2009年3月21日土曜日

書きかけですが・・・。

    川崎市民フォーラムシアターで、生誕100年記念 松本清張 第1弾
    58年松竹大船大庭秀雄監督『眼の壁(166)』
    昭和電業の会計課長の関野がパクリ屋に3000万の手形を奪われ、伊豆山中で、鉄道自殺をする。会社は顧問弁護士の瀬川(西村晃)に相談したが、会社の不名誉でもあり泣き寝入りした。関野の部下の萩崎(佐田啓二)は、経緯を事細かに記した遺書を受け取る。関野は、今月末の支払いに、3000万足らず、取引先の明治銀行に借入も断られ困っていた。かって一度融通してもらったことのある、高利貸しの山杉商事に相談すると、自分の会社では無理だが、東洋相互銀行に強い人間を紹介してくれる。関野は東京駅で待ち合わせ二人の男に連れられ、東洋相互銀行の大山常務に会いに行く、応接室で大山は、手形を受け取り直ぐに部下に処理させると言って部屋を出たが戻らなかった。勿論偽物で、本物の大山は北海道に出張中だ。
   世話になった関野の死に釈然としない萩野は、東洋相互銀行に行き、代議士の岩尾輝輔からの紹介状で応接室を貸したと聞き、それを持って行ったという瀬川に尋ねるがはぐらかされる。次に山杉商事を訪ねるが秘書の上崎絵津子(鳳八千代)に社長への取次を頼むが出張中だと言われた。コーヒーでも飲もうと近くの喫茶店に入ると、絵津子が車で外出しようとしている。その車を追跡すると荻窪の大豪邸に入っていく。表札を見ると舟坂とある。
    新聞記者の友人の田村満吉(高野真二)を訊ね、舟坂のことを調べて貰う。舟坂英明は、政治家とも繋がっている政界ゴロで政財界の黒幕だった。本人に会ったことのある者は殆どいないらしい。銀座のレッドムーンのママが愛人という噂があると聞いて、言ってみる萩野。バーテンの山本(渡辺文雄)と、隣の客(多々良純)が話しかけてきた。そこで絵津子に会う。絵津子は白髪の男と一緒に、バーのVIPルームから出てきた。店を出た萩崎の後をつける男たちがいる。
  萩崎は、真相を田村に伝え、協力を仰ぐ、田村は近々同じ新聞社の広告部の永井章子(朝丘雪路)と結婚することが決まっていた。しかし、田村は全面的に協力することを約束した。レッドムーンで見かけた白髪の男は代議士の岩尾輝輔(山路義人)だったことが分かる。
   田村は萩崎を連れて、まず岩尾に会いに行き、岩尾の名刺がパクリ屋に使われたことを追求するが、どれだけ名刺を配ると思っているのだと逃げられる。更に、舟坂の屋敷を訪ねるが、事務局長の山崎(宇佐美淳也)に、舟坂は病気でインタビューには答えないと言われる。
  萩崎は、会社に出て専務の加賀(永井智雄)に、危ないことはやめろと言われるが、納得できないので、もう少し休暇を取って調べさせてくれと頼む。会社の入口で、弁護士の瀬川に会う。瀬川からも忠告をされる。会社を出ると、更にレッドムーンで会った客の田丸に声をかけられ、一緒に中山競馬場に行かないかと言われるが断る萩崎。田丸はバーテンの山本と競馬場にいる。山本は大金をあっという間にする。そんな山本を酒に誘う田丸。最後に行った曖昧飲み屋の二階で、田丸は山本に殺された。田丸は元刑事で、瀬川の法律事務所員だった。瀬川も、田丸の通夜の席から姿を消して、行方不明になった。
    萩崎は、再びレッドムーンに出掛ける。店の前で店のママと絵津子がタクシーから降りる所を見つけ、運転手に出発地を訊ねると羽田空港からで、名古屋行きの飛行機を見送ってきたんじゃないかと教えられる。その飛行機のスチュワーデスを捕まえ、名古屋からの列車の接続を気にしていた客がいたという情報を得る。その日、田村と章子の結婚式が開かれ、東京駅から熱海への新婚旅行への列車に、萩崎が乗り込んでくる。萩崎は、名古屋へ行ったのが山本だろうと報告し、名古屋からどこへ行ったか追跡しようと思っていると言う。一方、舟坂が伊勢に出向いたという情報が入っていた。章子は、自分は岐阜の叔母のところに行くので、仕事を思いっきりしろと言う。名古屋で途中下車する。空港から名古屋駅行きのバスの車掌、駅員に聞き取りをして、瑞波までの中央本線のどこかの駅で降りたことまでが判明する。to be continued.

     58年日活鈴木清順監督『影なき声(167)』
    毎朝新聞社の電話交換手を高橋朝子(南田洋子)は、ある日、社会部の石川(二谷英明)の電話の取次で、間違えて世田谷の質屋に繋いでしまう。電話に出た男は、東大の先生の家なんかじゃなくて、火葬場だ、と笑った。その質屋は強盗殺人に襲われている最中で、新聞社の交換手が偶然犯人の声を聞いたとして話題になった。それから3年が過ぎた。ある日石川は、偶然、街で所帯やつれした朝子の姿を見かけ、あまりの変貌ぶりに驚き、後をつけ、朝子が夫の小谷と暮らすアパートを見つける。
to be continued.

    渋谷シネマヴェーラで、昭和文豪愛欲大決戦!
    56年松竹中村登監督『白い魔魚(168)』。
    結城竜子(有馬稲子)は銀座を歩いていて、走って来る車に接触する。弾き飛ばされたハンドバッグを拾ってくれた親子連れは、車のナンバーを覚えていた。竜子は大したことはないと思っていたが、歩き始めて直ぐに倒れる。重村家の電話が鳴り、妹が兄の種雄を呼ぶ。病院からで、竜子が交通事故に遭った連絡だった。驚いて種夫が病室に行くと、10日の入院だが、元気な竜子。下着も含めた着替えを下宿から取ってきてくれと言われ、恥ずかしいと答えても強引な竜子。下宿に行き、下宿の内儀(沢村貞子)に要件を伝えると、竜子さんらしいが、私が持って行きますと断られ、立場がない種夫。
   その頃、銀座の洋品店篠宮に警察から電話がある。店の車が事故を起こしたので出頭しろと言う。女主人の篠宮紫乃(高峰三枝子)が運転手に言うが、全く記憶がないと言う。とりあえず、直ぐに、吉見(川喜多雄二)と警察に行って来なさいと命ずる。数日後、紫乃が竜子の病室を訪ねる。紫乃は竜子が車のナンバーを警察に通報したのかと思っていたが、違っていた。若くきれいで快活な竜子をとても気に入る紫乃。見舞いの花束を持たせていた吉見は、竜子の大学の先輩だった。竜子に店でのアルバイトを勧め、吉見には竜子を誘惑しないようにと言明する。紫乃が店に戻ると、義弟の蔵三郎(加東大介)が来ている。死んだ夫の妾だった元芸者の雪弥の子供を引き取って欲しいとの話だ。紫乃と夫との間には子供がいなかったため、義母が妾腹でもいいので、孫が欲しいのだ。納得できないと言う紫乃に、最近不良になって、雪弥も引き取って欲しがっているのだと説明する。
    種夫が竜子の病室に来ている。片手だけマニキュアを塗る竜子に、今必要ないんじゃないかと言うと、女子のたしなみだと答える竜子。大学の掲示板に、女子学生のイヤリング、マニキュア襟のない服を禁止するとの学生課からの貼り紙がある。それを見ていた種夫を劇研のメンバーが脚本の読み合わせだと誘いにくる。部室で主演の風間三三子(杉田弘子)の妹役をどうするか相談している。竜子が適任だと推薦する三三子。
    竜子が大学に出てきた。種夫が退院するのなら教えてくれればと言うと、本当は明日だったが、退屈なので出てきてしまったと言う竜子。竜子は、学生課の富樫(十朱久雄)と山際(水上令子)に呼び出されている。イヤリングとマニキュアについて追及されるが、納得しない竜子。その日、竜子は、紫乃に誘われ、吉見のアイスホッケーの試合に出かける。応援席の三三子たちが騒いで眉を顰めるが、紫乃と竜子は試合を楽しむ。食事のあと、紫乃と吉見に車で送ってもらった竜子は、下宿に帰ると、母親からの速達が来ており、岐阜の家の商売が先行かなくなっており、破産したら、学費や生活費を送ることが出来なくなるだろうとあった。直ぐに、岐阜行きの夜行に乗る竜子。
    岐阜の紙問屋の結城屋の暖簾をくぐる竜子。店は商品もなく閑散としている。兄の富夫(須賀不二男)が、母さんが手紙を出したのか、もうどうにもならないんだと言う。脳溢血で倒れた父親(北竜次)に食事をさせていた母(夏川静江)から言われ、顔を洗っていると、母がやってきて、義姉の若子が子供を連れて実家に帰ったことを告げる。翌日、故郷の景色を眺めていると、富夫がやってきて、破産するときにはみんな離れていくと自嘲気味に言う。そうはいいながらも、富夫は芸者に入れあげ、若子を苦しめてきたんじゃないのと言う竜子。大口の債権者の青木という人が竜子を気に入っているので、一度会って欲しいという富夫。
   その夜、債権者会議がある。しかし、竜子は、紫乃、蔵三郎、吉見が東京からやってきていた。長良川で鵜飼いを楽しむ。紫乃たちを旅館に送っていくと、竜子を訪ねて青木という客があるという。青木(上原謙)は、ちゃんと話したかったのだと言い、結城屋を、まず支援したい、そのことと竜子のことは別だと言う。父親を顧問、兄を相談役として結城屋を残し、全面的に再建のバックアップをするので3年やってみましょうと熱く語る。紳士的な語り口は竜子を安心させる。その夜、竜子は紫乃の旅館に泊まることになった。夜中、紫乃にを呼び、外への散歩に連れ出す吉野。眠っていた筈の竜子は、やりとりを聞き、肩を寄せ合い歩く二人の姿を目撃する。
   翌朝、岐阜駅に紫乃たちを見送りに行く竜子。特急つばめの少し後ろの席に座っていた青木が、ホームの竜子に声を掛ける。憂鬱な顔の竜子。店に帰ると、何も商品がない店の中で、従業員たちは暗い表情で座っている。何か月も給料が払われていないことで、皆が絶望していた。そんな中で、種夫からの手紙は竜子を勇気づけた。青木が動いてくれたことで、店に荷が付いた。ようやく従業員たちの顔に笑顔が戻る。しかし、そんな中、兄の富夫は、名古屋の妾のところに出かけたまま帰ってこない。青木から店に電話がある。美森製紙の殿村社長が会ってくれると言うので、直ぐに富夫に上京して欲しいというのだ。竜子は、代わりに自分が出かけることにする。
   東京の料亭で、殿村(中村伸郎)と青木と三人で会食をする。殿村は、経営は経理ではなく人事が大事だと考えているので、支援するかどうか会ってみたかったのだと言う。しかし、若く美しい竜子と飲んでご機嫌な殿村は、竜子を怒らせようと、老獪だと言い続ける。竜子は耐えられなくなり、杯を投げつけ座敷を出る。必死に竜子を留め、とりあえず、ここは納めてくれと言う青木。座敷に戻ると殿村は帰っていた。ホテルのバーで酒を勧め、慰める青木。疲れたと言う竜子を部屋の前まで送った青木は急に竜子の肩を抱く。竜子は激しく拒絶し、野蛮ですと言って部屋に入る。頭が混乱した竜子は、熱海に行っていると言う紫乃に電話をする。横には吉見がいたが、紫乃は、翌朝早く、こちらに来いと言う。
to be continued.
   

