2009年2月21日土曜日

千羽鶴、一羽だったら折り鶴じゃないのか。川端康成。

  阿佐ヶ谷ラピュタで、昭和の銀幕に輝くヒロイン[第45弾]木暮実千代
  53年大映東京吉村公三郎監督『千羽鶴(103)』。
  三谷菊治(森雅之)は、栗本ちか子(杉村春子)の茶会に呼ばれ仏日庵に出掛ける。途中道を尋ねた美しい娘が千羽鶴の風呂敷包みを持っていた。実はその娘は、栗本が菊治に見合いさせようと呼んだ弟子の稲村ゆき子(木村三津子)だった。ゆき子は恵まれた家庭に育っているが、大手町の商社で英文タイピストとして働いている。栗本は、呼びもしないのに、太田夫人(木暮実千代)が、娘の文子(乙羽信子)を連れて来ていると言う。
   8年前に亡くなった菊治の父は、茶道の家元で、栗本は妾だった。しかし旧友の妻であった太田夫人を友の死後面倒を見ているうちに、深い関係になり、栗本を捨てたのだ。母娘に父が渡した軽井沢の別荘を処分することになったと聞いて、訪れる菊治。誰かに頼らないと生きていけない太田夫人は、菊治に父親の姿を見て、菊治を追い求めるようになる。太田夫人と菊治の接近を快く思わない栗本は、菊治の家に頻繁に出入りし、使われていなかった父の茶室を勝手に掃除をし、料理を作り、ゆき子を招いて会食をしたり、太田夫人の行動の嫌みを言ったりしている。ある日新橋の駅で帰宅途中の菊治とゆき子は偶然出会い、一緒に東海道線で帰るが、同じ車両に太田夫人がいる。太田夫人と菊治が談笑するのを、静かに源氏物語を読むゆき子。横浜駅でゆき子は下車し、大船で下車する筈の太田夫人は鎌倉まで付いてくる。海岸を歩く2人。帰宅すると待っていた栗本は、太田夫人と海岸にいたでしょうと言う。菊治とゆき子との交際を続き、ゆき子の父(進藤栄太郎)と母親(相馬幸子)妹(加賀周子)らと会食するに至るが、栗本の勧める縁談ということが引っかかっている。
   太田夫人が、菊治を訪ねてくる。茶室で話している二人。ある夜文子から電話が入り、夫人が危篤だと言う。自殺したんだわといい笑う栗本。葬儀から数日後、文子の家を訪ね焼香しているゆき子。太田夫人には、栗本さんの茶会でしかお会いしたきりですが、好感を持っていたのですと言うゆき子。文子には身よりが誰もいないと聞き、私には、両親も仕事もあるので、あなたは菊治さんにこれからも世話になったほうがいいと言うゆき子。菊治は、父の事業を清算するために、鎌倉の家を処分することにした。茶器などを整理していると、栗本が、処分するなら京都で古物商をしている兄に引き取らせますと言う。文子がやって来た。母親が普段使いにしていた志野の茶碗を形見に貰ってほしいと言う。直ぐに帰ると言う文子を送っていく菊治。栗本は茶碗を取り上げると、憎々しげに庭の石に投げつけ砕く。
   その頃、海岸を歩く菊治と文子の姿がある。菊治は文子に好意を持っており、これからも交流を望むが、もうお目にかかることはないでしょうと言い、勤め先も転居先も頑なに明かさない文子。菊治の差し出した手を握るが、振り解くように走り出す文子。砂浜の影でハンカチを取り出し泣く文子。
    69年増村保造版とは対照的な印象だ。増村のその露悪趣味的にドロドロとした女の性(さが)を描いたものとは反対に、格調高く、美しく描かれている。川端康成の裏と表という感じだ。どちらもいい。個人的な趣味は、太田夫人は若尾文子、栗本は杉村春子、菊治は一長一短だろうか。文子との関係やシノの茶碗を栗本が割るなど、異なる展開も多いが、比較するものではないだろう。ゆき子は、こちらの方が生き生きと描かれている気がする。
   役者は生きている以上、ある役をやれる時とは限られるだろうな。役者の旬は、役によって無限にあるが、ふさわしい時に旬の役に出会えるかどうか奇跡的なことだ。
   一旦西荻に戻り、八百屋、鶏屋、魚屋を巡る。
    夜は、恵比寿でフリーランスのクリエーターの懇親飲み会。30前後から我々50前後まで、カメラマン、グラフィックデザイナー、WEBデザイナー、CMプランナー、イラストレイター、プログラマーらに混ざり、元会社員(無職)自由人参加させて貰う。飲み放題だろうとなかろうと、あまり変わらないと言われるだろうが、飲んだ飲んだ。二次会誘われるが、帰れるか自信なく帰宅させて貰う。少しは学習したのか、衰えたのか、両方か(笑)

2009年2月20日金曜日

ケーキを、街歩きしながら食べている美女を目撃する。

    神保町シアターで、東宝文芸映画の世界。59年東宝丸山誠治監督『女ごころ(99)』.
    小城伊曽子(原節子)は、翻訳家で大学の講師をしている夫の朝吉(森雅之)と息子の研一(春日井宏往)と郊外に建てたばかりの一戸建て住宅に暮らしている。少し前まで栄養士をしていた大正電機の社員食堂の調理師の木谷ふじ子(南美江)が訪ねてくる。栄養士をもう一度頼めないかと言う相談だったが、幸せそうな家庭を見て帰って行った。地主で隣家のよし子(賀原夏子)が、勝手口から入ってきて千円貸してくれと言う。夫と研一が帰って来る。コーヒーが飲みたいと言う夫に食事前は胃腸に悪いと答える伊曽子。しかめ面になりながら、研一に煙草を一緒に買いに行こうと言い、家を出る。
    再びよし子が現れる、空き巣が出たと言う。急に不安になり、家中戸締まりをする伊曽子。普段は入らない夫の書斎の窓を閉めようとした伊曽子は、机の上に、若い娘と夫が写った写真を見つけてしまう。更に見慣れぬ灰皿には、照江と言う送り主の手紙が付いている。ショックのあまり茫然自失の伊曽子。帰って来た夫と研一は家の鍵が閉められているのに気がつく。伊曽子に開けてもらうが、明かりも点けず、伊曽子の様子もおかしい。書斎の窓が閉められているので、入らないでくれと文句を言う朝吉に、こんなものを見られたくないからですねと写真を出す伊曽子。いつか学生と山に行くと言って外出した時のことですねと責める伊曽子。
   その時チャイムが鳴る。ドアを開けた伊曽子の前に立つのは、揃いの旅館の浴衣姿で夫と写っていた若い女(団玲子)だ。女は旭出版の三沢照江と名乗り、原稿料のお届けに来たので、領収書に判を押してくれと言い、伊曽子が対応するとすぐに帰って行った。あの写真の女の方がいらっしゃいましたわと伊曽子が言う。自分は正直なところ君には“幽寂”の気持ちさえ起きないんだと言ってしまう朝吉。翌朝、朝吉が目覚めると誰もいない。隣家のよし子は、朝早くに研一を連れて出掛けたと教えてくれる。
   その夜、朝吉は旭出版の辻本(中村伸郎)と、バーミモザに行く。照江は、昼間は、旭出版社で、夜はこの店で働いて、田舎の母親に仕送りをしている。妻と息子の家出で、意気消沈している朝吉。今日は一人になりたいんだと言う朝吉に、二人でいたいと散々言った挙句、では一緒に飲もうと言われると、タクシーを止め、朝吉を乗せ一人で帰す照江。
   しかし、照江は、翌朝コンビーフやチーズなどを買ってきて朝食を作るわと言う。その後、朝吉の家で生活するようになる。若く奔放な照江との生活は朝吉にとって新鮮だったが、隣家のよし子は、伊曽子が家を出た途端、若い娘を引っ張り込んだ朝吉を目の敵にする。大学に出ると、学生の一人斉藤(西条康彦)がささやかな結婚式をやるので出席してくれと言う。祝辞を求められ、結婚や夫婦について語りながら苦笑する朝吉。朝吉は義父山名庄三(三津田健)を訪ねる。伊曽子の妹の咲子(三井美奈)の縁談が決まったと聞く。亡妻の法事には、伊曽子と出席してくれと言われ、妻の形見の帯留めを預かる朝吉。
   伊曽子は、大正電機の社員食堂で栄養士として働いている。ふじ子と工場の門番をしている夫(瀬良明)との夫婦は、健一を自分の子供のように可愛がってくれている。ある日、健一は、仕事に忙しい伊曽子にかまってもらえないので、工場の外に出て、近所の子供たちが亀で遊んでいるのを見つける。自分も亀を持っていると言って、近所の子供と二人で、自宅まで電車で出かけるのだ、家には誰もいなかったが、外の水槽の亀で遊んでいる。そこに隣家のよし子が現れ、驚く。一方健一がいなくなり、伊曽子とふじ子夫婦は慌てる。近所の河で子供がおぼれたりした事件まで起き心配は増すばかりだ。よし子からの連絡で真相を知るが、伊曽子は深いため息をつく。
   伊曽子の母の法事の日、行こうかどうしようか迷っていた朝吉は、照江の一言で結局欠席する。照江に、銀座文化堂で会おうと言って外出する。しかし、そこに照江は来ず、帰りかける朝吉の前に、伊曽子が現れる。朝吉は、健一を連れて次の休みに山中湖にいかないかというが、伊曽子は、よそよそしく旧友から富浦に誘われていてその打合せの約束でここに来たのだと言う。伊曽子は、千葉の富浦で、美容院を営む上野月子(丹阿弥谷津子)と待ち合わせていたのだ。月子は、夫を亡くし一人で美容院を切り盛りしている。義弟の蓮見五郎(佐原健二)に荷物を持たせ現れる月子に、必ず健一を連れてくるように約束させられる伊曽子。
   健一と一緒に富浦にやってくる伊曽子。五郎が車で迎えに来てくれる。甲斐甲斐しく健一の面倒を見てくれる五郎のおかげで久しぶりに心の安らぎを覚える伊曽子。一方、朝吉は照江と学生たちと山中湖に来ている。テニスをし、照江は学生と麻雀をしている。富浦では健一が海風に当たりすぎて熱を出していた。月子は、山中湖の朝吉のもとに電話をしたが、代わりに照江が電話をとり健一が高熱を出したのですぐに富浦に来るよう伝言を聞く。しかし、その後照江は、朝吉に伝えることを忘れてしまう。若い学生と奔放に遊びまくる照江の姿を見ながら、朝吉は取り残されたような気がする。
   翌日、健一の熱は下がったが、月子から朝吉に脅かす電話をしたと聞き、いそいそと富浦駅に迎えに行く。しかし、東京からの汽車に朝吉の姿はない。息子のことさえ朝吉の気持ちは動かないのかと失望した伊曽子が月子の家に戻ってくると、月子と五郎が抱き合っている。二人は男女の関係だったのだ。いつまで伊曽子たちはいるのかなあと言う五郎をたしなめる月子。二人の会話を聞いてしまった伊曽子は動揺を隠せない。東京に戻った朝吉と照江の間には、健一の病気のことなど小さな諍いが続く。朝吉の姿を見て、朝吉に必要なのは自分ではないのだと理解する照江。照江は、田舎から昔の彼氏が訪ねて来たのをいいことに、朝吉に別れを宣告する。
   伊曽子が旭出版社を訪れる。照江に会いに来たのだが、辻本に会社を辞め、札幌の親類の家で働いていると言われる。試験別居をしてきたが、そろそろ終止符を打つことになりそうだと伊曽子が言うのを聞いて、自分にも責任を感じる辻本。
   ある日、テレビに健一が出ている。健一の通う幼稚園に取材が来ていたのだ。偶然見ていた朝吉は無性に健一に会いたくなる。朝吉が伊曽子に電話をし、健一と話をする。ふじ子は、私のような無学のものが意見をするのはおこがましいが、たまには素直になったほうがいいのではと、伊曽子に忠告をする。
  デパートの屋上に、山名の義父と朝吉が話している。そこに、咲子の結婚支度の買い物を終えた、伊曽子、健一、咲子がやってくる。銀座で一緒に食事をしようと言う朝吉。とてもいい天気だ。
   咲子役の三井美奈いいなあ。2年ほどの女優生活でいなくなってしまたようだ。もったいないなあ。原節子を見ていて、わかったことが一つだけある。重ね言葉のひとだと言うことだ。「はい、はい」「あら、あら」「まあ、まあ」というセリフと、「オロオロ」「モジモジ」「ヨロヨロ」という芝居。

