2009年1月3日土曜日

謹賀新年

   カウントダウンは、新宿ピカデリーで迎えてしまった。ロビーまで降りてくると、何かを配っていて、クラッカーだ。人だかりがして、いきなり3→2→1HAPPY NEW YEAR!!で盛り上がっている若者たちを擦り抜け、帰宅。仕込んでいた雑煮と博多煮を手早く完成させ、燗酒を飲み、寝る。しかし、なんて美味い雑煮だと自画自賛して、日野の実家に。連日の派遣切り→ホームレス報道を見ていると、愚息もその一人だと思って心配していたらしい。就職が叶わないのは事実だが(苦笑)、江戸時代の長屋の浪人ぐらいは生活を楽しんでいるつもりだが、いつまでたっても子は子。親不孝な愚息をお許しください、痩せ衰えていないのが、なんだか不満そうだったが、まあ、酒飲んで、食っちゃ寝て、2日には、戻る。
   帰り際に、荻窪八幡で初詣。おみくじは大吉。しかし『ときくれば、かれきとみえしやまかげの さくらも、花のさきにほひつ  ~ 初めは冬の枯れ木の葉、おちて花もなく寂しく此の末如何ならむと気遣うも、其の内に春となりて花咲く如く末よき運なり。何事も慎め退屈せず時を待てば必ずよし』というなんとも、持久戦を思わせる運勢だ(苦笑)。願望は、初めは思はしからねど、後は必ずよし。とか、縁談は、初め手間取りて思はしからず後は叶う。とか、待ち人、おそけれど来る。とか、商法、あせりては、わるし。とか、いつまで、このままなんだろうか(笑)

2008年12月31日水曜日

50歳400本(3)順不同、4月1日~12月31日鑑賞(*)ドキュメンタリ作品

2008年邦画
実録連合赤軍』若松孝二監督
靖国』李纓監督(*)
アフタースクール』内田けんじ監督
ぐるりのこと』橋口亮輔監督
きみの友だち』廣木隆一監督
闇の子供たち』阪本順治監督
片腕マシンガール』井口昇監督
東南角部屋二階の女』池田千尋監督
パコと魔法の絵本』中島哲也監督
おくりびと』滝田洋二郎監督
トウキョウソナタ』黒沢清監督
俺たちに明日はないッス』タナダユキ監督
豚がいた教室』前田哲監督
Kー20 怪人二十面相・伝』佐藤嗣麻子監督

2008年洋画
最高の人生の見つけ方』ロブ・ライナー監督
シークレットサンシャイン』イ・チャンドン監督
アルティメット・エージェント』ベットターイ・ウォンカムラオ監督
881歌え!パパイヤ』ロイストン・タン監督
JUNO』ジェイソン・ライトマン監督
ホットファズ』エドガー・ライト監督
テネイシャスD~運命のピックを探せ~』リアム・リンチ監督
ぼくの大切なともだち』パトリス・ルコント監督
地球でいちばん幸せな場所』ステファン・ゴーガー監督
胡同の理髪師』ハスチョロー監督
いま ここにある風景』ジェニファー・バイチオル監督(*)
女工哀歌(エレジー)』マイケル・ペレド監督(*)
アメリカン・ティーン』ナネット・バーンスタイン監督(*)
ボクらのミライに逆回転』ミッシェル・ゴンドリー監督
ブロードウェイ♪ブロードウェイ~コーラスラインへの道』ジェイムズ・D・スターン&アダム・デル・デオ監督(*)
チェチェンへ アレクサンドラの旅』アレクサンドル・ソクーロフ監督
BOY A』ジョン・クローリー監督
ヤング@ハートスティーブン・ウォーカー監督(*)

金返せ!
『髪がかり』河崎実監督
『ロックンロール☆ダイエット』元木隆史監督
『築地魚河岸三代目』
『愛流通センター』土屋哲彦監督
『憐-REN-』堀禎一監督
『宿命』キム・ヘゴン監督
『落語娘』『桜の園』『魔法遣いに大切なこと』中原俊監督
『蛇にピアス』蜷川幸雄監督
『ピョコタン・プロファイル』梶野竜太郎監督
『最強☆彼女(346)』クァク・ジェヨン監督
『特命係長 只野仁 最後の劇場版』植田尚監督

女優
藤純子
岡田茉莉子
新珠三千代
永作博美
左幸子
香山美子
森下愛子
加賀まりこ
野添ひとみ
北川景子
風祭ゆき
山田五十鈴
山口美也子
乙羽信子
竹下景子
野川由美子
轟夕起子
芦川いずみ
浅丘ルリ子
清水まゆみ
吉永小百合
小山明子
加藤ローサ
荻野目慶子
横山道代
郝蕾 〔ユー・ホン〕
若尾文子
吉行和子
池内淳子
若尾文子
横山リエ
真木洋子
任田順好/沢淑子
桑野みゆき
アヤカ・ウィルソン
有馬稲子
吉高由里子
グイ・ルンメイ
田中美佐子
麻生久美子


男優
柄本時生
若山富三郎
高倉健
森繁久弥
天津敏
宮口精二
室田日出夫
志村喬
安倍徹
待田京介
嵐寛寿郎
月形龍之介
浜村純
森雅之
勝新太郎
伴淳三郎
丹波哲郎
三國連太郎
汐路章
フランキー堺
片岡千恵蔵

順位はつけられないので、全て順不同。

50歳400本(2)

4月  コーエン兄弟監督『カントリー(1)』ケヴィン・リマ監督『魔法にかけられて(2)』アン・リー監督『ラスト・コーション(3)』 草野陽花監督『ブラブラバンバン(4)』51年松竹大船木下恵介監督『カルメン故郷に帰る(5)』マット・リーブス監督『クローバーフィールド(6)』若松孝二監督『実録連合赤軍(7)』堤幸彦監督『すし王子NYに行く(8)』リー・タマホリ監督『ネクスト(9)』サヴィエ・ジャン監督『ヒットマン(10)』田中誠監督『うた魂♪(11)』

5月 ローランド・エメリッヒ監督『紀元前一万年(12)』ガス・ヴァン・サント監督『パラノイドパーク(13)』セルゲイ・ボドロフ監督『モンゴル(14)』本広克行監督『少林少女(15)』和泉聖治監督『相棒(16)』トッド・ヘインズ監督『アイム・ノット・ゼア(17)』ロバート・レッドホード監督『大いなる陰謀(18)』李纓監督『靖国(19)』ロブ・ライナー監督『最高の人生の見つけ方(20)』樋口正嗣監督『隠し砦の三悪人 the last princess(21)』福田陽平監督『お姉チャンバラ(22)』佐藤信介監督『砂時計(23)』シルヴェスタ・スタローン監督『ランボー 最後の戦場(24)』内田けんじ監督『アフタースクール(25)』フランク・ダラボン監督『ミスト(26)』マイク・ニコルズ監督『チャーリーウィルソンズウォー(27)』

6月 マーク・ヘルフリッチ監督 『噂のアゲメンに恋をした(28)』松原真吾監督『築地魚河岸三代目(29)』イ・チャンドン監督『シークレットサンシャイン(30)』麻生学監督『長い長い殺人(31)』三谷幸喜監督『ザ・マジックアワー(32)』篠原哲雄監督『山桜(33)』河崎実監督『髪がかり(34)』望月六郎監督『JOHNEN定の愛(35)』ベットターイ・ウォンカムラオ監督『アルティメット・エージェント(36)』スティーブン・スピルバーグ監督『インディ・ジョーンズ~クリスタルスカルの王国(37)』三池崇史監督『神様のパズル(38)』ポール・ハギス監督『告白のとき(39)』橋口亮輔監督『ぐるりのこと(40)』カーステン・シャリダン監督『奇跡のシンフォニー(41)』 柳明菜監督『今日という日が最後なら、(42)』是枝裕和監督『歩いても歩いても(43)』

7月 奥秀太郎監督『ドモ又の死(44)』ウォシャウスキー兄弟監督『スピードレーサー(45)』阪本順治監督『カメレオン(46)』68年スタンリー・キューブリック監督『2001年宇宙の旅(47)』チャウ・シンチー監督『ミラクル7(48)』セリーヌ・シアマ監督『水の中のつぼみ(49)』エドガー・ライト監督『ホットファズ(50)』原田眞人監督『クライマーズ・ハイ(51)』宮崎駿監督『崖の上のポニョ(52)』廣木隆一監督『きみの友だち(53)』リアム・リンチ監督『テネイシャスD~運命のピックを探せ~(54)』河崎実監督『ギララの逆襲洞爺湖サミット危機一髪(55)』パトリス・ルコント監督『ぼくの大切なともだち(56)』タナダユキ監督『百万円と苦虫女(57)』吉田恵輔監督『純喫茶磯辺(58)』ジェイソン・ライトマン監督『JUNO(59)』竹藤佳世監督『半身反義(60)』

