2009年5月23日土曜日

齢五十の坂を越えていたか・・・(苦笑)

     久し振りに終日映画三昧。渋谷、阿佐ヶ谷、神保町のラインナップが良すぎ、更に今週後半から池袋で高倉健の特集。うーん仕事が無くても身体が一つでは回らない(笑)。残念だ。明日、吉本新喜劇東京公演の招待券があるのだが…。人に譲るか。

    シネマヴェーラ渋谷で、シナリオライター小國英雄のすべて
    45年東宝成瀬巳喜男監督『三十三間堂通し矢物語(303)』
    運慶作の見返り観音像で有名な三十三間堂の廊下は実際には六十六間ある。古来、武士たちは、奉納のための通し矢を競った。江戸時代、紀州藩士、和佐代右衛門が打ち立てた9000本放って6200本と言う記録が不世出と思われていたが、尾州藩士星野勘佐衛門が、一万五千余本放ち8000本を通すと言う超人的な大記録を打ち立てる。紀州藩は大いに悔しがり、既に齢五十の坂を越えていた大左衛門を担ぎ出し挑戦させたが、7600本しか果たせず、割腹して果てた。
   和佐家に二年ほど行儀見習いに上がっていた旅籠小松屋のお絹(田中絹代)は、両親を亡くし、娘ながら家業を盛り立てていたが、亡き大左衛門の大恩に報いようと、大右衛門の忘れ形見、大八郎(市川扇升)を小松屋の客人として預かり、五年間弓道に精進させた。18歳となった大八郎は、星野の記録を破り父の汚名をそそぐ日が近づいたと、街では大層評判を呼んでいる。しかし、的場で稽古をする大八郎の表情は暗く心に屈託があった。小松屋の下男で大八郎を見守り続けた甚兵衛(横山運平)は、毎日8000本程成功していた弓が、最近5000本程しか通せず、低迷しているのを、女将のお絹には報告出来ず、安定していると告げ、心を痛めている。また、星野の記録を破られることを嫌う尾州藩のものたちの中には、大八郎に怪我をさせて妨害しようとしていると言う噂もあり、お絹や小松屋の使用人は心配している。ある日、的場での稽古に屈託を感じる大八郎は、街を歩いていて、浪人たちと諍いになる。彼らは、大八郎を怪我させようと尾州藩に雇われている者たちだった。喧嘩の途中に、この若侍が、大八郎だと気がつく。
    4対1であったが、何とか大八郎は逃れ、馴染みの柳茶屋に逃げ込む。茶屋の娘おふみ(三谷幸子)と母親に最近の屈託を尋ねられ、通し矢が失敗した際に、自分は切腹をすればよいが、長い間応援してきたお絹や小松屋の使用人たちの失望を考えると、勝負が怖いのだと、おふみに本心を吐露する大八郎。柳茶屋の座敷には、武士(長谷川一夫)が眠っていた。大八郎たちの話を聞くでもなく武士は去る。
   大八郎がなかなか帰ってこないので、皆心配をし、お絹は甚兵衛に練習はどうだったのだと問い詰める。伝兵衛は、良心の呵責に5000本を7000本と偽るが、このところ毎日8000本と安定していた筈なのに、どこか調子が悪いのだろうかと心配するお絹と、更にいたたまれなくなる甚兵衛。そこに大八郎が帰り、伝兵衛は、救われる。
    しかし、大八郎が帰宅するのを最前の浪人たちが見つかる。彼らは偶然泊まっていた小松屋に大八郎が裏口から入ってきたのを知り、鴨がネギを背負ってきたと小躍りする。小松屋の女中に、和佐大八郎を呼ぶように言い、理由は本人ならばわかるだろうと付け加えた。星野某からの依頼は、殺さず、片腕に怪我をさせればいいのだと声を潜めて打ち合わせた。
     大八郎は喧嘩をした浪人たちだと知り、自分の蒔いた種だと座敷に上がろうとするが、お絹に、大事な身体だから女将である自分が対応すると止められる。お絹は、浪人たちの座敷に上がり、大八郎は大事な客人で、小松屋の中でのことは女将である自分がお相手すると言い、大八郎に怪我を負わせろと命じた雇い主と同額の銭を支払うので、引き取るよう頭を下げた。浪人たちは、無礼うちをすると息巻いて抜刀する。その時、座敷の襖が開き、隣室で飲んでいた男がお止めなされと言った。立ち聞きしていたのかと興奮する浪人たちに、あれた゛け大きな声で話せば聞こえるし、自分たちも壁に耳ありだと話していたではないかと男。これ以上の狼藉があれば自分がお相手すると言う男がかなり腕が立つと悟った浪人たちの頭目は、外で決着をつけようと皆を誘い店の外に出て、そのまま逃げ去った。お絹は、男の名を尋ねると唐津勘兵衛と答えた・・・。

