2008年9月13日土曜日

不幸な女と、悪い女、どちらにも駄目な男。

   またまた、渋谷シネマヴェーラで『怪談 蛇女』『武士道残酷物語』。『蛇女』は、68年東映製作中川信夫監督。勿論ノンCG、ノンSFX。リアル。勿論在来種明治維新になっても絶対的権力を持っていた庄屋一家は、小作、使用人を全く人として扱っていなかった。借金を返せず畑を取り上げられたあげく死んだ小作人の西村(黄門様)晃は『土を食っても金は必ず返しますだ』とあくまで腰の低くお願いする亡霊に。その妻は娘に喰わせようと、みんなが見ている中で卵を三個盗んでバレ(そりゃそうだ)、責められた上、庄屋が殺そうとした守ろうとして突き飛ばされ頭を打って死んでしまう。娘は庄屋の息子の山城新伍に手込めにされたあげく、許婚になんで死ぬ気で拒絶しなかったと責められ自殺。とはいえ、最期には庄屋一族は、いに自滅し、小作一家は極楽浄土への旅路に。
   『武士道~』は63年東映製作今井正監督。社会派監督の描く時代劇。主従関係には道義がないということを悪夢のように思い知れとばかりに、これでもかこれでもかと地獄を見せる。封建制の呪縛は、いどころでなく、全く救いがない。江戸時代、明治戦中、高度成長期と飯倉家に延々と滅私奉公、主君と仰ぐ考えはいのようにとりついている。中村錦之助が一族全ての主人公を演じているが、彼の純粋な気持ちは彼が愛する者の全てを不幸にしてしまう。を、を、恋人を、主君に自ら差し出したり、策略で召し上げられたり、自ら愛する者の命を絶ったりする。あんたは武士の矜持が保たれるが、周りは可哀想過ぎるという話だ。純粋な人間は時として周り中を不幸にする。江戸時代、衆道狂いの殿様焼き餅で、心に慕う側女と策略で姦通させ、男性器を切断の末、妻として下げ渡される側女の岸田今日子の不思議に気品の高い美しさと、現代で建築会社の恋人のために、落札情報を流してしまい自殺を図るライバル建築会社のタイピスト香子役の三田佳子のびっくりするくらいな可憐さがよかったな。でも二人とも勿論不幸(苦笑)。不幸な女は美しい。 こちらにも、西村晃、それに加えて東野英治郎という黄門ブラザース出演。
  更に阿佐ヶ谷ラピュタで『黒い画集第2話 寒流松本清張原作。61年東宝鈴木英夫監督。前頭取の息子で常務の平田昭彦の学友で、常務の女関係の後始末やらさせられていた池部良は、その報酬に池袋支店長に栄転する。そこで料亭の女将の未亡人新珠三千代に出会い、融資話を進める過程で男女の関係になるが、常務も彼女の美しさに触手を伸ばす。池部は、金も人間の器も平田や新珠に圧倒的に負けており、やることなすこと全て失敗して叩きのめされる。新珠は、か弱く貞淑そうだが本当は、男には全く流されないしたたかな女。酷い女は美しい(笑)。弱そうでヒドい女に、萌えやすく、とても大好きな人間である自分には、この新珠三千代には全面降伏。池部良に一矢報いてほしいのに、あまりに情けないエンディングは悲し過ぎる。自分も同じように打ちのめされるのであった。
 報われない気分に、博華で餃子とビール。

