58年東映京都河野寿一監督『浅間の暴れん坊(149)』
新町の重蔵(瀬川路三郎)が子分50人を引き連れ、岡部の庄兵衛(高松錦之助)一家に殴り込みをかけようと向かっている。庄兵衛の子分は、慌てて親分に報告しようと走る。喧嘩支度をしながら、庄兵衛は、伊太郎はどこに行ったとしきりに尋ねている。その頃村はずれに一人赤間の伊太郎(中村錦之助)は、重蔵を待ち伏せし、庄兵衛親分の手を煩わすまでも無いと啖呵を切って、あっという間に重蔵一家を全滅させた。庄兵衛たちは、累々と並ぶ死体を見つける。重蔵の死体の近くで、自分の身代わりとなって草鞋を履くという、伊太郎からの、文を見つける庄兵衛。唸る庄兵衛。
上尾宿、宿屋の武蔵屋の前に人だかりがある。巡礼の父娘が金も持たずに泊まっていたとは、どういう了見だと番頭に責められていた。赤間の金平(原健策)の子分が、親分が経営する女郎屋に娘を売れば、宿代を払ってもお釣りが来るぜと言う。勿論そんなことは勘弁してくださいと土下座をする父親。俺の顔を潰しやがってと凄む男と宿の番頭の前に出て、金を番頭に渡し、その場を纏める伊太郎。残りの金を父娘に押し付け路銀の足しにしろと言う伊太郎。赤間の金平は、子分に伊太郎の後を付けさせる。伊太郎は、上尾の左平衛(三島雅夫)の一家に草鞋を脱ぐ、しかし左平衛は病で倒れ娘と手下一人しかいない。久しぶりに客人を迎えた左平衛は嬉しそうだ。しかし、風呂を沸かすのに手下は家の板塀を引っ剥がし、夕食の支度の為に娘のお君(大川恵子)は簪を売る。伊太郎は偶然知ってしまい。街道筋では有名な貸し元だった筈の左平衛親分は、病で倒れた後、赤間の金平が勝手をしているせいだと知る。左平衛は、お君を伊太郎の嫁にして、自分の跡目を継いで貰うことを夢見るのだったが、伊太郎は、左平衛の家を抜けて、単身金平の下に行き、斬って再び草鞋を履くのだった。
伊太郎は、一人暮らす母親を訪ねるが、渡世人になった自分を恥じて、陰から見るだけで後にする。峠で母親の家の方角を見ていると、巡礼の父娘がやってくる。しかし、親分を殺された赤間の金平一家が追い掛けて来た。全員を斬り捨てるが、喧嘩の最中におとっつぁんが脚を斬られた。責任を感じた伊太郎は、越生宿の宿屋に父娘を連れて行く。高熱が出て苦しむ吾平(薄田研二)に、地元の医者は自分の見立てに自信がないが、ここにもう一人いる医者は蘭学を修めていて、少し治療代は掛かるが治せるのではないかと言う。伊太郎は、虎五郎親分(山形勲)の賭場に行き、一両しかないが、十両になるまで勝負させてくれと頭を下げる。8両まで勝ち続けるが、そこで負け一文無しになる伊太郎。自分の身体を十両で賭けさせてくれと頼むがやはり負ける。虎五郎は十両必要な理由を尋ね、一肌脱ごうと言ってくれた。蘭学医の竹田憲庵(矢奈木邦二郎)を呼び治療をさせ、妻のお仙(星美智子)の二階に、吾平が歩けるようになるまでノンビリすればいいと言う虎五郎。
おしま(夏川静江)越生の虎五郎(山形勲)お仙(星美智子)利吉(片岡栄二郎)勘三(掘正夫)千太(中村時之介)竹田憲庵(山崎左太夫(加藤浩ちょろ松(星十郎)三太(清川荘司))平吉(岸井明)
60年東映京都田坂具隆監督『親鸞(150) 』
19歳になった親鸞(中村錦之助)は、比叡山に籠もり修行を続け、性善坊と共に10年振りに京の街に降りてきた。平家が敗れ源氏の世の中になり、京の街も一変している。養父六条範綱(藤川弘)と弟の朝麿(中村嘉津雄)が住んでいる屋敷の辺りも、遊女街に変わっている。僧兵たちも白昼出入りし、夜には寺町にある寺にも遊女たちは出入りしている。若い親鸞を遊女たちはからかい、親鸞は逃げ出す。そこに弁海(平幹二郎)が絡んでくる。弁海は、かって親鸞と同じ平家の御家人の息子であったが、何事にも秀でた親鸞に強いコンプレックスを持っており、親鸞が叡山に入山したと聞いて自分も仏門に入るが、山伏であり、いつか親鸞に復讐する機会を狙っていた。性善坊の助けもあり、親鸞は、かって自分を得度させた、青蓮院の門跡、慈円僧正(大河内伝次郎)のもとを訪ねる。慈円は、自分の兄の月輪兼実(千田是也)を紹介する。
六条範綱(藤川弘)性善坊(千秋実)覚明(加賀邦男)慈円僧正(大河内伝次郎)玉日姫(吉川博子)万野(木暮実千代)天城四郎(岡田栄次)梢(丘さとみ)弁海()平幹二郎
磯長の叡福寺法隆寺学寮、東山聖光院門跡
神保町シアターで、浪花の映画の物語。
78年行動社/木村プロ/ATG増村保造監督『曽根崎心中(151)』
