2009年8月1日土曜日

銃をとって~、叫~べ~(フロム頭脳警察)

   渋谷に出て、シネマライズで、
   ウリ・エデル監督『バーダー・マインホフ 理想の果てに(440)』
    1967年6月西ドイツ、ジルドのヌーディスト・ビーチで、夫のクラウスと二人の娘と海水浴を楽しむ女流ジャーナリストのウルリケ・マインホフ(マルティナ・ケディッグ)の姿がある。その後開かれたガーデンパーティーの会場で、ちょうど西ベルリンに来訪中のイランのシャー、バーレビ国王の妻ファラ王妃への公開質問状の署名原稿を読み上げた。「自分たちも、イランのほとんどの国民と同じようにカスピ海に避暑に出掛けると言うが、イラン国民は圧制の下、貧困に苦しんでおり、とてもカスピ海への避暑どころではないのではないのか?」
   ベルリン?オペラシアターの前では、バーレビ夫妻への抗議活動が行われていた。バーレビ歓迎を演出する男たちの団体がバスで現れプラカードを出して歓声を送る。バーレビが会館に入るなり、抗議グループに襲いかかった。プラカードの角材で情け容赦なく殴る。抗議グループ以外の見物人も含め、手当たり次第の暴行に辺りは大混乱となった。警備していた警官たちも、明らかに警棒で抗議グループに暴行している。怪我人が多数出た上、射殺されたものも出てしまった。
ウルリケ・マインホフはテレビの報道番組に出演し、左翼学生たちによる破壊活動だと言う新聞記事を否定し、政府の警察国家化を激しく非難した。

 70年RAF(ドイツ赤軍)バーダー・マインホフグループの武装革命の顛末。
   68年帝国主義的支配システムに対する武装闘争、アンドレス・バーダー、グドルン・エンスリン、ウルリケ・マインホフ、ドイツ経営者連盟会長、ハンス=マルティン・シャライヤー、アルザスの森の中1977年10月18日ルフトハンザ機ハイジャックの失敗。


   SABU監督『蟹工船(441)』
   こりゃ酷い(大笑)。今年のがっかり大賞最有力候補。
   蟹工船リメイク決定!と言うニュースのインパクトで終わったんだな。製作費はどこに消えたんだ。セット作って終わったのか…。しかし、蟹工船は、カムチャッカ沖に浮かぶ巨大工場だった筈が、従業員30人の町工場。全部人力駆動(苦笑)。船員は船長と通信士しかいない。普通、船長は通信室に入り浸らないだろう。蟹を取りに行く子船も、あれじゃ善福寺公園のボートのようだ。昭和初期にビニールの防水具はなくゴム製だったろとか時代考証はとやかく言わないが、自分の聞き間違いでなければ、初めの設定は冬のオホーツク海の寒さはだった筈が、松田龍平のアジテーションで、「俺たちが、この夏働いていくら手に入れるんだ!?」夏の厳しいアルバイトだったのか(笑)。
   参ったなあ。こりゃ寝てしまうよ。ぶっちゃけ寝てしまい、谷村美月が出ているところを見逃しているので、最も重要なシーンを見ずに批判するのは問題かもしれない。
   しかし、原作160万部、驚異のベストセラー、遂に映画化って、山村聰版の「蟹工船」でいいじゃないか(大笑)。まあモノクロで汗臭すぎるというのであれば、冬の海は「ジャコ万と鉄」を!!! 49年の谷口千吉版の方が個人的には好きだが、モノクロは重いと言うのであれば、64年版の深作欣二版もよし。今の日本映画業界の哀しみを感じるIMJ映画(笑)。今の若者は、エンターテイメントにしないとメッセージを受け取れないというのは、余りにナメた発言だろ(笑)。参ったなあ、「女の子ものがたり」期待しているのに・・・。


松田龍平、西島秀俊、高良健吾、新井浩文、柄本時生、木下隆行木本武宏TKO、三浦誠己、竹財輝之助、利重剛、清水優、遠藤謙一

   新宿伊勢丹経由、シネスイッチ銀座で、
   レオン・イチャン監督『エル・カンタンテ(442)』
    ニューヨーク2002年、エクトル・ラボーについてインタビューを受ける未亡人のプチ(ジェニファー・ロペス)。
     1985年のニューヨーク、高層ビルにあるマンションで、ジャグジーに入っているプチ。エクトルがまたショウに遅刻しているらしい。エディ行くわよ。ティトいい子にしていてねと声を掛け、リムジンに乗り込む。ブロンクスのスラム街に入り、車を止めビルに上がって行く。そこには、薬をキメて、行っちゃっているエクトル・ラポー(マーク・アンソニー)の姿がある。エクトルを連れ、リムジンに乗せ、酒とコカインをやり、何とかショウをスタートさせるプチ。
1970年代初頭のニューヨークをサルサで魅了した男、エクトル・ラボー。

   銀座シネパトスで、COOL&WILD妖艶美 反逆のヒロイン 梶芽衣子
   73年東映東京長谷部安春監督『女囚さそり 701号怨み節(443)』
    雨が激しく降る。教会の前に黒い車が二台停まり、刑事たちが降り、教会の中に入り、結婚式の参列者の顔を確認する。奥にある控え室の中の他の客たちを改める。遂に、花嫁のメイクをする松島ナミ(梶芽衣子)を発見、第一級殺人と脱走罪で逮捕した。護送する覆面パトカーの中で、警視庁捜査一課の児玉(細川俊之)が「やっとお前を捕まえることが出来た。お前が殺した杉見刑事たちが、これからお前が落ちる地獄で待っているだろう。。死刑台に送ってやる」と言った。ナミは手にした薔薇を運転する刑事の目に差し、車から逃走した。その後、地下鉄の工事現場に逃げ込んだ。