   58年東宝丸山誠治監督『二人だけの橋(100)』   
   石田友二(久保明)は、兄の梅吉(千秋実)と兄嫁正子(中北千枝子)母きく(飯田蝶子)と4人暮らし。求職中だが、不景気で22になっても仕事が見つからない、今日も兄の小学校時代の恩師(左ト全)が印刷会社の総務課長をしているというので出かけるが、ただの小遣いをしているだけで、上司の課長にとりなしてくれるが、今年の採用は終わったと、にべもない。
     その夜、隅田川に架かる白髭橋で、兄夫婦の赤ん坊をおぶってあやしているが、泣き止まない。通り掛かった美しい少女(水野久美)が持っていた玩具の喇叭で、あやしてくれた。翌日、板橋区の職安で紹介された東京レストラン新聞編集部に出掛けるが駄目だった。次に向かった先は玩具問屋に行くが、欲しいのは15、6の小僧だと言われる。しかしそこで、昨夜の少女に再会する。彼女は母親の内職の材料を貰いに来ていたのだ。彼女の助勢も報わない。しかし番頭は、同情したのか、小伝馬町の薬問屋が販売の外交員を探していた筈だと教えてくれた。2人で行ってみるが、外交員は女性がいいのだと言われ、また1日徒労に終わった。
    しかし、明るく前向きな少女と1日話をすることで友二の気持ちは晴れ、働くことに前向きになった。また、ここ白髭橋で会おうと言い、初めてお互いに名乗った。少女の名は木村チエ、石鹸工場で女工をしているという。材料を持ってくれた礼だと言って、自宅に案内するチエ。彼女の母親(浦辺粂子)は胆石を患いながら内職仕事をしている。弟の浩一(伊藤隆)は、野球に夢中な小学生だ夕食を食べて行ってと炒飯を作るチエ。
    職工募集の貼り紙が有った中川鉄工所に行ってみると、見習いはもっと若い奴がいいと言われるが、何でもやりますと言い、日当200円で働くことになる。先輩の斎藤(加藤大介)に旋盤機の使い方を習うがなかなかうまくいかない。しかし、早く覚えようと必死になる友二。昼休み、同じ臨時雇いの河村(石井伊吉/毒蝮三太夫)と高橋(林剛彦)が声を掛けてくる。河村は日給150円、高橋は100円だ。みな残業をしないと食べていけないと言う。
   その日、仕事を終えた友二が、橋の上で待っていると遅れてチエがやって来る。残業があって、工場のトラックに乗せて貰って来たのだ。トラックの運転手と友二にリンゴを一つずつ渡すチエ。友二は一緒に食べようと言って二つに割る。チエの匂いがすると言う。不思議そうなチエに、石鹸の匂いだと言う友二。友二は一日鉄工所で働いていたので、機械油の臭いがする。その日工場であったことを話す友二。毎日ここで会おうという約束をする二人。
   しかし、なかなか仕事を覚えられずに苦労する友二。しかし斎藤は熱心に教えてくれる。しかし、弁当と怪我は自分もちだから、集中力を欠いて仕事をしているとこっぴどく叱られた。なかなか残業が続いて会うことはできない。週末、自転車で遠のりしようと約束をする。二人は隅田川の土手を上流まで走っていく。9日間会えなかったのだ。友二は、小学校の頃、貧乏で詰襟の下に着るものがなく、母親に女物のカーディガンを着せられ、体育の時間に詰襟を脱げと先生に言われ、大恥をかいたことを思い出し、貧乏は嫌だと言う。別れ際に、お互いどこにも行かないと約束しようと言う友二。
  雪のクリスマスの晩、河村はデートに行くと言う。若いものたちは、皆定時に上がっている。残業をすると言う友二に、斎藤は、自分が残りをやっておくので、痩せ我慢せずに上がれと言ってくれる。喜んで工場を出ようとすると、正門前にチエが待っている。プレゼントを交換する。チエは友二にマフラーを、友二はチエにネッカチーフを渡す。喜んですぐにつける二人。中華そばを食べる二人。自分のチャーシューを友二の丼に入れるチエ。映画でも見ようかという友二に、もっと話をしていたいというチエ。駅の誰もいない待合室で話し続ける二人。なかなかお互い忙しくて会えないので、橋の欄干に手紙を隠して交換しようと提案するチエ。
   年末無理をして働き過ぎた友二は、正月寝込んでしまう。やっと工場に出勤すると、河村が手を機械の挟んで大けがをする。結局、怪我は大したことはなかったが、河村は工場を首になる。高橋も、もっと給料も高く、汚れないですむ商店の丁稚になると言う。河村の怪我は、友二の気持ちを憂鬱にさせる。そんな友二を久しぶりにやってきた河村が浅草に誘う。友二にとても感謝しているという河村は、工場を辞めて、もともと好きだった材木関係の仕事に就こうと思っていると言う。また。一流の時計工場の工員の仕事を紹介してくれた。
   河村の事故以来、後ろ向きな気持ちになっていた友二は、転職の話に有頂天だ。橋の欄干の手紙がないので、チエの家を訪ねる。チエの母は寝込んでしまい、内職も出来なくなっていた。チエの気持ちよりも、自分の希望ばかりを喋ってしまう友二。就職試験で工場を休まなければならない。母親が病気と嘘をついて、筆記試験を受ける。筆記を通ったのは二人だけだ。しかし、身体検査のレントゲン撮影で肺に影があるので、ゆっくり静養しろと言われてしまう。
   友二がとぼとぼと歩いてチエがいる。合格を疑わないチエに無言の友二。僕は駄目なんだ。もう工場にも行きたくないと言う友二。チエは「友ちゃんの病気を、私が全部貰う」と言って、友二にキスをする。辞めるつもりで鉄工所に行く友二。斎藤に、河村の事故に冷たいこの会社が嫌になったと言う。しかし、考えなおして、本当は胸を悪くしたのだと正直に告白した。斎藤は、それならちゃんと養生して治ったらもう一度来いと言う。会社に掛け合ってやるからと請け合う斎藤。
   友二はチエに会い、身体を直して、再び鉄工所で働くと言う。

   新宿ジョイシネマで、マイケル・アリアス監督『ヘブンス・ドア(101)』
   饅頭を大事そうに重箱に並べ高級そうな風呂敷に包み慎重に運ぶ男の姿がある。工場街、自動車修理工場で働く青山勝人(長瀬智也)。社長(諏訪太郎)に声を掛けられ今日でもう来なくていいと言われている。女事務員(今宿麻美)に今月分の給料と健康診断の結果を渡される青山。ゆっくり歩いて行くと急に視界が歪み倒れる。病院で医師(北見敏之)から家族はいませんかと尋ねられ、いないと答える青山。脳幹に12cmの腫瘍があり、どうしようもないが直ぐに入院しろと告げる医師。もっと分かりやすく言ってくれと言う青山の言葉に、今亡くなってもおかしくない状態だと言う返事に言葉を失う青山。病院のロビーで呆然としている青山を見ている少女(福田麻由子)。病室に案内される青山。
   年配の入院患者と同室だ。ベッドで煙草に火を着けようとする青山に、おいおい禁煙だぞと注意し、そのベッドにいた男は酒の飲み過ぎで死んだと教えられる。風のように少女が煙草を奪って消える。春海ちゃんだ。あの娘は病院の主だからなと言う。夜更け、煙草とライターを返しに、少女がやってくる。少女の名は、白石春海、7歳から14歳の今まで病院で、ずっと過ごしてきた。彼女は先天性疾患と骨肉腫で余命一か月と言われている。お前も、天国のドアを叩いてんだなと言う勝人。
   勝人のベッドの下に前の患者が残した酒瓶がごろごろしており、テキーラを見つけたことで二人の終わろうとしていた時間が動き始める。病院の調理室でレモンと塩を探し、テキーラの飲み方を春海に教える勝人。海を見たことがないという春海に、海を見に行こうと言う勝人。
   その時、K3ホールディングスの社長の小久保(長塚圭史)に、車の陸送を頼まれていた駄目社員の安達(大倉孝二)と定年間近の辺見(田中泯)が乗っていた車が事故を起こし、けが人を病院に運んできたところだった。鍵がついたままで、病院正門前に停まっている車に乗り込み走り出す勝人と春海。
    ガソリンスタンドに寄ってお金を払おうとしても金は持っていない。何かないかと探すうちに、ダッシュボードに拳銃が入っている。ガソリンスタンドの主人(不破万作)に突き付け、4万弱の金を受け取り強盗となってしまう勝人。パジャマ姿を変えようと原宿に行き、洋服屋に入る二人。店員(吉村由美)にお金をはらう段になって、下ろしてきますと言って外に出る勝人。しかしコンビニのATMは残高不足だ。結局、コンビニと郵便局で拳銃強盗する勝人。札束を洋服屋の店員に渡して、春海の腕を引いて車に戻る勝人。強盗したの?今なら自首して謝ろうよという春海。しかし、突然、意識が無くなり全身を痙攣させ倒れる勝人。気が付いた時には日が暮れている。服を仕舞おうとトランクを開けると、風呂敷に包まれた重箱がある。饅頭の下には、かなりの金額の札束が隠されていた。これって神様の恵み?と呟く春海。
  いきなり二人は、高級ホテルの最上級スイートルームにチェックインだ。ルームサービスを頼みまくり、ご機嫌で過ごす。勝人は高い酒を飲みまくり。春海は買ってきた服を着替えまくって、自分で髪を切った。お互い、死ぬまでにしたいことを書いてみる。翌朝、テレビをつけると、勝人が、春海を病院から誘拐して逃走している誘拐強盗犯として指名手配されている。パトカーのサイレンの音に慌てて逃げ出す二人。非常階段を降りていくと、下から警官が上がってくる。勝人は春海に拳銃を突きつけて警官の服を奪う。警官の制服姿でロビーまで降りる。車の前に、安達と辺見がいる。パトカーに乗り込んで逃走する勝人と春海。パトカーを奪われた県警捜査1課の岸谷(黄川田将也)は、部長の長谷川(三浦友和)にどやしつけられる。一方、やっと車を取り返したと思った安達と辺見は、車のトランクの饅頭が無くなっていることを知った小久保に殴られている。
  春海の希望の一つ、遊園地に行く二人。ジェットコースター、観覧車など楽しむ二人。しかし、その帰り、降り出した雨の中で、遊んでいると勝人の発作が起きる。薬は無くなってしまっている。春海は近くの薬局に飛び込む。薬の袋を見て劇薬だから処方箋がないと駄目だという店主(徳井優)。必死に訴える春海を怪しみ始める店主。追い詰められた春海は、天井に向けて拳銃を撃つ。
  薬を飲まされ気が付いた勝人。二人は、近くのメキシコ料理屋にいる。既に県警によって包囲されている。しかし、長谷川と岸谷が踏み込むと勝人と春海はいない。料理屋のメキシコ人に借りた店の派手な軽バンで逃走している。しばらく暖かい日差しの中で、穏やかな瞬間だ。
   しかし、急に大型のダンプカーが現れ、二人の軽バンに襲いかかる。金を回収するために手段を選ばないK3ホールディングスの社長の小久保の命令だ。逃げ切れないまま走り続ける車。前方に検問が見えてくる。検問所に勝人が突っ込み、急カーブを切り、果樹園に突っ込む。ダンプは横転した。その代りに、パトカーに追跡される。果樹園の中をダンスをするように逃走し、最後には、断崖から飛び出す軽バン。
  長谷川と岸谷は、壊れた軽バンを発見するが、勝人と春海はいない。その頃二人は、タクシーで、ホストクラブに行っていた。春海のかっこいい男とキスをするという希望を叶えさせてやろうと思ったのだ。5人のホストの中で好きなのを選べという勝人。こいつなんか王子様っぽいだろうといって一人のホスト(二宮和也)とキスをしようとする瞬間、小久保と辺見、安達にピストルを突き付けられ、地下深いトンネルに連行されていた。小久保に金の残りを渡せと言われ、全部使っちまったと答える勝人。殺してやると引鉄を小久保が引こうとした瞬間、もう止めろと銃を小久保に向ける辺見。春海の腕を引いて逃げ出す勝人。トンネルから抜けると、警察のライトが二人を照らし出す・・・。
  かっこいい映像、かっこいい音楽、しかし、何だか物足りないんだなあ。
   
