2009年12月5日土曜日

大映のゴダール

    午前中雨が降り出す前に、郵便局やらクイーンズシェフやらクリーニング屋やら、昼から体験入学の講師。なかなか、賢くハキハキしたお嬢さんとマンツーマン。途中鼻がかみたくなって、恥ずかしかった(苦笑)。鼻垂らす訳にもいかないし…。失笑される50オヤジ。

   神保町シアターで、目力対決 田宮二郎と天知茂
   64年大映京都井上昭監督『勝負は夜つけろ(678)』
    神戸港、溶接の光、音、サイレン。税関の船が艀に付け、積み荷を確認する。艀の稲垣(川津祐介)が、「鶏卵、トマト…」食料品を読み上げる。検査官が、黒い皮のジャケットとサングラスの男(田宮二郎)に目を止める。「あんたの足は…。義足なのか…。」「シップス・チャンドラーの仕事をして、もう7年になるが、まだ知らない人もいるのか」と男。
一仕事終えて港に戻ってくる。経理担当らしい男(伊達三郎)に、男が声を掛ける。「ちょっとデカい勝負に出たいんだ。クラウンラインの仕事をやれそうなんだ。500万用意出来ないか?」「社長、そりゃ大きいですね。」「銀行で借りられないか?」「キョウビ銀行は我々に貸してくれないですよ。」「でも、何とかしたいんだな。」アンカー・トレーディングと書かれたオフィスに入る男たち。義足の男は、この会社の社長な久須見、経理係は阿南、稲垣は久須見の幼なじみで、7年前一緒にこの会社を作ったのだ。    
    稲垣が、クラブ・ドリアンのマダムが金を用立ててくれそうだと言う。久須見が、じゃあ頼んで貰えないかと言うと、マダムは久須見と会って決めたいと言っていると言う。
     その夜、久須見は、クラブ・ドリアンに顔を出す。マダムの斐那子(久保菜穂子)


   土曜の最終回ながら、かなりの盛況。この目力対決の対決と言うより、この映画目当てのシネフィルが集まったと言うことだろうか。最近の神保町シアター満席の客層とは違って老若男が集まっている。勿論シネフィル落語家の快楽亭ブラック師匠の姿も…。
  この企画のチラシに、大映のゴダールと呼ばれた井上昭監督の傑作!!と言う惹句に自分も惹かれたんだが、映像はカッコイいものの、サスペンスとしては少し物足りない。役者は、錚々たる面子だし、台本ということか…。

  博華で、餃子とビール。

2009年12月4日金曜日

山城新伍とその時代。

   午前中レジュメ整理し、本を読んでいたら窓から入る日光が暖かく、つい眠ってしまう。慌てて起き、学校へ。ギリギリ間に合う。
   今日は2コマの日、アーティストマネージメントで2年、イベント制作で1年。イベントの時間は、照明プロデューサーのYさんを特別講師に迎える。

   シネマヴェーラ渋谷で、山城新伍とその時代
   75年東映京都関本郁夫監督『札幌~横浜~名古屋~雄琴~博多 トルコ渡り鳥(676)』
   札幌大通りを歩く男女の姿。すすきののトルコ風呂に入って行く女。仕事を終えて居酒屋に入ってくる。女は、三浦ひろみ20才(芹明香)青森県下北郡東通村出身、待っていたヒモの男は渡辺利夫27才(東龍明)和歌山県田辺郡竜神町出身。ひろみ「こんなに寒いと客もこんわ」「冬に北に来たのは失敗だったな、ずらかるか。」ホテルで、ひろみの肌にオイルを塗ってマッサージをする利夫。いつここを出るのか、暦を見ている大安の日は土曜なので、切符が取れないだろうと、赤口にする。ベッドから起き上がり、窓を開け全裸のまま、放尿するひろみ。函館まで汽車、青函連絡船、再び汽車に乗り、横浜へ流れ着く二人。