2009年3月20日金曜日

世の中は3連休なのか・・・。私は既に300連休を超えたな(苦笑)

   阿佐ヶ谷ラピュタで、昭和の銀幕に輝くヒロイン【第45弾】木暮実千代
   56年大映東京溝口健二監督『赤線地帯(163)』。
    吉原のサロン夢の里、巡査の宮崎に今国会で揉めている売春防止法のことで愚痴る女将の辰子(沢村貞子)。うちは吉原で四代300年になるが、戦後は素人の婦人への防波堤になれと言われ、立て直したら、借金返さないうちに商売止めろとはあんまりじゃないかと文句を言っていると、チンピラの栄公(菅原賢二)が耳打ちする。悪いことしてないだろうなと言う巡査に、ポンもスケも手を切りましたよと答える栄公。店の裏で、女将にスケのことを相談をしている。巡査が女郎たちに、売春防止法をどう思うかと尋ねる。賛成!と手を挙げた頼江(町田博子)に、頼ちゃんみたいにいい人がいりゃいいけど、アタシャ干上がっちまうねと言う。お上は仕事と住むところを世話するのだと言う巡査。鉄筋のいいアパートに入れてくれるのなら大賛成だねと言う年増女郎の夢子(三益愛子)。
    ちょうど店の主人田谷倉造(進藤栄太郎)が組合の寄合に出掛けるところだ。女将に今日はあまり、派手に客を引かないようにうちの子たちに言っておけと言う。布団屋のニコニコ堂の主人塩見(十朱行雄)が打ち直した布団を届けに来る。ちょうど二階から店のナンバーワンの安美(若尾文子)が降りてくる。ニコニコ堂は安美の馴染みだ。安美が、今日は入院した兄の見舞いだから会えないと言うと、今集金した金を渡して何か買ってやれと渡すニコニコ堂。安美は二階の自分の部屋に戻ると、やはり馴染みで泊まっていたメリヤス問屋の支配人の青木(春本不二夫)が、結婚の約束いつウチに来てくれるかと言う。自分には店に15万の借金があると答えると、それだけあれば、結婚できるんだねと言う青木。仕入れの日だからと帰ろうとする青木を蒲団に引っ張り込む安美。夢子が声を掛ける。化粧品が切れたので、20円貸してくれと言う夢子。
  所帯疲れの花枝(木暮実千代)が遅刻をして現れる。花枝は結核で失業中の夫と乳呑み児を抱えている。栄公が神戸の三ノ宮でズベ公をしていた ミッキー(京マチ子)を連れてくる。明るく、スタイルのいい彼女を女将は直ぐに気に入った。その夜、夢の里に田舎から夢子の息子の修一(入江洋佑)が訪ねてくる。厚化粧に派手な着物姿が恥ずかしく夢子は居留守を使うが、帰ったと聞いて、今まで以上に仕送りをしたい夢子が客を引く姿を影から見てしまい、母親の姿に耐えがたい修一。
  頼子の馴染客で、大阪から毎月来ている男ヒーさん(小川虎之助)がやってくる。関西出身同士盛り上がるミッキー。頼子は焼餅を焼いて自分の部屋に無理やり連れていく。夜が更け、花枝の帰り道、赤ん坊を背負った男が待っている。まだ食事をしていないという夫を近くの中華そば屋に連れていく。子供にミルクを与えながら、夫を励ますが、鬱屈した夫は後ろ向きなことしか口にしない。
    翌日、国会から戻ってきた田谷が、婆やのおたね(浦辺粂子)に女郎たちを集めさせ、お前らのことを考えているのは自分たち女郎屋だけだ、お上に変わって慈善事業をやっているのだ、売春防止法が通ったら、たちまち食えなくなって困るのはお前らだと一席ぶつ。ヒーさんが昼間ミッキーの客として上がった。ここの掟は仲間の客を取らないことだと怒鳴り込む頼子。私を買ったのは客だというミッキーと、古い魚と新しい魚、誰が考えても新しい魚を買うだろうと言うヒーさん。頼子は泣いて不貞寝をする。
    その夜、花枝、夢子、頼子の三人はお茶っぴきだ。もうほとほと女郎が嫌になったという頼子に、女郎の前借金は無効だという判決が出たので、辞めたければ辞めれるんだという花枝。頼子は、ゲタ職人の男との結婚を夢見て台所用具を風呂敷いっぱい集めていた。頼子がゲタ職人のところに行くことになった。花枝のアパートで送別会を開く。花枝の夫は、頼子の手を握り、よかった、あんなところにいつまでもいちゃいけない、人間のクズばかりだと、無神経に言う。つらそうな表情の花枝。安美からは餞別を入れた預金通帳、夢子からは夫婦茶碗、花枝からは目覚まし時計、ミッキーからは帰りたくなった時ように、交通公社のクーポン券だ。
   夢子は、息子の修一に会いたくなり、田舎に帰ることにする。寝たきりの舅(高堂国典)と姑(三好栄子)しかおらず、修一はおもちゃ工場に勤めるために上京したと言われる夢子。吉原に戻り、修一の工場に電話をする夢子。夜遅く花枝が帰宅すると、夫が首を吊ろうとしていた。生きていくために淫売に身を落としたんじゃないか、淫売やっても食っていけないで、何が文化国家だと言う。
    組合長の宮崎(加東大介)がニコニコ堂が夜逃げしたと言ってやって来た。安美は探しに出かけるが勿論見つからない。食堂で、馴染客の亀田(多々良純)が妻子と食事をしているところに、出くわす。亀田の妻は綺麗な人ねどちらの方?と尋ねる。役所のタイピストだと答える亀田。納得しない妻は、安美に、いつも主人がお世話になっていますと挨拶をする。青木に会う安美。いつ僕の家に来てくれるんだいという青木に、実は腎臓を悪くして一昨日退院したばかりで、また借金を作ってしまい、更に10万が必要になったのだと言う。
   近くの日用品店で、粉ミルクを買う花枝。ミッキーは化粧品を沢山選んで、掛けで頼むわと言って帰る。店の近くに痩せ衰えた頼子がいる。嫁いだ先は、人手が欲しかっただけで、毎日、げた作りを手伝わされ、その上、炊事、洗濯、掃除など寝る暇もないほどこき使われ、それだけ働いても酷い貧乏で、耐えられなくなって逃げて来たのだと言う。普通の主婦でそういうものよと言いながら、一緒に女将さんに謝ってあげると言う花枝。部屋で、金を数えている安美。ひとの気配がして隠すと、おたねだ。出入りの店への金を取り立てに行って来たのだ。駄賃を貰い、みんなあんたのことを女貫一と言っているよと言う。父親が役所の疑獄事件で小菅に入った時に、保釈金20万が工面できずに、どんな思いをしたか、私は金しか信用しないと言う安美。
   ミッキーの所に、神戸で貿易商をしている父親が訪ねてきた。去年の春母親が死んだと言う。泣くミッキー。三宮でズベ公やっているくらいならともかく、吉原で女郎をやっている噂で、みんな迷惑をしている。妹に縁談話もある、兄も成績はいいのだが、役所に勤められず自分の会社で働いている、母親は最後までお前が気がかりだといいながら死んでいったという。そんなにお母さんが可哀そうなら、何でお母さんを大事にしなかったのだ、私の極道は、お父ちゃんの極道を継いだだけやというミッキー。帰っていく父親。夢子は、何度電話をしても出なかった息子が会って話したいことがあると言う。うきうきと出かけると、女郎をしている母親のお蔭で迷惑をしているという。電話をしないでくれ、もう二度と会わないと言い、駆け寄る夢子を汚いと突き飛ばして去る修一。息子が成長し、一緒に暮らすことだけを楽しみにしていた夢子は、ショックのあまり気が触れた。また、安美は、青木がやってきて約束通り結婚してくれと言う出来ないと答えると、最初の15万も10万も店の金で、金を返すか、一緒に逃げてくれと言いだす青木。断る安美を殺そうと首を絞め、逃走する。なんとか一命を取り留めたものの、商売どころではなく、今日はもう店を閉めようと言う。主人夫婦。
   ニコニコ堂新装開店。安美が買い取ったのだ。夢の里にやってきて、夢子の布団の打直しを受ける。花枝たちにも、開店祝いのタオルを配る。二人も女郎がいなくなったので、九州から出たきたばかりの少女静子(川上安子)が店に上がることになる。静子は、静かに黙っていたが、店の玄関に出て、客に手招きをする・・・。