   シネマート新宿で、朝日放送/阪本順次、井筒和幸、大森一樹、李相日、崔陽一監督『みんな、はじめはコドモだった(102)』。
   5人の監督が、こどもというキーワードで切り取った短編集。通天閣の展望台で一晩一緒に過ごす、飛び降り自殺をしようとした男(佐藤浩市)と、母親に捨てられた男の子の話「展望台」の阪本順次監督、小学校の教室でエキセントリックな教師(光石研)と生徒たちの話「TO THE FUTURE」の井筒和幸監督、江戸時代、浦島駄郎(岸部一徳)の玉手箱で大人にされてしまった子供(佐藤隆太)が、貧しい飯屋の女将をしている母親(高岡早紀)のために悩む「イエスタデイワンスモア」の大森一樹監督、余命を宣告された父親(藤竜也)が、精神薄弱の30代の息子(川屋せっちん)の行く末を案じて無理心中をしようとするが、かなりいい加減な死神(宮藤官九郎)に付き纏われる「タガタメ」の李相日監督、息子をロンドンに遊学させているらしい中年の娘(小泉今日子)と老母(樹木希林)とのとりとめのないベタベタな母娘の会話と、そこに入れない寂しい父親(細野晴臣)という家族の話の「ダイコン~ダイニングテーブルのコンテンポラリー~」の崔陽一監督。
   朝日放送という放送局の製作の割には、マーケティング的な要素がなく(つまり、誰に向かって商売するのかわからない)、また、一社の製作で製作委員会という無責任システムでもないことで、最近めったにない、5人の監督が、好き勝手に撮った短編に、好感を持った。通天閣の展望台という密室という卓越なアイディアでありながら尻つぼみな感がある「展望台」を除けば、纏まっていようが破綻しいようが、楽しんで作っている監督の顔が見える。
   新宿三丁目から駅まで歩く途中、前を歩いている女性が、ケーキの箱を開け、丁寧に銀紙やビニールを剥がし、最後には手掴みで口に運ぶ過程に目を奪われる。凄いなあ。細身でモデルのような女性なので非常に映像的な光景。博華で餃子とビール。

2009年2月19日木曜日

花粉降り止まず。

    神保町シアターで東宝文芸映画の世界。57年東宝丸山誠治監督『山と川のある町(94)』。
    秋田県横手市、川の土手を走る三輪軽貨物、荷台に菅原先生(小泉博)の母たま子(三好栄子)を載せ、運転しているのは、肥料問屋の早川商店で働く横手東高校の甲吉(山田真二)。たま子は、口を開けば、嫁のみね子(津島恵子)の悪口ばかりの強つくババアだ。なんとか菅原の家に送りつけて店に戻ると、番頭に奥は荒れているので、車を洗って帰ろと言われる。
    奥では、主人の早川佐太郎(志村喬)と妻の豊子(花井蘭子)の二人を相手に娘の信子(雪村いずみ)が言い争いをしている。体の弱い豊子が、佐太郎の妾の直子(村田知英子)を家に入れて、奥のことをやって貰おうと言い出したため、信子はそんな父親も母親も許せないので家を出ると言うのだ。母豊子のとりなす声も聞かず、家を飛び出した信子は、しかし学校に行く。八木先生(宝田明)が宿直の日だ。お前は家を飛び出して学校に来るのかと呆れながら、話を聞いてやる八木。家には、学校に来ていることと自分が送り届けると連絡する八木。
    数日後、学校の前で、八木と会う菅原。菅原は、今朝もたま子とみね子が喧嘩になり、みね子が家を出る支度をしているので、八木に止めて貰えないかと言うのだ。母と妻の板挟みで、どうにもならなくなっている菅原に、1日でも早く東京に行けと言う八木。果たして八木が菅原の家に出向くと、みね子が支度をしている。菅原から聞いて手伝いに来たと言って、布団袋なでをテキパキと片付け始める八木。てっきり止められるかと思ったのに、手伝い始めた八木に気を削がれて、家を出るのは止めると言うみね子。しかし、結局、たま子がうちを出ると言い出し、豊子や信子に言われるまま、早川家に住み込むことに。しばらくして、豊子の具合は良くならず、暫く湯治に行くことに。たま子は付き添いをいいことに温泉でノンビリできるので、ご機嫌だ。バスに乗り出かける母とたま子を見送る信子と佐太郎。
   八木の元に相談に来ているみね子。雨の中、八木がみね子を送っていると、お腹がすいたので、そばを食べようと屋台のラーメン屋に入る。すると、菅原と信子もやってくる。4人でラーメンを食べる。菅原夫婦を見送って、信子を送る菅原。急に、信子は、長靴を脱ぎ泥んこを裸足で歩き始める。ふとお互いに、異性を意識する二人。信子は、家に走り出す。八木は、下駄を脱ぎ、川に投げつけ、裸足で歩き始める。八木が寝ていると、信子から手紙が届く。佐太郎から聞いた話として、泥だらけの裸足で、料亭のひさご亭に現れた八木が、酒を痛飲したこと、酔いつぶれて、母親に乳母車を押してくれという意味不明のことを言っていたよと聞いて、三好達治の「母よ、僕の乳母車を押せ、泣き濡れる夕陽に向かって、りんりんと私の乳母車を」という詩を読んでいたんですねと八木の気持ちを理解する信子。泊って行きなさいと言って、八木が気に入っていた芸者の豆太と泊れと佐太郎に言われ、自分は最初の女が職業女じゃ嫌なんだと言ったことまで信子は知っていた。更に手紙は続き、あの雨の日、家で菅原に英語の家庭教師をしてもらっていて、菅原が妻のことで悩んでいるので、ワインを出し、二人で憂鬱な気分で過ごしていた。ダンスを踊るうちにキスをしてしまったという告白が書かれている。
  学校でソフトボール大会が行われている。信子がピッチャーをして、教員のチームを三振にしている。無人の職員室に忍び込み、菅原の机の引出しにから答案を盗みだす二人の学生がいる。その答案を、甲吉に見せる吉沢(石井伊吉/毒蝮三太夫)。信子の答案には、先生が家庭教師で教えてくれたところから出題されているので、答えは書きませんと書かれてある。男子学生たちからやっぱりだと非難の声が上がる。学生大会で弾劾しようと言う吉沢に、ちょっと待てという甲吉。お前は、PTA会長の信子の父の店で働いているから庇おうとするのか、喧嘩で決着しようという吉沢。揉み合いの末、甲吉が勝ち、、お前に一任すると明るく言う吉沢。
   甲吉は、講堂でピアノを弾いている菅原の元に行き、率直に信子に試験問題を教えたのではないかと尋ねる。菅原は、それは、とても繊細な信子の誤解なんだと言う。そして、東京に転勤することになったと告げる。納得した甲吉が去り、菅原の妻のみね子がやってくる。東京行きが決まり、こんどこそ、たま子とうまくやっていこうと誓いあう菅原とみね子。
  たま子が東京に行くことになり、バス停で見送りに出る豊子。部屋に戻ると、直子が来ている。一度ゆっくり話がしたかったと言う豊子。直子は長い間、佐太郎の妾をしていたが、一度、妊娠した時に佐太郎が中絶させたと後から知って、女としてとても申し訳ないことをしたと思っていたのだ。そんなことはないと泣きながら抱き合う二人。その日から、昔からの友人か姉妹のように、湯治場の周囲を散歩する二人の姿がある。姥捨て山の言い伝えを聞き、早く死にたいのだという豊子。吊り橋を揺らし、死にたくないでしょうと言う直子。二人は笑い合う。
   八木と信子が二人で歩いている。寺の境内で、キスをする二人。豊子が危篤になったという連絡が店に入った。佐太郎と信子、医師と八木の4人が車で、湯治場に急ぐ。やっと宿に着くが、既に豊子は亡くなっていた。亡き骸に取りすがって泣く信子、佐太郎も男泣きだ。直子は、初めて会った信子に、いつも豊子と信子の話ばかりしていたと言う。
   しばらく経ち、佐太郎と信子、親子二人の夕食。信子は父に酌をして上げる。ようやく父子の溝も埋まったようだ。お父さんは甲吉さんを婿にとって私と二人にこの店を継がせたいと思っているんでしょという信子。甲吉に話したら、独立したいと言っていたわと言うので、そこまで話したのかと呆れる佐太郎。お前は好きな人はいるのか?と聞かれて八木のことが好きだが、将来のことはわからない。今は東京に行きたいと言う信子。店を継がなくてもいい、お前は好きにすればいいのだと言う佐太郎。ひさご亭で八木を呼んで盛り上がるかと言う佐太郎。じゃあ菅原夫妻や、友達を呼んでいいかと言う。
   ひさご亭で、菅原夫妻の東京行きの送別会が開かれている。話が長くなる佐太郎は、芸者さんたちと別の座敷に行けと追い出す信子。
   奥二重で、アルカイックスマイルの菩薩像のような雪村いずみ。既に歌手として人気ものだったんだろうが、自分の知るもっと成人してからの印象とは少し違い、意志の強く、賢いお下げの少女(決して、雪村いずみのイメージが逆だということではないですよ)。とてもいいなあ。あんな娘に愛される教師に憧れてしまう、妄想親父なのであった。

