2009年7月27日月曜日

男と女の間には深くて暗い河がある。

   神保町シアターで、没後四十年、成瀬巳喜男の世界
   57年東宝成瀬巳喜男監督『あらくれ(425)』
   大正の初め、缶詰浅井商店。小僧たちが掃除をしている。雑巾がけをするお島(高峰秀子)の姿。通りすがりの女たちが、あれが夕べ来た女将さんだと噂をしている。店の主人鶴さん(上原謙)に、仲人の神田植源のご隠居(林幹)が訪ねて来ている。先の女将さんは身体が弱く病院に入ったきりだったが、お島は、健康で、養家では牛馬のようによく働くと評判だったから安心だ。先はお金が随分掛かったので、今度ので、少しは儲けたいと思いますと鶴さん。その頃、奥ではお島が髪を結って貰っている。手の甲にある傷を見つけた髪結(出雲八重子)に尋ねられ、子供の時に焼け火箸で折檻された後だと答えるお島。

   53年東宝成瀬巳喜男監督『(426)』
   会社に出掛ける支度をする中川十一(上原謙)。卓袱台に置いてある弁当箱を鞄に入れ、自分で靴を磨いて出掛ける。その姿をだるそうに見送る妻の美種子(高峰三枝子)。二人の間には全く会話がない。

   64年東宝成瀬巳喜男監督『乱れる(427)』
   静岡県清水の住宅街をトラックに飾り付けをしたスーパーマーケット清水屋の開店一周年記念の大特売の宣伝カーが走っている。その後、商店街に入ってくる。森田酒店の中から、女主人の森田礼子(高峰秀子)が出てくる。近くの加賀食料品店の主人(柳谷寛)に妻の道子(中北千枝子)が、清水屋じゃ卵一個5円だってと言う。ここでは11円だ。
    スナックに茹で卵が山積みになっている。清水屋の店員の野溝(藤木悠)たちが、店の女の子たちを集めて、5分以内に一番食べられた子には二千円をやると言う。女たちは、金のために欲張って吹き出したり、喉を詰まらせたりする。カウンターで一人飲んでいた若者(加山雄三)が、「そんな馬鹿ことは止めろ。」と言う。野溝は、「誰だ?なんだ森田屋の息子か。」「馬鹿なことは止めろ!商売人なら商売で勝負しろ。世の中には卵どころか、麦飯も食えない人間だっているんだ。」「自分の金で、自分の店で買った卵をどうしようと俺たちの勝手だ」結局店の中で大喧嘩になった。
    森田酒店に電話が入る店員の川俣(西条康彦)が、おかみさん、警察からですと言う。電話にでた礼子は小声で話し、では伺いますと言う。そこに、姑のしず(三益愛子)が出て来て、幸司からかい?幸司は昨日も帰って来なかったんだろうと言う。いえ、集金の電話です。幸司さんは昨晩は、商店街の寄り合いに出て貰ったので、多分その後麻雀にでも行ったんでしょうと答える。
しかし、礼子の向かった先は警察署だ。昨日の喧嘩泊められたのだ。幸い示談も成立し、姉の礼子がもらい下げに来たので釈放される。君は大学まで出て、それなりにインテリゲンチャなんだから、こんなことで、立派なお姉さんに迷惑を掛けるんじゃないと、署長に説教される幸司。
   警察署を出て、帰る途中、幸司に「お勘定を取りに行くと言って出て来たのだから一緒に帰るのはおかしいわ。お母さんには、昨日幸司さんは商店街の寄り合いに出た後に麻雀をしていると言ってあるから」と言って、小遣いを渡す。「さすが、出来た姉さんだ」と言って、遊びに行く幸司。


   幸司は「姉さんは、兄貴と結婚してたった半年で戦死されて、18年間うちの犠牲になってきたんじゃないのか」と言い出す。

  
  今日の3本は、成瀬巳喜男の真骨頂のような、家庭の中の気持ちの揺れ具合。素晴らしい。


   その後、恒例になっている新橋ビルヂング屋上ビアガーデンに、先輩Mさん、後輩K×2と、友人N氏と出かけると、ビルの改修工事のため、営業をしていない。ニュー新橋ビルの地下をハシゴ。

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