夏休み明け、初講義。しかし、残暑と言うより、この酷暑真っ盛りに、夏休み明けの感覚なく、学生以上に、自分が全くシャキッとしせず、情けない(苦笑)。2年生は、ずっと就活中。大変だなあ。
夜は、N氏を無理矢理誘って、横浜サムズアップで、山口岩男の20周年記念ライブ。ギター好きの少年の笑顔のまま、渋い中年男になっていた。ウクレレ・ヴァーチュオーゾとして活躍しているのは知っていたが、本当に久しぶりに歌うのを聞く。元々枯れた塩っぱい声は、更に渋くなっていた。いいなあ。
2010年9月3日金曜日
2010年9月2日木曜日
上方と神楽坂。
ラピュタ阿佐ヶ谷で、孤高の名優 佐藤慶。
64年東映京都長谷川安人監督『集団奉行所破り(137)』
堂島の米蔵。米の俵が積み上げられて、賑わっている。(NA)江戸はおさむらいの都ちゅうたら、大阪は商人(あきんど)の都っちゅうことでっしゃろ。ここ堂島は大阪の口の米市場ちゅうたら、胃袋は天満のやっちゃ場だっせ、で、頭どこやって聞かれたら、大坂城と言うかもしれんけど、徳川八代の世にもなれば、そんな大層なことを考えるもんも出てきませんので、ほんまはここや、東町奉行所と聞けば、悪い奴らはみんな、震え上がる始末だっせ。
まあ、大坂の商人の神信心好きっちゅうことでっしゃろ……。
天満宮で、一心に祈る男の懐から財布を擦る掏摺のエテキチこと捨吉(神戸瓢介)。気がつかれて逃げ出す。ダマシチこと為七(市川小金吾)の懐に財布を押し込んで、捕まってから、さあ探せ!!と下帯ひとつで、地面に転がる捨吉。
為七は、懐の財布を調べ、下町までやってくる。少し誤魔化そうとするが、為七は、財布が軽くなったと言われ、銭を返す。溜まり場の飯屋萬兵衛に入り、捨吉に酒をたかろうとした時に、三人の浪人者(島田秀雄、大城泰、有島竜司?)が店に入ってくる。水丁亭と言う法被を着た女郎屋の親父が金を払ってくれと付いてきている。どうやら踏み倒そうとしているのだ。騒がしさに、奥の小上がりで寝ていた悪源太こと田村源太(大友柳太朗)が、五月蝿いと文句を言い、表に出ろと言うことになった。
為七は、捨吉にニセ町医者の法眼の道伯(内田良平)の下に走らせ、自分は浪人者たちに、もし亡くなった場合には、懐中の銭を自分にくれるよう約束をして断られる。勝負は一瞬にして決まり、三人の浪人者は鼻を切られていた。もんどり打って転がる三人を為七は堂白のもとに連れて行く。道伯は、痔の薬を鼻に塗り、為七は、1両2分の有り金全てを治療費だと言って巻上げる。文句を言いかけた3人に、源太が追い掛けてきたと脅すと、大慌てで逃げて行く浪人者たち。
すけこましの業平こと丹次郎(里見浩太朗)が、商家の若旦那風の格好で、天神さんの人混みで娘に声を掛けながら歩いている。ふと一人の娘(嘉手納清美)に目を止める。「君みたいなお嬢さんは、こんな処を独りで歩いていると危ないよ。」と声を掛けると、お糸という名の娘は、「本当にそうみたいね。」地廻りの三人組(島田秀雄、大城泰、有島竜司?)が、取り囲み、付き合ってくれねえかと声を掛けてくる。丹次郎は、色男金と力はなかりけりを地で行くので、なかなか割って入れない。調子に乗った男たちは、お糸を攫おうとする。そこに、東町奉行所の同心で、蝮の金次郎こと竹内金次郎(佐藤慶)がやってきて、男たちをボコボコにする。「お父さん止めて!!死んじゃうわ。」お糸は、同心の娘だったのだ。お糸は「行きましょう!」と丹次郎を誘って、竹内を置いて行く。「腕の振るいどころをなくしちゃったわね。」お糸は、どうも父親に屈託があるらしい。
そこに、すぼけの吉蔵(田中春男)が、「兄貴、勘助の親方が呼んでいまっせ。」と声を掛ける。「お前、若旦那と言え」「若旦那って、おまえさん業平やろ・・。」「ちょっと、店に戻らなけばならなくなったみたいだ。」
東町奉行所、財布を摺られた浪花屋の番頭に蝮の金次郎が、、掏摺を裸にしても、既に財布は仲間に渡っているのでどうしようもないのだと、殿から浪花屋への賂の礼の手紙を盗まれたのは、大問題だと言う。
公事宿碇屋(看板は商人やどと書いてある)の主人勘助(金子信雄)は、7年前まで海賊の頭領だった。天龍丸と言う海賊船が奉行に追われ沈んだ時、大坂一の廻船問屋の河内屋善右衛門に助けられたのだ。しかし、善右衛門は、その莫大な資産を狙った奉行の松平右近将鑑(原田甲子郎)に、海賊の黒幕と罪を着せられ、?橋で、晒し首にされ、河内屋の奉公人も投獄されてしまったのだ。“軍師”勘助の碇屋に、道伯、捨吉、源太、為七、吉蔵、丹次郎が集まった。「あと一人足りねえぜ」と為七が言ったところで、小又の切れ上がったいい女(桜町弘子)が現れ、「私が佐吉の妹のお駒よ」と言って、呼び出し状を出した。佐吉は、佐渡送りの途中死んだと言う。道伯は怪しんだが、吉蔵以外の全員の渾名を次々に言うお駒を仲間に入れることにする。