    55年東宝丸山誠治監督『朝霧(95)』
    信州の大学生椿晋一(久保明)は、体育の授業の持久走で、闇雲に走りたい気分になっていた。夏の暑い日差しの下、真一は気を失う。気がつくと、寮の同室で親友の庄司久作(山田真二)が、リンゴ畑に寝かせてくれていた。庄司は手拭いを濡らしてきてくれたので、何とか戻ろうと言うことにした二人は、畑の青いリンゴを一つずつ盗み食べる。酸っぱかったが、生き返る思いだった。リンゴ農家の娘菊江(青山京子)に見つかり怒られたが、落とした手拭いを持って呼び止め、リンゴをくれる少女。
    晋一が、屈託のある原因は、両親に死に別れ、苦労した姉彰子(杉葉子)のことだ。叔父たちからは厄介者扱いされた姉弟だが、死んだ父親の友人だった倉羅(志村喬)の会社の秘書になってから、仕送りが潤沢になったことが引っかかっているのだ。姉の彰子と倉羅の娘八千代(岡田茉莉子)の二人が、大学の寮にやってくる。美しい八千代に心を惹かれながら、倉羅の娘ということで屈折する晋一。庄司は、リンゴ農家の娘菊江に惹かれている。しかし、貧しい菊江の家では、菊枝を芸妓に売ろうと話が出ている。金というものに対する潔癖感と、金が無いことによる不幸に悩む晋一と庄司。
    夏休み、倉羅と、八千代、彰子が信州にやってくる。優雅なホテルに一緒に泊ることになっている晋一だが、倉羅と姉の行動のすべてに苦悩する。八千代が、彰子に父親と別れるように伝えてほしいと言われるに至って、晋一の気持ちは爆発し、大学の担任の雄島(土屋嘉男)が泊っている安宿に移ると彰子に告げて飛び出す。しかし雄島は、確たる証拠もないのであれば、姉を信じろと忠告する。一旦悩みが晴れて、姉のもとに戻る晋一。しかし、自分と倉羅の関係が弟を苦しめていたと知った彰子は、倉羅に関係を清算する旨を伝える。しかし、突然、晋一の元に、庄司が危篤だという電報が届く。驚いて、庄司の家に行くが既に亡くなった後だった。庄司は、菊枝の身売りを防ごうと、大阪で築港の過酷なアルバイトをしていて、海に落ちて死んだのだ。庄司の兄から、遺言で晋一を通じて菊江に渡してほしいと言われたのでと金の入った封筒を受け取る晋一。
   晋一は、夏祭りで菊江の兄(瀬良明)に、菊江は既に、喜美の屋に売られ菊奴となっていると言われ愕然とする。喜美の屋を探し、踊りの稽古中、師匠に怒られている菊枝を見つける。菊枝が晋一に気が付き、外に出てきた。晋一は、庄司が命に代えて作ったお金取って置いてくれと言った。菊江は、泣きながら仏様に供えてくれとリンゴを持ってきた。学校の寮に戻り、庄司の写真にリンゴを供える晋一。そこに、八千代がやってきた。彰子と二人で東京に帰ると言う。東京に戻ったら、倉羅と別れて再びピアノの教師を始めるつもりだと言う彰子の伝言を伝える。松本の駅まで彰子を送る晋一。汽車の中で、彰子に晋一は伝言を喜んでいたと伝える八千代。
    61年東宝丸山誠治監督『慕情の人(96)』
    夏の日、旅支度をしている三浦耿子(原節子)。伊豆の別荘に行くのだ。姑の松江(岡村文子)と女中のさく(丘照美)に、東京駅に行く前に、店に寄ると伝えて、出掛ける。日比谷の東信ビルの地下にあるスキーショップが彼女の店だ。夫が亡くなって以来、夫の親友だった石井(三橋達也)に支配人をしてもらいながら何とか経営してきた。もし伊豆に釣りな行くなら寄って下さいと石井に言い、伊豆に向かう耿子。伊豆手石のバス停に降り立つ。別荘では義妹の靡沙子(白川由美)が来ている。おしげ(賀原夏子)と伍平夫婦に預けているが、おしげから、ここをお売りでと尋ねられ、夫亡き今、維持費が嵩むのでと答える耿子。先代からのお世話になっているが、伍平の神経痛もひどいので、私たちも潮時かもしれませんと言うおしげ。靡沙子は、加納(岡田裕介)と言う金持ちのボンボンの絵描きからプロポーズされたと言う。つい最近知り合ったばかりと聞いて、靡沙子の気持ちを尋ねる耿子。靡沙子はわからないと言う。耿子に会って人物を見て欲しい、ついては既にこれから耿子を紹介する約束をしていると言われ呆れながら、海岸に向かう。一人耿子を残して走り去る靡沙子。加納は、嫌みのない素直な青年だった。靡沙子の話に想像していた以上の美しい方ですねと言う。結婚したいならご両親にまず話した方がと言う耿子に、靡沙子さんの気持ちがわからないんですと言う加納。別荘に戻り、靡沙子に尋ねるが、嫌いではないから付き合っているけど、結婚は就職と一緒だから、慎重に義姉さんみたいに倒産しちゃうのは嫌だと言って、ウチは義姉さんの方が先ねと言って笑う靡沙子。to be continued.

    シネマヴェーラ渋谷で東映セントラルフィルムの栄光
    85年角川春樹事務所崔洋一監督『友よ、静かに瞑れ(97)』
    沖縄の多満里の街に男(藤竜也)がやってくる。ホテルのフリーインの場所を尋ねるが、誰も答えない。酒屋のオヤジも、あそこだけは近づくなと言う。街中を走りやっと見つけて中に入る男。中には女と子供しかいない。たった一人の男の小宮(高柳隆一)は、喧嘩腰だ。客だと言う男の名は進藤剛。部屋に案内される。ベッドは傾き、洗面所は水が出ない。文句を言おうと電話を取るが通じていない。
   海岸を少年が犬の死体を引きずっている。新藤が追いかける。少年は、坂口竜太(六浦誠)。フリーインを経営する父親の竜一(林隆三)が、多満里の土地の再開発で、土地を買収している下山建設の高畠(原田芳雄)にナイフを振り回したことで逮捕、拘留されて5日になる。新藤は、自分が竜一の友人だと言い、警察に差し入れに行こうと誘う。しかし、警察に行くと、徳田刑事(室田日出夫)が出てきて、得体のしれない進藤の差し入れは認めないと言う。では、息子ならいいだろうと言う進藤。新藤はレモンを差し入れる。徳田は、せっかく下山建設がこの多満里の土地の再開発をしようとしているのに、坂口一人がハンコを押さないために、住人みんなが迷惑をしているのだと言う。フリーインに帰る車の中で、竜一と自分は、学部は違うが同じ大学で、剣道を一緒にやった仲なのだと言う進藤。
    新藤は、下山建設に行く。徳田の使いで高畠に会いにきたと言う。取り継いだ男は、今下山社長(佐藤慶)が来ていて、打ち合わせ中だと言う。打合せが終わって出てきた高畠。下山に「いつもお世話になっている人です」と紹介する。しかし下山が帰ると、徳田に電話をしろと部下に命ずる。それには及ばないと言う。坂口の友人を名乗り、徳田という慶応出のボクサーがいたことを思い出したと言う進藤。我々はあくまでクリーンな企業で、この街のためにやっているのに、坂口一人が首を縦に振らないので困っているのだという高畠に、坂口のホテルに石をぶつける、竜太の犬を殺す、ちっともクリーンとは言えないようだなと言う進藤。だからと言って、ナイフを振り回すような坂口ではないはずだがと言って進藤は去る。
     夜、多満里の街で食事をしようと、一軒空いているタコス屋に入る進藤。入るなり静まり返る店内。店主の石黒(常田富士夫)や常連客の亀井(草薙幸二郎)らは、坂口一人に迷惑している、こんな何もなく坪五千円にもならない土地を一万円で買い上げてくれる下山に、金に目が眩んだ坂口一人が吊り上げを狙ってごねていると下山から聞いている、我々は仕方なしに坂口がハンコを押すのを待っているのだと言う。二度と店にくるなと石黒に言われ、店を出る進藤。
   フリーインの女たちがいるバーKENDOに入る進藤。店のママは坂口の情婦だった志摩(倍賞美津子)。他に行く場所も無くなった女たちが吹き溜まっている。時枝(宮下順子)、静子(中村れい子)、留美(伊藤麻耶)、カナ(福田妙子)、冴子(JILL)、娼婦ばかりで、誰も客がいない。新藤は、女たちに酒を奢ってやる。客と飲むと金を貰えるのだ。最初は口数が少なかった女たち。志摩が、竜太から話を進藤について話を聞いたが、怖い人だと言っていた、坂口もそうだが、無口な人は怖い人だと女たちは知っていると言うのだ。しかし、徐々に打ち解ける。夜道をフリーインに向かっていると、三人のチンピラに取り囲まれる進藤。ただ見張っていろと言われている男たち。進藤は、男たちを挑発しておいて、殴りかかってくる石井(中西良太)を鮮やかに叩きのめす。高畠には俺に火をつけるなと忠告しておいた筈だと言う進藤。
   フリーインに戻った進藤は、竜太に何があったのだと問いただす。ある日学校の帰りに下山の手先に遠足に行こうとさらわれ、坂口に電話をしろ、なんと話すかは自分で考えろと脅され、殺されると電話をしたと言う竜太。男たちに、これから毎日遠足に行こうと言われ怯えていた。進藤は、多満里署に行き、下山との汚職の証拠を持っていると脅す。また下山の自宅に現れて、坂口を釈放するように告げる。そんなことを言うためにここまで来たのか、南の天気はどうだった?今夜あたり雨が降るから帰った方がいいのではないのかと静かに言う下山。
   KENDOの留美が街を出ていくと言う。みな歓迎し、明日送別会を派手にやろうという志摩。フリーインに、徳田がやってくる。進藤が、かって大学病院の医師だったが、3年前しくじって、今では、細々とタンカーに医師として乗船したりしているらしいなと皆を前にして叫ぶ。その夜更け、進藤が目を覚ますと石井が忍び込んでいて、口に拳銃を押し込む。フリーインを出たところで、隙を見て、逃げ出す進藤。追いかける石井。街中を走り続けれるが、袋小路で追い詰められる進藤。射殺されるのだと覚悟した時に、高畠が現れ、社長は殺せと言っていないだろと石井を殴る。進藤は、高畠にどうしても坂口を出したいので徳田を脅す。材料を明晩とりにいくと言う進藤。
   その夜、志摩は5日前の晩の出来事を語り始める。3か月前に東京に行き帰って来てから坂口は変だった。前から変な席をしていたし気になっていたが、死ぬ気のようだった。KENDOに来て、果物ナイフを取っていったことを知り、下山に殺されに行ったと思った。高畠に電話をして、坂口を殺さないでくれと頼んだ。坂口は、竜太に男の死に様を見せようとしているんだわと言い、余命を聞く。三か月前に見た時で、肺からリンパに転移していて、三か月持たないと思ったと言う進藤。
   新藤は、下山建設の事務所に行く。そこには高畠が待っている。身を持ち崩したボクサーを拾ってくれた下山には恩がある。ただ、性に会わないので引退興行はやっていないんでなと言って進藤を殴る高畠。激しい闘いだ。ボロボロになった二人が床に倒れている。高畠は、進藤に、自分の机の鍵を渡す。引き出しを探すと、徳田の下山への借用書の束がある。そのまま、多満里署に行き、徳田に借用書の束を見せる。
   翌日、下山事務所で、これから建設予定地への下見に行くのだと言う下山。出て行こうとい下山に部下が、高畠が風邪で休むという伝言と、坂口が今日出所するという匿名の電話があったと告げる。恐怖に駆られ、拳銃を懐に入れる下山。下山たちが多満里に現れ、石黒や亀井と握手を交わす下山。その時、坂口を乗せた警察車両が多満里の街にやってくる。釈放だ。進藤は、竜太を連れて出迎えている。下山の姿を見つけ、近づいて行く坂口。坂口が懐に手を入れた瞬間、恐怖に駆られた下山は、拳銃を取り出し、坂口を射殺する。
   かっこいいなあ。時期のせいか映画は未見だった。しかし、北方健三の原作を読んだことを思い出す。
    79年東映セントラルフィルム内田誠監督『十代 恵子の場合(98)』
    高校2年生高野恵子は深夜まで受験勉強をしている。しかし、家庭では、毎晩遅く帰宅する父親(玉川伊佐男)と母親(絵沢萌子)との喧嘩は絶えず、学校でも、試験の度に学年の順位が下降し、担任からも理数系の成績が伸び悩む現状では、女子大の文系に志望変更をしろと言われる。クラスメートと一緒の図書館に行くのが嫌で、離れた城南図書館に向かう。受験生の男女が連れ立って帰るのを羨ましげに眺めていると男子高生が声を掛けてきて溜まり場に連れて行かれる。店の男に週末のバー券を勧められる。翌日古本屋に本を売りに行く。店番の青年杉山二郎(風間杜夫)は、3000円必要だと言う恵子に2500円にしかならないが、500円貸してくれると言う。
     パーティーで酒を飲み、見様見真似でゴーゴーを踊る恵子。夜も更け、恵子は眠っているが、周りは、コカインを吸引したり、乱交をしたりと言う状態だ。そこに口笛を吹きながら、リーゼントサングラス皮ジャンの男テツ(三浦洋一)が現れる。チンピラのトミー(深見博)たちが“ハクいスケ”の恵子をものにしようと襲い掛かる。目が覚め抵抗する恵子を、助けて店から連れ出すテツ。屋台のラーメン屋でラーメンをご馳走し、タクシーに乗せ送り出す紳士的なテツ。
    数日後、やはり遊ぶ金欲しさに古本を売りに行くと二郎はおらず、店主(殿山泰司)は、二郎は店を辞めてトラックの運転手になっていると言う。学校の帰りに、溜まり場の喫茶店に行くと、スケ番たちに取り囲まれる恵子。テツの情婦のお竜(吉岡ひとみ)たちだった。テツがパーティーの後恵子を送って行ったと聞いて、焼きを入れに来たのだ。テツとやっただろうと殴る蹴るの暴行を受ける。トミーが通り掛かり助けられる。トミーが組事務所までテツを呼びに行く。怖かっただろと慰めながら、俺の女になれと言って、恵子を抱くテツ。しかし、テツは、恵子を美人局に使い、組織の上納金のために金を稼いだ。
    冬休みになり、冬期講習にもいかずに、家にも帰らない恵子。3学期が始まり、学校に行った恵子は、自分がテツの子を妊娠していることを知る。どうしていいのか分からない恵子が街を歩いていると、花屋に配達している二郎の姿を見かける。追いかけようとするが見失う恵子。歩道橋で呆然としている恵子をテツが呼びとめる。飯でも食おうと連れて行ってくれる、時に優しいテツだが、店にいた兄貴分の石黒(成瀬正)が恵子を抱きたいと言えば、差し出すのだ。
   しかし、恵子から妊娠したと聞いて、すぐに下せと言ったのち、組長から自分の分の上納金が三か月滞納されていると聞いて、石黒に詰め寄る。自分がネコばばしておいて、今月の上納金は、恵子を売ってでも作れと言う石黒の顔を刺すテツ。堕胎手術を受けたばかりの恵子に電話を掛け、上野駅から逃亡するテツ。北へ、雪国へと恵子を連れ逃げるテツ。とある鄙びた温泉街に落ち着く。恵子は、温泉街のトルコ嬢になり、テツはパチンコと麻雀で擦ってばかりだ。勿論この地獄に、二人はシャブ漬けだ。シャブも無くなったことでテツは東京に行く。大門組の目を盗み、お竜が働く古着屋へ行く。自分の元に帰ってきたと思ったお竜は熱くなるが、シャブ欲しさに来たのだと知り、お竜は、テツを組に売る。トビー、石黒たちに刺され死ぬテツ。
   シャブ中の禁断症状に苦しむ恵子は、テツが戻らないので、薬局で、睡眠薬を買い、齧りながら夢遊病のように、雪の町を歩いている。通りかかったトラックが急に停まり、恵子に声を掛ける。二郎だ。近くの喫茶店で話す二人。しかし、500円を返そうとした恵子は、二郎が開いた新聞に、テツが刺殺された記事を見て倒れる。医師から覚醒剤中毒で入院を言い渡され、付き添う二郎。禁断症状で苦しむ恵子。彼女が意識を取り戻した時、二郎が横にいる。恵子は、定時制高校の3年に編入した。
    2年生の女子高生の秋から翌年の春までの話。ほんとに薄っぺらい映画だなあ(笑)。30年位前の3流週刊誌のページを埋めるために、取材もせずに、3流ライターが書いたような、女子高生転落の話。見どころと言えば、森下愛子の誕生から女子高生になるまでの実際の写真を並べたエンディング。なんだか自分が父親だったら、こんな映画に出演させるために娘を育ててきたのかと男泣きしそうだ。まあ、こんなやくざな映画界から早く足を洗って、バツイチでも吉田拓郎の嫁になって引退したことは、よかったのかもしれない。

