シネマート六本木で新東宝大全集。
52年新東宝島耕二監督『上海帰りのリル(153)』。
太平洋戦争末期の上海のキャバレー、、クリフサイドクラブ。女給のリル(香川京子)は、日本人ギャング田代に絡まれている所を、山本(水島道太郎)に助けられる。山本は、楽団のドラマーの岡村一郎(森繁久彌)と同じ孤児院で育ち、今も同居する親友だった。山本はリルとダンスを踊りながら、リルがイタリア人と日本人のハーブで、両親とも亡くし孤独な身の上であるけとなどを知っていた。店がはねてから、リルを自室に誘う山本と岡村。岡村は手品師のように、全身のポケットやコートの内側などから食材を次々取り出した。山本は、ローソクを1本立てたケーキを取り出す。今日はリルの誕生日だったのだ。調理をすると言うリルに、実はリルの家の婆やに偶然市場で会い、色んなことを聞いたのだと種明かしをする岡村。3人の友情は深まる。
ある日クリフサイドクラブでダンスを踊るリルと山本、ノリコ(濱田?)が山本を誘うが、相手にされない。ゴロツキの田代たちが、山本とリルに絡んでくる。帰りも待ち伏せに遭う。拳銃を持ち、リルを奪おうとする田代。勇敢にも、山本はリルと岡村を逃がす。何とか部屋に戻ってきたが、田代たちは追ってきた。まず岡村が脚を撃たれる。山本とリルは必死に逃げたが、競馬場に追い詰められる。取り囲まれ、万事休すとなった瞬間、爆撃が始まる。翌朝山本が意識を取り戻すとリルの姿は消えていた。山本と岡村は、リルの行方を捜したが、全く消息を掴めないまま、終戦となり、二人は帰国する。敗戦後の東京は、人間の賤しさと醜さをぶちまけたような酷い有り様だった。孤児院の跡地に行ってみるが、門しかない。先生たちも亡くなって、自分たちで食べていると言う孤児たち。
その日から、山本は変わる。先ずは闇米の担ぎ屋から始めて、金を稼ぐためにはかなりの危ない橋を渡るようになり、山本組と言うヤクザを率いるまでになり、次第に岡村とも遠ざかって行った。しかし、ある時、山本の事務所を訪れた岡村は、上海のキャバレーで、かってよく流れていたメロディーに歌詞をつけたと譜面を持ってきた。リルが大好きで、よく口ずさんでいた曲だ。「上海帰りのリル」と名付けられたその譜面を手に何度も口ずさんでみる山本。喫茶店に入りふと下を見ると、リルがタクシーに乗るところだ。追い掛けるが、ナンバーのみを控えることしか出来なかった。しかし、この出来事と岡村の持ってきた譜面は、山本が心の底に封印してきたリルへの思い出を揺り動かす。車のナンバーを頼りに東京中を探し歩く山本。遂には、日本にクリフサイドクラブと同じキャバレーを作ることを決意し、岡村に手伝うことを頼む。ヤクザ的なことから手を引くのを条件に協力する岡村。
山本の情婦の初枝が、上海から女性が山本に会いに店に来たと電話が入る。リルかと行って見るとノリコだ。山本は失望するが、何故かリルが乗った筈のタクシーのナンバーを書いたメモを持っているノリコ。訳を言えと急かす山本に、横浜の運転手が、自分の車のナンバーを東京の山本組の親分が捜しまくっていると聞いて恐ろしくなってノリコに相談したのだと言う。ノリコと初枝は、横浜で幼なじみだったのだ・・・・・。
丸の内の成人病クリニックで、糖尿病の経過観察の採血と検尿。だいぶ数値が安定しているので、毎月でなくて、一月半に一回来ればいいと言われる。終わってからやっと食事。
神保町シアターで、浪花の映画の物語。
59年東映京都内田吐夢監督『浪花の恋の物語(154)』
人形浄瑠璃の小屋竹本座の桟敷席、小豆島のお大尽布袋屋藤兵衛(東野英治郎)が、竹本座の頼母(中村時之介)らに囲まれ観劇をしている。座付作者の近松先生にいい話を書いてもらわないとと言う藤兵衛。客席の後ろに近松門左衛門(片岡千恵蔵)の姿がある。隣の桟敷の飛脚問屋、亀屋の隠居妙閑(田中絹代)と娘のおとく(花園ひろみ)の下に、亀屋の養子で、おとくの許婚の忠兵衛(中村錦之助)が来ており、堂島の飛脚問屋、尾張屋の金六が封印切りをした件で、飛脚問屋組合の寄合が開かれると報告する。おとくは忠兵衛も見ていったらと言うが妙閑は、駄目だと言い寄合に自分の代理で出席するように伝える。本来封印切りは獄門だが、僅か1両の金を盗んた金六は、大坂18軒飛脚問屋の総意として市中引き回しの上処払いで済ますよう代官に願い出る世話役たち。命は助かったものの、二度と飛脚は出来ない。信用が第一の飛脚商売は厳しい。
