2009年2月24日火曜日

辰巳柳太郎いいなあ。

    シネマート六本木で新東宝大全集。55年新東宝伊藤大輔監督『王将一代(107)』。
    明治40年、大阪のとある寺で、全大阪素人将棋大会が開催されている。草履編みを生活の糧にしている坂田三吉(辰巳柳太郎)は、赤貧で文盲の無学、将棋きちがいの男だ。妻の小春(田中絹代)は、苦しい生活に法華経の念仏を唱え続けている。将棋大会の受付で参加費の17銭を出し、名前をと言われると、7本の横線を引き縦銭3本を加えて、三吉としか書けない。天王寺の三やんで通るほどの素人名人だ。今回も順調に決勝戦に進み、相手の宮田製麺の社長の宮田(田中春男)を簡単に破るが、優勝賞品の鷹の剥製はいらないから50銭くれと言う。参加費を捻出するために小春の命より大切な仏壇を質屋に預け、着る服も借りてきたので返して貰うのに50銭あればいいと言う。呆れながら、宮田は1円を貸す。主催者の三田証券の西村(三島雅夫)は、三吉のあまりの強さに宮田に耳打ちする。
三吉が、賞品の山を抱え、仏壇を背負って帰宅すると、ほとほと呆れ果て、病気の娘の玉江を連れて、家を出ようとしている小春の姿だ。驚いて引き止めようにも、小春の怒りは激しく、将棋を捨てろと言われ、手作りの将棋盤と駒を川に投げ捨てる三吉。その時、三吉のあばら屋に、宮田と西村がやって来る。2人は、せっかくの三吉の腕を素人名人で終わらせるのは勿体ない。そのためには、二人が援助すると言うのだ。将棋を止めないと小春が出て行くと言うんやと三吉に聞いて、三吉の将棋の才能を小春に力説する二人。小春も、ただの将棋きちがいとしか思っていなかった夫の才能を始めて理解して将棋を続けろと言う。草鞋を編まずに、将棋だけして暮らせると聞いて子供のように喜ぶ三吉。喜ぶ夫を見て、捨てられた将棋の駒を拾い、その駒が王将なのを見て、手を合わせて祈る小春。
大正5年、職業棋士として苦節10年三吉は七段になっている。東の入江七段(島田正吾)と全日本の王座を争うことになる。五番勝負の緒戦は三吉が勝ち、二勝二敗の五分となり第五局。須磨の料亭、将軍荘で対戦する三吉と入江。入江に追い詰められ、もはや三吉の負けだと誰も疑わなかった。三吉の後援会の宮田、西村、そして名誉会長の貴族院議員の金杉子爵(石山健二郎)も、やはり名人位は、箱根の西には持ってこれないかと諦めかけた時に、三吉は、長考の末、手元の銀を取り二五銀と言う奇策を打つ。これで入江はリズムを崩し敗れる。
   後援会は、皆大喜びだ。妙見さまに祈り続けていた小春も駆け付けた。しかし、娘の玉江(木暮実千代)は、二五銀は、奇策でも棋界の常識を超えた妙手でもなく、苦し紛れの一手だろうと言い、どんな手を打っても勝てばいいというのは恥ずかしい、将棋に命を掛けているなら、勝ちたいではなく、いい将棋をしたいと考えるべきだろうと責める。痛いところをつかれて激怒する三吉。他人には分からなくても父娘だから、心で分かるのだ。娘に殴りかかろうとする三吉を必死に止めようとする小春。しかし、我に返った三吉は、法華の太鼓を持ち出し、須磨の海岸に出て、妙見さんに、立派な将棋指しにしてくれと海に頭を下げるのだ。三吉の後姿を見て、手を合わせる小春。
   大正13年、雪の東北を走る汽車の中で、一人の男が乗客に賭け将棋を持ち掛けている。男は、三吉の弟子だった毛利(舟橋元)だが、玉江と駆け落ちしていたのだ。車掌が来て慌てて、将棋盤を仕舞う毛利だが、向かいの客が読む新聞を見て、慌てて寝ていた玉江を起こす。そこには、坂田八段が、将棋連盟を飛び出して、関西名人を名乗ると書いてあった。既に、入江名人との間では、11戦7勝と圧倒していたが、将棋連盟は、学問、経歴などを理由に、いつになっても、三吉に名人位を与えることをしなかった。
    そこで、後援会長の西村は、将棋連盟を脱会させ、坂田会を結成、第一世関西名人を襲名させようと図ったのだ。三吉は、名人は一人でいいので、自分は絶対嫌だと言っている。説得に行った宮田も、頑固な三吉にほとほと困って帰ってきた。小春の墓に詣でて、どうするか聞きに行ったと言う宮田。上機嫌で帰ってきた三吉は、小春も同じ意見だったと言う。困り果てた西村たちは、三吉がそれだけはいいと言っている坂田会の発足式と偽って、関西名人の襲名式を決行しようと企む。その時、盛岡から戻るので、それまで名人襲名を待つようにという玉江からの電報が届くが、握りつぶす西村。
   襲名式の当日になる。新聞に関西名人襲名という記事が出ているのを、ナンボわしが字が読めんと言っても、こりゃあかん、大阪中の新聞を買い占めて燃やしてしまえと怒っている三吉。 to be continued.