釣り舟の客に化けて、湖上で、軍師勘助は話し始めた。河内屋善右衛門が、自分たちの身代わりになって晒し首にされて今年は七回忌。資財を投げ打って大阪の堀を整備し、大阪中の庶民に今も慕われて善右衛門の追善法要を盛大に執り行いたいのだと言う勘助。その為に東町奉行所から、二千両盗み出すと聞いてたまげる。
まず、悪源太が役人を斬れるなら手伝うと、最後までぶつぶつ言って捨吉も、通りかかった上役人の舟に、恐れながら、奉行所を襲おうと言う密談をと告白したが、役人は冗談を言うなと取り合わず、結局他の連中から舟から突き落とされ、仲間になると言う。晴れていたのに、捨吉が予測した通り、嵐になり、ズブ寝れになった一同は、碇屋に駆け込んだ。
お光(御影京子)長坂又右衛門(戸上城太郎)逸見軍十郎(楠本健二)、宇部甚八(佐藤洋)、大沢小太夫(藤木錦之助)万兵衛(市川祐二)、彦助(佐々木松之丞)お松(牧淳子)おしげ(園千雅子)万作(鶴田淳一)甚兵衛(源八郎)久兵衛(中村錦司)浪速屋庄右衛門(水野浩)堺屋五兵衛(有馬宏治)和泉屋安次郎(熊谷武)茨木屋藤四郎(矢奈木邦二郎)
神楽坂毘沙門天で、林家たい平師匠の落語会。元会社主催で呼んで貰ったので、20代美人作曲家と神楽坂駅で待ち合わせて出掛ける。いつものCDショップとのタイアップイベントだが、良かった。30分位の筈が、明烏と、薮入りで、1時間近く。こりゃ独演会だ。時折感じる生真面目さが勝ってしまう話しではなく、力の入った噺は、強引な運びだったが、ビンビン伝わって来た。
美人作曲家と神楽坂で飲み、ベロンベロンでちょっと絡んで帰宅。
64年東映京都長谷川安人監督『集団奉行所破り(137)』
堂島の米蔵。米の俵が積み上げられて、賑わっている。(NA)江戸はおさむらいの都ちゅうたら、大阪は商人(あきんど)の都っちゅうことでっしゃろ。ここ堂島は大阪の口の米市場ちゅうたら、胃袋は天満のやっちゃ場だっせ、で、頭どこやって聞かれたら、大坂城と言うかもしれんけど、徳川八代の世にもなれば、そんな大層なことを考えるもんも出てきませんので、ほんまはここや、東町奉行所と聞けば、悪い奴らはみんな、震え上がる始末だっせ。
まあ、大坂の商人の神信心好きっちゅうことでっしゃろ……。
天満宮で、一心に祈る男の懐から財布を擦る掏摺のエテキチこと捨吉(神戸瓢介)。気がつかれて逃げ出す。ダマシチこと為七(市川小金吾)の懐に財布を押し込んで、捕まってから、さあ探せ!!と下帯ひとつで、地面に転がる捨吉。
為七は、懐の財布を調べ、下町までやってくる。少し誤魔化そうとするが、為七は、財布が軽くなったと言われ、銭を返す。溜まり場の飯屋萬兵衛に入り、捨吉に酒をたかろうとした時に、三人の浪人者(島田秀雄、大城泰、有島竜司?)が店に入ってくる。水丁亭と言う法被を着た女郎屋の親父が金を払ってくれと付いてきている。どうやら踏み倒そうとしているのだ。騒がしさに、奥の小上がりで寝ていた悪源太こと田村源太(大友柳太朗)が、五月蝿いと文句を言い、表に出ろと言うことになった。
為七は、捨吉にニセ町医者の法眼の道伯(内田良平)の下に走らせ、自分は浪人者たちに、もし亡くなった場合には、懐中の銭を自分にくれるよう約束をして断られる。勝負は一瞬にして決まり、三人の浪人者は鼻を切られていた。もんどり打って転がる三人を為七は堂白のもとに連れて行く。道伯は、痔の薬を鼻に塗り、為七は、1両2分の有り金全てを治療費だと言って巻上げる。文句を言いかけた3人に、源太が追い掛けてきたと脅すと、大慌てで逃げて行く浪人者たち。
すけこましの業平こと丹次郎(里見浩太朗)が、商家の若旦那風の格好で、天神さんの人混みで娘に声を掛けながら歩いている。ふと一人の娘(嘉手納清美)に目を止める。「君みたいなお嬢さんは、こんな処を独りで歩いていると危ないよ。」と声を掛けると、お糸という名の娘は、「本当にそうみたいね。」地廻りの三人組(島田秀雄、大城泰、有島竜司?)が、取り囲み、付き合ってくれねえかと声を掛けてくる。丹次郎は、色男金と力はなかりけりを地で行くので、なかなか割って入れない。調子に乗った男たちは、お糸を攫おうとする。そこに、東町奉行所の同心で、蝮の金次郎こと竹内金次郎(佐藤慶)がやってきて、男たちをボコボコにする。「お父さん止めて!!死んじゃうわ。」お糸は、同心の娘だったのだ。お糸は「行きましょう!」と丹次郎を誘って、竹内を置いて行く。「腕の振るいどころをなくしちゃったわね。」お糸は、どうも父親に屈託があるらしい。
