2009年7月12日日曜日

今年400本目、会社辞めてから800本

   都議選投票、投票所で評論家のI氏にお会いする。夜の地元では、よく遭遇するが、朝だと妙 に照れくさい。

   神保町シアターで、没後四十年 成瀬巳喜男の世界
   52年東宝成瀬巳喜男監督『お国と五平(398)』
   山中の街道をあるく女と供の者がいる。女の美しくに擦れ違う男たちはみな振り返る。足を痛めた女は一旦休む。もう少しで峠を越せば下りです、下で勧められたように馬に乗れば良かったですねと言う供に、いつ本懐を遂げられるか分からない旅なので贅沢はいけませんと言う女。女はお国(木暮実千代)と言い、夫を殺して逃げ出した友之丞を敵討ちするために、武術のたしなみのある小者の五平(大谷友右衛門)を連れ旅に出たのだ。お国を休ませ、五平は、友之丞の伯父を訪ねるが、寄ってはいないと言う。藩から文が来ており、友之丞が訪れた際には必ず連絡をすると言っていると、お国に伝える。友之丞は、かってお国の許婚であった。武術に力を入れない友之丞を家名を継がせることを危惧した、お国の父親は、縁組みを破棄し、藩内で剣術では名高い伊織(田崎潤)を、お国の婿に迎えたのだ。伊織が来て安心したのか、間もなく父親は亡くなった。武術に優れ、剣友たちとの交遊が好きで口数の少ない伊織との結婚生活は、お国にとって少し物足りないものであった。ある日、お国は、屋敷の外から聞き覚えのある友之丞の尺八の音色を聞く。お国の想いを諦められないと訴える友之丞に、二度と目の前に現れないでくれと言うお国。
     その夜、剣友の家で酒を飲み帰宅する途中の伊織を、卑劣にも闇討ちする友之丞。母(三好栄子)

多分、ラピュタの木暮実千代特集で見ているのだが、一部居眠りをし、改めてトライ。しかし、今回も眠くなる。うまい具合に意識が無くなった箇所が異なっているので、ようやく埋まった気がする。

