52年新東宝/東京プロマキノ雅弘監督『離婚(63)』。吹雪の中、女を励ましながら、山小屋を見つける男の姿がある。男の名は、武部謙作(田崎潤)、女は相馬道子(木暮実千代)。2人はまたいとこで、幼なじみだった。子供の時も沼津の海で溺れた道子を助けたのは謙作だった。山小屋の外は荒れ狂っている。スキーを担いだ男が山小屋に現れ、直ぐに外に出て行く。暫くして一抱えの枝を持ってくる。小屋にあった薪は、無くなりそうになる。謙作は、男に、枝を貰えないかと頭を下げるが、男は断る。道子の体温がどんどん下がってくる。これしかない薪では、体温を上げられないと男は言い、肌と肌を合わせて暖めるしかないと言う男。道子が人妻であることで躊躇するが、従う謙作。
下では、大騒ぎになっていた。救援隊も出せないほど荒れ狂う天候。道子は貞淑女学院の理事長家の嫁で、その美しさから白百合夫人と呼ばれ、マスコミでも度々取り上げられる程の有名人。彼女が遭難したというのだ。新聞社な相馬家に連絡が入るが、理事長の相馬夏野(英百合子)は、弟の正道(杉狂児)と、息子であり道子の夫の文男(田中春男)に相馬家としては迎えは出さないと命じた。道子の兄で医師の山村省吾(江川宇礼雄)は、そんな相馬家に呆れながら山に向かう。一方、謙作が下宿する真砂館にも連絡が入り大騒ぎとなり、主人の酒井半蔵(斎藤達雄)も下宿人たちに託された物資を持って行った。
2日2晩吹き荒れた吹雪はようやく止む。謙作と道子が気がつくと、男は消え、缶詰めが置かれ、これを食べれば下山できるだろう。これに懲りて山には来るなと言う伝言が置いてある。下山してきた二人を歓迎する仲間たち。その夜休んでいると、寒さをしのぐために肌を合わせていたのだと心のやましいところのない謙作は仲間に話した。それを聞いていた謙作の恋人の宮脇田鶴子(宗方規子)は、思いつめたように宿を後にする。田鶴子の姿が、相馬家にある。夏野たちに、謙作と道子が二日二晩同室していたことを誇張して文句をつけ、貞淑女学院どころか、不貞淑だと決めつけた。
新聞なども、このスキャンダルを面白おかしく取り上げる。謙作は、勤務先で女たらし、色魔と悪評判だと書かれる。貞淑女学院に降って湧いたスキャンダルに憂慮した夏野たちは、帰宅した道子に、不貞をした嫁として辛く当たった。二人きりでなく、第三の男が一緒だったといっても、名前も知らない二人には、反証を挙げろと犯罪者のように言う夏野たち。夫の文男も、道子を汚いものを見るような視線を送る。道子は、反証を挙げるまで相馬家を出ると言う。道子の兄の山村は、沼津に戻る汽車の中で、古い友人の佐久間大介(佐分利信)に7年振りに再会する。かって山村は、妹の道子と佐久間を見合いさせようと、佐久間の牧場に連れて行ったことがある。しかし、佐久間は見合いを面倒くさがって逃げだしていて会えなかったことがある。そんな君の妹はどうしていると聞く佐久間に、結婚していると答える山村。実は、佐久間こそが、第三の男だった。しかし、二人とも雪山の遭難の話にも触れないまま別れる。
謙作は、道子を真砂館に連れていく。大家夫妻の部屋に住むことになる。その夜、真砂館の住人たちが、無事帰還のお祝いをしてくれ、道子は、東京に戻って初めておめでとうと言って貰えたと涙ぐむ。第三の男の手がかりは全くない。困って、道子が喫茶店に入ると、そこに第三の男佐久間がいる。相馬家に引きずるように佐久間を連れていくが、佐久間は、危険な冬の山に嫁が出かけるのを止めもしない相馬家は可笑しい。妻に対して不貞の反証を出せと言う夫も可笑しい。夫であれば妻が不貞しているかいないか分かるだろう。そんな相馬家に、必至で不貞していないと証明しようとしている道子もおかしい。反証してどうしようとしているのだと乱暴に言って相馬家を後にする。
乱暴者で酷い人間だと決めつける道子に、我々にとってはそうかもしれないが、佐久間の話にも一理あるのではないかと言う謙作。新聞の風向きが変わってきた。雪山で遭難し助かった道子を不貞を理由に追い出そうとしていると書き始めたのだ。困った夏野は、正道を真砂館に使いにやり、呼び出した上、不貞の可能性を不問にするので帰ってこいというのだ。学院の対面のことしか考えない相馬家にいやけがさし、反証があがるまで戻らないと言う道子。夏野は、そういうことなら不貞を理由に離婚訴訟を起こすと言う。一方、謙作は、田鶴子に話を聞こうと追いかけるが逃げられ、ストーカー扱いし交番の警官に突き付けられまでする。