2009年2月18日水曜日

ベッドミドラー、ローズの祈り?ん?ジャニスの祈り?

   シネセゾン渋谷で、ジャック・ドゥミ監督『シェルブールの雨傘(91)』
     シェルブールのオーバンの修理工場で働く整備工のギーは、雨傘屋の美しい娘ジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)と交際していた。ギーは、病気で伏せっている伯母さんと、ジュヌヴィエーヴは母親と2人で雨傘屋をやっていた。雨傘屋は経営がうまく行っていない。ジュヌヴィエーヴの母親の反対もあったが、2人の恋は燃え上がり、ジュヌヴィエーヴは妊娠する。しかし、ギーに2年間の兵役が待っていた。ジュヌヴィエーヴには、2年と言う期間は、永遠の別離のように思えた。
    1年が過ぎ、子供が生まれることを承知で、求婚を続けてくれたカサール(マルク・ミシェル)との結婚を決意するジュヌヴィエーラ。ようやく2年が過ぎ、手榴弾で片足を不自由にして戻ってきたギーにとって、ジュヌヴィエーヴの雨傘屋が閉店しており、伯母から彼女が 結婚してパリに引っ越したと言う話は、とても残酷なものであった。荒んだ気持ちで、仕事に身も入らず、せっかく戻ったオーバンの修理工場を辞め、働かずとも恩給が入ることをいいことに昼から酒を飲み、ジュニーと言う名の、どこかジュヌヴィエーヴの面影を感じさせる娼婦を買う。
   翌朝、帰宅したギーを待っていたのは、伯母の死だった。ずっと伯母の面倒を看てくれていたマドレーヌと言う娘とギー2人だけの寂しい葬儀を済ませる。伯母との思い出がありすぎるこの街を出て行こうとするマドレーヌに、ギーは一緒にいてくれと言う。だが、マドレーヌは、今の働きもせず、自堕落なギーは嫌いだと言った。ギーは、心からマドレーヌが自分にとって必要な存在なのかに気づいた。
   ギーは伯母の遺産を処分し、ガソリンスタンドを手に入れ、マドレーヌに求婚した。数年後の12月、雪の降るシェルブールの街、ガソリンスタンドの事務所で、マドレーヌはクリスマスツリーの飾り付けをしている。息子のフランソワを連れて玩具屋に行くと言うマドレーヌ。見送るギー。ガソリンスタンドに1台の高級車が止まる。運転していたのはジュヌヴィエーヴだ。助手席には、娘がいる。ギーは事務所にジュヌヴィエーラを誘う。ジュヌヴィエーヴは、義母のもとに預けていた娘を受け取りに行った帰り、回り道をして結婚以来初めてシェルブーヴの街に寄ったのだと言う。近況を語り合う2人。だんだん娘はギーに似てきたと言うジュヌヴィエーラ。会うかと尋ねられいやいい、そろそれ行った方がいいと言うギー。ジュヌヴィエーヴは車を出す。振り返ったギーに、マドレーヌと息子が戻ってきた。マドレーヌを抱き締めキスをするギー。シェルブールの街に雪が降り続ける。
   いい音楽のミュージカル、とくれば、何回観てもうとうとしてしまうものだなあ(苦笑)。10代の頃はウェルメイドのものへの反発もあったから退屈だと思って寝たが、50になりそれなりに楽しんでいる今でも駄目なのは、この映画を一生完全鑑賞できない身体なのかもしれない。しかし、昔に比べれば寝ている時間は5分の1以下だと思われるので、若い熱愛カップルが気がついたら別々の家庭を持って再会していて驚く位の最初と最後の15分しか耐えられなかった昔を思えば、随分と成長したものだ。この頃のドヌーヴは本当に美しい。
    渋谷ピカデリー、ホントに休館したゃったんだなあ。
    シアターN渋谷で、坂口拓監督『鎧 サムライゾンビ(92)』。
    ドライブをしている家族がいる。父茂雄(吹越満)母康子(荻野目慶子)娘の麻美(中島愛里)、息子の良太(小杉彩人)。カーナビの指示通り山道に曲がって行ったことで運命が変わってしまう。運転していた父親が目を離した隙に、ライフルを構え、大きなバッグを下げた白い服を着た男、相原(いしだ壱成)を跳ねてしまう。「死んじまうだろ」と言って男は、立ち上がり銃を車に向ける。しかし、男は後ろから、3発の銃弾を受けて倒れる。黒い服の男、次郎(植田浩望)と赤い女、理沙(夏目ナナ)が立っていて、家族の車に乗り込んでくる。少し先には故障した車が止まっている。男女は逃亡中の銀行強盗だった。
    強盗たちに脅され前方の閉鎖された道路を進む。一旦車を止めると、奇怪な老女が現れお前たちは皆死ぬと告げる。しばらく車を走らせると、タイヤがパンクして動かなくなる。男は、茂雄に、代わりの車か、スペアタイヤを持ってこいと命じた。家族を人質に取られ、家族には1時間以内に戻るからと告げて進む茂雄。しかし、茂雄は何者かに操られるように、自ら首をはねて死ぬ。
    なかなか戻らない茂雄を心配している家族たちの前に、茂雄の生首を下げた鎧兜を着けた武士のようなものが現れる。次郎たちは拳銃を乱射するが倒すことはできない。車に近づいて来た武者は、理沙の指を斬る。激痛に苦しみながらも、アクセルを踏み込んで武者を撥ねる理沙。しかし、車は横転した。車から這い出て、徒歩で進むことに。
    しばらく歩くと、廃墟と化した村落を見付ける。理沙の指の手当てをしようと学校か病院だった建物に入り、薬品を探す。やはり老婆が現れる。お前たちは殺されるために呼ばれたのだと言う老婆。殺してやると次郎は銃を撃つが、弾は当たらず、すり抜けてしまう。既に我々は死んでいるからと言って姿を消す老婆。
   そこに相原が現れる。理沙を脅し、昔のように付き合おうぜと言う相原。観念したように、キスをし、相原の腰に顔を沈める理沙。快楽に相原の顔が歪んだ時に激痛が走る。立ち上がった理沙は、口から相原の睾丸を吐き捨てた。次郎と康子、麻美たちが現れる。理沙を盾にし、金を寄越せと言う。そこにサムライゾンビが現れる。隙を見て逃げる次郎と理沙と康子たち。相原は格闘の末、2階から突き落とされたが、今回もまた生き残る。バイクを発見し、悪戦苦闘しながらも、エンジンを掛けることに成功する。自分は不死身だと確信している相原はサムライゾンビに向かって行くが、刀が一閃し、相原の首は宙に舞った。
    その頃、地元霧狭間警察の立石(やべきょうすけ)と吉岡(松原慎太郎)が、銀行強盗犯の捜索に駆り出されており、この八槍塚村に逃げ込んだ形跡を見つけていた。ここは昭和16年の8人惨殺事件以来封印されていると言う立石。彼らは押収品のショットガンなとで武装している。次郎と理沙に出会い睨み合いになるが、サムライゾンビが現れるや、逃がしてくれたら金をやると言う次郎の言葉に、立石は吉岡に鞄を取るように言う。しかし吉岡の首は宙を舞うことに。次郎を助けようとした理沙は、刺された。立石は、2人にパトカーで逃げるように言って、吉岡の仇を討とうと乱射を続ける。パトカーまで辿り着いた次郎と理沙だが、闘った末、爆死した。
    康子は、子供を逃がすために自ら囮となる。逃げるうちに鍾乳洞に逃げ込む。そこの祠に祀られていた短刀は、ゾンビを撃退する力を持っていた。麻美は弟を守るために命を落とす。既に生き残っているのは、康子と息子の良太だけだ。息子を守るために、死闘を続ける康子…。既に八槍塚村の、槍塚に捧げられた生首は7つ。果たして8つ目の首を晒すのは……。
     まあ、ギリギリここまで書いてしまう。その後、この村の真実が暴かれるのだが。みんな頑張っているんだけど、結局、荻野目慶子の熱演で、なんとか乗り切った感じだ。
    しかし、最も残念なのは、実はエンディングテーマの「祈りとやら酷いなあ。Aメロは、完全にベッド・ミドラー主演「ローズ」の「ローズのテーマ」。前の回の上映を聞いていて、ああ「ローズのテーマ」か、最近「ノッキング・ヘブンズドア」といい、邦画の主題歌洋楽ロックスタンダードカバー流行っているんだなあと感心していたのに(苦笑)。久しぶりの直球パクリで、クレジット見ちゃったよ。音楽の制作陣も、映画のスタッフも、この曲を最初に聞いた時何も思わなかったんだろうか(苦笑)。あるいは確信犯?シンガーソングライターの子が?スタッフが?確信犯ではなく本当に誰も知らなかったのなら、趣味の問題ではなく、常識の問題と著作権の問題だと言う気がする。国内はいいとして、北米に持って行く時は、気にした方がいいかもしれない。歌っている本人が傷つくと可哀想だ。(※それぞれの曲名でyoutubeに飛ぶというおせっかい)
    神保町シアターで、東宝文芸映画の世界59年東宝丸山誠治監督『悪魔の接吻(93)』。
   みゆき商会と言う洋服卸の社員内山忠(佐原健二)が、社長夫人の幸江(坪内美詠子)を迎えに大和証券の営業所にやってくるが、一足違いで美容院に行ったと言われる。美容院で幸江を乗せると、そんなに会社の状態が悪いのかと聞く。内山が毎日の売上は変わっていないですよと答えると、夫の見せる帳簿に不審を感じたのか、高田馬場の店に戻るように命ずる幸江。
    前触れなしに急に現れた妻に怯える社長の伊藤(河津清三郎)。彼は婿養子で小さな金も動かせず窮屈な思いをしている。今も競馬のノミ屋の広沢(伊藤久哉)に、取り立てに会社に押し掛けられ、3日待ってくれと頭を下げたばかりだ。幸江は、帳簿を自宅に持って帰ると言う。
  バー火の鳥の相沢恒子(草笛光子)のもとに、小野(三浦敏夫)と甥の則夫(西条康彦)と学生仲間がやってくる。則夫が持っているオルゴール付きの変わったライターに関心を持つ恒子に、知り合いの女の子から貰った物ですが、差し上げますという則夫。その夜、恒子の部屋に伊藤が訪ねている。実は、恒子は、幸江の異母姉妹。戸籍上のみの姉に、女中の子、女中の子と苛められことを恨んでいる。、伊藤は、妻が帳簿を怪しんでいる以上、計画を実行するといい、恒子の部屋からダイナマイトを持ってい。
   帰宅すると、妻幸江が話があると言う。すぐに行くと言いながら、現れない伊藤に苛立って、1階に降りてくる幸江。伊藤は、幸江の首を絞め殺す。その時幸江が可愛がっていた黒猫が、伊藤を睨みつけた。死体を車庫に隠し、翌日出社した伊藤は、利き腕の怪我を装い、内山に何通かの手紙を書かせる。そのうちの1通は、幸江との無理心中の遺書として偽装するためのものだ。夜になり、急に電話で内山を呼び出し、甲府にいる妻の元に、スーツを持って行って欲しいと頼む。車の後ろに、幸江の死体を隠し、助手席の下に、タイマーで午前0時にセットしたダイナマイトを仕込む。これで、車ごと、幸江と内山を爆死させ無理心中を起したように偽装させようと考えたのだ。
   その夜、無事に内山を送り出したと思った伊藤のもとに、姪の友子(笹るみ子)がやってくる。恒子に計画が無事進んでいることを報告しようと電話をすることが叶わずやきもきしているとチャイムが鳴る。何故か内山だ。甲府まで向かうのにガゾリンを入れようと思ったが金がないと言う。金を渡しやっと追っ払ったと思うが、友人の則夫たちが、甲府に遊びにいっているので、内山の車に便乗してしまったのだ。
   友子も、一緒に爆死してしまうのかと小心な伊藤は気が気ではない。何度となく警察に電話をしようとしては、思いとどまる。恒子もやってきて、自首しようとする伊藤を押し留める。内山は、何とか我儘な友子を車から降ろそうとするが、なかなか思う通りにならない。車のパンクを修理したところに、警官が現れ、近くで産気づいた妊婦がいるので、病院に連れて行って欲しいというのだ。乗せて行こうと言い張る友子を残し、内山は一人、車を出発させた。
   友子は、偶然通りかかった則夫たちに会い、彼らの車で無事病院に妊婦を運び、東京に戻ってきた。友子からの電話を受けた伊藤は、やれやれと腰を下ろす。水が飲みたいという伊藤に、コップを持ってくる恒子。しかし、水を飲んだ伊藤は毒殺される。そこに内山が現れる。内山と恒子はグルだったのだ。二人は、伊藤が幸江を絞殺して、毒を飲んで無理心中を偽装することを、計画していたのだ。
   伊藤夫妻の葬儀が行われている。恒子は、長い間会っていなかった幸江の異母妹として、現れる。知らないそぶりで、葬儀を段取る内山。しかし、内山のライターを見た友子は、何で自分が則夫に上げたライターを内山が持っているのだろうと不審に思う。恒子と内山の計画通り無理心中を警察は疑っていない。恒子と内山は安心しきっていた。恒子の家を内山が訪ねている時に、刑事が現れる。恒子と伊藤が競馬場に頻繁に通っていたことと、恒夫が持っているライターで恒子との関係を証拠としてつきつけられる。友子の熱心な訴えが聞き入れられたのだ。恒子は、私がすべて計画し、実行したのだと言い。内山に自分が渡したグラスを飲み干し、まだ計画は続いていると言って、倒れる。内山に、伊藤に飲ませたものと同じ毒を与え、殺そうとしていたのだ。恒子は死んだ。
   モノクロの画像と、内山が運転している車がいつ爆破されるのかというスリルの盛り上げ方など、ヒッチコックを思わせる、ファムファタル映画。内山役の佐原健二、もう少し奥行きがある役者だったら、映画の魅力が倍増したかもしれない。しかし、佐原健二と西条康彦、万城目淳と戸川一平役のウルトラQコンビだなあ。何だか、どこからか、桜井浩子が出てきて、淳ちゃん!!いっぺいくん!!と声を掛けそうな気がしてしまって微笑ましいなあ。
   地元のS亭で、20年近い縁のカメラマンと飲む。変わらないなあ。早く出来あがってしまった。
  