2009年7月31日金曜日

新しい船を動かすのは古い水夫じゃないだろう(フロム広島フォーク村)

   神保町シアターで、没後四十年 成瀬巳喜男の世界
   60年東宝成瀬巳喜男監督『女が階段を上る時(437)』
   (高峰Na)昼間の銀座のバーは、化粧をしていない女のようだ…… 。バー・ライラックというバーの店内では、店のみゆき(横山道代)が、松井(藤木悠)と結婚して、静岡にある松井の実家に嫁入りすることになり、女給たちがささやかな結婚祝いをやっている。清美(北川町子)雪子(柳川慶子)夏子(野口ふみえ)光子(園田あゆみ)みな口々に結婚したいと言う。一人、結婚なんかしたくない、銀座でママになると言った純子(団令子)がケーキのロウソクを早く吹き消してと言う。友子(中北千枝子)とさち子(塩沢とき)がママを気にした。そこに電話があり。マスターの所にマネージャーと一緒に呼ばれているので、先に進めておいてくれと言うものだった。何だろうと言うさち子に、売上についてに決まってるでしょと友子。
    中国人マスター(山茶花究)の前に座るママの矢代圭子(高峰秀子)とマネージャーの小松謙一(仲代達矢)。あなた、この所、売上が急速に落ちているが、美濃部が最近来なくなったからだとオーナー。あの人は沢山の会社の顧問をしているから上客を連れてきてくれる大事な客だ。営業の電話をして来て貰うように頼みなさいと。美濃部さんは最近あなたの下から独立したユリの店に入り浸っている。こんなままなら他のママ雇いますとマスター。圭子は、営業の電話などするのは嫌だと小松に愚痴る。
     店に戻り、私が駅まで送りに行くわと言う圭子。ホームで、みゆきにこんな仕事をしていて結婚できるあんたは幸せ何だから辛抱しなさいと圭子。店の近くに戻ると、救急車が来ている。ホステス相手の下着行商人の勝子(菅井きん)が、青い鳥のママがガス自殺を図ったと言う。店が抵当に入っていたとか、三角関係の清算だなどと、店の女の子たちも大騒ぎだ。
    その夜、美濃部剛(小沢栄太郎)が店に現れた。電話貰っちゃ来ない訳にはいかないと言う美濃部に。圭子は小松に文句を言う。美濃部は、この店はマンネリだと言う。ユリの店は活気があると言うので、連れて行って貰う圭子。なるほど中尾ユリ(淡路恵子)の店はとても賑わっていた。圭子の店の有力客もかなり見掛ける。美濃部は、圭子の焦る気持ちを見透かしたような、今晩から熱海にゴルフへ行くので、一緒に行こうと誘う。ゴルフを出来ないと圭子が言っても、君はゴルフをしないで温泉に入っていればいいじゃないかと言う。戻って欲しいとの店からの電話をきっかけに、席を立つが、必ず電話をしてくれと念を押す美濃部。
     入り口で、銀行の支店長をしている藤崎信彦(森雅之)に会う。ユリから何度も電話をされちゃ一度は顔を出さない訳にはいかないよと言い訳し、後でライラックに行くと言う藤崎。
    ライラックは階段を上がった二階だ。美濃部の誘惑をかわせるかと追い込まれたと思う。圭子は、夫を亡くした時に骨壺に、生涯、他の男と関係を持たないと言う手紙を入れたのだ。銀座で仕事をして5年、圭子は何とかその誓いを守ってきた。
     結局、美濃部を断ったことで、ライラックを辞めることになり、川添まつ子(細川ちか子)が経営するカルトンに移った。小松や主だった女の子たちも一緒だ。まつ子はなかなか厳しく、前の店での圭子の未収金15万を肩代わりしたが、催促は厳しい。
    店には圭子目当ての客が集まっている。大阪から通う郷田勇蔵(中村鴈治郎)や藤崎、中小企業の社長の関根松吉(加東大介)などだ。郷田と藤崎が、それぞれ翌日の食事を誘うが、明日こちらから電話をすると言う圭子。その夜酔って潰れた純子を自分のマンションに連れて行く圭子。翌日、藤崎のもとには、小松が掛け取りに行き、圭子は叔母が上京したので都合が悪くなったと伝える。郷田には純子が電話をする。
   小松と話しをするうちに、小さくても自分たちの店を持ったらどんなにいいだろうと

   
   シネマヴェーラ渋谷で、劇画≒映画
   72年勝プロ三隅研二監督『子連れ狼 三途の川の乳母車(438)』
   冥府魔道の旅を続ける拝一刀(若山富三郎)の大五朗(富川晶宏)を乗せた乳母車を押していると、虚無僧が襲いかかる。二人一体のトリッキーな攻撃だったが、一刀の前に敗れ去る。明石を訪れる。柳生烈堂の命により、明石柳生の女当主柳生鞘香(松尾嘉代)が差し向けた女刺客集団別式女八人を討ち果たすが、自らも傷つき、半死半生となった。大五朗の幼いながら、川の水を口に含み一刀に飲ませ、お地蔵さまのお供え物の餅を、自らのちゃんちゃんこと交換し、口に入る必死の看病が効を奏して体力を回復する一刀。しかし明石柳生を支援する黒鍬者小角(小林昭二)、十内(平沢彰)たちは、卑怯にも大五朗を攫い、一刀の動揺を誘おうとする。しかし、親子の強い信頼感の前に敗れ去った。
    明石から高松に向かう廻船の中に拝父子の姿がある。実は阿波藍の秘法を知る幕屋忠左衛門の身柄を江戸に護送するために、凄腕の公儀護送人の弁天来兄弟の三人、左天馬(大木実)左来馬(岸田森)左天馬(新田昌玄)が乗り合わせていた。忠左衛門の口から阿波藍の秘法が漏れると、少なくとも二十万石の藩収が減ることになる。阿波藩によって二百両で請け負った三次(江波多寛児)を始め、浪人衆も多数乗り合わせていた。沖合に出た所で、船ごと弁天来兄弟を消そうと襲いかかるが、手甲鉤、混飛、鉄挙などで武装する兄弟には全く歯が立たない。最後に三次は油を撒き、火を放った。弁天来兄弟は簡単に脱出、拝父子も何とか脱出する。海中を追い掛けて来た鞘香を水中で気絶させ、海岸の小屋に連れて行く。自ら服を脱ぎ、大五朗も裸にさせた上、鞘香の衣服を剥ぎ取ろうとする一刀。必死で抗う鞘香だったが、一刀は暴行しようとしたのではなく、冷え切ったお互いの体を温めあうことでしのごうとしたのだた。刀に手を伸ばそうとする鞘香は、しかし大五朗と触れ合ううちに断念する。
   幕屋忠左衛門の身柄は鳥取砂丘に差し掛かった。