    00年サイプロダクション/松竹京都映画山城新伍監督『本日またまた休診なり(677)』
   京都の上空をB29の編隊が飛んで行くのを、2階の窓を開け、山邊寿一郎(山城新伍)と妻の静江(松坂慶子)、母のたま(丹阿弥谷津子)が見上げている。西の方向が燃えている。「大阪かしら?」「いや、もう少し遠いので神戸の方だろう。」「何で京都は大丈夫なんでしょう。」「寺院や仏像が沢山あるので、京都は燃やさないらしい、あっちは余裕のようだな。」
  昭和20年、京都の二条駅で、山田達也(仁科貫)の出征を見送る人々がいる。「ルーズベルト、マッカーサーを見事破って参ります。」と挨拶をする。
  それから間も無く終戦を迎えた。焼けなかった京都の街。ポン菓子屋の男や、昔ながらの棒手振りの魚屋などで賑わっている。自転車に乗った寿一郎が往診なのか自転車に乗っている。山田達也の母親に会い、まだ帰ってこんのか?と声を掛ける。あの子は、いつも間が悪いから、どこぞで死んでいると思いますわと言う母親に、心配することはあらへん、きっと帰ってくると声を掛ける。


びっくりした。拾いものだ。こんなにいい映画を山城新伍が作っていたなんて!!京都で暮らす市井の人々と映画への愛情で溢れている。2000年の作品だが山城新伍の遺書のような映画だ。父親役の山城新伍が家族や街の人々に囲まれて臨終を迎える場面。切ないなあ。

ひっく、ひっく、ひっく、ひっく、すっぽん。

   シネマヴェーラ渋谷で、山城新伍とその時代。
   72年東映京都鈴木則文監督『温泉スッポン芸者(673)』
   京都DX東寺、司会の男(川谷拓三)が呼び込む。「一条さゆりを継ぐ三条さゆり。大きな拍手でお迎え下さい。」三条さゆり(杉本美樹)ステージに出てくる。客席は満員だ。観客の中には、スケッチブックに絵を書く男(山城新伍)や、スケベそうな親父(由利徹)たちの姿がある。
   大学のキャンパスを歩く、浅井夏子(杉本美樹)と姉の良江(松村康世)。「姉さんはね、あんたが無事大学を卒業することだけを楽しみにして生きてきたのよ。」後ろから実方信治(成瀬正孝)が、講義のノートを貸してくれる。真治は、法科の四年だと言って姉に紹介する夏子。他にも、食事をしないか、ドライブをしないか?などと次々に男子学生から声を掛けられる。「大学と言うところはお金が掛からないので、とても楽しいわ」と夏子。
  その夜、姉に食事を奢るとアルバイトをしているサパークラブに連れて行く。そこに大学の山本教授(由利徹)が研究室の学生たちを連れて来る。実方は、バニー姿の夏子を見て「浅井さん!!」と声を掛ける。同時に教授が「三条さゆりちゃん!!」と叫ぶ。夏子は、学生証を出すが、この学校の印は偽物だと見破り、姉にも偽学生だったことがバレてしまう。

八木陽子(城恵美)花村鮎子(潤まり子)鶴丸(女屋実和子)花千代(松井康子)佐度奴(衣麻遼子)清葉(牧れい子)横溝富子(三原葉子)服部倉次郎(菅貫太郎)実裏角蔵(金子信雄)木持与三郎(大泉滉)毛利高麿(山城新伍)竿師段平(名和宏)黒竿段吉(岡部正純)健(大下啓矢)横溝かおる(遠藤かおる)みゆき(望月節子)昌子(榊浩子)石橋(殿山泰司)理事たち(田中小実昌、福地泡介、団鬼六)
中沢(中村錦司)木下(蓑和田良太)山本明(由利徹)篠山義浩(月亭可朝)笹沢(笹沢左保)小島(畑中伶一)女将京子(京町一代)医者(岡八郎)看護婦(橋本房枝)専務(疋田泰盛)有力者(那須伸太朗)

   神保町シアターで、目力対決 田宮二郎と天知茂
   65年山本プロ山本薩夫監督『スパイ(674)』
    三矢作戦、仮想敵国、東西冷戦が激化し、日本国内での朝鮮半島両国、米ソ間の諜報活動は、熾烈なものとなっていた。中央新聞の社会部記者須川康夫(田宮二郎)は、ベタ記事の、福岡にある大村入国者収容所から、韓国ソウル大学の学生李起春(山本学)が脱走したと言う事件の裏に何かがあると思い、社会部部長(浜田寅彦)に、福岡まで取材に行かせて欲しいと掛け合うが、担当は西部本社であり、出張費まで出して行くことかと却下される。諦めきれない須川は、自費で福岡に向かう。大村収容所では、和田警備課長(稲葉義男)宮島警備官(佐伯赫哉)から話を聞くと、本国に送還されると死刑になるたろうと思っていたことと、警察庁外事課の刑事で

