2010年2月13日土曜日

今日もボランティア(苦笑)

今日も学生が集まって、準備しているというので、西荻のとある和菓子屋の豆大福を買って出掛ける。集客がピンチだと頭を抱えている姿をビデオで収録する。あの時はヤバかったと笑い話になるといいのだが・・・。

2010年2月12日金曜日

しまった!!

  午前中、学生がイベント準備で出ていると昨日聞いたので、西荻駅前のメロンパン屋で焼きたてを買い、差し入れに。温かかったのに、今日の寒さで、西荻~代々木の間で、直ぐに常温で。餌で釣ったこととは関係なしに、よくやっている。午後、俺はアバター・デートだからとさっそうと。2度目のジェームス・キャメロン監督『アバター(53)』
  しかし、i-maxシアターのつもりで予約した、川崎のシネコンはTOHOシネマズ川崎で、I-MAXシアターはラゾーナ川崎の109シネマズ川崎だった(苦笑)。せっかく颯爽とネット予約したのに・・。
  言い訳しながら、今一番大好きな、年齢がダブルスコアの絵描きのお嬢さんと観賞。まあ、2回目なので、3Dのディテイルでなくハリウッド真骨頂の単純なストーリーを楽しむ。しかし、愛の告白をするつもりが、恋愛相談を聞く羽目に(苦笑)。「とくだね」の血液型選手権、O型最下位だったな・・・。

2010年2月11日木曜日

妹と弟。

   今日は父親の79才の誕生日なので、妹から召集かかり、昼ご飯で八王子の豆腐懐石に。

    渋谷シネパレスで、山田洋次監督『おとうと(52)』
    高野小春(蒼井優)のNA…対日平和条約、日米安全保障条約、そうした時代を私の母は生まれ育った。(高野薬局が映つされる)。大阪万博…、21年ぶりの阪神タイガースの優勝の年、大阪出身でタイガースファンの母が大喜びしていた時は、私は小学生だった。母に輪をかけてタイガースファンで、自称旅役者の叔父の鉄郎(笑福亭鶴瓶)。5年前の父の13回忌に、酒を飲み大暴れして、行方不明になった。
   小春が自転車を漕いで坂を登って行く。高野薬局の前に自転車を停める。中に入り、母親の吟子(吉永小百合)に「美容院でお祝いだって花束貰っちゃった」鉄郎への披露宴を知らせる葉書は返ってきていた。
   その時、薬局のドアチャイムが鳴る。小春、店を見て「お母さん!遠藤先生と丸山自転車のおじさん」母娘が薬局の店頭に顔を出すと、「商店街のみんなからお祝いだ」と包みを渡す丸山(笹野高史)。「早いもんだな、歯医者は嫌いって、私の手を噛んだ小春ちゃんがお嫁に行くんだもんな」と遠藤(森本レオ)「私は小春ちゃんが、この街から出て行っちゃうのが本当に悲しいよ」「こんなに髪が薄くなっちゃって(笑)」「髪に触るな!!」外に出て、「誰かこの街の若い男で、小春ちゃんを捕まえられる奴はいなかったもんか」「お前んちの息子はどうかい」「ありゃ馬鹿で駄目だよ。大学病院の先生と高校中退じゃ勝負になんねえな」
     高野吟子は、17年前に、夫の一夫を亡くし、女手一つで、大田区東雪が谷の商店街の外れにある高野薬局を盛り立て、一人娘の小春と義母の絹代(加藤治子)と暮らしてきた。
    吟子は、夫の遺影に赤ワインのグラスを手向ける。小春が絹代の部屋に声を掛ける。「お婆ちゃん、ご飯よ」食卓に女三人が座る。「ご馳走ね」「お義母さん、明日の着物の用意お手伝いしますからね」絹代「吟子さんの弟はいらっしゃるのかしら…、あの教養のない下品な男、お婆ちゃん大嫌いですからね」「来ないって!お婆ちゃん、お母さんと仲良くしてね」
    翌日、ホテルオークラの披露宴。新婦控え室の前に、吟子の兄の丹野庄平(小林稔侍)座っている。妻の信子(茅島成美)「お父さん、支度が出来ましたよ」と言う声に中に入ると、ウェディングドレス姿の小春の姿がある。

工長田亮(加瀬亮)丸山(笹野高史)遠藤(森本レオ)小宮山進(小日向文世)小宮山千秋(石田ゆり子)丹野信子(茅島成美)