    59年東映京都佐々木康監督『血槍無双(304)』
   桜の下、切腹する浅野内匠頭らしき姿がある。元禄15年10月7日、大石内蔵助(大河内伝次郎)は、山城を出て江戸に向かい、川崎の宿で、原惣右衛門(御橋公)の出迎えを受ける。顔を合わせて、江戸の浪士たちの近況を話し始めると、惣右衛門についていた竹林たびしが、京都のお茶屋でも見かけていた人間であることを内蔵助は見破り、切り捨てる。上杉の回し者だったのだ。浪士たちは、難波屋という酒屋や、美作屋(みまさかや)という呉服屋を経営しながら、主人、使用人などになっているもの、魚屋、八百屋になっているもの、喧嘩安と言われ江戸で顔が売れていた堀部安兵衛は、顔に熱湯をかぶり、人相を変えたという。
    美作屋の庭で、杉野十平次(大川橋蔵)が夜鳴き蕎麦を作り、美作屋主人になりすましている前原宗房(?)にそばを食べさせている。十平次は武芸はさっぱりだったが、料理の味付けなどは器用な二枚目の若者だ。夜鳴き蕎麦屋に化けて、吉良邸を探ろうというのだ。十平次は、当たり屋の平次となって、街を流していると、傷だらけの男たちが、蕎麦を頼む。俵星玄蕃(片岡千恵蔵)の道場に通うが、稽古の厳しさに音を上げている。しかし、玄蕃の妹のお妙(花園ひろみ)に声を掛けられると気付け薬みたいなもので、夢心地だと話していた。十平次は、その話を聞いて、玄蕃の道場に廻って見ることにする。


美作屋を訪れていた吉良の想い人のお蘭(長谷川裕見子 )は、手代姿の平次に懸想する。

    40年日活京都マキノ正博監督『続清水港(305)』


    ラピュタ阿佐ヶ谷で、孤高のニッポン・モダニスト映画監督中平康
    65年日活中平康監督『現代悪党仁義(306)』
    新世界で寿司屋を営む福山(藤村有弘)は、愛人にクラブを持たせようと、三百万を持参して、ある料理屋にやってきた。毎日商事の男(井上昭文)が部長の内田(宍戸錠)は、博打で盛り上がっていると言う。案内された座敷は、まさに内田部長が、極東物産の松本社長と、握りカッパと言う、手の中の碁石が奇数か偶数かを当てるインチキ博打で盛り上がっている。福山はつい、クラブの権利金を百万まけると言われ、その百万を賭けて勝ったことで、虎の子の三百万全額を巻き上げられてしまった。肩を落として帰って行く福山を見送ると、全員で乾杯をし、儲けを分け始める。八人は最初からグルで、内田部長役の日神善六をリーダーとする詐話師たちだ。しかし、パトカーのサイレンが聞こえはじめ、福山が警察に届けたことが分かり、逃げようとするが、皆逮捕される。
   事件から5年後の、加古川刑務所の第18房。眠っていた善六が、急に笑い出す。房の中の囚人たちは驚いて目を覚まし、善六に官房長と声を掛ける。