8月 ロブ・ミンコフ監督『ドラゴンキングダム(61)』76年東映京都中島貞夫監督『狂った野獣(62)』ジョン・スティーブンソン監督『カンフーパンダ(63)』ステファン・ゴーガー監督『地球でいちばん幸せな場所(64)』土屋哲彦監督『愛流通センター(65)』阪本順治監督『闇の子供たち(66)』ワン・イエミン監督『闘茶(67)』伊勢真一監督『ゆめみたか~愛は歌田川律~(68)』ロウ・イエ監督『天安門、恋人たち(69)』55年東映京都内田吐夢監督『血槍富士(70)』57年東映京都内田吐夢監督『大菩薩峠第一部(71)』73年東宝大森健次郎『二十歳の原点(72)』63年東映京都内田吐夢監督『宮本武蔵二刀流開眼(73)』60年東映京都内田吐夢監督『妖刀物語(74)』井口昇監督『片腕マシンガール(75)』75年東映京都森崎東監督『喜劇特出しヒモ天国(76)』中村義洋監督『ジャージの二人(77)』 58年東映京都内田吐夢監督『大菩薩峠第二部(78)』62年東映京都内田吐夢監督『恋や恋なすな恋(79)』66年東映京都中島貞夫監督『893愚連隊(80)』クリストファー・ノーラン監督『ダークナイト(81)』M・ナイト・シャマラン監督『ハプニング(82)』石井康晴監督『花より男子ファイナル(83)』本木克英監督『ゲゲゲの鬼太郎千年呪い歌(84)』 59年東映京都内田吐夢監督『大菩薩峠完結編(85)』『我ら天下をめざす(86)』『人に歴史あり ~十八歳の暗黒(87)』『こんにちわーChim↑Pom!!(88)』『日本イスラーム化計画(89)』『古澤健のMっぽいの、好き(90)』『フロム・パラダイス(91)』『人間爆発(92)』『セックスと嘘とビデオテープとウソ(93)』 ハスチョロー監督『胡同の理髪師(94)』キム・スンレ監督『私たちの生涯最高の瞬間(95)』エド・ニューマイヤー監督『スターシップトゥルーパーズ3(96)』サタケミキオ監督『同窓会(97)』マイク・ニューウェル監督『コレラの時代の愛(98)』堀禎一監督『憐-REN-(99)』クロード・ルルーシュ、チェン・カイコー他『それぞれのシネマ(100)』ロイストン・タン監督『881歌え!パパイヤ(101)』辻本貴則監督『ハード・リベンジ・MILLY(102)』金子功監督『THE MASKED GIRL 女子高生は改造人間(103)』73年東映京都中島貞夫監督『ポルノの女王にっぽんSEX旅行(104)』押井守監督『スカイクロラ(105)』真島理一郎、古谷雄作、五月女ケイコ他『東京オンリーピック(106)』57年日活川島雄三監督『幕末太陽傳(107)』36年第一映画溝口健二監督『祇園の姉妹(108)』ミッシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ボン・ジュノ監督『TOKYO(109)』李闘士男監督『デトロイト・メタル・シティ(110)』ロブ・コーエン監督『ハンナプトラ3(111)』65年松竹篠田正浩監督『美しさと哀しみと(112)』

9月  浅野忠信、中村獅堂他『R246 STORY(113)』安達正軌監督『死にぞこないの青(114)』スティーブ・マイナー監督『デイ・オブ・ザ・デッド(115)』堤幸彦監督『20世紀少年(116)』ジェニファー・バイチオル監督『いま ここにある風景(117)』ジェイ・チョウ監督『言えない秘密(118)』63年日活今村昌平監督『にっぼん昆虫記(119)』中野裕之監督『七人の侍』中野裕之他『男たちの詩(123)』岩松了監督『たみおのしあわせ』ロビン・リー監督『DNAがアイ・ラブ・ユー(124)』スー・チャオピン監督『シルク(125)』ダニー・レヴィ監督『わが教え子、ヒトラー(126)』中原俊監督『落語娘(127)』68年大映三隅研二監督『とむらい師たち(128)』ターセム監督『落下の王国(129)』 ジョン・ポールソン監督『レス・ポールの伝説(130)』61年日活川島雄三監督『花影(131)』68年東映中川信夫監督『怪談 蛇女(132)』63年東映製作今井正監督『武士道残酷物語(133)』61年東宝鈴木英夫監督『黒い画集第2話 寒流(134)』74年東映原田隆司監督『忘八武士道 さ無頼(135)』83年富士映画田中登監督『丑三つの村(136)』 ピーター・バーグ監督『ハンコック(137)』ゼロ・チョウ監督『TATOO-刺青(138)』リン・チンチェ監督『遠い道のり(139)』04年キム・テギュン監督『オオカミの誘惑(140)』犬堂一心監督『グーグーだって猫である(141)』72年東宝深作欣二監督『軍旗はためく下に(142)』ティムール・ベクマンベトフ監督『ウォンテッド(143)』65年日活中平康監督『結婚相談(144)』58年松竹今井正監督『夜の鼓(145)』62年日活藏原惟膳監督『憎いあんちくしょう(146)』94年東宝市川昆監督『四十七人の刺客(147)』78年松竹斎藤耕一監督『渚の白い家(148)』59年日活斉藤武市監督『南国土佐を後にして(149)』62年日活中平康監督『危(ヤバ)いことなら銭になる(150)』62年松竹小林正樹監督『からみ合い(151)』 59年松竹大船木下恵介監督『風花(152)』57年松竹小林正樹監督『黒い河(153)』マキノ雅彦監督『次郎長三国志(154)』北野武監督『アキレスと亀(155)』池田千尋監督『東南角部屋二階の女(156)』蜷川幸雄監督『蛇にピアス(157)』マイケル・パトリック・キング監督『Sex And The City(158)』ジェニファー・フラケット&マーク・レヴィン『幸せの1ページ(159)』ジュリー・テイモア監督『アクロス・ザ・ユニバース(160)』62年日活蔵原惟繕監督『硝子のジョニー~野獣のように見えて(161)』65年松竹山田洋次監督『霧の旗(162)』71年松竹貞永方久監督『嫉妬(163)』63年日活蔵原惟繕監督『何か面白いことないか(164)』61年松竹渋谷實監督『もず(165)』元木隆史監督『ロックンロール☆ダイエット(166)』71年東映京都加藤泰監督『緋牡丹博徒 お命戴きます(167)』59年日活中平康監督『密会(168)』

10月 ジャン=ピエール・アメリス監督『ベティの小さな秘密(169)』63年日活吉村廉監督『アカシアの雨がやむとき(170)』70年三船プロ製作稲垣浩監督『待ち伏せ(171)』小原剛監督『芸者VS忍者(172)』58年松竹大船大庭秀雄監督『黒い花粉(173)』63年松竹京都吉田喜重脚本監督『嵐を呼ぶ十八人(173)』65年東映東京今井正監督『越後つついし親不知(174)』萩生田宏治監督『コドモのコドモ(175)』69年大映東京増村保造監督『女体(176)』69年日活浦山桐郎監督の『私が棄てた女(177)』62年大映東京川島雄三監督『しとやかな獣(178)』 62年日活蔵原惟繕監督『銀座の恋の物語(179)』53年松竹大船、川島雄三監督『東京マダムと大阪夫人(180)60年松竹大船野村芳太郎監督『観賞用男性(181)』61年松竹大船野村芳太郎監督『恋の画集(182)』64年松竹京都さむらいプロ五社英雄監督『三匹の侍(183)』65年大映増村保造監督『清作の妻(184)』62年松竹小林正樹監督『からみあい(185)』土屋トカチ監督『フツーの仕事がしたい(186)』71年松竹斎藤耕一監督『内海の輪(187)』60年東宝川島雄三監督『接吻泥棒(188)』マイケル・ペレド監督『女工哀歌(エレジー)(189)』キム・ヘゴン監督『宿命(190)』 ホ・ジノ監督『ハビネス(191)』キム・ジョンヒョン監督『最高のパートナー(192)』チン・グアンギョ監督『ビューティフル・サンデー(193)』鶴田法男監督『おろち(194)』 ナネット・バースタイン監督『アメリカン・ティーン(195)』56年東宝鈴木英夫監督『彼奴を逃すな(196)』64年松竹大船前田陽一監督『にっぽんぱらだいす(197)』ジェイ・リー監督『ゾンビストリッパーズ(198)』 56年東京映画久松静児監督『女囚と共に(199)』秋原正俊監督『二重心臓(200)』中島哲也監督『パコと魔法の絵本(201)』内田栄治監督『地球でたったふたり(202)』ミシェル・ゴンドリー監督『ボクらのミライに逆回転(203)』滝田洋二郎監督『おくりびと(204)』DJカルーソー監督『イーグル・アイ(205)』ピーター・シガール監督『ゲットスマート(206)』60年東京映画川島雄三監督『赤坂の姉妹より 夜の肌(207)』61年松竹大船篠田正浩監督『三味線とオートバイ(208)』金田敬監督『春琴抄(209)』66年大映増村保造監督『陸軍中野学校(210)』67年東宝岡本喜八監督『日本のいちばん長い日(211)』61年東映京都加藤泰監督『怪談 お岩の亡霊(212)』64年東映京都加藤泰監督『幕末残酷物語(213)』65年日活鈴木清順監督『春婦傳(214)』55年日活久松静児監督『警察日記(215)』56年日活久松監督『神阪四郎の犯罪(216)』65年東映京都加藤泰監督『明治侠客伝 三代目襲名(217)』70年東映京都加藤泰監督『緋牡丹博徒 お竜参上(218)』66年東映京都加藤泰監督『沓掛時次郎 遊侠一匹(219)』62年東映京都加藤泰監督『瞼の母(220)』曽利文彦監督『ICHI(221)』69年東映京都加藤泰監督『緋牡丹博徒 花札勝負(222)』61年東京映画久松静児監督『喜劇・駅前弁当(223)』61年松竹大船中村登監督『斑女(224)』城定秀夫監督『デコトラ★ギャル奈美(225)』63年東映京都加藤泰監督『真田風雲録(226)』68年松竹加藤泰監督『みな殺しの霊歌(227)』72年松竹加藤泰監督『人生劇場 青春・愛欲・残侠編(228)』62年東京映画久松静児監督『喜劇 駅前温泉(229)』58年東京映画久松静児監督『みみずく説法(230)』66年松竹松野宏軌監督『侠勇の花道 ドス(231)』。73年松竹加藤泰監督『花と龍 青春・愛憎・怒涛編(232)』63年宝塚映画久松静児監督『丼池(233)』73年東宝配給加藤泰監督『日本侠花伝(234)』81年大和新社製作東宝配給加藤泰監督『炎のごとく(235)』三原光尋監督『しあわせのかおり(236)』

