2009年2月7日土曜日

はじけまして。いいタイトルだなあ。

    阿佐ヶ谷のCM王子に誘われて、渋谷クラブduoで、いいくぼさおりというシンガーソングライターのライブ。映画館ひきこもりだったので、今年初ライブ(苦笑)。アルバムタイトル「はじけまして」ツアータイトル「はじけましてツアー」。意外にしっとりピアノ弾き語って、欲を言えば、もう2メモリ位弾けて欲しかったなあ。でも、オフステで見ると、かわいくて、CD買ってしまい、握手して貰う(苦笑)。duoに1月から働き始めた元会社の辞め同期の女子に声を掛けられる。元気そうでちょっと嬉しい(苦笑)。

2009年2月6日金曜日

スクリーンの中も、自分の口の中も血まみれだ。

   渋谷イメージフォーラムで、幻想の美学・松本俊夫映画回顧展vol.1
   71年松本プロダクション/日本ATG松本俊夫監督『修羅(64)』。真っ赤な太陽が沈んでいく。鐘の音が響いている。御用提灯を持った捕り方に追われている男。武家屋敷の門を叩くが開かない。仕方なしに、裏へ回る。長屋の戸も開かない。無理矢理転がり込むと、血の海だ。切られた腕、斬り殺された数々の死体、愛する小万も死んでいる。愕然とする男。
   そこで目が覚める。小万の膝枕で耳掃除をして貰いながら眠ってしまったのだ。とてもうなされいたという小万。男は、酷い夢だったと言う。男は、塩治の浪士船倉宗右衛門(中村嘉葎雄)。主君の仇討ちのため、浪人薩摩源五兵衛と名乗って潜んでいる。最初は偽装の為に酒と女に溺れた振りをしていたが、腕に五大力と浮気封じの呪文の刺青まで彫るほど情の深い芸者小万(三条泰子)に全てを投げ出したくなっている。そこに船倉に仕える家臣八右衛門(今福将雄)が故郷よりやってくる。家財も茶道具もなくがらんとした部屋に驚く八右衛門。小万に骨抜きにされ大望を放棄してしまったとしか思えない八右衛門に、世を偽るための方便だと言う源五兵衛。主人の誠に涙を流し感動した八右衛門は、討ち入りの義士たちに参加するための軍資金百両を親類縁者を駆け回って必死の思いでかき集めてきたのだと言って、差し出した。八右衛門の忠義に、主君の仇を討つ決意を新たにした。
   しかし、三五郎(唐十郎)が現れ、百両での小万の身請話があると聞くとたまらず、せっかくの百両を出してしまう。しかし、三五郎は、実はおまんには夫がおり、不義密通となるので、小万と契りを結ぶことはできないと言う。夫は誰だと尋ねる五郎兵衛に、実は自分だという三五郎。偽られたと分かっても後の祭りだ。八右衛門に伴われ、帰宅する源五兵衛。
   しかし、悔しさに眠れぬ源五兵衛は、丑三つ時に深川に引き返し、一つ布団に入っている菊乃(川口敦子)と虎蔵(江波多寛児)を三五郎と子万と間違え斬り殺す。その物音に、三五郎と小万は隠れるが、三五郎の仲間たちは次々と源五兵衛の刀にかかった。
   三五郎が百両の金を工面することになったのは、10年前に自分を勘当した父親(松本克平)が、先日三五郎のもとに現れ、かって仕えた主筋のためにどうしても百両が入用で頭を下げにきたことだ。二人には、出家し了心となった父の主筋が、自分たちがたばかった源五兵衛こと船倉宗右衛門だとは知る由もない。里子に出していた二人の子供を戻し、父親のもとに、百両と孫を連れて行けば、勘当も解け、こんどこそ堅気な商売について親子3人で幸せに暮らそうと語り合う三五郎と小万。
   数日後、大八車で逃れる三五郎と小万。四谷鬼門町にある、小万の兄弥助(田村保)が大家の長屋に落ち着いた。百両の金子と初孫の顔に大喜びの了心は、三五郎への10年の勘当を解いた。主筋の宗右衛門は、数日前に寺を訪れ、離れに暮らしている、今日は留守だが、改めて三五郎を宗右衛門に紹介したいと言う。
   長屋に帰る途中弥助に会う。弥助は、深川五人殺しの下手人として薩摩源五兵衛の人相書きを配っている。家で、酒を酌み交わしながら、親子三人水入らずの幸せを改めて味わう三五郎と小万。酒屋を出てきた笠を被った武士が買ってきたばかりの酒に毒薬を入れている。武士は、三五郎の長屋を訪ねる。笠を取ると源五兵衛だ。恐怖のあまり声も出ない二人に、過去の事は水に流したので一緒に酒を酌み交わそうと言う源五兵衛。頭を下げながら、源五兵衛の求めに応じて小万に唄を歌わせる三五郎。そこにやってきた弥助にお尋ね者の源五兵衛が来ていると合図をする。
   弥助は、同心の宅兵衛(観世栄夫)を連れてくる。捕り方に取り囲まれた源五兵衛を救ったのは、八右衛門だった。深川五人殺しの下手人は、自分だと言う。武士の面目を果たそうとした主人を騙した連中に復讐したのだと。主人に縄を掛けてほしいという八右衛門の忠義に涙する源五兵衛。
   危ないところだったと、弥助と酒を飲む三五郎。火をくべようと床下を見ると、宗右衛門が仇討しようとする河野家の普請図面だ。かって河野家の出入り大工が住んでいたという大家の弥助。しかし、弥助は、主筋が違うので、仇討の味方は出来ないと言う。酒が切れ、源五兵衛が持ってきた酒を飲む弥助。普請図面を取り合っているうちに、毒が回った弥助は血を吐く。源五兵衛の酒は毒入りだと気がつくが、
苦しみながら、義弟に毒を盛られたと番所に届けでると言い出した弥助の首を絞め殺してしまう三五郎。
小万の兄を殺してしまったと自殺しようとする三五郎を小万は止める。子供のためにも死ぬわけにはいかないと、三五郎に普請図面を持たせ、了心に相談に行かせ、自分は、古井戸まで兄の死体を引きずり、投げ捨てる小万。
    部屋に戻った小万のもとに、源五兵衛が現れる。酒に毒を盛ったことが露見したと知り、更に、五大力という刺青が、三五大切と書きかえられているのを見て、小万を斬る。泣き叫ぶ赤子を、小万の手を添えさせ串刺しにし殺す。源五兵衛は、小万の首を持ち、寺の離れに戻る。小万の首に向き合いながら酒を飲む源五兵衛。そこに了心が百両と河野家の普請図面を持参しやってくる。もう遅いのだと言って、深川五人殺しの本当の下手人は自分で、自分を騙した夫婦の妻と子供を殺してきたばかりだと告白する。了心と話をしていると息子の仙太郎が三五郎だと気がつく源五兵衛。父親と源五兵衛の会話を部屋の隅にある棺桶の中で聞きながら、父親が忠義立てしようとしている船倉宗右衛門が源五兵衛だと知る三五郎。三五郎は、棺桶から出てきて、小万の首を見て持ってきた出刃包丁で腹を刺す。苦しむ三五郎に小万の首を抱かせ介錯する源五兵衛。ふたふらと歩き始める源五兵衛。数ヶ月後、塩治の浪士の討ち入りがあったが、その義士の名簿に宗右衛門の名はなかった。
   モノクロスタンダード、非常に計算されたスクリーン。ATGの予算で時代劇、現場の苦労が窺える。それもセットだ。残念なのは生首だ。寄りの時には、苦労して三条泰子が演じているが、それ以外は、あきらかに軽い。作りもそうだが、重さもしかり。しかし、中村嘉葎雄、唐十郎素晴らしい。小万役に美空ひばりをと言う話もあったようだ。三条泰子きれいな女優だと思うんだがなあ。
   角川シネマ新宿で増村保造 性と愛。68年大映増村保造監督『積木の箱(65)』。
   北海道旭川の私立北栄学園に通う中学3年の佐々林一郎(内田喜郎)は、北海道の観光王と言われる佐々林豪一の長男。ある日、クラスメートの津島百合(南美川洋子)に、左官業を営む博打好きな父親が佐々林からの仕事の材料費を使い込んでしまい、旭川から出て行くと言う話を聞き、豪一に相談しようと家を探すと、豪一と姉だと思っていた奈美恵(松尾嘉代)が全裸で絡みあっているのを目撃してしまう。実は奈美恵は妾であり、本妻のトキ(荒木道子)と家族のように暮らしている。大きなショックを受けた一郎は、自宅で食卓を囲むことが苦痛になり、学校近くの雑貨屋で、パンと牛乳を頼んでいる。その店の女主人の川上久代(若尾文子)は美しく、一人で五歳になる和夫(島田博)を育てている。ある時和夫が川で溺れたところを助けたことをきっかけに佐々林家の闇と正反対に美しい親子に救いのようなものを感じている。
     しかし思春期の一郎は、父親と抱き合いながら、嬌声を上げる奈美恵の姿態が頭に焼き付いて離れない。ある日、一郎は、本屋で成人雑誌を万引きする。見つけたのは、担任教師の杉浦悠二(緒形拳)だ。杉浦は、一郎位の年齢なら見たいのも当たり前だと理解を示しで自分が返しておくからと、雑誌を取り上げる。次第に杉浦と、久代の店で出会うことが多くなり、一郎は 愉快でない。一郎は、杉浦のロッカーに、久代の下着をぶら下げて級友たちに見つかるようにしたが、軽くいなされてしまう。杉浦は転校当時はトップクラスだった一郎の成績が落ち、口数も少なくなっていることを心配している。ある日、佐々林家に家庭訪問にやって来る。トキは取り繕った対応をしようとするが、姉のみどり(梓英子)は、資産家の家庭の欺瞞を暴く。トキは、自分が3人目の子供を流産してしまったときに、豪一が15歳の奈美恵を二親がなく、親類に女郎に売られた可哀想な子供を女中として引き取った時のこと、また豪一が奈美恵と同衾しているところを目撃し、みどりと一郎を連れて家を出ると言ったところ、おれの子供をお前を殺しても渡さないと怒り狂った豪一に首を絞められたことを思い出して涙ぐんでいる。
