2009年2月3日火曜日

人類の進歩と調和と性と愛。

    朝少し早起きをして、冷蔵庫の食材の総ざらいで料理6品作る。博多がめ煮風。きんぴら。大根と鶏挽きと白滝の炒め煮。ヒジキ炒め煮。切り干し大根の炒め煮。南瓜煮物。いつもながら変わり映えしない総菜ばかりだなあ(苦笑)。赤坂のメンタルクリニックに行き、独身美人OLに久しぶりに総菜を差し入れ、元同僚と昼食。
   新宿ピカデリーで、堤幸彦監督『20世紀少年-第2章-最後の希望(57)』。1章のラストでもある2000年に起きた「血のおおみそか」と呼ばれる、細菌兵器を撒き散らす巨大ロボットの人類滅亡計画事件は遠藤ケンヂ(唐沢寿明)を主犯とする7人のテロリストの犯行だったと言われている。その悲劇を救い、来たる終末の救世主たるともだちは、国内のみならず、国連やローマ法王との会見など、世界的に大きな影響力を持つ存在になっている。
    2015年、事件以来行方不明になったケンヂの代わりに、瀬戸口雪路(常盤貴子)に面倒を見てもらい、遠藤カンナ(平愛梨)は、女子高生に成長し、新宿の中華料理屋でアルバイトをしている。ある晩タイマフィアと香港マフィアの間で銃撃戦が起きている。2015年の歌舞伎町では日常茶飯事だ。銃撃戦が、ねえさん通りで起きていると聞いて、カンナは走りだす。撃ち合う二組の間に飛び出して、中国語とタイ語で、ここで銃撃戦をすることは許さない、文句があるなら、ボスを呼んで来いと叫ぶ。カンナには、何故か弾丸は当たらない。双方のマフィアたちは、顔を見合わせる。カンナは目の前にある中華料理屋の七龍が巻き添えになること。七龍に入って、ここのラーメンはかってケンヂと食べたラーメンと同じ味がするという。七龍の主人(西村雅彦)は、その店は師匠の店だ。師匠は亡くなったが自分は七番目の弟子だから、七龍となずけたのだと言う。タイマフィアのボス、チャイポン(サーマート・セーンサンギアム)と中国マフィアのボス、王(陳昭榮)がやってきた。ラーメン三つと言うカンナ。チャイポンはかって、タイの裏社会でカンナと同じ目をした“ショーグン”と呼ばれる日本人に会ったことがあると言う。ピストルを出そうとポケットに手を入れた二人を無理やり握手させるカンナ。
  都立新大久保高校の教室で授業を受けているカンナ。歴史の授業で血の大みそかについて授業をする担任教師(甲本雅裕)。ケンヂたちテロリストの仕業だという教師に嘘だと言うカンナ。遅刻してきた小泉響子(木南晴夏)は、とばっちりを受け、血の大みそかについてレポートを出せと言われる。
  カンナの部屋で雪路が怒っている。一人で歌舞伎町に住み学校で問題ばかり起こすカンナを心配しているのだ。カンナは大音量でケンヂの歌を掛ける。隣の部屋の住人から文句が来る。頭を下げる雪路とカンナ。ジャージにベレー帽の漫画家、金子氏(手塚とおる)と氏木氏(田鍋謙一郎)だ。ふたりは、うじきうじおというペンネームでラブコメを書いている。問題児のカンナと響子は、更生施設の“ともだちランド"に行ってもらうことになったと言う担任。
  歌舞伎町で中国マフィアがショットガンで顔を吹き飛ばされて殺されてる。歌舞伎町警察署長(石丸健二郎)は、歌舞伎町を浄化するのだと命令を出す。東野刑事(田中要次)斉木刑事(西村和彦)、新人刑事蝶野(藤木直人)らが、珍宝楼に踏み込み、客やカンナを連行していく。釈放されたカンナを蝶野が待っている。誤認逮捕を謝罪する蝶野。新人で頼りなさそうな蝶野だが、信頼できる人間だとカンナは思う。
  珍宝楼の常連のオカマのマライヤ(前田健)は、“ともだちランド"から脱走してきた仲間のブリトニー(荒木宏文)を匿っている。実は、マライヤは中国マフィアの殺害現場を目撃していたのだ。ブリトニーから相談されたカンナは、オカマ二人を連れて、蝶野に会いに行く。そこで、会った黒子の巡査(佐藤二郎)にブリトニーは震えだす。中国マフィアの殺害犯は黒子の巡査だと言うのだ。
  ブリトニーの話を聞いた蝶野は、伝説の刑事だった祖父(竜雷太)の部下で、今は警察幹部になっているヤマさん(光石研)のもとに相談に行く。真犯人を知る人間を保護していると言う蝶野を見送りながら、祖父も知りすぎたために死んだのだと呟くヤマさん。蝶野のロッカーの中にある多量のお守りに、発信機を忍ばせたお守りを紛れ込ます黒子巡査。結局ブリトニーは射殺される。発信機のついたお守りに気がついたカンナは一足違いで間に合わなかった。警察内部に敵がいることを知って愕然とする蝶野。