そこに、すぼけの吉蔵(田中春男)が、「兄貴、勘助の親方が呼んでいまっせ。」と声を掛ける。「お前、若旦那と言え」「若旦那って、おまえさん業平やろ・・。」「ちょっと、店に戻らなけばならなくなったみたいだ。」
東町奉行所、財布を摺られた浪花屋の番頭に蝮の金次郎が、、掏摺を裸にしても、既に財布は仲間に渡っているのでどうしようもないのだと、殿から浪花屋への賂の礼の手紙を盗まれたのは、大問題だと言う。
公事宿碇屋(看板は商人やどと書いてある)の主人勘助(金子信雄)は、7年前まで海賊の頭領だった。天龍丸と言う海賊船が奉行に追われ沈んだ時、大坂一の廻船問屋の河内屋善右衛門に助けられたのだ。しかし、善右衛門は、その莫大な資産を狙った奉行の松平右近将鑑(原田甲子郎)に、海賊の黒幕と罪を着せられ、?橋で、晒し首にされ、河内屋の奉公人も投獄されてしまったのだ。“軍師”勘助の碇屋に、道伯、捨吉、源太、為七、吉蔵、丹次郎が集まった。「あと一人足りねえぜ」と為七が言ったところで、小又の切れ上がったいい女(桜町弘子)が現れ、「私が佐吉の妹のお駒よ」と言って、呼び出し状を出した。佐吉は、佐渡送りの途中死んだと言う。道伯は怪しんだが、吉蔵以外の全員の渾名を次々に言うお駒を仲間に入れることにする。
釣り舟の客に化けて、湖上で、軍師勘助は話し始めた。河内屋善右衛門が、自分たちの身代わりになって晒し首にされて今年は七回忌。資財を投げ打って大阪の堀を整備し、大阪中の庶民に今も慕われて善右衛門の追善法要を盛大に執り行いたいのだと言う勘助。その為に東町奉行所から、二千両盗み出すと聞いてたまげる。
まず、悪源太が役人を斬れるなら手伝うと、最後までぶつぶつ言って捨吉も、通りかかった上役人の舟に、恐れながら、奉行所を襲おうと言う密談をと告白したが、役人は冗談を言うなと取り合わず、結局他の連中から舟から突き落とされ、仲間になると言う。晴れていたのに、捨吉が予測した通り、嵐になり、ズブ寝れになった一同は、碇屋に駆け込んだ。
お光(御影京子)長坂又右衛門(戸上城太郎)逸見軍十郎(楠本健二)、宇部甚八(佐藤洋)、大沢小太夫(藤木錦之助)万兵衛(市川祐二)、彦助(佐々木松之丞)お松(牧淳子)おしげ(園千雅子)万作(鶴田淳一)甚兵衛(源八郎)久兵衛(中村錦司)浪速屋庄右衛門(水野浩)堺屋五兵衛(有馬宏治)和泉屋安次郎(熊谷武)茨木屋藤四郎(矢奈木邦二郎)
神楽坂毘沙門天で、林家たい平師匠の落語会。元会社主催で呼んで貰ったので、20代美人作曲家と神楽坂駅で待ち合わせて出掛ける。いつものCDショップとのタイアップイベントだが、良かった。30分位の筈が、明烏と、薮入りで、1時間近く。こりゃ独演会だ。時折感じる生真面目さが勝ってしまう話しではなく、力の入った噺は、強引な運びだったが、ビンビン伝わって来た。
美人作曲家と神楽坂で飲み、ベロンベロンでちょっと絡んで帰宅。
2010年8月30日月曜日
羨ましいぜ!小栗旬。
赤坂でメンタルクリニック。元会社まで、独身美人OLに惣菜差し入れ。保冷剤含め重い。
六本木シネマートで、小栗旬監督『シュアリー・サムデイ(136)』
松竹のマークに「よっ!松竹!!」次の角川映画のマークに「さすが!角川映画!!」と声が被さる。三番目のトライストーンのマークには無言。
学校のチャイムの音。喜多川高校の校舎、4階のある教室、「欲しがりません、勝つまでは」と言う垂れ幕、窓ガラスには「文化祭復活」と書かれている。廊下側のドアには、机でバリケードが造られている。
ハンドマイクを持った真鍋京平(勝地涼)が「校長!!あんたは何も分かっちゃいない!確かに、今の若者は無気力かもしれないが……俺たちは燃えている。ギターを死ぬ気で練習してきたんだ!……」教室の中の喜志巧(小出恵介)「あいつは、文化祭でバンドやれば、コクられまくり、ヤリまくりだからじゃなかったか?」バリケードの中には、他に後藤和生(鈴木亮平)北村雄喜(ムロツヨシ) 岩崎秀人(綾野剛)
校庭には、校長、教頭(笹野高史)、体育教師(高橋努)、生徒たちも集まって、立てこもった教室を見上げている。「既に爆破した倉庫の何倍もの火薬が仕込まれている!」校庭の後ろには、体育倉庫の残骸がある。それを見て、校庭にいた生徒たち、校舎から遠くに逃げ出す。
「57年に及ぶ伝統ある、この校舎を爆破してもいいのか?」爆弾を作った雄喜「あと5分!!」その声はマイクを通じて全校に流れる。周り中で悲鳴があがる。
マイクを持った教頭、校長と相談をして「分かった!君たちの要求を受け入れる。文化祭の開催を認める!」