    川崎市民フォーラムシアターで、生誕100年記念 松本清張 第1弾
    60年松竹中村登監督『波の塔(164)』
    輪香子(桑野みゆき)が下諏訪駅に降り立つ。プライベートの旅行だったが、長野の役人たちが出迎え案内して回ると言う。輪香子の父親の田沢隆義(二本柳寛)は高級官僚だ。輪香子は、殿村遺跡に出かける。竪穴式住居の中に入って見ると、中で寝ている男を見つけ、驚いて悲鳴を上げる。男の名は小野木(津川雅彦)。原始人が好きで一晩泊っていたのだと言う。

     58年松竹大船野村芳太郎監督『張り込み(165)』。
     柚木(大木実)は先輩刑事の下岡(宮口精二)の妻(菅井きん)から銭湯の娘(川口のぶ)との縁談を持ち込まれている。実は高倉弓子(高千穂ひずる)と交際しているが、彼女は両親と妹の家計を支えていて、刑事の安月給で生活していく自信がない。今岡の家にいると、連絡があり、深川の質屋三川屋の強盗殺人だ。主犯の山田庄吉(内田良平)は数日後、山谷で捕まる。共犯の石井(田村高弘)の行方が掴めない。本籍地の山口か、3年前石井が上京する前の女の嫁ぎ先かどちらかに立ち寄る可能性があり、出張することになる。
     柚木は島崎と佐賀に向かうが、東京駅に新聞記者がいて、省電で横浜まで行き、鹿児島行き急行に飛び乗る。満員で座る場所もなく、夜とはいえ、真夏の暑い車両に乗り続け、佐賀に向かう。やっとの思いで、佐賀駅に着き、佐賀署に挨拶し、かって石井の恋人だった貞子(高峰秀子)の嫁ぎ先の真正面にある旅館に耕作機械の会社で営業をしていると言う。その日から貞子を見張り続ける下岡と柚木。年が離れ、3人の子持ちで、吝嗇で口五月蝿い銀行員の横川仙太郎(松本克平)に後妻として入った貞子は、毎朝家計費を百円を貰って家事一切合切をしている、年齢より老けて見える地味な女だ。

2009年3月19日木曜日

輿論は常に私刑であり、私刑は又常に娯楽である。

  
    新宿ピカデリーで、君塚良一監督『誰も守ってくれない(162)』。
    中学校の体育の授業中、楽しそうに球技をしている少女。住宅街の一戸建ての家の前に車が止まり、戸惑う主婦に捜査令状を見せ、踏み込む刑事たち。
東豊島署防犯係の刑事勝浦卓美(佐藤浩市)は、後輩の三島省吾(松田龍平)と、娘へのプレゼントを買っている。勝浦は妻とうまく行っておらず、味方してくれている娘にそれを贈り、3日後から休みを取って久し振りに家族旅行に出掛けようと思っていたのだ。しかし、豊島区姉妹殺人事件の応援に呼び出される。容疑者は18歳の少年。加害者家族をマスコミや野次馬たちの追及から守らなければならず、容疑者の妹の船村沙織(志田未来)の保護を、勝浦と三島は担当させられる。
   容疑者の少年宅は、マスコミでごった返し野次馬含め大変な騒ぎになっている。容疑者の家族を保護の目的に、区役所員、家庭裁判所員などが訪れ、母親の旧姓に変えるために、父母の離婚と結婚の手続き、また、妹の就学義務の免除手続きなどが事務的に執り行われる。警察署ではマスコミの目があるので、父親と妹は事情聴取のために、別々のシティホテルに、母親は現場検証の立ち会いを求められる。沙織は母親にこの家で兄を待とうと言うが、両親は動転もあり、警察に言われるままだ。
   勝浦と三島は、沙織を車に乗せ新宿のホテルに向かおうとするが、マスコミの車が何台も追走し、容赦なく沙織にフラッシュを浴びせかける。運転する三島は全速力で撒こうとする。地下駐車場を利用して何とかホテルの部屋に沙織を連れて行くが、直ぐにマスコミに発見され慌ただしく移動することに。   次に指定された杉並区清水の親戚の家もマスコミに囲まれ、叔母が取材を受けている。三島に家宅捜索の手伝いの指示はあるが、沙織を隠す場所はなかなか決まらない。困った勝浦は自分の部屋に連れて行く。沙織が携帯を家に忘れてきたが、友達からのメールなど他人に見られたら死ぬと言い出す。勝浦は家宅捜索中の家に行く。どうも容疑者は完全黙秘しており長引きそうだと聞き、溜め息をつく。母親がトイレに入ったまま出て来ない。嫌な予感がした勝浦はドアを壊して中に入ると母親は首を括っていた。藤浦は必死に心臓マッサージを繰り返すが、意識は戻らない。
    勝浦が沙織の携帯を取りに行っている間、沙織には、尾上令子(木村佳乃)が付き添っていた。彼女は精神科医で、勝浦は患者だった。かって覚醒剤捜査で、売人を捕まえるために上司の指示で、中毒者を泳がせていたら、ナイフで通りがかった男の子を刺殺した事件は、勝浦の責任となり精神的なバランスを失い、定期的なカウンセリングを受けていたのだ。
    沙織の母の死にショックを受けた勝浦は、再びパニックを起こしそうになり、懸命に抑えていた。自室に戻り、沙織に携帯を渡して、令子の自宅に移動して、母親のこと彼女に伝えて貰おうとした時に沙織の携帯が鳴る。沙織のボーイフレンドの園部達郎(冨浦智嗣)からの電話だったが、自分の母親が自殺したと報道されていることを知ってしまう沙織。警察がついていたのに、母親が死んだことにショックを受け、勝浦を激しく非難する沙織。
   東洋新聞社会部の遊軍記者梅本孝治(佐々木倉之助)は、容疑者宅から沙織を連れて行った刑事に記憶があった。社に戻り、資料を探し、3年前の覚醒剤中毒者による行きずり殺人で、警察が捜査の拙さを追及された時の担当刑事だったことがわかる。加害者家族を庇う刑事が、かって行きずり殺人の担当であることを暴き、警察を弾劾する記事を書く梅本。梅本の息子が学校でイジメを受けた際に、教師たちに放置され、不登校になってしまっていることもあり、公務員を憎んでいた。勝浦の自宅住所を調べ、尾上の自宅まで尾行する梅本とカメラマンの佐山(東貴博)。
   令子のマンションのチャイムが鳴る。梅本は、沙織のインタビューを取らせろと言う。加害者の家族を守るためにお前ら税金を使いやがってと罵る。署に戻って、係長の坂本(佐野史郎)に何時になったら、沙織の保護する場所の指示が来るんだと尋ねる勝浦。しかし坂本は、兄が証言しないので、所轄で妹からの調書を取ることで、自分の成績を上げたいので止めていたのだ。この仕事から下ろしてくれと言う勝浦に、新聞の早刷りに梅本が書いた警察を非難した記事が載っており、もう逃げられないと冷たく指示をする。
   翌日の早朝、勝浦は沙織を連れ令子のマンションを出る。本来家族と泊まろうと思っていた西伊豆のペンション本庄に向かう。オフシーズンの海沿いのペンションは、誰にも分からない筈だった。実はペンションのオーナー夫婦本庄(柳葉敏郎、石田ゆり子)は、3年前覚醒剤中毒者に寄って、幼い息子の命を奪われた両親だった。事件を受け止め夫婦で生きて行こうとした本庄夫妻しか、頼る先はなかったのだ。その頃、ネット上での豊島区姉妹殺しの容疑者一家をバッシングは暴走していた。容疑者少年の本名、顔写真、住所がどんどんアップされ、ついには沙織の写真から、保護している勝浦刑事の名前と住所が上げられている。
   夕食後、本庄夫妻と勝浦が話しあっている。妻と娘を連れて、ここに来て、3年前に起きたことを全て話すつもりだったと言う。家族を大切にしてあげて下さいという久美子に、ギリギリなところでまだ繋がっていますと答える勝浦。しかし、偶然そのやりとりを聞いてしまった沙織の表情は固まる。
   翌朝、ペンションの周りに怪しげな若者たちが集まり、撮影をしている。三島からの電話で、このペンションに自分と沙織が泊まっていることまでがネット上に上がっていると知る勝浦。沙織が勝浦を困らせたいと携帯で書き込んだのだ。また、本庄圭介は、自分の子供を殺された父母として、やはり容疑者の家族を守る勝浦を受け入れることは出来ないと告白する。返す言葉もない。
   三島と稲垣(津田寛治)がペンションにやってくる。稲垣は、何とか沙織の調書を取ろうと、声を荒げ、問い詰めるが、沙織は貝のように黙ったままだ。その時、窓を叩く少年がいる。沙織のボーイフレンドの達郎だ。親には付き合うなと言われたが、心配になって家出をして会いに来たと言う。とりあえず、その夜は泊めることになる。学校や友達の近況を楽しそうに話す二人の声を聞いて安心する勝浦。
   寝ずの番をする筈が、つい眠ってしまう三人の刑事たち。翌朝、二人が避難梯子を使い二階の部屋から逃げ出していることが判明する。最寄りの駅まで、車を走らせる勝浦。駅にはいない。市内で少年の姿を見つける。達郎は、沙織をラブホテルの一室に連れ込み、隠しカメラでネット上に生中継していたのだ。部屋に入りカメラとノートパソコンを見つける勝浦。中継は止まったが、そこに、達郎と二人で撮った写メを見つけて、驚く沙織。
   そこに、3人連れの男たちが現れ、ノートパソコンを取り返そうと、勝浦たちに襲いかかる。勝浦は沙織を庇い、殴られている。結局男たちは逃げ出し、乗った車のバックナンバーも隠されている。ペンションに戻る途中の砂浜で海を見つめている二人。問わず語りに、沙織は、かって兄弟仲は良かったが、受験勉強で父親に殴られるようになり、兄は部屋に引きこもるようになったこと、事件のあった日に兄が血だらけの手を洗っていたこと、その後沙織助けてくれと言ったこと、兄が話さないのであれば自分も話さないことにしていたと告げる。兄さんを守ろうとしたんだな。これから、父親や兄、家族を守るのは沙織がやらなければいけないのだと言う。勝浦の胸で泣き出す沙織・・・。
    