     68年大映東京湯浅憲明監督『蛇娘と白髪魔(439)』
     通いのお手伝いさんが、南條家の南條氏の毒を持った生物の研究室で蛇に首を絞められ死ぬ。翌朝、女中の鬼頭しげ(目黒幸子)に発見された。
    孤児院のみゆき園で育った小百合(松井八知栄)は、本当は資産家の南條家の一人娘だったことが分かる。世界的な生物学者でもある父の南條吾郎(北原義郎)が迎えに現れ、小百合は今まで育ててくれた園長先生の山川(三宅邦子)や、園の先輩で運営を手伝っている林達也(平泉征)と別れを告げた。
   父親の吾郎は、お母さんはある時近所の工事現場でトラックに跳ねられ、それまでの記憶を無くしてしまい、時々おかしなことをするかもしれないが心配するなと言う。成城町二丁目にあるお屋敷に着く。母親夕子(浜田ゆう子)は、いきなりたまみ!と呼び掛けるが、父親が、私たちのただ一人の娘の小百合だよと声を掛けると、そうだったわねと普通に答え、それからは特に奇行はなかった。
    小百合の部屋は母親が全て用意してくれた、夢のようなものだった。洋服もクローゼットがいっぱいに入れてあり、とても高級そうなものばかりだった。
    食堂で両親との夕食を取る。そこに南條宛ての電報が届く。アフリカの大学から、南條がかねてより探していた、毒蜘蛛が発見されたので、直ぐに来てくれと言うものだ。南條は、せっかく小百合が帰って来たんだから断ろうと言うが、小百合はいい子にしてお母さまとお待ちしていますと言ったので、夕食を済ませたら、さっそく今晩の飛行機で出掛けようと言う。
半月後に南條が帰ってくるまでの生活が始まった。小百合は、夜寝付かれずにいると、お母さまが沢山の食事を持って、廊下を歩いて行くのを見掛ける。こっそり、後をつけると、ご先祖さまを祀ってある仏間に入って行く。ちょっと目を離した隙に、食事は消えていた。この家には何か秘密があるらしい。

    モノクロ、全体的に暗い画面は、梅図かずおの漫画を思わせる。


   ユーロスペースで、内藤隆嗣監督『不灯港(440)』
   寂れた漁港の漁師の石黒万造(小手信也)は、父親が残してくれた漁船を今日も出して一人で漁をする。水揚げをして近所のスーパーで買い物をして、コンビーフとキャベツの炒めものを作って、一人で食事をする。一丁裏の皮ジャンに深紅の薔薇を差して、カラオケスナックに行く。黒霧島のロックを頼んで、一人飲んでいると、年増の色っぽい女(鹿沼絵里)と目があった。万造は、薔薇の香りを嗅ぎ、女が立っているカウンターに近づく。薔薇の香りのサインを出し、クールに決めている隙に、ちゃらそうな男が、カクテルを二つ頼み、女と意気投合してしまう。
切なく、帰宅途中に、万造が、自販機で飲み物を買おうとしていると、暗闇から現れた金髪白人女(フロムロシア?)が、尺八どうだ?とジェスチャーをする。万造は、それを飲み物飲みたいとジェスチャーしていると勘違いし、クールに決めて、買って上げた飲み物を女に投げる。渋い、決まったと去って行く万造。
   翌日も万造は漁に出る。空き缶や、昆布の切れ端、赤い布など、金にならないものばかりだ。
ある日、漁協の掲示板に、都会の女性たちとのお見合いパーティーの参加者募集が張り出される。我先にと役場へ走る男たち。勿論万造も例外ではない。ここには若い女なんていやしないのだ。漁協の女事務員に名前と年齢を言うと、自己アピールビデオを撮って来いと言って、ビデオカメラを渡される。
   自宅に帰り、ビデオカメラをセットし、「石黒万造、38才です。父親の残してくれた船で、漁をし、一人この家で暮らしています。漁をしつづけた手はささくれ立ってしまったがあなたを抱きしめたい。結婚がしたい…」熱いが、退いてしまうメッセージ、万造の前には、深紅の薔薇の一輪挿しがある。
パーティーだ。万造は、町に一軒の用品店に行く。最新のファッションをくれと主人(麿赤児)は、ここにあるのは全てそうだが、女を虜にするにはと、バブル時代のような紫色のダブルのジャケットを出し、女はこれだと言う。インナーには…、特別に、アポロが月面に着陸した時に、アームストロング船長が月に置いて来て、数年後回収された現物、アームストロング本人のサイン入りのシャツはどうだと言った。更にハリウッドのスターは、パーティーでは必ずウェスタンジャケットだと言って茶色の皮の上下を勧める。勿論、万造は、両方お買い上げだ。