寄合が終わると、友人の丹波屋八右衛門(千秋実)が、せっかくだから飲みに行こうと新町の遊廓に誘う。真面目一筋で遊びを知らない忠兵衛は断るが、八右衛門は強引に引き回し、遊廓槌屋に案内する。忠兵衛に付いた女郎の名は梅川(有馬稲子)。外泊したことの無い忠兵衛は、金も払ったので帰してくれと言うが、部屋に上がった客が、泊まらずに帰らせるのは女郎の恥とされ、同輩から物笑いに謗られた上、主人から折檻を受けると懇願され、一夜を共にする忠兵衛。おとくとの婚約はしていたものの、初めての経験に忠兵衛は梅川が忘れられないものとなる。
初めての朝帰りに罪悪感のあり忠兵衛に八右衛門は、わざわざ亀屋に寄りご隠居に、寄合の後の宴会で、酒に酔った忠兵衛の具合が悪くなったので、自宅に泊めてやったのだと言い訳してくれる。しかし、忠兵衛はその日も梅川のもとに行かずには居られない。梅川は、こうした悪場所は二度と迄で、3回来る場所ではないと言う。しかし、忠兵衛にとっては梅川と一時も離れていることは出来なくなった。
梅川の叔父の米造が槌屋を訪ねてきた。眩暈持ちの梅川の母の薬代がかさんで、金を借りに来たのだ。梅川は主人から5両の金を借り、店への借金は250両となった。忠兵衛の連夜の外出を心配した妙閑は、掛け取りの仕事で、江戸への出張を申しつける。出立の前夜、忠兵衛はやはり槌屋に出かける。梅川は、小豆島のお大尽のお座敷に呼ばれている。身請けして、小豆島に連れて帰りたいと言いだすお大尽。一方、忠兵衛は梅川の部屋で、梅川が母親に書いた文を読んでしまう。2両の金を置いて帰る忠兵衛。
東海道を上り、江戸の飛脚問屋近江屋に着く忠兵衛。江戸では、享保の改革による賭事、心中など風俗取締りを触れて歩く瓦版屋の姿がある。江戸の飛脚問屋近江屋の番頭から、丹波屋の為替の差額50両を含む金子を預かる。梅川は、何日も槌屋に現れない忠兵衛に眠れぬ日が続く。一人の飛脚が江戸にいる忠兵衛から預かったと小さな包みを届けにきた。大喜びで包みを開けた梅川の表情が曇る。色街では縁切りを意味する櫛だったからだ。槌屋の主人治右衛門(進藤英太郎)と女房お清(中村芳子)は、身請けするという布袋屋藤兵衛からの文を梅川に読み聞かせるが、首を縦に振らない梅川。
忠兵衛は、大坂には戻ったものの、直ぐに亀屋の暖簾をくぐる気になれず、新町筋の掛茶屋で酒を飲む。近くの席で飲んでいる近松を槌屋の下女が呼びにくる。彼女は最近現れない忠兵衛に梅川が食事も喉を通らず、日増しに窶れていくと言う。結局、一目梅川の姿を見ようと槌屋に行く。店の前の忠兵衛を見つけ、格子越しに必死に忠兵衛の名を呼ぶ梅川の姿に、結局座敷に上がってしまう忠兵衛。
しかし、再度の藤兵衛からの度々の文に煮え切 らない梅川に業を煮やしていた治右衛門は、こうした話は強引に進めた方がいいと、 遣り手のおえん(浪速千栄子)に結納が決まったのだから客を取らせるなと言う。おえんは、梅川の座敷にいる忠兵衛に、縁談の決まった梅川の幸せを祈って、 野暮は言わずに帰れと言う。頭に血が上った忠兵衛は、治右衛門たちのもとに行き、丹波屋の50両の切り餅を梅川身請けの手付けと渡し、居続けする。
イメージフォーラムシアターで、WE ARE THE PINK SCHOOL。
65年国映大和屋竺監督『荒野のダッチワイフ(155)』
84年新東宝滝田洋二郎監督『痴漢電車 下着検札(156)』。
昭和3年、満州奉天に向かう列車ごと張作霖は爆殺された。張作霖が指に嵌めていた巨大な黒真珠を一人の日本兵、山森五平が手に入れた。
昭和59年の東京、満員の山手線の中で、痴漢に励む五平の姿がある。若い後妻の松子が、五平に黒真珠のありかを尋ねている。それなら、もう一回しようと、蒲団に松子を引っ張り込む五平。しかし、腹上死する五平。今わの際に、床の間を差し、満拓と言葉を残す。