     フィックスさせないカメラで、ドキュメンタリー的な撮影は緊張感を与えてよかったが、特に新しいテクニックではない。そういう意味で、役者たちではなく、ネットの向こう側の人間たちの描写はあまりに、俗っぽく、ありふれていたのではないか。それぞれ、苦悩する内面を抱えながら生活や仕事をしなければならない登場人物の人間性がもう少し深みがあって、その人間たちをモノ笑うかのようなネットの向こう側にいる人間たちのもう少し暗い異様さみたいなものが出せていれば、この映画の意図した陰影がより強いものになったんではないだろうか。
    そうした意味で、テレビドラマで過酷な役を演じ続けてきた"10代の若手女優の中でトップを走る実力派女優"(苦笑)の志田未来を使う意義はあるのだろうが、演技派というイメージを消費するだけに留まっているかどうか、かなり微妙なところだ。意外に表情は乏しい、感情が顔に出ないということでなく、喜怒哀楽の4種類しかない表情ということだ。それは、現代人全ての傾向だから、それがリアルということなのだろうが、映画の奥行きを薄っぺらいものにしてしまっている。
       
     「おくりびと」を見にきた善男善女で映画館の窓口は混雑し、シネコン慣れしていない人で混乱も。こういう10年20年振りに映画館に来た観客こそリピーターとして取り込まなければいけないのに、映画興業界は本当に駄目だなあ。中高生の映画館習慣の定着と金と暇のあるシルバー層の映画館青春よもう一度こそが、生き残りのためのマストなのに・・・。年寄りの困惑を救い上げないと、これからの日本のサービス業は生き残れないだろう。30代、40代の自分の世代が、最も映画館で時間を過ごすことが難しい世代なのだから、自分たちを基準にした快適性は最も不必要なものだ。

   六本木ミッドタウンで、WIRED VISION主催のIPTVセミナーの最終回。面白かったなあ。中村伊知哉がモデレーターを務めた榊原廣(博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所)、鈴木祐司(NHK放送文化研究所主任研究員兼解説委員)、福原伸治(フジテレビ情報制作局プロデューサー)の「テレビ放送と映像コンテンツの今」というタイトルで「テレビは老人のメディアになったのか」「テレビ産業は潰れるのか」「コンテンツはどうなるのか」など、少しあざとい問いかけをしていく第1部や、AVオタクの久夛良木健と麻倉怜士の二人の妄想爆発の第3部の「テレビとネットとテクノロジーのこれから」もとても面白かったけれど、
   個人的には第2部の京都大学大学院教育学研究科准教授の佐藤卓己が、とても刺激的だった。大宅壮一の「1億総白痴化」というキャッチフレーズの呪縛。教育=教養+選抜、つまり選抜という要素のない教育は、教養を生み、選抜でしかない試験勉強などの教育は、教養ではないなど・・・。しかし、「誰も守ってくれない」を見たあとなので、
  氏の著作「輿論と世論」の話の関連で引用した芥川龍之介の「侏儒の言葉」
【輿論   輿論《よろん》は常に私刑であり、私刑は又常に娯楽である。たといピストルを用うる代りに新聞の記事を用いたとしても。 又  輿論の存在に価する理由は唯《ただ》輿論を蹂躙《じゅうりん》する興味を与えることばかりである。】という言葉が響く。ついでに続く、
【敵意  敵意は寒気と選ぶ所はない。適度に感ずる時は爽快《そうかい》であり、且《かつ》又健康を保つ上には何びとにも絶対に必要である。】
ネット社会が・・とか、マスコミが・・・ということではなく、自分の中にある興味や爽快の自覚と、謙虚さが必要だ。
   渋谷7th Floorで実籾の歌姫小笠原愛のライブ。東京マラソンに出場を激励。結局、博華で餃子とビール。

2009年3月18日水曜日

昔の名前で出ています。

    
   午前中は東銀座の映画会社にいる友人のところへ、今立ち上げ準備をしているプロジェクトの相談に。渋谷に出て、散髪の後に、映画監督,VJ&DJの若い友人と久し振りに。クラブイベントやらなんやかや毎回誘ってくれていたのに、年と共にどんどん夜は弱くなって、ご無沙汰だった。いい感じでいろんなことをやっているなあ。刺激を受ける。最近50年位昔の映画ばかりで、枯れ過ぎかと、ちょっとだけ反省し、ヒューマントラストシネマ東急文化村通りで、『エリートヤンキー三郎)』を観ようとするも、既に朝一回の上映に変わっており、仕方なしに