  大門の歯医者で、下の歯のインプラントのやり直し。

2009年7月30日木曜日

改めてゆっくり書きますが・・・。

    午前中は、池尻大橋で打合せ。そこから炎天下を渋谷まで歩き、代々木で体験入学の講師。

    ラピュタ阿佐ヶ谷で、武満徹の映画音楽
    59年松竹大船中村登監督『危険旅行(434)』

    吉祥寺バウスシアターで、岩本仁志監督『MW(435)』
    ゼネコンの役員岡崎俊一(中村育二)の娘が誘拐された。身の代金は一億。警視庁捜査1課の警部補沢木和之(石橋凌)は、部下の橘誠司(林泰文)と受け渡しの場所タイのバンコクに飛ぶ。犯人の巧妙なトリックにより、現金は持ち去られた。白いスーツとサングラスと髭の男の後ろ姿まで追い掛けながら、逃がしてしまう沢木。
   一人岡崎は、娘の受け渡し場所に行く。現れた娘は、犯人の男と2人暮らす為の狂言誘拐だと言う。しかし、犯人の男は、まず娘を、次に岡崎を射殺した。どの順番で殺すか悩んだと言って…。
    一億を取られ、岡崎父娘も殺され失意の沢木は、タイ警察で、身の代金の一億の紙幣ナンバーのリストを持参したLA新世紀銀行の結城美智雄(玉木宏)と言う男に出会う。刑事の勘が犯人の男と結城が同一人物ではないかと思わせた。
    東京中央新聞社会部の牧野京子(石田ゆり子)が出社すると、編集部には誰もいない。アシスタントの溝畑(山本裕典)が編集長に会議をやっているのですぐに会議室に来るようにとの伝言を伝える。編集長は、京子が書いた岡崎父子誘拐殺人事件の記事は、岡崎の会社の不正を追及するもので、被害者への同情論が世論となっている今は相応しくないので、三田(風間トオル)の書いた記事に差し替えると言い、京子にはこの件から降りるように命じた。会社の資料室に、京子と溝畑の姿がある。この事件から降りろという編集長の命令に逆らうのはまずいんじゃないですかという溝畑に、別の事件よと言って、古いスクラップブックを探しだした。少し前に起きた荒川でのバラバラ殺人の被害者と岡崎が、沖之間船島の出身者だということに気が付いた京子は、16年前の沖之間船島に関する記事を見つけたのだ。
    教会の神父賀来裕太郎(山田孝之)が懺悔室に入る。「自分の友人が再び罪を犯してしまいました。」と告白の声を聞いて、結城止めてくれと言う賀来。協力してくれてありがとう。岡崎を殺して復讐することが出来た。しかし、まだまだこれからだという結城にもういいだろうと言う賀来。?神父の遺児の美香(山下リオ)の姿に目をやり、君には守る存在が出来たからかと言う。
    丸ノ内のLA新世界銀行の本社に出社する結城。ガラス張りの本部長室では、本部長の山下隆志(半海一晃)が、携帯で電話をする姿がある。相手は、大臣の望月靖男(品川徹)だ。岡崎をやった犯人に関してまだ情報が無いこと、岡崎の死で後援会の理事の枠が開くので、山下に頼みたいこと、そして秘書の松尾(鶴見辰吾)に代わり、今月の末までに、民自党の総裁選のために1億用意してうれないものかというものだった。


    「手塚治虫最大のタブー解禁」「映像化不可能と言われた手塚治虫の衝撃作」「日本映画史を塗りかえるサスペンス・エンターテイメント超大作誕生」うーん。最近の映画の惹句は、本当に空虚だな。まあ、かっての松竹富士あたりの洋画の惹句には何度も騙されたし(苦笑)、更に、もともと映画興行は、お祭りの見世物小屋やお化け屋敷の流れを汲むと思えば、腹も立たないが。進歩しない日本映画界(笑)。
   どっちにせよ、手塚治虫の「MW」の設定を借りてきただけの映画と見るべきだろう。キリスト教神父の同性愛を避けた時点で、タブーはタブーとして封印したのだ。
    手塚の「MW」と関係ない映画として、アクション映画として見るには、タイ映画人の力でタイロケ頑張りましたという部分と、日本のスタッフで撮っているシーンの温度差(米軍の東京基地)が極端だ。温度差がメリハリになっていない。
   それよりも、最も残念なのが、脚本の弱さだ。結城というモンスターの恐ろしさと、キリスト教の十字架を背負った賀来神父の苦悩、新聞記者牧野の真実への執念、望月・松尾たち国家権力の恐ろしさといったものが、もう少し書かれないと、深みはない。ドラマスペシャルがあったようなので、そこで十分に書き込まれているのかもしれないが(笑)。
   更に、監督はテレビドラマのディレクターで、本編は二本目のようだが、彼は映像作家であって、演出家ではないようだ。登場人物の解釈が、役者それぞれに委ねてしまっているのではないだろうか。山田孝之は、これでは、喧嘩が弱い芹沢多摩雄(クローズZERO)ではないのか。自分よりも年上の石橋凌、頑張って走っているし、山田孝之、玉木宏・・・。みんな悪くないと思うんだけどなあ。
   まあ、全てはペンネームで共同脚本にも名前が入っているプロデューサーの責任だろうなあ。DVDか、テレビで見れば十分な、日本映画史を塗りかえる娯楽作品(笑)


2009年7月29日水曜日

神保町シアター連日大入り満員。

   朝から渋谷で京都の西村兄妹きもの店の兄ヒロカズ氏が東京に来ていると言うので、友人N氏と一緒に会う。イベントについて相談を受ける。何とか強力できるといいなあ。
   急いで神保町シアターに行くが、「浮雲」は、上映30分前でも、売り切れだった(泣)。気を取り直して、

