2009年7月30日木曜日

改めてゆっくり書きますが・・・。

    午前中は、池尻大橋で打合せ。そこから炎天下を渋谷まで歩き、代々木で体験入学の講師。

    ラピュタ阿佐ヶ谷で、武満徹の映画音楽
    59年松竹大船中村登監督『危険旅行(434)』

    吉祥寺バウスシアターで、岩本仁志監督『MW(435)』
    ゼネコンの役員岡崎俊一(中村育二)の娘が誘拐された。身の代金は一億。警視庁捜査1課の警部補沢木和之(石橋凌)は、部下の橘誠司(林泰文)と受け渡しの場所タイのバンコクに飛ぶ。犯人の巧妙なトリックにより、現金は持ち去られた。白いスーツとサングラスと髭の男の後ろ姿まで追い掛けながら、逃がしてしまう沢木。
   一人岡崎は、娘の受け渡し場所に行く。現れた娘は、犯人の男と2人暮らす為の狂言誘拐だと言う。しかし、犯人の男は、まず娘を、次に岡崎を射殺した。どの順番で殺すか悩んだと言って…。
    一億を取られ、岡崎父娘も殺され失意の沢木は、タイ警察で、身の代金の一億の紙幣ナンバーのリストを持参したLA新世紀銀行の結城美智雄(玉木宏)と言う男に出会う。刑事の勘が犯人の男と結城が同一人物ではないかと思わせた。
    東京中央新聞社会部の牧野京子(石田ゆり子)が出社すると、編集部には誰もいない。アシスタントの溝畑(山本裕典)が編集長に会議をやっているのですぐに会議室に来るようにとの伝言を伝える。編集長は、京子が書いた岡崎父子誘拐殺人事件の記事は、岡崎の会社の不正を追及するもので、被害者への同情論が世論となっている今は相応しくないので、三田(風間トオル)の書いた記事に差し替えると言い、京子にはこの件から降りるように命じた。会社の資料室に、京子と溝畑の姿がある。この事件から降りろという編集長の命令に逆らうのはまずいんじゃないですかという溝畑に、別の事件よと言って、古いスクラップブックを探しだした。少し前に起きた荒川でのバラバラ殺人の被害者と岡崎が、沖之間船島の出身者だということに気が付いた京子は、16年前の沖之間船島に関する記事を見つけたのだ。
    教会の神父賀来裕太郎(山田孝之)が懺悔室に入る。「自分の友人が再び罪を犯してしまいました。」と告白の声を聞いて、結城止めてくれと言う賀来。協力してくれてありがとう。岡崎を殺して復讐することが出来た。しかし、まだまだこれからだという結城にもういいだろうと言う賀来。?神父の遺児の美香(山下リオ)の姿に目をやり、君には守る存在が出来たからかと言う。
    丸ノ内のLA新世界銀行の本社に出社する結城。ガラス張りの本部長室では、本部長の山下隆志(半海一晃)が、携帯で電話をする姿がある。相手は、大臣の望月靖男(品川徹)だ。岡崎をやった犯人に関してまだ情報が無いこと、岡崎の死で後援会の理事の枠が開くので、山下に頼みたいこと、そして秘書の松尾(鶴見辰吾)に代わり、今月の末までに、民自党の総裁選のために1億用意してうれないものかというものだった。


    「手塚治虫最大のタブー解禁」「映像化不可能と言われた手塚治虫の衝撃作」「日本映画史を塗りかえるサスペンス・エンターテイメント超大作誕生」うーん。最近の映画の惹句は、本当に空虚だな。まあ、かっての松竹富士あたりの洋画の惹句には何度も騙されたし(苦笑)、更に、もともと映画興行は、お祭りの見世物小屋やお化け屋敷の流れを汲むと思えば、腹も立たないが。進歩しない日本映画界(笑)。
   どっちにせよ、手塚治虫の「MW」の設定を借りてきただけの映画と見るべきだろう。キリスト教神父の同性愛を避けた時点で、タブーはタブーとして封印したのだ。
    手塚の「MW」と関係ない映画として、アクション映画として見るには、タイ映画人の力でタイロケ頑張りましたという部分と、日本のスタッフで撮っているシーンの温度差(米軍の東京基地)が極端だ。温度差がメリハリになっていない。
   それよりも、最も残念なのが、脚本の弱さだ。結城というモンスターの恐ろしさと、キリスト教の十字架を背負った賀来神父の苦悩、新聞記者牧野の真実への執念、望月・松尾たち国家権力の恐ろしさといったものが、もう少し書かれないと、深みはない。ドラマスペシャルがあったようなので、そこで十分に書き込まれているのかもしれないが(笑)。
   更に、監督はテレビドラマのディレクターで、本編は二本目のようだが、彼は映像作家であって、演出家ではないようだ。登場人物の解釈が、役者それぞれに委ねてしまっているのではないだろうか。山田孝之は、これでは、喧嘩が弱い芹沢多摩雄(クローズZERO)ではないのか。自分よりも年上の石橋凌、頑張って走っているし、山田孝之、玉木宏・・・。みんな悪くないと思うんだけどなあ。
   まあ、全てはペンネームで共同脚本にも名前が入っているプロデューサーの責任だろうなあ。DVDか、テレビで見れば十分な、日本映画史を塗りかえる娯楽作品(笑)


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