   
    シネマヴェーラ渋谷で、東映セントラルフィルムの栄光
    85年東映東京森田芳光監督『それから(108)』。
     長井大助(松田優作)は、大学を出て働きもせず、日々を送っている。それは、実業家の父、得(笠智衆)と、兄、誠吾(中村嘉津雄)に援助されているからこそだ。書生の門野(羽賀研二)とばあや(一ノ宮敦子)と暮らしている。ある日かっての友人で、大阪で役人をしていた平岡常次郎(小林薫)が、勤めを辞め東京に戻ってくるとの手紙が届く。しかし、大阪の3年間は、平岡をとても屈折した俗物に変えていた。平岡の妻の三千代(藤谷美和子)は、長井大介と平岡の親友であった菅沼(風間杜夫)の妹であった。3人の男たちと三千代はいつも一緒に過ごしていた。平岡も長井も三千代を愛していたが、三千代に結婚を申し込むと告白された長井は義侠心から、間を取り持ったのだ。
to be continued.
  井梅子(草笛光子)長井縫(森尾由美)平岡常次郎(小林薫)平岡三千代(藤谷美和子)菅沼(風間杜夫)佐川の令嬢(美保純)寺尾(イッセー尾形)門野(羽賀健二)神楽坂の芸者小染(川上麻衣子)久米香(遠藤京子)女郎(いずみじゅん)賄いの婆さん(一の宮敦子)

     79年東映セントラルフィルム村川透監督『処刑遊戯(109)』
     暗い倉庫で倒れている鳴海昌平(松田優作)、起き上がろとすると再び殴られ気を失う。次に気がついた時には、手足を縛られ吊り下げられている。バーの歌手直子(りりィ)と親しくなり、一夜を過ごし、海を見に行った帰り、2人が乗った車を襲撃され、気を失われたことを思い出す鳴海。何とかロープをほどく。拳銃を見つける。脱出しようと、現れる敵を倒しながら、最後の所で引き金を弾いても相手は倒れない。右手を撃たれ苦痛に顔を歪める鳴海。流石に殺し屋として最高の成績だ。拳銃に入っていたのが空包だったことに気がつかなかったこと以外は満点だと言う。一緒にいた女を殺されたくなかったら、岡島(青木義明)という同業者を殺せと命じられる。行きずりの女だから知らないと言いながらも、注射を打たれ、再び気を失う。気がついたのは、千代田線の明治神宮前駅のホームだ。懐を探ると500万入った封筒とカセットテープがある。
      自分のヤサの同潤会アパートに戻り、腕の傷の手当てをする鳴海。何度か早く岡島をやれと言う電話が掛かってくる。鳴海は自分を見張る男を締め上げ、組織のボスを呼び出し、自分は2000万の報酬でなければ、仕事を受けないのが、ルールだと言う。岡島の写真が届く。鳴海は、岡島がその晩の飛行機で国外に出ることを知り、ホテルで接触した。用心深い岡島はレンタカーで、空港に向かう途中にあるモーテルで時間を潰した。そこに直子が現れる。岡島の部屋を監視していた鳴海は驚く。実は、直子は組織が新しい人間を引き込む役割をしている。岡島も組織に入った時に、直子に会い抱いたのだ。直子に求められ抱く岡島。岡島がシャワーを浴びている時に、直子はカーテンを僅かに開ける。岡島が煙草を吸おうとした時に一瞬明かりを点ける直子。慌ててカーテンを閉めようとした岡島の額を鳴海のライフルが撃ち抜く。
to be continued.
博華で餃子とビール。

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