    シネマヴェーラ渋谷で、劇画映画。
    72年東映東京伊藤俊也監督『女囚701号 さそり(399)』
    君が代が流れ、日の丸が上がっている。刑務所長の郷田(渡辺文雄)が、戦後27年間刑務官を勤めてきた表彰を受け取ろうとした瞬間、サイレンが鳴り響く。走り出す刑務官たち、表彰状は吹き飛ばされ、踏みつけられる。慌てて拾い上げ、大事そうに汚れを払う郷田。女囚の大塚(根岸明美)が仲間に、脱走だ。そんなこと出来る訳がない。マツを除けばと言う。701号の女囚松川ナミ(梶芽衣子)が、木田由起子(渡辺やよい)と河原を走っている。警察犬を連れた刑務官たちが追跡している。ユキが腹を押さえてうずくまる。股を血が流れる。ナミは、いつものだ、刑務所では生理が止まりやすいから、大丈夫だと励まして、肩を貸す。血の跡を見つけた刑務官は、犬を放し、追いかけさせる。葦の茂みに隠れていた二人に警察犬が飛びかかった。咬まれたユキを救うために、棒を振るって犬を倒すナミ。しかし、行く手をライフルを持った男が遮った。揉み合う男とナミを助けようと男を殴るユキ。しかし、拳銃を構えた男たちに包囲され、二人は捕まった。
     せっかくの表彰式を台無しにされた所長は激怒し、徹底した厳罰を指示する。女囚たち全員が7日間の減食処分となった。あまりに少ない食事に女囚たちは、アルマイトの皿を机に叩きつけて抗議をするが、食べなければ、全く食事を与えないと言う班長の片桐たち。逆エビに縛られ、一人ずつ懲戒房に入れられた。聾唖のユキは壁に頭を打ちつけて、ナミを励ました。自分も返しながら、ナミは過去を振り返る。
    三年前まで、ナミは幸せで平凡な女だった。麻薬捜査の刑事だった杉見次雄(夏八木勲)を愛し、女となった。ある時、杉見に麻薬の囮捜査への協力を頼まれ、海津興産という組織が経営するナイトクラブに潜入する。しかし、すぐに怪しまれ、誰の依頼なのだと責められ、嬲り者にされえうナミ。そこに杉見が現れ、組員たちを、麻薬取締法違反と、婦女暴行現行犯で一網打尽にする。しかし、杉見は海津興行のボス、海津敏(伊達三郎)との取引で金を受け取っていたのだ。杉見に利用されただけなことを知ったナミは、城東署を出てきた杉見をナイフで切りかかる。しかし、取り押さえられ、殺人未遂でこの刑務所にやってきたのだ。
    懲罰房に給食を持ってきた?は、煮えたぎった味噌汁をユキの身体に掛け悲鳴を上げさせる。次にナミの番だ。必死に耐えるナミ、しかし、ナミに?が背を向けた時に、?が踏んでいた毛布を思いっきり引っ張るナミ。?は、煮えたぎる味噌汁のバケツを全身に浴びて大火傷を負う。
    杉見は、本庁に出世し、海津も邪魔者を消すことができ、巨大組織に成長させた。海津のもとに、杉見が現れる。ナミが、なぜ、警察でも裁判所でも何も言わずに収監されたのだろうと話している二人。別荘番の男が、刑務所内の情報を流しに来た。消しておいた方がいいだろう、ちょうど適任なヤツがいる。お前がヤクの運び屋で逮捕した片桐(横山リエ)を使おうと決める二人。
    班長組の政木(三原葉子)たちが、サイコロを振って、大塚たちから巻き上げている。熱くなって、夕食を賭けるという大塚に、離れたところから声が掛かる。進藤梨恵(扇ひろ子)は、そんなイカサマではいくらやっても敵わないと言って、イカサマのネタを暴いた。歯ぎしりする政木に、片桐はいい方法があると囁く。夜シャワーの時間に、梨恵の青テン(青い囚人服)に糸ヤスリを忍び込ませ、脱走を企んでいるとして懲罰房にぶち込もうというのだ。しかし、その企みを見ていたナミは、逆に政木の赤テン(模範囚→班長は赤い服をきている)に移す。看守は、政木の赤テンに糸ヤスリを発見する。嵌められたことを知った政木は逆上し、ナミを追いかけガラス戸に顔から突っ込む。血だらけで、歌舞伎の隈取りのような形相になった政木は、鋭利なガラス片を持って、ナミを追いかける。最後にナミに向け投げたガラスは、ナミではなく、所長の郷田の右目に突き刺さった。怒り、政木の首を絞める郷田。 
    右目を失った郷田は、ナミの狙いは何なのかを徹底して吐かせろと厳命する。特房に入れられるナミ。先客がいる。前科四犯と言う鬼頭(片山由美子)だった。看守たちの雑談で知ったというナミについて、妙に詳しい鬼頭。その夜、寝ながら呻くナミに、意外とヤワだねと体をさする鬼頭。ナミはその手を自分の乳房に導く。そして、鬼頭に愛撫をするのだった。ナミの虜になる鬼頭。婦人刑務官の制服を着た鬼頭が、所長室にいる。ぜったい自白させるので、特房に戻してくれと言う鬼頭。職務に熱心なのはいいが、休めと言ってから、郷田は鬼頭の言動がおかしいと思い、身体検査をさせる。鬼頭の身体にはナミのキスマークが無数についている。
    女囚たちは、全員を集められて懲罰を受ける。刑務所内の空地を掘っては埋める作業の繰り返しだ。片桐たち班長グループは格下げだ。長時間、あてのない作業にみな消耗していく。杉見が現れ、片桐を呼び出す。ナミを消せば、仮釈で出してやると囁く杉見。作業は延々と続く。深く開いた穴の底に、ナミは一人残される。閻魔落しだと女囚たちの中でささやきが広がる。夜になり、一人作業を続けるナミに容赦なくスポットライトが当てられている。翌朝、刑務官は、女囚たちを集め、穴を埋めろと言う。下にナミがいるので躊躇い刑務官に殴られるユキに、微笑んでやれと合図するナミ。徐々に穴が埋まり始めた。ナミ一人が掘っている。

