67年東宝/三船プロ小林正樹監督『上意討ち 拝領妻始末(395)』
会津松平藩二十四万石、馬廻り支配笹原伊三郎(三船敏郎)が、刀の試し斬りで、藁人形を二つにした。馬廻り組頭の小谷庄屋兵衛(山形勲)に刀を改めさせる。小谷は、国廻り一ノ木戸支配浅野帯刀(仲代達矢)に、お主も改めるかと尋ねるが、同じ感想だろうと答える帯刀。藩内で、剣では突出した腕を持つ二人であったが、不思議とウマが合った。伊三郎は、家持ちのすが(大塚道子)に婿入りをして以来、苦労をしている。そろそろ長男の世五郎(加藤剛)に嫁をと考えているが、すがはあれこれと口うるさく納得する嫁候補は現れそうにない。
帰宅した伊三郎は、門前に側用人高橋外記(神山繁)の籠があるのを見つける。すがは、お側用人さまを待たせるなんて、きっとまた、浅野帯刀と下らぬ世間話をしていたんでしょうとお冠である。慌てて客間に行くと、外記は、世五郎の縁談だと言う。しかし、相手は殿様の側室で、菊千代さまの御生母、塩見兵衛門(浜村純)の娘、お市の方様が宿下がりになるので、世五郎に拝領させると言うのだ。あまりの話に言葉を失う伊三郎。殿の御内意だと繰り返す外記。
側用人が帰った後の家族会議では、すがが、なぜあなたは直ぐにお断りなさらなかったんですかと責め立てる。お市の方は、菊千代君をお産みになった後、産褥の静養に藩内の温泉に行き、城に戻った際に、新しい側室がいることに悋気して、側室を殴る引っ掻くした挙げ句、殿様を平手打ちし、そのために宿下がりになるんだと言うすが。自分が意にそぐわぬ結婚をしたことを後悔している伊三郎は、側用人に向かい、勿体ないお話でと断ろうとする。しかし殿の御内意だと押し切ろうとする外記との間で押し問答していると、世五郎が現れ、私は此度のお話有り難くお受けしますと頭を下げるのだった。
身内だけの簡単な式が行われる。すがは、菊千代さまの御生母だろうが、かって殿様の側室であったろうが、あくまでも笹原家の嫁として、全てこの家のしきたりに従って貰いますと冷たく言い放つ。しかし、市(司葉子)は嫁として健気に頑張っていた。ある日、世五郎が勤めから戻り、姑の仕打ちは酷いだろうが、その妻との夫婦生活を耐えてきた父上を見習って努めてくれと声を掛ける。しかし市は、姑は早く家風を教え込もうと躾てくれているのだと思いますと言う。偶然その話を聞いた伊三郎は、鬼の居ぬ間に命の洗濯だと言って、市に夕食に酒をつけるよう言うのだった。
伊三郎は、家老柳瀬三左衛門(三島雅夫)に、隠居によるお役御免と、世五郎に家督を継ぐことを願い出た。家老、側用人は市を拝領させたこともあり、願いを認める。世五郎と市の祝言から二年が経ち、二人に待望の子が産まれる。女子ではあったが、伊三郎と世五郎は、トミと名付けた。
ある日、江戸屋敷から早駈けの使いが、会津にやってくる。嫡男の政基が急死したと言う。その知らせを聞いた家老と側用人は、菊千代があってお家安泰だと胸をなで下ろす。
しかし、そうなると、世継ぎの生母が馬廻り役の妻であることは体面が悪い。
塩見兵右衛門(浜村純)笹原献物(佐々木孝丸)きく(市原悦子)おたま(南弘子)笠井三之丞の母(山岡久乃)いち文蔵(江原達治)
松平正容(松村達雄)
浅野帯刀(仲代達矢)すが(大塚道子)
62年松竹小林正樹監督『切腹(396)』
井伊家自慢の赤揃えの甲冑が飾られている。井伊家覚書につづられている記載である。
