2008年8月23日土曜日

川島秀雄&溝口健二

   阿佐ヶ谷ラピュタ川島雄三監督『幕末太陽傳』。大学生以来だから30年振り近くなるが、今の方が楽しめるなあ。勿論 左幸子と南田洋子の女郎同士の大喧嘩と、大工の親父の借金の肩に女郎屋で下働きさせられ、更に女郎に売り飛ばされそうになる芦川いずみの可憐さは最高だ。石原裕次郎、小林旭、二谷英明など日活オールスター総出演。勿論フランキー堺の快演。日本の映画界が最も才能とエネルギーに溢れていた時期ならではの名作だ。続けて溝口健二監督の『祇園の姉妹』。1936年(昭和11年)の京都祇園の人々と情景。変わったもの、変わっていないもの。変わって欲しくないもの。

2008年8月22日金曜日

オンリーピック2500円は高いな。

  同居人と吉祥寺竹爐山房で遅めの昼食。蒸し鶏の紹興酒壷漬けうまいなー。結構酔っ払ってご機嫌になりながら、阿佐ヶ谷ラピュタで中島貞夫ポルノの女王にっぽんSEX旅行』(凄いタイトルだ)。荒木一郎いいなあ。ヒロインのクリスティーナ・リンドバーグサンドラ・ジュリアンと人気を二分した、パツ金アイドル。眼帯で出た映画をタランティーノは、キルビルでダリル・ハンナにアイパッチをさせて作ったらしいが、当時のリンドバーグ、スウェーデン語しか分からず事件に巻き込まれる純情パツ金娘演じている。ブロンドに、癒し系の顔、日本人好みで、人気あったんだろうな。日本だけでなく、世界中の中2男子をノックアウト。その一人がタランティーノということなんだろう。
  新宿バルト9で押井守スカイクロラ』とスキージャンプペアの真島理一郎総監督『東京オンリーピック』。押井守、攻殻機動隊も見たことがないし、アニメ映画得意か不得意かというと絶対後者。この作品も、メカや背景の素晴らしい量感と、登場人物達のアニメ的な質感との違和感を感じていたが、具体的に言えば、戦闘機、車、建物、インテリア、小道具は、滲み具合や、汚れなどにまで拘って実写以上にリアリティ、質感、量感があるが、人間や犬は、3Dであることを表しているのは、唯一影だけだ。服や、肉体には、滲みや汚れは全く無い。また、人工物は非常に機能的にデザインされているものだが、生物には、機能的にデザインされているとは言えない部分があると思う。顔の左右が対照である人はいないし、筋肉のつき方も、左右、上下完璧な人間もいないだろう。人と犬だけ、リアルに表現されていないのだ。しかしこれは、アニメの基本的な文法なんだろうな。死生観含めたストーリー、映画上に表現されているものは、とてもよく考えられている。日本映画のある意味頂点の一つだと思う。素晴らしい。『東京オンリーピック』は、もっと余裕のあるときに見たほうがよかったんだろうが、北京五輪と一緒で会期がある。今日しかないので、空腹に耐えながら最後まで、さすがに真島トークショーはパスをして、博華で餃子とビール。イベント上映として、オーディエンスにもっと参加する企画を考えるか、モニター上で、馬鹿だなー、と笑う作品だと思う。五月女ケイ子の近代バカ4種のように、本当に下らないものを、巨大なスクリーンに映す馬鹿馬鹿しさも楽しめたのだが・・・。しかし、あれだけお客さん入って、人に下らないものを見せて笑われるなんて、最高だな。やわらか戦車をやったファンワークスの代表の嬉しそうな顔が浮かぶ。うらやましいというより、少し嫉妬した。

2008年8月20日水曜日

50歳の誕生日会を自分で開く。

  渋谷で散髪後、溜池のクリニックで、糖尿の経過観察で採血と検尿。ちゃんとした検査結果は、来月になるが、先月の採血分も、よくなっていますねと言われる。夜は、後輩の粥屋で、自分で企画した自分の50歳を祝う会。忙しい中、30名以上集まってくれてうれしい。特に仕事を通じて知り合った方々が、退職した後も、こうして変わらず付き合ってくれるのは、自分はつくづく友人に恵まれていると思う。