   その夜、宿直の杉浦をみどりが訪れ誘惑するが、杉浦は相手にしない。豪一が一週間東京に出張することになった。ネグリジェ姿の奈美恵は、一郎を誘惑する。豪一と奈美恵の汚い関係に怒りを持ちながらも、誘惑には勝てない一郎。奈美恵は一郎を男にし、毎夜一郎をベッドに誘う。最後の夜、豪一と寝るなと言う一郎。しかし、勿論約束は破られる。
    北栄学園では夏休みにサマーキャンプが行われる。百合は、夏休みが終わったら、小樽に転校するので、ぜひ一緒に行って欲しいと一郎を誘う。杉浦も、久代に賄いのおばさんが行けなくなったので、同行して貰えないかと誘う。随分長い間和夫を旅行に連れて行っていないので、参加しようかしらと答える。行きのバスの中皆歌を歌っている。久代と杉浦が気になって歌わない一郎に気付いて歌うのをやめる百合。
    湖に着いてテントが張られている。一人つまらなそうにしている一郎の所に水着姿の百合がやってきて、一郎のことがずっと好きだった。思い出を作りたいのでキスをして、何でもしてと告白するも、父親や姉たちが車でやってきたので、百合を残して逃げ去る。豪一は、差し入れの菓子を部下に持たせている。豪一の姿を見て、慌ててテントに隠れる久代。みどりは、杉浦に久代のことが好きなのねと言って、明日から東京、大阪、九州と気ままな旅行に出ると告げる。
    旅行から帰ってきたみどりの写真を見ている佐々林家の人たち。景色ではなく男の写真ばかりだ。その中にサマーキャンプで、杉浦と久代が写った1枚がある。久代を見て、考え込む豪一。豪一との寝室に奈美恵が入ってくると、アルバムを見ている豪一。その中に、久代が写っているものがある5年程前、久代は豪一の秘書だった。あの子供は豪一の子ではないのかと言う奈美恵。認知とかしないわよねと言う奈美恵。愛人には子供を生ませない主義だと言う豪一。
    翌日念入りに和装姿で久代のもとを訪れる奈美恵。和夫は豪一の子だろうと決めつけ、久代が否定しても、あんたが一郎に近づいたのは、豪一に近づいたからだろうと毒づく奈美恵。一郎が止めに入る。奈美恵が帰った後、女は皆同じで久代は父親の愛人じゃないかと言う一郎に、久代は、杉浦と一郎に自分の過去を告白し始める。久代の父は、ある会社の経理部長だった。部下の多額の使い込みがあり、それの穴埋めに苦労している時に、母親が病に倒れた。当時秘書をしていた豪一に相談すると、小切手を渡すので、料理屋に来いと言われて受け取りに出向くと、暴力を持って乱暴された。小切手を持って帰宅した久代を待っていたのは、既に自殺した父親の姿だった。それ以降、豪一の会社から姿を消し、人知れず和夫を産んだ。豪一の暴行によって生まれた和夫だが、自分ひとりの子供だと思いながら育てて来たのだと。一郎の名字を聞いた時に兄弟だとわかったが、自分以外身よりのない和夫が実の兄を知らずに慕っていることを喜んでいたのだと。
     一郎はナイフを買って帰宅する。豪一のもとに行き、刺そうとするが、お前に俺を殺せるかと迫られ、ナイフを投げ捨てる。父親への復讐を違うやり方で成し遂げようと思った一郎は、深夜に学校に忍び込む。宿直室のストーブに灯油を掛け放火する。その日の宿直は杉浦で、札幌に文房具の仕入れに行く久代に頼まれて、和夫を預かり宿直室に寝かせていたのだ。見回りの途中火事に気がついた杉浦は走り去る男が帽子を落としたことに気がつく。しかし直ぐに和夫を助けに火の中に飛び込む杉浦。翌日の新聞に宿直教師の不注意による失火で和夫が大火傷を負ったと書かれている。杉浦は放火犯が一郎だと思って庇ったのだ。しかし、責任を取らされ辞職願いを提出する。
   新聞を読んだ豪一が、一郎の部屋にやってきて、お前が放火したかもしれないが、杉浦に罪を被せて知らん顔をしろと言う。万が一、何か不利な証拠が挙がっても金の力で揉み消してやる。これを機会に悔い改めて、真面目にやれと言う豪一。そこにお腹が大きくなったみどりが現れる。スキーに行った際に知り合った名前も知らない男の子供を妊娠したのたと言うみどり。中絶しろと言う豪一と言い争う。怒り狂った豪一が出て行くと、腹に入れていた詰め物を取り出し、父親を騙したのだと一郎に告げ、みどりは家を出た。
   一郎は、和夫が入院している病院に行く。久代は喜ぶ。しかし、杉浦がいるのを見て、帰ろうとする。杉浦は、一郎を引き止め、帽子を返し、父親が酷い人間だと言って反発しているだけでは駄目だ。父親を見返せるくらいの人間になれと言って、東京へと向かった。和夫は一郎が見舞いに来てくれたことをとても喜び、指がくっついてしまた酷い火傷の手を無邪気に見せる。自分が和夫をこうしてしまったのだと泣く一郎。佐々林家では、豪一とがトキに、「みどりや和夫がああなったのはおまえの教育のせいだ」と言っている。私があの時に家を出ていればと泣くトキ。そこに、一郎が帰ってきて、二人の前の電話で110番に電話をし、北栄中学の放火犯は自分なので、逮捕しにきてくれと言う。門の前で、警察を待つ一郎。
   68年大映増村保造監督『セックス・チェック 第二の性(66)』。
   かってスプリンターとして日本のトップだった宮路司郎(緒形拳)を、かってのライバルで友人の医師峰重正雄(岡田裕介)は、木下電気の女子陸上部のコーチとして原専務(内田朝雄)に紹介する。原は、メキシコオリンピックに出られる選手を生んでくれと頼む。しかし、陸上部の選手たちを見ても宮路の眼鏡に叶う選手はいない。峰重は、宮路を自宅に案内する。峰重の妻彰子(小川真由美)を、かっては宮路も好きだった。酒に酔い寝てしまった宮路を、翌日もう少し寝させてやれと言って、仕事に出かける峰重。しかし、目が覚めた宮路は、彰子を暴行してしまう。
   宮路はかって、オリンピックへの養成選手だった。昭和14年春アメリカに遠征し、カーターというコーチのトレーニングを受けた。カーターは、宮路に狼になれといって、人間の中にある野獣性を引き出す特訓を受けた。しかし、太平洋戦争でオリンピックは中止、出征した宮路は、戦場でその野獣性を発揮、戦地で女たちを見ると襲いかかって暴行し続けた。
   ある時、宮路はバスケット部にいる野性的な眼をした南雲ひろ子(安田道代)を発見する。彼女に男になれと言って、髭剃りを渡し、顔を剃れといい、激しい特訓を始める。次第に、特訓は過激になり、宮路は、今後は、社宅にひろ子と二人で生活し、陸上部の面倒を見ないと宣言する。文句を言う原に、オリンピックにひろ子を出して会社の名前を有名にすることができると押し切った。事実、次の大会で、日本記録と01秒差の11秒06今期日本最高で優勝する。得意満面な宮路。自分が果たせなかったオリンピックで日の丸を挙げるという夢をひろ子に見たのだ。
   日本スポーツ連盟の笹沼の元に行き、オリンピック候補にひろ子を加えろと言う。記録は問題ないが、尊大で敵の多い宮路に眉をしかめる笹沼。とりあえず、セックスチェックを受けさせておいてくれと言われ、ひろ子を改めて連盟の診療所に連れて行く宮路。嘱託医の峰重と女医たちは、ひろ子を半陰陽で、男性器も女性器もなく、女性と認定できないと診断する。宮路は、自分が彰子に乱暴したから恨んでいるのかと問い詰める。医師の良心を馬鹿にするなと言う峰重。彰子は、家出をして宮路のもとに行くが、ひろ子との生活を見せられ、帰宅して自殺未遂を起こした。
    女性ではないと言われショックのあまり、陸上も会社も辞めたひろ子。伊豆の富士見峠まで宮路は迎えに行く。浜辺で二人で話し、女になりたいというひろ子に、男にし過ぎた自分が女にしてやると言って、ひろ子を抱く。原に電話をしている宮路。伊豆で合宿するので、100万円送れと言って、電話を切り、化粧品を買う。ひろ子の家の離れでの生活が始まった。昼間は激しい練習、夜は、化粧をさせたひろ子を抱く日々だ。徐々にひろ子の中に女性が目覚めていった。ある日、トレーニング中に、ひろ子は失神し、崖を転がり落ちる。追いかけて行った宮路が気絶しているひろ子を介抱すると、トレーニングウエアに血が、ひろ子に初潮があったのだ。抱き合う二人。
    峰重の家に、二人が現れる。会わないという峰重に強引にひろ子の身体を調べさせる宮路。女性だと認め、女性証明書を書くが、今後絶交して、一切会わないと言う峰重。妻の彰子は、数度の自殺未遂の末正気ではなくなってしまった。焦点の合わない目で、歌を歌う彰子の横顔を見つめる宮路。
     オリンピック選考会の日がやってきた。100m予選に出場するひろ子。木下電気の原、連盟の笹沼と並んで見ている宮路。スタートするがスピードが上がらない結局4位でゴール。決勝には残れない。タイムも12秒05の凡タイムだ。これはどういうことなんだと言う原に、女にし過ぎてしまったのだと言う。コーチは辞め、陸上競技とも縁を切る。自分は狼から犬になってしまった。走ろうたって、走れねえ。と呟きながら歩きだすと、ひろ子が立っている。一緒に行こうとひろ子の肩を抱きながら競技場をあとにする宮路。
 夜は大門の歯医者でインプラントの根の部分の埋め込み。