   新宿ピカデリーで、マイケル・ベイ監督『トランスフォーマー リベンジ(432)』
サムはフィラデルフィアの大学に進学することになった。

ハリウッドらしい映画。1作目も悪くなかったが、更に金と手間を掛けたスケール感に、スピード、スリル、セクシー、子供だけでなく大人も充分に楽しめる出来上がり。

 ジュンク堂に寄り、神保町に戻り、

   神保町シアターで、没後四十年、成瀬巳喜男の世界
   53年東宝成瀬巳喜男監督『夫婦(433)』
    デパートの屋上の展望台に登る中原菊子(杉葉子)。夫の転勤で東京に戻って来た菊子を囲んで、赤松夫人(中北千枝子)と小池夫人(?)と五年振りに会ったのだ。離れて聞こえないことをいいことに、菊子の髪型をもう少し何とかすればいいのに、随分田舎臭くなっちゃってと陰口を言う金子夫人。
    菊子は、実家の鰻蒲焼きと佃煮の店「はせ川」に帰ってくる。兄の長谷川茂吉(小林桂樹)の結納の打合せに先方の父親三島(鳥羽陽之助)が来ていた。菊子を紹介する父直吉(藤原釜足)と母たか(滝花久子)。客が帰ると、菊子に家は見つかったかいと直吉。今日は学生時代のお友達と食事ですよとたか。伊作さんは、家探しを菊子に押し付けて、随分のんびりしているなと、菊子の夫をくさす直吉。仕事の引き継ぎが手間係っているんでしょうと菊子。もうひと月になるだろと直吉。伊作さんは、起きてるんだか、転んでるんだか分からないとこあるからねえとたか。そこに妹の久美子(岡田茉莉子)が帰ってくる。夕食にする。お腹は空いていないという菊子に、銭湯に行って来たらどうだい、今なら空いているだろうと、兄の茂吉。
    その夜はお祭りだ。外を見ていた茂吉と久美子。「あれ?お兄さんじゃないの?」「確かに伊作さんだ。呼んで来るよ。」伊作は店の前を素通りしていた。
    菊子が銭湯から帰ろうとしていると、久美子がお兄さんがいらしたわよと言う。驚いて、急いで帰り、二階に上がると、する事もなく、横になり、菊子の顔を見るなり、新聞と煙草はないかなあと尋ねる伊作。電話ぐらい下さればいいのにと菊子は言うが、いつものことだ。会社で、住まいとか面倒見て下さらないのかしらと菊子が言うと、僕はそんなに偉くないから無理だとニベもない伊作。
    伊作が翌日出社すると、女事務員の藤野ミエ子(木匠マユリ)と野田アヤ(田代百合子)が、奥さんを亡くしたことであんなに駄目になっちゃうのかしらと噂をしている。中原が誰のことだい?と尋ねると、武村さんのことだと言う。その時、青白い顔に無精髭の武村良太(三國連太郎)が現れる。ようやく百箇日も済みまして、と挨拶するが、腑抜けのようだ。中原は、武村に転勤して一緒に働くことになったので宜しくと頭を下げる。本社ではお世話になりましたと言うが、魂の抜けたような武村。
    その頃菊子は不動産屋の建て売り住宅の案内を見ている。チラシを営業マンに渡されるが、経済的に無理な菊子は、逃げるように去る。
    その夜、中原と武村が飲んでいる。武村の妻への思いを延々と聞かされる中原。武村の妻は田舎育ちだったので、器量は悪いが、健康だけは自慢だった、唯一の自慢が健康の筈が、肝臓が 悪く、あっけなく死んでしまうなんてと繰り返す武村。中原は、武村の住まいに自分たち夫婦を住まわせてくれないかと頼むが、妻との思い出を大事にして行きたいので、貸したくはないのだと言う。

     会社では特別真面目でも不真面目でもなく、よって出世する訳でもなく、家庭では、縦のものを横にもしなく、無口で、何が面白いのか分からない夫役の上原謙は、本当にはまり役だ。妻にとって結婚した頃は、若く美男子で、洋服姿もかっこよく、とても自慢の夫だった筈だが、倦怠期になってみると端正な顔立ちが、余計無表情で憎らしく見える。こうした家庭の微妙な空気を描かせたら、成瀬巳喜男は、本当に最高だ。

     夜は、伝説の映画宣伝マンにして、日本映画史上有数の怪しい映画評論家K氏の快気祝いを銀座の居酒屋で。何度も倒れながら、甦る怪人だ。しかし、今回は少し心配だったので、元気な顔を見られて本当に良かった。大新聞社の部長のMさん、気がついたら社長になっていた大手AVメーカーのSさん、独立系映画会社の配給部長のUさん、長い付き合いの年齢は様々な友人だ。映画雑誌の元編集長のUさんが、仕事で来れなかった事は残念だが、U氏の会社の宣伝スタッフのH氏も参加で、いつもながらの下らない話を堪能。心臓と脳で入院していたKを気遣わないといけないのに、絶好調で飲んでしまう。

2009年7月28日火曜日

阿佐ヶ谷気分

   大門の睡眠クリニック。

   ラピュタ阿佐ヶ谷で、武満徹の映画音楽
   58年松竹大船中村登監督『顔役(428)』
   山形の庄内平野を走る奥羽本線。登山帰りの学生輪島一夫(石浜朗)が、荷物を網棚に載せようとして飯盒の蓋?を、向かいに座ったワイシャツネクタイ姿の男泉川(佐田啓二)の上に落としてしまう。それをきっかけに親しくなる二人。山形駅で下車をすると、一夫の叔母である波代(淡路恵子)と三助の角造(桂小金治)が出迎える。市長のところに顔を出すと言う泉川と別れ実家である輪島湯に行く。途中の河川の堤防に防犯灯がある。地元商店街の会長としてこの街灯設置に尽力したことで一夫の父、輪島八十吉(伴淳三郎)が表彰されることになり、東京の大学に通う一夫は帰省し、八十吉の妹の波代も天童?から手伝いに呼ばれたのだ。