11月 黒沢清監督『トウキョウソナタ(237)』73年東宝森谷司郎監督『日本沈没(238)』69年創造社大島渚監督『新宿泥棒日記(239)』57年東宝稲垣浩監督『柳生武芸帳(240)』64年大映京都三隅研次監督『座頭市血笑旅(241)』71年東陽一監督『やさしいにっぽん人(242)』イ・ヘヨン、イ・ヘジョン監督『ヨコヅナマドンナ(243)』山本清史監督『男女逆転 吉原遊廓(244)』74年疾走プロ原一男監督『極私的エロス 恋歌1974(245)』68年日活今村昌平監督『神々の深き欲望(246)』65年東京映画久松静児監督『花のお江戸の法界坊(247)』62年松竹大船篠田正浩監督『涙を、獅子のたて髪に(248)』57年大映東京増村保造監督『くちづけ(249)』 71年東映京都深作欣二監督『博徒外人部隊(250)』大林宣彦監督『その日の前に(251)』52年松竹京都大曽根辰夫監督『旗本退屈男 江戸城罷り通る(252)』59年宝塚映画久松静児監督『飛びっちょ勘太郎(253)』村兼明洋監督『ロック誕生(254)』59年大映京都安田公義監督『千代田城炎上(255)』65年東宝・三船プロ岡本喜八監督『(256)』ジェイムス・D・スターン&アダム・デル・デオ監督『ブロードウェイ♪ブロードウェイ~コーラスラインへの道(257)』古厩智之監督『ホームレス中学生(258)』ジョン・ファヴロー監督『アイアンマン(259)』55年日活佐藤武監督『スラバヤ殿下(260)』55年日活川島雄三監督『銀座二十四帖(261)』62年大映川島雄三監督『雁の寺(262)』59年宝塚映画川島雄三監督『貸間あり(263)』72年創造社日本ATG大島渚監督『夏の妹(264)』59年東京映画川島雄三監督『グラマ島の誘惑(265)』62年東京映画川島雄三監督『青べか物語(266)』58年宝塚映画川島雄三監督『暖簾(267)』68年東映京都山下耕作監督『大奥絵巻(268)』68年東映京都山下耕作監督『極道(269)』63年東映京都山下耕作監督『関の弥太ッぺ(270)』59年日活中平康監督『才女気質(271)』65年東映東京石井輝男監督『網走番外地(272)』65年『網走番外地望郷編(273)』61年大映東京川島雄三監督『女は二度生まれる(274)』62年日活滝沢英輔監督『しろばんば(275)』55年日活田坂具隆監督『女中ッ子(276)』中原俊監督『桜の園(277)』56年日活川島雄三監督『須崎パラダイス 赤信号(278)』63年東京映画川島雄三監督『喜劇 とんかつ一代(279)』63年東京映画川島雄三監督『イチかバチか(280)』64年大映池広一夫監督『座頭市千両首(281)』72年東宝三隅研次監督『御用牙(282)』68年東映京都山下耕作監督『緋牡丹博徒(283)』66年東映京都山下耕作監督『続花と龍 洞海湾の決闘(284)』73年東宝増村保造監督『御用牙 かみそり半蔵地獄責め(285)』66年東映京都山下耕作監督『続兄弟仁義(286)』69年東映京都山下耕作監督『緋牡丹博徒鉄火場列伝(287)』69年創造社大島渚監督『少年(288)』SPO/ジェリーロジャー山本清史監督『大奥百花繚乱(289)』68年松竹野村芳太郎監督『白昼堂々(290)』77年松竹加藤泰監督『江戸川乱歩の陰獣(291)』大島渚監督『白昼の通り魔(292)』00年近代映画協会新藤兼人監督『三文役者(293)』70年大映増村保造監督『やくざ絶唱(294)』長澤雅彦監督『天国はまだ遠く(295)』深川栄洋監督『真木栗ノ穴(296)』54年日活山村聰監督『黒い霧(297)』62年松竹吉田喜重監督・脚本『秋津温泉(299)』58年日活今村昌平監督『テント劇場より 盗まれた欲情(300)』69年東映京都山下耕作監督『昭和残侠伝 人斬り唐獅子(301)』58年日活鈴木清順監督『踏みはずした春(302)』62年日活浦山桐郎監督『キューポラのある街(303)』63年日活浦山桐郎監督『非行少女(303)』57年日活中平康監督『美徳のよろめき(304)』59年日活今村昌平監督『にあんちゃん(306)』61年日活今村昌平監督『豚と軍艦(307)』59年日活西村克己監督『不道徳教育講座(308)』59年日活西村克己監督『風のある道(309)』62年日活西村克己監督『草を刈る娘(310)』63年日活鈴木清順監督『悪太郎(311)』69年東映京都山下耕作監督『日本女侠伝 侠客芸者(312)』39年日活京都マキノ雅弘監督『鴛鴦歌合戦(313)』67年東映東京マキノ雅弘監督『侠骨一代(314)』66年日活鈴木清順監督『けんかえれじい(315)』70年東宝岡本喜八監督『座頭市と用心棒(316)』60年大映森一生監督『不知火検校(317)』39年日活京都マキノ雅弘監督『江戸の悪太郎(318)』 42年大映京都マキノ雅弘監督『すっ飛び駕(319)』65年日活藏原惟繕監督『夜明けのうた(320)』60年日活蔵原惟繕監督『狂熱の季節(321)』59年日活蔵原惟繕監督『第三の死角(322)』40年日活京都マキノ雅弘監督『続清水港 清水港代参夢道中(323)』50年東横映画マキノ雅弘監督『殺陣師段平(324)』59年日活藏原惟繕監督『われらの時代(325)』60年日活藏原惟繕監督『ある脅迫(326)』55年日本自転車工業会松本俊夫監督『銀輪(327)』が64年日活藏原惟繕監督特集『黒い太陽(328)』64年日活藏原惟繕監督『執炎(329)』70年東映京都山下耕作監督『日本女侠伝 鉄火芸者(330)』

12月 54年近代映画協会新藤兼人監督『どぶ(331)』76年東映京都山下耕作監督『夜明けの旗 松本治一郎伝(332)』68年東映京都山下耕作監督『前科者(333)』48年吉本プロ/大泉スタジオマキノ雅弘監督『肉体の門(334)』41年東宝東京マキノ雅弘監督『昨日消えた男(335)』ジョン・ウー『レッドクリフ(336)』65年鈴木清順監督『悪太郎伝 悪い星の下でも(337)』66年鈴木清順監督『河内カルメン(338)』68年神代辰巳監督『かぶりつき人生(339)』56年中平康監督『狂った果実(340)』56年川島雄三監督『わが町(341)』64年中平康監督『砂の上の植物(342)』53年東宝マキノ雅弘監督『抱擁(343)』66年日活京都山下耕作監督『日本侠客伝 血斗神田祭り(344)』ジョニー・トー監督『 ~EXILLE(345)』クァク・ジェヨン監督『最強☆彼女(346)』本田隆一監督『GSワンダーランド(347)』55年東宝川島雄三監督『愛のお荷物(348)』4年東宝成瀬巳喜男監督『芝居道(349)』60年東宝成瀬巳喜男・川島雄三監督『夜の流れ(350)』50年大映黒澤明監督『羅生門 デジタル完全版(351)』ベン・スティラー監督・脚本・原案・製作『トロピックサンダー史上最低の作戦(352)』56年東宝成瀬巳喜男監督『流れる(353)』77年東映京都山下耕作監督『ピラニア軍団 ダボシャツの天(354)』山本眸古監督『小梅姐さん(355)』43年東宝成瀬巳喜男監督『歌行燈(356)』38年東宝成瀬巳喜男監督『鶴八鶴次郎(357)』74年東映京都山下耕作監督『極道VS不良番長(358)』 71年東映京都山下耕作監督『日本女侠伝(じょきょうでん) 血斗乱れ花(359)』71年東映京都山下耕作監督『女渡世人 おたの申します(360)』75年東映京都山下耕作監督『日本仁侠道 激突編(361)』64年東映京都内田吐夢監督『飢餓海峡(362)』42年東宝マキノ正博監督『待って居た男(363)』55年日活マキノ雅弘監督『人生とんぽ返り(364)』タナダユキ監督『俺たちに明日はないッス(365)』グリンダ・チャーダ監督『ジョージアの日記 ゆーうつでキラキラな毎日(366)』ブライアン・デ・パルマ監督『リダクテッド(367)』梶野竜太郎監督『ピョコタン・プロファイル(368)』57年東京映画杉江敏男監督『肌色の月(369)』68年東映京都山下耕作監督『博奕打ち 総長賭博(370)』小栗謙一監督『TOKYO JOE(371)』36年第一映画溝口健二監督『祗園姉妹(372)』36年第一映画溝口健二監督『浪花悲歌(373)』リドリー・スコット監督『ワールド・オブ・ライズ(374)』矢口史靖監督『ハッピーフライト(375)』77年日活神代辰巳監督『悶絶!!どんでん返し(376)』77年日活曾根中生監督『新宿乱れ街いくまで待って(377)』83年日活中原俊監督『3年目の浮気(378)』78年日活田中登監督『人妻集団暴行致死事件(379)』熊切和嘉監督『ノン子36歳(家事手伝い)(380)』村上正典監督『赤い糸(381)』51年松竹京都伊藤大輔監督『おぼろ駕籠(382)』58年松竹大船渋谷実監督『悪女の季節(383)』58年宝塚映画木村恵吾監督『野良猫(384)』52年新星映画/前進座山本薩夫監督『箱根風雲録(385)』73年日活曽根中生監督『不良少女 野良猫の性春(386)』81年日活根岸吉太郎監督『女教師 汚れた放課後(387)』83年日活小沼勝監督『縄と乳房(388)』ロバート・ ワイズ監督『地球が静止する日(389)』中原俊監督『魔法遣いに大切なこと(390)』英勉監督『ハンサムスーツ(391)』73年日活曽根中生監督『不良少女 野良猫の性春(392)』79年日活藤田敏八監督『十八歳、海へ(393)』アレクサンドル・ソクーロフ監督『チェチェンへ アレクサンドラの旅(394)』73年天象儀館大和屋竺監督『愛欲の罠(395)』前田哲監督『豚がいた教室(396)』福澤克雄監督『私は貝になりたい(397)』植田尚監督『特命係長 只野仁 最後の劇場版(398)』佐藤嗣麻子監督『Kー20 怪人二十面相・伝(399)』アンドリュー・スタントン監督『WALL・E/ウォーリー(400)