    62年日活中平康監督『若くて、悪くて、凄いこいつら(307)
    警視庁の正面が映る。場面は変わり、紳士(清水将夫)がベンツを運転している。カーラジオから、新幹線汚職についてのニュースが流れている。事件の鍵を握る佐倉総一郎氏は沈黙を守っていると言うと、運転した紳士はラジオを消す。助手席には、表紙に佐倉総一郎覚書と書かれた大学ノートが数十冊置かれている。紳士は佐倉総一郎本人らしい。
   一方サンダーバードのオープンカーを運転している若者納谷浩(高橋英樹)、後ろの座席で男女が揉み合う声が聞こえる。女の服が外に放り投げられる。お前のバージンをくれという男に一発お見舞いしてたところで、浩は車を止める。女(和泉雅子)を下ろすと、一枚の男もののシャツと赤いハイヒールだけ投げて、車を出す。女の名前は寺田新子。新子のバージンを奪って、今日こそ童貞とおさらばしようとしていた男は、松村俊夫(和田浩治)。
    しばらくして佐倉が運転するベンツが走ってくる。赤いハイヒールを見つけて、車を止めると、男もののシャツを羽織っただけの新子が現れる。佐倉は、新子を助手席に乗せる。「追剥ですか?」「男たちに襲われそうになって。大学の友達の男子二人とドライブに来たらバージンを奪われそうになって、必死に抵抗したの」「おじさまって立派ね。自分の知る男の中で、一番立派な紳士ね。私のバージン上げましょうか」。佐倉は車を止め「不愉快だ。古臭いと言われるかもしれないが、貞操を紙きれのように簡単に捨てる風潮が嫌いな男もいるのだ。もっと、自分を大切にしなさい」と言う。新子は、素直に謝った。しばらく走ると、浩と俊夫が車を降りて、殴り合いの喧嘩をしている。その横を、ベンツが通り抜ける。助手席の窓から新子が、ベロを出して、バカヤローと怒鳴る。
   佐倉と書かれた別荘にベンツは停まった。暖炉の前で火に当たる新子に、佐倉は若い女性もののセーターとスラックスを持ってきて着なさいと渡した。孫娘だった圭子が着ていたものだと言う。新子が、孫娘だった?と尋ねると、1週間前に自殺したのだと答える佐倉。悲しいことを思い出させてごめんなさいと、涙を流す新子。

2009年5月22日金曜日

週末はベロンベロン。

   午前中、専門学校非常勤講師のレジュメを作って、学校に。インフルエンザ絡みだろう。マスク着用目立ち、欠席者も多い気が…。万が一休校にでもなったら、無収入に(苦笑)夏休みもあることだし、真剣に考えなければ…。
      学校が終わり次第、横浜桜木町で、先輩iのもとに。野毛の馬肉、鹿肉屋へ。後輩Sが2人で乱入。気がついたら、ベロンベロンで先輩後輩の礼儀も失していた。やっぱり嫌いじゃない人たちと飲むと、多幸感で満たされる。盛り上がりついでに、野毛でNPOをやっているのを友人のオフィスに乱入。明らかに、酔っ払い親父の酔狂だが、少し前に帰ったと言われる。まあ正直なところ、自分の生計の目途も立たないまま、彼女の窮状に何もできなかったので、酔っ払ってなければ合わす顔もなかったのだ。かなり、酩酊しながら帰る。 帰宅して、一杯だけ飲もうとビールと白ワイン出して、WEB開いていると、やまだ紫さんが亡くなっていたことを知る。切なすぎる。合掌。