2008年8月19日火曜日

南明奈、浅尾美和、岡本玲、木ノ内みどり、清水由紀、中村静香、佐藤藍子、水野美紀、紗綾。オールジャンルアイドル大集合。

  朝から大門の歯医者。ここは歯科衛生士の女の子レベル高く、南アッキーナと浅尾美和を足し、聡明そうでしっかり者の長女タイプ(全くの妄想(苦笑))に、フジテレビ入局頃の河野景子を思わせる正統派美人が加わる。『下の歯はよく磨けていますが、上の奥歯の隙間、気をつけて下さいね』と叱られると嬉しい(笑)。手鏡を持って見て貰えますかと言われると手鏡教授になった気分だ。都内は歯科医院の過当競争らしいが、ポイントは、都心部には歯科衛生士の可愛い女の子、郊外には、若くてイケメンな歯科医というところか。ビジュアル第一の世の中だなあ。
  それから渋谷に出て今日も映画三昧。ル・シネマで『コレラの時代の愛』。ガルシア=マルケスの三大長編のひとつが原作。インパクトのあるタイトルだ。50年以上(私の年齢より長い)、一人の女性を思い続ける男の話と聞くと、純愛譚のような気もするが、ストーカー的というか偏執狂的だ。その間に622人の女性と関係を持ち、全員の記録をとっているのだから、純愛でもなんでもないと思うが(笑)。まして、『ノーカントリー』の殺し屋バルデスが演じているのだから、誰でも怖いと思うよなー。スペイン語圏では、名優と言われても、『ノーカントリー』で意識した人間にとっては、ただの超キモいやつ・・・。久し振りにガルシア=マルケス読むかな。
 引き続き、Q-AXで岡本玲の『憐-REN-』うーん。角川スニーカー文庫の原作のせいなのか、脚本なのか、主人公が未来で殺人を犯して現代に送られ、女子高生として生活しているが、学校内と家庭内でしか他者から認識されないという刑罰を受けているという設定を納得させる展開が、余りに無さすぎる。岡本玲が二人で暮らしている祖母に、『私は未来からやって来て、孫に成り済ましてお婆ちゃんを騙しているの!』 とヒステリックに、学校から帰るたびに叫んで、告白されても、老人でなくても理解しようがないというか、この子は頭がおかしくなったとしか思えないだろ。そんな頭のおかしい孫を、優しく見守るおばあちゃん役が、僕らのマドンナ宮下順子。何だかなー、自分の高校時代から30年以上経ったんだからしょうがないか。でも、女子高生の孫が、『このクソ爺が!!くたばりやがれ!!』と自分を呼ぶのは、かなり悲しい。映画は、河原で首吊ったクラスメートの女子も、ヒロインが刺し殺したボーイフレンドも、翌日学校に行けば、何もかもなかったことでメデタシ、メデタシ。最後に出てくるカレンダーの年号は 2008年昭和85年。パラレルワールドなんだろうが、昭和天皇は不老不死か。学校内のタイムトラベルものとして、NHK少年ドラマシリーズの『タイムトラベラー』、あるいは、その後の『時を駆ける少女』(まあ、どっちも一緒だが)に比べると、かなり無理矢理な話。更に、プロジェクター上映のせいか、かなりスクリーン暗く、それでなくとも、夜のシーンばかりで、全体的に光量の足りない映像が、ちょっと自主制作映画的で淋しかった。 愛流通センターに匹敵する。アイドルビデオでないだけ、盛り上がらない。