    TOEI②で宮藤官九郎監督『少年メリケンサック(161)』
    メイプルレコードの新人発掘担当の栗田カンナ(宮崎あおい)は、今日付けで契約が切れ退社の予定だった。明日からは、父親(哀川翔)の回転寿司屋で働くしかないのだ。しかしネットで、少年メリケンサックというパンクバンドの「ニューヨーク・マラソン」という曲のライブ映像を見つけ、社長の時田(ユースケ・サンタマリア)に見せたことで契約延長が認められる。癒し系のアコースティックやギターバンド、或いは看板アーティストのタクヤが所属するメイプルレコードだが、実は社長はタクヤとパンクバンド近親憎悪を組んでいたのだ。彼らと契約しアルバム1枚を出すことが社長命令だ。契約出来ればディレクターにしてやると言われる。カンナは、シンガーソングライターの年下の彼氏のマーくん(勝地涼)に、ディレクターになれるかもしれないと報告すると、頑張れと言って、カンナのために作ったという曲を歌ってくれた。
     彼らのホームページを見つけ電話をしてみると会うことに。高円寺の居酒屋?に出掛けると、アキオ(佐藤浩市)はいたが、酔っ払いで浮浪者のような50オヤジだ。本人だとは信じられないカンナが、ホームページの86年と言う生年月日を指すと、生年月日ではなく解散した年で、25年前に解散したバンドだった。その事実を伝えようと社長に電話をすると、既に会社のホームページに乗せたところ、十万アクセスを超え、全国のライブハウスから出演以来が殺到し、ツアーも決まりつつあると言われ、何も言えなくなる。
   困ったカンナにアキオは、再結成してやってもいいと言い、その代わりオリジナルメンバーを集めて来いと命ずる。カンナは、宮城の実家に帰っているアキオの弟ハルオ(木村祐一)に会いに出掛ける。しかし実家の酪農を継いだハルオは、その気はないといい、兄のアキオに父親が亡くなったと伝えてくれと言う。アキオに投げつけられた牛糞まみれになりながら、辞めることもできないカンナ。
   スタジオのリハーサル。ドラマーは自分でセットも満足に組めないヤング(三宅弘城)、車椅子でスタジオに連れてこられて、満足に話すことも出来ないボーカルのジミー。大口を叩いていたアキオも、久し振りなのか、ギターのカッティングもしょぼ過ぎる。「ニューヨーク・マラソン」さえ、満足に通して演奏出来ない3人のメンバーは、スタジオのモニターミキサー(UGギターウルフ)に鼻で笑われる始末だ。しかし、ギブソンのギターケースを持ってハルオが現れる。とりあえず、一曲通して演奏出来ただけだが、カンナは、少し興奮する。
   そしていきなり、全国ツアーがスタートする。グリーン車使用の筈だったが、スタジオで経費を使い過ぎたので、カンナの実家の回転寿司屋"栗ちゃん"の軽トラックで出発だ。名古屋のライブハウスは、ジミーとハルオが参加しメジャーデビューしていたアイドルバンド少年アラモードが出演した時に、小屋のローディーだったアキオと、地元の暴走族だったヤングが、ライブをボコボコにして、パンクバンド少年メリケンサックを産みだしたライブハウスだった。ウェブの動画で集まった名古屋のパンクスたちの前に現れたのは、ロクに演奏も出来ない、くたびれた中年たちだった。満員の客も、社長も、最高に盛り上がっていた気分は、最悪なものとなり、いたたまれないカンナは、ライブハウスから走って逃げだす。名古屋の場末の立ち飲み屋で酔いつぶれているカンナ。店の主人に携帯が鳴リ続けていると起こされる。夢の中では、演奏は酷くても、これがパンクな生き方だと社長に褒められていたが、現実には、荒れ果てたライブハウスに戻ると、破損の弁償代は社長が払うが、ツアーのキャンセル料は払わないので、このままツアーを続けて、戻ってきたら首にしてやると言われる。
   大阪では、メイプルレコードの売れ筋のギターバンドGOAの前座に格下げになっている。GOAのメンバーはファンでしたと言っていたが、実際に少年メリケンサックの酷い演奏に、金のために再結成したのか、老醜だと鼻で笑う。そんなことを言われても、腰は痛く、息も上がったアキオたちは、何も言い返すこともできない。しかし、ハルオはGOAのステージに上がり、メンバーたちを暴行する。警察からは事情聴取を受け、マーくんとご飯を食べようと約束していたカンナは、それどころではない。
   広島に向かう軽トラの中で、どんどん気分が荒んでいくカンナ。中年男たちの下品で臭くて無神経な発言や行動にブチ切れ続きだ。限界に達したカンナは、逃げ出し岡山でライブをしているマーくんの元に走る。アキオたちは、なんとか広島に着くが、ガス欠になり、楽器を持って商店街を走り回るが、どうしても目指すライブハウスにはたどり着けない。マーくんのライブを聞きながら、アキオたちに言われた、オメーの彼氏の音楽には何もないから無臭なんだと言われたことを思い出している。最後まで聞かずに、広島までタクシーを飛ばすカンナ。
   やっと、演奏らしいものになってきた少年メリケンサックのメンバー。客席のパンクスたちも盛り上がっている。夏祭りでの演奏も子供たちに大人気だ。カンナは、バンドメンバーのインタビューをビデオに撮りながら、社長宛に企画書を送る。いよいよ、アキオとハルオの出身地の仙台だ。25年前、アキオとハルオの確執が頂点に達し、仙台で解散したのだった。一旦、東京の自分の部屋に戻ると、マーくんと、マーくんのバイト先の女子高生がベッドにいる。
   徐々に、当時のことを思い出し始めるメンバーたち。かってハルオが童貞を捧げた、アキオの女(烏丸せつ子)とむかしのアキオそっくりの息子と再会したハルオ。アキオにされた数々の仕打ちを思い出しながら、ハルオの細い目は怒りに満ちている。ライブも絶好調、更に携帯に社長から、テルヤとのバーターでテレビ出演も決まったと聞いてカンナの目には涙が浮かぶ。しかし、終盤に、アキオの息子が見にきたところで、アキオとハルオの中で、25年前の感情がリセットされる。
   エンディングに楽器で殴り合い、アキオは左手を、ハルオは右手を骨折している。深夜の病院の待合室で、これでまた終わったと黙り込むメンバーとカンナ。ヤングは、また辞めるのかよと言いだし、続けようよ、また25年後では、みんな死んでいるかもしれないと叫ぶ。あんたたち馬鹿よ、テレビ出演も決まっていたのにと言うカンナに、微妙に反応するアキオとハルオ。渋谷宮下公園で歌っているマーくん。バリカンを手に襲撃するカンナ。
   テレビ局のスタジオ、テルヤがリスペクトするバンドとして紹介され、登場する少年メリケンサック。アキオとハルオは二人で同じギターを弾き、ベースには、異様な髪型をしたマーくんの姿が・・・。
    
   好きか嫌いは好み分かれるだろうが、馬鹿で貧相で幸薄い感じの娘カンナは、宮﨑あおい嵌り役。今の若手演技派女優NO.1とか、心にもない(誰にでもそういう惹句をつける時点でそう思う)ことを言う人間たちを裏切るには物足りない。ちっぽけな日本のお茶の間文化を、少しでも早く飛び出して、チャン・ツィイーを超えてほしい(笑)。
   随分前に買っていた前売り券が切れる前で良かった。今日は公開最後のレディースデーだからか、結構入っていて驚く。製作黒澤満のセントラルアーツだったんだな。そう思うと、少し採点は甘くなってしまう。実際楽しめたが、パンクロッカーたちのカメオ出演は微妙。老醜を曝して何の意味があるんだろうか。いや、自分が年を取ったんだなということを再認識させられるということか。

    夜は、高円寺の沖縄料理きよ香で、後輩で辞め同期のSと、島ブドウに泡盛。

2009年3月17日火曜日

卒業の証明

    春から非常勤講師を務めることになった専門学校から、卒業証明書と健康診断書を提出しろと連絡があったので、とりあえず卒業証明書。信用無いなあ(苦笑).
周りに違和感を感じながらも5年間(苦笑)を過ごした大学なので、本当に久しぶり(ボ・ガンボスが結成されたばかりの頃、会社の仲間と出掛けて以来だと25年振り位か)で、変わり具合に驚く。校舎も高層に建て替えられたりきれいになっている。まあ春休み中、卒業式までもう少しで一番静かな時期かもしれないが、乱立していた立て看も、かなり小さなものが若干あるだけで、張り紙も少ない。
  ちょっと歩くだけで感傷に浸りそうになるのは、年取ったせいだなあ。

    神保町シアターで浪花の映画の物語48年松竹京都溝口健二監督『夜の女たち(157)』
    終戦後直ぐの大阪、闇市の古着屋に夏服を売りに来た疲れた女大和田房子(田中絹代)、女将(毛利菊枝)に夏服だし600円にしかならないと言われる。小児結核の子供の為にも、何とかあと50円だけでもと頭を下げるが、断られる。もし、金が欲しいのであれば、裕福な男を紹介すると言う女将。人を見て言いなさいと怒る房子。帰宅すると、義弟の康二(富本民平)が昼間から酒を飲んでいる。康二はヤミ屋をやっている。あんたは酒飲む金があったら子供の薬代出してくれと思っているだろうが、命がけでやっているので、酒位飲まないとやっていられないと毒づく康二。その時義妹の久美子(角田富江)が、ラジオの尋ね人の時間に大和田健作の家族と流れていたと走って。房子は、姑の徳子(大林梅子)と急いで連絡先に向かった。しかし、残念ながら、夫は収容所に入って直ぐに亡くなったと言われ遺品を渡される。お邪魔した会社の社長の栗山謙造(永田光男)は、何か困ったことがあったらいつでも相談に乗ると言ってくれた。暫く後、ひきつけを起こした子供は呆気なく死ぬ。
    心斎橋を久美子と歩く房子の姿がある。偶然妹の君島夏子(高杉早苗)に会う。朝鮮からの引き揚げで両親は亡くなったと言う。夏子はキャバレーハリウッドで踊り子をしていると言う。房子の部屋で久美子夏子と食卓を囲む房子。房子は家を出て、栗山の会社で社長秘書をしていた。ハリウッドに行ってみると華やかで久美子は働きたいと言い出し、房子はたしなめる。夏子と踊っている栗山。
   ある日、栗山が外出した後、警察の家宅捜査が入ることがわかった。禁製品を房子は自宅に隠すことにする。家には夏子と栗山がいる。姉妹二人と関係していたことにショックを受け、姿を消す房子。久美子が家出をしてやってきて、ここに泊めてくれと言うが、房子がいないので、断る夏子。結局うろうろしていた久美子は、不良学生に声を掛けられ、無理矢理酒を飲まされた挙げ句、金を取られ、純潔を奪われる。それでも男にすがろうとした挙げ句に不良少女たちに身ぐるみ剥がれる久美子。
   夏子は、房子を阿倍野で見かけたと聞いて探しに出掛ける。街娼たちで一杯だ。警察の一斉取り締まりに巻き込まれ、逮捕される夏子。留置場は女たちで溢れている。全員事情聴取をされ、病棟で性病検査を受けさせられる。巻き込まれただけだと言う夏子をしめる女たち。しかし、そこで夏子は房子に会う。房子は、男たちを憎み、性病を移して復讐するのだと言う。夏子は、栗山の子供を妊娠していたが、梅毒に掛かっていた。栗山は身元保証人とさて夏子を迎えに来たが、房子が脱獄して娑婆に戻った時には、栗山は逮捕され、夏子は捨て鉢になって男と酒に溺れていた。房子は、夏子を千里山にある婦人ホームに連れて行き、子供を産ませようとする。しかし、夏子は、梅毒が完治していないこともあり、死産する。


   63年東京映画豊田四郎監督『新・夫婦善哉(158)』
   北新地、お初弁天を抜け料理屋卯の花にやってくるおきん(浪花千栄子)。店員も女将を任せている蝶子(淡島千景)も片付けもそこそこに暑い中寝ている。蝶子を起こし、昨日の売上を精算しながら、蝶子の夫の維康柳吉(森繁久彌)が、かって蝶子が可愛がっていたおふさ(八代万智子)と浮気していると教えてくれる。その頃、柳吉はおふさと飯屋で遅い朝食を取っている。柳吉が帰宅すると、蝶子が洗濯をしている。to be continued.