製作年のないものは、2008年製作あるいは2008年日本公開

50歳、400本。

   渋谷シネマヴェーラで官能の帝国ロマンポルノ再入門2
   73年天象儀館大和屋竺監督『愛欲の罠(395)』。伊勢丹向かいのビル建設現場の屋上から 新宿通りを歩く男をライフルで狙撃する殺し屋。彼の名は星(荒戸源次郎)。電話ボックスで、依頼人と電話で話し、腕は合格した。彼は眉子(絵沢萌子)と言う情婦と暮らしている。依頼人高川から電話があり、羽田空港で自分の組織の大物を消して欲しいと言う。国際線ターミナルから外国人の男が出てくる。組織のかなりの人数が出迎えている。防弾ガラスつきの車で移動だ。しかし、なぜか冷房が故障しており、別の車に乗り換えることに。車を出た途端、ビルから狙撃され倒れる。星はトラックで逃走、しかしビルを降りた所で眉子を乗せ、組織に顔がバレていないのをいいことに殺害現場を見学する。帰宅すると高川から電話で、何故現場に現れるような素人のみたいな失敗をしたんだと攻められ、直ぐに翌日謝礼の金を引き出して眉子と逃げ身を隠せと言われる。自分のことを組織は知らない筈だと腑に落ちない星。
   朝目覚めると眉子が消えている。星は、何故か三人の娘を家に連れてきて、酒池肉林だ。そこに、高川から電話が来る。眉子の心臓を一発撃って殺せという指令だ。葛藤しながら見事、眉子を仕留める星。しかし、数日後、眉子を見つけて驚く星。実は、眉子は、高川の愛人で星を見張っていたのだ。心臓に防弾カバーをしていたのだ。翌日、高川(大和屋竺)がやってくる。組織にバレ追われているという。しかし、怪しげな人形を操る殺し屋マリオに高川と眉子は殺される。高川の一味として、組織に追われることになる星。外出から戻ると待ち伏せしていた二人の殺し屋を消す星。
   星は、逃走し、立川の青線に潜り込む。老婆(天野照子)と夢子(安田のぞみ)しかいない店に、星は10日居続ける。組織への脅えからインポになってしまう星。組織の殺し屋から連絡が入る。近くのゲームセンターに来いと言う。なぜ、俺の居場所を知ったのかと尋ねる星に、実は、ここの少し先に組織の本部がある。お前は逃げるつもりで、組織に近づいていたのだという言った。後頭部のあるツボを撃てば、笑ったような顔で死んでしまうので、空気銃で勝負を決めようと言う。殺し屋は、星の片目を打つ。星は一度逃げるが、戻る。星たちを尾行していた私服刑事が笑顔を浮かべて死んでいる。星の前に殺し屋が現れる。片目が使えない星が不利かと思ったが、星は、殺し屋の効き目を打ち、身体が揺れたところを後頭部を撃つ。
   星は、夢子のもとへ戻る。インポが治り、二人は、寝る暇もなく抱き合っている。老婆が夢子しかいない店なのにチョンの間の客がいて、困るという。すぐ終わらせて帰ってくるといって夢子はほかの部屋に。約束の15分が経っても、30分が経っても夢子は戻らず、業をにやした星が客の部屋に行くと、夢子が、股間に桜の枝を突き刺されて死んでいる。血の花を咲かせやがってといい店を去る星。
   車を組織の本部に向かい、しかし、広大な敷地の中には誰もいない。やっと、温室の中でマリオを見つける。向き合う星とマリオ。組織のメンバーは、アメリカの大組織にスカウトされ、今残っているのはボスと本郷だけだと言う。温室の中は蚊が多い。腹話術の人間に蚊が止まったのを見て、人形を撃つ星。果たして、マリオとは、人形遣いのほうが人形だったのだ。小さなホールのようなところの客席にボス(山谷初男)がいる。お前がボスかと聞いて、ボスを仕留める星。カメラに向かってお辞儀をする星。
   うーん。大和屋竺監督、田中陽造脚本というキラ星のような映画だが、ほとんど上映されていないという話が頷けてしまう映画。ずっと観たかった映画だ。怪作と言えないことはないが、関わったすべての人間にとっての習作だったということかもしれないな。何よりも、荒戸源次郎は、カメラの前では役者以下の存在だ。この映画を製作したからこそ、その後の大プロデューサー荒戸源次郎が生まれたのかもしれないな。自主制作映画サークルが、ピンク映画というフィールドで自分たちの映画を作るのだというエネルギーに溢れた映画と考えれば、いろいろなことを思い出し、切なくなる映画だ。
     新宿武蔵野館で、前田哲監督『豚がいた教室396)』。6年2組の担任の星先生(妻夫木聡)4月の新学期クラスに子豚を連れてきた。1年間、みんなで育てて、最後に食べたいと言う。クラスで話し合って、飼うことに決めた。事後承諾になり、教頭(大杉漣)は渋い顔だが、校長(原田美枝子)は、若い原の生徒たちに命について考えさせようと言う熱意を買って承認する。生徒たちは、日曜日学校に来て、みんなで校庭に小屋を作る。名前もPちゃんと決めた。可愛さに夢中になるが、糞の処理や小屋を飛び出したり大変だ。母親たちが、子供が擦りむいたり、豚臭くなったり、Pちゃんの話しかしなくなったと文句を言いにやってくるが、校長は生徒たちと原の信頼関係を認め、もう少し見守ってやって欲しいと頭を下げる。
   夏休み、台風、運動会、クリスマス、正月、沢山の思い出が出来るが、いよいよ3学期、卒業までに、Pちゃんをどうするか決めなければならない。生徒たちの意見は様々で、意見はまとまらない。最後に殺さずに、三年生のPちゃんを飼いたいと言ってきたクラスに後を託すか、食肉センターに渡すかと投票すると13票ずつ全くの同数だ。Pちゃんはかなり大きくなっていて三年生では世話が出来るか心配だ。最終的に、担任の星が6年2組の一員として、食肉センターに渡す決定を出した。結局自分たちが飼い始めたのだから自分たちが責任を持つと言うことを生徒たちは納得する。卒業式を経て、Pちゃんとの別れの日がやってきた。Pちゃんの大好物のトマトをみんなで一つずつやる。Pちゃんを載せたトラックが走り出す。いつまでも泣きながら追いかけていく生徒たち。
   素晴らしいなあ。子役たちの魅力がほとんどの部分を占めるが、若い現代の教師の役を妻夫木聡が好演している。6年で転校してきて中々溶け込めなかった甘利花(甘利はるな)が、「コドモのコドモ」に続いてとてもいいが、他の子供たちもPちゃんと6年2組を体験し成長しながら演じている姿が本当にいい。子供いいなあ。
    新宿ピカデリーで、福澤克雄監督『私は貝になりたい(397)』。高知の外れで床屋を営む清水豊松(中居正広)と房江(仲間由紀恵)の夫婦がいた。豊松に召集令状が来る。堅苦しい片足が不自由な豊松には、訓練はとても過酷だ。また滝田(荒川良々)をかばったことで、上等兵立石(六平直政)に目を付けられいたぶられた。戦局は悪化し、B29の大編隊が飛来し焼夷弾を落としていく。たった1機しか撃墜できなかったことで、面子の潰れた連隊長の安井中将は、撃墜機の乗員を必ず捕らえ、的確に処理しろと指令を出す。果たして2名の米兵が捕らえられ、部隊長の尾上大佐(伊武雅刀)は銃剣での刺殺を命じ、最も不甲斐ない隊員と言うことで、豊松と滝田が選ばれる。
   終戦を迎え、再び豊松は床屋に戻る。房江は2人目を妊娠したようだ。生活の全てが戻ったかに見えたとき、家の前にMPのジープが止まる。豊松は、捕虜殺害の容疑で逮捕、身柄を横浜に送られた。安井始め部隊の主だった者が集められている。実行犯に当たる豊松と滝田の言うことは取り上げられない。むしろ連合軍側の関係者は嘲笑しているだけだ。判決の日が来た。指示を出した矢野中将と実行した豊松、滝田の3人には絞首刑が言い渡された。
  巣鴨プリズンに収監された。同室だった大西(草彅剛)は、翌日別ブロックに移り、深夜処刑される。
豊松は、最初、房江に判決のことを知らせていなかった。しかし、教誨師の小宮(上川隆也)が手紙を出す。二人の子供を連れ上京し、面会する房江。それから、房江は、助命嘆願書への200名の署名を集め始める。田舎で、戦犯を助けることへの抵抗は想像以上に強い。しかし、乳飲み子を背負い雪の中を
頭を下げ続ける房江。
  200名の署名を集め、再び面会する房江。同房で英語に堪能な西沢(笑福亭鶴瓶)の助けで米大統領への手紙を出し、サンフランシスコ条約締結の準備が始まり、死刑の執行が長い間されていないのは、判決が見直される予兆だと巣鴨内では囁かれていることもあり、豊松の表情は明るい。房江も、町内にもう一軒床屋が開店する話があるので、散髪台を新調すると言って、豊松を驚かす。
  豊松と西沢の房に、MPがやってくる。豊松にブロックを移れと言う。死刑囚、無期刑、有期刑などの房は分けられているのだ。助命嘆願が受け入れられたと、泣いて喜ぶ豊松、西沢、死刑囚の房全体が、豊松を祝福する声は唸りのように響いていた。しかし、別室に連れていかれた豊松への宣告は、180度違うものだった。今日の24時に絞首刑が執行されるのだ・・・。