    夜は、赤坂BLITZで、竹仲絵里のワンマン。故あって、彼女にイベントのゲストを頼んだのだ。学生6名引率。

2010年2月10日水曜日

馬鹿な男。わかっちゃいるけどやめられない。

    昼集合で、イベント一週間前のチェック、動員心配だ。

    テアトル新宿で、三浦大輔監督『ボーイズ・オン・ザ・ラン(50)』
    満員の居酒屋、盛り上がっている一つのテーブルに、ガチャポンの中小メーカー斉田産業の社員たちがいる。田西敏行(峯田和伸)たち営業部員と、企画部のちはる(黒川芽以)だ。
   2008年夏
   その後、テレクラでAVを見ながら、受話器を握っている田西。ハッピーバースデーツーユーと歌う若い女の声。時計が0時を差し、「誕生日おめでとう、29才だね。良かったら、池袋で会おうか…」「うん」と答える田西の携帯にメールが入り「今日は楽しかったです。ちはる」とある。
   池袋のレンタルルーム、若い女の上で腰を振る田西。駄目だった。「ごめんね。疲れているんだ。また今度会おうね」と声を掛ける田西に、女は「今日会って一番いい顔したね」と言い、突然キレる「ずっと哀れんだ目をしていただろ!!ブサイクだ、デブだって思いながら、こっちを見てるのは分かるんだよ!!おめえにそんなこて言われたくねえよだって、29才の誕生日にテレクラに来ているんじゃねえよ!!ブサイクで、キモイのはオメエの方だ」「ブス!!ブタ!!」と罵るが殴られる田西。慌てて、逃げる。女も走って追い掛けて来る。池袋の深夜の街を、必死で走りつづける田西。
    翌朝、目覚ましが鳴って、田西が起きると、夢精をしている。パンツを履き替えて、会社に行く支度をする。玄関で、「トシくん、どうする?」と呼び止め、ネクタイを締め直してくれる母親。
   会社の前ではキリンラガーの缶ビールを片手に花に水をやる中年男(小林薫)の姿がある。鈴木と言い、田西と同じ営業部のセールスマンだ。社長の斉田(リリーフランキー)営業部長の田中(でんでん)、吉久拓児(渋川清彦)、矢野(尾上寛之)らがいる。?が「田西さん彼女にやられたんですか?」、田西の鼻には女に殴られた後にバンドエイドが貼られている。吉久「ところで、この間の飲み会どうだったの?」「帰っちゃったから」「俺は週末は彼女と過ごすんだ」
   出掛けに営業の?が「田西さん、営業回りの後テレクラ行きませんか?」「テレクラなんて、デブとブスしか来ないじゃないですか…」「って言うか、テレクラって、まだあるんですか?」「あんなの最下層の人間が行くところです」
   田西が階段を降りると、洗面所の前でちはるに会う。「良かった、田西さん、ちゃんと話ししてくれて良かった。」田西の顔を見て「どうしたんですか?私絆創膏を持っているんです」とキレイな絆創膏に取り替えてくれるちはる。キャラクターの入ったバンドエイドだ。
「田西さん、この間の約束って覚えてます?」「?」
「やっぱり酔ってましたもんね」「?」
   田西は秋葉原のガチャポン会館に行く。田西の仕事は、ガチャポンの機械を入れた店に商品の補充をし、店長を巻き込んで新しい機械を押し込むことだ。ガチャポンシアターの店長(米村亮太郎)は、暗くて面白味がないと絡んで来る。

   黒川芽衣のボブがいい。ボブフェチな自分には幸せな映画だ。彼女はどうも作品に恵まれない感がある。所属事務所も変わったようだし、ちゃんとした女優を目指して欲しい。

   スピリッツで連載していた花沢健吾「ボーイズ・オン・ザ・ラン」はモーニングの新井英樹「宮本から君へ」と自分の中ではごっちゃになっているが、この映画の話のあとの、田西が会社を辞めてからの展開は俄然と面白くなった記憶がある。しかし、この映画は少し線が細い。長編初監督という三浦監督は、原作の前に少し委縮したのだろうか、原作の実写版化に終わっているのだ。「20世紀少年」といい原作のリスペクトはいいのだが、原作を超えるつもりでやって欲しいなあ。
   何が物足りないのかというと、多分臭いだろう。田西の汗と精液の混ざった素人童貞臭であったり、ラブホテルやルートコの居心地の悪い臭気、殴られて口の中が切れた場合の血の味など、シズル感出して欲しかったな。やり過ぎると吐き気すると思うけど(苦笑)


