午前中代々木に届け物あり、六本木に出て、シネマート六本木のメンズデーで、
アレクシ・タン監督『
ブラッドブラザーズ(104)』。
上海郊外の村で病気の母親と妹と暮らす青年フォン(ダニエル・ウー)は、親友のシャオフーと村のダンス教室に行く。そこには、幼馴染で相思相愛のスーチェン(リー・シャオルー)が女性ダンス教師と踊っている。幼かったスーチェンが、女性らしい体つきになったとシャオフーに冷やかされつつ、スーチェンのリードで踊るフォン。シャオフーの兄で腕っ節が強く親分肌のターカン(リウ・イエ)は上海のキャバレー天国でウェイターをすることになっている。母親の薬代や、スーチェンの父親の借金を返して早く結婚するために、金を稼ぎに行こうと誘うターカンとシャオフー兄弟。フォンを入れた三人は兄弟同然なのだから、常に一緒に助けようと言われ上海行きを承諾するフォン。
上海で人力車夫をするシャオフーとフォン。なかなか稼ぎも上がらず、ターカンがウェイターをしているキャバレー天国で早く働かせてくれと言いに行く二人。華やかな天国は、夢のようだ。歌姫のルル(スー・チー)のステージに息をのむフォン。しかし、ルルは上海の顔役で店のオーナーでもあるホン(スン・ホンレイ)の愛人だ。ある日、フォンが街を歩いていると、ルルの姿があり、思わず後をつけてしまう。ルルは怒って殴りかかるが、先日ステージを見て感動したのだと言うフォンに機嫌を直し、中国人でハリウッドスターになったアン・メイ・ウォンの看板を指差して、私もホンに映画に出して貰うのだと言う。しかし、いい人みたいだから忠告するけど、ホンやあの店に近づいてはいけないと言うのだった。
しかし、天国のウェイターで終わる気のない野心的なターカンは、ホンの裏の仕事に手を染める。指示通り小銃の入った木箱を盗み出そうと言うターカン。悪事の片棒は担げないと現場を去るフォンだが、木箱を運び出そうとしたターカンとシャオフーの兄弟が見つかって殺されそうになったのを見て引き返し、敵の全員を射殺する。荒っぽい仕事を片付けた三人にホンは大喜びで、ご馳走する。フォンの姿を見て、複雑な笑みを浮かべるルル。フォンは、人を殺した後味の悪さに先に帰ることにする。そこにホンの弟で、兄の右腕として、指示通り人を消してきた殺し屋のマーク(チャン・チェン)が、兄を撃とうとして、逆に腹を刺され致命傷を負って倒れているところに出くわす。自分の家に連れて行き介抱してやるフォン。ターカンは荒っぽい仕事をしていくが、弟のシャオフーは繊細な性格が災いして、ターカンの他の子分に兄は豹だが弟は羊だと馬鹿にされる。その子分を叩きのめし、弟にも怒りを見せるターカン。
ある日、フォンはルルを映画スタジオに誘う。セットで撮影ごっこを楽しむ二人。殺伐とした日常から癒やされたルルが、私を愛していると尋ねると、他の男のものだからと答えるフォン。あなただって同じじゃないのと言って、フォンの頬を打ち去るルル。翌朝、昨夜自分がルルを傷つけたことに反省したフォンは、朝食を持ってルルのもとを訪ねる。しかし、ルルのベッドにマークがいることを知って慌てて帰るフォン。