  中居正広頑張っているなあ、でもSMAP中居としては頑張っているというカッコが着いてしまう。橋本忍の脚本がいくらよくて、製作費を増やしても、今のお茶の間とか、テレビ文化の枠の中でしか楽しめない映画。ひょっとすると、世界にあの時代の日本を訴えることができる企画だったのに、もったいないなあ。「チェチェンへ アレクサンドラの旅」を見た後だけに本当にそう思う。
  植田尚監督『特命係長 只野仁 最後の劇場版(398)』。大手広告代理店電王堂の総務部2課の係長只野仁(高橋克典)は、風采の上がらない窓際係長の表の顔とは別に、黒川会長(梅宮辰夫)の特命係長としての裏の顔がある。今、人気絶頂のグラビアアイドル、シルビア(秋山莉奈)が電王堂にやって来る。営業一部は、彼女が出演するCMを多数手掛けている。更に近々80億円のビッグプロジェクトのフラワー・アース・フェスティバルのイメージキャラクターとなっている。電王堂でビールメーカーのキャンペーンガールの記者発表が行われたが、最中にセットが崩れ落ち、危うく大怪我をするところを只野の機敏な対応で難を逃れた。
   その後、只野は会長に呼ばれ、シルビアの事務所に暗黒王子というものから脅迫状が届いており、無事にイベントを成功させるため、電王堂のシルビア担当として護衛するよう指示される。とても鈍臭い只野はマネージャーの加藤エミ(西川史子)やシルビアに呆れられるばかりだ。営業二部の部長村川(吹越満)の行動が怪しい。村川が担当するクライアントは、シルビアのCMの競合メーカーに完敗し、恨みを持っているらしい。フラワー・アース・フェスティバルの担当は、大阪支社の山西(赤井英和)。黒川は、汚れ仕事を文句も言わずにやってきた山西に、何とか日の目を見せてやりたいと思っている。
   しかし、投げナイフの名手や、巨大な男に阻まれ、只野は、シルビアを誘拐されてしまう。フラワー・アース・フェスティバルまであと時間はわずか。シルビアを救いだし、お台場の会場に連れていくことができるのか?また、この策略の黒幕は一体誰か?
    テレビドラマの10倍予算があれば、映画になるのかということを思ってしまうが、まあ、この映画をお金払ってみる人は、そんなこと気にしないだろうし、テレビと同じ方がいいんだろうな。しかし、それで製作委員会は出資に見合った収入があったのだろうか。「私は貝になりたい」と一緒で、映画業界を馬鹿にしていながら、映画コンプレックスのあるテレビ屋主導の映画って、儲かるんだろうか。万が一儲かっているとして、儲け以外の何かを生み出しているのだろうか。
   佐藤嗣麻子監督『Kー20 怪人二十面相・伝(399)』。電磁波の無線電動装置の公開記者発表が行われている。どこでも電線なしに、電力を送られるという画期的な装置は、小型模型でも凄まじい威力を発揮した。これは、兵器として利用されると大変なことになるが、実験助手に化けた怪人20面相によって奪い取られた。小林少年は、実はこの装置の開発には亡くなった羽柴財閥の先代が援助しており、実は完成しているという噂があると明智小五郎に説明している。その頃、遠藤平吉(金城武)は、サーカスで超人的な演技を見せていた。ここは、第二次世界大戦が回避された世界。1949年、日本は強大な軍隊の力と、厳しい階級社会となっている。資産家たちの財産を盗み貧しい者に配る怪人二十面相と探偵明智小五郎の対決が世間を賑わしている。ある日カストリ雑誌の編集者(鹿賀丈史)が、平吉を訪ねてくる。羽柴財閥令嬢の葉子(松たか子)と男爵明智小五郎(仲村トオル)との婚約式の模様を盗み撮りして欲しいと言うのだ。明智のもとに、怪人二十面相からの脅迫状が届く。婚約式の会場に飾られているバベルの塔を描いた模写の絵画を当日盗むというのだ。一石二鳥じゃないかと不敵に笑う明智小五郎。
   高層の羽柴ビル最上階ホールで式が始まった。天井のガラスに張り付いた平吉がカメラのシャッターを押すと、中層階で爆発が起きて、ホールは大混乱に。明智の助手の小林少年が平吉を見つける。ガラスを射撃し、床に落下した平吉は逮捕される。内務省の取り調べは過酷な拷問だ。傷ついて独房に入れられた平吉。近くに収監されている男が、自分は20面相の素顔を見たことがあるから、平吉は違うという。男の言う特徴は、カストリ雑誌の編集者そのものだ。初めて平吉は嵌められたことに気がつく。
   移送車に乗せられる平吉。しかし、車が橋に通りかかったときに、橋が壊され、平吉は奪還される。平吉を助けたのは、サーカスのカラクリ職人の源治(国村隼)だ。彼の本職は泥棒で、共同生活を送る泥棒村の仲間たちの手伝いで大がかりなカラクリを仕掛けたのだ。しかし、平吉は、泥棒なんて卑怯で、仲間を平気で裏切る最低の人間で、怪人二十面相と同じだと言って去る。しかし、泥棒村を出て、闇市をうろついていると、至る所に怪人二十面相遠藤平吉の写真入りの指名手配のビラが貼られている。追いかけられ逃げていると、サーカス団で働いていた孤児で、平吉を兄貴と慕うシンスケ(今井悠貴)に会う。彼は、身寄りのない子供たち数十人を守っていた。
   シンスケたちを救うためにも、泥棒になると源治に頭を下げる平吉。源治は、泥棒村に伝わる泥棒ノートを平吉に貸す。怪人二十面相も学んだというその泥棒術を、自分は習得できなかったが、平吉ならマスターできるのではと言うのだ。サーカスで超人的な運動神経と奇術の器用さを持っていた平吉は、凄いスピードでマスターしていく。ある日、トレーニングで街を走っていると、羽柴葉子が、怪人二十面相に追いかけられているところを見つける。怪人二十面相と戦う平吉。さすがに、その時点では、二十面相の方が技術は上だ。しかし、何とか、葉子を助け出し泥棒村に連れていく。財閥令嬢の葉子のあまりの浮世離れに驚く平吉、源治、源治の妻菊子(高島礼子)。しかし、怒った平吉が、シンスケたち孤児たちが生活するバラックに置き去りにすると、翌朝、孤児たちに炊き出しをし、今後自分が何をすればよいか分かったと言う葉子に、平吉は好意を持つ。
   明智小五郎邸の、電線を切る源治の仲間たち。小林少年の修理依頼の電話に、電気会社を装って、邸に入り込む平吉と源治。バビロンの塔の複写絵を探し廻る二人。菊子と孤児たちは、シスターと聖歌隊に化け、小林少年を玄関に釘付けにする。一方、葉子も、明智小五郎を何とか、自分の家に引き留めようと下手な芝居を打っている。何とか、絵を見つけ修理完了を装って、邸を脱出しようとした瞬間、明智が帰宅。感のいい明智は、二人を捕まえる。縛られた二人の前で、明智の詰問に真相を告げる葉子。怪人20面相が狙ったこのバビロンの塔の複製画に、無線電送装置の隠し場所の秘密があるのではと思って、平吉たちに協力してもらったのだと説明する。なぜ自分に相談しなかったのだと聞きながら、反対する小林少年を押し切って、協力してこの謎を解こうと言う明智。平吉は、この絵の下に何かヒントが書かれているのではという。それを透かし見ることのできる装置は、帝都にたった一台。陸軍研究所にある。
   明智に化けた平吉は怪人20面相から装置を盗むという脅迫状を理由に警備が厳重な陸軍研究所に入る。そして、本物の明智が現れ、騒ぎを起こしているうちに、バビロンの塔の複製がの下絵を写し取ることに成功する。それは、葉子が祖父から貰った寄木細工の図面であり、それを鍵に使い、羽柴ビルの最上階ホールの床の模様でもあった。果たして、平吉と葉子明智たちは、無線伝送装置を発見し、破壊することができるのか・・・?
   原作読んだことはないが、なかなか脚本も出来ているし、49年の帝都というCGによる作り込みも虚構という前提でよく出来ている。そういう意味では、「私は貝になりたい」の焼け跡の光景は手抜きもいいところだ。ただ、怪人二十面相の姿は、どこかで見たまんまで、もう少し、考えて欲しかったなあ。扮装だけでなく、飛び方まで・・・。ハリウッドからパクったアジア映画に見えてしまうのが、もったいない。
   アンドリュー・スタントン監督『WALL・E/ウォーリー400)
   ストーリーは誰でも知っていると思うし、面倒なので書かない。一言でいえば、地球に人間が住めなくなってからも、ずっと未来のこと、散乱するゴミやガラクタを片付けるロボットが一台、そこに、地球から脱出した宇宙船から探査ロボットがやってくる。旧型のロボットと最新型のロボットのラブストーリー。今年見たハリウッド映画の中では、一番いいかもしれない。ひょっとして、役者のギャラが高すぎる弊害で、オールCGが一番安上がりなうえ、贅沢に制作できる方法なのかもしれない。

