからサイレンが聞こえてくる。
ゴルフ場、新島美沙子(叶順子)、「あのサイレンは何かしら?」「近くの工事現場で、ダイナマイトを爆破させる合図です。」と藤川俊之(高松英郎)。「これを入れればお嬢さんが優勝ですよ。」見事パットを入れて優勝する美沙子。
「お父さんが交通事故で亡くなられたと言う電報が届いています。最終ホールの時には届いていたのでしが、僕の独断でお伝えしませんでした。僕の車でご案内します。」絶句する美沙子。「朝、お父さまに優勝すると約束してきたのに…。優勝カップを見せる相手がいなくなってしまったわ。」
家の仏壇の前に、美沙子と伯母のトキ(村田知栄子)がいる。つまんないわと言う美沙子に、喪に服すものですよと言うトキ。ピアノを弾こうとしてトキに止められる。お経を唱えるのならともかく…と言われ、「南無阿弥陀仏…南無阿弥陀仏…」と歌う美沙子。トキは耳を押さえて二階に逃げ出した。
新島運送の会議室、交通事故死した社長の後任で、何日も会議が続いていた。新島社長が一代で築き上げた会社なだけに、社外から呼ぶと言う話も社内から昇格すると言う話も纏まらなかった。浦野専務(花布辰男)、山口専務(小原利之)を中心に社長の令嬢の美沙子を社長にしたらどうかと言う意見が出る。自分たちのロボットとして扱えれば好都合で、若い女社長ということにマスコミが飛びついて話題になれば宣伝費も掛からずいいじゃないかと言う。
美沙子が山口に呼ばれて2時にやってきたが、山口は会議室に入ったきりで待たされていた。中に入ろうとして秘書室の田代隆司(菅原謙二)に止められる。社長のお嬢さんでも、重大会議だから駄目だと言う田代と、美沙子が言い争いをしていると、山口が出て来て、お嬢さんがいらしたら中に通せと言っていた筈だと怒られる田代。得意気に会議室に入る美沙子。重役たちから、社長就任を要請された美沙子は、人材難の会社なのね、外部から社長を呼ぶと、色々困ったこともあると言うことねと言って、ロボット社長は嫌なので、自分は全力を挙げて頑張るので、役員一丸となって協力すること、自分にちゃんと給料を支払うこと、見目麗しくて、優秀な男性秘書をつけることと3つの条件を出す。前社長秘書の田代は、頑固で、頭もそんなによくないと?がついたが、とりあえず社長就任を承諾する。何よりも、美沙子は経営学で大学院を卒業したばかりなのだ。
秘書課の植草マリ(金田一敦子)は、運転助手の小坂(田宮二郎)と結婚の約束をしている。田代が、今住んでいるアパートを出てくれたら、そこに住みたいと図々しいお願いだ。
美沙子は、父親の墓に社長就任の報告に出掛けると、墓前で涙を流している美しい女性(水戸光子)がいる。かってお世話になったと言うが、ゆっくりお話をと言うと逃げるように走り去った。
田代が下宿で、マリと夕食を取っていると友人の中川(早川雄三)がサックスがいないので、アルバイトをしてくれないかと言う。美沙子は、父親の形見になった?をゴルフ場に忘れていたのを届けてくれた藤川にお礼を言おうと藤川が経営するクラブリラに出掛ける。藤川は、何故か美沙子に社長就任は辞退したほうがいいと言う。必ず失敗して君の美しさを汚すと言う藤川に感情的になって反発する美沙子。ステージで演奏するバンドには、テナーサックスを吹く田代の姿がある。
ポレポレ東中野で、女優 岡田茉莉子。
67年現代映画社/松竹吉田喜重監督『情炎(650)』
石段を登って行く古畑織子(岡田茉莉子)。林の中にある庵で、歌会が開かれている。「あなたが、今日の会に来て下さるとは意外だった。」と能登(木村功)。「もう、歌を止めていると思っていました。」「五年前に止めました。」「告別式以来でしょうか。」「2月に無事に一周忌を終えました。」「そんなに経ちますか…。そういえば、告別式の日は、とても寒かった。」
五年ほど前に遡る。和文タイプを打っている織子。そこに能登がやって来る。編集部を能登が出ると追い掛ける織子。「お話しがあります。」と声を掛ける。「私は桃井繁子の娘です。母と会わないで頂きたいのです。母はだらしのない女です。」「現代には、こういうおかしな親孝行もあるもんだな。」と応える能登。
織子が帰宅すると、母親の繁子(南美江)が化粧に余念がない。「織子かい?私は出掛けるが、夕食の支度は出来ているよ。鯵の干物があるけれど、私は気が短いせいか、上手く焼けないので、自分で焼いておくれ」「嘘!お母さんは魚の臭いが自分の体に付くのがイヤなんだわ。これから男の人に逢うから…。」「親に向かって何てこと言うの?」「私昼間、能登さんに会って、もうお母さんと会わないで下さいと頼んだわ。」「えっ!?で、何て言われたんだい。」「現代には、こんなおかしい親孝行もあるもんだなって言われちゃったわ」「あの人は、そういう気の利いたこと言うだわ」と感心している母親。
神保町シアターで、日本文芸散歩。
50年松竹大船大庭秀雄監督『帰郷(651)』
1944年昭南(シンガポール)のカジノ。ルーレットを囲む客たちの中に、チャイナドレスの田代マダム高野佐衛子(木暮実千代)がいる。隣には中国服の華僑らしい男(佐分利信)。席を離れたマダムに目つきの悪い男(三井弘次)が、「隣に座っていた男の身元を探れ」と囁く。「今日はツイていないので、身包み剥がされちゃうからこれ以上は駄目よ」と応える。
翌日、海岸で、マダム相手に、ここの海や空の色は日本とは全く違って美しいと熱弁を振るう報道部の画家小野崎公平(日守新一)。そこに海軍少将の牛木利貞(柳永二郎)が、会わせたい男が一人いるのだと声を掛けてくる。華僑の大物、明子葉の邸宅に、吉木を訪ねると、カジノにいた華僑のような男を紹介される。元海軍で牛木と同期だった守屋恭吉だった。牛木は、シンガポール参謀長の自分まで同行する大作戦があり、生きて帰れないだろうから、守屋を宜しく頼むと言う。守屋は色々と事情があって身が危ういのだと付け加えた。守屋は和装のマダムを見て、日本を離れて14,5年経ち、妻と娘の消息を知らないが、久しぶりに日本の空気に触れたと言う。しかし、マダムがかなりの量のダイヤモンドを買い漁っていることを知っていた。マダムは驚くが、華僑の情報網は確かなものですと事も無げに言う。
守屋伴子(津島恵子)高野信輔(徳大寺伸)隠岐達三(山村聡)節子(三宅邦子)岡村俊樹(仁科周芳→市川笑猿)岡部雄吉(高橋貞二)お種(坪内美子)
下北沢スロコメで、後輩Kと、柳家紫文の都々逸。
ユルユルな感じでいいなあ。パンツのゴム伸びきった気分なまま、後輩Kと下北沢の街を歩き、珉亭に入り、ビールを頼んだ時点で、餃子売り切れを宣告される。調子が狂い、炒め物で飲み、〆に麻婆豆腐と中ライスを頼むと、通常、大盛丼分のライスが出てくる。卑しい我々は完食。苦しい…。膨満感に七転八倒しながら帰宅する。
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