2009年2月5日木曜日

山よ~、大好きだあ~と叫ぶ人は本当にいるだろうか(笑)

   阿佐ヶ谷ラピュタで、昭和の銀幕に輝くヒロイン【第45弾】木暮実千代
   52年新東宝/東京プロマキノ雅弘監督『離婚(63)』。吹雪の中、女を励ましながら、山小屋を見つける男の姿がある。男の名は、武部謙作(田崎潤)、女は相馬道子(木暮実千代)。2人はまたいとこで、幼なじみだった。子供の時も沼津の海で溺れた道子を助けたのは謙作だった。山小屋の外は荒れ狂っている。スキーを担いだ男が山小屋に現れ、直ぐに外に出て行く。暫くして一抱えの枝を持ってくる。小屋にあった薪は、無くなりそうになる。謙作は、男に、枝を貰えないかと頭を下げるが、男は断る。道子の体温がどんどん下がってくる。これしかない薪では、体温を上げられないと男は言い、肌と肌を合わせて暖めるしかないと言う男。道子が人妻であることで躊躇するが、従う謙作。
    下では、大騒ぎになっていた。救援隊も出せないほど荒れ狂う天候。道子は貞淑女学院の理事長家の嫁で、その美しさから白百合夫人と呼ばれ、マスコミでも度々取り上げられる程の有名人。彼女が遭難したというのだ。新聞社な相馬家に連絡が入るが、理事長の相馬夏野(英百合子)は、弟の正道(杉狂児)と、息子であり道子の夫の文男(田中春男)に相馬家としては迎えは出さないと命じた。道子の兄で医師の山村省吾(江川宇礼雄)は、そんな相馬家に呆れながら山に向かう。一方、謙作が下宿する真砂館にも連絡が入り大騒ぎとなり、主人の酒井半蔵(斎藤達雄)も下宿人たちに託された物資を持って行った。
   2日2晩吹き荒れた吹雪はようやく止む。謙作と道子が気がつくと、男は消え、缶詰めが置かれ、これを食べれば下山できるだろう。これに懲りて山には来るなと言う伝言が置いてある。下山してきた二人を歓迎する仲間たち。その夜休んでいると、寒さをしのぐために肌を合わせていたのだと心のやましいところのない謙作は仲間に話した。それを聞いていた謙作の恋人の宮脇田鶴子(宗方規子)は、思いつめたように宿を後にする。田鶴子の姿が、相馬家にある。夏野たちに、謙作と道子が二日二晩同室していたことを誇張して文句をつけ、貞淑女学院どころか、不貞淑だと決めつけた。
   新聞なども、このスキャンダルを面白おかしく取り上げる。謙作は、勤務先で女たらし、色魔と悪評判だと書かれる。貞淑女学院に降って湧いたスキャンダルに憂慮した夏野たちは、帰宅した道子に、不貞をした嫁として辛く当たった。二人きりでなく、第三の男が一緒だったといっても、名前も知らない二人には、反証を挙げろと犯罪者のように言う夏野たち。夫の文男も、道子を汚いものを見るような視線を送る。道子は、反証を挙げるまで相馬家を出ると言う。道子の兄の山村は、沼津に戻る汽車の中で、古い友人の佐久間大介(佐分利信)に7年振りに再会する。かって山村は、妹の道子と佐久間を見合いさせようと、佐久間の牧場に連れて行ったことがある。しかし、佐久間は見合いを面倒くさがって逃げだしていて会えなかったことがある。そんな君の妹はどうしていると聞く佐久間に、結婚していると答える山村。実は、佐久間こそが、第三の男だった。しかし、二人とも雪山の遭難の話にも触れないまま別れる。
   謙作は、道子を真砂館に連れていく。大家夫妻の部屋に住むことになる。その夜、真砂館の住人たちが、無事帰還のお祝いをしてくれ、道子は、東京に戻って初めておめでとうと言って貰えたと涙ぐむ。第三の男の手がかりは全くない。困って、道子が喫茶店に入ると、そこに第三の男佐久間がいる。相馬家に引きずるように佐久間を連れていくが、佐久間は、危険な冬の山に嫁が出かけるのを止めもしない相馬家は可笑しい。妻に対して不貞の反証を出せと言う夫も可笑しい。夫であれば妻が不貞しているかいないか分かるだろう。そんな相馬家に、必至で不貞していないと証明しようとしている道子もおかしい。反証してどうしようとしているのだと乱暴に言って相馬家を後にする。
   乱暴者で酷い人間だと決めつける道子に、我々にとってはそうかもしれないが、佐久間の話にも一理あるのではないかと言う謙作。新聞の風向きが変わってきた。雪山で遭難し助かった道子を不貞を理由に追い出そうとしていると書き始めたのだ。困った夏野は、正道を真砂館に使いにやり、呼び出した上、不貞の可能性を不問にするので帰ってこいというのだ。学院の対面のことしか考えない相馬家にいやけがさし、反証があがるまで戻らないと言う道子。夏野は、そういうことなら不貞を理由に離婚訴訟を起こすと言う。一方、謙作は、田鶴子に話を聞こうと追いかけるが逃げられ、ストーカー扱いし交番の警官に突き付けられまでする。
   真砂館を田鶴子が訪れる。半蔵は、謙作の部屋に上げて話を聞く。カッとすると見境いのない行動をしてしまう自分が、謙作や道子にひどいことをしてしまったと反省していると泣く田鶴子。道子と謙作が散歩をしている。道子は、謙作に結婚して幸せにしてくれないかと言う。しかし、「そのことをずっと考えていた。自分はみっちゃんを愛している。みっちゃんのためなら自分は死ねる。山小屋で肌で身体を温めながら、男の気持ちにはならなかった。こんなに愛しているみっちゃんと結婚することで失いたくないんだ」と言う謙作。真砂館に戻る二人に半蔵が、田鶴子が来ていることを告げる。謙作に全てを話し、謝罪する田鶴子。道子にも謝りたいと言うので、謙作が道子の部屋に行くといない。下宿の女中が荷物を持って出かけてくるといっていたと言う。
    沼津の山村省吾の家、省吾が妻(吉村美沙子)と話している。昨夜遅く突然帰ってきた道子は青白く死人のようだったと心配する二人。妻には、ここでうまい魚を食べていれば元気になるさと言うが、心配になった省吾は寝ている妹を見に行く。呼吸をしているかと口元に手を持っていく省吾を狸寝入りしていて驚かす道子。謙作から手紙が来ているよと言う省吾。省吾は、気晴らしに牧場にでも行かないかと言う。かって見合いをさせようとした友人の佐久間に、再び道子を紹介しようと思ったのだ。
   省吾の妹を宜しく頼むという手紙を持たされて牧場を訪れる道子。しかし一足違いで、佐久間はいない。佐久間のばあや(一の宮あつ子)は、山が好きで、山と会話をしにいっているのだと言う。自分も山と会話をしたくなったという道子。道子がスキーを担いで山を登っている。山よ~と呼ぶ声が聞こえる。滑り降りてくる佐久間。山よ~、大好きだあ~、馬鹿野郎~。と叫ぶ。木霊が返る。自分を大好きと呼んでくれる人間が欲しいと呟く佐久間。そこに道子が滑ってくる。二度と山に登らないというメモを残した筈だがという佐久間。二度と迷惑はかけないわと言う道子。道子はあの山小屋を訪れ、佐久間のリュックを見て微笑む。佐久間がやってくる。天候が変わり吹雪始めた外に出て行こうとする道子を止めた佐久間は、友人の省吾が自分に宛てた手紙を見つける。読み始めて、君は最初から知っていたのかと尋ねる佐久間。笑いだす佐久間。なぜ、相馬家で事実を言わなかったのかと問う道子に、事実かどうかではなく、事実によって何が起こるかが大事なんだという佐久間。
   相馬家に新しい嫁が帰宅する。自分より先に夏野が風呂に入ったと聞いて、わざと夏野に聞こえるように、犬だって、誰が食べさせてくれているか知っていると言う。経営難に陥った学園のために、道子を追い出し、資産家の嫁を文男に迎えたのだ。夏野は、道子のことを考えていた。
   そのあと、先日面接した専門学校に出向く。非常勤講師の口だけは何とか決まったので、これだけでは食えないが、春からは映画だけ観ていなくてもよくなった。