立てこもっていた生徒たち歓声を上げる。「よし、タイマーを止めろ」「どうせ、爆薬は入ってないんだから」京平「いや、入れた」「何で?」「雰囲気あると思って」「えー!?」「タイマーのコードを切れ!!」「これか!?いや違う!!」焦り出す生徒たち。巧「こうなったら作戦Xだ!」「Xって何だよ?!」「逃げるんだ」皆、バリケードの机を投げ、戸を倒し、廊下に転び、走りだす。階段を駆け下り、閉った裏門を乗り越えたところで、巧「雄基はどうした!?」雄基は、教室内で自分が作った爆破装置を必死で解除しようとしている。しかし、タイマーはゼロを表示し、黒髭危機一髪の人形が飛ぶ。裏門では「雄基!!!」と巧が叫んでいるが、教室は轟音と共に、爆発した。
3年後、食材の入った袋を提げた巧に京平が絡んでいる。「雄基は死ななかったが、片腕を失って、俺たちに会いたくないと言ったじゃないか」「巧は、まだあの事件を引きずっているんだな。お前は、結局、あの事件のせいで、高校を退学。彼女とも別れ、息子の起こした事件の責任を取って刑事を退職した父親の、ちんけな店を手伝っているじゃねえか。」巧「そんなお前だって、あの事件のせいで退学。しかし奮起して大検に合格、必死に勉強して、三流の望応大学に合格。大学生になれば、コクられまくり、ヤリまくりと思いながら、相変わらずの童貞じゃねえか」「どこかに、女転がってねえかなあ」「いた!・・・」
二人が歩いている陸橋の下の道、金髪、黒いコート、赤いハイヒールの女がフラフラと道に出て来て、黒塗りのベンツに跳ねられ、ボンネットを転がって、道に倒れる。走りだす巧と京平。ベンツを運転していたサングラスと黒スーツ姿の男が降りて来て、「大丈夫か?!今直ぐ、救急車を呼ぶから」と声を掛けると、女は、男の足に隠してあった拳銃を抜き取り、男に突き付ける。呆然とする男を残して、女は車を出し、走り去った。車を追い掛け走る男を見送り、二人は、何が起きたか分からない。
男が、掛け戻って来て、二人に声を掛ける。ビビる京平。「お前ら、巧と京平だよな」「??」「和生??」「とにかく、あの女を追いかける。じゃあな」
和生を見送り、その夜、巧の父親喜志建夫(竹中直人)が、警察を辞めた後、開いたバー、バッドマンで話す2人。その頃、夜の街では、和生が組織の人間十数名に追いかけられていた。
巧「結局、和生は、ヤクザになったということか?」「あの事件のせいで、3年で中退した和生は、格闘家を目指し道場で修行をするが、病気の妹の医療費のために、ヤクザになった」「その通りさ!!とにかく俺を匿ってくれ!!」バーの事務所に駆け込む和生。突然、店の硝子が派手に割れ、杖を突いた怪しい男(吉田鋼太郎)が入って来る。「今、この店に後藤和生が入って来たよな。隠すとためにならないぜ」言葉も出ない二人に男は、店中を探し「あいつとは、どういう知り合いだ」巧「高校時代のダチです」京平「おいっ」「そうか、俺の名前は、亀に頭と書いて亀頭だ。明日中に、あいつと、あいつが持ち逃げした三億円を返しに来い!逃げると、お前らと家族をバラす。じゃあな。なんだ、入口があったのか?」水差しの水を飲み、グラスごと床に投げ捨てると、帰りはドアから帰って行く亀頭。
出て来た和生「3億取り返さねえと」「それには、あの女だ」「俺、女に覚えがある。昔、巧の母ちゃんじゃないかと歌舞伎町に会いに行った女だ」「!?」「はっぴーナイトの?」
10年前の回想。団地の散らかった一部屋。ダイニングキッチンの食卓で巧の父健夫が、新聞を読んでいる。少年時代の巧が雑誌を持ってやって来る。「お父さん、この人、お母さんじゃないの?」「人の部屋に勝手に入ってくるんじゃねえ!!お前の母ちゃんは、お前を産んで直ぐ亡くなったんだ。」巧がだしたのは、風俗雑誌「おとなの遊艶地」、はっぴーナイトのソープ嬢のヒメノ(小西真奈美)が載っている。結局、巧は友達の4人を誘って自転車で、新宿歌舞伎町に向かう。雄基が発明したターボ自転車は、凄い力を発揮したが、タイヤがパワーに耐えきれず爆発した。歌舞伎町のはっぴーナイトは見つかった。横には、小さな水子地蔵がある。客引きの坂口(須賀貴匡)に「ヒメノさんを呼んで下さい」「ガキがどういう知り合いだ」「僕のお母さんかもしれないんです」「!?」
ソープ嬢の控え室で待たされる巧。暫くすると「君があたしの子?言われて見れば、目許とか似ているわね」「えっ!?」「嘘に決まっているでしょ」「君だって、お姉さんがお母さんじゃないって知ってたんじゃないの?」「お父さんに、お母さん以外に好きな人が出来たんじゃないかと思って。こんな雑誌、お父さんが持って帰ることなかったから…」
正直、見るまで、山本又一朗だし、小栗旬を役者として感心したことはないので、昨日の「東京島」に続いて、今年のダメ邦画と全く期待していなかった。事実、突っ込み所も少なくはない。しかし、途中から、何だか1本映画撮った小栗旬が羨ましくなってきたのも事実だ。皮肉でなく、映画ファンの高校生が、友達誘って、『作ってやったぜ!俺の映画』みたいな感じだ。確かに、商業映画だからバジェットも少なくないので、スタッフもプロだし、好きな役者に出て貰って、カメオ出演もこれでもか、やりたい放題(笑)。