黒田探偵事務所の黒田(蛍雪次郎)とアシスタントの浜子に、この謎を解いてくれと依頼をする松子。黒田は、この満拓が半分しかないことが分かる。五平の姪のヨーコのものらしい。黒田は山手線内で満拓を取り、ヨーコのものと一致するものを探し始める。浜子は五平の息子の春男と松子の身辺を洗うことにする。なかなか見つからないため、黒田は著名な推理小説家の松木清張(竹中ナオト)に依頼することに。キャバレーのドラマーをしている春男は、松子と関係し、山分けしようと口説く。黒田は苦労の末、ヨーコを見つける。しかし、春男はヨーコとも関係を持ち、黒真珠を見つけて二人で山分けしようと言っている。しかし、松木清張が真相を明らかにしようとした時に、春男は、完全密室化した自室で砒素を飲み自殺。窓の外ではヨーコが、春男のドラムスティックで腹を刺されて死んでいる・・・。
竹中直人の清張ものまねによる松木清張(笑)と、密室殺人(笑)、満州ロケ(笑)と、役者、ストーリー、ロケ、ピンク映画のスケールを超越している(苦笑)。さすが、アカデミー賞受賞の滝田洋二郎監督。アカデミー賞効果か満員の会場では、始終笑いが起きていた。いいなあ。
後輩Sと先輩Kと神楽坂のバールで飲む。酒も料理もこれは美味い!!!結局飯田橋から終電に乗る羽目に。
太平洋戦争末期の上海のキャバレー、
ある日クリフサイドクラブでダンスを踊るリルと山本、ノリコ(
その日から、山本は変わる。先ずは闇米の担ぎ屋から始めて、
山本の情婦の初枝が、
丸の内の成人病クリニックで、
神保町シアターで、浪花の映画の物語。
59年東映京都内田吐夢監督『浪花の恋の物語(154)』
人形浄瑠璃の小屋竹本座の桟敷席、小豆島のお大尽布袋屋藤兵衛(
梅川の叔父の米造が槌屋を訪ねてきた。眩暈持ちの梅川の母の薬代がかさんで、金を借りに来たのだ。梅川は主人から5両の金を借り、店への借金は250両となった。忠兵衛の連夜の外出を心配した妙閑は、掛け取りの仕事で、江戸への出張を申しつける。出立の前夜、忠兵衛はやはり槌屋に出かける。梅川は、小豆島のお大尽のお座敷に呼ばれている。身請けして、小豆島に連れて帰りたいと言いだすお大尽。一方、忠兵衛は梅川の部屋で、梅川が母親に書いた文を読んでしまう。2両の金を置いて帰る忠兵衛。
東海道を上り、江戸の飛脚問屋近江屋に着く忠兵衛。江戸では、享保の改革による賭事、心中など風俗取締りを触れて歩く瓦版屋の姿がある。江戸の飛脚問屋近江屋の番頭から、丹波屋の為替の差額50両を含む金子を預かる。梅川は、何日も槌屋に現れない忠兵衛に眠れぬ日が続く。一人の飛脚が江戸にいる忠兵衛から預かったと小さな包みを届けにきた。大喜びで包みを開けた梅川の表情が曇る。色街では縁切りを意味する櫛だったからだ。槌屋の主人治右衛門(進藤英太郎)と女房お清(中村芳子)は、身請けするという布袋屋藤兵衛からの文を梅川に読み聞かせるが、首を縦に振らない梅川。
忠兵衛は、大坂には戻ったものの、直ぐに亀屋の暖簾をくぐる気になれず、新町筋の掛茶屋で酒を飲む。近くの席で飲んでいる近松を槌屋の下女が呼びにくる。彼女は最近現れない忠兵衛に梅川が食事も喉を通らず、日増しに窶れていくと言う。結局、一目梅川の姿を見ようと槌屋に行く。店の前の忠兵衛を見つけ、格子越しに必死に忠兵衛の名を呼ぶ梅川の姿に、結局座敷に上がってしまう忠兵衛。
しかし、再度の藤兵衛からの度々の文に煮え切 らない梅川に業を煮やしていた治右衛門は、こうした話は強引に進めた方がいいと、 遣り手のおえん(浪速千栄子)に結納が決まったのだから客を取らせるなと言う。おえんは、梅川の座敷にいる忠兵衛に、縁談の決まった梅川の幸せを祈って、 野暮は言わずに帰れと言う。頭に血が上った忠兵衛は、治右衛門たちのもとに行き、丹波屋の50両の切り餅を梅川身請けの手付けと渡し、居続けする。
亀屋では、妙閑、おとく等はなかなか江戸から戻らない忠兵衛を、心配していた。八右衛門は、50両の催促に来るが、まだ戻っていないと聞いて、ひょっとしてと槌屋を覗 く。果たして忠兵衛は、梅川の部屋にいた。今度も、八右衛門は、妙閑に病で寝込んでいて大坂帰着が遅れたのだと証言してくれる。50両の金も妙閑には黙っていてくれた。
