2009年7月18日土曜日

夏の北海道行きたいなあ。

   神保町シアターで、没後四十年、成瀬巳喜男の世界
   59年東宝成瀬巳喜男監督『コタンの口笛(410)』
   北海道のある町、町はずれに、コタン(アイヌ集落)がある。畑中イヨン(森雅之)が勤めに出掛ける。娘のマサ(幸田良子)がお弁当を渡し見送る。隣のフエ(水野久美)が出て来たので、お婆さんの具合はどうなの?と声を掛けると、もう大丈夫と答えるフエ。弟のユタカ(久保賢)が「姉さん、先に行くよ」と声を掛けて学校に行く。マサは中学3年、ユタカは中1、父親は米軍キャンプの雑役夫として働いていた。ユタカが学校に着くと、佐藤ゴン(山崎雅美)が友達に「あっ犬だ」と言う。

毎日、顔を洗い、お米を研ぎ、野菜を洗ったアキアジの川、さようなら


   体験入学の講師、今日は音楽誌編集者志望の静岡からの女の子と1対1。逃げ場が無く厳しいが面白い。

   ラピュタ阿佐ヶ谷で、昭和警察物語 銀幕に吠えろ
   67年大映東京池広一夫監督『脱獄者(411)』
   4人の男が乗った車とゴーゴー喫茶。自動小銃を持った四人組がゴーゴー喫茶キイクラブに現れ、店を滅茶苦茶にする。バーテンダーの三郎(藤巻潤)が立ち向かうが小銃で殴られ気を失う。マダムの杉本なつ子(長谷川待子)は、芝警察署の取調室で、何で被害者の私たちが帰して貰えないのと文句を言う。警部補の大下一郎(丹波哲郎)は、須藤哲次(金子信雄)がオーナーで、お前は雇われマダムに過ぎないだろう、須藤と抗争中の辻本産商の連中の殴り込みだろう、知っている顔もいた筈だと言う。しかしなつ子は、何も話さない。そこで、三郎が連れてこられる。いきなり殴りつける大下に、6年振りだな、相変わらずだな、少しも変わってねえ。いや7年だ、7年探していたと大下。お前はヤクザになったのか?いや俺はただのボーイだぜ。何も話そうとしない三郎を連れていけと言う。すると、兄さん弟がこんあだと出世に響くかいと嫌みたらしく言う三郎。署内で、鬼警部補と言われる大下と、逮捕されたヤクザの構成員が兄弟だと言う事実は署内でも、噂になる。
    更に、勾留期限の延長を申請したことで、署長(早川雄三)からやり過ぎではないかと目を付けられる。大下は、杉本産商と須藤興行に行き、お前らをぶっつぶしてやると宣戦布告をした。帰りに、元署長で、今はオートレース協会の理事長をしている沢田の下を訪ねる。妻の鶴代が死んで以来、息子の浩(塩屋翼)の面倒を沢田の娘の絹子(渚まゆみ)が見てくれているのだ。明日の遠足用に水筒を買ってやる大木。沢田は、暴力団とは徹底して戦えと、大木を励ました。-


   58年東映東京小林恒夫監督『点と線(412)』
   福岡の香椎浜に心中死体が発見された。ジュースに混ぜた青酸カリによる服毒自殺だった。捜査課長も監察医(織田政雄)も事件性はないと断定したが、数多くの情死現場を見てきたベテラン刑事の鳥飼(加藤嘉)だけは、あまりに寂しい現場に違和感を持つ。男の所持品から、男は産工省の事務官で課長補佐の佐山、女は赤坂の料理屋の仲居のトキだと分かった。しかし、列車の食堂車で、男が一人で食事をした領収書が出てきた。鳥飼は、これは、佐山が一人で列車に乗っていたことの証明になるのではないかと色めき立った。、好きな男との旅行なら、自分が空腹でなくとも、食堂車に付き合うだろうし、女というものは、欲深いので、結局何かしら飲んだり食べたりする生き物だと言うのだ。そこに、課長宛に電話が掛かる。それぞれの遺体受取人が、安置所で口も訊かない険悪な状態だと聞いて事情聴取する鳥飼。佐山の兄は、弟は真面目一方で仕事ばかりしてきたので、こんな馬鹿な女に騙されて心中したのだと言い、それを聞いてあんまりだと、トキの働いていた料理屋の女将と同僚の仲居は涙した。しかし、どちらも二人が交際していたことは知らなかったと言う。しかし、同僚の仲居は、二人が東京駅で、親しげに列車に乗るのを目撃したと証言した。
捜査二課

2009年7月17日金曜日

夏バテか・・。

   昼から夏休み前の最後の講義。といっても、スキルアップ講座やら体験入学やらで、明日以降、土日もなくずっとあるのだが…(苦笑)角川グループホールディングスについてと、著作権に関するトピックス。何だか心身共に調子が悪く、学生に悪いことをした。

    池袋新文芸坐で、本当に面白かった日本映画たち
    63年日活鈴木清順監督『関東無宿(408)』
   セーラー服の女子高生が三人がいる。侠客伊豆組の親分伊豆荘大(殿山泰司)の一人娘のトキ子(松原智恵子)に案内させて、刺青を彫るところを見せて欲しいと言う好奇心の強い山田花子(中原早苗)が無理矢理市川松江(進千賀子)を連れてやって来たのだ。「お嬢さん、学校をサボっちゃいけませんよ。」と、伊豆組の若頭の鶴田(かくた)光雄(小林旭)がトキ子に声を掛ける。トキ子は鶴田が好きなのだ。
     トキ子は、腕文(信欣二)の仕事場に行く。ダイヤモンドの冬(平田大三郎)の腕に彫り始める。苦痛に呻く冬に、トキ子と松江は逃げ出す。一人花子は、平気で冬に話し掛ける。「お兄さん、ヤクザ?トキ子は伊豆組の娘なんでしょ。お兄さんも伊豆組?」「俺は吉田組だ。今伊豆組は落ち目なんだ」と自慢する冬。花子は、父親に再婚の話があって家に帰りたくないのだ。
     鶴田は、伊豆組のシノギの一つ雀荘に出掛け、舎弟のびっくり徹(野呂圭介)から金を受け取りながら、徹の言う賭場で遊ぶより、競馬、競艇、競輪、麻雀、パチンコみたいなギャンブルを大衆は求めているんじゃないですかと言われ、徹の口から大衆と言う言葉を聞いて驚く。
     鶴田が組に戻ってくると、トキ子が待っていた。学校サボったことお父さんには内緒にしていてねと頼まれる。伊豆組の玄関には歌の額がある。赤い服と白い服ってどういう意味と、尋ねるトキ子。赤い服は囚人服で、白い服は渡世人を意味すると説明する鶴田。
    妻の里子(佐々木景子)と一緒に伊豆荘大は、ご機嫌で、鶴田と徹に話す。大山先生の選挙を手伝ったお礼に、土建の請負の儲け話を回してくれると得意気ま。伊豆組が土建をやるんですかいと尋ねる鶴田に、いや権利を売り飛ばすんだと言う伊豆。伊豆一家が土建屋のピン切るのはどうもと顔をしかめる鶴田。吉田が狙っている話じゃねえんですかい?仁義を欠いているのは吉田の方だと吐き捨てる伊豆。