ただのアイドル役者風情が監督しやがってと、映画評論家や映画ブロガーの評価は決して高くはないが、田中絹代だって、佐分利信だって、山村聰だって、宇野重吉だって、若き日に、やっぱり監督しているじゃないか(笑)。最近の日本映画界の製作委員会によるプロデューサーシステムの弊害よりも、よっぽどマシだ。
新人監督が、苦労して自分の力で撮った作品が海外で評価された途端、自分たちのチンケな作品の監督に抜擢した挙句、寄って多寡ってぶっ潰す。そんな日本映画があまりに多い。少なくとも、最近の山本又一朗のプロデュース作品の中ではマシな方だ。試写会見て文句言っている連中は嫉むなら、自分で撮るか、金集めて、好きな監督に映画撮らせろ!!
小栗旬!!と呼び掛けても、本人には届かないと思うが(苦笑)、これに懲りず、どんどん撮れ!!!次はもっと頑張れ!!
ただ2つだけケチをつけると、「映画監督は、僕の長年の夢でした」と言う小栗旬のコメント、まだ20代なのに、そんなコメントは、日本人の3分の2、映画業界人の3分の3は敵に回すので、そこは言葉だけでも謙虚に言え!!。もうひとつは、小西真奈美が風俗嬢となっていたが、ワシのイメージでは、風俗嬢は、ノーパン喫茶やファッションマッサージ、ヘルスなど風俗店が出来てからの、本番無しの女の子の仕事、ソープ嬢は・・・違うと思う・・・。別に差別ではなく・・・。
さすが、韓流映画の聖地六本木シネマート。20人ほどの女性がロビーで終日談笑中。モニターに映る予告編やポスターなどをデジカメ撮影。自分と同世代か少し下だろうか。子供は成長し手が離れた専業主婦だろうか。月曜の昼間から羨ましいなあ。映画撮らせるどころか、自分の口ひとつ養うのが厳しい、甲斐性のない自分(苦笑)。
六本木シネマートで、小栗旬監督『シュアリー・サムデイ(136)』
松竹のマークに「よっ!松竹!!」次の角川映画のマークに「さすが!角川映画!!」と声が被さる。三番目のトライストーンのマークには無言。
学校のチャイムの音。喜多川高校の校舎、4階のある教室、「欲しがりません、勝つまでは」と言う垂れ幕、窓ガラスには「文化祭復活」と書かれている。廊下側のドアには、机でバリケードが造られている。
ハンドマイクを持った真鍋京平(勝地涼)が「校長!!あんたは何も分かっちゃいない!確かに、今の若者は無気力かもしれないが……俺たちは燃えている。ギターを死ぬ気で練習してきたんだ!……」教室の中の喜志巧(小出恵介)「あいつは、文化祭でバンドやれば、コクられまくり、ヤリまくりだからじゃなかったか?」バリケードの中には、他に後藤和生(鈴木亮平)北村雄喜(ムロツヨシ) 岩崎秀人(綾野剛)
校庭には、校長、教頭(笹野高史)、体育教師(高橋努)、生徒たちも集まって、立てこもった教室を見上げている。「既に爆破した倉庫の何倍もの火薬が仕込まれている!」校庭の後ろには、体育倉庫の残骸がある。それを見て、校庭にいた生徒たち、校舎から遠くに逃げ出す。
「57年に及ぶ伝統ある、この校舎を爆破してもいいのか?」爆弾を作った雄喜「あと5分!!」その声はマイクを通じて全校に流れる。周り中で悲鳴があがる。
マイクを持った教頭、校長と相談をして「分かった!君たちの要求を受け入れる。文化祭の開催を認める!」
立てこもっていた生徒たち歓声を上げる。「よし、タイマーを止めろ」「どうせ、爆薬は入ってないんだから」京平「いや、入れた」「何で?」「雰囲気あると思って」「えー!?」「タイマーのコードを切れ!!」「これか!?いや違う!!」焦り出す生徒たち。巧「こうなったら作戦Xだ!」「Xって何だよ?!」「逃げるんだ」皆、バリケードの机を投げ、戸を倒し、廊下に転び、走りだす。階段を駆け下り、閉った裏門を乗り越えたところで、巧「雄基はどうした!?」雄基は、教室内で自分が作った爆破装置を必死で解除しようとしている。しかし、タイマーはゼロを表示し、黒髭危機一髪の人形が飛ぶ。裏門では「雄基!!!」と巧が叫んでいるが、教室は轟音と共に、爆発した。
3年後、食材の入った袋を提げた巧に京平が絡んでいる。「雄基は死ななかったが、片腕を失って、俺たちに会いたくないと言ったじゃないか」「巧は、まだあの事件を引きずっているんだな。お前は、結局、あの事件のせいで、高校を退学。彼女とも別れ、息子の起こした事件の責任を取って刑事を退職した父親の、ちんけな店を手伝っているじゃねえか。」巧「そんなお前だって、あの事件のせいで退学。しかし奮起して大検に合格、必死に勉強して、三流の望応大学に合格。大学生になれば、コクられまくり、ヤリまくりと思いながら、相変わらずの童貞じゃねえか」「どこかに、女転がってねえかなあ」「いた!・・・」
