阿佐ヶ谷ラピュタで、
昭和の銀幕に輝くヒロイン【第47弾】吉永小百合。
61年日活藏原惟繕監督『この若さある限り(300)』
東京の郊外にある明和学園(玉川学園のイメージか)の高校三年生大和田行雄(浜田光曠)は、古文の若い女教師河合のぶ子(吉行和子)に恋をしていた。授業中に、他の男子生徒たちから、のぶ子の裸像のいたずら書きが回ってくると、のぶ子が汚されるようで、破り捨てる。授業が終わると、隣家に住む幼なじみの河並亮子(吉永小百合)が友人の大林純子(葵真木子)と、声を掛けてきたが、用があると言って逃げ出す。余りにつれない行雄に、良子がプンプン怒っていると、純子は亮子に、幸男さんはあなたの恋人?と尋ねる。そんなんじゃないわと言う亮子に、それならアプローチしていいわねと純子。行雄は、学校の正門前で、のぶ子が帰るのを待ち伏せる。のぶ子は同僚の木村とみ子(小園蓉子)とやってきたので、 先生が授業中に話していたローレンスの本を読みたいので貸して貰えないかと頼む。のぶ子は、大学受験前だし大丈夫と尋ね、原書で良ければ、人に借りた本だけど今持っているので、貸してあげるわと言う。
行雄は、帰宅してローレンスのWOMEN OF LOVEをうっとりとしながら開く、しかし本の中に眼鏡を掛けた男性の写真が挟まれていて興醒めする。幸男の部屋は二階で、少し離れているが隣家の二階には、やはり亮子の部屋がある。亮子の顔が見えると、行雄は、一階の居間に降りて、母、保子(小夜福子)にまだ子供を産む能力はあるのかいと声をかけ怒られると、母親が若く美しいことは父親にも息子にとっても理想的なことだと言う。大和田家は、母子で、そんな会話もできる進歩的で裕福な家庭なのだ。お手伝いさんが、行雄に電話だと言う。純子から駅前の本屋にいるので来てくれないかと言うものだった。面倒くさがりながら出掛けると、アメリカ版のセブンティーンのファッションページのキャプションを訳してもらえないかと言うものだった。しばらく訳していたが、忙しいからこれくらいにしてくれと逃げ出す幸男。幸男と純子が本屋にいるのを遠くから見かけ、走り去る亮子。隣家の幼なじみで仲良かった亮子だが、私の友達の純子と私抜きで会ってと文句を言ったり、気分屋なのが、大人の女性ののぶ子に憧れる行雄にとって、同級生の女子は子供っぽく感じて嫌なのだ。
今日ものぶ子の授業を受けている。行雄はカッターで机に、のぶ子のイニシャルNKと掘っている。後ろの席の松下(亀山靖博)がのぶ子のことでからかってきた。のぶ子に注意された行雄は、後ろの松下くんがと言ったため松下は注意される。授業が終わり、松下は仲間と行雄に恥をかかせやがってと文句をつけてきた。学校の裏の空地で、4対1の喧嘩になる。行雄もなかなか強かったが、徐々に多勢に無勢。殴られ続けるようになった所に、亮子と純子が駆け付けてきた。二人は止めようとしたが無理だったので、「人殺し!!」と叫び始める。しかたなしに、走り去る松下たち。「何でこんな喧嘩をしたの?」と問いかける亮子に答えず去ろうとする行雄。「助けて貰ってお礼さえ言わない行雄さんになってしまったの?」と言われ、「ありがとう」と言って駆けてゆく行雄。
泥だらけで傷だらけのまま、帰宅した行雄は、少し眠ったあとに、のぶ子へのラブレターを書き始める。隣家の亮子はピアノを弾いている。うるせえなあと言いながらも、亮子の激しいピアノに突き動かされるように書き上げた。
翌日は休日で、行雄はのぶ子への手紙を投函しようと出かける。ポストに入れようとしたその時に、のぶ子に声を掛けられる。普段着で買い物姿ののぶ子も若妻のようで新鮮だった。この近くで一人暮らしをしているのだと言う。お茶でも飲むとのぶ子に誘われ、夢のような気持ちの行雄。非常に素直に、のぶ子のことが好きなこと、そんなのぶ子を他の男子生徒が、性的な妄想の対象にしていることが耐えられないことを話す。のぶ子は、物わかり良く、自分たちのような若い女教師と男子生徒は、そうしたもので覚悟はしていると答える。コーヒー代を自分が誘ったのだからとのぶ子が払い別れる。
のぶ子が帰宅すると、彼女の兄の友人で大学の教師でもあった、婚約者の永瀬英助(内藤武敏)が訪ねてくる。文部省の会議だったと言う。永瀬は、のぶ子の身体を求めて来るが、拒絶される。婚約して4年、キスさえ、たまにしか許さない。しかし、男の欲望のままに身を任せることには抵抗があるのだとのぶ子は言う。
孤高のニッポン・モダニスト映画監督中平康。
62年日活中平康監督『当たりや大将(301)』