寛永庚午七年十月十二日、江戸外桜田町井伊家上屋敷の門前に、芸州廣島、福島藩浪人の津雲半四郎(仲代達矢)と言う五十代の侍が現れた。出て来た使番に、自分は芸州廣島福島家元家臣の浪人津雲半四郎と名乗り、浪々の身も永くなり、これだけ平和が続くと仕官の口も無くなったので、軒先を借りて切腹させてくれと言う。ある時千石家で、そう申し出た浪人を、今時珍しい武士の誉だと気に入った千石家は、取り立てた事が広まって、腹を切る気もないくせに、いくばくかの銭欲しさのゆすりたかりのような浪人が湧いて出て、各藩は困っていた。井伊家江戸家老の斎藤勘解由(三國連太郎)は、芸州廣島福島家元家臣と聞いて、会うと言った。実は、少し前に、同じ芸州廣島福島家元家臣の千々岩求(石浜朗)と言う若い浪人が、やって来て、井伊家上屋敷の庭で切腹した事件が起き、何か関係があるかと思ったのだ。
千々岩求女が、やって来た時に、武勇を誇る井伊家として、他藩のように、切腹される面倒を恐れ、銭を渡すのは面目が立たないと、若く剣に自信がある矢崎隼人(中谷一郎)、川辺右馬介(青木義郎)、沢潟彦九郎(丹波哲郎)らは、切腹させようと画策する。世継ぎがお会いすると喜ばせて、湯に入らせ、着物を着替えさせる。そこに、彦九郎が、白装束を持ち、仕官を認めるなどと言う話ではなく、最近には珍しい侍の思うようにさせてやってくれと仰っているのだ。さあ介錯をするので、存分に腹を召せと言うのだ。はなから仕官への方便であった求女は、進退極まった。更に、求女の腰の大小は竹光だ。井伊家の家臣たちは悪し様に求女を誹り、1日待ってくれと言い出した求女に卑怯者と誹り、竹光での切腹を迫った。追い詰められた求女は竹光で腹を刺すが、なかなか死ねず舌を噛み、死に際も無様なものとなった。
津雲半四郎は、介錯人として沢潟彦九郎を指名した。井伊家の小者が、彦九郎を呼びに言った間に、半四郎は、福島家の最期について話し始める。福島正勝(佐藤慶)は、関ヶ原の戦いで、東軍に参加したが、かっての信長秀吉の重臣であった正勝を警戒する家康によって江戸城を初めとする度重なる普請を命じられていた。更に廣島城の改築に関して謀叛と言う言いがかりをつけられた。芸州49万8200石を信濃の国川中島4万5千石に転封されることが決まった。半四郎の大親友であった普請奉行の千々岩陣内(稲葉義男)は、この城改築の罪を被って、半四郎に嫡男の求女を託し、殿様に先駆けて腹を切った。正勝は、一緒に腹を切ると言う半四郎に、主命として殉死を禁じた。かくて福島家は無くなり、家臣たちは散り散りになったのだ。
半四郎は、傘を貼りながら、一人娘の美保(岩下志麻)と共に江戸の浪人暮らしを続けていた。十八になり美しく成長した美保を、大家の清兵衛(松村達雄)が、大名家の側室の縁談を持ち込んできた。しかし、半四郎は、親友の忘れ形見の求女を、美保の婿にと考えていたのだ。半四郎に美保を嫁にと言われ、願ってもないことだが、わずかな子供を相手に寺子屋を開いて糊口を塗している身を恥じる。しかし、相思相愛の二人を強引に結婚させる半四郎。二人に息子、金吾が産まれ貧しいながら幸福な生活が、訪れたかと思った。しかし、無理をしていた美保は吐血する。金吾が高熱を出しても、医者に診せる金もない求女。医者に診せたのかと半四郎に問われても何も言えない求女夫妻。求女は金を借りる目処がついたと言って出掛けたが、井伊家で切腹した骸だけが帰宅した。数日後、?が亡くなり、後を追うように美保も死んだ。半四郎の話が終わっても、介錯を頼む沢潟彦九郎は現れなかった。急病につき出所能わずと言う伝言のみが江戸家老斎藤勘解由のもとに伝えられた。
実は、求女の復讐のために、半四郎は、事件に関わった三人剣客を襲っていた。裾物斬りが得意な矢崎隼人は旗本小路で、川辺右馬介は天空寺境内で、神道無念一流の達人沢潟彦九郎は千本ヶ原で、50代の半四郎は関ヶ原の戦い以来十七年降りの戦いだったが、武士の魂とも言える髷を切り取っていた。いくら道場で、剣術を磨いても、畳水練に過ぎず実戦的ではない。