二人が歩いている陸橋の下の道、金髪、黒いコート、赤いハイヒールの女がフラフラと道に出て来て、黒塗りのベンツに跳ねられ、ボンネットを転がって、道に倒れる。走りだす巧と京平。ベンツを運転していたサングラスと黒スーツ姿の男が降りて来て、「大丈夫か?!今直ぐ、救急車を呼ぶから」と声を掛けると、女は、男の足に隠してあった拳銃を抜き取り、男に突き付ける。呆然とする男を残して、女は車を出し、走り去った。車を追い掛け走る男を見送り、二人は、何が起きたか分からない。
男が、掛け戻って来て、二人に声を掛ける。ビビる京平。「お前ら、巧と京平だよな」「??」「和生??」「とにかく、あの女を追いかける。じゃあな」
和生を見送り、その夜、巧の父親喜志建夫(竹中直人)が、警察を辞めた後、開いたバー、バッドマンで話す2人。その頃、夜の街では、和生が組織の人間十数名に追いかけられていた。
巧「結局、和生は、ヤクザになったということか?」「あの事件のせいで、3年で中退した和生は、格闘家を目指し道場で修行をするが、病気の妹の医療費のために、ヤクザになった」「その通りさ!!とにかく俺を匿ってくれ!!」バーの事務所に駆け込む和生。突然、店の硝子が派手に割れ、杖を突いた怪しい男(吉田鋼太郎)が入って来る。「今、この店に後藤和生が入って来たよな。隠すとためにならないぜ」言葉も出ない二人に男は、店中を探し「あいつとは、どういう知り合いだ」巧「高校時代のダチです」京平「おいっ」「そうか、俺の名前は、亀に頭と書いて亀頭だ。明日中に、あいつと、あいつが持ち逃げした三億円を返しに来い!逃げると、お前らと家族をバラす。じゃあな。なんだ、入口があったのか?」水差しの水を飲み、グラスごと床に投げ捨てると、帰りはドアから帰って行く亀頭。
出て来た和生「3億取り返さねえと」「それには、あの女だ」「俺、女に覚えがある。昔、巧の母ちゃんじゃないかと歌舞伎町に会いに行った女だ」「!?」「はっぴーナイトの?」
10年前の回想。団地の散らかった一部屋。ダイニングキッチンの食卓で巧の父健夫が、新聞を読んでいる。少年時代の巧が雑誌を持ってやって来る。「お父さん、この人、お母さんじゃないの?」「人の部屋に勝手に入ってくるんじゃねえ!!お前の母ちゃんは、お前を産んで直ぐ亡くなったんだ。」巧がだしたのは、風俗雑誌「おとなの遊艶地」、はっぴーナイトのソープ嬢のヒメノ(小西真奈美)が載っている。結局、巧は友達の4人を誘って自転車で、新宿歌舞伎町に向かう。雄基が発明したターボ自転車は、凄い力を発揮したが、タイヤがパワーに耐えきれず爆発した。歌舞伎町のはっぴーナイトは見つかった。横には、小さな水子地蔵がある。客引きの坂口(須賀貴匡)に「ヒメノさんを呼んで下さい」「ガキがどういう知り合いだ」「僕のお母さんかもしれないんです」「!?」
ソープ嬢の控え室で待たされる巧。暫くすると「君があたしの子?言われて見れば、目許とか似ているわね」「えっ!?」「嘘に決まっているでしょ」「君だって、お姉さんがお母さんじゃないって知ってたんじゃないの?」「お父さんに、お母さん以外に好きな人が出来たんじゃないかと思って。こんな雑誌、お父さんが持って帰ることなかったから…」
正直、見るまで、山本又一朗だし、小栗旬を役者として感心したことはないので、昨日の「東京島」に続いて、今年のダメ邦画と全く期待していなかった。事実、突っ込み所も少なくはない。しかし、途中から、何だか1本映画撮った小栗旬が羨ましくなってきたのも事実だ。皮肉でなく、映画ファンの高校生が、友達誘って、『作ってやったぜ!俺の映画』みたいな感じだ。確かに、商業映画だからバジェットも少なくないので、スタッフもプロだし、好きな役者に出て貰って、カメオ出演もこれでもか、やりたい放題(笑)。
ただのアイドル役者風情が監督しやがってと、映画評論家や映画ブロガーの評価は決して高くはないが、田中絹代だって、佐分利信だって、山村聰だって、宇野重吉だって、若き日に、やっぱり監督しているじゃないか(笑)。最近の日本映画界の製作委員会によるプロデューサーシステムの弊害よりも、よっぽどマシだ。
新人監督が、苦労して自分の力で撮った作品が海外で評価された途端、自分たちのチンケな作品の監督に抜擢した挙句、寄って多寡ってぶっ潰す。そんな日本映画があまりに多い。少なくとも、最近の山本又一朗のプロデュース作品の中ではマシな方だ。試写会見て文句言っている連中は嫉むなら、自分で撮るか、金集めて、好きな監督に映画撮らせろ!!