2008年9月12日金曜日

花と蝶

  午前中は元会社で『メタル侍』のプロモーションmtg。午後恵比寿に届け物.
  阿佐ヶ谷ラピュタ川島雄三監督の61年『花影』初見。いや切ない。大岡昇平原作。『俘虜記』『野火』のような戦争体験のイメージしかなかったが、こんな文壇的な私小説書いていたんだな。ストーリーは、バーの女給がホステスと名を変えた頃、葉子池内淳子)は、十数年間銀座として過ごしてきていた。大学教授の作家(池部良)、大企業の顧問弁護士(有島一郎)、父親が社長のテレビ局のプロデューサーのボンボン高島忠夫)、葡萄酒会社の二代目社長(三橋達也)などが美しい彼女を求めてくるが、所詮夜のの恋は、続く訳ではない。彼女もそれが分かっているだけに、手もつなごうとしない、磊落した骨董界のかっての巨匠を捨てて、求婚や妾の話を受け入れることが出来ない。ただ全ての男は、美しい桜花のような葉子の独占を望むエゴイストでしかない。三島にいる養に育てられたという生い立ちもあり、自分をしてくれる人間に全てを与えてしまう彼女には、るように美しく愛されるうちに自殺をする結末しかなかった。60年前後のメイクやファッションが今の時代に違和感がない。それにしても、池内淳子儚く美しい救われない気持ちになり、渋谷散髪
  元会社の同期たちと新宿 三丁目ジンギスカン屋へ。やっぱりうまいなあ。

2008年9月11日木曜日

昭和歌謡で揃えました。

  午前中、の可能性がなくなったというので、洗濯して買い物。午後家を出ようとすると小が、もう取り込んでいる暇は残念ながらないので、そのまま外出。新宿ジュンク堂をちょっと覗いて、水道橋の再就職支援会社に。今日は、自分の下らない思いつきを、元会社の先輩同輩に説明する日だ。うーん。我ながら思いつきを何もブラッシュアップしていない、だらだらした話をする。そんな話をみんな暖かく聞いてもらえて。そのあと、YさんOさんと三人で飲む。まあ、どんどん下らない話の比率が増えつつも、面白いことをやろうということに。

2008年9月10日水曜日

ソ、ソ、ソックラテースかプラトンか、みーんな悩んで大きくなった

   午前中渋谷シネマヴェーラで68年三隅研二監督の『とむらい師たち野坂昭如原作、藤本義一脚本、勝新太郎伊藤雄之介藤村有弘財津一郎藤岡琢也、酒井修ら昭和の怪優達(財津一郎、酒井修以外皆亡くなっているが)、野坂、藤本という無茶苦茶な本に、水を得た魚というかヒロポン打った○○のように暴れまくる。開いた口が塞がらないエンディングも含め名作ではなくとも昭和映画史に残る快作だ。
  アミューズCQNターセム製作・監督の『落下の王国』。正直な話個人的には世界を震撼させたデビュー作『ザ・セル』寝てしまったし、ファンタジー映画は苦手なひねくれたおやじなので、どうかと思ったが、、流石に素晴らしい映像だ。美しくコントロールされた完璧さ。更に衣装デザインの石岡瑛子さんは凄い。日本の誇るクリエーターの一人。でもやはり途中何度か睡魔が襲う。如何に自分が美を理解しない人間なのか(苦笑)。
  UPLINK-Xで『レス・ポールの伝説』。いや音楽は癒やされるなあ。90歳を超えて現役のミュージシャンにして、現代のポップミュージックを作った人の一人。モーツァルトが更にピアノも発明していたら位の偉大な音楽家。彼をリスペクトして出演しているミュージシャン達を観て自分自身の色々なことを思い出す。持っているのはLPばかりだし、探し出すのは大変だが、78年グラミー取ったの『チェット・アトキンス&レス・ポール』位は、聴きたいな。90歳なら、自分もあと40年、何だか励まされるような、絶望するような映画だった。
  銀座に出て、高校の同級生が世話役をやっている異業種交流勉強会。アパレルのOで副社長を務め、現在はシステム会社の顧問をされている方の話。在庫のコントロールと、付加価値の意味。非常に物事をシンプルに説明し、それだけにわかりやすい。

