2009年4月25日土曜日

自宅居酒屋大繁盛。


   おかげさまで、千客万来。随分と沢山お越しいただきました。お足もとが本当に悪い中、ありがとうございました。
   22~23人位までは、覚えていますが、いつもながら、しばらく経つと眠っていたので、最終的にお見えくださったのが、何人なのかは・・・。

   朝から作り続けたので、何とか料理は持ったが、酒は、お持込みの方が多かったので助かったものの、空き瓶がごろごろと・・・。


   
開始早々、Nさんがせっかく雨の中、持ってきてくれた菊の露の1升瓶を、私は割ってしまった。部屋中漂う泡盛のかぐわしい香り。Nさんには申し訳ないが、何年か前に、善福寺川の増水で、自宅が床上浸水して以来、私の身に起った数々の艱難辛苦を清めたということでお許し願いたい。更に、終盤やってきた出版社取締役I氏が、革製のワインバッグに入れた超高級ワインを割ったらしい。本当にもったいないなあ。今回も残っているのは、安いワインばかりだ(苦笑)。

(今日の献立)
里芋・百合根・大和芋の豆乳鍋
筑前煮(牛蒡、人参、蓮根、大根、蒟蒻、筍、干し椎茸、鶏肉)
合鴨挽肉、白滝、大根炒め煮
ひじき煮(ひじき、白滝、人参、牛蒡、油揚げ、干し椎茸、大豆)
切干し大根(切干し大根、筍、ぜんまい、油揚げ)
秋刀魚梅煮(秋刀魚、梅干し、昆布、生姜)
万願寺唐辛子とジャコ炒め
金平牛蒡(人参、牛蒡、蓮根)
鶏牛蒡
ポテトサラダ
茗荷と蛸のサラダ
ゴーヤ・チャンプル
コンビーフ・キャベツ

大阪松屋街空堀商店街富紗屋風 豚もやしせいろ蒸し
は、人が多すぎて出せなかった。
これから、
ずっともやし食べ続けなければ、
味噌汁とナムル・・・

他に、
もやしで、日持ちがいい料理なにかあっただろうか・・・。
よかったら、
豚もやし食べる会をやりますので、
希望者は・・。

朝起きると、
後輩Kが何故か、豊田にいるという留守電とメールが・・。中央線を下って行ってしまったんだな。こんな肌寒い雨の夜に時間を潰すような場所はどこにもない。どうしたんだろうか。最初からウチに泊ればよかったのに。

写真は、片付けが終わって、タイトル「祭りのあと」(音楽付き、クリックしてみてください)

2009年4月24日金曜日

歯医者

 阿佐ヶ谷ラピュタで、孤高のニッポン・モダニスト 映画監督中平康
  64年日活中平康監督『おんなの渦と渕と流れ(270)』
  昭和23年初夏の金沢から始まる。沼波敬吉ぬなみ(仲谷昇)が妻の須賀子(稲野和子)に、温泉に行ってこようと思っていると言う。私も行こうかしら、でも、宴会があったんだわと言う須賀子。女中の三重(雨宮節子)に送られ家を出る沼波。近くの河に懸かった橋は途中から崩れている。川面を睨む沼波。須賀子が外出するのを確認して、三重の目を隠れて書斎に戻り、押入れに潜む。壁の穴をナイフで広げる沼波。須賀子は、土建屋の大谷浩平(北村和夫)の事務所に出かけ、北海道に役人と出張に出かけるというのを取り止めさせ、夫が出かけるなんてめったにないことなんだから、店に来て、ゆっくりしようと誘う。事務員の松川(二階堂郁夫)がニヤニヤしていると、須賀子に、下品な社員は首にしろと咎められる。
   昭和14年初夏の大連、大学で英文学の教鞭を取っていた沼波は、ある人の勧めで、須賀子と見合い結婚をした。見合いというよりも、美しい須賀子の写真を見て一目で気に入った沼波は、写真結婚をしたのだ。純潔というよりも、男女関係は面倒くさいものだと言う感覚のあった沼波は童貞であった。初夜のこと、自分を迎え入れる動きをした須賀子の処女に疑惑を感じた沼波であったが、新婚生活は充実したものだった。しかし、沼波は、自分好みの女に育てようと、海外の文学書を薦め、文学について得意げに滔々と語る。しかし、高尚な議論に付いて行けない須賀子は、家庭でも学校の先生のような沼波に苦痛を感じている。
   19年秋、大学の同級の小説家の田所(神山繁)が大連に講演にやってきて、沼波の家庭を訪ねた。戦況は芳しくなく、敗戦濃厚だなと話す。満鉄という新しい実験は目を見張るものがあり、新しい国家とコンツエルンとしては素晴らしいが、結局、植民地という実態のないものの上に築かれたものであるし、