2009年2月17日火曜日

リップバンウィンクルの話

   午前中は、水道橋の再就職支援会社で面談。
   渋谷で、ル・シネマでイサベル・コイシェ監督『エレジー(87)』。
  NYの大学教授のデヴィッド・ケペシュ(ベン・キングズレー)は、公共放送で番組を、ニューヨーカーで文学と演劇批評のコラムを持つ、少しは知られた知識人だ。ある日の講義で、遅れて入ってきた学生に目を奪われる。弁護士のような服装をし、完璧な美しさを持つ女子学生コンスエラ・カスティーリョ(ペネロペ・クルス)だ。一目見て、彼女の虜となるデヴィッド。試験が終わった後、自宅に学生たちを呼んでパーティを開くデイビッド。コンスエラと会話するなかで、久しぶりの恋心に揺れる。コンスエラは、了心と一緒に8歳で、キューバを出国。カレッジを出て、弁護士事務所で働いていたが、大学に入ったのだ。デイビッドは、ある演劇を見る約束にこぎつける。デヴイッドには、長い間SEXだけの関係を続けているキャロライン(パトリシア・クラークソン)という存在がある。
   芝居を見た後、コンスエラに、少し上ずった声で、酒に誘うデヴィッド。有名人と一緒なので、少し落ち着かないというコンスエラに、では、周りに人がいない家で飲むかいと誘うデヴィッド。一つ希望を叶えてくれるならと言うコンスエラ。彼女の望みとは、ホームパーティの時は、人が多くて恥ずかしいと言われ断られた、ピアノを弾いてほしいということだった。ピアノを弾くデヴィッドの横に座るコンスエラ。口づけを交わし、愛を確かめ合う二人。
   デヴィッドの長い親友で、ピューリッツア賞受賞の詩人、ジョージ・オハーン(デニス・ホッパー)は、運のいいやつだ、一夜限りの関係にするんだなと言うが、デヴィッドとコンスエラの距離はどんどん縮まっていく。過去の男性体験を聞かれ、5人と答えるコンスエラ。男たちに、猛烈な嫉妬心を感じ、コンスエラが今まで付き合ってきた男たちについて質問責めにするデヴィッド。子供じみた焼き餅に、うんざりしつつも、デヴィッドとの恋愛にのめり込んでいくコンスエラ。ゴヤの描いた「裸のマハ」「着衣のマハ」のマハに似て、完璧な美しさを絶賛するデヴィッド。
   しかし、タンポンをキャロラインに見つけられ、ジョージの忠告で、いつか若いコンスエラが自分を卒業していくのだという恐怖を覚えたデヴィッドは、コンスエラ家が開く、修士課程の卒業記念パーティに招待されていながら、車の故障でいけなくなったという稚拙な嘘で、自ら別れを告げた。とても、大切な日だからこそ、今日はデヴィッドに出席してほしかったのだというメッセージを聞き、涙するデヴィッド。動揺しているデヴィッドのもとを、デヴィッドの息子で、父親に母と自分は捨てられたのだという傷を持ち続けるケニー(ピーター・サースガード)がやってくる。妻子以外に愛してしまった子持ちの女がいると告げ、正直でありたいので、妻にこの事実を伝えたいと言うケニーに、思いとどまらせるデヴィッド。
to be continued. 
   シネマヴェーラ渋谷で、東映セントラル・フィルムの栄光
   80年角川春樹事務所村川透監督『野獣死すべし(88)』。
   ある激しい雨の降る夜、捜査1課の岡田警部補(青木義明)は、刺殺され拳銃を奪われる。数日後、闇カジノが襲われ、岡田の拳銃で組織の人間たちは皆射殺、多額のテラ銭が奪われた。犯人は、伊達邦彦(松田優作)。通信社のカメラマンをしていたが、退社し、通訳の仕事を細々としている温和しい男だ。闇カジノから盗んだ金で、オーディオ機器だけでなく、部屋の残響構造まで、贅を尽くした部屋で、クラシックを鑑賞する時がこの上ない幸福な伊達。
   伊達は、東洋銀行日本橋支店を訪れ、口座を開設、監視カメラの位置を確認、警備室に忍び込み、ビル内の地図などを盗む。その夜、日比谷公会堂でのピア ノ協奏曲の演奏会で、伊達は、外資系の会社で秘書をしている華田麗子(小林麻美)と隣の席になる。場末の歓楽街で娼婦(岡本麗)を買うが、女に一人でやらせ、それを見ながら詩を諳んじている伊達。
    銀座の高級宝石店のジュエルに電話をする。100万程度のダイヤをいくつか買いたいので外で会えるかと言い、東洋銀行日本橋支店での待ち合わせを指定 する。ダイヤ入りのアタッシュケースを待っている長友(草薙幸二郎)。そのことを確認し、銀行に電話をする。長友のことを銀行強盗だと言い、胸ポケットに拳銃、 アタッシュケースにダイナマイトを持っているので、男を呼び、金を渡せと指示を出す。女子行員は、支店長に強盗犯の暗号を出す。警備員たちに取り押さえられる長友。警備体制のテストを行ったのだ。何食わぬ顔で、外に出て行き、一人相棒が必要だと呟く伊達。それから伊達は人を探し始める。まずは、公園で寝ながら、場外馬券売り場を往復する男小林(泉谷しげる)を、観察する伊達。
    銀座のレコード店で、クラシックのレコードを見ていると、麗子に再会する。上司に頼まれていたレコードを探しに来たのだと言う麗子。探すのを手伝うが、素っ気ない伊達。次の演奏会には来ますかと尋ねられ頷く伊達。麗子を見送ると、殺された岡田の同僚だった刑事だという柏木(室田日出男)が現れる。刑事のカンだけで、伊達に辿り着いた柏木。他の刑事は誰一人気にしていないが、自分はお前に興味があると言う。
    偶然会った大学の同窓生たち(風間杜夫、阿藤海、岩城滉一他)の飲み会に参加する。そこで、客に因縁をつけるギラギラした眼差しの男真田(鹿賀丈史)に出会う。彼は横須賀のバーの女雪江(根岸季江)のヒモをしており、中南米に行きたいと言う女の望みを叶えようとして銀座でウェイターを始めるが、今までの人生と同様、何もうまくは行かない。徐々に男に近づき共犯者に仕上げる伊達。また、武器の密売人(佐藤慶)から、拳銃とライフルを買う。サイレンサーのテストをしがてら、密売人を射殺する伊達。ある日、雪江を連れて一緒に伊豆の貸別荘行こうと誘う伊達。それは射撃訓練をさせて、雪江を殺させることを意味した。伊達の指示に従い、フラメンコを踊る雪江を射殺する真田。いよいよ東洋銀行襲撃の決行だ。日比谷公会堂の演奏会に行き、再び麗子に会った。麗子は終演後伊達を誘う。しかし、伊達は麗子を車で送るだけだ。
   いよいよ決行する。全て計画どおりに、監視カメラを破壊、備室で非常ベルを切断、抵抗する警備員を射殺した。地下の金庫には、正に、その日の近辺の百貨店の売上が積み上げられている。 行員に持参したバッグに札束を入れさせる。一つだけ、予想外のことが起きていた。麗子が客の中にいたのだ。麗子は強盗犯の一人が愛する伊達だと気がついたようだ。銀行を去ろうとした時、麗子が後を追い、伊達の名を小さく呼ぶ。振り返り、マスクを外し、麗子を射殺する伊達。ゆっくり、伊達を見つめながら倒れる麗子。
    銀行を出て、打ち合わせ通り、銀座線で日本橋から神田に出て、山手線で東京へ、東海道線で熱海に行き、レンタカーで伊豆の貸別荘に行くつもりだ。しかし、銀座線で刑事の桂木に会う。どこに行くのだと尋ねられ、神田の出版社に翻訳の打合せに行き、東北に行くのだと言う伊達。神田駅で地上に出るが、殺気だったパトカーで、銀行強盗が起きたことを知り、今別れたばかりの伊達を追う桂木。東北本線に乗った伊達の近くに弁当を下げた桂木が乗ってくる。しばらくして車内が空いてくると、伊達の向かい合わせの席に座る桂木。3000円で買ったトランジスタラジオ経費で落ちるかなと気にしながら、スイッチを入れると、日本橋銀行強盗のニュースをやっている。犯人は車で逃走したと見ていたが、銀行裏に犯人たちが犯行に使った車が見つかったので、地下鉄を使った可能性が高いと言う報道にニヤリとする桂木。我慢比べだ。
   緊張感溢れる時間が過ぎていき、乗客は減り、ほとんど二人だけになる。ラジオが、警察は銀行の客で1人だけ射殺された麗子に重大な関心を持っていると告げると、桂木は、ピストルを伊達に突き付け、ようやく令状なしで、お前をパクる決心をしたと言う。網棚にあるバッグを取り、開ける。しかし、中に金はなく、汚い米軍のアーミージャケットが入っているだけだ。インドシナで着ていた戦闘服だと言われ、愕然とする桂木。桂木の頭にライフルが突き付けられる。真田だ。伊達は桂木の拳銃を取り上げ、弾を一発残して捨てる。伊達は、リップルバンウィンクルの話を知っているかと聞く。知らないという桂木に、ゆっくりと話し始める伊達。