辰子(伊藤弘子)トキ子(松原智恵子)山田花子(中原早苗)おかる八(伊藤雄之輔)腕文(信欣二)吉田大龍(安倍徹)びっくり徹(野呂圭介)市川松江(進千賀子)桂庵の男(江角英明)


    67年東映東京深作欣二監督『解散式(409)』
   関東のヤクザが集まって出来た組織の関東三和会の解散式。会長の川島泰造(内田朝雄)が、解散宣言を読み上げ、会旗が燃やされる。各組織は解散し、正業についた。
    それから二年後、沢木隆三(鶴田浩二)が八年振りに娑婆に出て来た。西村(曽根晴美)が出迎える。チンピラの3人がポータブルテレビを盗み、泥棒!と追い掛けられている。あれもどこかの元組員かと尋ねると、ウチにいたチンピラですと答える西村。高速を走る車。シマも随分変わりました、兄貴が命を張った埋め立て地は石油コンビナートが出来てますが、見て行きますかと言う西村に、島村を待たせちゃわるいだろうから、また今度にしようと沢木。島村建設と出ているビルの地下駐車場に車を入れる。沢木が車を降りると、銃声がする。西村は、サブ!と言って追い掛けるが、腹に3発弾丸を食らって、沢木の腕の中で死んだ。
    沢木が、島村の社長室に入ると、島村巌(渡辺文雄)が沢木!と駆け寄って来る。幹部の久保(待田京介)や安原(八名信夫)もいる。しかし、沢木が西村が撃たれた。西村が掛けてくれた島村のコートを着ていた俺を狙って来たので、お前が目当てだろうと言うと騒然となる。
    サブ(須賀良)が警察の取調室で、俺たち下っ端を切り捨てた島村が憎かったんだと供述する。参考人として呼ばれた島村に付いて警察に行くと、既に桜田龍雄(小松方正)が呼ばれていた。同じ建設会社を経営する桜田と島村は、埋め立て地の落札で因縁の間らしい。。関東三和会の元会長で隠居している川島泰造も呼ばれていた。長い間ご苦労だったな、今度改めてウチに来いと沢木に声を掛ける川島。
     やっと、島村のマンションに戻ってくる。ウィスキーを注ぎ、8年間長かったな。今の俺があるのも、お前が命を張ってくれたお陰だと頭を下げる島村。今晩は楽しんでもらうぜと女も呼んでいたが、酒を注ごうとする女たちを断り、せっかくお前のしてくれたことを申し訳ないが、今日は一人にしてくれないかと沢木。そうか…三枝さんと言ったか、行方は知ってるのかと島村。首を振る沢木。
    とある葬儀屋を訪ね、二階は今も空いているかいと聞くと、葬儀屋の二階を借りる人は、いないよ、あんたを待っている人がいるよと聞いて不審な表情の沢木。二階の沢木の部屋では、かっての舎弟、政(大辻伺郎)が雑巾がけをしていた。

昭雄(小宮康弘)政(大辻伺郎)大町信輔(桑山正一川島泰造(内田朝雄)島村巌(渡辺文雄)酒井桂次郎(丹波哲郎)桜田龍雄(小松方正)板垣徳道(金子信雄)タケシ(市川好郎)マー坊(伊藤純男)アバッチ(うえずみのる)サブ(須賀良)サチコ(宮園純子)久保(待ち田京介)安原(八名信夫)相田(日尾孝司)西村(曽根晴美)谷(沢彰謙)

   気持ちが凹んでいる時は、任侠ものだと池袋まで出張ったのだが、2本とも少し理屈っぽく、更に間に、山根貞男先生のトークショーまであるものだから、体力気力ともに使い果たす。

2009年7月16日木曜日

酒飲み音頭byバラクーダ。

   神保町シアターで、没後四十年 成瀬巳喜男の世界

   56年東宝成瀬巳喜男監督『妻の心(405)』
   とある地方都市、富田栄龍堂薬舗という老舗の薬局を継いだ次男の富田信二(小林桂樹)と嫁の喜代子(高峰秀子)は、店の隣の空き地に喫茶店を建てようと考えていた。妹の澄子(根岸明美)の縁談が決まったこともあり、母のこう(三好栄子)はいい顔をしない。信二の友達の赤城屋の主人国夫(田中春男)のところに、出掛ける信二。芸者の福子(北川町子)とすずめ(北野八代子)が声を掛けてくる。to be continued.

    37年PCL/入江プロ成瀬巳喜男監督『女人哀愁(406)』
     銀座のレコード屋さんか、本屋さんの楽譜売り場女店員の河野広子(入江たか子)は昨日母親の勧めで名家の堀江家の長男堀江新一(北沢彪)と見合いをした。店の仲間たちにからかわれている。広子は従兄で新聞記者の北村良介(佐伯秀男)のことが好きだ。良介に見合いの報告をしたいと電話する広子。to be continued.