堂島新地の遊廓、河内屋の女郎と?の手代との心中死体が並べられている。隣の天満屋の主人吉兵衛(木村元)とやり手婆が噂話をしている。天満屋の2階のお初(梶芽衣子)は、醤油問屋平野屋の手代徳兵衛(宇崎竜童)と、片時も離れられない関係になっている。お初は、他の客を断り、殆ど徳兵衛からは銭を取らず、借金を増やすだけだ。
徳兵衛は真面目で、店の主人で叔父でもある久右衛門(井川比佐志)からも信頼は厚かった。しかし、久右衛門は、自分の姪のお春(大島久美子)と徳兵衛に祝言を上げさせ、江戸に出す支店の経営を任せるつもりだった。今までとうさんと言ってきた主家の娘と結婚し、江戸に行くのは嫌だと徳兵衛は言う。目を掛けてきた徳兵衛に裏切られたと久右衛門は怒り狂う。徳兵衛の継母のお才(左幸子)に支度金として銀20貫目を渡しているのを返しだった上に、今後平野屋の暖簾をくぐらせないと言う久右衛門。お才の下に本家の主人(加藤茂雄)たちにも同行して貰って、お才の下を訪ねるが、土下座して頼む徳兵衛に、お才は、10年は遊んで暮らせる大金を返す気などないと言う。見かねた本家の主人が村八分にするとまで脅して、ようやく金を投げつけて返し、親子の縁を切ると毒づくお才。
やっと返して貰った銀20貫目を手に店に帰ると、友人の油屋九兵次(橋本功)が徳兵衛を待っていた。掛け取りの銀30貫目を落とし、商売を続けられなくなるので金を貸してくれないかと言う。叔父への返済より数日前に返せると聞いて、男気を出して、銀20貫全てを貸す徳兵衛。証文に印判を押して渡す九兵次。
徳兵衛が天満屋に現れないまま9日になる。お初は気も狂いそうだ。全く客を取らないので、主人たちは、四国のお大尽の碇屋勘兵衛(灰地順)が、多額の金で落籍すという話を持ってくる。もし、断れえば、地方の郭に売って、高い元手を取り返すのだと言われ、思いつめるお初。勘兵衛に会い、大坂33か所参りに連れて行ってくれと頼む。勘兵衛は駕籠を呼び、お初に同行した。自殺しても極楽に行けるように密かに祈り続けるお初。
33か所廻り終わったところで、茶屋で休んでいると、徳兵衛が通りかかる。この神社にも参らせてくれと頼み、徳兵衛と話をする。叔父からの縁談を断り、平野屋から出されることになったことを告げ、銀20貫目を九兵次に貸したまま返してもらえないと言う徳兵衛。そこに、九兵次が通りかかる。銀20貫を返せと詰め寄る徳兵衛に、借りた覚えはないと言い、証文と印判にも、紛失したと届けている印判が押されているのは、騙りだろうと開き直り、一緒にいた町衆たちと、徳兵衛を袋叩きにし、池に投げ込む。お初は、徳兵衛を助けてくれと頼むが、勘兵衛は、巻き込まれることを恐れて、慌てて、お初を天満屋に連れ帰った。
徳兵衛が友人の油屋九兵次を騙りにかけたが、ばれて袋叩きになったという話は大坂中に広まった。久右衛門が天満屋にやってきて、お初のもとに徳兵衛が来ていないかと尋ねる。現れるまで待たせて貰うと座敷に上がる。お初がふと外を見ると、髪は乱れ、傷だらけの徳兵衛が笠で顔を隠して立っている。天満屋の主人や、他の女郎たちの目を避けて、床下に徳兵衛を隠すお初。すると、九兵次が現れ、徳兵衛の悪口を言いまくる。徳兵衛は歯ぎしりして悔しがるが、お初に止められる。皆が寝静まった時に、お初と徳兵衛は、心中をしようと天満屋を抜け出した。そのすぐ後に、油屋の番頭が、九兵次を探してやってくる。番屋から緊急の用事があると言われて、煙草入れの中の印判を押して書類を出すと、この印判は、紛失届が出ているものなので、九兵次を呼んで来いと言われたのだと言う。余計なことをしやがってと話していると、徳兵衛の叔父の久右衛門が、お前が徳兵衛を騙ったのだなと迫る。袋叩きにして、天満屋の柱に結えつける。徳兵衛の容疑は晴れたのだ。主人が下女にお初を呼んで来いと言うと、書置きがあり、徳兵衛と心中するというものだった。徳兵衛を追い詰めたことを公開する久右衛門。天満屋吉兵衛に、二人を探してくれと頼む。
二人は、追ってから逃げるように走り、最後には、松に身体を縛りつけて心中を遂げた。
梶芽衣子の思いつめた表情は、最後に死ぬまで変わらない。宇崎竜童も頑張っていると思うが、自身で担当した音楽は、かなり情緒的で、全編の印象を甘ったるいものにしてしまっているのではないだろうか。
69年表現社/ATG篠田正浩監督『心中天網島(152)』
上尾宿、宿屋の武蔵屋の前に人だかりがある。
伊太郎は、
おしま(夏川静江)越生の虎五郎(山形勲)お仙(星美智子)
60年東映京都田坂具隆監督『親鸞(150) 』
19歳になった親鸞(中村錦之助)は、
六条範綱(藤川弘)性善坊(千秋実)覚明(加賀邦男)慈円僧正(
磯長の叡福寺法隆寺学寮、東山聖光院門跡
神保町シアターで、浪花の映画の物語。
78年行動社/木村プロ/
堂島新地の遊廓、河内屋の女郎と?