大門の歯医者、インプラントの型取りの筈が、芯が顎の骨とくっ付くのが遅いらしい。若くはないからなあ(苦笑)。改めて2週間後に来ることに・・・。

2009年4月23日木曜日

やっぱり試写会は、どうも・・・。

   土曜の自宅居酒屋用の食材買い出し。
    午後、ワーナーブラザース試写室で、紀里谷和明監督『GOEMON(269)』。
   うーん。感想は、5月1日の公開を待って(苦笑)
    
   その後、元同僚たちと新宿で手羽先唐揚げ。

2009年4月22日水曜日

朝医者に褒められても、その晩飲み過ぎるのは・・・

   朝から、大手町の成人病クリニックで、糖尿病の経過観察。血糖値も、血圧も、肝臓系の数値も安定している。体重以外はみな下がっていいですね、次回から薬減らしましょうと言われる。少しでも医療費を減らしたいなあ。

   池袋に出て、新文芸坐で、芸能生活70年 淡島千景
   53年松竹大曽根辰夫監督『花の生涯 彦根編・江戸編(267)』180分の大作。
   井伊直弼(松本幸四郎)は、兄直亮(有島一郎)が藩主となって以来、埋木舎(こもれ木)で、茶道三昧で隠遁生活を送り、他藩の長野主膳(高田浩吉)や三浦北庵(大友富右衛門)らと交友関係にあった。長野主膳は、国文の研究者として、政治嫌いで直弼とは馬があった。ある日、道で、廓の三味線の師匠をしている村山たか(淡島千景)と知り合った。たかは、主膳に、明後日こんき楼で逢おうと約した。

俵屋和助(野沢英一)犬塚外記(薄田研二)岡本半助(山路義人)中村長平(諸角啓二郎)水戸斉昭(市川小太夫)広篤(溝口亮)尾張大納言(寺島貢)松平越前守(明石潮)本多越中守(海江田譲二)阿部伊勢守(柳永二郎)戸田伊豆守(近衛十四郎)松平若狭守(山内明)斎藤監持(岩井半四郎)九条関白(徳大寺伸)大関和七郎(鶴田浩二)多田一郎(河野秋武)多田帯刀(大木実)村山たか女(淡島千景)佐登(月丘夢路)志津(幾野道子)昌子(北見礼子)黒沢登幾子(宮城千賀子)雪野太夫(嵯峨美智子)お袖(草笛光子)