   64年東宝和田嘉訓監督『自動車泥棒(429)』
   都内で高級外車の部品を盗む少年たち。酋長(安岡力哉)、アントニオ(フランウ・フリーデル)、ゼニガメ(上岡肇)、コング(関本太郎)ゴロツキ(勝見守利)たち年長の者から、コムギ(森田則之)、ワラジ(田沢幸男)たち幼少の者まで7人だ。国電に乗って帰ってくるが、勿論地元の駅では、ホームから飛び降りて、タダ乗りだ。神聖ホームという混血児の孤児たちの施設で暮らしているのだ。門限に遅れたことで晩飯抜きだ。施設のシスターの岩波(細川ちえ子)河出(宮田芳子)角川(森今日子)の三人は、罰を与えることだけ考えているようだ。空腹を忘れるために、7人は施設の庭に出て、踊りまくる。
   ハツコ(デビィ・シアス)
朝雄(寺田農)

   65年東京映画堀川弘通監督『最後の審判(430)』
   羽田空港にサングラスを掛けた金井次郎(仲代達矢)の姿がある。日航の国際線が到着する。そこには、2年間のベトナム出張でメコン河への架設工事で成果を上げ、会社内での出世を約束された次郎の従兄小寺利一郎(須賀不二男)の帰国だ。次郎は、この従兄に対し激しい憎悪を感じていた。感情を押し殺し、作り笑顔で、利一郎のスーツケースを持ち、自分のMGのコンパーチブルで先に、利一郎の住まいである芝パークハイツに行き、預かっていた鍵で中に入る。スーツケースを起き、夫婦の寝室を覗くと、ツインベッドに妻の正子のネグリジェがある。憎々しげに顔を歪めるとベッドに投げ捨てる。そしてパイプに火を着けると、リビングをいらいらと歩き回った。下に利一郎たちの乗った車が着いたのを見て、慌てて火を消す。灰皿の吸い殻をゴミ箱に捨てると消えていなかったと見えて白煙が上がる。水を掛けて消し、窓を開けて煙草の臭いを掃き出し、ドアを開けて、利一郎と正子(淡島千景)を迎える次郎。

   64年東宝恩地日出夫監督『女体(431)
   デパート屋上の遊園地。着物姿の菅マヤ(団令子)。息子の勝己(地神勉)と姑の千代(村田嘉久子)の座るベンチにやってくる。店内を見て帰ることにする。店内には沢山の商品で溢れている。そこで声を掛けられるマヤ。かっての仲間の浅田せん(楠侑子)だった。久しぶりね。何年振りかしら・・。
  原爆雲、廃墟の広島市内、長崎市内、敗戦の玉音放送、厚木基地に降り立つマッカーサー、極東裁判、焼け跡の戦争孤児たち、DDT、すし詰め列車、闇市・・・(報道写真、ニュース映像・・・)
   金を数えるマヤ。おじさん一枚足りないよ。と言い40円受け取ると走り出す。サイレンや警笛が聞こえる。パンパン狩りだ。何とか逃げてアジトに戻るマヤ。敗戦直後の18年前、マヤはボルネオ・マヤと言う名前で、関東小政と呼ばれたせん、ふうてんお六の安井花江(岩崎豊子)、ジープのお美乃こと乾美乃(坂本スミ子)、人妻の菊間町子(千之赫子)たちと体を売って生きていた。人妻で明らかに大人の女を感じさせる町子を、他の娘たちは憎んでいた。。町子がお金を貰わずに男と会っていたことで、掟を破ったとして、娘たちは、町子を裸にしてさんざん打った。
   喫茶店でそんな過去を思い出す二人。町子の成熟を嫉妬していたのだ。マヤは戦争で足を悪くしたが、紳士服の仕立てをする夫の洸二(稲垣昭三)と結婚し、安定した生活を送っている。せんは、ミスター・モースという年配の白人の東京妻として、六本木で高級クラブを経営していた。カウンターに、伊吹新太郎(南原宏治)が座っている。
   伊吹は、マヤたち女ばかりのアジトに、転がり込んできた特攻隊上がりだった。MPに追われ、脚を撃たれていた伊吹に頼まれ、焼酎を買ってきて、足を消毒し、治療するマヤ。伊吹は、女ばかりのアジトに居ついてしまうが、若い娘たちの友情に影を落とす。

  「素晴らしい悪女」を見ておらず、残念なデビュー作の「若い狼」と内藤洋子版「伊豆の踊り子」しか見ていないので、恩地日出夫監督への評価は何とも言いようがないが・・・。これは、本当に傑作だ。「埴輪の女」と合体し、その後の人生とのシンクロさせたことで、どうしても焼け跡風俗に流れやすい「肉体の門」を深みのあるものにしている。数ある「肉体の門」の中でも、個人的には出色だ。東宝のコメディエンヌのイメージが強い団令子も、文字通りの体当りの演技だ。(「美代子阿佐ヶ谷気分」のスタッフ・キャスト、阿佐ヶ谷ラピュタで打ちのめされて欲しい・・。というと言い過ぎだが・・・)ロンパリ気味の焦点の合わない団令子の大きな瞳の魅力を最大限生かしたのは恩地日出夫だったのだ。恩地日出夫、団令子コンビの前作、「素晴らしい悪女」を見たい!直ぐに見たい!!