   角川シネマ新宿で、大雷蔵祭
   63年大映京都田中徳三監督『手討(51)』
   徳川三代将軍徳川家光(舟木洋一)の明暦二年十月十日、小浜屋敷で上覧能舞台が開かれた。武骨な旗本たちは、退屈し居眠りをする者や欠伸をする者も出る始末。最後に新藤源次郎(城健三朗→若山富三郎)があからさまな大欠伸をした。面を外しながら、進藤を憎々しげに睨む前田加賀守(名和宏)。
   帰ろうとする旗本たちに、茶坊主が声を掛ける。「新藤源次郎殿、ご老中方のお召しなれば、お戻り下され」
   老中筆頭松平伊豆守(柳永二郎)、牧野備後守(加藤嘉)横田備中守(香川良介)ら老中たちが顔を揃えた部屋の前に座り「新藤源次郎参りましてござる。御用の趣をお聞かせ下され。御用の趣を」老中たちは暫く沈黙していたが、が口を開く「上意である。旗本新藤源次郎、本日の不作法、切腹を命ずる」「ありがたくお受けいたす」
    進藤を囲む旗本たち。「分かったぞ!前田加賀守がねじ込んだのだ」「外様のくせに!」「百万石を笠に着おって!」「旗本の力を見せてやる」「腰抜けの重役たちに思いしらせてやる」興奮し、口々に新藤の沙汰に不満を漏らす旗本たち。
    そこに、大久保彦左衛門(須賀一郎)がやって来る。「お主ら旗本の気持ちはワシが一番分かっておる。年老いたとはいえ、重役どもに意見をしてやる。伊豆守らは、今の地位を築いたのは誰のお陰だと思っているのだ」結局、青山播磨(市川雷蔵)を伴い、彦左は江戸城に向かう。しかし、


腰元お菊(藤由紀子)

2010年2月9日火曜日

江戸時代丹波篠山の子供と、21世紀アマゾンの子供。

  午前中は、六本木ミッドタウンにある某社で、イベントのゲストアーティストの打合せ。
  学生と代々木まで戻り、サイゼでランチ(人生2度目のサイゼだと言ったら、学生は驚いていた)。
   バルト9で、This is REAL~NHK-BS
   NHK 国府拓D『ヤノマミ~奥アマゾン・原初な森に生きる~(48)』
   NHK-BSのドキュメンタリー。アマゾンの奥地の森で生活する人々は、自分たちをヤノマミと呼ぶ。森の中にシャボノと言う円形の広場を囲む丸い家を建て、沢山の家族が一緒に暮らす。一家族毎に竈を作るが、仕切りなどは無いのだ。男たちは、森の中で、野豚、猿、オウムなどを弓矢を使った狩をし、女たちは川で、毒草を流し痺れた小魚を捕る。取った獲物は全員で分け合う。
  彼らは、死んだ者を森の中のシロアリの巣に埋める。人口が増えすぎることへの間引きでもあるのか、産まれたばかりの赤ん坊も、育てるか、殺して精霊に戻すかを母親が決めるのだ。劇中でも、14才の少女は45時間に及ぶ難産の末産まれた子供を精霊に帰す。赤ん坊の死体を食べさせたシロアリの巣は、母親によって火を付けられ、森の土に帰るのだ。ヤノマミは、森で産まれ、森のものを食べ生活し、死んで森に帰る。    
   ある決められた夜、男女は森の中に入り、何故か、咬まれればイチコロの蛇が、産卵する蛙を狙って集まる沼で、性の営みをするという話しや、出産直後のまだ胎盤がついた赤子など、正に産み落とした子供を始末するなど、ショッキングなシーンが沢山あるが、人間もまた、生きる生物なのだと言う当たり前のことに胸打たれたりする。田中泯さんの淡々としたナレーションがまたいい。
 