小栗旬!!と呼び掛けても、本人には届かないと思うが(苦笑)、これに懲りず、どんどん撮れ!!!次はもっと頑張れ!!
ただ2つだけケチをつけると、「映画監督は、僕の長年の夢でした」と言う小栗旬のコメント、まだ20代なのに、そんなコメントは、日本人の3分の2、映画業界人の3分の3は敵に回すので、そこは言葉だけでも謙虚に言え!!。もうひとつは、小西真奈美が風俗嬢となっていたが、ワシのイメージでは、風俗嬢は、ノーパン喫茶やファッションマッサージ、ヘルスなど風俗店が出来てからの、本番無しの女の子の仕事、ソープ嬢は・・・違うと思う・・・。別に差別ではなく・・・。
さすが、韓流映画の聖地六本木シネマート。20人ほどの女性がロビーで終日談笑中。モニターに映る予告編やポスターなどをデジカメ撮影。自分と同世代か少し下だろうか。子供は成長し手が離れた専業主婦だろうか。月曜の昼間から羨ましいなあ。映画撮らせるどころか、自分の口ひとつ養うのが厳しい、甲斐性のない自分(苦笑)。
2010年8月29日日曜日
BBと多江。
25才美人画家と、新宿武蔵野館のモーニングショーで、ブリジット・バルドー生誕祭。
56年ロジェ・ヴァディム監督『素直な悪女(134)』
中年の紳士エリック(クルト・ユルゲンス)が、南仏の港町サン・トロペーズの高台にある一軒 家にやって来る。海側の庭には、大きなシーツなど洗濯物が干してある。その向こう側に、若く伸びやかな女の肢体が寝そべっているようだ、男は「君に頼まれていた車を持ってきたよ」「えっ!どんな車?」「赤いオープンカーだよ」
そこにその家の主婦モラン夫人(ジャーヌ・マルカン)が帰って来る。「このあばずれ女!仕事もしないで、男と乳繰り合っているのかい!孤児院の院長に手紙を出して世の中に出られないようにしてやるよ!」「ちゃんと仕事はしているわ」と娘が家の中に入って行く。男は「お金で解決出来ないものですか?」「とんでもない!あんな娘は、孤児院に戻した方が世のため…」と主婦は相手にしない。二階の部屋の窓から、若い娘の肢体を覗いていた老人は、妻が帰って来たのを知って、慌てて窓を閉めるが、スカーフを窓に挟んでしまった。娘とモラン夫人は激しい口喧嘩をしながら、老人の部屋に上がって来た。窓に挟まったスカーフを目ざとく見つけ「あんたも、だらしなく若い女を覗いていたんだね」と罵る。
娘の名はジュリエット(ブリジット・バルドー)。孤児院で育ち、18才になり、この街でモラン夫妻の書店の店番兼家政婦となったのだ。
25歳の美人画家と、映画の感想を語りながら、王ろぢで昼食を取る。買い物をしてからバイトに行くと言う彼女と別れ、恵比寿の東京写真美術館に行く。専門学校の講師の先輩の写真家の方から招待券を貰っていたの『立ち止まらない女性たち1945ー2010 おんな』の最終日。写真展のメインアートに使われていた木村伊兵衛さんを始め、錚々たる顔ぶれだが。今ネットで話題の丸田祥三の少女写真も・・・。全て女の人は強く、フォトジェニックだった。フォトジェニックと言うのは、カメラマンの多くが男性であるからかもしれないが、原爆投下後の広島の若い母親、玉音放送を聞き呆然自失する女子挺身隊員も、水俣病に苦しむ患者も、21才の新妻の、激しい農作業で老女のもののような手のひらも、100才近くになっても働き続ける老婆のしわくちゃな顔も、写真として美しく、また、一人一人の女の一生の一瞬だ。 切ないなあ。
ついでに、3階で展示されていた『Look at me!私を見て! ヌードのポートレイト』も見る。
吉祥寺バウスシアターで、篠崎誠監督『東京島(135)』
スーツケーツに入れる荷物を出したり入れたりしながら悩む清子(木村多江)。「私は旅行中に使うものを悩んでいた。しかし結局、殆どの物は必要がなかった。清子は、夫の隆(鶴見辰吾)とクルーザーでの旅に出る。しかし、難破し、無人島に辿り着く。清子は島内を歩き、極彩色の蛇を見つけ、石で蛇の頭を叩き潰す。蛇の皮を剥ぐ清子。住み家(海風を直撃する場所に、美術スタッフが気合を入れて作ったようなかなり堅古ものだ)に帰り、隆に「食料採ったわよ」と声を掛ける。隆は、プリンなど食べ物の絵を地図の裏に一心不乱に書いている。「蛋白質を採らないと持たないわよ」と清子。数日後、与那国島の厳しいバイドから逃亡した16人のフリーターが島に漂着した。