2008年12月30日火曜日

十八歳、海へ

  午前中掃除と惰眠。渋谷シネマヴェーラで、官能の帝国ロマンポルノ再入門2
  73年日活曽根中生監督『不良少女 野良猫の性春(392)』。どうも、気になって、再見。
  79年日活藤田敏八監督『十八歳、海へ(393)』。予備校お茶の水ゼミナール夏期講習。模擬テストの成績が張り出されている。国立理数系Sクラス、1位は、釧路香蘭の有島佳(森下愛子)、最下位は、今治の桑田敦天(永島敏行)だ。掲示板を見る予備校生の中を桂を探す姉 悠(島村佳江)。佳と桑田は鎌倉の海に来ている。しかし金の無い2人は、浜辺を歩いているだけだ。夜になる。暴走族が争う声が聞こえる。1人のバイクに乗った男を取り囲み、追い越しを責めている暴走族。巻き添えを恐れ桑田は及び腰だ。ヘルメットを脱いだ男を見て、佳は予備校の同じクラスで、いつも一番前で眠っている男だと言う。男は暴走族のリーダー(深水三章)に、フィジカルな喧嘩は嫌いだから死にっこしようと持ちかける。服に石を詰め、海に入りどちらがギブアップするかの競争だ。佳は、太宰治だと言い、目を輝かす。結局、族のリーダーは溺れ、男は、濡れた服のままバイクで去る。佳は声を掛けようとするが、できなかった。
   そのまま2人は朝を迎える。昨夜の場所に行き、同じことをやってみようと言う。海に入っていく2人。肩まで海に浸かると、佳はいつも続いている偏頭痛が無くなったという。海岸を散歩していた老人大八木(小沢栄太郎)が、心中と勘違いし、海に飛び込み、自分の屋敷に連れて帰る。暖かい風呂に案内され、服を乾かしてもらい、二度と自分の前で死ぬなと言って小切手を貰う。翌日予備校の教室の一番前にバイクの男がいる。佳が男の視線を辿ると、予備校のビルの屋上に思い詰めた表情の男がいて、投身自殺をする。バイクの男を追って学食に行き、カレーを食べている男に話かける佳。男の名は、森本英介(小林薫)。ホテルでボーイをしながら、5年も浪人しているらしい。
   森本が働くホテルに、佳と桑田がチェックインしている。ボーイの制服姿の森本に会った。佳は、睡眠薬心中をほのめかす。気が気でない森本は部屋を訪ねてみる。結局翌朝、心中未遂で病院に運ばれる。二人の部屋を覗き、警備員の目を盗んで、大八木の連絡先が書かれた書置きを盗む森本。病室に、大八木と悠がいる。森本が大八木に連絡したのだ。悠にこの二人は心中未遂詐欺の常習だと伝え、世の中はそんなに甘くないと怒りながら病院を出る大八木。病院の入口まで大八木を見送った悠に、森本は自分がおおごとにしないため、大八木宛の書置きを盗んだと伝える。
   数日後、悠が予備校にやってきた。退院以降、佳は悠の家を出たままだと言う。森本にロタ島行きのチケットを預け、佳に渡してほしいと頼む。佳は、桑田と、桑田の友人で帰省中の大学生榊原(下條アトム)の下宿を借りて同棲している。結局、佳には拒絶されたチケットを返しに、悠が給食の管理衛生士をしている小学校を訪ねる森本。小学校の避難階段で、悠を抱きしめキスをする森本。結局、悠は、森本とロタ島に出かける。悠の妻子ある男との恋愛に反対する佳によって、その恋愛は終止符を打ったと告白する悠。ロタ島の三日間によって、癒される二人だが、旅行前の約束通り、日本に戻り次第別れる。
   ホテルで働いているときに、森本は意外な人物に出会う。それは、医師会の理事でもあり医大の教授をしている父(鈴木瑞穂)だった。実は、医大への裏口入学が露見しそうになり、しばらく身を隠せと言われて以来、父への連絡を絶っていた森本だった。父は、こんな制服を着た息子を見たくない。今すぐ辞めろという。学会が箱根であるので、箱根のホテルに来いと言い、連絡先を渡す父親。父親からのクレームでホテルの仕事を首になってしまう森本。実は、その日、夏期講習4日を残していたが、佳と桑田の部屋に、持ち主の桑田の友人が戻ってきてしまった。悪いやつじゃないし居候として文句は言えないと桑田は言うが、あと4日しかない東京での夏を大事にしたいのだと佳は言って、森本のもとに泊めてほしいと言ってきていたのだ。森本は、自分の部屋を二人に貸す。そして、心中未遂で金が欲しいなら、箱根のホテルでやればいいという。家を出た森本は、二度と会わない約束だった悠の部屋を訪ねる。驚く悠を乱暴に求めるのだ。
   翌日、森本は、箱根のホテルでチェックインし、佳と桑田の二人に泊まらせる。森本は、昨夜と、ロタ島への旅行は、悠と一緒だったことを告白する。ショックを受け、初めて人に裏切られたとつぶやく佳。森本は、父親の名を記した遺書を書き、封筒を持っていてくれと佳に渡す。最初、庭園の松の枝で、首を吊るが、予定通り縄は切れる。次に睡眠薬をビールで飲み始める二人。佳は、森本から預かった封筒を開ける。そこには、森本の父親の名と、あなたのせいでわたしたちは死にますと書いてある。森本は、父親への復讐のために自分たちの心中未遂を利用したのだと知った佳は、その手紙を千切り、森本の名と予備校の電話番号を書いて、意識を失う。
   翌日、予備校の授業を受けている森本を呼ぶ予備校の教師(小中陽太郎)。箱根の警察にバイクを飛ばす森本。二人の死体が並んでいる。自分の工作を見破られたことを知り、心中が未遂に終わらなかった理由は、自分にあるのではないかと思う森本。
   海岸に、森本と悠がいる。釧路で佳の葬儀を済ませたことを報告する悠。初めて人に裏切られたと言われたという森本の言葉に、あなたのせいで自殺したのではなく、二人は夏が終わることを耐えられなかったからでしょうという悠。呆然と立ち尽くす森本を残し、浜辺を歩いて行く悠。この二人の夏もまた終わったのだ。
   ロマンポルノというよりも、藤田敏八監督の青春映画の傑作のひとつだ。森下愛子の奇跡的な演技が素晴らしい。特に、森本から預かった父親への復讐の遺書を読み、森本の連絡先を書く彼女の表情は女優森下愛子の誕生を高らかに宣言した。しかし、森下愛子は、その後吉田拓郎の再婚相手として引退してしまったことが本当に悔やまれる。日本映画界の損失というよりも、自分の当時のアイドル、竹田かほりが甲斐よしひろに、森下愛子が吉田拓郎に、木ノ内みどりが後藤次利に、三連打で奪い取られ、自分の心に、当時のニューミューシックへの憎悪を決定づけたからだ(苦笑)。  
   ユーロスペースで、アレクサンドル・ソクーロフ監督『チェチェンへ アレクサンドラの旅(394)』。
チェチェンの前線にある基地に、一人の老婆がやってくる。彼女の名はアレクサンドラ(ガリーナ・ヴィシネフスカヤ)。80歳の彼女は、数年前夫を亡くしチェチェン国境近くの町で一人で暮らすロシア人。27歳の孫のデニスは職業軍人。大尉として前線に赴任されて長く。孤独な彼女は、孫が働く場所を見に来たのだ。
   彼女は荒涼として蒸し暑い駐屯地の中を歩き回る。ロシア兵はみな若く子供のようだ。アレクサンドラは外の市場に出かけ、体調をくずし、ロシア語が流暢なチェチェン人の女性マリカの家に案内される。彼女の家は、爆撃にあい崩れかかった廃墟のような建物の中だ。物もなく、希望もないこの街だが、「男同士は敵同士でも、私たちは最初から姉妹よ」とマリカは言う。アレクサンドラを駐屯地まで送り届けてくれたのは、マリカの隣室の若者だ。悲しみを湛えたまなざしをしている彼も、とても若い。もう解放してほしいという若者に、アレクサンドラは、日本のある婦人の言葉として、どんな辛いことも必ず終わる。人間に必要なのは理性だと言う。戻ったアレクサンドラをデニスは待っていた。アレクサンドラは、今一人でとても寂しいと告白する。デニスは、軍人としてここにいることの意味はわからないといい、アレクサンドラを抱きしめ、子供のころによくやったように、アレクサンドラの髪を編む。
  翌朝、デニスは、アレクサンドラを起こしにやってきて、前線に5日間ほど出かけるので、帰ったほうがいいという。装甲車やトラックで部隊が出発していく中をアレクサンドラは基地をあとにする。駅の近くの市場でマリカたちに別れを告げる。彼女たちは、駅まで見送りにきてくれた。軍事用の貨物車に乗り込み、汽車は走りだす。駅の方向をずっと見続けるアレクサンドラ。
   差し入れを持ち、神宮前の喜々の忘年会に参加。楽しい酒だなあ。