   57年東宝堀川弘通監督『女殺し油地獄(159)』
    享保6年7月23日、大阪市中引き回しの上、千日前の処刑場に引き立てられて行く河内屋与兵衛(中村扇雀)の姿がある。
    野崎詣りに向かう中に会津の蝋燭問屋の?の一行に、天王寺屋の女郎小菊(藤乃高子)がいる。小菊は、気まぐれに、船がいいとか、やはり土手を歩くのがいいとか言い出し、皆振り回されている。それを見て小菊に入れあげていた与兵衛は面白くない。与兵衛も誘ったが、野崎の方角がよくないと断られていたのだ。to be continued.

    39年松竹京都溝口健二監督『残菊物語(160)』
    尾上菊五郎(二代目河原崎権十郎)の舞台、菊五郎の養子の菊乃助(花柳章太郎)は正直演技は拙い。しかし六代目菊五郎を継ぐことになっていることもあり、周りの者たちは、影で大根、親の七光りと陰口を言うが、本人にはお世辞、甘言などで誉めそやすだけで、何の助言もない。柳橋の料亭でも、隣の宴席の客たちが散々自分の芸の拙さを誹るのを聞き、またやってきた芸者たちが自分を巡って喧嘩をし始めるにあたって、陰鬱とした気持で帰宅することに。人力車で家の近くまで来ると、深夜にも関わらず、弟コウの乳母のお徳(森赫子)がぐずるコウをあやしている。養父の目を恐れる菊乃助は人力車を降り、お徳と話し始める。お徳は今日の芝居を見たと言う。どうだった?正直に言っておくれと言うと、拙さを誠実に語り、芸を磨く大切さを説くお徳。初めて自分の芝居の感想を本心で言ってくれたお徳の存在は、菊乃助にとって感動的なことだった。
   しかし、川開きの花火大会で、家の女衆たちから、菊乃助とお徳の噂を聞いた五代目夫人の里(梅村蓉子)は、世間知らずの菊乃助を、お徳がたぶらかそうとしていると思って、その夜お徳に暇を出す。翌日、弟の乳母が別のものに変わっているのを見た菊乃助は、菊五郎と皇室の宴席に出席する準備をしていたにも関わらず、お徳を探しに家を飛び出す。入谷のお徳の実家に行っても声をかけられない。ようやく実家の商売の小僧を小遣いで釣って、鬼子母神近くの親戚の家に預けられていることを知る。畑に出る叔父夫婦を見送ったお徳が庭の鶏にエサをやっていると、鬼子母神の茶店の婆やがお徳に会いたいという人がいると言う。果たして、茶店には菊乃助がいる。しかし、お徳は、これっきりにしたいと言う・・・。

    その後、近くで仕事をしていた後輩KやらNやらIと神保町の中華。今晩も酔ったなあ。

2009年3月16日月曜日

有馬稲子、遊女姿も美しいなあ

     午前中は赤坂メンタルクリニック、独身美人OLに惣菜差し入れ、

      シネマート六本木で新東宝大全集
      52年新東宝島耕二監督『上海帰りのリル(153)』。
      太平洋戦争末期の上海のキャバレー、、クリフサイドクラブ。女給のリル(香川京子)は、日本人ギャング田代に絡まれている所を、山本(水島道太郎)に助けられる。山本は、楽団のドラマーの岡村一郎(森繁久彌)と同じ孤児院で育ち、今も同居する親友だった。山本はリルとダンスを踊りながら、リルがイタリア人と日本人のハーブで、両親とも亡くし孤独な身の上であるけとなどを知っていた。店がはねてから、リルを自室に誘う山本と岡村。岡村は手品師のように、全身のポケットやコートの内側などから食材を次々取り出した。山本は、ローソクを1本立てたケーキを取り出す。今日はリルの誕生日だったのだ。調理をすると言うリルに、実はリルの家の婆やに偶然市場で会い、色んなことを聞いたのだと種明かしをする岡村。3人の友情は深まる。
      ある日クリフサイドクラブでダンスを踊るリルと山本、ノリコ(濱田?)が山本を誘うが、相手にされない。ゴロツキの田代たちが、山本とリルに絡んでくる。帰りも待ち伏せに遭う。拳銃を持ち、リルを奪おうとする田代。勇敢にも、山本はリルと岡村を逃がす。何とか部屋に戻ってきたが、田代たちは追ってきた。まず岡村が脚を撃たれる。山本とリルは必死に逃げたが、競馬場に追い詰められる。取り囲まれ、万事休すとなった瞬間、爆撃が始まる。翌朝山本が意識を取り戻すとリルの姿は消えていた。山本と岡村は、リルの行方を捜したが、全く消息を掴めないまま、終戦となり、二人は帰国する。敗戦後の東京は、人間の賤しさと醜さをぶちまけたような酷い有り様だった。孤児院の跡地に行ってみるが、門しかない。先生たちも亡くなって、自分たちで食べていると言う孤児たち。
   その日から、山本は変わる。先ずは闇米の担ぎ屋から始めて、金を稼ぐためにはかなりの危ない橋を渡るようになり、山本組と言うヤクザを率いるまでになり、次第に岡村とも遠ざかって行った。しかし、ある時、山本の事務所を訪れた岡村は、上海のキャバレーで、かってよく流れていたメロディーに歌詞をつけたと譜面を持ってきた。リルが大好きで、よく口ずさんでいた曲だ。「上海帰りのリル」と名付けられたその譜面を手に何度も口ずさんでみる山本。喫茶店に入りふと下を見ると、リルがタクシーに乗るところだ。追い掛けるが、ナンバーのみを控えることしか出来なかった。しかし、この出来事と岡村の持ってきた譜面は、山本が心の底に封印してきたリルへの思い出を揺り動かす。車のナンバーを頼りに東京中を探し歩く山本。遂には、日本にクリフサイドクラブと同じキャバレーを作ることを決意し、岡村に手伝うことを頼む。ヤクザ的なことから手を引くのを条件に協力する岡村。
    山本の情婦の初枝が、上海から女性が山本に会いに店に来たと電話が入る。リルかと行って見るとノリコだ。山本は失望するが、何故かリルが乗った筈のタクシーのナンバーを書いたメモを持っているノリコ。訳を言えと急かす山本に、横浜の運転手が、自分の車のナンバーを東京の山本組の親分が捜しまくっていると聞いて恐ろしくなってノリコに相談したのだと言う。ノリコと初枝は、横浜で幼なじみだったのだ・・・・・。
     丸の内の成人病クリニックで、糖尿病の経過観察の採血と検尿。だいぶ数値が安定しているので、毎月でなくて、一月半に一回来ればいいと言われる。終わってからやっと食事。