    62年宝塚映画成瀬巳喜男監督『放浪記(407)』
   少女が走っている。母親(田中絹代)のところに行き、お父ちゃんが売った化粧水が腐っていたと警察に連れて行かれたと言う。母親と少女が警察に行くと、父親(織田政雄)が警官に、売っていた通りにやってみろ!と命令され、アコーディオンを弾きながら、謳い文句を節を付けて歌う。饂飩粉で、そんなきれいになる訳ないだろとどやされる。その様子を見て立ち竦む母子。to be continued.

    凄い人気だ。前回も確か満員ソールドアウトだったと思うが、今日も午後早い時間で売り切れたそうだ。アラカンどころか、七十±五才のお客さんたち。なんだか殺気立って怖い。成瀬巳喜男作品の中では、あまりいい評価を受けていないし、森光子国民栄誉賞的な人気かと思っていたが、個人的には何だか、おみそれしました!脱帽という作品だ。高峰秀子さんの主演映画、そんなに見ているとは言えないが、主演映画賞の一つかもしれない。世の中の不幸の全てを背負った、不細工だけど、どこか男の気を惹く林芙美子の役、得意の百面相で演じ切っている。確かに、成瀬巳喜男の真骨頂という感じの、登場人物の揺れ動く相互の心理描写は不十分だが、高峰さんの投げやりで、美しさのない存在感が、自分には何よりも魅力的な映画だ。

   その後、秋葉原に出て、林家たい平ミニ落語会に。元会社の販促イベントだったが、想像以上に元同僚が多く、居たたまれない。たい平、いいなあ。ひとつだけいちゃもんをつけると、酒を飲むところが、ちょっと一本調子で、酔っ払いの描写物足りなかった。酒飲みの卑しさ、やり過ぎると自分のように女子からはドン引きという感じもするが・・・。地元に戻って、久し振りに、博華で餃子とビール。

2009年7月15日水曜日

15歳だか16歳の原節子

   池袋新文芸坐で、本当に面白かった日本映画たち
   36年日活京都山中貞雄監督『河内山宗俊(404)』
    夜店が並んでいる。蝦蟇の油売り(中村進五郎 )、居合い抜き(山崎島二郎)、子供相手に何ものか売っている香具師(沢村比呂志)、このあたりを仕切る森田屋の用心棒の金子市之丞(中村右衛門)が、その日のショバ代を集めていく。寒いせいか人出が少ないが、決まりだからと言う。しかし甘酒売りのお浪(原節子)だけには甘い。人出も少ないし、どうせ親分に全部渡さなければならず、自分には一文も入らないのだと負けてやる(これは子供相手に何かを売る香具師の値切りことばのそっくり繰り返しだ)。市之丞に声を掛ける侍がいる。かって市之丞がいた松江藩の北村大膳(清川荘司)だ。先月江戸詰めになった。久しぶりに会ったのだから、旧交を温めようとしきりと北村は言うが、金子は冷たい。北村が、最初に金子を見つけた甘酒屋まで戻ると、起きっぱなしの刀から小柄(こづか)が無くなっている。
  市之丞は何とか北村を振り切り、縁台将棋の暗闇の丑松(助高屋助蔵)のところに行く。老人を相手に小さな金額の勝負をわざと負け続け、お強いですね、では一両賭けて頂けばそちらが勝てば五両ですと言う。後ろで見ていたお浪の弟の広太郎(市川扇升)が止めておいたほうがいいよと言って、余計なことを言うなと丑松にどやされた。老人は一両巻き上げられる。しかし、老人は十両出し、勝てば五十両と言う勝負に乗る。丑松は狙いが外れ、親分から借りていた見せ金の五十両巻き上げられた。森田屋に帰った丑松は、清蔵(坂東調右衛門)に「いかさま将棋がいかさまで負けてちゃ世話ねえぜ!」とどやしつけられている。市之丞も、集金の金を勘定していた清蔵に、今日は43軒じゃなかったかと問い質され、必死で、42軒でしたよととぼける。
   丑松から五十両巻き上げたのは河内山宗俊(河原崎長十郎)だった。情婦のお静(山岸しづ江)の所に帰る。お前何か欲しいものはないかと言って、羽織り、帯など買ってやると大盤振る舞いだ。お静の店は一階が飲み屋だが、二階を賭場に貸している。そこの常連で、女衒をしている健太(市川筵司→加東大介)や、広太郎がいる。有り金使い果たした健太に金を貸してやる宗俊。ご機嫌で宗俊が飲んでいると、お浪が、弟の広太郎が、この賭場に入り浸っていると聞いたが、いないかと訪ねて来た。宗俊が二階に声を掛けるが、広太郎は健太に口止めする。
    広太郎は、姉が宗俊に別の賭場を聞いて去ったのを知り、一階に降りてきて、宗俊に直次郎と名乗って酒をご馳走になる。若いのにいい呑みっぷりが気に入った宗俊は、直次郎を連れ、遊廓に繰り出す。花魁は波次郎を子供扱いするが、調子に乗って注がれるまま呑んで気分が悪くなった直次郎が、廊下に出ると、幼なじみのお光(衣笠淳子)と再会する。お光は三千歳として郭に上がっていた。若いのに顔馴染みがいるなんてと、花魁たちは驚く。
   翌日、再びお浪が帰らない弟を探して、お静の店を尋ねてくる。昨夜の波次郎が広太郎だとは知らない宗俊は、姉さんをこんなに心配させてと相槌を打つ。実は、北村大膳の小柄を盗んだのが、広太郎だと分かり、大膳に怒鳴り込まれて、お浪は困っていたのだ。店に戻って大膳に頭を下げていると、森田屋の障子貼り替え用の糊を買いにきた市之丞がやって来た。上様から殿が拝領した刀を貰った大膳が、万が一小柄を盗まれたことがばれたら切腹ものですなと言う市之丞。お奉行に訴え出るのも、少し待ってからのほうがいいですよ、そうだな、今のお奉行は?加藤さまです。そうだった、そうだった。加藤何さまだったかな?清正さまですよ。そうだ、加藤清正・・・ん?からかわれたとしった大膳は、怒って帰っていく。どうせ、訴え出ることはできないから心配するなとお浪に言う市之丞。
   その頃、大膳の小柄は、古道具のセリ市に出ていた。広太郎は、セリ人(市川笑太郎)に何とか30両くらいで売ってくれと言う。偶然、松江藩の茂十郎兵衛(高勢実乗)と藤八右衛門(鳥羽陽之助)がいた。お互い大したもんじゃないといいながら、欲しくなり競って吊り上げるうちに10両で買ってしまう。しかし、偶然大膳に出会い、大膳に30両で売りつけることに成功する。
   帰ってこない広太郎を探して、何度も宗俊を訪ねるお波に嫉妬するお静。ある時、お波の甘酒の屋台で遭遇する宗俊と市之丞。お波の純真を憎からず思っている二人は、一触即発の状態に。しかし、市之丞が抜刀した際に、止めようとしたお波の指をかすったようで、大騒ぎで、お波の傷を心配する二人。意気投合した二人は、飲もうということになり、お静の店にやってくる。しかし、昼間、健太から宗俊が甘酒の屋台に入り浸りと聞いて、あんな小娘にメロメロになっていると焼餅をやいたお静は、全く冷たい。
     しかたなしに、二人は、別の飲み屋で、三日三晩飲み続ける。行方不明になった市之丞を不審に思う森田屋清蔵。清蔵は、三千歳を300万で落籍すことにしている。それを嫌った三千歳から相談された広太郎は、足抜けをさせる。行くあてのない広太郎が頼る先は、宗俊しかいない。しかし、帰ってこない宗俊がお波のところに入り浸っていると思い込んだお静は、泊めてくれと頼みにきた広太郎を、憎いお波への嫉妬で、匿うことを断る。行く宛がなくなった二人は、死ぬ気になり大川に身を投げる。三千歳の水死体は上がったが、心中相手は見つからない。
     清蔵と丑松は、三千歳の足抜けに広太郎が関わっていることを知る。広太郎は、姉のお波のところに帰ってくる。やっと帰ってきた弟を叩き、泣くお波。そこに清蔵と丑松がやってくる。広太郎を匿い、三千歳を落籍すつもりで300両払ったのに、広太郎にしてやられたので、姉のお前が弁償しろと言う清蔵。勿論、甘酒売りのお波に、300両という金は途方もない金だ。丑松は帰りがけに、お前の身体に相談してみろと捨て台詞を吐く。