   学校に行き、舞台監督担当の学生が、セッティング図と回線表を作るのをチェック。

   京橋フィルムセンターで、アンコール特集:1995ー2004年度の上映作品より。 
   57年東映京都内田吐夢監督『暴れん坊街道(49)』
   丹波国の由留木城下、夕刻城門を慌ただしく出入りする人々。門番が正に門を閉めようとした時、手拭いを頬被りした武士(佐野周二)が飛び込もうと駆けてくる。門番「あっ!与作!」「入れて下され!!」必死に門を閉めようとする門番たち。「お主を入れたら私らがお咎めを受けるのだ。許せ!!」「我が子を!!与之助を一目!!稲葉家を拝ませてもらうだけでいいのだ」閉まった門の潜り戸が開き、「ささっ!与作急げ!私らが気がつかないうちに入っていたことにするのじゃぞ」「かたじけない」
   稲葉家の屋敷を窺う与作。その時、「殿のおかえりー」と声がして、馬に乗った次席家老稲葉幸太夫(薄田研二)が帰宅した。慌てて隠れる与作。塀越しに赤ん坊の泣き声がする。背伸びをするが、勿論中は見えない。赤ん坊の与之助を見て憂い顔の重野(山田五十鈴)。「さあ、早苗が預かりましょう」と抱き上げる侍女の玉枝(丘さとみ)「ほら、日が落ちて、お空は真っ赤ですよ」とあやす。懐から出したでんでん太鼓を塀の上に載せて去る与作。重野のもとに乳母のおこう(毛利菊枝)が「お殿様がお城からお戻りになり、お城で姫様が生まれあそばされ、たいそうめでたいとのこと、そのことで、重野さまにお話しがあるので母屋にお渡りあそばされるようにとのことでございます」
  重野が母屋に出向くと、喜色満面の父幸太夫と母昌子(松浦築枝)が「喜べ、お城で姫様がお生まれあそばされ、城代さまより乳母を重野にとの思し召しだ。本来は、行儀見習いで城内に上がらせていただきながら、奥小姓伊達与作と不義を働いたお前のことを、不義を働いた重野は手討ちになったのだから、この度乳母となる重野は別人だとまで仰せられた。ああ、これで稲葉家は救われた。直ぐにでも、与之助を里子に出すのだ。不義密通の子が姫様と乳兄弟だなどと知れたら、お家のためにもならぬ。明日には重野はお城に上がるのじゃ」
  翌日、一晩泣き明かした重野は、自分の帯を使い、本当の父と母の名を書いたものを入れたお守り袋を与之助に添えた。姫君の乳母として由留木城に向かう重野の行列とは別に、裏門からおこうに抱かれ何処かへか連れて行かれる与之助。

   10年余りが経った。街道筋を浪人姿の与作が歩いている。褌姿の子供たちが、田甫の用水で、鰻か何かを捕っている。面白そうに眺める与作。母子連れが歩いている。子供(片岡千恵太郎)は歩き疲れたようでむずがり、近くに繋がれている馬を顎でしゃくる。母(不二和子)が、馬の近くで、煙管を吹かす子供(植木基晴)に「馬方さんはいるかい?」「いるよ」「どこにいるんだい?」「俺だい!」よく見ると確かに馬方の格好をしている。「随分かわいい馬方さんだね。一人前に煙管までふかして」「五月蝿えやい!オラが自分で働いた金で、煙草吸って何が悪いんだい!」「この子を先の宿場まで載せておくれでないかい」「嫌だい!」そこに与作が通りかかる。「お侍さん!俺の馬に乗ってくれねえかい?戻り馬だから安くしとくぜ!」「じゃあ頼もうかい」宿場に向かう途中、与作は、三吉という少年が、11歳で身寄りはないが、元侍の生まれだったが、赤ん坊のときに里子に出され、里母が亡くなってから一人で、馬方をしながら生きて来たことを知る。しかし、一人前の仕事をしているのに、親方は半額しかくれないんだと言う。
    宿場町に、三吉に引かれた馬に乗った与作が入る。一軒の旅籠の前に来ると、二階にいる飯盛り女の小まん(千原しのぶ)に「姉ちゃん!お客さんだぜ!!」馬に乗った与作を見て笑いかける小まん。「お主、上から笑ったな!!」「笑ったよ。おかしいから笑ったのさ。悔しかったら、ここまで上がっといで!!」二階の部屋に上がってきた与作に「本当に上がって来たんだね」「人を見降ろしやがって」「あんたが見上げていたんだろ」「酒をくれ」「金はあるのかい」懐から銭入れを出し、小まんの前に放る。中を確かめた小まんは少し笑って「たいした金もないくせに」「姐さんは、強いなあ」「弱ければ、飯盛りはつとまらないよ」「じゃあ、酒を持ってきてくれ」
   ふと裏庭を見ると、小屋に小まんが三吉と話している。与作はそこにあった浴衣に着替え待っていると「待たせたね」と小まんがやってくる。「あんたの名前は?」「源次郎だよ」「よく見ると、くたびれているけど、ちょっといい男だね」

由留木家門番(有馬宏治)平助(進藤英太郎)庄作(高松錦之助)左治兵衛(岡島艶子)本田弥左衛門(高堂国典)入間の家老(堀正夫)調姫(藤井珠美)腰元(美山れい子)若菜(岡島艶子)馬方(植村直次郎、陽田重利)左治兵衛(吉田義夫)供侍(藤木錦之助、島田秀雄、香月凉二)女中(梅村浪路)