  56年東宝木村恵吾監督『世にも面白い男の一生 桂春団治(268)』
  大阪法善寺横丁の寄席花月、前座の落語家の桂春団治(森繁久弥)は、噺は面白いと評判になりつつあったが、金は入っただけ使い、女と見れば、おいどを触る、破天荒な芸人だった。今日もつけを払えと寄席までやってきたおたま(淡島千景)から横丁を逃げまくる。水掛不動尊で、桂円治郎(浮世亭歌楽)から、妻が病気なので、京都の高座を変わってほしいと持ちかけられる。京都までの汽車賃と、ギャラで6円手に入った。おたまが女中をする小料理屋に入り、金を返しに来たのだと6円を見せて、酒を頼む。
   女連れの立花屋花橘(田中春男)があにさんと声を掛けてきた。困ったことが起きたと言う、東京の講談師の双竜軒梅月(杉山昌三九)が、大阪に連れてきた女に手を出したことがばれてしまったので、二人で駆け落ちしようとしているのだと言う。頼まれた春団治は、6円を貸してしまう。そこに、梅月がやってくる。春団治は、店の客に、当節人気の春団治の喧嘩だ!と叫んで、逃げまくる。そこに、円治郎が女連れで現れ、お前6円取っておいて、京都の高座に穴を開けたことがばれてしまう。とにかく、逃げ出すしかない春団治。春団治は、車夫の力蔵(田村楽太)の二階に間借りしている。袋叩きにあった春団治を家まで連れて来て、看病するおたま。帰ろうとするおたまを布団に引っ張り込む春団治。
    おたまと春団治は、結婚する。しかし、春団治は、金を全く家に入れず、ほとんど帰ってこない。御贔屓小間物問屋岩井辰の主人が亡くなった後の正月、岩井辰に新年のあいさつに出かけた春団治は、若後家おりゅう(高峰三枝子)に言い寄り、ものにしてしまう。おりゅうの春団治が、たまに帰ってくると、酒を出し、けなげに支えるおたま。ある日、久し振りに春団治が家に現れたと思ったら、とき(八千草薫)が訪ねてくる。不在だと言って追い返せと言う春団治。不在だが、春団治の家内の自分が話を聞くと言うと泣きだすとき。ときは、京都の高座に上がる時に、宿泊していた宿屋の娘だった。結婚しようと言う言葉を真に受けてやってきたのだ。裏の塀を乗り越えて逃げようとしていた春団治は失敗し、観念したが、こんな不実な男を諦めて、親元に帰れとアドバイスするおたまに、ときは、春団治の子供を妊娠しており、もう実家には帰らないというとき。おたまは、そのまま、おときと子供を大事にしろと家を出る。
   春団治は、押しも押されぬ一枚看板になったが、相変わらずの放蕩生活、子供を抱えたおときの元にも来ず、金も入れない。力蔵は、春団治専属車夫になっていたが、子供を抱え苦労するおときに同情し、一策を案じ、力蔵が席を外した隙に、赤ん坊を人力車に置いて行ったことにする。自分の子供だとさすがにわかった春団治は、帰宅する。酒を出せと言う春団治に、金がないので酒はないと答えるときに、激怒し、子供のものに八つ当たりして、おりゅうの元に出ていく春団治。おりゅうも、娘を連れて京都に戻った。
   春団治は、おりゅうが岩井辰を出るにあたって与えられた資産を使い果たしても生活は変わらなかった。レコード会社との契約不履行で訴えられ、おりゅうと住む屋敷の家具・道具を差し押さえられた。しかし、金が足りずに、おりゅうは、母親の形見のダイヤの指輪を質屋に持っていく。必要な2000円どころか、いいところ500円だと言われ途方に暮れていると、おたまに会う。二人は、初対面であったが、春団治に苦労する女どうし、おりゅうから仔細を聞いたおたまは、家を出て以来、店を持とうと必死で貯めた金をおりゅうに貸す。
   春団治が、おたまが一人で住む部屋を訪ねてくる。酒を飲ませ、寄りを戻せと迫る春団治に、おたまは、おりゅうのもとへ帰って幸せにしろと言って、あんたは、芸人としては最高かもしれないが、人間としては最低だと、けんもほろろに追い返した。春団治の落語家としての名声は高まるばかりだったが、おたまの言葉は胸を刺す。京都の高座に上がった際に、苦労しておときが娘と二人で住む家を訪ねる。おときも、春団治を拒絶し、二度と会わないと言って追い返した。
   春団治の胃癌は発見されたときには、手遅れだった。七転八倒する春団治を見て、おりゅうは、おたかとおときを呼ぶ。春団治の枕もとに、あの世から人力車を引いた力蔵が迎えに来た。一目、おたかとおときに会いたいと言う春団治に、しょうがないと言う力蔵。しかし、医師が打ったカンフル剤で、旅立ちかけた春団治は引き戻される。おたかが現れ、次におときと娘がやってくるが間に合わなかった。
   オープニングの法善寺横丁の長回しのカメラには唸ったが、笑いあり、涙ありという松竹新喜劇的な幕の内弁当的な脚本が、ふらふらして何か安定しない印象になってしまっている。せっかくの森繁久弥、淡島千景コンビなのに・・。「夫婦善哉」に比べるのは、酷かもしれないが、かなり落ちる。役者はみんないいのでもったいない。力蔵役の田村楽太が最高だ。