   「リップバンウィンクルは、山に狩りに行く。そこで小人に会い、とても美味い酒を御馳走になる。あまりの旨さに、どんどん酔っ払い夢を見た。どんな狩りも許される。気が付くと小人はいなくなっていた。リップルバンウィンクルが村に帰ると、妻はとっても昔に亡くなっていて、村の様子も変わっていた。リップバンウィンクルがひと眠りしている間に何十年も経っていたのだ。彼が、飲んだ酒は、ラムに、レモンジュースを少し入れて、シェイクする。その酒の名は・・・」 
   桂木「XYZ・・・」。伊達「そうだ、おしまいだ」。引き金を引くが、弾は出なかった。しかし、葛城を殴りつけ、肩を打ち抜く。現れた車掌や、やってきた客を射殺し始める伊達と真田。伊達は、戦闘服に着替えている。「よし脱出するぞ」と言い、汽車の窓ガラスを割り、飛び降りる二人。銃を構え、夜道を進む。あるトンネルの前にバイクが停まっている。中に入ると、暴走族らしき男女が抱き合っている。伊達は、真田に男を殺し、女を犯せと命ずる。伊達の狂気は更に高まっていく。アンゴラ、レバノン、ウガンダ、インドシナ、血と殺戮の戦場での体験が彼の精神を異常なものにしていたのだ。真田と女を射殺し、伊達は姿を消した。
   日比谷公会堂で、ピアノコンチェルトの演奏会。伊達がいる。隣の席は空いている。ふと気が付くと、無人の公会堂に伊達が一人いるだけだ。のろのろと立ち上がり、公会堂の外に出る伊達。階段をおり始めると胸を射抜かれ、倒れようとする伊達。
   うう。やっぱりかっこいいなあ松田優作。しかし、この「野獣 死すべし」は、大藪春彦のものではなく、角川映画(現在の角川映画と混同するといけないので、角川春樹映画(苦笑))。角川春樹ならではの、誇大妄想的というか、暴走していく展開は、楽しいなあ。。原作のテイストは、仲代達矢のほうかな、どちらか選べと言われたら、仲代版だが。
   78年東映セントラル・フィルム村川透監督『殺人遊戯(89)』。凄腕の殺し屋鳴海昌平(松田優作)は、頭山会会長(今井健二)を射殺し、会長秘書の美沙子(中島ゆたか)を連れて逃走。港で殺さずに姿を消した。
    5年が経ち、鳴海が戻ってきた。舎弟の文太(阿藤海)は、大喜びだ。しかし、築地から銀座にかけては、老舗の寿会と、愚連隊上がりの新興勢力の花井組が争っており、関西の大組織が花井の後ろに付いていることで、表面的には落ち着いているが、一触即発な状態だ。
   5年振りにヤサに戻ると蜘蛛の巣だらけだ。鳴海は飲みに出る。ママに誘われて入ると、とんだ暴力バーだ。ビール2本と突き出しの乾きもので、3万5千円を請求される。困った鳴海に昭子(竹田かほり)が、知り合いだと言って3500円で済む。実は、昭子は、頭山会会長の娘だった。まだ高校生だった昭子は、父親が殺される直前、エレベーターの中で鳴海とすれ違っていた。しかし、昭子は父親が無くなったことで、気ままな生活をすることが出来たので、鳴海を恨んではおらず、目撃したことは誰にも言っていないと言う。
   文太を手伝い、銀座の飲み代の取り立て屋をやりしのぐ鳴海。美沙子を見かける。文太に聞くと、銀座アラビカのママで、寿会の勝田(佐藤慶)の情婦だと言う。さっそくアラビカに行き、ママに会わせてくれという鳴海。寿会の組員たちに追い払われる。なんとか美沙子に会う鳴海。勝田を鉄砲玉の二宮(桑原大輔)が襲い、銃撃するが、腕に怪我を負わせただけだ。関西の組織を恐れた勝田は、身内を抑え、鳴海を呼び、花井の殺しを2000万で依頼する。二宮を探しだした寿会は、二宮を殺し東京湾に沈め、二宮の情婦だった昭子を犯して殺す。
   ロードワークと筋トレで鍛える鳴海。花井組の花井(草薙幸二郎)は、勝田を消すための殺し屋を雇った。現れたのは鳴海だ。会長室で、金を出そうとする花井に、既に依頼がありましてと言って、花井を射殺、組員をすべて倒し、一人で花井組を全滅させた。寿会に戻り、勝田に会うと、勝田は花井を殺せなどと言っていないととぼける。鳴海は、勝田を、寿会の組員を、そして美沙子を射殺した。
   文太の元に、紙包みが届く。その中には、2000万が入っており、アパート経営でも堅実な仕事をしろと言う手紙が付いている。再び鳴海は、姿を消した。
    銀座シネパトスで、燃やせ!俺たちの70'sジャパニーズ・グラインドハウス魂!
    73年東映東京内藤誠監督『番格ロック90)』
    田口有紀子(山内えみ子)は特別少年院を2年半降りに出てきた。母親(初井言栄)が迎えにきた。家には保護司の今野 (山谷初男)が待っている。家で金属加工の下請けをしている父親(久保一)は、あんな娘は自分の子供だと思っていないのだ。由紀子は、着替えを済ますと窓から逃げ出した。裏山のお不動さんの御輿倉庫の鍵を大事そうに首から下げている。そこには、昔の彼氏の勝との写真を隠していた。
     由紀子は、赤羽百人会というスケ番グループの番格だ。赤羽百人会は、池袋騎兵隊と対立している。由紀子の特少仲間のアラブの鷹(柴田鋭子)が総番をしている池袋騎兵隊に対して、旗色は悪かったが、赤羽百人会は由紀子が戻ってきたことで、反撃のチャンスだと思う。由紀子も特少時代の対マンで負けた借りを返そうと思っている。しかし、アラブの鷹は、なかなか姿を表さない。
   ある日、由紀子は勝(誠直也)と再会する。勝は、城北睦会のチンピラになっていた。2年半降りの2人は激しく愛し合う。睦会は、池袋騎兵隊のスケ番たちを攫って来てはジャブ漬けにし、売り飛ばしていた。赤羽百人会は、執拗に池袋騎兵隊を狙うがことごとく返り討ちに会う。影で指示を出している総番のアラブの鷹を見つけられないのだ。
    由紀子は、騎兵隊のスケ番を捕まえて、腹に煙草を押し付け、髪を丸坊主に切って脅して、鷹の居場所を吐かせようとしているところを婦人警官に見つけられ追われることになる。ある夜、騎兵隊のスケ番の対マン待子(山口あけみ)が、勝の兄貴にあたる沖田(鹿内タケシ)に捕まり、鷹のヤサを教えるよう脅されだか、口を割らなかったため、殺される。警察は対抗グループで、特少あがりの由紀子を容疑者と断定する。
   ユキと突張り百人会も騎兵隊も、どんどん逮捕され警察はスケ番たちで一杯になる。敵味方入り乱れ大乱闘となり、刑事の荒田(室田日出夫)も呆れ顔だ。しかし、赤羽百人会のスケ番たちは、この事件でがたがたになり、突っ張りのお圭(ボルネオ・マヤ) 以外は、脱落していく。ようやく、騎兵隊が尚美学園の理科室で集会を開くということを知った由紀子は、単身乗り込む。スケ番たちは、待子の復讐だと色めき立つが、鷹は由紀子との対マン勝負を了解する。警備員(小松方正)が、警察に通報したぞと飛び込んできたが、皆逃げ出す。
   戸田の河原で、向かい合う二人。尖らせたハサミを持った二人の力は拮抗して、なかなか勝負がつかない。まず、由紀子が傷つく。しかし、最後に鷹の額を切り、気を失わせる。由紀子の勝ちだ。沖田と勝たちが現れ、病院に運ぶと言って車に乗せて去った。しかし、由紀子は、駆け付けた警察に捕まる。由紀子は、数日間、荒田たちに締め上げられるが、結局証拠不十分で釈放された。
   一方、鷹は、病院ではなく、沖田たちに弄りものにされていた。実は、女子高生だったころの鷹に乱暴しようとした沖田は、抵抗した鷹に顔に大きな傷をつけられ復讐しようとつけ狙っていたのだ。暴行の末、シャブ漬けにさせられ、客を取らされている鷹を、見つけた由紀子は、全てを知った。勝のヤサに行く。無事に帰ってきたと喜ぶ勝。しかし、スケ番たちを食い物にする沖田と勝を、勝の部屋に隠してあった沖田のライフルで射殺する由紀子。
  主題歌の番格ロックの提供と、ルイジアンナとファンキー・モンキー・ベイビーを劇中でも演奏しているキャロルが出演しているので、ぜひとも見たかったが、まあ、こんなもんだろうな。多人数のスケ番を集めているが、どう贔屓目にみてもメンバーの姉か母のようなスケ番やら、衣装やら、役名やらかなりいい加減、台詞もほとんど棒読み、人数だけ集めましたという感じが、プログラムピクチャーの醍醐味。