   松江侯(瀬川菊之丞)

    学校に出て3コマの講義。今週来週は、ほぼ毎日、通わなければならない。
学生に進路のことで相談を受ける。自分としては我ながらなかなかの内容だと思ったが(笑)、果たして彼女にとって役にたったろうか?

    エアコンのリモコンが効かず、コジマに行くが、店員が要領を得ない。暑くてイライラしているときに、顧客満足は難しいと思うが、もう少し、ちゃんと対応して欲しいなあ。








2009年7月14日火曜日

BGってビジネスガールのこと。

    ラピュタ阿佐ヶ谷でモーニングショー、昭和の銀幕に輝くヒロイン【第48弾】星由里子
    61年東宝丸山誠治監督『B・G物語 二十才の設計(403)』
     ハンカチを貼って干してある窓ガラス。朝の5時に目覚ましが鳴る。栗村杏子(星由里子)は、すぐに目を覚ます。隣の部屋に寝ている兄の太郎(船戸順)は、目覚ましを止めようとスタンドのスイッチを押したりしている。顔を洗い、トースターにパンを入れラジオのスイッチをつける杏子。大きな音楽にさすがの太郎も目が覚め、いい加減にしてくれ。まだ6時過ぎだよと言う。7時に起きて8時に家を出れば間に合うじゃないかと言う。今日は、杏子の入社第一日目なのだ。化粧をし、スーツを着た杏子の写真を撮る太郎。しかし、会社ではお転婆しないでくれよ、両親も保証人もいな僕たち、杏子が入社出来たのは、津沢さんが専務のお父さんに口をきいてくれたからだ。それとお兄さんが、こつこつ真面目に無遅刻無欠勤して、信用があるからでしょと杏子。両親の遺影に今日のことを報告する太郎。
    杏子は、兄より先に家を出る。山手線の中で、杏子は自分の後ろで温かいものが、くっつけられるのを感じて、痴漢はやめて下さいと男の手を上げる。男(有島一郎)は、温かいのは私の弁当だ。ご飯が炊きたてだから温かいのだと言う。
     日東電気の昭和36年入社式が始まった。津沢専務(松村達雄)の講話は長い。営業部に出勤した太郎の隣の席は深見和夫(江原達治)だ。深見が太郎に、杏子ちゃん今日からだよね、僕は彼女と結婚したいんだ。気持ちを聞いてくれないかと言う。そんなこと自分で聞けと太郎。津沢浩(稲垣隆)が太郎のところに来る。杏子はお陰様で入社ですとお礼を言う太郎。
    杏子は総務課に配属になった。曾我係長(宇野晃司)が、小野せつ子(水野久美)の隣の席だから面倒をみてもらいなさいと言う。総務課長の吉岡剛三を紹介される。吉岡課長は、今朝の痴漢男だった。向かいの席の先輩BGは、宮本元子と内田よし子だ。杏子は、課長に呼ばれる。ちょっと外で食事しなければならないので、弁当を食べてくれないかと頼まれる。吉岡の妻は栄養士で、昼の弁当を食べないと怒られるらしい。カロリー計算をきちんとしているので、一週間課長の弁当を食べると太ってしまうとよし子に言われ悲鳴を上げる杏子。深見が、会社が終わったら、太郎と食事に行かないかと誘いに来る。吉岡課長が、杏子を呼ぶ。仕事中には、私語を交わしてはいけないと小言を言われる。そこに、津沢がやってくる。あれ大阪出張じゃなかったのかと吉岡。朝一で戻ってきましたと答える津沢。先輩のBGたちが、杏子に津沢さん知り合いなの?津沢さん営業成績もいいし、二枚目だし、専務の息子でお金もあるので、金払いもいいからいいわよねと話す。その夜、太郎と深見が、杏子の就職祝いをしてくれた。帰宅して、深見さん5杯もお代わりしてびっくりしたと言う杏子。週末、深見とボウリングに行こうと言う太郎。
    翌日の昼休み、小野節子と会社の屋上に行く杏子。バドミントン、バレーボール、銘々楽しんでいる社員たち。おお牧場はみどりを合唱するグループの中に、兄の太郎を見つけ、音痴な兄が歌っているなんてヘンだわと言う杏子。節子は、多分大道久仁子(藤山陽子)さんがいるからだわと言う。大道久仁子は大株主の大道氏の娘だが、仕事をしているのだ。
    吉岡課長が、杏子を呼ぶ。大株主の大道さんの所に新型の補聴器を届けに行くのだが、これから色々とお世話になる機会も多いので、紹介がてら一緒に来なさいと言う。気難しい人だから、行儀よくするようにと注意する吉岡。車で大道家に着き、居間に案内される。居間のピアノを弾く長男の雄造(児玉清)の姿がある。お勉強中に失礼しましたと言う吉岡。飼われている九官鳥に気がつく杏子。こんにちはと杏子が声を掛けると挨拶を返す九官鳥。吉岡が挨拶すると馬鹿と言う。鳥も、優しい気持ちの人は分かるんですねと言う雄造に、複雑な表情の吉岡。作曲家になる勉強をしているのだ。大道氏の方針で成人したら自活することになっている。お金持ちなのに、随分けちんぼなのねと言う杏子に、いやだから自分はいつまで経っても課長のままだと愚痴る吉岡。そこに大道(小川虎之助)がやってくる。しまったと言う顔をする吉岡に、お耳がお悪いと言うから大丈夫じゃないんですかと杏子。大道に、補聴器お持ちいたしましたと大声で話しかける吉岡に、ワシはそんな大きな声を出さんでも聞こえる。耳が遠くなったのは家内(岡村文子)のほうだ、君はいつまでも粗忽なままだな、そんなことでは部長になれないと言う大道。青ざめる吉岡。
    太郎、深見、節子と一緒にボウリングを楽しむ杏子。帰りに、買い物をしたいという杏子に、深見と家ですきやきをするので、早く帰ってこいよと太郎。しかし、ひとり歩いている杏子に、オープンカーに乗った津沢が声を掛けてくる。お茶でも飲まないかと誘い、銀座のクラブに連れて行ってくれる。カクテルを飲み、ダンスをする。帰り送ってくれながら、津沢は、今日はどうだった?と尋ねる。お酒を飲んだことも、クラブでダンスを踊るのも生まれて初めてだという杏子に、もうひとつ初めてのことをするかい?と言って、僕は君が好きなんだといって杏子の唇を奪う津沢。
    夢のような気持ちで、帰宅すると、兄は眠っている。鼻をつまんで起こす杏子。遅いなあ、待ちくたびれて深見は帰ってしまったよという太郎。  