2008年9月9日火曜日

ヒトラー、落語娘、話術で食べていくのは厳しい。

   午前中は、洗濯と料理。冷蔵庫に溜まった野菜類を片付けるべく、ゴーヤチャンプルカボチャ煮物ヒジキ炒め煮。昨夜作った、白滝と鶏挽き肉炒めと秋刀魚の梅煮を入れて5品。本当は、キャベツ半玉残っているので、ジャココンビーフで炒め煮と、人参牛蒡も沢山あったのできんぴらでも作ろうかと思ったが、胡麻油が切れた。まあ、そんなに作っても食べきれる訳がない。せいぜい独身美人OLを通じて元会社の美女軍団でも餌付けするしかない(笑)。どこやらか出て来たコルドン・ブルーの保冷手提げに入れて元会社に。同僚と昼をサブウェイサンドを買い、OLに混ざってアークヒルズ中庭で。赤坂弘文堂で本仕入れて、メンクリに。
   渋谷に出てル・シネマで『わが教え子、ヒトラー』火曜日は1000円ということもあり、ほぼ満員。40代以上シルバー迄の男性客と20代半ば以上シルバー迄の女性客。『わが教え子~』は、ちょっと予想外だった。『ヒトラー、最期の12日間』とか社会派の歴史物かと思いきや、59年生まれ同世代のダニー・レヴィ監督が創り出したのは、大人向けの寓話というか、悪夢なのか何なのか、とにかく夢のようなコメディだった。ヒトラー、ゲッペルス、ヒムラーら登場人物をカリカチュアしていく過程は、これがフィクションだということよりも、第三帝国ドイツのリアルを表しているのではないか。しかし、社会派的な物語や、隠された史実を期待してきた観客は、当時のフィルムやCGで作られた瓦礫のベルリンの街やドイツ人の熱狂などではやった気持ちを萎えさせられるかもしれない(笑)。
  その後、元会社の後輩Kと銀座シネスイッチで『落語娘』。いやぁ、厳しい。予告編で流れた落語ミニ知識は、ちゃんと落語家の柳家喬之助が喋っているだけに、本編始まって、主役で、女だてらに大学生落語コンクール優勝の前座役ミムラや、彼女が憧れる当代随一の古典落語の噺家の筈な、益岡徹の落語の酷さが際立つ。せっかく落語家や各団体の協力を得ているんだし、ちゃんとした人に落語喋らせないのは信じ難い。ミムラは個人的に大好きだし、ここでも頑張っているが、頑張っている感じがそのままで、痛々しい。結局何の企画の映画か全く理解出来ないまま、二時間終了。残念。かなり東映京都というか映画村を使っていて、『メタル侍』撮影が懐かしく思い出されるところが、個人的には見ものだったくらいか(苦笑)。でも、金貸しの業つくババア、眉を剃って、鉄漿をひいて欲しかったなあ。テレビ時代劇じゃないんだから。
   その後、Kと有楽町ガード下で、落語界のための筈の落語娘が失敗だったという残念を話し合う内に、ベロベロになって帰宅。

2008年9月8日月曜日

母と息子の絆。

    昼を元会社の同僚とフィッシュで豆カリ食べ、六本木シネマート台湾シネマ・コレクション2008DNAがアイ・ラブ・ユー』『シルク』観る。『DNA~』は、バイオ化学の会社の研究員と販売担当というルームメイトでもある2人の女性のラブ・コメディ。肥満や潔癖症などのDNA因子を抑える薬と、粘菌が絡む。何故粘菌?南方熊楠が台湾でブームなのだろうか?(笑)。何だか藤原紀香の夫のお笑い芸人似の彼氏役は華流ブームの中で人気あるらしく来日して舞台挨拶したらしい、劇中でもシャワーシーンなど彼のファンへのサービスカットが盛り沢山だが・・・。『シルク』は一転して、『リング』『呪怨』のようなホラー。その2シリーズと『冨江』くらいしか観ていないので、コメントしずらいが、日本的ホラーというのだろうか。そういう背景なのか、何故か江口洋介が日本人の天才物理学者役で出演。彼は、台湾政府を動かすほど強力な日本の機関の所長の下で、天文学的な日本のお金を使って反重力の研究をしているらしいが、その割には、スタッフは江口入れて4人。反重力物質を開発した割には、幽霊の研究。日本語、北京語と、少し英語が入り混じる。みんな3ヶ国語は、理解しているらしい。そこに、読唇術とゴルゴ13並みの動態視力とスナイパー能力を持つ、犯罪者事前保護課だか犯罪未然阻止課だかの、特別捜査官が配属された。そのプロジェクトによって古い団地1部屋に、子供の幽霊が研究目的で幽閉されている。2006年製作で、2006年の台湾映画興収1位だったらしい。既に日本で劇場公開、ビデオ発売されたんだろうか。東京国際映画祭出品ってコンペだったんだろうかと思ったら、アジアの風。カンヌ監督週間→東京国際映画祭アジアの風(以上2006年)→今回特別上映として劇場公開ということらしい。『闇の子供たち』流れということではないだろうが、アジア映画の公開厳しいな。SPOなんとか頑張って欲しい。と思いつつ、チャン・チェンさえ、初めて知ったので、偉そうなことは言えない。チャン・チェン演じる特別捜査官の恋人役が、高校時代の浅尾さんという同級生に似ていて、ちょっと懐かしかった。