マークとルルの裏切りを知ったホンは、忠誠心を試すには裏切り者を殺せるかだと言って、2人を消せと、ターカン、シャオフー、フォン三人に命ずる。フォンは、2人は友達だから殺すのは嫌だと言い、ターカンとシャオフー兄弟と決別し、マークとルルを逃がそうとする。しかし、ターカンたちが現れマシンガンを撃ってくる。フォンは腕を撃たれて倒れると、シャオフーが駆け寄ってくる。兄のターカンにフォンを撃つなと言うシャオフー。フォンにとどめを差そうとしたターカンをシャオフーは撃つ。マーク、ルル、フォン、シャオフー4人は車で逃走する。マークとルルを逃がした上に、フォンとシャオフーの裏切りにホンは激怒する。ターカンを殺そうとしながらも、油断して背中を見せたホンを刺殺するターカン。新しいボスに着くターカン。異議を唱える古参の子分を冷酷に射殺するターカン。弟のシャオフーが現れ、もう止めてくれと頭を下げる。しかし、ターカンは自分の弟はもう死んでいると言う。子分たちに連れて行かれ殺されたシャオフー。
フォンは、マークとルルを自分の故郷の村に連れて行く。スーチェンはフォンの母親の面倒を見ながら、フォンを待ち続けていた。雨漏りがするフォンの家の屋根に登って瓦を直すフォンとスーチェン。静か過ぎて眠れないと苦笑するマークに、自分の故郷によく似たこの村でのんびり暮らしたいと言うルル。しかし、スーチェンとルルが市場で買い物をして家に戻る途中、ターカンの差し向けた殺し屋にルルは射殺される。あまりのことに呆然とするスーチェン。その頃、フォンの家にも追っ手が来ていた。際どいところをフォンとマークは返り討ちにする。息絶えたルルを抱きしめるマーク。
キャバレー天国は、いつもと変わらず賑わっている。ステージではルルの代わりにターカンの愛人の?がセンターで踊っている。そこにフォンが現れ天井にショットガンを放ち、今日でこの店は閉店しますとアナウンスする。逃げ惑う客や踊り子たち。ターカンの子分たちが撃ってくるが、確実に仕留めるフォン。マークも客席から拳銃を撃ち続ける。2人はマフィアたちを全滅させる。ターカンは部屋で静かに待っている。フォンはターカンを撃つ。とどめを差そうとするマークを止めるフォン。しかし、宿命だと言ってとどめを差すマーク。
エピックレコードジャパン/ジョリーロジャー草野陽花監督『悲しいボーイフレンド(105)』。
製薬会社の営業課長をしている岩津中(あたる)(寺脇康文)は37歳独身。中間管理職として今日も部下の失敗をカバーする接待飲み会だ。ある日携帯が鳴り、若い女の声で会って貰えないかと言われる。勿論心当たりなとなく、いたずらだと取り合わなかったが、何度も掛けてきて最後は会社の近くにいると言う。川を挟んだ向かいに制服を着た少女(寺島咲)が手を振っている。少女は、岩津が出た神戸三宮市立東町中学の後輩で、2年の香奈と名乗った。友達同士で、昔の卒業アルバムを見てお互いに好みのタイプを指差して、今どうなっているかを、探すゲームをしているのだと言う。一緒に旅行してくれと言うので、会社もあるし駄目だと言うと、携帯の番号を教えてくれた岩津のアシスタント(松田沙紀)に明日は休みだと聞いたので、1日だけ買い物に付き合ってくれればいいと言う。仕方なしに、承諾する岩津。
買い物が終わり、高速バスに乗るのを見送る時に、岩津は香奈に騙されてバスに乗ってしまう。結局翌朝早朝三ノ宮に着く二人。会社を休むとアシスタントに電話をすると、既に親戚の不幸で今日明日有給休暇の話を聞いていると言う。これも香奈の仕業だ。
一睡も出来なかった岩津の為にラブホテルに入る二人。眠っている岩津の傍らに入る香奈。目覚めた岩津は驚いて服を着る。東町中学に連れていかれる岩津。20年振りの出身中学はやはり懐かしい。しかし、香奈が、岩津の中学時代の話をやけに詳しく話し始めたことに戸惑う岩津。昔みたいに逃げ出すの?と尋ねられた時に、中学時代のことを鮮明に思い出す岩津。3年になってのクラス替えで、岩津の悪友たちは目を付けられていたのか、全員違うクラスに入れられた。担任(内山理名)が大声を出しても話を聞いている生徒は少ない。委員の選出で、悪友たちと保健委員になって一緒につるもうぜと言う話を思い出し、立候補する岩津(松下優也)。高川昌子(上田結)と言う女子も手を挙げる。昌子が岩津に好意を持っていることは明らかだった。