     午後は、N氏と、高校時代の友人が技術部長をする会社に音声認識システムのプレゼンに。さすが研究者、システムについて理解し、興味を持ってくれたようだ。
    その後、元会社に行き、先週の宿題の資料を届ける。すると、デジタル部門のM氏にバッタリ。さっそく音声認識システムのプレゼンを。エデュテイメント的な展開を出来るといいと話す。
   更に帰ろうとすると、デザイナーのAに。子会社のデザイン会社の社長になっていて驚く。近況を聞いて、強引に一緒に何かやろうと話す。
    梅雨明けしたみたいだし、何だか、幸先のよいスタートだ。

2009年7月13日月曜日

ロータスの狼=サーキットの狼だったのか・・・。

   午前中、洗濯をしながら、水曜のレジュメをプリントアウトしておこうとすると、いきなりプリンターの調子が悪くなる。嗚呼!!どよんとした気分になるが汗をかきかき、バラして、治る。少し薄い気がするが、まあいい。
   丸の内のクリニックで、糖尿病の経過観察。安定しているので、2ヶ月に一回で良くなる。
それから池尻大橋にある、先日クアトロのライブを見に行ったJというバンドを当時一緒にデビューさせた事務所の社長のIさんのオフィスに。自分の近況と今からやろうとしている話をしたら、Iさんが考えていることと随分シンクロして盛り上がって、1時間のつもりが2時間に。
神保町で見ようと思っていた成瀬巳喜男2作品の時間が間に合わなくなり、

    シネマヴェーラ渋谷で、 劇画≒映画
    77年東映東京山口和彦監督『サーキットの狼(401)』
    富士スピードウェイ、1976年、日本で初めてのF1レースが開催された。観客席でアイスクリーム売りのバイトをしている風吹裕矢(風吹真矢)。途中からレースに夢中になり、客たちから見えねえ!バイトのくせにと言われ、喧嘩に。レースは、ロータスのマリオ・アンドレッティが優勝、フェラーリのニキ・ラウダはリタイアし、F1総合優勝を逃した。駐車場で、バイクのエンジンを掛けようとしている裕矢の姿がある。暴走族の極道連の連中は、トロトロするなと罵倒する。観客席で喧嘩した二人の男は極道連だった。混雑した車の上を飛び越し、隙間を抜いて行く裕矢。
  谷田部モータース。元レーサーでオーナーの谷田部行雄(夏木陽介)が、裕矢に声を掛ける。2週間も勝手に休みやがって、このランチアのチューンナップ今日中にやっておけよ。やらないと給料払わないぞと言う谷田部。ロータスを買う頭金を今日までの給料で払うつもりなので、いくらでも残業するという裕矢。給料55万、アイスクリーム売りのバイト2回10万、スタント賞金20万、トータル85万と土の上に書く裕矢。
   SNACK ROSSA、この店は裕矢の姉のローザ(山内美恵子)が経営する店だ。裕矢が入ってくる。姉は、レーサーの飛鳥ミノル(倉石功)と踊っている。その姿を見るなり、いきなり飛鳥に飛びかかって殴る裕矢。裕ちゃん何すんの!!止めなさいとローザ。姉ちゃんの馬鹿野郎!!と叫んで、2階の自分の部屋に駆け込む裕矢。裕矢は泣いている。姉が上がってきて、「裕ちゃん驚いたわ、いきなりあんなことをして、私があの人と踊っていることがそんなに気に入らないの?」「急に、ひとりぼっちになった気がしたんだ」「いつだって、姉さんは、あんたのことを考えているのよ」「ごめん、飛鳥さん怒っていた?」「いえ、君の弟、凄い力だなあって言って笑っていたわ。今帰ったわ。それよりも3日も黙って家を明けてどうしてたの?」「予備校の友達のところに泊っていたんだ」「心配するから電話だけはしてね。そうそう、これあの人が、あなたにって」姉がくれたのは、ラウダのポスターだ。部屋に貼ったラウダのポスターに、宣戦布告をする裕矢。いきなり上から模型が落ちてくる。トータスヨーロッパスペシャルのプラモデルだ。
    いつものように、ロータスヨーロッパに乗り込む裕矢。飯島が「またお前か、売りモノなんだからいい加減にしてくれ。頭金だって安くはないことを知っているだろ」と言うと、85万円を出して、頭金と言って、少し流してくるよと車を出す裕矢。いつのまにやら両親の写真が飾ってある。俺が小2の時、テストドライバーだった親父は、ロータスの技術者に呼ばれて、スイスの山奥で試乗して、事故死したんだ。その後、骨とこの写真しか帰ってこなかった。お袋待っていてくれよ、こうして流していれば必ず、お袋を轢き逃げした奴が現れる筈だと言う。さっそく、後ろから、極道連の車が、やってきた。アメ車5台が、裕矢が取り囲み、カモにしようと迫ってくる。激しいカーチェイスが起きる。裕矢のドライビングテクニックはチンピラには歯が立たない。次々にクラッシュする極道連。
   数日後、谷田部モータスで車の下に裕矢が潜っていると、BMW2002ターボがやってくる。車の運転席から降りて来たのは、早瀬ミキ(横本メイ)だ。流暢な英語も使うミキは、1級整備士で、しばらくここでバイトするという。裕矢が直していた車をエンジンの調子がイマイチなんだというと、燃料ポンプの配線が外れていただけよというミキ。渋谷公園通りでたむろしている極道連のメンバー。店から買い物をしたミキが出てきてBMWに乗り込む。ミキの格好よさに極道連の連中は口笛を吹いて追いかけていく。