   いいなあ。切ない話だ。飯盛り女役の千原しのぶがいい。

70年代の鎌倉映画2本。

    午前中は赤坂のメンタルクリニック。午後から池尻のIさんのオフィスで打合せ。

    シネマヴェーラ渋谷で、70年代の青春 鬱屈と混沌と

      74年日活藤田敏八監督『(46)』
      東西線最終電車、早稲田駅のホームに降り立つ小島ねり(秋吉久美子)。白いワンピースに麦藁帽子、手にはバスケットのトランクなどを提げている。
     地下道から地上への階段で、腕時計を落とす。拾って階段を昇り始めると、後ろで、天井のコンクリートが大きな音を立て崩落する。壁には、頭上注意と貼り紙がある。振り返るが、気にとめず、フラフラと地上出口を出ると、駅員がシャッターを閉める。歩き始めるが、電話ボックスの前で立ち止まり、少し考えて中に入り、どこかに電話を掛ける。鼻をつまんで電話をしているようだ。
     早稲田の町を歩き、古びた一軒の店の前に立ち止まる。看板と、正面のガラス戸には、「早稲田 毎日食堂」と描いてある。ねりが戸を開けると、中は荷物が散乱し、毎日食堂と書かれた小型トラックが停めてあるが、食堂は明らかに営業している形跡はない。
    流し台の前で立ち竦む兄の秋夫(林隆三)に声を掛ける。「ただいま。お兄ちゃん、あたし鎌倉から飛び出して来ちゃった」「馬鹿!」「だってお兄ちゃんに会いたかったんだもん。あいつ嫌い!一緒にいたくない!」「来る時は、電話ぐらいしろ!俺は風呂の途中だったんだ」「背中流してあげようか?」「馬鹿!」髭を剃る秋夫。ふと思いついて、生やしていた口髭を剃り落とす。秋夫が居間に戻ると、持って来た五本指の下駄を「お土産」と差し出すねり。秋夫のものと自分のペアのようだ。秋夫の顔を見て「あれ?ふーん」髭を剃ったことに気がついたねり。
    「味噌汁を作ってくれないか?熱いヤツをな。味噌に黴が生えているかもしれねえぞ」味噌の壺を開けてみるねり。確かに黴が生えている。生えていないところを舐めてみるねり。味噌汁を飲みながら、一升瓶から酒をコップに注いで飲み始める秋夫。ねり欠伸をする。「ねり!もう寝ろ!俺は明日早いんだからな」涙を流すねり。
      翌朝、秋夫が車を出そうとすると、一人の娘(吉田由貴子)が声を掛ける。「お兄さんですよね。私は妹の和田いづみです」「君は耕三くんの」「ええ、妹です。お姉さんに会わせて下さい。兄も一緒ですか」と中に入ろうとするいづみを押し留めて「待ってくれ。確かに妹は昨日来たが、一人だ。遅く帰ったので、まだ眠っている。それに俺は今から仕事だ、とにかく一緒に車に乗ってくれ」車を出す秋夫。商店街で掃除をしている写真屋の主人(藤原釜足)に「朝からよく働くね」声を掛けられる。写真屋の主人が通り過ぎた車を見ると、荷台にねりが乗っている。秋夫は、店の車で学生相手の小口の引越屋をやっているのだ(勿論白ナンバーだ)。
今日は昨夜遅くに電話があった、高円寺南から早稲田に引っ越す女子大生だと言うが、下宿が見つからない。途方に暮れた秋夫がトラックに戻ると、荷台からねりが覗いている。

山本ミナコ(吉田日出子)和田一夫(伊丹十三)妻(横山道代)和田研二(村野武範→武憲)和田英子(藤田弓子)やくざ(高橋明・溝口拳)

   78年松竹山根成之監督『九月の空(47)』
   鎌倉の朝早く、自転車に乗り牛乳配達をする小林勇(坂東正之助→四代目 河原崎権十郎)。犬に驚いて転ぶ。顔に擦り傷を作って配達を続ける勇。詰襟を着て、剣道の道具を持ち江ノ電に乗っている勇。
   鎌倉西高の校門に入って行く。剣道部の部室、既に金村(深見博)が来ている。「よう!小林!!今朝は俺が一番だな。俺たちは、朝は牛乳配達、夜は道場、身体はボロボロだ。」「落ちこぼれ決定か(笑)」「今朝も糞をして、ケツを拭こうとしたら腕が痛くて届かないんだ。だから拭くのを諦めて・・・」「汚ねえな」「いや、立ち上がろうとしたら、足腰が立たなくて、立ち上がれないので、結局拭いちまったよ。わはは」「洋式の便所はいいらしいぞ」「俺の親父は朝鮮人だから洋式なんて洒落たものは、たまに新聞を読んでいると思ったら競馬新聞だからな。お前んちは洋式か?」「うちだって、金はないよ」二人は鎌倉西高校1年だ。
   朝練習、2年生布施(山岡建)が「小林!お前は