こりゃ本当に酷い(爆笑)。日本一の不幸女優木村多江初主演作。女の愚かさが生む薄幸じゃなくて、これではただの馬鹿な女。GAGAというか、ユーズフィルム何をやりたかったんだろう。ビデオストレートのようなストーリーで、女性客の共感を呼ぶシナリオってあるんだろうか。今の邦画界の新人、中堅監督潰しの典型のようなプロデュースだな。
56年ロジェ・ヴァディム監督『素直な悪女(134)』
中年の紳士エリック(クルト・ユルゲンス)が、南仏の港町サン・トロペーズの高台にある一軒 家にやって来る。海側の庭には、大きなシーツなど洗濯物が干してある。その向こう側に、若く伸びやかな女の肢体が寝そべっているようだ、男は「君に頼まれていた車を持ってきたよ」「えっ!どんな車?」「赤いオープンカーだよ」
そこにその家の主婦モラン夫人(ジャーヌ・マルカン)が帰って来る。「このあばずれ女!仕事もしないで、男と乳繰り合っているのかい!孤児院の院長に手紙を出して世の中に出られないようにしてやるよ!」「ちゃんと仕事はしているわ」と娘が家の中に入って行く。男は「お金で解決出来ないものですか?」「とんでもない!あんな娘は、孤児院に戻した方が世のため…」と主婦は相手にしない。二階の部屋の窓から、若い娘の肢体を覗いていた老人は、妻が帰って来たのを知って、慌てて窓を閉めるが、スカーフを窓に挟んでしまった。娘とモラン夫人は激しい口喧嘩をしながら、老人の部屋に上がって来た。窓に挟まったスカーフを目ざとく見つけ「あんたも、だらしなく若い女を覗いていたんだね」と罵る。
娘の名はジュリエット(ブリジット・バルドー)。孤児院で育ち、18才になり、この街でモラン夫妻の書店の店番兼家政婦となったのだ。
25歳の美人画家と、映画の感想を語りながら、王ろぢで昼食を取る。買い物をしてからバイトに行くと言う彼女と別れ、恵比寿の東京写真美術館に行く。専門学校の講師の先輩の写真家の方から招待券を貰っていたの『立ち止まらない女性たち1945ー2010 おんな』の最終日。写真展のメインアートに使われていた木村伊兵衛さんを始め、錚々たる顔ぶれだが。今ネットで話題の丸田祥三の少女写真も・・・。全て女の人は強く、フォトジェニックだった。フォトジェニックと言うのは、カメラマンの多くが男性であるからかもしれないが、原爆投下後の広島の若い母親、玉音放送を聞き呆然自失する女子挺身隊員も、水俣病に苦しむ患者も、21才の新妻の、激しい農作業で老女のもののような手のひらも、100才近くになっても働き続ける老婆のしわくちゃな顔も、写真として美しく、また、一人一人の女の一生の一瞬だ。 切ないなあ。
ついでに、3階で展示されていた『Look at me!私を見て! ヌードのポートレイト』も見る。
吉祥寺バウスシアターで、篠崎誠監督『東京島(135)』
スーツケーツに入れる荷物を出したり入れたりしながら悩む清子(木村多江)。「私は旅行中に使うものを悩んでいた。しかし結局、殆どの物は必要がなかった。清子は、夫の隆(鶴見辰吾)とクルーザーでの旅に出る。しかし、難破し、無人島に辿り着く。清子は島内を歩き、極彩色の蛇を見つけ、石で蛇の頭を叩き潰す。蛇の皮を剥ぐ清子。住み家(海風を直撃する場所に、美術スタッフが気合を入れて作ったようなかなり堅古ものだ)に帰り、隆に「食料採ったわよ」と声を掛ける。隆は、プリンなど食べ物の絵を地図の裏に一心不乱に書いている。「蛋白質を採らないと持たないわよ」と清子。数日後、与那国島の厳しいバイドから逃亡した16人のフリーターが島に漂着した。
こりゃ本当に酷い(爆笑)。日本一の不幸女優木村多江初主演作。女の愚かさが生む薄幸じゃなくて、これではただの馬鹿な女。GAGAというか、ユーズフィルム何をやりたかったんだろう。ビデオストレートのようなストーリーで、女性客の共感を呼ぶシナリオってあるんだろうか。今の邦画界の新人、中堅監督潰しの典型のようなプロデュースだな。
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