  スーパーカーブーム映画。原作好きの子供たちはこの映画観なかったろうな。なかなか見どころは多い。富士スピードウエイで行われた日本初のF1、日本の著名レーサーと、当時のスーパーカー総出演。車音痴で、スーパーカーについて何も通らなかった自分にはなんとも言いようがない作品だ。昨日見たさそりに出演の、梶芽衣子のレズの虜になった女優が、主人公の姉役だと思いこんでいたが違った(苦笑)。しかし、首都高を含めた公道でのロケ。迫力が違う。イイ時代だったなあ。こんなことを東映がやっていたから、道路使用許可が下りなくなったのかもと考えると、複雑な心境だ(笑)。


    56年東宝青柳信雄監督『サザエさん(402)』
   ステージで、マンボの歌を歌う江利チエミとダークダックス。磯野サザエ(江利チエミ)が庭掃除をしながらの妄想だ。庭の外から三河屋や魚屋や炭屋などの御用聞き姿のダークダックスがニコニコしながら、サザエを見ている。母親のフネ(清川虹子)が昼日中から庭で大声で歌っている人がありますかとサザエを叱る。全然庭はきれいになっていない。私はパーマ当てて、夕飯の買い物しに出掛けるので留守番しておくれと言って出掛けて行く。サザエは、戸棚に何かおやつがないか探すが何もない。ラジオを着けると、栄養食のおさらいですと言っているので、しめたと作り始めるサザエ。芋のしっぽなどに、糠、小麦粉、どうも怪しい。以上で、鶏の栄養食でしたと言うオチだ。
   そこにカツオ(小畑やすし)が帰ってくる。おやつはと聞くので、ねえちゃんが今から作ると答える。ワカメは?と尋ねると隣の?さんの家に鶏が迷い込んできたので見ていると言う。今まで作った鶏の栄養食をカツオに渡し、これを食べさせれば卵を産むよと渡す。カツオは籠に入った鶏を囲んでいるワカメ(松島トモ子)たちの所へ行き、これをやれば卵産むってと言う。競って餌をやるワカメたち。サザエはフライパンで、ホットケーキのようなモノを焼いている。ひっくり返そうとすると、宙に舞ってサザエの額に。フライパンをコンロに掛けたまま、おでこに薬を塗りに行く。そこにフネが帰宅し、慌ててガスを消す。鏡台の前で薬を塗っているサザエを見て、あんた火を付けたままで、台所を散らかして、一体何をやっていたんだい。早かったね、母さん、パーマ屋が休みだったよ。お饅頭買ってきたけど、カツオとワカメは?隣で鶏を見ているわよ。サザエが二人を呼びに行くと、二人はいつ卵を産むのかと必死で見ているが、雄鶏だ。あんた雄鶏だから卵は産まないよと言うサザエ。その後、なぜ雄鶏は卵を産まないの?とフネを質問責めにするカツオ。
    その夜、波平(ただ、表札は磯野松太郎となっている。磯野松太郎の方がそれらしい。藤原釜足)が帰って来て、夕食で卓袱台を囲んでいる。波平が緊急家族会議の開催を希望しますと言う。今回の議長はカツオだ。何でも甥のノリ助(仲代達矢)が、今の下宿を大家の都合で出なければならなくなり、会社の独身寮に空きが出るまで、同居させて欲しいと言うのだ。サザエは気が進まないが、しょうがないだろうとなる。ワカメが下宿代を沢山貰ったほうがいいわと言う。親戚だから、そういう訳にはいかないわとフネ。二階に上がり、ノリ助さんが来たら自分の荷物を下に降ろさなければと溜め息をつくサザエ。隣を見ると珍しくカツオが算数の宿題をやっている。姉さんが手伝ってやろうかと言うとどうせ分からないからいいとカツオ。兄弟喧嘩になり、ドタバタと投げ合っている。下では、波平とフネが呆れている。嫁入り前の娘がこんなに暴れてと怒るフネ。お父さん叱って下さいと言うと、台所の方からヘンな音がする。ヤカンを火に掛けっぱなしだったと慌てるフネ。笑って波平に怒られるサザエ。