その夜、米子藩の御用金300両な大坂帰着が遅れていたために、くれぐれも今宵のうちにお届けするようにと妙閑に命じられた忠兵衛は、米子藩蔵屋敷に向かう途中、藤兵衛が槌屋に向かう籠とすれ違ったため、いてもたっても居られなくなり、小僧の長吉(白木みのるに)に、急に新町に用事を思い出したと嘘をつき小遣いを渡して帰らせる。
槌屋では、梅川の身請けの祝いだと宴席の用意の真っ最中。治右衛門とお清、藤兵衛の前に躍り出た忠兵衛は、50両の手付けを打っただろうと詰め寄る。しかし梅川の身請け代は250両。あとの200両は、飛脚問屋の若旦那とは言え家屋敷家財一式売ったって工面出来まい。忠兵衛の大和の実父がいかに豪農だとしても、身の程知らずはおやめなさいと言われてしまう。
身請け話への梅川の気持ちを尋ねうと、梅川の部屋の前まで行くと、八右衛門が、皆から問われるままに忠兵衛の50両は丹波屋の金で、ご隠居の手前、話を合わせるのに大変だったと話している。親友だと思っていた八右衛門に恥をかかされたと逆上した忠兵衛は、懐から50両を封印切りして叩き返し、藤兵衛の座敷に乗り込み二百両と引き換えに梅川を連れ出した。
しかし、町奉行所は米子藩の御用金封印切りの咎で、忠兵衛を捕縛に亀屋に現れ、いないと分かると妙閑をひっ捕らえていく。妙閑は忠兵衛は魔が差しただけだと言って連れられて行った。泣くおとくと店の者たち。お尋ね者となった忠兵衛と梅川。忠兵衛は獄門、梅川は二度のお勤めだ。2人は親に会おうと逃げる。しかし忠兵衛の父親の住む大和の新口(いのくち)村の入り口で二人は捕まえられた。梅川は槌屋に連れてこられる。井戸に身を投げようとするが止められる。女郎には死ぬ自由もない。まして世間を騒がせた梅川を指名する男は多いだろう。心中が叶わなかった二人を、近松は親への想いを中心に書いた。満員の竹本座、二人の哀しい運命に沸く観客を見つめる近松の姿があった。
その夜、米子藩の御用金300両な大坂帰着が遅れていたために、
身請け話への梅川の気持ちを尋ねうと、
しかし、町奉行所は米子藩の御用金封印切りの咎で、
イメージフォーラムシアターで、WE ARE THE PINK SCHOOL。
65年国映大和屋竺監督『荒野のダッチワイフ(
84年新東宝滝田洋二郎監督『痴漢電車 下着検札(156)』。
昭和3年、満州奉天に向かう列車ごと張作霖は爆殺された。張作霖が指に嵌めていた巨大な黒真珠を一人の日本兵、山森五平が手に入れた。
昭和59年の東京、満員の山手線の中で、痴漢に励む五平の姿がある。若い後妻の松子が、五平に黒真珠のありかを尋ねている。それなら、もう一回しようと、蒲団に松子を引っ張り込む五平。しかし、腹上死する五平。今わの際に、床の間を差し、満拓と言葉を残す。
黒田探偵事務所の黒田(蛍雪次郎)とアシスタントの浜子に、この謎を解いてくれと依頼をする松子。黒田は、この満拓が半分しかないことが分かる。五平の姪のヨーコのものらしい。黒田は山手線内で満拓を取り、ヨーコのものと一致するものを探し始める。浜子は五平の息子の春男と松子の身辺を洗うことにする。なかなか見つからないため、黒田は著名な推理小説家の松木清張(竹中ナオト)に依頼することに。キャバレーのドラマーをしている春男は、松子と関係し、山分けしようと口説く。黒田は苦労の末、ヨーコを見つける。しかし、春男はヨーコとも関係を持ち、黒真珠を見つけて二人で山分けしようと言っている。しかし、松木清張が真相を明らかにしようとした時に、春男は、完全密室化した自室で砒素を飲み自殺。窓の外ではヨーコが、春男のドラムスティックで腹を刺されて死んでいる・・・。
竹中直人の清張ものまねによる松木清張(笑)と、密室殺人(笑)、満州ロケ(笑)と、役者、ストーリー、ロケ、ピンク映画のスケールを超越している(苦笑)。さすが、アカデミー賞受賞の滝田洋二郎監督。アカデミー賞効果か満員の会場では、始終笑いが起きていた。いいなあ。
後輩Sと先輩Kと神楽坂のバールで飲む。酒も料理もこれは美味い!!!
0 件のコメント:
コメントを投稿