2009年5月21日木曜日

天使と悪魔

      阿佐ヶ谷駅の改札を出ると救急隊員を含む人だかりがある。何だろうと目をやると、若い女性が倒れている。ん、阿佐ヶ谷在住の後輩Sを思い出す。人間の顔というのは、左後頭部方向から逆に見ると、どうも認識しずらい。反対側に回って、隙間から別人だと確認する。一瞬、吉永小百合の映画か、友人ですと名乗って病院に同行するのか、悩んでしまった(笑)。許せ!!後輩S!
      阿佐ヶ谷ラピュタで、
      昭和の銀幕に輝くヒロイン【第47弾】吉永小百合
      61年日活藏原惟繕監督『この若さある限り(300)
東京の郊外にある明和学園(玉川学園のイメージか)の高校三年生大和田行雄(浜田)は、古文の若い女教師河合のぶ子(吉行和子)に恋をしていた。授業中に、他の男子生徒たちから、のぶ子の裸像のいたずら書きが回ってくると、のぶ子が汚されるようで、破り捨てる。授業が終わると、隣家に住む幼なじみの河並亮子(吉永小百合)が友人の大林純子(葵真木子)と、声を掛けてきたが、用があると言って逃げ出す。余りにつれない行雄に、良子がプンプン怒っていると、純子は亮子に、幸男さんはあなたの恋人?と尋ねる。そんなんじゃないわと言う亮子に、それならアプローチしていいわねと純子。行雄は、学校の正門前で、のぶ子が帰るのを待ち伏せる。のぶ子は同僚の木村とみ子(小園蓉子)とやってきたので、 先生が授業中に話していたローレンスの本を読みたいので貸して貰えないかと頼む。のぶ子は、大学受験前だし大丈夫と尋ね、原書で良ければ、人に借りた本だけど今持っているので、貸してあげるわと言う。
   行雄は、帰宅してローレンスのWOMEN OF LOVEをうっとりとしながら開く、しかし本の中に眼鏡を掛けた男性の写真が挟まれていて興醒めする。幸男の部屋は二階で、少し離れているが隣家の二階には、やはり亮子の部屋がある。亮子の顔が見えると、行雄は、一階の居間に降りて、母、保子(小夜福子)にまだ子供を産む能力はあるのかいと声をかけ怒られると、母親が若く美しいことは父親にも息子にとっても理想的なことだと言う。大和田家は、母子で、そんな会話もできる進歩的で裕福な家庭なのだ。お手伝いさんが、行雄に電話だと言う。純子から駅前の本屋にいるので来てくれないかと言うものだった。面倒くさがりながら出掛けると、アメリカ版のセブンティーンのファッションページのキャプションを訳してもらえないかと言うものだった。しばらく訳していたが、忙しいからこれくらいにしてくれと逃げ出す幸男。幸男と純子が本屋にいるのを遠くから見かけ、走り去る亮子。隣家の幼なじみで仲良かった亮子だが、私の友達の純子と私抜きで会ってと文句を言ったり、気分屋なのが、大人の女性ののぶ子に憧れる行雄にとって、同級生の女子は子供っぽく感じて嫌なのだ。
   今日ものぶ子の授業を受けている。行雄はカッターで机に、のぶ子のイニシャルNKと掘っている。後ろの席の松下(亀山靖博)がのぶ子のことでからかってきた。のぶ子に注意された行雄は、後ろの松下くんがと言ったため松下は注意される。授業が終わり、松下は仲間と行雄に恥をかかせやがってと文句をつけてきた。学校の裏の空地で、4対1の喧嘩になる。行雄もなかなか強かったが、徐々に多勢に無勢。殴られ続けるようになった所に、亮子と純子が駆け付けてきた。二人は止めようとしたが無理だったので、「人殺し!!」と叫び始める。しかたなしに、走り去る松下たち。「何でこんな喧嘩をしたの?」と問いかける亮子に答えず去ろうとする行雄。「助けて貰ってお礼さえ言わない行雄さんになってしまったの?」と言われ、「ありがとう」と言って駆けてゆく行雄。
    泥だらけで傷だらけのまま、帰宅した行雄は、少し眠ったあとに、のぶ子へのラブレターを書き始める。隣家の亮子はピアノを弾いている。うるせえなあと言いながらも、亮子の激しいピアノに突き動かされるように書き上げた。
   翌日は休日で、行雄はのぶ子への手紙を投函しようと出かける。ポストに入れようとしたその時に、のぶ子に声を掛けられる。普段着で買い物姿ののぶ子も若妻のようで新鮮だった。この近くで一人暮らしをしているのだと言う。お茶でも飲むとのぶ子に誘われ、夢のような気持ちの行雄。非常に素直に、のぶ子のことが好きなこと、そんなのぶ子を他の男子生徒が、性的な妄想の対象にしていることが耐えられないことを話す。のぶ子は、物わかり良く、自分たちのような若い女教師と男子生徒は、そうしたもので覚悟はしていると答える。コーヒー代を自分が誘ったのだからとのぶ子が払い別れる。
    のぶ子が帰宅すると、彼女の兄の友人で大学の教師でもあった、婚約者の永瀬英助(内藤武敏)が訪ねてくる。文部省の会議だったと言う。永瀬は、のぶ子の身体を求めて来るが、拒絶される。婚約して4年、キスさえ、たまにしか許さない。しかし、男の欲望のままに身を任せることには抵抗があるのだとのぶ子は言う。