    夜は京都でとてもお世話になったプロデューサーが東京出張だと電話をくれたので、渋谷でインド料理。途中から後輩Kが合流。結局調子に乗って酔っ払う。

2009年4月21日火曜日

昭和の名匠たちにも、出来不出来はある。

    神保町シアターで、昭和の原風景
    39年東宝東京成瀬巳喜男監督『はたらく一家(262)』
    印刷所の職工の石村(徳川夢声)の一家は正に貧乏人の子沢山の大家族。妻のツエ(本間敦子)に父母、長男の希一(生方明)を筆頭に、源ニ(伊東薫)昇(南青吉)栄作(平田武)幸吉(坂東精一郎)長女ヒデ(若葉喜世子)にまだ赤子がいて、7人兄弟。11人家族だ。朝食も、働きに出る夫と三男までが最初に取り、次に祖父母と下の子供たち、最後に、ツエが食べながら片付けてようやく終わる。家計のやりくりで、ツエから愚痴が出るのもしょうがない。
    栄作は、中学に進学したく、小僧にはなりたくないが、そんなお金の余裕はない。同じ長屋の松ちゃんの家にお嫁さんが来るのだが、そのお祝いの工面が出来ず、栄作が少ない小遣いをコツコツ貯めた2円を、ツエは当てにしている。去年の秋に貸した70銭さえ返して貰っていないのに。近くの喫茶店の娘みっちゃん(椿澄枝)は、源ニと同級だったが、長男の希一と相思相愛らしい。希一は、今勤めている工場の仕事は賃金も上がらず、このままでは結婚どころではない。昼間でも夜間でも電気学校に通い、電気技師になりたいという夢があり、親切な工場の組長に相談しているが、問題は、希一が家を出ることは、石村家の家計は破綻してしまうのだ。栄作も小学校の鷲尾先生(大日方伝)から、進路をお父さんと相談したかと聞かれたが、父親には言い出せずにいる。

    37年松竹大船五所平之助監督『花籠の歌(263)』
    銀座のトンカツ料理の港屋は、欧州航路のスチュワートをしていた森敬造(河村黎吉)が始めた店。コックの李さん(徳大寺伸)の腕と長女で看板娘の洋子(田中絹代)の人気で大繁盛していた。大学生の小野進(佐野周二)と堀田念海(笠智衆)は常連だ。李さんは、洋子のことが好きだったが、洋子は小野のことが好きだった。東北弁の強い下女のおてる(出雲八重子)は、李さんのことが好きで、何とか慰めようとするが、想いは届かない。
   ある日、叔母のお菊(岡村文子)から電話があり、明日の11回忌の法要の準備は出来ているか尋ねてきた。すっかり忘れていた敬造と洋子は、坊主の息子の堀田に読経を頼む。洋子と妹の浜子(高峰秀子)の母親は、シンガポールで亡くなり、骨も持ち帰れなかった。法事が済むと、叔母のお菊と夫の富太郎(谷麗光)が、洋子に縁談話を持ちかけた。大病院を経営する医者の岡本(近衛)。岡本は何度か店に来ていた客だ。
   恥じらいながらも、縁談に後ろ向きな洋子を見て、敬造は娘に好きな男がいるのだと思った。李さんに、洋子が好きな男を知っているかと尋ね、お互いが想い合っているなら叶えてやろうと思っていると言った。李さんは、自分の想いが叶ったのだと夢を見るような気持ちで、知っている、自分からは言えないので、堀田から聞いてくれと答えた。翌日、小野の下宿を敬造がいきなり尋ねて来る。君はトンカツ屋に婿入りする気はあるか、今晩中に結論を聞かせてくれと言って帰っていく。