    64年大映東京富本壮吉監督『黒の暴走(675)』
    第二京浜のあたりらしい。三台のバイクが飛ばしている。白バイがサイレンを流しながら追跡を始める。停止命令にも応じず、更にスピードを上げるバイク。捲けないと思った三人は、別々のコースを取った。真ん中にいた白いジャンパーを着た男を追跡、散々逃げ回った挙げ句、団地の中に逃げ込む。更に児童公園を通り抜けようとして、キャッチボールをしていた男児をハネてしまう。そのまま走り去るバイク。白バイの巡査(田宮二郎)は、バイクを止め、子供に駆け寄る。集まって来た近所の人々に、自分は機動警察隊の津田といいますが、どちらのお子さんか心当たりのある方いませんか?と声を掛けると、35号室の山崎さんちのお坊ちゃんだわと言う声に、直ぐに知らせるよう頼み、救急車を呼んでくれと叫んだ。そこに自転車に乗った警官が通りかかったので、後のことを頼み、バイクの男を追跡した。


   外苑前の粥屋喜々で、元会社の先輩後輩と飲み。

2009年12月2日水曜日

風邪か?

風邪を引いたのだろうか。今日は3コマ講義の日だが、熱っぽくてだるい。松田優作のドキュメンタリーを見ようと思っていたが、帰宅。酒を飲み(苦笑)、身体を暖めて、早く就寝。