  ユーロスペースで『それぞれのシネマ』『881歌え!パパイヤ』。『それぞれ~』は、60回を迎えた2007年カンヌ映画祭を記念して各国の監督何十人かが映画、映画館をテーマに短編を撮ったもの。それぞれおもしろかったが、独立戦争や内乱続きで、ようやく平和が訪れて一年にしかならないコンゴで、子供達に戦争映画を見せるという、ある意味かなり悪趣味なヴェンダースのドキュメンタリーの、実体験の悪夢を見せられる子供たちの、輝きが全く無く絶望的な眼差しを忘れることは出来ないだろう。映画や映画館に関するちょっといい話大集合に、冷水を浴びせかけられた後味の悪さ。確かに、スクリーンの向こう側の話ではない子供たちにとって、映画は何の救いにもならない。すぐあとが、チェン・カイコーのチャプリンと中国の子供たちの、ちょっと切ない話だけに、ヴェンダースがずるいのか、編者の狙いが狡猾なのか、フランス人の皮肉なのか。『歌え!パパイヤ』は、シンガポールで旧暦の7月に、街中で開かれる、帰ってきた魂を慰めるための歌台という歌謡ショーを舞台に、パパイヤ・シスターズという二人組の女の子の話。リトルパパイヤ役のチャン・ツィイーと木之内みどり似で、身体が弱いピンクレディーでいうケイちゃん役の、はかない人生に泣けた。
  更にQ-AXレイトショー『ハード・リベンジ・MILLY』『THE MASKED GIRL 女子高生は改造人間』。『女子高生~』は、仮面ライダーが女子高生だったらというパロディ的作品、いやリスペクト作品、というか妄想作品。美少女クラブ31の女の子。いつのまにやら31に。AKB48といい、世の中のインフレは加速する。予告編の上映で、あのコッポラが、スピルバーグ&ルーカスのインディアナ・ジョーンズばりに『ニッポンノーミナサン。ワタシハ、フランシス・コッポラデス。ワタシニデンワ、シテクダサイ』スタイリー的ビデオコメント(スタイリーのCM、今や誰も知らないだろうな)がガラガラの劇場で流れているのは、スピルバーグ&ルーカスはともかく、あのコッポラ!!余りに切ない。本日一番胸を打つ。そうそう『ハード・リベンジ~』今や癒し系女優のようになってしまった、羊の皮を被った狼、いや虎であるJAC出身アクション女優の水野美紀。かなり気合い入って、『ジャージの二人』とは、かなり顔も痩せてアクション炸裂。というところだが、もう少し話に奥行きがあったほうがよかったのでは。二本とも50分、当然続編を考えているんだろうが、中味膨らませられなかったので、無理矢理各話完結で、その都度、話を捻り出す場当たり的なシリーズのようだ。片腕マシンガールみたいにネタを出し惜しみしないで、ガンガン盛り込んだ方が面白いし、せっかく悪役含め脇の登場人物いいキャラクター揃いなのに、みんな殺しちゃったから、続くと言われても、もうリベンジ出来ないだろう。ひょっとして、リビングデッドか甦りで、続編が作られたりじゃないだろうな。何度ばらしても、毎回復活する無限地獄。音楽が吉田光となっていたが、あのデルジュベットのギタリスト、吉田光だろうか。表の顔は喫茶店のマスター役で、大口広司。渋っいなー。