   徳大寺伸、「按摩と女」の按摩役といい、この朝鮮から来た純情な青年といい、なかなか素晴らしい。

     41年南旺映画成瀬巳喜男監督『秀子の車掌さん(264)』
    山梨県の田舎町、オンボロで汚いバスが走っている。車掌のおこまさん(高峰秀子)が、急に次の停留所は井上です、と言うので驚く運転手の園田(藤原鶏太/釜足)。客は一人も乗っていない。余りに退屈だからと言うおこまさんに、いつ客が乗ったのかと思ってびっくりしたよと言う園田。二人は一台しかない甲北バスの運転手と車掌、こんな調子じゃ今月も給料は出ないなと話している。後ろから、ライバルの開発バスが追い抜いていく。向こうは新型のバスで客も満員だ。
   停留所じゃない場所で男が手を挙げる。停めると大荷物だ。おこまさんも園田も荷物を積むのを手伝う。トラックと間違えてやがると園田。次の停留所は子供をおぶった女だ。停めたら、ぞろぞろと子沢山だ。こんなに満員なのに、売上は20銭だ。客たちも、開発のバスの方が速いし乗り心地はいいが、あっちは混んでいるから、こういうときは甲北だと話している。
   おこまさんは、実家の傍で少し待っていてもらい、穴の開いたズック靴を下駄に履き替え、母親に単衣の反物を贈る。バスを出すと、弟が遊んでいたので、菓子を投げてやった。勤務が終わって下宿の金物屋に戻る。下宿のおばさん(清川玉枝)が、子供をあやしながら、あんたの会社はずいぶんあくどいこをやっているらしいと言う。確かにバスが一台しかなくてバス会社は赤字なのであり得るわとおこまさん。おこまさんは、店の手伝いや、買い物を手伝ったりしている。
   夜、おばさんが、ラジオでバスの車掌さんが名所案内をしている番組をやっていると聞かせてくれた。自分もこれをやれば、少しはお客さんが増えるんじゃないかとおこまさんは、翌日、園田に相談する。園田は、社長に話してやると言ってくれ、社長も金がかからないならと認めてくれた。しかし、何と喋ればいいか分からない。園田は、小説家の井川(夏川大二郎)が東京から湯治にきているので、頼んでみようと言う。退屈していた井川は快く引き受けてくれる。
 
    49年新東宝清水宏監督『小原庄助さん(265)』
   杉本左平太(大河内伝次郎)は、かってはこの辺り一番の大地主の旧家の当主だったが、土地が無くなった今も、朝湯朝酒、更に村の青年団には野球道具やユニフォームを、娘たちにはミシンを寄付し、小原庄助を自でいく生活を送っていた。村人たちにも、小原庄助さんとしての方が通りが良かった。青年団がユニフォームを左平太の分まで持ってきて記念撮影をしようとおだてられれば、ピッチャーをやって打球を急所に当てたり、娘たちのミシンには、洋裁の先生としてやってきたマーガレット中田(清川虹子)という派手で煩いおばさんかやって来て、5台のミシンは朝から騒がしく、おちおち朝寝をしてもいられない、なかなか愛すべき人物で、村人たちから愛されていた。
   借金取りの紺野青造(田中春男)がやってくると、妻のおのぶ(風見章子)にいつものようにしておけと言い残し、左平太は寺に逃げ出し和尚の月岡海空(清川荘司)と碁を打って時間を潰す。借金取りはお茶変わりと言って出される酒で、酔い潰れてしまうのだ。大旦那の時代からこの家で働いているおせき婆さん(飯田蝶子)だけが、没落していく杉本家を嘆き、生まれた時分から面倒を見ていた左平太には小言を言う。
   ある日、村長が無くなった。隣の部落の吉田次郎正(日守新一)が、左平太を料亭に呼び、村長選に出るのだが、応援演説をしてもらえないかと言う。次郎正は、村の文化振興をというが、社交ダンスやのど自慢などしか、公約がない。酒を飲みながら、託児所の解説などを公約に加えてしまう左平太。
   翌朝、部落のみんながやってくる。家柄の格として、村長選に立つのは、左平太しかいないと、説得に来たのだ。とりあえず、皆にまず一杯と言うが、酒が切れている。おせきは左平太が村長になるのだと大喜びで酒を買いに行く。途中、和尚に会い、左平太が村長になる前祝の宴会なので、屋敷に来て、どんどんおだててくれと言う。和尚が屋敷に行くと、左平太は、みなに、昨日既に、次郎正の応援演説をする約束をしてしまったので、立候補は出来ない。この部落の代表は人格者の和尚がいいと言う。目を白黒させる和尚。
   辻に立ち、とにかく公僕として、村民のために働くと演説している和尚。そこに、トラックを仕立てた次郎正陣営が演説会の案内をして通りかかる。公民館で、応援演説に立つ左平太は、次郎正の公約を皮肉る演説をする。結局、投票の結果、次郎正が勝った。左平太の屋敷には、和尚の宴会の支度がされている。そこに、次郎正陣営のものが祝勝会に誘いに来たが、和尚の残念会をやるのだと断る。和尚が現れないので、とりあえず、飲み始める。和尚は、ポスターを貼った灯篭の掃除をしている。そこに、ロバに乗った左平太が現れる。おめでとうという左平太に、いくらあんたでも冗談を言うのは許せないと怒る和尚。次郎正が選挙違反で失格したので、和尚が村長になることが決まったのだと左平太。
   左平太と和尚が話していると、金貸しの紺野の姿が見える。慌てて逃げ出す二人。寺に行くと、紺野は先廻りしていた。