    孤高のニッポン・モダニスト映画監督中平康
    62年日活中平康監督『当たりや大将(301)』
    大阪駅からタクシーで釜ヶ崎までと言う客がある。運転手は当たられまっせと気乗りしない返事だが、いいから行ってくれと指示する客(嵯峨善兵)。釜ヶ崎の街に車が入ると案の定。当たり屋の男が上手く倒れ込み、仲間たちが走り寄ってきてえらい騒ぎだ。客は面白そうに見ている。そこに警察がやってくる。警察のジープに先導され釜ヶ崎署に横付けされるタクシー。タクシーの客は新任の署長だった。次長(宮崎準)に、警察署長だと言うのもどうかと思ったのだが、聞いていた通りの街だねと笑う署長。次長は、山之内(浜村純)を紹介する。山之内はここに配属され9年になるベテラン刑事で、釜ヶ崎の住人たちには、ドブのキリストと呼ばれている。山之内は釜ヶ崎を説明し始める。人口3万5千人。人口密度は、1平方キロ当たり7万人。アンコと呼ばれるドヤ街で暮らす日雇い労務者は5千人(?)。古物商は200軒、泥棒市場と呼ばれている。大阪で盗まれた物のほとんどが、ここにいる160人の立ちんボの手に渡り、古物商に売られるのだ。立ちんボや、その日の仕事にありつけなかった労務者たちは、この空き地で4・5・1と呼ばれるサイコロ賭博をしている。質屋は、150軒。食い物屋も、100円あれば一日腹いっぱいになるような店ばかりだ。ドヤと呼ばれる一泊150円の簡易宿泊施設は250軒、アパートは440軒。パンスケは1200人。毎日10人は現行犯逮捕でブタ箱に入っている。今日も、ベンテンのお初(中原早苗)たちで留置場はいっぱいだ。彼女たちは「ポリ公のアホ!!ポリ公のアホ!!」と連呼して騒がしい。ドブのキリストが恫喝するが、蛙の面に小便だ。
   その頃、釜ヶ崎のホルモン鍋屋で、昼間署長ののるタクシーに当たり屋をしたグループが呑んでいる。ぶつかりながら怪我ひとつしない当たり屋の名人の大将(長門裕之)、軍曹(杉山俊夫)、先任伍長(玉村駿太郎)上等兵(近江大介)二等兵(杉山元)たちだ。もう廻り中に、彼らが警察署長に当たり屋をやったと知れ渡っている。ホルモン鍋屋のおばちゃん(轟夕起子)は、「ゆ~きの降るまちを~、ゆ~きの降るまちを~、」というサビだけ延々と繰り返すが、女手一つで、5歳のチビ勝(頭師佳孝)を育てる気のいいおばさんだ。

 新宿ピカデリーで、ロン・ハワード監督『天使と悪魔(302)』

2009年5月20日水曜日

世界のH (ホンダでも日立でもないが・・)

   昼から専門学校の非常勤講師。意気込んだ割には、私語は減りはしていないが、今まで反応のなかった学生が、ほぅっと納得顔をしているので、自己満足ながら、喜ばしい。聞かない学生がいようが、彼らにとって必要な知識だと一方的な確信があるので、しばらく、この辺りの話を繰り返そうと思う。
   その後、先輩Kが、三軒茶屋のジャズバーでライブをやると誘われていたので、出掛けると、なんとソールドアウト!!本人もすまながって店の人に無理に席を作るように頼んでくれたがディナーを食べているお客さんのすぐとなりででかい身体でいるのは、迷惑な話だと思い一曲目をタダ見して抜ける。びっくりするような世界的ジャズメンが喇叭を持って現れたので、見たかったのだが…。いやHさんがホントに来るなんて。ひょっとして、四半世紀の長い間、自分は人を見る目のなさで、先輩Kを見くびっていたのかもしれない。並んで演奏している姿を見るのがが、少し怖かった。
   渋谷に戻り、先輩Kと世界のH、夢の共演を誘っていた後輩Sと蕎麦屋で飲む。