真砂館を田鶴子が訪れる。半蔵は、謙作の部屋に上げて話を聞く。カッとすると見境いのない行動をしてしまう自分が、謙作や道子にひどいことをしてしまったと反省していると泣く田鶴子。道子と謙作が散歩をしている。道子は、謙作に結婚して幸せにしてくれないかと言う。しかし、「そのことをずっと考えていた。自分はみっちゃんを愛している。みっちゃんのためなら自分は死ねる。山小屋で肌で身体を温めながら、男の気持ちにはならなかった。こんなに愛しているみっちゃんと結婚することで失いたくないんだ」と言う謙作。真砂館に戻る二人に半蔵が、田鶴子が来ていることを告げる。謙作に全てを話し、謝罪する田鶴子。道子にも謝りたいと言うので、謙作が道子の部屋に行くといない。下宿の女中が荷物を持って出かけてくるといっていたと言う。
沼津の山村省吾の家、省吾が妻(吉村美沙子)と話している。昨夜遅く突然帰ってきた道子は青白く死人のようだったと心配する二人。妻には、ここでうまい魚を食べていれば元気になるさと言うが、心配になった省吾は寝ている妹を見に行く。呼吸をしているかと口元に手を持っていく省吾を狸寝入りしていて驚かす道子。謙作から手紙が来ているよと言う省吾。省吾は、気晴らしに牧場にでも行かないかと言う。かって見合いをさせようとした友人の佐久間に、再び道子を紹介しようと思ったのだ。
省吾の妹を宜しく頼むという手紙を持たされて牧場を訪れる道子。しかし一足違いで、佐久間はいない。佐久間のばあや(一の宮あつ子)は、山が好きで、山と会話をしにいっているのだと言う。自分も山と会話をしたくなったという道子。道子がスキーを担いで山を登っている。山よ~と呼ぶ声が聞こえる。滑り降りてくる佐久間。山よ~、大好きだあ~、馬鹿野郎~。と叫ぶ。木霊が返る。自分を大好きと呼んでくれる人間が欲しいと呟く佐久間。そこに道子が滑ってくる。二度と山に登らないというメモを残した筈だがという佐久間。二度と迷惑はかけないわと言う道子。道子はあの山小屋を訪れ、佐久間のリュックを見て微笑む。佐久間がやってくる。天候が変わり吹雪始めた外に出て行こうとする道子を止めた佐久間は、友人の省吾が自分に宛てた手紙を見つける。読み始めて、君は最初から知っていたのかと尋ねる佐久間。笑いだす佐久間。なぜ、相馬家で事実を言わなかったのかと問う道子に、事実かどうかではなく、事実によって何が起こるかが大事なんだという佐久間。
相馬家に新しい嫁が帰宅する。自分より先に夏野が風呂に入ったと聞いて、わざと夏野に聞こえるように、犬だって、誰が食べさせてくれているか知っていると言う。経営難に陥った学園のために、道子を追い出し、資産家の嫁を文男に迎えたのだ。夏野は、道子のことを考えていた。
そのあと、先日面接した専門学校に出向く。非常勤講師の口だけは何とか決まったので、これだけでは食えないが、春からは映画だけ観ていなくてもよくなった。
2日2晩吹き荒れた吹雪はようやく止む。
新聞なども、このスキャンダルを面白おかしく取り上げる。謙作は、勤務先で女たらし、色魔と悪評判だと書かれる。貞淑女学院に降って湧いたスキャンダルに憂慮した夏野たちは、帰宅した道子に、不貞をした嫁として辛く当たった。二人きりでなく、第三の男が一緒だったといっても、名前も知らない二人には、反証を挙げろと犯罪者のように言う夏野たち。夫の文男も、道子を汚いものを見るような視線を送る。道子は、反証を挙げるまで相馬家を出ると言う。道子の兄の山村は、沼津に戻る汽車の中で、古い友人の佐久間大介(佐分利信)に7年振りに再会する。かって山村は、妹の道子と佐久間を見合いさせようと、佐久間の牧場に連れて行ったことがある。しかし、佐久間は見合いを面倒くさがって逃げだしていて会えなかったことがある。そんな君の妹はどうしていると聞く佐久間に、結婚していると答える山村。実は、佐久間こそが、第三の男だった。しかし、二人とも雪山の遭難の話にも触れないまま別れる。