   亀戸待合せで、実籾の歌姫と京美人と3人でホルモン。美女二人がホルモン食べるのを肴に、ビール飲みまくり。歌姫が、新小岩のスナックで飲みたいというので、亀戸→平井→新小岩。いいなあ、西荻にもいくらでもある気もするが、新小岩ならではの渋い雰囲気。気が付くと、総武線終電で帰宅。

2010年2月7日日曜日

藤村志保さんに惚れました。

   朝早く目が覚め、洗濯をし干してから、

   京橋フィルムセンターで、アンコール特集:1995-2004年度の上映作品よ
   53年大映東京豊田四郎監督『(44)』
   不忍弁天…谷中王子…湯島天神…上野ヨリ市中望ム…上野東照宮…不忍弁天…(絵葉書のようだ)
   下谷練塀町の裏店、貧しい長屋、おさん(飯田蝶子)が、飴細工をしながら気乗りしない表情のお玉(高峰秀子)に「こんないい話しは、ないよ。確かにお妾だっていやそうだけど、旦那の奥様は、とうに亡くなっているし、直ぐに家に入るのは何かと周りが煩いからと言うだけさ。浜町あたりに立派な呉服屋さんをやってなさるたいした旦那だよ。お玉ちゃんだって前の失敗があるからね、私は済まない気持ちもあって、お玉ちゃんには何とか幸せになって欲しいんだよ。それに何だよ、女は一度傷物になっちまうと、身体にひびの入ったみたいなもんだ。今更夢見たいなこと考えてはいられやしないんだよ。それにおとっつあんだって、いつまでも飴屋なんとやっていられやしないんだよ、一軒家持たして、おとっつあんの面倒を看てくれるって言うんだ…。おとっつあんもいい年だ、親孝行をしておくもんだ。万事あたしに任せておきなよ」「おばさん…」「お玉ちゃん何も泣くこた無いだろ、あたしがいいようにしてやるよ。何なら一度会うだけでもいいじゃないか。池之端の松見屋あたりで、ご馳走でも
食べるだけでもいいじゃないか。いいね、私が上手く段取ってやるから安心おしよ…。そうそう忘れていた。最近は質屋も渋くてね。四十…五銭と…。二銭は、あたしが貰っていくよ。ものには、決まりってものがあるからね」
    おさんが、高利貸しの末造(東野英治郎)のところにやって来て、手招きをする。「あたしがうまく纏めてやったよ。浜町あたりで立派な呉服屋をやってるって言ったから…」「おいおい大丈夫かい」「奥さんはとうに亡くなって…」その時、末造の妻のお常(浦辺粂子)に気がついて、「とうにお返ししている…。じゃあよろしく頼みますよ。あたしの借金棒引きする約束」「上手く行ってからだ」お常「何だい?」「借金を返せない言い訳さ。おめえも、たまには髪に櫛でもいれねえか」「おしげさんのこと何とかしてやれないのかい?女一人で子供五人抱えて、呉服の担ぎ商いして」「五月蝿せえ!商売のことに口出すんじゃねえ」「でも可哀想じゃないか、反物置いて行くって…」「ありゃ、呉服屋から預かっているだけじゃねえか…」所帯やつれし、恨めしそうな顔のおしげ、一本の反物を差し出し「利息代わりに受け取って下さい…」
   帰って来た父の善吉(田中栄三)とお玉が話している「それならば、会うだけ会ってみるか…。今度は子供はいるが、おかみさんは、とうに亡くなっているんなら…。この間みたいに、子供を連れた奥さんが乗り込んでくるなんて、本当に、お前にはすまないと思っているんだ。そうか…ひびの入った身体か…。あの時、お前が井戸に飛び込もうとしたのを見てワシは本当に死にたかった…」痩せた父親の肩と背中に、膏薬を貼るお玉。
   池之端の松見屋、末造がやって来る。待ち構えていたおさんが「旦那遅いじゃないですか、お玉は、女のあたしが見ても、脂が乗って、むしゃぶりつきたくなりますよ。あれ旦那こっちですよ」「ちょっと後から行くよ」
2階の座敷では帝大生たちが、酔って高歌している。「御免下さいまし。石原さん」高利貸しの末造の顔を見て、身の覚えがある連中は、嫌な顔だ。三原(宇野重吉)の隣で飲んでいた岡田(芥川比佐志)は、座敷から中庭に逃げ出した。
   末造は、石原の横に腰を下ろし懐から借用書を出し「先だってご用立てしたお金の期限はとうに過ぎておりやす」「まあ、一杯どうだ」「結構でございます」中庭で飲んでいた岡田と三原を「帰ったよ」と声を掛ける。離れにいたお玉は、庭の岡田と目が合うが、恥ずかしそうに障子を閉める。そこに末造がやってくる。善吉に酒を注ぐ末造。
   棚板を持った末造が無縁坂を上がってくる。家の前で女中のおうめが掃き掃除をしている。「お玉を呼んどくれ」「あい。おかみさん!旦那さんがいらっしゃいました」台所で、末造の酒の肴の支度をしていたお玉。棚板を設え「こんな棚一つ大工に頼めば半日分の工賃を取られちまうんだ」と金槌で釘を打つ末造。