2009年2月4日水曜日

香川京子と久我美子と永作博美と丸山明宏

   朝一番から丸の内のクリニックで糖尿病の経過観察。血糖値、血圧ともに正常値。体重は、先月から1kgしか減っておらず誤差の範囲内か(苦笑)。
   シネカノン有楽町1丁目で、中嶋莞爾監督『クローンは故郷をめざす(59)』。
   大気圏外で事故が起き、金本明が亡くなった。宇宙飛行士高原耕平(及川光博)が職員と話している。今回の事故で計画の大幅な見直しがされそうで、予算が削減される可能性が大きいと話している。次回の予定だった耕平の宇宙飛行の目途は立たない。そこに、金本の母(藤あけみ)がやってくる。
   母、高原洋子(石田えり)は、耕平(塚本俊)と昇(塚本将)という双子の兄弟を育てている。人参が嫌いで少し乱暴者の耕平と気持ちの優しい昇。近くの河で遊ぶ二人。耕平が釣りをしていると流される。助けようと河に入る昇。結局耕平は自力で這い上がるが、昇は溺れて亡くなった。小学校2年生のことだ。
   耕平の妻時枝(永作博美)が、植物人間状態の洋子の看病をしている。大気圏外で船外活動をしている耕平。トラブルが起き耕平は宇宙に投げ出される。洋子の生命維持装置が異常を示している。
   クローン研究所で、時枝は、研究所長の影山(嶋田久作)と宇宙開発研究所所長の笹川(矢島健一)を前にしている。影山たちは、耕平が希望したことだと言う。耕平は自分が亡くなった場合は、クローンの製造を承認していたというのだ。全く話を聞いていない時枝は納得できない。しかし、既にクローンの耕平は誕生している。現実を受け入れられず、認めない時枝。再生された耕平と話をする影山。耕平は、小学校2年の時の記憶で止まっているようだ。意識の回復の失敗だ。
   耕平がクローン研究所を脱走する。子供の時に遊んでいた河の下流から歩き続ける耕平。あぜ道の途中に宇宙服がある。ヘルメットを開けると耕平の顔だ。雨の中、宇宙服ごと背負って歩き続ける。農夫(田村泰二郎)が声を掛け、自宅に連れて行く。食事の人参を残している。再び歩き始める耕平。しかし、宇宙服は空になっている。途中産廃業者を通り抜けようとしたときに、業者の男(緒方明)に、勝手に持ち出すなと宇宙服を取り上げられてしまう。
   再び耕平が再生される。時枝が呼ばれる。帰宅する二人。君に言えば反対されると思ったので、言えなかったんだと謝り、母親を心配する耕平。時枝は、母の死を告げる。しかし、耕平はやはり、歩き始める。農夫が声を掛ける。双子の兄弟のことだろうと言う。耕平の跡を歩き続ける耕平。廃屋で倒れ冷たくなっている耕平を見つける。宇宙服を着た耕平を背負い歩き始める耕平。
   言い訳をすると、朝早く起きた上、検査後の朝食、寒い外から暖かい劇場内、悪条件が重なる。更に音楽がほとんどない淡々とした展開(普段音楽の過剰に文句ばっかり言っているのだが(苦笑))、時々意識が飛ぶ。映画自体、回想シーン入るし、元々クローンだし、一卵性双生児だし、自分が見た夢の一瞬のインサートもあり、複雑になる。負け惜しみでなく、それはそれで迷宮をさ迷っている気分でちょっといい。まあ言い訳だ。
  一卵性双生児の兄弟を子供時代に亡くし、母親のためにもいく続けなければいけないと思いながら育った耕平の気持ちと、相次ぐ宇宙開発中の事故死で宇宙飛行士のクローン再生という禁じ手を使う研究所。母と昇と暮らした場所へ戻っていこうとするクローンたちの気持ち。河がひとつのモチーフになっているので、鮭の遡上を連想させる。
   淡々とした及川光博と、現実を受け居られれないまま熱く抗議をする永作博美。二人ともかなり頑張っている。しかし、もう少しな印象。演出の問題なんだろうか。
1階下のよみうりホールで、読売新聞社の会社説明会をやっており、エレベーターも階段も満員。黒いスーツの善男善女。ここ数年就活ファッションは、ほとんどブラックスーツ一色になった。一昨年まで面接していたんだなあと思い出す。どん底不景気な中での就活、お互いめげずにいようねと、勝手に自分も仲間だという気に(苦笑)
神保町シアターで、男優・森雅之。58年東京映画川島雄三監督『女であること(60)』。
弁護士の佐山貞次(森雅之)の仕事は順調で忙しい日々を送っているが、結婚して10年になる妻の市子(原節子)との間には子供がいない。女中のしま(中山千枝子)、それに寺木妙子(香川京子)と暮らしている。妙子の父親は殺人事件を起こし第1審では死刑判決が出て、小菅拘置所に収監中で、佐山の弁護で控訴している。可哀想に思った市子が、自宅に引き取ったのだ。外出しようとしている妙子に、佐山は事務所に行きがてら車で送ろうかと言うが、妙子は恐縮して固辞する。デパートの屋上で、妙子の唯一の趣味である小鳥を見ている妙子に、声をかける学生有田(石浜朗)がいる。何か本心を明かさない妙子に、有田は不満におもいながら、惹かれている。急に屋上で騒ぎが起きる。自殺だ、人殺しだと言う声が聞こえ、気絶する妙子。
    市子の下に大阪にいる女学校時代の親友の三浦音子(音羽久米子)の娘のさかえ(久我美子)が東京に家出をし、市子を慕っているので、会いに行くだろうとの速達が届く。佐山の友人の村松(芦田伸介)とその息子光一(太刀川洋一)と佐山夫妻との会食で、東京ステーションホテルに行くと、さかえがいる。頭の回転もよく美人のさかえだが、甘やかされて育てられたので、きまぐれで、調子がよく、自分が愛されていないと機嫌が悪くなる。さかえの奔放な行動は佐山夫妻の関係にひびをいれることになる。
    光一の誘いで市子とさかえは、宝塚劇場に行く。光一とさかえは、幼馴染だった。会場で、光一は仕事で世話になっている東亜産業の清野(三橋達也)を紹介する。二人は初対面のようによそよそしい。しかし。かって二人は、水産学校の学生と女学生として交際していた。17年振りの再会に心穏やかではない市子。清野の妻は病死している。
   その頃女学校の同窓会がある。数日前から体調を崩している佐山を気遣う市子。あれこれと面倒をみているさかえに心穏やかではない市子。庭に見事に咲き誇っていた菊を切花にして持ってきたことで爆発する。佐山は、さかえに、この菊は市子の亡くなった父が丹精していた、庭の主なんだと説明する。佐山から大丈夫だからと重ねて言われ、同窓会に出かける市子。同窓会の帰りに、元子(丹阿弥谷津子)、くに子(荒木道子)、よし子(菅井きん)らと、やはり同窓だった女流画家の吉井(南美江)の個展を訪れる。清野が先日やってきて貝殻を題材にした作品を買ってくれたという吉井。女学生時代、市子が海の声が聞こえるといって貝殻を好きで集めていたことは、当時誰でも知っていたことだ。そこに光一が現れ、市子が見に行きたいと言っていた東をどりに案内する。しかし、このチケットを手配してくれたのが清野で、本人も来ていると聞いて、新橋演舞場の入口で、風邪で寝ている佐山を理由に帰宅する。
    さかえは、佐山の事務所を手伝い始める。明るくテキパキしたさかえがやってきてよかったと、働きながら学校に通っている浅川(山本学)たちからも好評だ。ある日、佐山を訪ねて清野がやってくる。取り次ぎながら、微妙な表情のさかえ。清野がご夫妻で食事でもと誘うが、市子は断り、佐山、清野、さかえで食事をし、ナイトクラブに行く。無理やりさかえにダンスを誘われた佐山は、しかし具合が悪くなる。佐山とさかえを家まで送る清野。その日、音子が上京している。清野のことを知っている音子は、市子の相談に乗っているところに、三人が帰宅する。早く帰そうとする市子に、事情を知らない佐山は失礼じゃないかと言う。その夜遅く、同室で寝ている母、音子に、清野と市子の間には何かあるのではないのかと詰問するさかえ。何もないという音子だが、明らかに動揺している。
   翌日、はとバスに乗る市子と音子。江島生島のバスガイドの話に、微妙な顔の二人。近くの土手に有田と妙子がいる。住んでいるところを見たいという有田を断りきれない妙子。自室で、妙子は泣きながら、両親が亡くなっているというのは嘘で、自分の父親は未決囚で拘留中で死刑になるかもしれないと告白する。泣き続ける妙子を抱く有田。さかえが、佐山の用で書類を取りに家に戻ってくる。何度ベルを押して妙子が出てこないので裏に回ると、裏口を走り去る有田の姿を目撃する。その晩、妙子が書置きを残して姿を消す。佐山夫婦の留守宅で、有田と関係してしまったことを、夫婦に対する裏切りと考え、罪悪感に耐えられなかったのだ。しかし、市子は、佐山がさかえばかり可愛がるからだと夫を責める。数日後、光一と妙子が踊っている。妙子自身も、自分が何をしたいのかが分らなく苦しんでいるのだ。理解者が欲しいのだと言う。その夜、妙子は泥酔して帰宅する。佐山が甘やかすからだと再び市子は夫に迫る。