2009年12月1日火曜日

教師が教えられること。

   池袋新文芸坐で、気になる日本映画たち

    中西健二監督『青い鳥(671)』
   ある朝、バスの座席で、文庫本を静かに読む男(阿部寛)。関交バス、美乃車庫前行きと書いてある。同じ頃、自宅から自転車で学校に向かう中学生園部(本郷奏多)。途中で気が変わり、とあるコンビニの近くに行く。コンビニエンスストア野口と看板が出た店のシャッターは降り、「都合により閉店します。」と言う紙が一枚貼られている。つらそうな表情をした少年は再び学校に向かう。
   バスは東が丘中学校前と言うバス停に着き、男は下車する。美乃市立東が丘中学校の正門、教師と生徒会の生徒たちが、登校してくる生徒たちに声を掛けている。校内の至るところには、新生東が丘中プロジェクト、ベストフレンズ運動、相手を思いやる心、と書かれた標語が掛かっている。校舎内には、青い鳥BOXと言う青くペンキが塗られた鍵の掛かった郵便受けのような箱が置かれていた。
   職員室、校長と教頭が教師を前に朝礼をしている。今日は三学期の始業式らしい。今日から三学期が始まります。3年生にとっては受験が始まります。あの不幸な事件を脱し、ようやく落ち着いてきたと思います。また、生徒会の話合いで決まった青い鳥BOXも校内3か所に設置されます。その担当には、生活指導の石野先生と、島崎先生にお願いします。療養中の高橋先生の代わりに二年一組の担任に、教育委員会から村内先生にお越し頂きました。せっかくですので、一言ご挨拶をと教頭が話を振るが、村内は既に教室に向かって職員室を出ていた。唖然とする教師たち。
  二年一組の教室に、村内が入ってくる。出席簿と生徒たちを見比べながら、何も口を開かない。かなりの沈黙の後、「村内と言います。きっきっきっきっ休職された、たったったったっ高橋先生がふくしょくされるまで、こっこっこっこっこのクラスの担任をします・・・。」激しい吃音に、生徒たちの間に、戸惑いが、しばらくして小さな笑いが起こる。
   「卑怯だ。忘れるなんて卑怯だ。」「えっ?」「何て言った?」笑いが凍りつく。「先生は、ドモリます。あんまり上手に喋られない。でも、本気で喋ります。だっだからみんなも本気で聞いてください・・・。」一言ずつ絞り出すように話す村内。「本気の言葉を本気で聞くのは当り前のことです。みんながそれを出来なかったから、先生がここに来ました。」戸惑いの表情を浮かべる生徒たち。
   村内は黒板に書かれた日直の名前を見て「園部君と高木さん、のっ野口くんのつっ机を持って来て下さい。」有無を言わせない言い方に、しばらく躊躇っていた園部と高木は立ち上がり、机と椅子を取りに行く。机の上には、「コンビニエンスストア野口・東が丘中支店」という悪戯書きが書かれている。二人が教室に運んでくると、「こっ、こっこの机は、どっどこにありましたか?」誰も口を開かない。「くっクラス委員、はっ早川さん」「・・・窓際の列の三番目です・・・。」ゆっくり窓際に歩き、「こっ小林くんから、一つづつ下がって。さあ、こっちへ持って来て。」薄気味悪そうに、机を並べる園部と高木。机を見て満足そうに、「野口くん、お帰り・・・。」と言う村内、呆然と見ている生徒たち。
   クラス委員の早川が「先生!野口くんはもう転校しました。」井上は「じゃあ、それは何なんだ?罰ゲームかよ?」「いっ井上くん。げっゲームなんかないぞ。人が本気で生きていくのに、げっゲームなんかひとつもないんだ・・・。」その時、チャイムが鳴る。生徒たちは虚ろな表情で溜息をつく。
   廊下に置かれている青い鳥BOX。「誰がこんなもの作ったんだ。」「石野に決まってんじゃないの。一人張りきられてもね。」職員室、村内に島崎(伊藤歩)が声を掛ける。「あの・・・村内先生お疲れ様でした。」中学前のバス停に、村内が並んでいる。自転車に乗った園部、眺める。
   翌日、村内は、野口の机に向って、「野口くんおはよう」と笑顔を浮かべる。凍りつく生徒たち。体育の時間、走りながら井上たちが話している。「すげームカつく。あれ毎日やるつもりか?」「ほっとけよ、三日もあれば止めるって。」園部は校舎の屋上にいる村内の姿に気が付く。しばらくしてもう一度見上げると、姿は消えている。弁当の時間。玄米のおにぎりをゆっくり咀嚼する村内。弁当箱の中には、海苔もついていないおにぎりが二つ、梅干し、沢庵、鰯か田作りが入っているだけだ。好奇の目で見る生徒たち。授業中、井上が村内の吃音の真似をする。「やめなさいよ」と注意をする女子。放課後の職員室、島崎、村内にお茶を出し、「あの・・・。」顔を上げた村内に、「いえ・・・。」と言葉を飲む。
  その夜、若葉ゼミナール。現在完了形の講義。園部がノートに誰かの似顔絵を描いている、途中で鉛筆で黒く塗りつぶす。塾から出てくる園部。?が声を掛ける。「ねえ、何かヘンな先生来ちゃったね。」「うん。」「最初の時間で、全員の名前を覚えちゃった。」

   なかなか良かった。吃音の村内が正論を吐くことで、胡散臭さが感じられない。静かに演じる阿部寛に好感。中学生役も皆なかなかいい。若い女性教師役の伊藤歩も、こんなにいい女優になっていたなんて。派手さが全くない映画で、興業的には失敗したが、今年の学校ものとしては出色じゃないだろうか。教師役も、テレビ的なキャスティングをしていないこともあり、リアリティがある。

    金子修介監督『プライド(672)』
   豪邸の一室で、スタインウェイのグランドピアノを弾く令嬢。BCクリーニングサービスの車が門前に着く。緑川萌(満島ひかり)。お手伝いらしき中年女が、「ご主人様とお嬢様のお二人だけなので、そんなに汚れないけで、何分広くて手が回らなくて」と弁解がましく言う。
萌が二階に上がってくる。グランドピアノに目を奪われていると、窓から風が吹き譜面が舞う。すみませんと一言言って、慌てて譜面を拾う萌。中に、東京オペラシアターのラ・トラヴィラータの公演切符を見つけ思わず声を出す。鏡台に向かっていた浅見史緒(ステファニー)が振り返り、「いいのよ。」「これ、トラヴィラータですよね。いいなあ五万円もする切符ですよね」