   高峰秀子の女優としての凄さと、大映の美術の凄さを思い知らされる映画だ。

   学校で体験入学の講師。二人の予定だったが、北関東の男子一人に、しかし、なかなか賢い子で、楽しい。つい喋りすぎて喉が嗄れる。

   京橋フィルムセンターに戻り、
   67年大映京都三隅研次監督『なみだ川(45)』
   おたふくの面…。
   嘉永年間、日本橋長谷川町、飾り職人の新七親方の家を、島崎の親方の下で働く貞二郎(細川俊之)が訪ねて来た。二階からは長唄が聞こえている。お鷹(若柳菊)「あら。貞二郎さん」「親方は?」「また神経痛」「彫金の仕事に神経痛は大変だな。あんたも大変だな」「姉は長唄の師匠、妹は仕立物」「姉さん!仕立物上がったよ」それを聞いて浴衣姿の姉の志津(藤村志保)が現れるが、定次郎がいることに気がつき、浴衣姿を恥ずかしがって、慌てて階段を駆け上がるが、大きな音を立て、階段を転げ落ちたようだ。暫くして着物に着替えて現れるが、脚を引き摺っている志津。「着飾っても、こんなんじゃ駄目ね」「すごい打ち掛けだな」「大身の大店の祝言だって…」
    志津「着てみようかしら」打ち掛けを羽織り、ウットリとする志津。そこに新七(藤原釜足)が帰ってくる。「貞二郎、何か用かい?」「うちの親方が、長谷川町の得意の図柄だからと言うんです」「仕事をやろうと言う親心か…。やってやれねえことは無いが、拙い仕事はやりたかねえんだよ」「おとっつぁん!」「職人なら誰しも同じよ。じゃあ、また参ります」と貞二郎が帰って行く。志津「馬の耳に虻ね」「それを言うなら念仏よ。それにこういう時に使う言葉じゃないわよ」志津はそわそわし、「私もお花のお稽古に行こうかしら」「貞二郎さんと一緒に行けばいいじゃないの」と笑いながらお鷹。しかし、追いついた志津が声を掛けると「あっしは、他に用がありやすんで…」とつれない貞二郎。見送り溜め息をつく志津。
    薬研坂の花の師匠おてつ(橘公子)が夫の市兵衛(春本泰男)に「あなた、おみなえしを下さいね。」そして志津の方に向き直って「あんたが来るのを待ってたんだよ。縁談の話しなんだよ」顔を赤くして「あらぁ、私は駄目よ」「済まないが、妹のお鷹ちゃんなんだよ。あんたたちもよく知っている信濃屋の若旦那の友吉さんだよ。」「友吉っつぁんなら、お鷹も好きだわ」「でも、友ちゃんのおっかさんが、お鷹さんに言ったら断られたと言うじゃないか。姉のあんたが嫁いでないので、気を使っているんじゃないのかい」「そんなこと・・・。私はお鷹に幸せになってもらえれば・・・」
    その頃、仕立を頼んでいた打ち掛けを取りに来た友吉(塩崎純男)に、「どうして夫婦になってくれないんだい。訳を言っておくれよ」「今は言えないわ。時期が来たら必ず言うから…」友吉が釈然としない顔で帰って行くと、姉妹の兄の栄二(戸浦六宏)がやってきた。「おとっつぁんいるかい?」お鷹「いないわよ。上がらないで頂戴!!何しに来たの?」「したや(?)に行ったら、二年も前に引っ越したっていうじゃねえか。やっと探して来たのよ」「お尋ね者の兄さんのお陰であたしたちはどんだけ苦労したっていうのよ」「そりゃおめえ!ちゃんと刑を務めて、江戸所払いの間、大坂に行ってようやく明けて戻って来たのよ」「兄さんは、禁書の国学の本を持っていただけだっていうかもしれないけど。あたしたちは!!」涙ぐむお鷹「帰って頂戴!姉さんには絶対会わないで頂戴!!」取り付く島もないお鷹に、諦めて「また来るぜ!!」と去る栄二。