2008年9月7日日曜日

晴れのち雨、それも雷つきの豪雨。

  ビッグコミック・スピリッツ新装刊。小学館はヤングサンデー休刊に伴い、ヤンサンに連載していた『クロサギ』『鉄腕バーディー』『とめはねっ』『イキガミ-Ultimate Limit-』『土竜の唄』などが、加わって、より盛り沢山というか、スピリッツの読者が年齢が上がっているのを、少しだけ下に広げて、発行部数の減少に歯止めをかけようということもあるだろう。ただ、どっちもずっと読んできた自分には、少し違和感がある。既に少年漫画誌が読めなくなっている自分にとって、この5年ほど青年誌もだんだん遠いものになりつつある、ヤンマガ、ヤンジャン。唯一、読んでいたヤンサンが無くなったので、スピリッツが少し下に下がった上に、週刊誌なのに、盛り沢山過ぎて、目を通すに重くなってしまう。まあ、それだけ歳とって忍耐力が無くなったということか(苦笑)。電車の中で、漫画読んでいる人間も減ったなあ。文庫を読んでいる若い女性は増えた気がするのだが・・・。通勤途中で、イイ年した大人が、週刊漫画誌を読んでいる日本の誇る光景(笑)は、団塊世代リタイアとともに、消えていくんだな。
  洗濯物を干してから、西荻の夢飯海南チキンライス食べる。買い物をして帰宅し、本を読んでいると、急に暗転して、激しい雨音が・・・。慌てて洗濯物を取り込む。鳴まで。
  家で適当に食べようかと思ったら、枝豆と米が無い。米は解凍でよいとして、何かビールのアテをと思ったら、ヒジキしかないので、雨の中を、今西荻のカレーブロガの中で話題らしい、美少女インド料理屋シタルでタンドリチキンとビール生ビールお替りというと、インド美少女とお父さんが嬉しそうなので、どうも飲みすぎてしまうのであった。
 TBSの『Tomorrow  陽はまたのぼる 』最終回観てしまう(恥)。かなりベタな展開だが、本は悪くないと思う。ただ、今どの局も抱えている制作費圧縮が、ドラマのTBSというかっての栄光を、貶めているのではないかと思う。日曜劇場本来ドラマの看板の枠の筈が、セット、キャストなどを減らして、やりくりしていることが、画面に、明らかに表れている。群像劇なのに、メインのキャスト以外が、急に質量落ちてしまう。たぶん、TOYOTAのタイムスポンサー料がダンピングされる訳ではないだろうから、スポット出稿量が減っていることを、TV局本来のコンテンツの製作費から削ってしまう本末転倒。社員の高い人件費、自ら育てず、視聴率のみの判断で他局と競合して、自ら高騰させているキャスティング費、なぜか所有してしまった万年最下位の横浜ベイスターズ。何よりも、自分の財産であるアナウンサーや、クリエイターを自ら貶める屈折した社風。もの作りの職人みたいな人がいたのは、NHKTBSだと思っていたのだが・・・・。