池之端蘭丸(渡辺大)クイーンレコード副社長神野隆(及川光博)山本教授(由紀さおり)
「魔笛」の夜の女王のアリア 三田音楽大学四年千住音大三年
銀座クラブ・プリマドンナ菜都子(高島礼子)木原さわ子 父(ジョン・カビラ)
母民子(キハラ緑子)松島春子(五代路子)


   不思議な映画だ。一条ゆかりのある意味スノッブな格好良さは全く換骨奪胎され、ただの音楽青春映画になっている。オペラの世界だった筈なのに、銀座クラブでの、歌うホステスとフロア歌手の歌対決になり、最後は普通にJPOPディーヴァ対決になってしまう。オペラは勿論口パク、終盤のありふれたデュエット曲は、一応本人たちのレコーディング済みトラックの口パク。ソニーレコーズの音楽へのこだわりの無さは、気持ちがいいくらいだ(笑)。リアリティとか気にならないんだな。オペラ観たことないかもしれないな。クイーンレコード(!!ん??キングレコード?)は、「戦国時代に貿易で莫大な富を築いた先祖」を持つ神野財閥の父親が、オペラ歌手木原さわ子のために作った会社。CD不況の影もなく、ビルはでかいが、受付嬢は異様に華がない。元の会社でも、もう少し美人だった(笑)。
   ステファニー、満島ひかり、それぞれ別の意味でミスキャストな感じ。ステファニーは演技以前、満島ひかりは「愛のむき出し」演技で。しかし、何だか嫌いになれない映画なのだなあ。金返せというより、何度でもみたい(笑)。でも、満島ひかりの一番はウルトラマンマックスのエリーだったなんて言うと本人から顰蹙買うだろうか。感情の爆発と熱演とは、少し違う気が・・・。
   あと気になったのは、今の日本には、上流階級はないのだろうか。先日の「貴族の階段」のような本物のお姫さま(おひーさま)が本当にいなくなったのであれば、ある意味悪くない気もするが、人格、品性とは全く違うところで、勝ち組と負け組の格差だけが広がっているのだとすると喜んでもいられない(笑)。