2009年5月19日火曜日

国ざかいの長いトンネルを抜けるとそこは雪国だった。

    午前中は引き続き講義資料、どうしようか悩みながら作っていた時とは、随分気持ちも変わるものだ。
    昼から外出し、神保町シアターで、日本映画★近代文学全集
    65年松竹大船大庭秀雄監督『雪国(299)』
    昭和10年の早春、北陸を回って、越後湯村(越後湯沢だろう)と言う山あいの温泉地に、翻訳家の島村(木村功)が、逗留しながら、仕事をしようとやってきた。湯むらと言う旅館の椿と言う部屋に通される。窓から見るとまだ山には雪がかぶっている。部屋付きの女中(桜むつ子)に夕食を頼み、賑やかな宴会の声に心が浮き立ち、しばらく山深い所を回っていたので、芸者を呼べないかと相談するが、この温泉には12人しかいない芸者は、ダムの落成祝いで、いくつか宴会が入っているから駄目だろう、しかし、芸者でも素人でもない女の子がいるので、声を掛けてみると言う。
しばらくして女中は娘を連れてきた。娘は19才の駒子(岩下志麻)といい、新潟に行く途中の港町の出身で、16歳の時に酌婦として東京に売られ、少し後に引かれたが、旦那が亡くなったので郷里に戻ったが、貧しい家庭に、踊りの師匠の養女となってここへ来たと言う。しかし、踊りを覚える筈が養親の師匠が若くして中風になってしまったために、再び温泉で酌婦になったと言う。身の上話を聞くうちに、島村と駒子は打ち解けるが、女中がお座敷から駒子に戻れと声が掛かったと呼びにきた。駒子は、戻ってくるからと去ったが、その夜は現れなかった。
    翌日、島村が仕事をしていると、駒子がやって来る。昨夜は来なかったじゃないかと島村が責めると、しつこい客に飲まされ遅くなり過ぎたので、迷惑じゃないかと思って遠慮したと駒子。島村が広げている原書に興味を持ち、フランスの踊りの本だと答えると、こんな難しい翻訳をしているなんて、立派な仕事をしているのねと言う駒子。そんな駒子に、島村は抱ける芸者を紹介してくれないかと言う。駒子はここの芸者は、寝ないと言う。駒子には友達として邪な気持ちなしに話がしたいので、誰か自分のモヤモヤを解消させる相手が欲しいのだと、真面目な顔で話す島村。駒子は怒って帰って行った。
   旅館の女中から、若くて一番の美人との紹介でやって来た芸者の金太郎(桜京美)は、所詮温泉芸者だ。ビールをがんがん飲み、島村の洋書のダンサーの裸身を見て、お客さんは、こんなワイ本を見るなんてむっつりスケベだと言う・・・。その夜遅く、酔った駒子が、椿の間にやってくる。酔いが醒めるまで少し休ませてくれと言う駒子。しかし、いくつかのやりとりがあり、駒子を抱く島村。