     神保町シアターで、浪花の映画の物語
     59年東映京都内田吐夢監督『浪花の恋の物語(154)』
     人形浄瑠璃の小屋竹本座の桟敷席、小豆島のお大尽布袋屋藤兵衛(東野英治郎)が、竹本座の頼母(中村時之介)らに囲まれ観劇をしている。座付作者の近松先生にいい話を書いてもらわないとと言う藤兵衛。客席の後ろに近松門左衛門(片岡千恵蔵)の姿がある。隣の桟敷の飛脚問屋、亀屋の隠居妙閑(田中絹代)と娘のおとく(花園ひろみ)の下に、亀屋の養子で、おとくの許婚の忠兵衛(中村錦之助)が来ており、堂島の飛脚問屋、尾張屋の金六が封印切りをした件で、飛脚問屋組合の寄合が開かれると報告する。おとくは忠兵衛も見ていったらと言うが妙閑は、駄目だと言い寄合に自分の代理で出席するように伝える。本来封印切りは獄門だが、僅か1両の金を盗んた金六は、大坂18軒飛脚問屋の総意として市中引き回しの上処払いで済ますよう代官に願い出る世話役たち。命は助かったものの、二度と飛脚は出来ない。信用が第一の飛脚商売は厳しい。
     寄合が終わると、友人の丹波屋八右衛門(千秋実)が、せっかくだから飲みに行こうと新町の遊廓に誘う。真面目一筋で遊びを知らない忠兵衛は断るが、八右衛門は強引に引き回し、遊廓槌屋に案内する。忠兵衛に付いた女郎の名は梅川(有馬稲子)。外泊したことの無い忠兵衛は、金も払ったので帰してくれと言うが、部屋に上がった客が、泊まらずに帰らせるのは女郎の恥とされ、同輩から物笑いに謗られた上、主人から折檻を受けると懇願され、一夜を共にする忠兵衛。おとくとの婚約はしていたものの、初めての経験に忠兵衛は梅川が忘れられないものとなる。
   初めての朝帰りに罪悪感のあり忠兵衛に八右衛門は、わざわざ亀屋に寄りご隠居に、寄合の後の宴会で、酒に酔った忠兵衛の具合が悪くなったので、自宅に泊めてやったのだと言い訳してくれる。しかし、忠兵衛はその日も梅川のもとに行かずには居られない。梅川は、こうした悪場所は二度と迄で、3回来る場所ではないと言う。しかし、忠兵衛にとっては梅川と一時も離れていることは出来なくなった。
   梅川の叔父の米造が槌屋を訪ねてきた。眩暈持ちの梅川の母の薬代がかさんで、金を借りに来たのだ。梅川は主人から5両の金を借り、店への借金は250両となった。忠兵衛の連夜の外出を心配した妙閑は、掛け取りの仕事で、江戸への出張を申しつける。出立の前夜、忠兵衛はやはり槌屋に出かける。梅川は、小豆島のお大尽のお座敷に呼ばれている。身請けして、小豆島に連れて帰りたいと言いだすお大尽。一方、忠兵衛は梅川の部屋で、梅川が母親に書いた文を読んでしまう。2両の金を置いて帰る忠兵衛。
   東海道を上り、江戸の飛脚問屋近江屋に着く忠兵衛。江戸では、享保の改革による賭事、心中など風俗取締りを触れて歩く瓦版屋の姿がある。江戸の飛脚問屋近江屋の番頭から、丹波屋の為替の差額50両を含む金子を預かる。梅川は、何日も槌屋に現れない忠兵衛に眠れぬ日が続く。一人の飛脚が江戸にいる忠兵衛から預かったと小さな包みを届けにきた。大喜びで包みを開けた梅川の表情が曇る。色街では縁切りを意味する櫛だったからだ。槌屋の主人治右衛門(進藤英太郎)と女房お清(中村芳子)は、身請けするという布袋屋藤兵衛からの文を梅川に読み聞かせるが、首を縦に振らない梅川。
   忠兵衛は、大坂には戻ったものの、直ぐに亀屋の暖簾をくぐる気になれず、新町筋の掛茶屋で酒を飲む。近くの席で飲んでいる近松を槌屋の下女が呼びにくる。彼女は最近現れない忠兵衛に梅川が食事も喉を通らず、日増しに窶れていくと言う。結局、一目梅川の姿を見ようと槌屋に行く。店の前の忠兵衛を見つけ、格子越しに必死に忠兵衛の名を呼ぶ梅川の姿に、結局座敷に上がってしまう忠兵衛。   
   しかし、再度の藤兵衛からの度々の文に煮え切 らない梅川に業を煮やしていた治右衛門は、こうした話は強引に進めた方がいいと、 遣り手のおえん(浪速千栄子)に結納が決まったのだから客を取らせるなと言う。おえんは、梅川の座敷にいる忠兵衛に、縁談の決まった梅川の幸せを祈って、 野暮は言わずに帰れと言う。頭に血が上った忠兵衛は、治右衛門たちのもとに行き、丹波屋の50両の切り餅を梅川身請けの手付けと渡し、居続けする。
    亀屋では、妙閑、おとく等はなかなか江戸から戻らない忠兵衛を、心配していた。八右衛門は、50両の催促に来るが、まだ戻っていないと聞いて、ひょっとしてと槌屋を覗 く。果たして忠兵衛は、梅川の部屋にいた。今度も、八右衛門は、妙閑に病で寝込んでいて大坂帰着が遅れたのだと証言してくれる。50両の金も妙閑には黙っていてくれた。
  その夜、米子藩の御用金300両な大坂帰着が遅れていたために、くれぐれも今宵のうちにお届けするようにと妙閑に命じられた忠兵衛は、米子藩蔵屋敷に向かう途中、藤兵衛が槌屋に向かう籠とすれ違ったため、いてもたっても居られなくなり、小僧の長吉(白木みのるに)に、急に新町に用事を思い出したと嘘をつき小遣いを渡して帰らせる。
   槌屋では、梅川の身請けの祝いだと宴席の用意の真っ最中。治右衛門とお清、藤兵衛の前に躍り出た忠兵衛は、50両の手付けを打っただろうと詰め寄る。しかし梅川の身請け代は250両。あとの200両は、飛脚問屋の若旦那とは言え家屋敷家財一式売ったって工面出来まい。忠兵衛の大和の実父がいかに豪農だとしても、身の程知らずはおやめなさいと言われてしまう。
  身請け話への梅川の気持ちを尋ねうと、梅川の部屋の前まで行くと、八右衛門が、皆から問われるままに忠兵衛の50両は丹波屋の金で、ご隠居の手前、話を合わせるのに大変だったと話している。親友だと思っていた八右衛門に恥をかかされたと逆上した忠兵衛は、懐から50両を封印切りして叩き返し、藤兵衛の座敷に乗り込み二百両と引き換えに梅川を連れ出した。
    しかし、町奉行所は米子藩の御用金封印切りの咎で、忠兵衛を捕縛に亀屋に現れ、いないと分かると妙閑をひっ捕らえていく。妙閑は忠兵衛は魔が差しただけだと言って連れられて行った。泣くおとくと店の者たち。お尋ね者となった忠兵衛と梅川。忠兵衛は獄門、梅川は二度のお勤めだ。2人は親に会おうと逃げる。しかし忠兵衛の父親の住む大和の新口(いのくち)村の入り口で二人は捕まえられた。梅川は槌屋に連れてこられる。井戸に身を投げようとするが止められる。女郎には死ぬ自由もない。まして世間を騒がせた梅川を指名する男は多いだろう。心中が叶わなかった二人を、近松は親への想いを中心に書いた。満員の竹本座、二人の哀しい運命に沸く観客を見つめる近松の姿があった。

   イメージフォーラムシアターで、WE ARE THE PINK SCHOOL
   65年国映大和屋竺監督『荒野のダッチワイフ(155)』

   84年新東宝滝田洋二郎監督『痴漢電車 下着検札(156)』。
   昭和3年、満州奉天に向かう列車ごと張作霖は爆殺された。張作霖が指に嵌めていた巨大な黒真珠を一人の日本兵、山森五平が手に入れた。
   昭和59年の東京、満員の山手線の中で、痴漢に励む五平の姿がある。若い後妻の松子が、五平に黒真珠のありかを尋ねている。それなら、もう一回しようと、蒲団に松子を引っ張り込む五平。しかし、腹上死する五平。今わの際に、床の間を差し、満拓と言葉を残す。
   黒田探偵事務所の黒田(蛍雪次郎)とアシスタントの浜子に、この謎を解いてくれと依頼をする松子。黒田は、この満拓が半分しかないことが分かる。五平の姪のヨーコのものらしい。黒田は山手線内で満拓を取り、ヨーコのものと一致するものを探し始める。浜子は五平の息子の春男と松子の身辺を洗うことにする。なかなか見つからないため、黒田は著名な推理小説家の松木清張(竹中ナオト)に依頼することに。キャバレーのドラマーをしている春男は、松子と関係し、山分けしようと口説く。黒田は苦労の末、ヨーコを見つける。しかし、春男はヨーコとも関係を持ち、黒真珠を見つけて二人で山分けしようと言っている。しかし、松木清張が真相を明らかにしようとした時に、春男は、完全密室化した自室で砒素を飲み自殺。窓の外ではヨーコが、春男のドラムスティックで腹を刺されて死んでいる・・・。
   竹中直人の清張ものまねによる松木清張(笑)と、密室殺人(笑)、満州ロケ(笑)と、役者、ストーリー、ロケ、ピンク映画のスケールを超越している(苦笑)。さすが、アカデミー賞受賞の滝田洋二郎監督。アカデミー賞効果か満員の会場では、始終笑いが起きていた。いいなあ。