大阪駅からタクシーで釜ヶ崎までと言う客がある。運転手は当たられまっせと気乗りしない返事だが、いいから行ってくれと指示する客(嵯峨善兵)。釜ヶ崎の街に車が入ると案の定。当たり屋の男が上手く倒れ込み、仲間たちが走り寄ってきてえらい騒ぎだ。客は面白そうに見ている。そこに警察がやってくる。警察のジープに先導され釜ヶ崎署に横付けされるタクシー。タクシーの客は新任の署長だった。次長(宮崎準)に、警察署長だと言うのもどうかと思ったのだが、聞いていた通りの街だねと笑う署長。次長は、山之内(浜村純)を紹介する。山之内はここに配属され9年になるベテラン刑事で、釜ヶ崎の住人たちには、ドブのキリストと呼ばれている。山之内は釜ヶ崎を説明し始める。人口3万5千人。人口密度は、1平方キロ当たり7万人。アンコと呼ばれるドヤ街で暮らす日雇い労務者は5千人(?)。古物商は200軒、泥棒市場と呼ばれている。大阪で盗まれた物のほとんどが、ここにいる160人の立ちんボの手に渡り、古物商に売られるのだ。立ちんボや、その日の仕事にありつけなかった労務者たちは、この空き地で4・5・1と呼ばれるサイコロ賭博をしている。質屋は、150軒。食い物屋も、100円あれば一日腹いっぱいになるような店ばかりだ。ドヤと呼ばれる一泊150円の簡易宿泊施設は250軒、アパートは440軒。パンスケは1200人。毎日10人は現行犯逮捕でブタ箱に入っている。今日も、ベンテンのお初(中原早苗)たちで留置場はいっぱいだ。彼女たちは「ポリ公のアホ!!ポリ公のアホ!!」と連呼して騒がしい。ドブのキリストが恫喝するが、蛙の面に小便だ。
その頃、釜ヶ崎のホルモン鍋屋で、昼間署長ののるタクシーに当たり屋をしたグループが呑んでいる。ぶつかりながら怪我ひとつしない当たり屋の名人の大将(長門裕之)、軍曹(杉山俊夫)、先任伍長(玉村駿太郎)上等兵(近江大介)二等兵(杉山元)たちだ。もう廻り中に、彼らが警察署長に当たり屋をやったと知れ渡っている。ホルモン鍋屋のおばちゃん(轟夕起子)は、「ゆ~きの降るまちを~、ゆ~きの降るまちを~、」というサビだけ延々と繰り返すが、女手一つで、5歳のチビ勝(頭師佳孝)を育てる気のいいおばさんだ。
新宿ピカデリーで、ロン・ハワード監督『天使と悪魔(302)』
昭和の銀幕に輝くヒロイン【第47弾】
61年日活藏原惟繕監督『この若さある限り(
東京の郊外にある明和学園(玉川学園のイメージか)の高校三年生大和田行雄(浜田光曠)
行雄は、帰宅してローレンスのWOMEN OF LOVEをうっとりとしながら開く、
今日ものぶ子の授業を受けている。行雄はカッターで机に、のぶ子のイニシャルNKと掘っている。後ろの席の松下(亀山靖博)がのぶ子のことでからかってきた。のぶ子に注意された行雄は、後ろの松下くんがと言ったため松下は注意される。授業が終わり、松下は仲間と行雄に恥をかかせやがってと文句をつけてきた。学校の裏の空地で、4対1の喧嘩になる。行雄もなかなか強かったが、徐々に多勢に無勢。殴られ続けるようになった所に、亮子と純子が駆け付けてきた。二人は止めようとしたが無理だったので、「人殺し!!」と叫び始める。しかたなしに、走り去る松下たち。「何でこんな喧嘩をしたの?」と問いかける亮子に答えず去ろうとする行雄。「助けて貰ってお礼さえ言わない行雄さんになってしまったの?」と言われ、「ありがとう」と言って駆けてゆく行雄。
泥だらけで傷だらけのまま、帰宅した行雄は、少し眠ったあとに、のぶ子へのラブレターを書き始める。隣家の亮子はピアノを弾いている。うるせえなあと言いながらも、亮子の激しいピアノに突き動かされるように書き上げた。
翌日は休日で、行雄はのぶ子への手紙を投函しようと出かける。ポストに入れようとしたその時に、のぶ子に声を掛けられる。普段着で買い物姿ののぶ子も若妻のようで新鮮だった。この近くで一人暮らしをしているのだと言う。お茶でも飲むとのぶ子に誘われ、夢のような気持ちの行雄。非常に素直に、のぶ子のことが好きなこと、そんなのぶ子を他の男子生徒が、性的な妄想の対象にしていることが耐えられないことを話す。のぶ子は、物わかり良く、自分たちのような若い女教師と男子生徒は、そうしたもので覚悟はしていると答える。コーヒー代を自分が誘ったのだからとのぶ子が払い別れる。
のぶ子が帰宅すると、彼女の兄の友人で大学の教師でもあった、婚約者の永瀬英助(内藤武敏)が訪ねてくる。文部省の会議だったと言う。永瀬は、のぶ子の身体を求めて来るが、拒絶される。婚約して4年、キスさえ、たまにしか許さない。しかし、男の欲望のままに身を任せることには抵抗があるのだとのぶ子は言う。
62年日活中平康監督『当たりや大将(301)』
大阪駅からタクシーで釜ヶ崎までと言う客がある。
その頃、釜ヶ崎のホルモン鍋屋で、昼間署長ののるタクシーに当たり屋をしたグループが呑んでいる。ぶつかりながら怪我ひとつしない当たり屋の名人の大将(長門裕之)、軍曹(杉山俊夫)、先任伍長(玉村駿太郎)上等兵(近江大介)二等兵(杉山元)たちだ。もう廻り中に、彼らが警察署長に当たり屋をやったと知れ渡っている。ホルモン鍋屋のおばちゃん(轟夕起子)は、「ゆ~きの降るまちを~、ゆ~きの降るまちを~、」というサビだけ延々と繰り返すが、女手一つで、5歳のチビ勝(頭師佳孝)を育てる気のいいおばさんだ。
新宿ピカデリーで、ロン・ハワード監督『天使と悪魔(302)』
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