付き合い始める二人。映画デートだけではなく、一緒に深夜に家を抜け出して、ある研究所に潜り込んで、勉強をするようになり、三回目の夜、岩津は思わず昌子にキスをし、更に先を求めてしまう。その後、娘を付けてきた昌子の父親によって、別れさせられる。結局このことは岩津の昌子への気持ちを萎えさせ、昌子は別の中学に転校することになった。昌子の一緒の高校に行こうと言う言葉から逃げるように、東京の私立高校に進学し、昌子とのツラい思い出は封印されたのだ。君は昌子の何なんだと尋ねる岩津。香奈は、岩津と昌子の子供には年齢は合わないし、昌子の生まれ変わりだと言われても信じられない。気がつくと香奈はいなくなっていた。
東京に帰った岩津は何かが引っかかってしょうがない。神戸にいる友人に昌子の家を調べて貰う。神戸に舞い戻った岩津は、昌子の家を訪ねる。昌子の娘(清水くるみ)が出て来て、昌子は先月亡くなったと言う。心の病で、休みがちだった昌子は、娘によく岩津の話をしていたと言う。帰りかけた岩津に、昌子の娘は追って来て、葬式の後に出てきた日記帖を貰ってほしいと言った。しかし、あのことがあった85年のものだけが欠けている。神戸の山で日記帳を読む岩津。ふと下の河原に香奈の姿がある。河原に駆け降り、川を渡り始める岩津。やっとのことで渡りきり香奈のもとに行く。この日記帳を読んで欲しかったと言う香奈(昌子?)岩津の頬に口づけて去っていく香奈。急いで東京の家に戻り、心当たりの無かった宅急便を探す。差出人は香奈だった。中には8mmフィルムが入っている。そこに写っているのは、あの時の昌子から20年後の岩津へのメッセージだった。涙を流す岩津。吹っ切れた表情で仕事をしている岩津。
大人のファンタジーを狙っているのかも知れないが、大人が楽しむにはもう少しリアリティないと。まるで、レコード会社か放送局のように雑然として、汚いオフィス、これじゃ製薬会社として、コンプライアンスとか守れないだろ(笑)。夜8時なのに、課長1人しかいなく真っ暗なフロア。こりゃ潰れちゃうよ、この会社。社会人経験のある、ちゃんとした大人のプロデューサーいないのか(苦笑)なんで製薬会社の営業部に、モニターやらデッキやら積み上げられているんだ。更に夜中に家を抜け出して勉強している筈なのにラジオを着けると阪神巨人戦のナイター中継。いい加減だなあ(爆笑)。まあ、細かいいちゃもんはともかく、大人のファンタジーと言うより、昔の少女マンガ。監督女性だからと、女性蔑視発想をしたら、草野陽花監督って男だったのか。「ブラブラバンバン」も原作のコミックのエネルギー完全に消滅していたし、草食系男子ってヤツ?
ポレポレ東中野で、康宇政監督『小三治(106)』。
落語家柳家小三治の生き方。最もチケットが取れないと聞いて納得する。一番残った言葉は、「ようやく、50過ぎて、人生の寸法がわかった。人には、自分が楽しんでいないとお客さんは楽しめないと言うけど、自分が楽しめていない。結局、人は生まれや育ちを引きずっている。子供の時に95点の答案を前に、親から、何で100点取れないんだと怒られていた時のままだから、高座で何で100点取れないんだろうと、楽しめない自分がいる。」うーん、自分のことを言われている気がするなあ(苦笑)。
「小三治」を一緒にみた元同僚と、東中野銀座通りにある、元の会社の元のオフィスの近くにあった定食屋を久しぶりに訪れる。