2009年7月27日月曜日

男と女の間には深くて暗い河がある。

   神保町シアターで、没後四十年、成瀬巳喜男の世界
   57年東宝成瀬巳喜男監督『あらくれ(425)』
   大正の初め、缶詰浅井商店。小僧たちが掃除をしている。雑巾がけをするお島(高峰秀子)の姿。通りすがりの女たちが、あれが夕べ来た女将さんだと噂をしている。店の主人鶴さん(上原謙)に、仲人の神田植源のご隠居(林幹)が訪ねて来ている。先の女将さんは身体が弱く病院に入ったきりだったが、お島は、健康で、養家では牛馬のようによく働くと評判だったから安心だ。先はお金が随分掛かったので、今度ので、少しは儲けたいと思いますと鶴さん。その頃、奥ではお島が髪を結って貰っている。手の甲にある傷を見つけた髪結(出雲八重子)に尋ねられ、子供の時に焼け火箸で折檻された後だと答えるお島。

   53年東宝成瀬巳喜男監督『(426)』
   会社に出掛ける支度をする中川十一(上原謙)。卓袱台に置いてある弁当箱を鞄に入れ、自分で靴を磨いて出掛ける。その姿をだるそうに見送る妻の美種子(高峰三枝子)。二人の間には全く会話がない。

   64年東宝成瀬巳喜男監督『乱れる(427)』
   静岡県清水の住宅街をトラックに飾り付けをしたスーパーマーケット清水屋の開店一周年記念の大特売の宣伝カーが走っている。その後、商店街に入ってくる。森田酒店の中から、女主人の森田礼子(高峰秀子)が出てくる。近くの加賀食料品店の主人(柳谷寛)に妻の道子(中北千枝子)が、清水屋じゃ卵一個5円だってと言う。ここでは11円だ。
    スナックに茹で卵が山積みになっている。清水屋の店員の野溝(藤木悠)たちが、店の女の子たちを集めて、5分以内に一番食べられた子には二千円をやると言う。女たちは、金のために欲張って吹き出したり、喉を詰まらせたりする。カウンターで一人飲んでいた若者(加山雄三)が、「そんな馬鹿ことは止めろ。」と言う。野溝は、「誰だ?なんだ森田屋の息子か。」「馬鹿なことは止めろ!商売人なら商売で勝負しろ。世の中には卵どころか、麦飯も食えない人間だっているんだ。」「自分の金で、自分の店で買った卵をどうしようと俺たちの勝手だ」結局店の中で大喧嘩になった。
    森田酒店に電話が入る店員の川俣(西条康彦)が、おかみさん、警察からですと言う。電話にでた礼子は小声で話し、では伺いますと言う。そこに、姑のしず(三益愛子)が出て来て、幸司からかい?幸司は昨日も帰って来なかったんだろうと言う。いえ、集金の電話です。幸司さんは昨晩は、商店街の寄り合いに出て貰ったので、多分その後麻雀にでも行ったんでしょうと答える。
しかし、礼子の向かった先は警察署だ。昨日の喧嘩泊められたのだ。幸い示談も成立し、姉の礼子がもらい下げに来たので釈放される。君は大学まで出て、それなりにインテリゲンチャなんだから、こんなことで、立派なお姉さんに迷惑を掛けるんじゃないと、署長に説教される幸司。
   警察署を出て、帰る途中、幸司に「お勘定を取りに行くと言って出て来たのだから一緒に帰るのはおかしいわ。お母さんには、昨日幸司さんは商店街の寄り合いに出た後に麻雀をしていると言ってあるから」と言って、小遣いを渡す。「さすが、出来た姉さんだ」と言って、遊びに行く幸司。


   幸司は「姉さんは、兄貴と結婚してたった半年で戦死されて、18年間うちの犠牲になってきたんじゃないのか」と言い出す。

  
  今日の3本は、成瀬巳喜男の真骨頂のような、家庭の中の気持ちの揺れ具合。素晴らしい。


   その後、恒例になっている新橋ビルヂング屋上ビアガーデンに、先輩Mさん、後輩K×2と、友人N氏と出かけると、ビルの改修工事のため、営業をしていない。ニュー新橋ビルの地下をハシゴ。

2009年7月26日日曜日

森繁の社長もの、いいなあ。

    女性陣が、かなり洗い物を片付けてくれていたので、朝は割と簡単に済む。二度寝して、昼から、体験入学の講師。一人だったが沖縄県からの参加だ。昨日の酒は抜けたつもりだったが、体調イマイチ。

   終わり次第、銀座シネパトスで、
  「日本映画レトロスペクティブ-PART1-」~上を向いて歩こう!昭和がくれる元気の源!~
   56年東宝千葉泰樹監督『へそくり社長(422)』
   東京駅行きの小田急バスが成城町のバス停にやってくる。バス停に並んでいた客の内数人乗せただけで、超満員のバスは発車する。ダックスフントを散歩させる女中が、一軒のお屋敷に入っていく。表札は、田代善之助と掛かっている。
     ベッドで眠っている善之助(森繁久彌)をお越す妻の厚子(越路吹雪)。あなた眠れなかったの?と尋ねる妻に、夜のお勤めをしたじゃないかと言い、更に今日の株主懇談会が気になって眠れなかったと善之助。先代社長は3時間睡眠で通されたと妻に言われると返す言葉もない善之助。朝食はパンに牛乳、スープに野菜ジュースだ。つい、たまにはご飯と味噌汁の朝食を食べたいと呟くと、あなた、日本人の短命は米食が原因だといろんなデータで確立しているので、そんなことを言っては困りますと厚子。善之助は飲みきれない牛乳を花瓶に捨てる。厚子が、人参をジューサーに掛けようとすると動かない。停電だわと聞いてしめた!と思った善之助だが、人参は生で食べたほうがいいと言われ食べさせられる。馬になった気がする善之助。通勤だ。運転手付きの社長車で、ゆったりと通勤する。
車が明和商事株式会社ビルに着き、秘書の小森信一(小林桂樹)が出迎えた。