   後輩Sと先輩Kと神楽坂のバールで飲む。酒も料理もこれは美味い!!!結局飯田橋から終電に乗る羽目に。

2009年3月15日日曜日

2本続けて近松心中もの見るのは、ちょっと失敗だったかもしれない。

    池袋新文芸坐で錦之助映画祭り(パート1)
    58年東映京都河野寿一監督『浅間の暴れん坊(149)』
    新町の重蔵(瀬川路三郎)が子分50人を引き連れ、岡部の庄兵衛(高松錦之助)一家に殴り込みをかけようと向かっている。庄兵衛の子分は、慌てて親分に報告しようと走る。喧嘩支度をしながら、庄兵衛は、伊太郎はどこに行ったとしきりに尋ねている。その頃村はずれに一人赤間の伊太郎(中村錦之助)は、重蔵を待ち伏せし、庄兵衛親分の手を煩わすまでも無いと啖呵を切って、あっという間に重蔵一家を全滅させた。庄兵衛たちは、累々と並ぶ死体を見つける。重蔵の死体の近くで、自分の身代わりとなって草鞋を履くという、伊太郎からの、文を見つける庄兵衛。唸る庄兵衛。
    上尾宿、宿屋の武蔵屋の前に人だかりがある。巡礼の父娘が金も持たずに泊まっていたとは、どういう了見だと番頭に責められていた。赤間の金平(原健策)の子分が、親分が経営する女郎屋に娘を売れば、宿代を払ってもお釣りが来るぜと言う。勿論そんなことは勘弁してくださいと土下座をする父親。俺の顔を潰しやがってと凄む男と宿の番頭の前に出て、金を番頭に渡し、その場を纏める伊太郎。残りの金を父娘に押し付け路銀の足しにしろと言う伊太郎。赤間の金平は、子分に伊太郎の後を付けさせる。伊太郎は、上尾の左平衛(三島雅夫)の一家に草鞋を脱ぐ、しかし左平衛は病で倒れ娘と手下一人しかいない。久しぶりに客人を迎えた左平衛は嬉しそうだ。しかし、風呂を沸かすのに手下は家の板塀を引っ剥がし、夕食の支度の為に娘のお君(大川恵子)は簪を売る。伊太郎は偶然知ってしまい。街道筋では有名な貸し元だった筈の左平衛親分は、病で倒れた後、赤間の金平が勝手をしているせいだと知る。左平衛は、お君を伊太郎の嫁にして、自分の跡目を継いで貰うことを夢見るのだったが、伊太郎は、左平衛の家を抜けて、単身金平の下に行き、斬って再び草鞋を履くのだった。
    伊太郎は、一人暮らす母親を訪ねるが、渡世人になった自分を恥じて、陰から見るだけで後にする。峠で母親の家の方角を見ていると、巡礼の父娘がやってくる。しかし、親分を殺された赤間の金平一家が追い掛けて来た。全員を斬り捨てるが、喧嘩の最中におとっつぁんが脚を斬られた。責任を感じた伊太郎は、越生宿の宿屋に父娘を連れて行く。高熱が出て苦しむ吾平(薄田研二)に、地元の医者は自分の見立てに自信がないが、ここにもう一人いる医者は蘭学を修めていて、少し治療代は掛かるが治せるのではないかと言う。伊太郎は、虎五郎親分(山形勲)の賭場に行き、一両しかないが、十両になるまで勝負させてくれと頭を下げる。8両まで勝ち続けるが、そこで負け一文無しになる伊太郎。自分の身体を十両で賭けさせてくれと頼むがやはり負ける。虎五郎は十両必要な理由を尋ね、一肌脱ごうと言ってくれた。蘭学医の竹田憲庵(矢奈木邦二郎)を呼び治療をさせ、妻のお仙(星美智子)の二階に、吾平が歩けるようになるまでノンビリすればいいと言う虎五郎。

おしま(夏川静江)越生の虎五郎(山形勲)お仙(星美智子)利吉(片岡栄二郎)勘三(掘正夫)千太(中村時之介)竹田憲庵(山崎左太夫(加藤浩ちょろ松(星十郎)三太(清川荘司))平吉(岸井明)



     60年東映京都田坂具隆監督『親鸞(150) 』
     19歳になった親鸞(中村錦之助)は、比叡山に籠もり修行を続け、性善坊と共に10年振りに京の街に降りてきた。平家が敗れ源氏の世の中になり、京の街も一変している。養父六条範綱(藤川弘)と弟の朝麿(中村嘉津雄)が住んでいる屋敷の辺りも、遊女街に変わっている。僧兵たちも白昼出入りし、夜には寺町にある寺にも遊女たちは出入りしている。若い親鸞を遊女たちはからかい、親鸞は逃げ出す。そこに弁海(平幹二郎)が絡んでくる。弁海は、かって親鸞と同じ平家の御家人の息子であったが、何事にも秀でた親鸞に強いコンプレックスを持っており、親鸞が叡山に入山したと聞いて自分も仏門に入るが、山伏であり、いつか親鸞に復讐する機会を狙っていた。性善坊の助けもあり、親鸞は、かって自分を得度させた、青蓮院の門跡、慈円僧正(大河内伝次郎)のもとを訪ねる。慈円は、自分の兄の月輪兼実(千田是也)を紹介する。


六条範綱(藤川弘)性善坊(千秋実)覚明(加賀邦男)慈円僧正(大河内伝次郎)玉日姫(吉川博子)万野(木暮実千代)天城四郎(岡田栄次)梢(丘さとみ)弁海()平幹二郎
磯長の叡福寺法隆寺学寮、東山聖光院門跡


    神保町シアターで、浪花の映画の物語
     78年行動社/木村プロ/ATG増村保造監督『曽根崎心中(151)』
    堂島新地の遊廓、河内屋の女郎と?の手代との心中死体が並べられている。隣の天満屋の主人吉兵衛(木村元)とやり手婆が噂話をしている。天満屋の2階のお初(梶芽衣子)は、醤油問屋平野屋の手代徳兵衛(宇崎竜童)と、片時も離れられない関係になっている。お初は、他の客を断り、殆ど徳兵衛からは銭を取らず、借金を増やすだけだ。
    徳兵衛は真面目で、店の主人で叔父でもある久右衛門(井川比佐志)からも信頼は厚かった。しかし、久右衛門は、自分の姪のお春(大島久美子)と徳兵衛に祝言を上げさせ、江戸に出す支店の経営を任せるつもりだった。今までとうさんと言ってきた主家の娘と結婚し、江戸に行くのは嫌だと徳兵衛は言う。目を掛けてきた徳兵衛に裏切られたと久右衛門は怒り狂う。徳兵衛の継母のお才(左幸子)に支度金として銀20貫目を渡しているのを返しだった上に、今後平野屋の暖簾をくぐらせないと言う久右衛門。お才の下に本家の主人(加藤茂雄)たちにも同行して貰って、お才の下を訪ねるが、土下座して頼む徳兵衛に、お才は、10年は遊んで暮らせる大金を返す気などないと言う。見かねた本家の主人が村八分にするとまで脅して、ようやく金を投げつけて返し、親子の縁を切ると毒づくお才。
    やっと返して貰った銀20貫目を手に店に帰ると、友人の油屋九兵次(橋本功)が徳兵衛を待っていた。掛け取りの銀30貫目を落とし、商売を続けられなくなるので金を貸してくれないかと言う。叔父への返済より数日前に返せると聞いて、男気を出して、銀20貫全てを貸す徳兵衛。証文に印判を押して渡す九兵次。
    徳兵衛が天満屋に現れないまま9日になる。お初は気も狂いそうだ。全く客を取らないので、主人たちは、四国のお大尽の碇屋勘兵衛(灰地順)が、多額の金で落籍すという話を持ってくる。もし、断れえば、地方の郭に売って、高い元手を取り返すのだと言われ、思いつめるお初。勘兵衛に会い、大坂33か所参りに連れて行ってくれと頼む。勘兵衛は駕籠を呼び、お初に同行した。自殺しても極楽に行けるように密かに祈り続けるお初。
    33か所廻り終わったところで、茶屋で休んでいると、徳兵衛が通りかかる。この神社にも参らせてくれと頼み、徳兵衛と話をする。叔父からの縁談を断り、平野屋から出されることになったことを告げ、銀20貫目を九兵次に貸したまま返してもらえないと言う徳兵衛。そこに、九兵次が通りかかる。銀20貫を返せと詰め寄る徳兵衛に、借りた覚えはないと言い、証文と印判にも、紛失したと届けている印判が押されているのは、騙りだろうと開き直り、一緒にいた町衆たちと、徳兵衛を袋叩きにし、池に投げ込む。お初は、徳兵衛を助けてくれと頼むが、勘兵衛は、巻き込まれることを恐れて、慌てて、お初を天満屋に連れ帰った。
    徳兵衛が友人の油屋九兵次を騙りにかけたが、ばれて袋叩きになったという話は大坂中に広まった。久右衛門が天満屋にやってきて、お初のもとに徳兵衛が来ていないかと尋ねる。現れるまで待たせて貰うと座敷に上がる。お初がふと外を見ると、髪は乱れ、傷だらけの徳兵衛が笠で顔を隠して立っている。天満屋の主人や、他の女郎たちの目を避けて、床下に徳兵衛を隠すお初。すると、九兵次が現れ、徳兵衛の悪口を言いまくる。徳兵衛は歯ぎしりして悔しがるが、お初に止められる。皆が寝静まった時に、お初と徳兵衛は、心中をしようと天満屋を抜け出した。そのすぐ後に、油屋の番頭が、九兵次を探してやってくる。番屋から緊急の用事があると言われて、煙草入れの中の印判を押して書類を出すと、この印判は、紛失届が出ているものなので、九兵次を呼んで来いと言われたのだと言う。余計なことをしやがってと話していると、徳兵衛の叔父の久右衛門が、お前が徳兵衛を騙ったのだなと迫る。袋叩きにして、天満屋の柱に結えつける。徳兵衛の容疑は晴れたのだ。主人が下女にお初を呼んで来いと言うと、書置きがあり、徳兵衛と心中するというものだった。徳兵衛を追い詰めたことを公開する久右衛門。天満屋吉兵衛に、二人を探してくれと頼む。
    二人は、追ってから逃げるように走り、最後には、松に身体を縛りつけて心中を遂げた。
    梶芽衣子の思いつめた表情は、最後に死ぬまで変わらない。宇崎竜童も頑張っていると思うが、自身で担当した音楽は、かなり情緒的で、全編の印象を甘ったるいものにしてしまっているのではないだろうか。
     
     69年表現社/ATG篠田正浩監督『心中天網島(152)』