四人が討ち死に、八人が重傷を負った。井伊家の武勇は江戸中に轟き、世継ぎ鶴公にあった。「治にいて乱を忘れず、この心掛けある限り、井伊家の御家運、御隆盛、益々、盛んならんと」
美保(岩下志麻)千々岩求女(石浜朗)陣内(稲葉義男)斎藤勘解由(三國連太郎)稲葉丹後(三島雅夫)沢潟彦九郎(丹波哲郎)矢崎隼人(中谷一郎)川辺右馬介(青木義郎)使い番(井川比佐志)使い番(小林昭二)若侍(武内亨)新免一郎(安住謙)福島正勝(佐藤慶)清兵衛(松村達雄)
福島正勝は正則のことだろう。
この2本、仲代達矢が、本当に素晴らしい。三船×仲代、丹波×仲代、生死を掛けた斬り合いの緊迫感、唸る。勿論小林正樹の演出、宮島義男のカメラ、
船堀シネパレスで、映画と落語会・第一回。
60年東宝青柳信雄監督『落語天国紳士録(397)』
清兵衛荘は質屋の伊勢屋清兵衛(榎本健一)が大家である。落語好きの清兵衛は、店子には、落語に出てくる名前ばかりを選んでいる。管理人をしている大工の山下八五郎(森健二)とお君(旭輝子)夫婦、清兵衛が経営する駅前の食堂の支配人の川上熊五郎(森川信)およし(水の也清美)夫婦、按摩の伊藤梅吉(有島一郎)お里(北川町子)夫婦、骨董屋の尾形源兵衛(柳家金語楼)とクラブ歌手をするツル子(柳川慶子)親子、倒産しそうな出版社を経営する細川徳三郎(益田キートン)、絹子(一の宮あつ子)夫婦、島田先生(逗子とんぼ)、小唄の師匠の吉川ひさ(坪内美詠子)住んでいる。一室空いており、借りに来る人(如月寛多、若水ヤエ子)は沢山いるが、なかなか清兵衛の気に入る人間はこない。
紙切りの林家正楽、癒される、癒される。
瀧川鯉昇初めて見たが、よかった。顔いいなあ。
後輩Kと飯を食おうと、船堀駅の周りを探すが、都営新宿線の駅が出来て、作られた街らしく、何もない・・・。やっと見つけた八丈島料理の店で飲んで帰る。西荻まで戻ってくると、かっての会社の大先輩とばったり、更に阿佐ヶ谷のブルースシンガーにも・・・。奇遇だ。
身内だけの簡単な式が行われる。すがは、
伊三郎は、家老柳瀬三左衛門(三島雅夫)に、
ある日、江戸屋敷から早駈けの使いが、会津にやってくる。
しかし、そうなると、
塩見兵右衛門(浜村純)笹原献物(佐々木孝丸)きく(市原悦子)
松平正容(松村達雄)
浅野帯刀(仲代達矢)すが(大塚道子)
62年松竹小林正樹監督『切腹(396)』
井伊家自慢の赤揃えの甲冑が飾られている。
寛永庚午七年十月十二日、江戸外桜田町井伊家上屋敷の門前に、
千々岩求女が、やって来た時に、武勇を誇る井伊家として、
津雲半四郎は、介錯人として沢潟彦九郎を指名した。
半四郎は、傘を貼りながら、一人娘の美保(岩下志麻)
実は、求女の復讐のために、半四郎は、
四人が討ち死に、
美保(岩下志麻)千々岩求女(石浜朗)陣内(稲葉義男)
福島正勝は正則のことだろう。
この2本、仲代達矢が、本当に素晴らしい。三船×仲代、丹波×仲代、生死を掛けた斬り合いの緊迫感、唸る。勿論小林正樹の演出、宮島義男のカメラ、
船堀シネパレスで、映画と落語会・第一回。
60年東宝青柳信雄監督『落語天国紳士録(
清兵衛荘は質屋の伊勢屋清兵衛(榎本健一)
紙切りの林家正楽、癒される、癒される。
瀧川鯉昇初めて見たが、よかった。顔いいなあ。
後輩Kと飯を食おうと、船堀駅の周りを探すが、都営新宿線の駅が出来て、作られた街らしく、何もない・・・。やっと見つけた八丈島料理の店で飲んで帰る。西荻まで戻ってくると、かっての会社の大先輩とばったり、更に阿佐ヶ谷のブルースシンガーにも・・・。奇遇だ。
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