   その後、神谷町の元会社に行き、百周年企画の内容のブレスト。ようやく半歩前進。

   博華で、餃子とビール。

2009年11月30日月曜日

男の死に場所。

   ラピュタ阿佐ヶ谷で、昭和の銀幕に輝くヒロイン【第50弾】叶順子
    59年大映東京島耕二監督『総会屋錦城 勝負師とその娘(669)』
    …株主総会、それは株式会社が年に一回通り抜ければなからない関門である。この関門をめぐる争いとともに、企業そのものの息を止めてしまうかもしれない争いである。そこで暗躍する男たちが総会屋である…。
    丸の内、東洋石油の前にタクシーが停まり、総会屋の猿丸(三島雅夫)と秘書(谷謙一)が降りてくる。東洋石油の株主総会なのだ。受付で、総務部の男(中条静夫)が、「猿丸先生こちらに」と案内し、「なにぶんにも宜しく」封筒に入ったお車代を渡す。秘書が「先生、私は太洋銀行の方に行って参ります」と声を掛ける。控え室で、馴染みの総会屋たちと話をする猿丸。「関西じゃなかったんですか?」「今日戻って来たよ。帰りの食堂車で、東亜製鋼の人間に会ってね…。」途中から小声になり、耳打ちする猿丸。彼ら総会屋は特殊株主と呼ばれる。丁度中気で、手足が不自由な男(星ひかる)が松葉杖を突きながらやってくる。控え室の煎餅などの駄菓子を持参の風呂敷に包み全て持ち帰ろうとしている。彼も特殊株主の一人だ。
    第43回東洋石油株式会社定時株主総会の開会を代表取締役社長の赤坂義男(河原侃二)が議長を務め進行する議案を読み上げようすると、猿丸が「朗読省略!」と声を上げる。「今のご発言により、議案の朗読を省略いたします」と読み上げる所を、間違えて「本件は承認されました」と原稿を読み上げ、場内から突っ込みと失笑が起こる。しかし、取り立てて支障もなく進展していく。株主総会は、観客なき喜劇とも言われる所以だ。猿丸の元に秘書が現れ、太洋銀行の方が揉めておりますと言う。
   近くの太洋銀行本社、扇山富朗(山本礼三郎)が、不正融資を追及し、議長を務める頭取の大村茂樹(柳永二郎)は立ち往生していた。猿丸が到着し、大声を出し、押され気味の銀行側の特殊株主たちが盛り返し、何とか総会を終えることが出来たが、二十数分に及ぶ総会は、証券会社の社員(武江義雄、湊秀一)が、電話で紛糾する株主総会に、株の売りを指示するような事態となった。
その頃、内藤錦城の屋敷には、京都の料理屋沢やの女将沢代(平井岐代子)が養女(井伊糸江)を連れご機嫌伺いにやってきていた。錦城は、人斬り錦城と呼ばれた伝説の総会屋であったが、72才の今では、引退していた。錦城の妻モト(轟夕起子)と沢代は芦屋に嫁いだ錦城の娘の話や、錦城の話をしている。
   少し前に、錦城は近所の散歩中に子持ち女の押し売り(村田扶実子)を咎めている男(守田学)に、何か買ってやれと言って言い争いになり、転倒、付き添い看護婦に、家まで連れ帰られている。
    太洋銀行の総会に出席していた間宮(片山明彦)が訪れ、報告する。「何分掛かった?」「20分と少し、無事済みました。扇山が、不正融資を追及し紛糾しましたが、」「お前は何年わしの仕事を見てきた。無事澄んだと思っているのか?大山もか?」「はい。」「大山はボンボンだから、分からないのだ。」六法全書を出し「教えると為にならないので、自分で調べてみろ。商法294条だ。」294条の条文を読み上げる間宮。「扇山は、この騒ぎで株価が下がった隙に、40万株は買っているだろう。今の扇山は100万株。140万株になれば、発行済み株券の10%。10%所持している人間は、会社が不正を行っている場合には、監査役を立てることを請求出来るのだ。その結果、臨時株主総会の招集を要求し大山たち現取締役たちを解任させることも出来るのだぞ。」
   芦屋の製薬会社の創業一族に嫁がせた一人娘の美和子(叶順子)が孫の健三を連れて里帰りする。
   
   引き続き、俳優 佐藤慶
   87年アルマンス企画山下耕作監督『竜馬を斬った男(670)』


   学校に出て、学生がイベント企画を職員会議でプレゼンすると言うので、立ち会いに。細かい質問は出たが、和やかな感じで、無事終了。そういえば、これは時給出るのだろうか(笑)

2009年11月29日日曜日

日本と日本人を考えるドキュメンタリー2本。

   朝起きると、かなり片付けて頂いていたので、分別の手直しだけで済む。本を読み始めると、二度寝。
  午後は体験入学の講師。生徒3人、付き添い父母一組。昨日騒ぎ過ぎたのか、途中で喉が枯れる。

   新文芸坐にて、気になる日本映画たち

  羽田澄子監督『嗚呼 満蒙開拓団(667)』
   昭和二十年、敗戦の1、2ヵ月前にも、日本各地から満州、蒙古の開拓団は続々、ソ連国境近くに送り込まれていた。文字通り、日本からの荷物を解く間もなく、8月6日のソ連参戦を前に男たちは、国境警備の為、関東軍に召集され、女子供老人しかいない開拓団は、与えられたと思っていた開墾地が中国人から収奪されたものとも知らず、憎悪の中国人から財産を奪われ、守ってくれる筈の関東軍は、家族も伴い、転戦と言う名の、いち早い逃亡。ソ連軍の攻撃と、食糧の欠乏、山岳部や河川を一目を避けての逃走中、続々死んでいった。

    想田和弘監督『精神(668)』
   岡山にあるコーラル岡山と言う山本和宏院長の精神科には、今日も沢山の患者が訪れる。自立支援会社?や施設、ショートステイ施設。躁鬱病、統合失調症、強度の鬱病。想田監督が、取材協力に答えてくれた一部の患者たちへの観察は、今のマスメディアの報道での、「」付きの匿名の「精神障害者」や、モザイクを掛けられた凶悪犯罪者の責任能力の断罪などが、単なる偽善でしかないことを明らかにする。
   渋谷シアターイメージフォーラムで上映中気になりながら見逃していた。凄いな。NYを本拠地としている想田監督だからか、我々日本常識の歪さを鮮明にする。