    48年蜂の巣映画部清水宏監督『蜂の巣の子供たち(266)』
    敗戦後すぐの下関駅。引揚げ兵たちでいっぱいの列車が止まっている。東京行きのその列車で皆帰郷していくのだ。戦災孤児たちが、何か飯のタネがないかと駅をうろついている。一人の若い兵士島村修作(岩波大介)、一人が列車から降りてくる。

2009年4月20日月曜日

横になるからって、テレビを横にしなくてもいいと思う。

午前中洗濯と読書と惰眠。シネマート六本木で、

   真田敦
監督『ホノカアボーイ(258)』
レオ(岡田将生)は、彼女のカオル(蒼井優)がムーンレインボウを見たいと言うので、ハワイ島ホノカアにやってきた。しかし、奇跡と言われるムーンレインボウを見ることは出来ず、ハワイ島はハワイと違うとカオルは怒りだしレオは戸惑うばかりだ。帰国後しばらくして二人は別れた。
   半年後、レオは学校を休学し、再びホノカアを訪れる。ピープルシアターと言う街に一軒しかない映画館に住み込みでバイトをする。映画館のオーナーは、映写技師のバズ(シャズ・マン)とエデリ(松坂慶子)の夫婦。ポップコーン売りの老人ジェームス(トム・スズキ)は、生きているのか死んでいるのか分からないような存在だ。
   ある日、レオは、エデリから、映画館の名物の菓子マラサダを作っているビーの元に、小麦粉を届けるように言われる。ビーさん?と尋ねるレオに、気を付けてねと意味深なことを付け加えるエデリ。小麦粉の大きな袋を持って行って、声を掛けても誰も出てこない。ふと台所の鍋の中に魚(マグロ?)を煮たものが入っているのに気が付く。空腹のレオはつまみ食いする。美味い!美味すぎると思ったら、後ろから「それは猫の餌です」と声が掛かる。ビー(倍賞千恵子)との出会いだった。
   ご飯食べているの?インスタントラーメンを。野菜を炒めて上に乗せなさい。フライパン持っていないんです。じゃあ、これを切って上に乗せなさい。ナイフないんです。じゃあ、晩御飯作ってあげるからいらっしゃい・・・。ビーが作る料理は、どれもとても美味しかった。ビーは、マラサダ作り以外は、ソファーに横になり、横に倒したテレビで、「うざい女」という連続ドラマを見ている。
  時間が止まったようなホノカアの住民は老人ばかりだ。いつも通りに座って、同性愛と書かれたTシャツを着たコイチ(喜味こいし)は、レオが日本から送ってもらうエロ本を楽しみにしている。いつも鼾をかいて眠っているみずえ(正司照江)は、床屋の女主人だ。ある日、彼氏と大ゲンカしている美女マライア(長谷川潤)を見かける。とても美しいマライアにレオは一目惚れだ。  

   ハワイ島の素晴らしい景色、キャラクターの立った役者たち、何だかキャッチフレーズのようなきれいな台詞。映画は、カットの積み重ねで作られているものだが、映像的にかっこいいアイテムを集めたからと言って映画にはならないことを教えてくれる反面教師のような映画だ。勿論、ドラマがないといった野暮なことを言うつもりはない。しかし、岡田将生ファン向けの、ハワイ島ロケのイメージビデオや、ハワイ島のコマーシャル映画を見せられて入場料払うのは納得できない。CX東宝映画を否定するつもりはないが、面白そうな原作、スタッフ、キャスト、を組み合わせた企画書があれば、協賛企業からの製作費も集められて、リスクヘッジした上で、ヒット映画が出来ると思っているんじゃないだろうか。少林少女、誰も守ってくれない、ホノカアボーイ・・・。まあ、自分で企画すら作れないくせに、偉そうな他の局は、もっと駄目なのだが・・・。