2009年2月16日月曜日

坊主の食卓

    朝早起きして、惣菜6品作り(ヒジキ煮、きんぴら、南瓜煮、鶏牛蒡、切り干し大根、鶏挽きと大根白滝炒め煮)赤坂のメンタルクリニックに寄って独身“美人”OLに惣菜差し入れ、新宿三丁目に。
  シネマート新宿で、高橋伴明監督『禅 ZEN(85)』。
  鎌倉時代、世の中は荒廃し、民は苦しみ、その苦しみを救う筈の仏教も、僧兵が跋扈し、盗み、タカリ、暴行、強姦など悪行三昧だ。そんな中、道元(中村勘太郎)は、8歳の時に亡くなった母、伊子(高橋恵子)の言葉を思い出していた。
   14歳で仏門に入り、24歳で真の仏教を求め、宋に渡った道元は、しかし、宋の仏教も堕落している。中国各地を放浪の末、道元は、ある日、亡友で、源頼朝暗殺で処刑された公暁と瓜二つの青年僧、寂円(テイ龍進)に出会い、正師となる天童山の如浄(鄭天庸)に出会う。そして、ある夏の夜明けに、悟りを拓く。
   帰国した道元は、建仁寺で「普勘坐禅儀」の執筆をする。俊了(高良健伍)、達磨宗の禅僧懐奘(村上淳)、遥々宋から道元を師として日本に渡ってきた寂円と、日本で如浄禅師の教えを広めようと決意する。堕落した仏教界に失望する若い僧たちが集まり、危機感を募らせた比叡山初め、既成宗派は邪教と決めつけ、僧兵に取り囲まれる。鎌倉幕府の六波羅探題、波多野義重(勝村政信)によって助けられ、洛外の安養寺に移る。
   遊女のりん(内田有紀)は、幼いころ道元に助けられたことがあるが、遊女に身を落としていた。更に、自堕落な夫、松蔵(哀川翔)との間に子供が生まれ、その生活に疲れ果てている。ある日、赤子が死にそうだとりんは、道元をに訴える。道元は、里の家一軒一軒を回り、身内が亡くなったことの無い家で、豆を一粒貰ってこいと言う。瀕死の我が子を抱いてりんは必死に探し歩くが、勿論見つけることは出来ない。冷たくなったわが子を抱いて嘘つきだと責めるりんに、道元は何も語らない。俊了は、死はつねにあることに気付かせようとしたのだと説明する。りんは、体を売り、その金をお布施として道元に渡そうとする。当惑する弟子たちに、尊いものだと受け取る道元。
   しかし、興聖寺も、道元たちに安住の地ではなかった。叡山の僧兵たちは、焼き討ちの暴挙に出る。波多野義信の勧めもあり、越前の山中に坐禅の場、永平寺を建立する。
    りんは、働きもせず自分の身体だけ求めてくる夫の松蔵に愛想を尽かし、家を出た。永平寺を訪れ、入門を願うが、道元は認めなかった。近在の百姓の農作業を手伝いながら、坐禅を組むりん。ある日、里山の中で俊了に出会う。俊了は、坐禅を組んで修行するのではなく、食事の支度をする僧となっており、茸を取りに来ていたのだ。よく取れる場所を教えるりん。しかし、俊了が蛇に足を咬まれ、その毒をりんが必死に吸いだすことで、若い俊了の心の底にあるりんを愛おしいと思う心が浮かび上がってしまう。直ぐに我に返り、自分の心を恥じる俊了。寺に戻り、辞する俊了。道元は涙を堪え見送った。下山する俊了の後ろ姿に、りんは泣きながら名前を呼び、自分の責任だと詫びた。振り向いた俊了は、中国語で、我君を愛すると呟く。勿論、その声も意味も俊了には届かない。
  波多野義重が早朝道元を訪れる。執権の北条時頼(藤原竜也)が、権力を握るまでに流してきた血のため、夜毎怨霊に祟られ苦しんでいると言う。道元は、寂円一人を連れ、懐奘には、永平寺を守るよう伝え、鎌倉に向かう。しかし、道元の語る、ただ坐禅を組み己を見つめ、全てを受け入れよという教えは、時頼を苛立たせる。しかし、斬首しようとした時頼の剣の前でも、ただ落ち着いて坐禅を組む道元と、弟子の寂円の姿を見て、時頼は納得する。
  道元は、天命を全うしようとしていた。弟子たちに一人一人声をかけ、最後には坐禅を組みながら死を受け入れる道元。
  得度し、日本中を旅するりんの姿がある。京では、手足が不自由な乞食に身を落とした松蔵の姿がある。金を恵み、自分の髪を渡すりん、しかし、その修行僧が、かっての自分の妻であったりんであるとは、理解する教養もない松蔵。小さな庵で、子供たちに坐禅の心得を伝えているりん。
  まあ、仏教というもの、禅というもの、道元という人間を知るには、勿論物足りなく、しかし、その入口に多くの人を導いていることで、成功したと言える映画だろう。中村勘太郎の顔もいい。ちょっと、時頼に祟る怨霊と、ラストシーンのCGは、ちょっとどうかと思うけど。その部分だけ新宗教団体のプロパガンダ映画に見えてしまう。
    しかし、人気だなあ。8割女性20代以上各世代満遍なくと言う感じだろうか。狭い方の劇場ほぼ満員。下の角川シネマでも、上映しているにも関わらず。しかし、たまに映画館に来るご婦人方は、大分混乱していて、自分が間違えても、劇場スタッフに高飛車に大クレームだ(苦笑)。
   続いて、横山一洋監督『クジラ~極道の食卓(86)』。
   久慈雷蔵(松平健)55歳は、妻の久美子(秋本奈緒美)と娘の美優(岡あゆみ)を前に、離婚を切り出す。夫がこうと決めたら動かないことを知っている久美子は、自分に愛想が尽きたのではなくやりたい事があると言う話を聞いて、直ぐに荷物を纏め娘を連れて家を出る。離婚届に久慈の涙が落ちる。
   久慈はヤクザの濁組の組長だ。朝、組に出て、若頭の吉田(中村譲)を始め組員たちに、これからは夜は組の仕事をやらないと告げた。実は久慈は、星和高校夜間部に編入したのだ。黒の詰め襟の学生姿で、自己紹介をする久慈。自分の隣に座ればと声を掛ける女子高生木村咲子(岩佐真悠子)。久慈雷蔵だからクジラくんと呼ぶ。ちょっと、淡い青春に萌える久慈。しかし、夜間部の番を張っているつもりの良平(久保翔)たちは、咲子と仲良くしている久慈に嫉妬する。to be comtinued.  
   元同僚と広告代理店の友人と女性シンガーソングライターのNさんと赤坂で会食。もう一杯ということで、赤坂のバーの老舗中老舗のGに行く。何だか調子にのって酔っ払っているうちに、途中から代々木上原の美人人妻が参加したので、とっても嬉しくなってしまって、終電は完璧に逃してしまい、タクシー帰宅。失業者としての自覚が足りないと反省する。

2009年2月15日日曜日

タンドリーチキンとビール

今日はグダグダな感じで、読書と惰眠を貪る。洗濯と買い物はしたが、何だか花粉の飛翔も甚だしく、薬を飲んでいてもしんどい。博華で餃子とビールのつもりが店開かず、暫し呆然として、インド料理屋に向かう。