   70年近代放映和田嘉訓監督『銭ゲバ(400)』
    新宿の西口を、さ迷う醜い男がいる。青いスカジャンとGパン姿の蒲郡風太郎(唐十郎)。火貸してくれる?坊や遊んでやろうか、一枚でいいわよと売春婦(塩沢トキ似?)。しかし、Gパンの尻ポケットに小銭しか入っていないことを知った女はタダで気持ちいいことしようなんて冗談じゃないとキスを続ける風太郎を突き飛ばして、去っていく。「女が欲しいズラ」風太郎は、腹が減りしょんべん横町の中華料理屋でラーメンと頼み、有り金をカウンターに出すと50円しかない。ラーメンは80円だという調理人に、50円分だけ作ってくれと頼む風太郎。「ゼニが欲しいズラ」本屋で植物図鑑を見ている風太郎。いきなり持ったまま逃げ出す。途中まで店主に追いかけられるが、必死に逃げる。空地にある大きな土管の中に風太郎がいる。母親の骨壺と位牌に、母ちゃんは花が好きだったズラ、ほらキレイだろと言う風太郎。
    子供時代の風太郎(雷門ケン坊)が、病気で寝込んでいる母親(稲野和子)を診察していた医師の藪田(長尾敏之助)に、母ちゃんは治るズラ?と言う。いい薬はあるが高いと言う藪田。新聞配達をする風太郎。しかし、母親は死んだ。ゼニがあれば、母ちゃんは死なずにすんだズラ。
    ブラブラ歩いていると、目の前に車が止まり、ビルの中に入っていく。「社長ズラ。今度は命がけズラ。」その高級車が来るのを待って、飛びだしてはねられる。急ブレーキで停車した車から運転手の新星(岸田森)が降りてくる。中から社長の兄丸秀吉(曽我廼家明蝶)が駄目か?駄目か?と声を掛ける。どうしましょうかと尋ねる新星に、後が面倒くさいからウチに運べと言う兄丸。兄丸の長女、三枝子(緑魔子)に、風太郎が「お嬢さんはきれいズラ」と声を掛ける。「そんな顔をしていて、随分お世辞が上手ね」と冷たく言う三枝子。
    翌日、三枝子が買い物をして車に戻ると、チンピラの男二人が、車に乗り込んでおり、一緒に遊びに行こうと絡んでくる。そこに、風太郎がやってきて、男たちを殴り「お嬢さん、行ってください」と叫ぶ。平然と車を出す三枝子。二人に金を渡す風太郎。
    その夜、三枝子が、家のプールで泳いでいる。風太郎が現れる。昼間のことに恩義は感じていないわよと言う三枝子。風太郎は、突然土下座をして、「この家に置いてくれるようにお父さんに頼んで欲しいズラ」と言うと、「番犬代わりに置いておくかとお父様が言っていたわよ、番犬なら番犬らしく、小屋に入っていなさい」と美枝子。次女の正美(横山リエ)が新星と一緒に愛犬のメリーと遊んでいる。正美は顔に大きな痣があり、足が悪く車椅子なしでは移動できない。甲斐甲斐しく面倒を見る新星。
   風太郎が、下男部屋でご飯を食べていると、同室の新星が戻ってくる。ビールを飲む新星に、新星さんは、正美お嬢さんと結婚するズラ、うらやましいズラと言う。たばこに火をつけ、灰皿!!と顎で示す新星。灰皿を手に取り、新星の後頭部を何度も殴り続ける新星。裏庭を掘り、新星の死体を埋める風太郎。翌朝、新星がいなくなって大騒ぎになっている。風太郎は、「新星さんは、昨晩荷物をまとめて出て行きました。あんなカタワの娘と結婚させられるのは嫌だと言って・・・」と嘘をつく。泣いて、部屋に籠ってしまう正美。トラックを3年運転していましたと言って、運転手に格上げになる風太郎。その晩、メリーが裏庭を掘っている。見つけた風太郎は、そうか新星さんを探しているのかと言って、メリーを撲殺し、やはり埋める風太郎。


   今年映画館で観た映画が400本となった。去年会社を辞めてからだと、800本だ。まあこれ以外に、DVDやTVでも見ているから、厳密には、この一年3ヶ月で、何本観ているのかは分からない。学生時代映画館に引き籠もっていたころも300本代だったと思うので、この後何年生きるのか別としても、こんなに見られる時は、時間も体力もないだろうな(苦笑)。さっさと1000本観て打ち止めにしたい。

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