謙作は、道子を真砂館に連れていく。大家夫妻の部屋に住むことになる。その夜、真砂館の住人たちが、無事帰還のお祝いをしてくれ、道子は、東京に戻って初めておめでとうと言って貰えたと涙ぐむ。第三の男の手がかりは全くない。困って、道子が喫茶店に入ると、そこに第三の男佐久間がいる。相馬家に引きずるように佐久間を連れていくが、佐久間は、危険な冬の山に嫁が出かけるのを止めもしない相馬家は可笑しい。妻に対して不貞の反証を出せと言う夫も可笑しい。夫であれば妻が不貞しているかいないか分かるだろう。そんな相馬家に、必至で不貞していないと証明しようとしている道子もおかしい。反証してどうしようとしているのだと乱暴に言って相馬家を後にする。
乱暴者で酷い人間だと決めつける道子に、我々にとってはそうかもしれないが、佐久間の話にも一理あるのではないかと言う謙作。新聞の風向きが変わってきた。雪山で遭難し助かった道子を不貞を理由に追い出そうとしていると書き始めたのだ。困った夏野は、正道を真砂館に使いにやり、呼び出した上、不貞の可能性を不問にするので帰ってこいというのだ。学院の対面のことしか考えない相馬家にいやけがさし、反証があがるまで戻らないと言う道子。夏野は、そういうことなら不貞を理由に離婚訴訟を起こすと言う。一方、謙作は、田鶴子に話を聞こうと追いかけるが逃げられ、ストーカー扱いし交番の警官に突き付けられまでする。
真砂館を田鶴子が訪れる。半蔵は、謙作の部屋に上げて話を聞く。カッとすると見境いのない行動をしてしまう自分が、謙作や道子にひどいことをしてしまったと反省していると泣く田鶴子。道子と謙作が散歩をしている。道子は、謙作に結婚して幸せにしてくれないかと言う。しかし、「そのことをずっと考えていた。自分はみっちゃんを愛している。みっちゃんのためなら自分は死ねる。山小屋で肌で身体を温めながら、男の気持ちにはならなかった。こんなに愛しているみっちゃんと結婚することで失いたくないんだ」と言う謙作。真砂館に戻る二人に半蔵が、田鶴子が来ていることを告げる。謙作に全てを話し、謝罪する田鶴子。道子にも謝りたいと言うので、謙作が道子の部屋に行くといない。下宿の女中が荷物を持って出かけてくるといっていたと言う。
沼津の山村省吾の家、省吾が妻(吉村美沙子)と話している。昨夜遅く突然帰ってきた道子は青白く死人のようだったと心配する二人。妻には、ここでうまい魚を食べていれば元気になるさと言うが、心配になった省吾は寝ている妹を見に行く。呼吸をしているかと口元に手を持っていく省吾を狸寝入りしていて驚かす道子。謙作から手紙が来ているよと言う省吾。省吾は、気晴らしに牧場にでも行かないかと言う。かって見合いをさせようとした友人の佐久間に、再び道子を紹介しようと思ったのだ。
省吾の妹を宜しく頼むという手紙を持たされて牧場を訪れる道子。しかし一足違いで、佐久間はいない。佐久間のばあや(一の宮あつ子)は、山が好きで、山と会話をしにいっているのだと言う。自分も山と会話をしたくなったという道子。道子がスキーを担いで山を登っている。山よ~と呼ぶ声が聞こえる。滑り降りてくる佐久間。山よ~、大好きだあ~、馬鹿野郎~。と叫ぶ。木霊が返る。自分を大好きと呼んでくれる人間が欲しいと呟く佐久間。そこに道子が滑ってくる。二度と山に登らないというメモを残した筈だがという佐久間。二度と迷惑はかけないわと言う道子。道子はあの山小屋を訪れ、佐久間のリュックを見て微笑む。佐久間がやってくる。天候が変わり吹雪始めた外に出て行こうとする道子を止めた佐久間は、友人の省吾が自分に宛てた手紙を見つける。読み始めて、君は最初から知っていたのかと尋ねる佐久間。笑いだす佐久間。なぜ、相馬家で事実を言わなかったのかと問う道子に、事実かどうかではなく、事実によって何が起こるかが大事なんだという佐久間。
相馬家に新しい嫁が帰宅する。自分より先に夏野が風呂に入ったと聞いて、わざと夏野に聞こえるように、犬だって、誰が食べさせてくれているか知っていると言う。経営難に陥った学園のために、道子を追い出し、資産家の嫁を文男に迎えたのだ。夏野は、道子のことを考えていた。
そのあと、先日面接した専門学校に出向く。非常勤講師の口だけは何とか決まったので、これだけでは食えないが、春からは映画だけ観ていなくてもよくなった。
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