  ブリトニーの死に、ともだちが関わっていると知ったカンナは、響子と一緒に“ともだちランド"に行く。ともだちランドに向かうバスの中で、妙に明るく澄んだ目を持つドリームナビゲーターの高須(小池栄子)がともだちの素晴らしさを語っている。スプーン曲げをして見せる高須。乗客も試すが曲がらない。響子が、横にいるカンナを見ると、指も触れずに曲がっていくスプーン。バスを降りるカンナたち。掃除夫の老人がいる。ヨシツネ(香川照之)だ。ヨシツネはともだちランドの地下室に基地を作って潜伏していた・・・。to be continued.
 長いなあ。1章からネタを引っ張って、2時間掛けて、また 3章に続く。まあ、浦沢直樹の原作も、気が遠くなるほど長く、コミックでなくスピリッツで読んでいた自分は、途中から読むのを止めたくらいなので、映画もまた、続きは8月公開と言われてもなあ。そっくりなキャスティングは確かにそっくりだけど、何だか新春かくし芸大会の中の寸劇を見ているような気がしなくもない。
   角川シネマ新宿で、増村保造 性と愛。69年大映『盲獣(58)』。無名のファッションモデルの島アキ(緑魔子)は、野心的なカメラマン山名の実験的なヌード写真のモデルになる。アキの写真を中心とした山名の個展が開かれ、話題になった。アキは打合せで個展に出向くと、会場中央の山名の友人の彫刻家が作ったアキの全身像を、執拗に撫で回している男がいる。気味悪く思いながら、自分の身体を触られているような錯覚に陥り奇妙な気持ちになるアキ。
   数日後、山名の仕事で、朝4時集合で、浜松の砂丘での撮影に行き疲れ果てて帰宅するアキ。疲れを取ろうと近くのマッサージを呼ぶ。いつものマッサージ師ではない男がやってくる。痛いくらい強く揉んでもらわないと効かないというアキ。しかし、男は、アキの身体を撫で回し、あまりにしつこいのでアキは怒り、金は払うので出て行けと言う。男の態度が急変した。アキの口を塞ぎ、気絶させる。女が入ってきて、盲人の男を手伝って、アキを連れ出す。
  二人は、アキを倉庫のような所に連れていく。中は男のアトリエだ。男の名は蘇父道夫(船越英二)手伝った女は、道夫の母しの(千石規子)だ。道夫は、生まれた時から盲目で、しのに育てられた。ある時父親の残した土地が高速道路の用地にかかり大金を手にしたので、巨大なアトリエを作ったのだ。アトリエの中には、道夫が触感でのみ感じることができた女性たちの、目、鼻、口、足、手、耳などの無数のパーツと、巨大な女体のオブジェで占められている。
  アキをアトリエに拉致監禁して、アキの全身像を作るつもりなのだ。抵抗するアキ。しかし途中からアキは、道夫を懐柔しようと考える。アキの虜になっていく道夫に、しのは嫉妬する。アキを侮辱すれば侮辱するほど道夫との溝が深まるしのは、ある晩、あきをアトリエから追い出そうとする。しかし、目を覚ました道夫が止めに入り、絶望したしのは、アキを殺そうとして首を絞める。道夫が突き飛ばすと、柱に頭をぶつけたしのは死亡する。
  母親を殺してしまったと嘆く道夫の隙をついて、逃亡しようとするアキ。しかし、結局道夫に捕まってしまう。道夫は、激怒しながらアキを犯す。抵抗をしながらも、徐々にアキの気持ちは変わっていく。更に、暗いアトリエの中で、触覚のみに頼った生活をするうちに、アキも視力を失っていく。視力を失ったことで、触覚による快楽は過激になっていく。お互いを噛み、縄で打ち、ベルトで打ち合い、しまいにはナイフで身体を刺し、血を吸い合うようにまでなった。出血を続けるうちに体力は消耗していく二人。アキは、道夫に、どうせ死ぬのであれば、自分の手足を切断してほしいと言う。その快楽の中で死にたいと言うのだ。道夫は、出刃包丁と木槌を手に取る。アキの手足を切断し、自分の胸に包丁を刺し、アキの死体の上に倒れ込んだ。
   まあ、江戸川乱歩原作を、あくまでも直接的なエログロに描いている。アキのヌード写真や、アトリエの巨大オブジェとか中々見ごたえあるが、ドラマ自体はあくまでも通俗な展開だ。鬼母の千石規子、盲人の塑像作家の船越栄二と、モデルの緑魔子。三人しか出演せず、ほとんど屋内での展開は、徹底していて、特に船越栄二はちょっと行っちゃっている感じがする。凄い映画だなあ。サディズム、マゾヒズムが、耽美的ではなく、直截的な描写にエロティシズムを感じることができるかどうか、別れるところだと思う。自分は、ちょっと痛くて、凄いなあと思うけど、エロには感じないのが残念だ。緑魔子は美しい。
   

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