    実家方面に行き、久し振りに母と妹と夕食。

2009年5月18日月曜日

駄目すぎる男のせいで、哀しいおんな。

   午前中は、講義資料作り。

    午後は、神保町シアターで、日本映画★近代文学全集
    55年大映東京衣笠貞之助監督『婦系図 湯島の白梅(297)』
   早瀬主税(鶴田浩二)は、13年前静岡の大火で孤児となったが、独逸語の大家で、帝大教授の酒井俊蔵(森雅之)に拾われ、教育を受けさせて貰い帝大に進み独逸語の学者として酒井の独和辞典の編纂を手伝っていた。神田の専門学校の教師としての職を得、湯島妻恋坂上52番地に借家で、女中おげんと暮らしている。しかし主税には、大恩ある酒井に打ち明けていない秘密があった。柳橋の芸者蔦吉(山本富士子)と相思相愛になり、牽かして女房としていたのだ。しかし酒井に許しを貰うまではと、家に来客があれば隠れ、茶碗や箸の数さえ気を使う。万事おげんは心得、温かく二人協力してくれるが、気軽に二人で外を歩くことも出来ないまま20日が過ぎた。上野で、東京市の水上大博覧会が開かれ、夜で人出も多いだろうと、二人は出掛けるが、見知った顔に会わないか気が気ではない。事実、酒井教授の令嬢の妙子(藤田佳子)と同級生や、大学で同級生だった河野英吉(三田隆)や宮畑閑耕(八木沢敏)たちに次々と声を掛けられる。その度に、二人は他人の振りをするのだった。河野は、妙子の美しさに目を付けた。
   翌日は日曜日、姉さんかぶりをしたお蔦が雨戸を開け、主税の書斎を片付けながら、主税を起こす。布団の中から、後五分寝させてくれと主税は答える。初々しい新婚家庭の休日だが、枕許に散らかる紙を丸めてゴミ箱に捨てはじめ、それは大事な原稿だと叱られて、私は旦那様の仕事も解らない馬鹿な女ですと涙する。そこに魚屋の‘めの惣’(加東大介)がやってくる。そんじょそこらに売っている鯛とは違い生きのいい“てえ”を勧められて、刺身とあら汁にしようとしていると、妙子が訪れる。慌てて隠れるお蔦。酒井の屋敷は真砂町にあるので、真砂町の先生と皆呼んでいるのだが、妙子は女中さんと二人の暮らしでは大変だろうと、重箱に一杯の料理を持ってきて、酒井教授が呼んでいるので、真砂町まで来てくれと言っていると伝言をする。
    急ぎ支度をして、妙子と共に真砂町に向かう主税。書生の?に尋ねると、酒井は朝からあまり機嫌がよくなく、用事があるのでちょっと外出するが、早瀬が来たら必ず待っているようにと言っていたと言う。不安になりながらも、病で伏せっている酒井の妻のきん(平井岐代子)に挨拶をする。主税は、酒井家の家族同然なのだ。しばらくして酒井が戻ってくる。主税が独和辞典の原稿を渡すと、酒井は、出版社の人間が辞典の原稿料を為替で持って来たので、現金にしたのだと言って、その金を持って行けと言う。固辞する主税に、一度出した金を戻すような酒井でないと言って受け取らせる。
    

    60年東京映画豊田四郎監督『濹東綺譚(298)』

2009年5月17日日曜日

にちようび

  天気がよくないので、洗濯と掃除を断念し(まあ掃除は常に断念されるが)、朝から出汁を取り、ご飯を炊き、浅蜊の味噌汁を作り、常備菜にするべくヒジキの煮物とサンマの梅煮とゴーヤチャンプルを作る。ついでに、オニギリの具用に、ダシを取った昆布で佃煮と、鰹節でオカカを作る。しまった白胡麻が切れていた。とりあえず黒胡麻和えてみたが見た目ガッカリだ。まあ、ゴーヤチャンプルの味が安定してきたので、ヨシとしょう。青魚の梅煮と、ヒジキに加えて、酔っても作れる定番メニューに。
     昼から専門学校の体験入学の講師。ふと家を出てから思い付いたエンタメ事始を、即興で話し始めると、体験入学者も、父母の方も好反応。今まで担当していた学生たちに悪いことをしていたなと反省。勿論、エンタメや著作権の知識などは、知っているに越したことはないが、もっとエンタメ業界に前向きさを感じられるような考え方や、生き抜く知恵を教えた方がいいのだ。自分はこんなことも知っているというアカデミック(苦笑)な講義が出来る講師を目指していたが、はなから自分の能力を考慮していなかった。学生が、これからの進路を考える材料を理解できるように提示して、判断してもらえばよかったのだ。あわよくば、どこかの大学の准教授の口でも掛ったら親孝行かと思いあがっていた。次回から、講義の方向がらりと変えたら学校から怒られるだろうか(笑)
    新宿ロフト移転10周年(?)に、かって担当していたJと言うバンドが出ると今の担当A&Rから聞いたのでロフトに。開場前に無理矢理楽屋に突入して、メンバーと本当に久し振りに話す。ライブ見る気満々だったが、急遽実家方面に行かなければならなくなったので、楽屋顔出しだけ。寺子屋で読み書きを教えながら、素浪人の身の上の拙者を口だけでも心配してくれるメンバーの言葉に心の中で涙(笑)、かたじけない。しかしセットリスト(演奏曲順)を見るとライブ本当に見たかったなあ。後輩TやらSやらの顔を見られただけでも良しとする。実家方面から、帰宅して、昼前考えたカリキュラムのパワーポイントを作ってみる。