2008年8月18日月曜日

永作博美が出ていると何でも良く見えてずるいなあ。

  六本木シネマートで『胡同の理髪師』『私たちの生涯最高の瞬間』『スターシップトゥルーパーズ3』『胡同~』北京に住む93歳の実在の理髪師を、本人が演じて撮ったドキュメンタリー的ドラマ。12歳から理髪師になりキャリア80年。自分の歳から、あと40年以上の人生。多くは望まず、ただ過度に我慢し過ぎず生きる素晴らしき老人。他者に依存し過ぎないが、他者を見る眼差しは温かく、愚痴も他人の悪口は言わない寡黙でありながら、言うべきことははっきり言う頑固爺。若者に昔のことを聞かれても、忘れてしまったと言いながら、実は自分の人生について語るべきものを持っているチンさん。自分はどんな年寄りになれるだろう。剃刀を皮で研ぐシャーシャーと髭を剃る時のカリカリ言う音が床屋のシズルだな。どちらも、最近聞こえなくなってしまったが。
   『私たち~』は、アテネ五輪で銀メダルを取った韓国女子ハンドボールの実話映画。初めてハンドボールものの映画を観た。世界で唯一ということはさすがにないだろうが。私は、中学時代何の因果が、ハンドボール部に入ってしまい。今と同じ身長で40KGほど痩せていてひょろひょろしていたのを見込まれてキーパーに。強くもないチームなのに、練習だけは厳しかった。死ぬほど練習してもたいして強くならなかった。大変なつもりだったが、努力が全く足りなかったか、素質が全くなかったのか、多分両方だったんだろう。夏休みは、兎跳びやら水を飲まないなど当時の常識は現代の非常識。シゴキ、鉄拳制裁、スポ根漫画のような感じだったなあ。なんてひときわ懐かしく、思い入れありながら、当時も現在も全くマイナーなスポーツ。アテネの決勝は凄い死闘だったんだな。この試合で韓国にハンドボールブームが起きたそうだ。日本が参加してようがしてまいが、北京五輪のハンドの試合は放送してないだろうな。せっかく国際映像があるんだろうし、日本にも各国から来ている人間も多いのだし、日本の選手が出ている出ていないに関わらず、もっとマイナーなスポーツの放送をガンガンやればいいのになあ。全く日本国内の競技人口がないスポーツはあるまいに。デジタルBSあれだけありながら、地上波、衛星派限らず、人気アスリートが出場する一部の競技を、何度もリピートしてオンエアしている。 まあ、それが一番手間もかからず、安上がりなんだろうが。視聴者がテレビを見ていて分かる程度のことしか、それも海外の選手名や、ルールなど間違えながら(笑)しか話せないアナウンサーなんて要らないから、競技人口を増やすつもりで誰にでも分かるように話ことを条件に、その競技の関係者に説明だけさせればいいような気がするし、競技がマニアックであればマニアックであるほど、クライアントもそれなりに、出てくるような気もする。放送通信融合を待たないと駄目なのか、あるいは放送ビジネスが駄目になる2,3年後を待たないといけないのか。まあどちらにせよ、次のロンドン五輪の時には、結論が出ているということか(笑)
   『スターシップ』はバーホーベンの1を観た時のインパクトはなかなか超えられないものがある。待望のマローダーも今となってはという感あり。バグス達も、スターシップトゥルーパーズ以降みんな真似しちゃったから、目新しさは全くない。原作含めオリジナルなのに。シリーズの難しさ感じながら、テーマ曲を一緒に歌う程楽しんでいたのでした。
  更に新宿シネマートに移動して、永作博美の『同窓会』笑って泣けるウェルメイドなコメディー目指したんだろう。伏線というより勘違いの話という前置きがあまりに何度も、分かりやすく繰り返されるし、どんでん返しのアイディアが普通過ぎて、ちょっと痛い感じになっている。しかし永作ファンとしては、最近小悪魔キャラばかりで食傷気味なので、彼女へのオマージュのように可愛さ満載で堪能、大満足!コメディーとしても、後ろのF2二人組が泣いて笑っていたので、世の中的にはこういうものなのかもしれない。なんだか、最近の邦画は、テレビドラマを、ちょっと丁寧に作りましたというものが多い感あり。

2008年8月17日日曜日

Chim↑Pom!!のエリイちゃんのゲロ吐く姿に萌え。その前に観たのは、吐夢。

  50代初日、金曜にリクルートエージェントに駄目出しされた、書類関係を修正してメールし、渋谷シネマヴェーラで内田吐夢監督の『大菩薩峠完結編』。片岡千恵蔵の凄さが分かる三部作だった。物心ついたころには、自分のまわりには桜井長一郎の物まねしかなかったからなあ。
  その後、アップリンクファクトリーガンダーラ映画祭AプロBプロ。Chim↑Pom!!の一連の作品、花くまゆうさくの『人間爆発』松江哲明らが印象に残ったが、上手い下手以前の文化祭だから映画作ろうぜ!的な映画祭なかなかよかった。
 誕生日だった。自分で自分に何かして上げようと思い、近所のプチ・スーパー銭湯に。湯上りで、マッサージと枝豆と生ビール。安上がりというか、微妙に高下がり。安上がりの反対語は、本当は高くつくとかだろうか、広辞苑欲しいな。

今週読んだ本

佐伯泰英『酔いどれ小藤次 薫風鯉幟』、牧秀彦『天空剣の蒼風』『深川素浪人生業帖 仇討ちて候』『深川素浪人生業帖 裁いて候』『深川素浪人生業帖 旅立ちて候』