  市子は、妙子と有田が暮す貸し間を訪ねる。驚く妙子を励まし、金を渡す市子。妙子との結婚の許しを貰いに実家に帰省していた有田は、当然のように、死刑囚の娘、殺人者の娘との結婚には大反対される。有田の気持ちも影響を受け、妙子一人を残して、学生寮に引っ越してしまう。
妙子の父親の公判の前日、佐山は、さかえと車で帰宅する途中、さかえが甘えるようなことを言いだしても相手にしない。急に車を止めさせ、河原に走り出すさかえ。佐山は追って行き、しまいにはさかえの頬を打つ。父親にも母親にも打たれたことのない頬を打ってくれた佐山に感謝しながら泣くさかえ。さかえくを抱きしめ唇を重ねたようにも見える。一人さかえを残して帰宅する佐山。夜中の3時を過ぎても帰宅しないさかえに、再び、市子は佐山に絡み始める。明日大事な仕事だからといっても、我々の結婚が誤りだったのではないかと思い、自分の父も祖父も弁護士で、この財産目当てで結婚したのかと尋ね始める市子。資産家の娘と苦学生の結婚なんて、どこにでもある話じゃないかと言う佐山。
   翌日、市子は清野を訪ねる。佐山と市子の夫婦関係を壊すつもりはない。自分が考えていることは市子が幸せでいてくれることだという清野。市子が清野に期待した答えとは違うのかもしれない。そこにさかえが現れ驚く市子。清野は、昨夜、清瀬に滞在中の母親の音子のもとに送ったのだと言う。しかし、さかえが、清野がカナダに行ってしまうことを告げた時に、更なるショックを受けて走り去る市子。
   妙子の父親の裁判はうまくいく。裁判所の前で、佐山に3年から5年の刑期になるだろうと言われ、喜ぶ妙子。そこに有田が現れる。話があるという妙子。有田と結婚する気がなくなったという。ではこのまま付き合おうと言う有田に、結婚を諦めたと思って嬉しそうな顔をしているが、別れを告げるために会ったのだと言う妙子。しかし、前夜一睡もしていない佐山は憔悴していた。車で帰宅する途中、交通事故に会う。生死も分からないまま、病院に駆けつける市子。足を骨折し、頭にも包帯を巻いて眠っている佐山の姿がある。
   佐山の家に、村松と光一、音子が来ている。佐山の退院祝いだ。妙子は料理をする女中のしまを手伝っている。帰宅した市子を、笑顔が戻った妙子が出迎える。妙子は、佐山の紹介で少年の更生施設で働くことになったと言う。市子は、妊娠を佐山に伝える。来客した皆が佐山夫妻に子供が出来ることを祝福する。しまが、市子を呼びに来る。誰だろうと思いながら門まで行くとさかえがいる。みんないるから中に入れという市子に、自分は京都の父親を訪ねたのちに、自分が本当に何がやりたいのかを探すために旅に出ると言うさかえ。市子に謝罪して、さかえは雨の中を走り去る。
    川端康成原作、「女であること」というタイトルは、女子養い難しということなのか。登場人物の女たちは、自分の感情をコントロールできずに暴走し、男たちを困らせる。女の嫌らしさを描くと、橋田壽賀子、内館牧子以上の川端康成。感情的な女に、理性的ぶって被害者面している男の方が立ち悪いと思うんだがなあ。オープニングに、丸山明宏(美輪明宏)が出演し、黛敏郎作曲、谷川俊太郎作詞のシャンソンの主題歌を歌う。あまりのスレンダーさに驚く。この場面見て、オーラの泉と分かる人はいないだろうなあ。
    神保町シアター来る度にお客さん増えて凄い。今日も満席だ!我々のような中高年シネフィル失業者の癒やしスポットではなくなってきた。金はなくヒマだけはある我々と違って、ここにマーケットは確実にあるんだけとなあ。月曜日に行ったシネマート新宿を思う。ちゃんと興収としてカウントされると、2009年度から無視出来なくなるんじゃないか。
    渋谷に出て散髪してから、シネマヴェーラ渋谷で、森崎東の現在
    72年松竹大船『喜劇・女売り出します(61)』。 満員の山手線。金沢(森繁久弥)は、若い娘と身体がくっついて鼻の下を伸ばす。更に娘 の手が動いて、腰のあたりをもぞもぞさせるのでウハウハだ。正月早々、トルコ嬢を相手にそんな話を自慢している。頼んでいた煙草代を払おうと財布を探す と、見つからない。掏りだ。村枝(久里千春)の鮨屋でボヤキながら飲んでいると、掏りの娘がやってくる。村枝に聞くと、浮子(夏純子)という娘だと言う。 浮子の後をつけ、デパートのエレベーターの中で、帯留めを掏ったところで、捕まえ新宿芸能社に引っ張ってくる金沢。掏り扱いしてと、怒って服を脱ぐ浮子。 全裸になっても何もない。どう落し前をつけるんだと全裸の浮子に開き直られて、困り果てる金沢。しかし、浮子の後ろで寝ていたタマ子(中川加奈)が、手に 隠した帯留めに気が付きひと安心だ。
  浅草の掏りの親方から逃げ出し行き先のない浮子は、新宿芸能社でストリッパーになった。 若く感のいい浮子は、振り付けをすぐに覚える。しかし、女将の竜子(市原悦子)は、他の踊り子のようにおかあさんと言ってくれないことが不満だった。しか し、「おかあさん、手品とストリップを組み合わせてみたらどうかと思う」と言う浮子の言葉に嬉し涙を浮かべる竜子。浮子の誕生日祝いをやろうと買い物に出 かける。しかし、着物売り場で、竜子が財布を掏られ、その女から竜子の財布を掏り返した浮子が、現行犯で逮捕される。上それは私の財布だと竜子が言って も、上品そうな掏りの女の言い分を聞いて、竜子たちまで警察に連れて行かれる。徳田刑事(花沢徳衛)に助けられ、新宿芸能社に戻ってくる。このままでは迷 惑を掛けると浅草に戻ると言いだした浮子に、怒って、せっかく買ったバースデーケーキを投げ捨てる竜子。
  身寄りのない浮子 を自分の娘のように思っている竜子の肩を揉んでやりながら、「20歳まで鑑別所にいて、30まで男狂いでだったお前は、自分のように思っているんだろ」と 言葉を掛ける金沢。新宿芸能社を出た浮子を、面倒みるのは浅草の銀作親分の下で兄妹のようだった武(米倉斉可年)。武は、刑務所から10日前に出所したば かりだ。浮子が無意識のうちに掏った財布を開けてみると、山形から出てきて、丸玉靴店という店で働く娘朝子(岡本茉莉)の財布だった。朝子に財布を返した いという浮子の言葉に、靴屋にいってみると、借金を返せずに、美鈴という暴力売春宿に売られたらしい。武は浮子を、自分の塒の山谷の日ノ出館という宿屋に 行かせ、自分は美鈴に、朝子を訪ねる。初店だと言う女将(赤木春江)に言われて、部屋に上がると、男も知らないまま働かせられることになった朝子に同情す る武。財布に入っていた金を朝子に握らせ、女将にばれない様にしろという武。
  武は日ノ出館に戻る。浮子は隣で大きく膨らん だカオル(穂積隆信)の看病をしている。カオルは美鈴で働かされていたらしい。生まれると苦しむカオルを前にオロオロする浮子に、オカマのカオルは、脳梅 毒に罹って、腹に水が溜まり、自分では妊娠していると思い込んでいるというのだ。しかし、その夜、カオルは亡くなった。火葬場で焼かれ、身元が分からない ため、死んだ地名の「浅草様」と書かれた遺骨を抱えている武。武に、自分が身代りになるので、朝子を助け出したいという浮子。武は一芝居を打ち、美鈴に浮 子を連れて行き、後払いでいいからと言って売り飛ばし、昨日の娘を、と言って朝子を映画に連れだす。しかし、計画は、浮子に電話をする筈だったキャバレー のママが忘れていたため、浮子はピンチに、ヤクザたちに襲われそうになったところをストーブを倒し、燃えあがる美鈴でようやく逃げ出す浮子。
    新宿芸能社で、金沢と竜子を前に頭を下げる浮子。もういちど働かせてほしいという浮子に頷く竜子。そこに銀作(西村晃)が現れる。前科17犯の銀作が 言うには、浮子は自分の娘だと言う。自分の娘は堅気にしたく、自分が刑務所に入っている間長野の姉のところに預けたものの、折が会わずに家出をし、戻って きたときには、血は争えずいっぱしの掏りになっていたと言うのだ。金沢と竜子に迷惑は掛けられないので連れて帰るという銀作に、ストリッパーで貯めた30 万入った預金通帳を渡し、足を洗わせてくれと言う浮子。縁を切ると言って去っていく銀作。朝子は、新宿芸能社で女中をすることになった。