徳兵衛は真面目で、店の主人で叔父でもある久右衛門(
やっと返して貰った銀20貫目を手に店に帰ると、友人の油屋九兵次(橋本功)が徳兵衛を待っていた。掛け取りの銀30貫目を落とし、
徳兵衛が天満屋に現れないまま9日になる。お初は気も狂いそうだ。全く客を取らないので、主人たちは、四国のお大尽の碇屋勘兵衛(灰地順)が、多額の金で落籍すという話を持ってくる。もし、断れえば、地方の郭に売って、高い元手を取り返すのだと言われ、思いつめるお初。勘兵衛に会い、大坂33か所参りに連れて行ってくれと頼む。勘兵衛は駕籠を呼び、お初に同行した。自殺しても極楽に行けるように密かに祈り続けるお初。
33か所廻り終わったところで、茶屋で休んでいると、徳兵衛が通りかかる。この神社にも参らせてくれと頼み、徳兵衛と話をする。叔父からの縁談を断り、平野屋から出されることになったことを告げ、銀20貫目を九兵次に貸したまま返してもらえないと言う徳兵衛。そこに、九兵次が通りかかる。銀20貫を返せと詰め寄る徳兵衛に、借りた覚えはないと言い、証文と印判にも、紛失したと届けている印判が押されているのは、騙りだろうと開き直り、一緒にいた町衆たちと、徳兵衛を袋叩きにし、池に投げ込む。お初は、徳兵衛を助けてくれと頼むが、勘兵衛は、巻き込まれることを恐れて、慌てて、お初を天満屋に連れ帰った。
徳兵衛が友人の油屋九兵次を騙りにかけたが、ばれて袋叩きになったという話は大坂中に広まった。久右衛門が天満屋にやってきて、お初のもとに徳兵衛が来ていないかと尋ねる。現れるまで待たせて貰うと座敷に上がる。お初がふと外を見ると、髪は乱れ、傷だらけの徳兵衛が笠で顔を隠して立っている。天満屋の主人や、他の女郎たちの目を避けて、床下に徳兵衛を隠すお初。すると、九兵次が現れ、徳兵衛の悪口を言いまくる。徳兵衛は歯ぎしりして悔しがるが、お初に止められる。皆が寝静まった時に、お初と徳兵衛は、心中をしようと天満屋を抜け出した。そのすぐ後に、油屋の番頭が、九兵次を探してやってくる。番屋から緊急の用事があると言われて、煙草入れの中の印判を押して書類を出すと、この印判は、紛失届が出ているものなので、九兵次を呼んで来いと言われたのだと言う。余計なことをしやがってと話していると、徳兵衛の叔父の久右衛門が、お前が徳兵衛を騙ったのだなと迫る。袋叩きにして、天満屋の柱に結えつける。徳兵衛の容疑は晴れたのだ。主人が下女にお初を呼んで来いと言うと、書置きがあり、徳兵衛と心中するというものだった。徳兵衛を追い詰めたことを公開する久右衛門。天満屋吉兵衛に、二人を探してくれと頼む。
二人は、追ってから逃げるように走り、最後には、松に身体を縛りつけて心中を遂げた。
梶芽衣子の思いつめた表情は、最後に死ぬまで変わらない。宇崎竜童も頑張っていると思うが、自身で担当した音楽は、かなり情緒的で、全編の印象を甘ったるいものにしてしまっているのではないだろうか。
69年表現社/ATG篠田正浩監督『心中天網島(152)』
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