2009年7月12日日曜日

今年400本目、会社辞めてから800本

   都議選投票、投票所で評論家のI氏にお会いする。夜の地元では、よく遭遇するが、朝だと妙 に照れくさい。

   神保町シアターで、没後四十年 成瀬巳喜男の世界
   52年東宝成瀬巳喜男監督『お国と五平(398)』
   山中の街道をあるく女と供の者がいる。女の美しくに擦れ違う男たちはみな振り返る。足を痛めた女は一旦休む。もう少しで峠を越せば下りです、下で勧められたように馬に乗れば良かったですねと言う供に、いつ本懐を遂げられるか分からない旅なので贅沢はいけませんと言う女。女はお国(木暮実千代)と言い、夫を殺して逃げ出した友之丞を敵討ちするために、武術のたしなみのある小者の五平(大谷友右衛門)を連れ旅に出たのだ。お国を休ませ、五平は、友之丞の伯父を訪ねるが、寄ってはいないと言う。藩から文が来ており、友之丞が訪れた際には必ず連絡をすると言っていると、お国に伝える。友之丞は、かってお国の許婚であった。武術に力を入れない友之丞を家名を継がせることを危惧した、お国の父親は、縁組みを破棄し、藩内で剣術では名高い伊織(田崎潤)を、お国の婿に迎えたのだ。伊織が来て安心したのか、間もなく父親は亡くなった。武術に優れ、剣友たちとの交遊が好きで口数の少ない伊織との結婚生活は、お国にとって少し物足りないものであった。ある日、お国は、屋敷の外から聞き覚えのある友之丞の尺八の音色を聞く。お国の想いを諦められないと訴える友之丞に、二度と目の前に現れないでくれと言うお国。
     その夜、剣友の家で酒を飲み帰宅する途中の伊織を、卑劣にも闇討ちする友之丞。母(三好栄子)

多分、ラピュタの木暮実千代特集で見ているのだが、一部居眠りをし、改めてトライ。しかし、今回も眠くなる。うまい具合に意識が無くなった箇所が異なっているので、ようやく埋まった気がする。

    シネマヴェーラ渋谷で、劇画映画。
    72年東映東京伊藤俊也監督『女囚701号 さそり(399)』
    君が代が流れ、日の丸が上がっている。刑務所長の郷田(渡辺文雄)が、戦後27年間刑務官を勤めてきた表彰を受け取ろうとした瞬間、サイレンが鳴り響く。走り出す刑務官たち、表彰状は吹き飛ばされ、踏みつけられる。慌てて拾い上げ、大事そうに汚れを払う郷田。女囚の大塚(根岸明美)が仲間に、脱走だ。そんなこと出来る訳がない。マツを除けばと言う。701号の女囚松川ナミ(梶芽衣子)が、木田由起子(渡辺やよい)と河原を走っている。警察犬を連れた刑務官たちが追跡している。ユキが腹を押さえてうずくまる。股を血が流れる。ナミは、いつものだ、刑務所では生理が止まりやすいから、大丈夫だと励まして、肩を貸す。血の跡を見つけた刑務官は、犬を放し、追いかけさせる。葦の茂みに隠れていた二人に警察犬が飛びかかった。咬まれたユキを救うために、棒を振るって犬を倒すナミ。しかし、行く手をライフルを持った男が遮った。揉み合う男とナミを助けようと男を殴るユキ。しかし、拳銃を構えた男たちに包囲され、二人は捕まった。
     せっかくの表彰式を台無しにされた所長は激怒し、徹底した厳罰を指示する。女囚たち全員が7日間の減食処分となった。あまりに少ない食事に女囚たちは、アルマイトの皿を机に叩きつけて抗議をするが、食べなければ、全く食事を与えないと言う班長の片桐たち。逆エビに縛られ、一人ずつ懲戒房に入れられた。聾唖のユキは壁に頭を打ちつけて、ナミを励ました。自分も返しながら、ナミは過去を振り返る。
    三年前まで、ナミは幸せで平凡な女だった。麻薬捜査の刑事だった杉見次雄(夏八木勲)を愛し、女となった。ある時、杉見に麻薬の囮捜査への協力を頼まれ、海津興産という組織が経営するナイトクラブに潜入する。しかし、すぐに怪しまれ、誰の依頼なのだと責められ、嬲り者にされえうナミ。そこに杉見が現れ、組員たちを、麻薬取締法違反と、婦女暴行現行犯で一網打尽にする。しかし、杉見は海津興行のボス、海津敏(伊達三郎)との取引で金を受け取っていたのだ。杉見に利用されただけなことを知ったナミは、城東署を出てきた杉見をナイフで切りかかる。しかし、取り押さえられ、殺人未遂でこの刑務所にやってきたのだ。
    懲罰房に給食を持ってきた?は、煮えたぎった味噌汁をユキの身体に掛け悲鳴を上げさせる。次にナミの番だ。必死に耐えるナミ、しかし、ナミに?が背を向けた時に、?が踏んでいた毛布を思いっきり引っ張るナミ。?は、煮えたぎる味噌汁のバケツを全身に浴びて大火傷を負う。
    杉見は、本庁に出世し、海津も邪魔者を消すことができ、巨大組織に成長させた。海津のもとに、杉見が現れる。ナミが、なぜ、警察でも裁判所でも何も言わずに収監されたのだろうと話している二人。別荘番の男が、刑務所内の情報を流しに来た。消しておいた方がいいだろう、ちょうど適任なヤツがいる。お前がヤクの運び屋で逮捕した片桐(横山リエ)を使おうと決める二人。
    班長組の政木(三原葉子)たちが、サイコロを振って、大塚たちから巻き上げている。熱くなって、夕食を賭けるという大塚に、離れたところから声が掛かる。進藤梨恵(扇ひろ子)は、そんなイカサマではいくらやっても敵わないと言って、イカサマのネタを暴いた。歯ぎしりする政木に、片桐はいい方法があると囁く。夜シャワーの時間に、梨恵の青テン(青い囚人服)に糸ヤスリを忍び込ませ、脱走を企んでいるとして懲罰房にぶち込もうというのだ。しかし、その企みを見ていたナミは、逆に政木の赤テン(模範囚→班長は赤い服をきている)に移す。看守は、政木の赤テンに糸ヤスリを発見する。嵌められたことを知った政木は逆上し、ナミを追いかけガラス戸に顔から突っ込む。血だらけで、歌舞伎の隈取りのような形相になった政木は、鋭利なガラス片を持って、ナミを追いかける。最後にナミに向け投げたガラスは、ナミではなく、所長の郷田の右目に突き刺さった。怒り、政木の首を絞める郷田。 
    右目を失った郷田は、ナミの狙いは何なのかを徹底して吐かせろと厳命する。特房に入れられるナミ。先客がいる。前科四犯と言う鬼頭(片山由美子)だった。看守たちの雑談で知ったというナミについて、妙に詳しい鬼頭。その夜、寝ながら呻くナミに、意外とヤワだねと体をさする鬼頭。ナミはその手を自分の乳房に導く。そして、鬼頭に愛撫をするのだった。ナミの虜になる鬼頭。婦人刑務官の制服を着た鬼頭が、所長室にいる。ぜったい自白させるので、特房に戻してくれと言う鬼頭。職務に熱心なのはいいが、休めと言ってから、郷田は鬼頭の言動がおかしいと思い、身体検査をさせる。鬼頭の身体にはナミのキスマークが無数についている。
    女囚たちは、全員を集められて懲罰を受ける。刑務所内の空地を掘っては埋める作業の繰り返しだ。片桐たち班長グループは格下げだ。長時間、あてのない作業にみな消耗していく。杉見が現れ、片桐を呼び出す。ナミを消せば、仮釈で出してやると囁く杉見。作業は延々と続く。深く開いた穴の底に、ナミは一人残される。閻魔落しだと女囚たちの中でささやきが広がる。夜になり、一人作業を続けるナミに容赦なくスポットライトが当てられている。翌朝、刑務官は、女囚たちを集め、穴を埋めろと言う。下にナミがいるので躊躇い刑務官に殴られるユキに、微笑んでやれと合図するナミ。徐々に穴が埋まり始めた。ナミ一人が掘っている。