  税務署員の姉川(小沢昭一)が新宿芸能社を訪れる。慌てる金沢たち。しかし、姉川は、浮子のストリップに通い詰めるうちに、結婚を前提に交際したいと 言うのだ。武が、新宿芸能社に現れ、銀作から預かったと言って、金沢と竜子に手紙を渡す。60万入っていて、浮子が嫁に行く時に支度に使ってくれと書いて ある。村枝の店で、武に会う浮子。堅気になってくれという浮子に、銀作を一人にする訳にはいかないと言って去る武。雪の中、立っている姉川に傘をさしかけ る。村枝の店の板前菊田(植田俊)を、従業員のきた子(荒砂ゆき)が引き抜いて、店を出した。店を続けられないと泣く村枝に、話をつけてやると出かける金 沢。威勢のいい割には、きた子の剣幕にたじたじだ。浮子は、ちょうど店に戻ってきた菊田を連れ込み旅館に拉致し、なぜ村枝を裏切ったのだと問い詰める。菊 田は、きた子が身体を触らせてくれたからだと言う。肉体関係もないという菊田に呆れる浮子。抱かせてやるから村枝の元に戻るという誓約書を掛書けという浮 子。浮子は、昔から可愛がってくれた村枝に恩返しがしたかったのだ。
  浮子と姉川が結婚することになり、仙台にいる姉川の両 親に挨拶しに行くことになった。新宿芸能社で、ささやかな祝の席が設けられる。そこに、きた子が怒鳴り込みに来た。村枝と言い争いになる。肉体関係もあ り、結婚するつもりだと言うきた子の方が優勢だ。それなら、ついさっき寝たばかりの私の方がと言いだす浮子。ショックを受ける姉川。金沢が菊田の気持ちを 確かめようと、二階に上がる。しかし、すぐに困ったような顔で降りてくる。言いにくそうに、菊田と朝子が抱き合っているという。同郷の二人は、急にくっつ いてしまったらしい。返っていくきた子。トイレの中で泣き続ける姉川。菊田は朝子と一緒に村枝の店に戻ることになった。そこにやってくる武。カオルの骨を 持って、八丈島に行くと言う。しかし、骨を預けていたキャバレーに行くと、日ノ出荘で痛い目にあわしたやくざたちに遭遇してしまう。落とし前をつけろと 言って右手の人差し指と中指を詰めるやくざたち。駆けつける浮子に、血だらけになりながら、財布を懐から出し、おれの利き手は左だ。あいつらから財布を 掏ってやったと言う武。
  翌年の正月、花園神社で、武と会う金沢。武は八丈島で百姓をしているという。竜子と浮子は、年寄りの旦那と歩いているタマ子に出会う。タマ子は、秘部が狭すぎて男に離縁された過去がある。幸せだというタマ子。本当の親子のように新宿の街を歩く竜子と浮子。
   森崎東らしい喜劇。竜子は、市原悦子も悪くないが、中村メイ子の竜子のほうが、チャキチャキの江戸っ子ぽくていいなあ。夏純子、若くて脱ぎっぷりもよくて好演。
   70年松竹大船『喜劇・男は愛嬌(62)』。桜が咲いている少年鑑別所。小川春子(倍賞美津子)は今日出所だ。鑑別所仲間のギン子(沖山秀子)に別れを 告げて、出身地の港湾地区(川崎?横須賀?)に戻ってくる。その話を聞いて幼馴染の曽我民夫(寺尾聡)は、春子の保護司を頼まれて彼女の更生のために張り切っている。しかし、その頃、春子を悪の道に引きずりこんだ、民夫の兄、オケラの五郎(渥美清)が、アフリカに行っていたマグロ漁船から降りて、久しぶりに、母親のカネ(桜むつ子) が営む実家のホルモン屋に帰ろうとしていた。
 春子は、廃品回収業をしている父親(浜村純)に会い、カリエスで寝た切りの弟のケン坊のもとに戻る。薄い壁を隔てた隣は、カネのホルモン屋だ。父ちゃんは、遠いところから悪魔がやってくるというオソロシ様のお告げで一心に祈っていると、五郎が現れる。オソロシ様は、母ちゃんの死も予言したのだが、隣家の五郎のせいで、酷い目に遭い続けの父ちゃんにとって、最悪な悪魔の登場で、今回も的中してしまったのだ。
 民夫は、美代子(中川加奈)に手伝って貰って、春子の歓迎会を開催する。しかし、民夫の企画は堅苦しいばかりで盛り上がらない。そこに一升瓶を下げた五郎が、ギン子たち鑑別所仲間を連れてやってくる。ギン子たちは、春子を追っかけて、鑑別所を脱走してきたのだ。下品な春歌などでも、盛り上がる歓迎会。やけ酒を飲んだ民夫は不満顔だ。五郎は、ドン亀こと亀吉(佐藤蛾次郎)に、ダンプを持って来させて、川崎まで遊びに行こうと言いだす。春子と美代子は酔い潰れた民夫を、家に連れていく。途中で、春子が乗っていないことに気がついた五郎は、ダンプを戻させる。しかし、酔っ払い運転のドン亀は、春子の家に突っ込ませてしまう。ケン坊の数センチ手前でやっと停止するダンプカー。
  翌朝、地主(田中邦衛)が、ドン亀の親方と春子の家に来ている。腰を抜かして寝着いたままの父ちゃんに、地主は前から約束していた通りに立ち退けと言い、親方には、ダンプカーを差し押さえると通告する。2台しかダンプがなく、ドン亀の治療代やなんやかやで大痛手の親方も生活がかかっているので必死だ。その時、ダンプに乗っていて一人だけ全く無傷な五郎が現れる。五郎に詰め寄る3人。しかし、五郎は平気な顔で、春子に大学出のエリートサラリーマンの花婿を連れてくるので、その持参金で金なんざ払ってやると答える。100万なんて持参金を持った花婿なんてどこにいるのかと皆いぶかしがるが、何か勝算ありげな五郎。
  春子は、民夫の世話で、美代子も働く海苔工場で働き始めた。そこに、2CVに乗った五郎が現れる。見合いだといって、無理やり春子を乗せる五郎。ギン子たちや、民夫まで乗り込んでドライブだ。運転しているのは神戸三郎(宍戸錠)、大会社の副社長だ。かって、ヘミングウエイに憧れてマグロ船に乗り込んだ神戸と、アフリカで知り合ったらしい。横須賀だか横浜の、外人バーで、踊りまくる神戸、春子、ギン子たち。ゴーゴーなんて踊れない民夫は、やっぱり飲み過ぎて酔いつぶれている。深夜、ギン子が、「朝日のあたる家」を歌っている。五郎から春子のことを聞かれてOKだという神戸。
  数日後、意気揚々と神戸の会社に乗り込む五郎。しかし、神戸は、はとこで、社長の娘と翌月結婚式をすることになっているという。付き合わないかと言われたからOKしたのであって、結婚するいう話だとは知らなかったという神戸。全ては、五郎の早合点が撒いた種だ。月10万払うから恋人としてはどうだという神戸に、大事な春子を妾にする気はないと言う五郎。
  100万円の返済もあるが、春子を玉の輿に乗せると大見えを切った五郎の面子もある。そこに地主は、埋め立ての権利を持っていて、ダンプ1台土砂を運びこむだけで1000円づつ取っていて、総資産1億円あるという話を、近所の源太郎(太宰治雄)と平松(佐山俊二)が持ってきた。300万の結納金が貰えると聞いて大喜びな五郎たち。春子を連れて貸衣裳屋に行き、さっそく、地主の住む掘立小屋に連れていく。もう、300万を手中に収めた気になっている五郎、源太郎、平松。しかし、その企みを怪しんだ地主はご破算にした。
   100万円の返済まであと2日になった。役所の結婚相談所に行き、係員(左とん平)にごねて、斉田(財津一郎)という作家を見つける。春子を女子大生だと偽り、とりあえず、斉田の秘書にして、滞在するホテルに送り込むことに成功する。一つの部屋に置いておけば、男なら手をつけるだろうと言う五郎。結納金100万円まで承諾してもらったと話す五郎に、民夫はやりきれない思いで、ホテルのバーで斉田に、春子は、少年鑑別所出身で女子大生ではないという民夫。しかし、その話を聞いて逆に、春子と結婚を決意したという斉田。その夜、ホテルの非常階段で、民夫が斉田の部屋を見上げていると五郎が現れる。春子への思いを語る民夫の話を聞いた五郎は、斉田の部屋に行こうと言う。ホテルの中に入ると、騒ぎが起こり、警官に連れられて斉田が現れる。有名な結婚詐欺師の斉田は、春子と話すうちに、自ら警察に電話をしたというのだ。斉田は、五郎と民夫に、春子とは本当に結婚しようと思ったんだといいながら、連行されていく。
 五郎は、ドン亀を連れて、長屋に戻り、春子の家に入り、父ちゃんとケン坊をホルモン屋に移し、突っ込んだままになっていたダンプカーを後退させ、荷台を持ち上げて、完全に家を破壊する。そして、ダンプで逃げ去り、売り払った。ダンプ泥棒で警察が追いかけているらしい。更に再びアフリカ行きのマグロ船に前借りする。その金を地主に払って、港を出る五郎とドン亀。埠頭にいる春子と民夫に幸せになれよと言って、手を振る五郎。