   59年東宝松林宗恵監督『社長太平記(423)』
   軍艦マーチが鳴り響く中、大日本帝国海軍太平洋艦隊が進む。巡洋艦?の食堂、二等水兵牧田庄太郎(森繁久彌)は、ガチャガチャうるさく音を立てながらあっという間に食事を終える。鬼兵曹の大森雄吉(小林桂樹)は、畏れ多くも大元帥閣下の下された食事を頂くのであるからして、もっと謹んで頂戴するようにと怒る。そこに艦長の朝日奈剛之助(加東大介)が現れ、訳を聞き、兵たるもの迅速を以て尊しとすべきであり、非難されるものではないと言う。その時、敵襲を告げるサイレンがなり、総員配置に着き応戦する。艦橋は危なくなり、大森は、艦長に退避するよう言うが、艦長は退かず、そこにいた牧田と大森は、敵機の機銃掃射を浴びる。
    そこで、うなされていた牧田は目が覚める。妻の登代子(久慈あさみ)に、また戦争中の夢ですかと言われる。朝ご飯はあるかいと尋ねる牧田に、あなたは寝坊過ぎるんです。お母さまにご挨拶していらしたらと言われ、離れに住む母の岩子(三好栄子)の所に行く。既に縁側で新聞を読んでいた岩子は、桜商事が東京に進出してくるって、新聞にかいてありますけど、と言われてしまう。牧田は、戦時中のパラシュート製造から戦後女性下着の製造に転換した碇商事の社長で、母の岩子は会長なのだ。


    COOL&WILD妖艶美 反逆のヒロイン 梶芽衣子
    72年東映東京伊藤俊也監督『女囚さそり 第41雑居房(424) 』
    松島ナミ(梶芽衣子)が地下牢に投獄され一年が経った。後ろ手に手鎖を掛けられで、足鎖でエビぞりのような姿だが、口に加えたスプーンを口にくわえて、床で擦っている。いつの間にやら、スプーンはメスのように鋭利なものになった。ある日、辻(小松方正)と2名の看守がやってくる。階段の上から、巡察官が来るので、一年振りに日の光を拝ませてやると郷田所長(渡辺文雄)が言っていると言う。郷田自身もやって来て、片目を潰された恨みを晴らす為にも、ナミは死ぬまで、この地下牢で暮らすのだと言う。巡察官の訪問の為に、一年分の垢を落として身体をきれいにしてやろうと、加圧消火ホースを持って来させ、激しく、ナミに水を浴びせ掛けた。水流により呼吸も出来ず激痛呻くナミ。
    巡察官(戸浦六宏)の歓迎式典が行われている。女囚たちの楽団が演奏する。巡察官は郷田に、凶悪犯たちをよくこれだけ大人しくさせたものだと言って、本省の東京矯正管区長に栄転しても、更に囚人たちの更生のために尽力してほしいと言った。その時、女囚たちが、連れられてきた女を見て、小さなつぶやきが生まれ、次第に広がっていった。松島ナミ、マツ、さそり…。度重なる逃亡歴、最後には地下牢に繋がれ、誰も姿を見ないまま一年が経った。女囚たちの間では伝説化されているのだ。1年間地下牢で横たわっていたナミは、一人で立っていることも出来ない。
    巡察官はナミにも「罪を償って、早く社会に復帰してください。」と声を掛けた。その時、立つことも出来ない筈のナミが想像を絶する跳躍で、隠し持った鋭利に尖らせたスプーンで、郷田の残った方の目を刺そうとした。掛けていた眼鏡にあたり、頬を傷つけただけであったが、巡察官は、恐怖のあまり腰を抜かし、失禁する。ズボンから床を小便の水溜りを広げた。大人しくしていた女囚たちは、嘲笑し騒いだ。巡察官を取り囲み、ズボンを、服を脱がす。今まで殊勝に演奏をしていた女囚楽団も、ジンタを演奏する。面目を丸潰しにされた郷田は、看守たちに指示をし、威嚇射撃をさせると、「絶対許さん。全員懲罰!!!!」と叫ぶ。
   炎天下の中、採石場で、石を引かされる女囚たち。ナミは、キリストのように、十字の大きな木を背負わされている。その光景を見た郷田は、「沖崎!!!あれでは駄目だ。松嶋ナミは、どんな懲罰も効かん。耐えるマツの姿は、女囚たちに神格化させるだけだ。」と言い。沖崎(室田日出男)に命じて、茶色の服を着た4人の看守を集めさせ、彼らにストッキングを顔に被らせて、ナミを輪姦させる。辻が、最初に圧し掛かると、ナミは顔を食い千切ろうとする。しかし、他の男たちに取り押さえられ、次第に遠い目をするナミ。その姿を見る女囚たちの中には、涙を流す者もいる。
   法務省と書かれた黒く塗られ、窓もない囚人護送車が何台も、採石場から刑務所に戻っていく。
助手席に座る辻(小松方正)は、「あんなハクいスケを抱けるとは、今日はヤリ得だったぜ。」と舌なめずりをしている。護送車の中には、ナミを含め7人の女がいた。リーダー格の大場ひで(白石加代子)、及川君代(荒砂ゆき)、 野田朝子(伊佐山ひろ子)、我妻春江(八並映子)、安木富子 (賀川雪絵)都ローズ (石井くに子)。大場や野田が、「いきがりやがって!!」とナミを蹴り始めると。都(以降、愛称のチビを使用)を除いて全員がナミに暴行する。
    失神したナミを死んだと思って、チビは、「マツが死んだ!!!」と半狂乱になる。運転席側の壁をガンガンなぐり喚くのに気が付いた辻たちが、車を止め、荷台の鍵を開け覗く。奥でナミは倒れている。近づいた辻に、突然起き上がって、手枷についた鎖で首を絞めるナミ。銃を持ったもう一人の看守には、大場が飛びついて銃を取り上げる。7人の女たちは、逃亡した。郷田、沖崎、古谷(堀田真三)が見つけたのは、股間を丸太で串刺しにされた辻の死体だった。
to be continued.