2008年12月29日月曜日

魔法遣いは、人をハンサムに出来るだろうか。

   午前中は宅配便を待ちながら掃除。午後からシネマート六本木で、
   中原俊
監督『魔法遣いに大切なこと(390)』。鈴木ソラ(山下リオ)は、北海道美瑛で母(永作博美)と2人暮らし。魔法士だった父親の遺志を継いで、公認魔法士になるため、魔法研修を受講しに東京の魔法庁に上京してきた。魔法士は、代々受け継がれ、その資格を持つ者は、必ず講習を受け、法律に従って国家公務員として魔法士の仕事につくことが、義務づけられている。入所した動機は4人、大阪出身で実力も自信がある浅葱ほのみ(緑友利恵)真面目な秀才の黒田浩二(太賀)と、茅ヶ崎でプロサーファーを目指していた緑川豪太(岡田将生)だ。豪太は、家出した父親から才能を受け継いたが、嫌々参加しており、実技は全く出来ない。講習期間実習生は、午後から魔法庁で担当教官の川田(余貴美子)と?の下で講義や実習を行うが、夜と午前中は、魔法士の自宅にホームステイしながら、それぞれの仕事に付いて学んでいくのだ。ソラと豪太は、中目黒にある所長の白石沙織(木野花)と甥で魔法士の原誠一郎(田中哲司)がいる魔法研究所にお世話になることに。初日の依頼は、老女赤池菊子(草村礼子)が南方戦死した夫の黒焦げの遺品が何かを知りたいと言うものだ。原が手をかざすと、炭化した破片は柘植の櫛の形に。訝しげな顔の菊子の腕に触れ、出征する時に妻が髪に挿してした櫛を抜いて行った記憶を甦らす。菊子は涙を流した。
    翌日はソラが魔法を掛けなければならない。権田伊佐男(鶴見信吾)の妻は数年前から植物人間の状態だった。5才の息子が母の声を聞いたことがないと言ったのを聞いて魔法依頼をしたのだ。ソラは目を覚まさせることに成功した。しかし、事故のショックでの記憶喪失で母親は夫と息子を見ても誰だか分からない。指導員は、依頼通りだと慰めるが、ソラは自分の魔法の力のせいだと落ち込む。実はソラには持病がある。魔法士の遺伝性の病気で、強いショックを受けると発症し、一度発症すると余命は1年しかないと言うものだ。ソラの父親も同じ病気で亡くなったている。ソラの余命はあとわずか。果たしてソラは資格を取れるのか。豪太との恋の行方は?
   今年新作3本目の中原俊。どれも悲しい出来だ。今回は、脚本も演出も甘い。魔法遣いが普通に存在する世界と言うフィクションは、もっと力業のようなものが必要なんじゃないんだろうか。勿論、ハリーポッターシリーズのような超大作でない以上、お金の使いどころは限られると思う。しかし、旭川空港から母親と別れて上京、羽田からリムジンバスに乗り、赤坂で魔法庁を探して歩いているとビルの看板が乳母車を押す母親の上に落下してくるのを、山下リオが細い両腕を手を上げて止めるというのと、研修初日で、水を凍らせるのが、魔法使いで、それも国家機関の研修の参加者は全国で4人と言うのは失笑ものだ。なぜ、16才の少年少女が、たかが2週間の研修を受けただけで、国家公務員として一生の生活が保障されるのだろう。終盤の盛り上がりである、お台場に乗り上げたイルカの群れを魔法士たちが力を合わせて助けるスペクタクルシーンのようなものを、むしろ、冒頭に持ってきて、魔法士という職業の存在を正当化する方法もあったんじゃないだろうか。まあ、細かくリアリティを自分の感覚で文句を言うことの無意味さは理解しているつもりだし、ファンタジーだし、原作はそうだったのかもしれないが、製作委員会がそれなりの金を出して劇場公開し、1800円の入場料を払うものなのか。そこそこの予算とそこそこのスタッフが撮る、邦画バブルのありがちな作品の一つがここにある。小説、アニメ、映画という連動でマーケティングが完結しているかのようで、この商品がどんなもので、どんな客に、どう伝えるかという本来のマーケティングの欠如。
    続いて英勉監督『ハンサムスーツ(391)』 。大木琢郎(塚地武雅)は、イタリアで修行してきたほどの料理の腕だが、母親が亡くなり、母の大衆食堂を、明(ブラザートム)の手伝いで継いでいる。料理の腕は確かだが、太ってブサイクな琢郎は豚郎と客や町内に呼ばれている。
   バイト募集の貼り紙を見て美少女、星野寛子(北川景子)が応募してくる。あまりの可愛さに一度は断るが、くしゃみをして飛んだ唾をよけなかったことで琢郎は寛子を雇うことにする。寛子は一躍食堂のアイドルだ。寛子の可愛さに夢中になった琢郎は、友達の狭間真介(池内博之)と谷山久恵(本上まなみ)のカップルに相談する。煽られた琢郎は、思わず寛子に愛を告白する。自分のどこが好きなんですかと聞かれ、思わず見た目の全てだと答える琢郎。外見のことしか言わない琢郎に怒った表情で出て行く寛子。結局振られてしまい落ち込む琢郎。
   そんな琢郎は公園で声を掛けてきた男の話を思い出し、真介たちの結婚式用のスーツを買いに、紳士服の青山に出掛ける。途中のバスの中でも、混雑で触れただけの女は汚いものを見るように飛び退くのだ。青山の白木(中条きよし)は、それを着ただけでハンサムになれるハンサムスーツの試作品の一般モニターになれと言う。白木自身スーツを脱ぐと別人(温水洋一)だ。何で僕がと尋ねる琢郎にあらゆる不細工な要素を兼ね備えているモニターだからだと言う。騙されたつもりで、着てみた琢郎が鏡を見ると全くの別人(谷原章介)だ。モニターを承諾し、スーツを着ている時は白川杏仁と名乗ることにする。帰りは女性たちは、行きと正反対の反応だ。自分の一挙一動を見つめ、ため息をつく女性たちに生まれて初めての快感を覚える。更に怪しげな格好の紳士神山晃(伊武雅刀)に、モデルのスカウトを受ける。
    食堂に帰ると、新しいバイト応募者がいる。広子と打って変わった不細工な橋野本江(大島美幸)だ。常連客たちが駄目だと言いかけると、何故か琢郎は、外見が問題ではないからと採用する。貴子は、働き者で、明るく大衆食堂にはびったりだ。琢郎はハンサムスーツを着て神山の事務所に行ってみる。モデルたちの外見に馴れている筈のカメラマンたちも、スタジオにいる女性たちも、ハンサムは杏仁を大絶賛だ。しかし、クールビューティーな超有名モデルの来香(佐田真由美)は、モデルはそんな甘いものではなく、モデルは無理だと言う。杏仁は、微笑みのない来香は不幸せだと言って、琢郎がいつもやって気持ち悪がられる古臭いギャグをやる。ハンサムな来香がやる古臭いギャグは逆にギャップ上の面白さがあり、来香は爆笑する。来香は杏仁を気に入ったようだ。撮影後、来香に誘われ自宅での友人との食事に招待される。来香の友人は何故か真介と久恵のカップルだ。杏仁の癖に、親しい友人と一緒だと言う2人。琢郎だとバレることを恐れ必死な杏仁。来香と徐々にいいムードになっていく杏仁。いよいよベッドインという時に、シャワーを浴びたことで、熱に弱いハンサムスーツの弱点が現れてしまう。必死に逃げだす琢郎。今までの暗黒の青春とは正反対の生活に、だんだん、ハンサムスーツを離せなくなってくる琢郎。しかし、杏仁の姿で、寛子と再会した時に、全く顧みられかったことと、本江と一緒にいる時に、とても心が休まる琢郎。
  杏仁の誕生パーティが開かれる。東京ガールズコレクションへの出演も決まり、神山から提示された年収は5000万だ。更に、来香には、バースデープレゼントは自分の寝室にあると囁かれる。絶頂の杏仁に、杏仁のせいでモデルの仕事が無くなった大沢(山本浩典)にホットコーヒーを掛けられる。しかし、バースデーケーキのサプライズで照明を消され、何とか今回も逃げ出すことができた。
  再び琢郎は、紳士服の青山に行き、熱に強いハンサムスーツがないかと聞く。白木は、試作品でなく完成品のパーフェクトスーツを見せる。しかし、これを着たが最後、二度と元の姿には戻れないと言う。どちらを選ぶか悩む琢郎。その晩、寛子に会う。きれいでかわいい寛子には、不細工な自分の気持なんかわからない、一度ブサイクになってみればいいんだと、言ってしまう琢郎。杏仁として生きる決意をする。
  東京ガールズコレクションが開演する。楽屋の携帯がなり、明から本江が交通事故にあって・・・という電話がかかってくる。ステージを来香とともに歩きだす杏仁。しかし、途中で立ち止まり、自分は今最高にカッコええ男やけど、最低な男や。大きな幸せのために、小さな幸せのすべてを捨ててしまったのだからと、唐突に走り出す杏仁。二度と脱げない筈のパーフェクトスーツ。しかし、ショーを台無しに追ってきた神山に腕を握られた時、なぜか琢郎のテーマソングの「マイ・レボリューション」が流れる。全裸で着なければいけない筈のパーフェクトスーツを、間違えて本江から貰った音声チップ内蔵のリストバンドをつけたままだったのだ。大沢と玲美(佐々木希)の楽屋に駆け込んで、カッターで自分の腕を切る杏仁。玲美は気絶する。そこに全裸の琢郎が立っている。
   本江の病院へと駆ける琢郎。病院に行くと、実はバイクが本江にぶつかったが、怪我したのはバイクの男だった。これから食堂の仕事に専念するといって、一緒にいてほしいと本江に告白する琢郎。本江は、嘘をついていたと言う。実は、本江はブスーツを来た寛子だったのだ。
   ブスの瞳に恋しているの作者というか森三中の大島美幸の夫である放送作家の鈴木おさむの脚本はわかりやすく、くすぐりも多く笑えるものだし、人は外見だけではないというテーマは普遍的なものだと思うが、、何か、流行りものの要素を散りばめた薄っぺらい印象が拭えない。紳士服の青山の特別協賛という名前のプロダクト・プレイスメント、わかりやすく言えば、製作費の一部を宣伝費として企業に出してもらうことで、儲けを分配しなくてもいいスポンサーを見つける最近の邦画ビジネス。マーケティング手法の筈が、金儲けになっていることの弊害はないのか。「魔法遣い~」と「ハンサムスーツ」は、邦画バブルの産物という点では、共通している気がしてしまう。
   夜は、かって、実籾の歌姫で一緒に仕事をしたプロデューサーT氏の事務所の忘年会。T氏の個人事務所の~と言っても、T氏の父上は、歌謡界の大作曲家。大作曲家の事務所と合同なので、きらめく芸能界大忘年会だ。こんな華やかな席に失業中の自分がいていいのかと思いながらも、結局飲めばご機嫌に。