2009年2月3日火曜日

人類の進歩と調和と性と愛。

    朝少し早起きをして、冷蔵庫の食材の総ざらいで料理6品作る。博多がめ煮風。きんぴら。大根と鶏挽きと白滝の炒め煮。ヒジキ炒め煮。切り干し大根の炒め煮。南瓜煮物。いつもながら変わり映えしない総菜ばかりだなあ(苦笑)。赤坂のメンタルクリニックに行き、独身美人OLに久しぶりに総菜を差し入れ、元同僚と昼食。
   新宿ピカデリーで、堤幸彦監督『20世紀少年-第2章-最後の希望(57)』。1章のラストでもある2000年に起きた「血のおおみそか」と呼ばれる、細菌兵器を撒き散らす巨大ロボットの人類滅亡計画事件は遠藤ケンヂ(唐沢寿明)を主犯とする7人のテロリストの犯行だったと言われている。その悲劇を救い、来たる終末の救世主たるともだちは、国内のみならず、国連やローマ法王との会見など、世界的に大きな影響力を持つ存在になっている。
    2015年、事件以来行方不明になったケンヂの代わりに、瀬戸口雪路(常盤貴子)に面倒を見てもらい、遠藤カンナ(平愛梨)は、女子高生に成長し、新宿の中華料理屋でアルバイトをしている。ある晩タイマフィアと香港マフィアの間で銃撃戦が起きている。2015年の歌舞伎町では日常茶飯事だ。銃撃戦が、ねえさん通りで起きていると聞いて、カンナは走りだす。撃ち合う二組の間に飛び出して、中国語とタイ語で、ここで銃撃戦をすることは許さない、文句があるなら、ボスを呼んで来いと叫ぶ。カンナには、何故か弾丸は当たらない。双方のマフィアたちは、顔を見合わせる。カンナは目の前にある中華料理屋の七龍が巻き添えになること。七龍に入って、ここのラーメンはかってケンヂと食べたラーメンと同じ味がするという。七龍の主人(西村雅彦)は、その店は師匠の店だ。師匠は亡くなったが自分は七番目の弟子だから、七龍となずけたのだと言う。タイマフィアのボス、チャイポン(サーマート・セーンサンギアム)と中国マフィアのボス、王(陳昭榮)がやってきた。ラーメン三つと言うカンナ。チャイポンはかって、タイの裏社会でカンナと同じ目をした“ショーグン”と呼ばれる日本人に会ったことがあると言う。ピストルを出そうとポケットに手を入れた二人を無理やり握手させるカンナ。
  都立新大久保高校の教室で授業を受けているカンナ。歴史の授業で血の大みそかについて授業をする担任教師(甲本雅裕)。ケンヂたちテロリストの仕業だという教師に嘘だと言うカンナ。遅刻してきた小泉響子(木南晴夏)は、とばっちりを受け、血の大みそかについてレポートを出せと言われる。
  カンナの部屋で雪路が怒っている。一人で歌舞伎町に住み学校で問題ばかり起こすカンナを心配しているのだ。カンナは大音量でケンヂの歌を掛ける。隣の部屋の住人から文句が来る。頭を下げる雪路とカンナ。ジャージにベレー帽の漫画家、金子氏(手塚とおる)と氏木氏(田鍋謙一郎)だ。ふたりは、うじきうじおというペンネームでラブコメを書いている。問題児のカンナと響子は、更生施設の“ともだちランド"に行ってもらうことになったと言う担任。
  歌舞伎町で中国マフィアがショットガンで顔を吹き飛ばされて殺されてる。歌舞伎町警察署長(石丸健二郎)は、歌舞伎町を浄化するのだと命令を出す。東野刑事(田中要次)斉木刑事(西村和彦)、新人刑事蝶野(藤木直人)らが、珍宝楼に踏み込み、客やカンナを連行していく。釈放されたカンナを蝶野が待っている。誤認逮捕を謝罪する蝶野。新人で頼りなさそうな蝶野だが、信頼できる人間だとカンナは思う。
  珍宝楼の常連のオカマのマライヤ(前田健)は、“ともだちランド"から脱走してきた仲間のブリトニー(荒木宏文)を匿っている。実は、マライヤは中国マフィアの殺害現場を目撃していたのだ。ブリトニーから相談されたカンナは、オカマ二人を連れて、蝶野に会いに行く。そこで、会った黒子の巡査(佐藤二郎)にブリトニーは震えだす。中国マフィアの殺害犯は黒子の巡査だと言うのだ。
  ブリトニーの話を聞いた蝶野は、伝説の刑事だった祖父(竜雷太)の部下で、今は警察幹部になっているヤマさん(光石研)のもとに相談に行く。真犯人を知る人間を保護していると言う蝶野を見送りながら、祖父も知りすぎたために死んだのだと呟くヤマさん。蝶野のロッカーの中にある多量のお守りに、発信機を忍ばせたお守りを紛れ込ます黒子巡査。結局ブリトニーは射殺される。発信機のついたお守りに気がついたカンナは一足違いで間に合わなかった。警察内部に敵がいることを知って愕然とする蝶野。
  ブリトニーの死に、ともだちが関わっていると知ったカンナは、響子と一緒に“ともだちランド"に行く。ともだちランドに向かうバスの中で、妙に明るく澄んだ目を持つドリームナビゲーターの高須(小池栄子)がともだちの素晴らしさを語っている。スプーン曲げをして見せる高須。乗客も試すが曲がらない。響子が、横にいるカンナを見ると、指も触れずに曲がっていくスプーン。バスを降りるカンナたち。掃除夫の老人がいる。ヨシツネ(香川照之)だ。ヨシツネはともだちランドの地下室に基地を作って潜伏していた・・・。to be continued.
 長いなあ。1章からネタを引っ張って、2時間掛けて、また 3章に続く。まあ、浦沢直樹の原作も、気が遠くなるほど長く、コミックでなくスピリッツで読んでいた自分は、途中から読むのを止めたくらいなので、映画もまた、続きは8月公開と言われてもなあ。そっくりなキャスティングは確かにそっくりだけど、何だか新春かくし芸大会の中の寸劇を見ているような気がしなくもない。
   角川シネマ新宿で、増村保造 性と愛。69年大映『盲獣(58)』。無名のファッションモデルの島アキ(緑魔子)は、野心的なカメラマン山名の実験的なヌード写真のモデルになる。アキの写真を中心とした山名の個展が開かれ、話題になった。アキは打合せで個展に出向くと、会場中央の山名の友人の彫刻家が作ったアキの全身像を、執拗に撫で回している男がいる。気味悪く思いながら、自分の身体を触られているような錯覚に陥り奇妙な気持ちになるアキ。
   数日後、山名の仕事で、朝4時集合で、浜松の砂丘での撮影に行き疲れ果てて帰宅するアキ。疲れを取ろうと近くのマッサージを呼ぶ。いつものマッサージ師ではない男がやってくる。痛いくらい強く揉んでもらわないと効かないというアキ。しかし、男は、アキの身体を撫で回し、あまりにしつこいのでアキは怒り、金は払うので出て行けと言う。男の態度が急変した。アキの口を塞ぎ、気絶させる。女が入ってきて、盲人の男を手伝って、アキを連れ出す。
  二人は、アキを倉庫のような所に連れていく。中は男のアトリエだ。男の名は蘇父道夫(船越英二)手伝った女は、道夫の母しの(千石規子)だ。道夫は、生まれた時から盲目で、しのに育てられた。ある時父親の残した土地が高速道路の用地にかかり大金を手にしたので、巨大なアトリエを作ったのだ。アトリエの中には、道夫が触感でのみ感じることができた女性たちの、目、鼻、口、足、手、耳などの無数のパーツと、巨大な女体のオブジェで占められている。
  アキをアトリエに拉致監禁して、アキの全身像を作るつもりなのだ。抵抗するアキ。しかし途中からアキは、道夫を懐柔しようと考える。アキの虜になっていく道夫に、しのは嫉妬する。アキを侮辱すれば侮辱するほど道夫との溝が深まるしのは、ある晩、あきをアトリエから追い出そうとする。しかし、目を覚ました道夫が止めに入り、絶望したしのは、アキを殺そうとして首を絞める。道夫が突き飛ばすと、柱に頭をぶつけたしのは死亡する。
  母親を殺してしまったと嘆く道夫の隙をついて、逃亡しようとするアキ。しかし、結局道夫に捕まってしまう。道夫は、激怒しながらアキを犯す。抵抗をしながらも、徐々にアキの気持ちは変わっていく。更に、暗いアトリエの中で、触覚のみに頼った生活をするうちに、アキも視力を失っていく。視力を失ったことで、触覚による快楽は過激になっていく。お互いを噛み、縄で打ち、ベルトで打ち合い、しまいにはナイフで身体を刺し、血を吸い合うようにまでなった。出血を続けるうちに体力は消耗していく二人。アキは、道夫に、どうせ死ぬのであれば、自分の手足を切断してほしいと言う。その快楽の中で死にたいと言うのだ。道夫は、出刃包丁と木槌を手に取る。アキの手足を切断し、自分の胸に包丁を刺し、アキの死体の上に倒れ込んだ。
   まあ、江戸川乱歩原作を、あくまでも直接的なエログロに描いている。アキのヌード写真や、アトリエの巨大オブジェとか中々見ごたえあるが、ドラマ自体はあくまでも通俗な展開だ。鬼母の千石規子、盲人の塑像作家の船越栄二と、モデルの緑魔子。三人しか出演せず、ほとんど屋内での展開は、徹底していて、特に船越栄二はちょっと行っちゃっている感じがする。凄い映画だなあ。サディズム、マゾヒズムが、耽美的ではなく、直截的な描写にエロティシズムを感じることができるかどうか、別れるところだと思う。自分は、ちょっと痛くて、凄いなあと思うけど、エロには感じないのが残念だ。緑魔子は美しい。
   