   池袋新文芸坐で芸能生活70年 淡島千景の歩み。
   58年東宝成瀬巳喜男監督『鰯雲(259)』
    見渡す限り田畑が広がる厚木、東洋新聞、横浜支局厚木通信部の記者の大川(木村功)は、農家の未亡人で姑のヒデ(飯田蝶子)と息子の正(久保賢)と逞しく生きる八重(淡島千景)を取材する。農家の娘として珍しく女学校を出ていて、進歩的でフランクな考え方の八重に、農家の嫁姑関係や農業経営などの取材に協力してもらうようになる。ある日、取材のあと、八重は自転車に乗り、街まで大川を送る。一軒の料理屋に入る。そこは、八重の女学校の同級生の千枝(新珠三千代)が、旦那の事業家白瀬(三明凡太郎)に出してもらい女将をしている店だった。
    八重の実家はかって、地元の大地主だった。しかし、農地改革で小作人で田畑を渡し、更に、長男の初治(小林桂樹)の下に、信次(太刀川洋一)順三(大塚国男)民子(上野明美)年江(藤井美智子)四郎(伊東隆)と6人の子供がおり、生計は苦しい。八重の兄で当主の和助(中村鴈治郎)は、昔の感覚を変えることはできない。妻のタネ(清川虹子)は、三番目の妻だが、和助に文句ばっかり言っている。
  ある時、八重は、和助の長男の初治の縁談話を、大川に相談する。大川は、みち子(司葉子)という娘の話を持ってきた。八重は大川を伴って、娘の評判を確かめに行く。近くの旅館で話を聞くと、みち子の母のとよ(杉村春子)は、和助の最初の妻だった。旅館で食事をし、酒を飲む。大川に妻があることを承知のうえ、一夜を共にする。
  翌朝、八重は、大川を帰し、一人とよのもとを訪ねる。幼かった八重は、義姉の姿の記憶はほとんどなかった。しかし、とよと話をしているうちに、とよだけでなく、兄もまた封建的な家の犠牲者だったのだと思う。舅は、とよが気に入らず、和助に相談もなく。米俵を担げない、麦を沢山刈ることができないという理由で、実家に帰されたのだ。再婚したが、息子を戦争で亡くし、三度目の結婚で穏やかな生活をつかんだのだ。みち子は、先妻の子だ。よく働き、美しいみち子を見て八重は安心する。
  初治の縁談があっても、初治には紋付袴さえない。和助は、父親が分家に作ってやったことを思い出す。もう、いらないだろうと、タネに借りに行かせる。分家の大次郎(織田政雄)は耳が遠いので、やすえ(賀原夏子)が取り仕切っている。やすえは、快く紋付を渡し、娘の浜子(水野久美)が女学校の成績がよく、先生も大学行きを希望しているので、行かせてやりたいのだがと相談をする。
   タネから浜子の話を聞いた和助が、怒鳴り込んでくる。本家の娘も女学校さえ行っていないのに、分家の分際で、娘を大学に出すなど認められないというのだ。娘一人の分家は、婿を取らなければならず、大学出の娘に百姓の婿が来るわけないだろう、大学にやるなら、今すぐ田畑を返せと無理を言う。二男の信次は、銀行に勤めて家を出ているので、三男の順三を分家に押しつけて、田畑を取り戻そうと言う腹なのだ。
   ある日、信治は、街で浜子に会う。浜子は本家からの横やりで大学進学をあきらめ洋裁学校に通っていた。
   
    61年東宝成瀬巳喜男監督『妻として女として(260)』

    銀座シネパトスで、完全学級崩壊!我が青春のトンデモ学園生活!
    
70年日活丹野雄二監督『ハレンチ学園(261)』

2009年4月19日日曜日

西国分寺

高校時代の部活の同級生やら後輩と西国分寺で、昼から飲む。
後輩の女子たちは、気がついたらちゃんとした母になっている。高校3年の時の1年で、みんな子供だった記憶しかないが、いつの間にやら追い越されているんだなあ。年下の姉さんたちに、何だか頑張ってしまったのか、少し飲み過ぎる。