ラピュタ阿佐ヶ谷で、武満徹の映画音楽。
山形の庄内平野を走る奥羽本線。登山帰りの学生輪島一夫(
64年東宝和田嘉訓監督『自動車泥棒(429)』
都内で高級外車の部品を盗む少年たち。酋長(安岡力哉)、
ハツコ(デビィ・シアス)
朝雄(寺田農)
65年東京映画堀川弘通監督『最後の審判(430)』
羽田空港にサングラスを掛けた金井次郎(仲代達矢)の姿がある。
64年東宝恩地日出夫監督『女体(431)
デパート屋上の遊園地。着物姿の菅マヤ(団令子)。息子の勝己(
原爆雲、廃墟の広島市内、長崎市内、敗戦の玉音放送、厚木基地に降り立つマッカーサー、極東裁判、焼け跡の戦争孤児たち、DDT、すし詰め列車、闇市・・・(報道写真、ニュース映像・・・)
金を数えるマヤ。おじさん一枚足りないよ。と言い40円受け取ると走り出す。サイレンや警笛が聞こえる。パンパン狩りだ。何とか逃げてアジトに戻るマヤ。敗戦直後の18年前、マヤはボルネオ・マヤと言う名前で、関東小政と呼ばれたせん、ふうてんお六の安井花江(岩崎豊子)、ジープのお美乃こと乾美乃(坂本スミ子)、人妻の菊間町子(千之赫子)たちと体を売って生きていた。人妻で明らかに大人の女を感じさせる町子を、他の娘たちは憎んでいた。。町子がお金を貰わずに男と会っていたことで、掟を破ったとして、娘たちは、町子を裸にしてさんざん打った。
喫茶店でそんな過去を思い出す二人。町子の成熟を嫉妬していたのだ。マヤは戦争で足を悪くしたが、紳士服の仕立てをする夫の洸二(稲垣昭三)と結婚し、安定した生活を送っている。せんは、ミスター・モースという年配の白人の東京妻として、六本木で高級クラブを経営していた。カウンターに、伊吹新太郎(南原宏治)が座っている。
伊吹は、マヤたち女ばかりのアジトに、転がり込んできた特攻隊上がりだった。MPに追われ、脚を撃たれていた伊吹に頼まれ、焼酎を買ってきて、足を消毒し、治療するマヤ。伊吹は、女ばかりのアジトに居ついてしまうが、若い娘たちの友情に影を落とす。
「素晴らしい悪女」を見ておらず、残念なデビュー作の「若い狼」と内藤洋子版「伊豆の踊り子」しか見ていないので、恩地日出夫監督への評価は何とも言いようがないが・・・。これは、本当に傑作だ。「埴輪の女」と合体し、その後の人生とのシンクロさせたことで、どうしても焼け跡風俗に流れやすい「肉体の門」を深みのあるものにしている。数ある「肉体の門」の中でも、個人的には出色だ。東宝のコメディエンヌのイメージが強い団令子も、文字通りの体当りの演技だ。(「美代子阿佐ヶ谷気分」のスタッフ・キャスト、阿佐ヶ谷ラピュタで打ちのめされて欲しい・・。というと言い過ぎだが・・・)ロンパリ気味の焦点の合わない団令子の大きな瞳の魅力を最大限生かしたのは恩地日出夫だったのだ。恩地日出夫、団令子コンビの前作、「素晴らしい悪女」を見たい!直ぐに見たい!!
0 件のコメント:
コメントを投稿