   栄二は、お志津に声を掛ける。「お志津!!」「兄さん!」「久し振りだな」「江戸にいるの?」「うん、まあ。飯でも奢るぜ」鰻屋に上がり「10両ばかり都合付けてくれよ!」「えっ!そんな大金。あたしたちにお金なんかないわ。おとっつぁんは、神経痛で働けないので、あたしの長唄とおたかの仕立てでやっと食べているのよ」「でも、おめえなら、何とか都合つけてくれるだろ」思い詰めた表情のお志津「・・・・分ったわ。ただ、その10両で二度と私たちの前には現れないと約束してくれる?親子、兄弟の縁を切ってちょうだい!!ちゃんと証文を書いてくれる?」「わかったよ。じゃあ明後日、本所大井の?屋に忠吉って名で泊っているから、そこに来てくれ。まあ、せっかくの鰻を食いな」
   帰宅した志津は、お鷹に「薬研坂のお師匠さんから、聞いたわよ。稲荷町相模屋のおかみさんに、友吉さんとの縁談を断ったって・・・。あたしのこと気にしなくていいのよ。あんたが好き合った友吉さんと幸せになってくれたら、姉さん、どんなに嬉しいか」涙を流し「栄二兄さんのことがあるじゃないの・・・。いつ戻って来るか。姉さん会った?」「会っていないわよ。」
   翌日、志津は鶴村屋の大旦那の宇吉(安部徹)に長唄の出稽古をしていた。「では、今日はここまでにしましょう・・・。ねえ甘えていいかしら」「何でえ、水臭えぜ」「おとっつぁんは、もう仕事が出来ないし、妹のお鷹を嫁がせたくても仕度のお金がないの。十両ばかり貸して貰えませんか」「おれは、いつでも面倒みてやるぜ。一軒建てて、親父さん共々世話してやるぜ」「そんなことしてもらったら、あたしばっかり得して悪いわ」「おめえ、世話になるって・・・」「お妾になれっていうの?」「俺は、十両ぽっちで恩を着せるつもりはねえぜ。ただ、本心からおめえさんに惚れているのよ」「・・・分りました。ただ、そのお話は、お鷹の祝言が済んでからでいいですか」「勿論よ」「これは頼まれていた島崎の貞次郎の鏡だぜ。嬉しい」「おめえさんは貞次郎に惚れてるんだね。まあいい。十両だ。約束したぜ」
   本所に出向き、栄二に会うお志津。「ありがとうよ」「待って!約束通り一筆書いて頂戴」「わかったよ。私栄二は、新七一家とは縁もなき候、二度と現れないで候・・・。天地神明に誓って・・・」「不動明王に懸けてとしてくれる?」「お安い御用だ。不動明王に懸けて・・と。栄二。これでいいか」「いいわ」「ありがとうよ」栄二の誓書を大事そうに仕舞うお志津。
   花の師匠おてつと、信濃屋の大旦那の弥助(花布辰男)お絹(町田博子)夫婦を訪ねているお志津。「そういうことかい。そういう兄さんがいたのかい」おてつ「包み隠さずお話したほうがというお志津さんと参りました」「よく言ってくれた。しかし、そんな兄さんが、これらちゃ、私たちも・・・」「それは、大丈夫です。今後は一切現れないという誓書があります」とお志津が出した誓書を読んで「あんたは、妹のためにそこまで・・・」涙を流すおてつとお絹。「そういうことなら、私たちはお鷹さんを嫁に迎えますよ。仕度のことなどは一切心配しなくていい。式は11月には挙げたいね」「友吉や!!」「何だい?おっかさん」「あんたの縁談が決まったよ」「えっ?お鷹が了解してくれたのかい?」「どうなんだい・・・?」「それはまだ・・・」「お鷹は一度こうと決めたら・・駄目じゃないのかい?」「そうだよ、お鷹は大丈夫かい?」少し考えていたお志津。「名案があります。目黒のお不動さんに二人で出掛けて、必ず承諾させてみます」志津を信用できない友吉。
   江戸の外れ、目黒の不動尊


茶店の老爺(寺島雄作)茶店の老婆(本間久子)島崎来助(水原浩一)島崎の内弟子(美山晋八)あさり売り(木村玄)刀屋の番頭(玉川良一)富山の薬売り(越川一)若い衆(黒木現) お由(香山恵子) 


   素晴らしい!!溜息が出る。素晴らしい脚本、素晴らしい監督、素晴らしい役者。市川雷蔵の相手役での彼女は、少し物足りない気がしていたが、志津役は最高だ。なんて美しく、健気でかわいい女性だろうか。惚れました。