   70年近代放映和田嘉訓監督『銭ゲバ(400)』
    新宿の西口を、さ迷う醜い男がいる。青いスカジャンとGパン姿の蒲郡風太郎(唐十郎)。火貸してくれる?坊や遊んでやろうか、一枚でいいわよと売春婦(塩沢トキ似?)。しかし、Gパンの尻ポケットに小銭しか入っていないことを知った女はタダで気持ちいいことしようなんて冗談じゃないとキスを続ける風太郎を突き飛ばして、去っていく。「女が欲しいズラ」風太郎は、腹が減りしょんべん横町の中華料理屋でラーメンと頼み、有り金をカウンターに出すと50円しかない。ラーメンは80円だという調理人に、50円分だけ作ってくれと頼む風太郎。「ゼニが欲しいズラ」本屋で植物図鑑を見ている風太郎。いきなり持ったまま逃げ出す。途中まで店主に追いかけられるが、必死に逃げる。空地にある大きな土管の中に風太郎がいる。母親の骨壺と位牌に、母ちゃんは花が好きだったズラ、ほらキレイだろと言う風太郎。
    子供時代の風太郎(雷門ケン坊)が、病気で寝込んでいる母親(稲野和子)を診察していた医師の藪田(長尾敏之助)に、母ちゃんは治るズラ?と言う。いい薬はあるが高いと言う藪田。新聞配達をする風太郎。しかし、母親は死んだ。ゼニがあれば、母ちゃんは死なずにすんだズラ。
    ブラブラ歩いていると、目の前に車が止まり、ビルの中に入っていく。「社長ズラ。今度は命がけズラ。」その高級車が来るのを待って、飛びだしてはねられる。急ブレーキで停車した車から運転手の新星(岸田森)が降りてくる。中から社長の兄丸秀吉(曽我廼家明蝶)が駄目か?駄目か?と声を掛ける。どうしましょうかと尋ねる新星に、後が面倒くさいからウチに運べと言う兄丸。兄丸の長女、三枝子(緑魔子)に、風太郎が「お嬢さんはきれいズラ」と声を掛ける。「そんな顔をしていて、随分お世辞が上手ね」と冷たく言う三枝子。
    翌日、三枝子が買い物をして車に戻ると、チンピラの男二人が、車に乗り込んでおり、一緒に遊びに行こうと絡んでくる。そこに、風太郎がやってきて、男たちを殴り「お嬢さん、行ってください」と叫ぶ。平然と車を出す三枝子。二人に金を渡す風太郎。
    その夜、三枝子が、家のプールで泳いでいる。風太郎が現れる。昼間のことに恩義は感じていないわよと言う三枝子。風太郎は、突然土下座をして、「この家に置いてくれるようにお父さんに頼んで欲しいズラ」と言うと、「番犬代わりに置いておくかとお父様が言っていたわよ、番犬なら番犬らしく、小屋に入っていなさい」と美枝子。次女の正美(横山リエ)が新星と一緒に愛犬のメリーと遊んでいる。正美は顔に大きな痣があり、足が悪く車椅子なしでは移動できない。甲斐甲斐しく面倒を見る新星。
   風太郎が、下男部屋でご飯を食べていると、同室の新星が戻ってくる。ビールを飲む新星に、新星さんは、正美お嬢さんと結婚するズラ、うらやましいズラと言う。たばこに火をつけ、灰皿!!と顎で示す新星。灰皿を手に取り、新星の後頭部を何度も殴り続ける新星。裏庭を掘り、新星の死体を埋める風太郎。翌朝、新星がいなくなって大騒ぎになっている。風太郎は、「新星さんは、昨晩荷物をまとめて出て行きました。あんなカタワの娘と結婚させられるのは嫌だと言って・・・」と嘘をつく。泣いて、部屋に籠ってしまう正美。トラックを3年運転していましたと言って、運転手に格上げになる風太郎。その晩、メリーが裏庭を掘っている。見つけた風太郎は、そうか新星さんを探しているのかと言って、メリーを撲殺し、やはり埋める風太郎。


   今年映画館で観た映画が400本となった。去年会社を辞めてからだと、800本だ。まあこれ以外に、DVDやTVでも見ているから、厳密には、この一年3ヶ月で、何本観ているのかは分からない。学生時代映画館に引き籠もっていたころも300本代だったと思うので、この後何年生きるのか別としても、こんなに見られる時は、時間も体力もないだろうな(苦笑)。さっさと1000本観て打ち止めにしたい。