2008年12月28日日曜日

何だか師走感ない侘しさよ

     渋谷シネマヴェーラで官能の帝国ロマンポルノ再入門2
     73年日活曽根中生監督『不良少女 野良猫の性春(386)』。河内赤坂村の鳩子(片桐夕子)は、東京に家出してきた。新宿で若い男にパンストを買って貰い回転寿司を奢って貰った所を、スーツ姿のゴマメという男に付いて行くと危ないと言われる。しかし、ゴマメ(江角英明)も、ワイがお前のPTAになったると言う割に、部屋に連れ込むと襲いかかる。鳩子は、こんな話やったと思っとったといいながら、おっちゃんのことが好きやからええでと言う。しかし二人がSEXをしていると、ゴマメの仲間で、ストリッパーのヒモをしているプロ(木夏衛)とベッド(三都徹)も加わる。その晩、四人はすき焼きを囲んでいる。ゴマメは大阪の佃煮屋の婿養子だったが蒸発、プロは2軍の野球選手、ベッドはイタリアンベッドのセールスマンだった。
   翌朝、鳩子のハンドバックから金を抜き取り、新宿の街に、鳩子に靴を買ってやる。財布をなくした自分にお金をだしてくれると思い込んだ鳩子は大喜びだ。馬券を買うが、北栄会の松田(高橋明)に借金の形に取り上げられる。スケコマシのテクニックとして、女は三日間放置するというゴマメの信念がある。寂しく過ごした鳩子は、ゴマメが戻ってきたことがうれしく、働きに出るという。金になると言って、トルコで働かせるゴマメ。トルコの最初の客は、北栄会の松田の舎弟の五郎(沢田情児)だ。ゴマメは、鳩子に給料の前借りをさせて北栄会への借金を返そうと思ったが、断られたという鳩子。松田はゴマメを痛めつけるが金はない。松田は五郎に、ゴマメのスケを連れて来いと命じる。松田に乱暴される鳩子。鳩子は、こういうのを女の転落というんでしょうねと言う。少し前に読んだ週刊誌の記事だ。しかし、そのあと、鳩子は、松田の舎弟の五郎(沢田情児)の部屋についていく。事が終わった後、五郎に「五郎いのち」と刺青を入れてくれと頼まれ承諾する鳩子。五郎は松田に鳩子をくれと頼みに行く。冗談じゃないと言う松田をナイフを持って追いかける五郎。しかし、五郎は車にはねられ即死する。
   数年が経った。ゴマメは、プロから千葉から船橋を回っている時に、芝居をしている鳩子を見かけたという話を聞き、千葉の茂原に行く。紅団という劇団は、トラックで回りながら、街中で半裸でパフォーマンスをしたり、白塗り軍服姿の石原莞爾がでてくるようなアングラ劇団だ。団長の順子は、四国の道後温泉で半病人になっている鳩子を助けたのだ。四国でキャバレーに売られてから、ヌードスタジオ、温泉芸者と堕ちていったとゴマメに話す鳩子。劇団に残るので、近くの駅までゴマメを送っていくと言う鳩子。しかし、街を歩いているときに、犬に吠えられ、警官を見かけると、鳩子の手を引いて、逃げ出してしまうゴマメ。ビルの屋上に逃げる二人。下には、何台ものパトカーが止まり包囲される。鳩子の気を引きたくて、飛び降りるふりをするゴマメ。しかし、団長の順子の声を聞いて、鳩子はゴマメの手を離してしまう。「ワイ、死にとうないんや~」と叫びながら落ちていくゴマメ。  
   曽根中生らしい、優柔不断でだらしない男と、性に奔放でたくましい女の猥雑な話。母のように愚かだが自分の全てを受け止めてくれる女というのは、男のロマンというか幻想ではないのか。しかし、そのぬるま湯はあまりに心地よい。曽根中生らしい男のファンタジー。
     81年日活根岸吉太郎監督『女教師 汚れた放課後(387)』。都立高校教師の倉田咲子(風祭ゆき)は、恋人の小沢(小池雄介)とベッドにいる時に、渋谷警察署から、担任ではない女子生徒野本スエ子(太田あや子)の引受人として来て欲しいとの電話を受ける。スエ子は、シンナーを吸うフーテンたちに混じって捕まったのだ。また彼女は見知らぬ男たちと頻繁にホテルに行っているらしい。売春はしていないと言うスエ子。スエ子は、大手商社でOLをしている姉トモ子(鹿沼エリ)の部屋に、スーパーのレジ打ちのパートをしている母サチ(藤ひろ子)と居候をしている。姉は、自分の人生もあるので、早く他のアパートを借りて出て行ってくれと言う。
  スエ子の担任の山川(粟津號)にスエ子のことを聞く咲子。最近秋田から転校してきたスエ子は成績優秀だが、父親がかって教育実習に来た女子大生を強姦したことで逮捕、両親は離婚し。東京にいる姉を頼って母親と上京した、不幸な身の上だとの説明を受ける。咲子は、かって秋田の山中の中学に教育実習に行った際に、ストッキングで顔を隠した男に強姦された記憶が蘇る。その時、シンナーの匂いがしているということで、スエ子の父、野本末吉(三谷昇)を犯人だと指摘したのだ。
   そのことと、スエ子が関係あるのかと思い、東京タワーでスエ子に会う咲子。スエ子から結局真犯人は別にいたのだと言われ、秋田警察に電話して真実を知る咲子。真犯人は、咲子の事件で味をしめて未遂事件を起こして逮捕されたのだ。無実の人間の人生を狂わせたのだと思い落ち込む咲子。恋人の小沢に秋田の事件を含めて告白する。しかし、小沢は、この事実を一緒に背負うのは嫌だという。結局肉体だけの関係だったのだ。
   咲子は、清掃夫をしている末吉を探し、謝罪し金を渡す。末吉は、一度は断るが、どうしてもと頭を下げ続ける咲子に金を受け取る。安居酒屋で酒を飲む二人。末吉は、お互い被害者だから気にするなと言う。しかし、問わず語りに、その後の人生を語りだす。真犯人が捕まり釈放されたが、小さな鉱山の町では、犯罪者の娘と言われてスエ子は、他人とのコミニュケーションをうまく出来なくなったのだ。翌日、スエ子は咲子を呼び出し、金を返す。別に恨んでいるわけではないし、咲子が自分と似ているような気がして、唯一本心を話できる人間なのだと言う。
   末吉がいなくなった。残り物のシンナーを集めて吸っていたことがばれて清掃夫を首になったのだ。咲子が渋谷を歩いていると、やくざの頭を石で殴りつける末吉がいる。末吉を連れて逃げ出す咲子。上野駅から列車に乗った二人だが、途中急に、末吉の具合が悪くなる。海岸沿いの旅館にタクシーが着きスエ子が降りる。身体がかなり弱って、寝ている末吉。どこに行きたいのかと聞くと、以前来たこの旅館の思い出を語ったので連れてきたのだという咲子。そこでは、旅芸人の一座が舞台に上がっている。徐々に体調を回復し、舞台上でドンパン節を歌う末吉。その夜、一座と酒を酌み交わす末吉、咲子、スエ子。明日で、常磐ハワイアンセンターへ行くという。翌朝早く、末吉が部屋を出ていく気配に、咲子が後をつけると、海岸で首をくくろうとする末吉。死なせてくれというので、隣で咲子も首に縄をかける、いきなり縄を吊った木が折れ、下に落ちる末吉。末吉を抱きしめる咲子。いつの間にか二人は抱き合い、関係を持っている。それを見ていたスエ子は、旅芝居の役者に抱かれた。初めて快感を覚えるスエ子。
  東京で、スエ子からの手紙を読んでいる咲子。末吉親子は、旅芸人の一座に同行している。末吉は、シンナーを止められたようだ。しばらくの間休学して、この生活を続けると書いてあった。手紙を仕舞い、歩き始める咲子。「寒い」とつぶやく・・・。
   田中陽造の脚本を得て、根岸吉太郎の名前を確実なものにした作品。にっかつロマンポルノ(日活からにっかつに社名が変わっていた)の後期の名作。セックスによる心の救済がテーマだと言われるが、今にも通じる永遠のテーマ。風祭ゆきよかったなあ。
  83年日活小沼勝監督『縄と乳房(388)』
   京都のストリップ小屋。SMの女王黛小夜(松川ナミ)公演最終日の看板が出ている。小夜はイサオ(田山涼成)との2人でSMショーで全国のストリップ劇場を回っていたが、小夜は次の金沢を最後に
足を洗うと言っている。公私ともパートナーだった2人だが、最近どちらもしっくり行かないのだ。翌日京都観光で、清水などを回るが喧嘩ばかりだ。
   あるやくざの紹介で、金沢行きを1日延ばして多額のギャラのSM愛好家の座敷に呼ばれる。嵯峨駅から歩くと本当に大きなお屋敷だ。出迎えたのは、着物の似合う京美人の妙子(志麻いずみ)、彼女の夫の川村建造(仙波和之)は、京大の大学院にいた時に妙子の父親に気に入られ、入婿となり、京友禅の元締めのような仕事をしている。川村に仕込まれ、二人は金にあかせて、地下に拷問部屋を作るようなハードマニアだ。二人の前でショーを始める小夜とイサオだが、妙子は全く物足りないという。小夜のプロとしてのプライドが燃え上がる。地獄のような一夜が始まった。嵐山の渡来橋近くの河原で、傷や痣だらけの小夜とイサオ。しかし、二人で旅を続けようという小夜。イサオもうれしそうに頷いた。
   新宿ピカデリーで『地球が静止する日(389)』。
地球外微生物学教授のヘレン(ジェニファー・コネリー)は授業が終わって、直ぐに帰宅、家には亡くなった夫の連れ子のジェウイコブがいる。ジェイコブが今でも死んだ父親の話をするのが、ヘレンには複雑な心境だ。その日も、ゲームを止めさせ、晩御飯を食べさせる事に苦労していた。そこに電話が入り、緊急事態が起き出頭しろとの電話が入る。家の外の物々しい一群は有無を言わせずに、ヘレンを連れていく。ジェイコブは隣家にあずかって貰う。
   厳重な警備の中、集められるヘレンはじめ科学者たち。NASAの説明は、秒速3万Kで何かの物体が地球に激突するという。その物体の質量とスピードは地球全体を破壊する。隠し持った携帯でヘレンはジェイコブに電話をかけるが、地下室に入っていろというしかない。物体は、マンハッタンのワシントンパークに落ちた。実際は、巨大な球体が軟着陸したのだ。放射能保護服を着て球体に近づく科学者と、軍隊、警察、あまりの事態に命令系統も混乱している。ヘレンの前に、一人の人間のシルエットのようなものが現れる。平和的な交流をしようと手を出すヘレン。しかし、銃撃されたエイリアンは倒れ、飛び散った赤い鮮血のようなものがヘレンの保護服に飛び散る。突然巨大な人間型のロボットのようなものが、通信、武器、一切の機能を停止させる。倒れたエイリアンがロボットに語りかけると元に戻る。一方的に侵略する意図はないようだ。
   急きょ、エイリアンは収容され、治療をされることに。執刀した医師は驚く。覆っているクラゲのようなゼラチン状のものの中に、人間と同じ構造をもったものがあるのだ。銃弾を取り出し、縫合する。DNAの解析によると、3種類のDNAによって構成されているが、基本的には地球で活動するために、地球人のDNAを採取して作り上げられたもののようだ。果たして、このエイリアンが地球にやってきた目的は?!
   表情に乏しく人間味にかけるキアヌ・リーブスの顔がエイリアン役にぴったり。21世紀版のノアの方舟はアイロニーだが、人間は変われるのかというと変われないだろうなと自分は思ってしまうな。どんどん盛り上げて、煽っていくテンポの割には、愛は地球を救う結末が少し端折りすぎな気がするが。
    高田馬場の四谷天窓で、実籾の歌姫小笠原愛のライブ。以前自分企画飲み会に来てくれたデザイナーのNさんがいる。HPで調べて来てくれたのだ言う。一緒に仕事をした時も思っていたが、いい人だなあNさん。更に、家まで車で送ってもらった。