2009年2月2日月曜日

クリエイティブにビジネスを

    シネマート新宿で、今井和久監督『旅立ち~足寄より~(56)』。
    1975年5月9日、札幌の市内をサイレンを鳴らしたパトカーが走っている。札幌の中島スポーツセンターでは,ニッポン放送、STVラジオ他が主催する「‘75全国フォーク音楽祭北海道大会」が行われている。足寄からの応募者の松山千春が遅れていると報告を受けるSTVラジオディレクターの竹田(萩原正人)。そこにパトカーが着く。サングラスをかけ、真っ赤なニッカズボンにTシャツ姿の男が降りてくる。松山千春だ。直ぐに出番、ステージに出てきた千春を札幌の観客は嘲笑する、客を睨んで「旅立ち」を歌い始める。笑っていた客は黙ったが、歌い終わって、審査員の竹田が感想を求められ、「ギターが悪い」と答えると歌じゃないのかと噛みつく千春。態度の悪さに竹田以外の審査員の評価は低く、東京の本戦への出場は逃す。帰ろうとしている千春に竹田が声を掛ける。「必ず、連絡するので、曲を作り続けろ」。
    足寄に帰った千春は、とかち新聞を独りで取材から印刷までやっている変わり者の父(泉谷しげる)に報告する。千春は新聞の配達と集金をしている。配達先の一つ公民館で働く河合紀美子(伴杏里)は、札幌まで友達と音楽祭に応援に来てくれる。彼女に恋心を抱いているが、告白出来ない千春。姉の菊池絵里子(尾野真千子)の店、喫茶カトレアで、友達の佐藤/シュガー(ジョンミョン)たちに、からかわれ、他人を信じないと強がりを言うが、竹田の名前と言葉は千春に刻み込まれている。
一方、竹田は、何とか自分の番組に千春のコーナーを持たせようと企画書を提出するが部長(石黒賢)は素人に出来ないだろうと、にべもない。竹田は企画書を書き続けた。その間、聞き続けた旅立ちのカセットテープは切れてしまう。口ずさめるようになってしまった妻 依子(奥貫薫)との話で、竹田は足寄を訪ねてみようと思う。
    音楽祭の時に新聞社の社長のボンボンだからあんなに態度が悪いんだろうと言う審査員もいた、とかち新聞社は、ほとんどバラック小屋のようなところだ。千春の父親は、札幌から新聞社の取材に来たと勘違いし、直立不動のまま、竹田と話している。そこに姉がやってくる。足寄駅まで見送りに来た姉は、父には新聞しかないように、音楽しかない弟を宜しくお願いしますと深く頭を下げる。竹田は自分が来たことを千春には秘密にするように頼む。
    竹田は、STVの人気番組サンデージャンボリクエストの春の改編で千春の15分のコーナーを盛り込むことを首を賭けて提案する。断り続けた部長もようやく折れた。千春の家を再び訪ねる竹田。毎週15分の生番組、新しい曲を2曲ずつ披露することが条件。デビューもしていない素人には破格の扱いだ。しかし、千春は平日は父の新聞の配達の手伝いをして、週末だけ札幌に行くことにさせてくれと頼む。極貧の少年時代の思い出の場所に竹田を案内し、自分を作った足寄の街から離れずに活動していきたいと言う。北海道にいながらヒットを作ろうと言って固い握手をする2人。
   いよいよ番組のスタートとなった。日曜の生放送を前に土曜日にSTV入りする千春。打合せが終わり、ラーメン横丁に行くと、シュガーがいる。彼は、搾乳機を契約し、酪農の大型化をしようと夢に燃えている。予期せぬ札幌での再会に、すすきので盛り上がってしまう2人。千春が目覚めると既に正午、番組がスタートしてしまった。一方STVホールでは、一向に現れない千春をスタッフは胃に穴が開くような思いで待っていた。コーナーの始まる直前現れた千春は、しかし台本通りに話をしろという竹田の言いつけを守らず、アドリブも交えて話す。その気取らない話は、会場を沸かせた。出番を終え、副調整室に上がってきた千春は、どうだった?と尋ねる。そんな千春を竹田は殴る。スタッフに謝るのが最初だろうと言う。頭を下げる千春に、歌とトークはよかったと言って部屋を去る竹田。呆然と見送る千春に、もし、この番組がうまくいかなかったら、竹田の首が飛んでいたと話す部長。竹田は、その夜、北海道厚生年金会館のホールに千春を連れていく。2300人のキャパのこのホールを一杯にしようと言う竹田。
    千春のコーナーは人気を呼んだ。STVホールは満員になり、ホールを出る千春を女性たちが囲んだ。ある日、客席に紀美子の姿を見つけた。中島公園を歩きながら、桜の木の下で、千春は想いを告げようとする。しかし、紀美子は結婚して東京に行くことになったと言うのだ。おめでとうと言い、紀美子の後姿を見送る千春。竹田は、千春のデビューを考えていた。しかし、制作費の許可が下りない。リスクが大きいといって上が認めないのだという部長の話を聞いて、竹田は、常務の杉浦(渡辺哲)に直談判し、頭を下げる。退職金の前借をしてでも作りたいという言葉に、杉浦も承諾した。
    いよいよ、レコーディングだ。東京の音響スタジオに千春がいる。なかなか、うまく歌えない千春。竹田はギターを持っていないからだと思いつき、掃除婦が持っていた箒を持たせた。デビューシングル「旅立ち」が発売された。北海道では大ヒットだ。竹田は、キャニオンレコードのプロデューサー山本に、コンサートツアーを企画しようと言う。千春はコンサートを活動の中心におくべきだと考えたのだ。プロダクションに所属していない千春のスケジュールの管理やプロデュースは、全て竹田が行っていた。しかし、局内では、そんな竹田に批判的な声も出始める。ラジオディレクターとしての仕事もあり多忙を極める竹田。ある日、千春にコンサートイベンターの男坂上(津田寛治)が声を掛ける。千春の人気に目をつけ、引き抜きを画策する坂上。STVのライバル局に出演してしまう千春に、ヒットしていて天狗になっているんではないかという批判が出るが、竹田は、千春は最初から天狗だったと庇う。
  そんな頃、シュガーの牧場の経営がうまくいっていないという話を聞く千春。利子だけでも払わないと牧場が人手に渡ってしまうらしい。竹田に相談しようにも、中堅のラジオディレクターとして、イベントの企画や東京への出張などで多忙を極めている。そんな中でも、千春とのコミニュケーションが足りないと感じていた竹田は、自宅での食事に誘う。しかし、シュガーの自殺騒動があり、連絡もせずに、千春は足寄に向かった。車に飛び出したが、転んでしまって死ぬこともできないというシュガー。成功しているお前と違って、一生牛の面倒を見ることしかできないと自嘲するシュガーを、千春は殴る。自分が歌しか歌えないように、お前は牛の面倒を見ることができないじゃないかと言う千春。牛糞まみれになりながら、取っ組み合いの喧嘩をする二人。寝転がって空を見ながら、辛い時は空を見ろという。名曲「大空と大地の中で」が出来上がる。
  北海道内のコンサートツアーが企画された。多忙なスケジュールを縫って竹田は、コンサートの構成を組み立てる。ある時、血相を変えた山本が竹田のもとに来る。喫茶店で、坂上たちが千春を囲んでいる。ラジオではなくテレビの時代で、東京に出ればもっと人気が出て、儲けることが出来る。このままでは、竹田に飼殺しになるという彼らに、竹田の悪口は許さないと言って席を立つ。陰で山本と、そのやり取りを聞いて感動する竹田。竹田の家を訪れる千春。先日のことは忘れているように、よい家ときれいな奥さん、美味しい料理、何で今まで呼んでくれなかったんだと言う千春。苦笑する竹田と依子。マーチンのギターを弾いていい音だなあと言う千春。竹田からのプレゼントよと言う依子。残念ながらギターは高いものの方がいい音がするからなと言う竹田。お前を引っ張り込んでしまったのは自分だから、生きている限り応援するぞと言う竹田。また、白と黒のスーツをステージ衣装だと言う竹田。二つはもったいないという千春に、黒いスーツも必要になることもあるだろうと言う竹田。その日、竹田はご機嫌で酔いつぶれる。竹田の机の上に、赤い薔薇の一輪差しがある。依子は、薔薇の原産地は山奥で、自分が足寄から見つけた千春は、美しく、堂々として、また棘を持っている薔薇のようだ口癖のように言っているのだという話をする、
  ツアーの初日から非常に盛り上がっている。忙しい竹田は、なかなかツアーに顔を出せない。竹田の感想を聞きたいんだという千春に、山本は、俺だけじゃなくコンサートに関わっているスタッフも千春に賭けているんだという竹田からの伝言を伝えた。いよいよ明日は、函館だ。竹田と電話で話す千春。函館まで一緒に行こうという竹田。翌朝、千春がSTVの竹田の席に行くと、いつもの赤い薔薇の一輪差しではなく、白い菊だ。悪い冗談だと腹を立てる千春の前に、部長とラジオのAD(江口のり子)が現れる。昨夜遅く、自宅で倒れ、病院に運ばれたが亡くなったと言う。急性心不全だ。あまりのことに信じられない千春。竹田の家で、竹田を前に泣いている千春。函館のコンサートは中止だなという部長。しかし千春には、お前はプロなんだという竹田の声が聞こえる。コンサートのアンコールになって、今までの白いスーツから黒いスーツに着替えてステージに上がる千春。竹田との思いでを話す千春。「旅立ち」を歌う。涙で歌えなくなる千春。会場じゅうが歌い始める。
   何だか見ないといけないような義理を感じてお金を払って見た(苦笑)。広いほうの劇場に10人くらいか。
  慶應三田キャンパスで、デジタル知財プロジェクトのパネルディスカッション。よく考えてみると、慶應のキャンパスに足を踏み入れるのは初めてだ。50才の慶應バージン(苦笑)。天気予報を見ようとichを見ると、星占いに「あなたの不用意な発言が周りを激怒させそう」と見なくてもいい見出しで凹み、アウェイ感全開な気分に。何だか女の子が皆垢抜けて美人に見えてしまうんですな。こんなことなら、32年前に受験でもしておくんだった。とはいえ、よく考えてみると、出身大学も、20年以上足を踏み入れていないので、変わらないかもしれない。もっとも、5年間も通いながら、何だか馴染めずアウェイなまま卒業したんだった。何にせよ、大昔のことだ。
   モデレーター中村伊知哉さん。他に総務省、経産省、文化庁の課長さん方と、慶應のDMC機構准教授たち。そのうちの一人が、前の会社にいた人間で驚く。まあ、伊知哉さんだから、そうなんだな。とっても頭の切れる人なのに、もったいない使い方だったんだなあと、今さら思う。
   意外に、かなり面白かった。霞が関の人たちも、官僚言葉だけ喋るわけではないんだな。コンテンツ業界の問題は、流通過多であることが問題で、クリエイティブが流通の下請けに甘んじていることも問題だという言葉は非常に示唆に富む発言だ。テレビやメーカーはじめコンテンツを流通する側の産業促進だけやっていてもしょうがないんじゃないかという踏み込んだ話は、目から鱗の気持ち。デジタルサイネージ絡みで、高校時代からの友人が来ていた。懇親会まで出たかったなあ。

2009年2月1日日曜日

今日は映画を見なかった。

 吉祥寺にあるアートカフェ&ギャラリーで、友人が企画したアーティストの個展の最終日ということで寒い中出かける。友人は、高校の同級生で、文芸部の紅一点。三多摩のアート系、サブカル系のアイドルだった。美大を出て、気がついたらロンドン大学に留学し、モダンアートのキュレーターをやっている。身の回りにひしひしと迫る高齢化問題を語りつつ、彼女が関わっている、というか巻き込まれている案件の話を聞く。まあ、30年以上のファンである自分は、協力するというか、一緒に巻き込まれざる負えないのだろうな(苦笑)。しかし、動きだせば、面白くなりそうだ。
   彼女が息子や娘のような若いミュージシャンたちとタメに話しているのを見て、少し上から目線で見がちな自分を恥じる。デジタルネイティブの新書を読んだばかりだったのに。