2009年7月5日日曜日

調子に乗って観過ぎた映画

    ラピュタ阿佐ヶ谷で、昭和の銀幕に輝くヒロイン[第47弾]吉永小百合
   66年日活蔵原惟繕監督『愛と死の記録(380)』
    沢山の鳩がいる。大きな音を立てて飛び立つが、二羽だけ残っている。
    広島の中本総合印刷の印刷工場、三原幸雄(渡哲也)が親友の藤井(中尾彬)にレコードを弁償しなければならないので、二千円貸してくれと言う。ガールフレンドがレコード屋にいるので、原価で手に入るぞと藤井は言うが、訳あってそうはいかないんだと幸雄。終業時間になりバイクで会社を出る。橋のたもとにバイクを停め、橋を渡ってくる娘(吉永小百合)に、これと言ってお金を渡す。お店の品だから、これでは多すぎると答える娘に、多い分は慰謝料じゃと言うと、返そうとするので、男が一度出した金を引っ込められないとぶっきらばうに言って走り去る幸雄。
    会社の独身寮に帰り、藤井に金を返すと、若い女の子に慰謝料とかって言う言い方はいけないなと言う。驚く幸雄に、バイクの前方不注意で、レコードを割ったので、二千円弁償したんだろと全て知っている。レコード屋にガールフレンドがいるって言っていただろう。俺と付き合っていると知って、がっかりしたかと藤井は言う。
      翌日会社で、幸雄は上司の岩井(佐野浅夫)に、技術を誉められる。幸雄は、写真製版工なのだ。藤井は、会社で電話をしている。相手はレコード屋の店員のガールフレンドのふみ子(浜川智子)だ。昼時、幸雄が社員食堂で食事をしていると、藤井が、彼女がどうしてもお金を返したいので、昨日の場所に一人で来てくれと言っていると言う。幸雄が出掛けると、娘がやって来た。どうも話が噛み合わない。娘は、幸雄のことを同じレコード屋で働くふみ子の彼氏の藤井だと思っていたのだ。二人は彼らに担がれたこてを知って笑い出す。喫茶店で話をしている二人。娘の名は松井和江。みんなにバンビと呼ばれていると言う。十字屋楽器店で働き、母親と兄夫婦と弟で暮らしていると言う。兄は市役所に勤めているが、最近うまく言っていないとか、音楽のこと、禁じられた遊びの映画について話は尽きなかった。
     翌日、店で遠い目をする和江に、幸雄さんのことをまた考えていたなとふみ子。ふみ子の頬を抓る和江。私たちが二人のキューピットなことを忘れたかとふみ子。藤井が、ふみ子から今度の休み4人でドライブに行こうと誘う。岩井さんのウチを訪ねる約束だったが、夜にすると幸雄。
    次の週末、瀬戸内海沿いの道を走る二台のバイクがある。ノーヘル、二人乗りで、有料道路も走る。二組のカップルは一緒に弁当を食べる。そこから二組は別行動になった。海沿いの堤防に、幸雄と和江がいる。今日のことは永遠に忘れないと言う和江に、10年後の二人がそれぞれ今日のことをどう思い出すだろうかとへんなことを言い出す幸雄。10年後、私たちは別れてしまっていると言い出すのと気色ばむ和江。しかし、何か屈託がある幸雄。雨が降り出し、雨の中バイクを走らせる。途中乱暴に和江を下ろし、バイクを出す幸雄。しかし、少し離れたところにバイクを停め走っ、和江を追い掛けてくる。強く抱き締め、キスをする二人。


     京橋フィルムセンターで、特集・逝ける映画人を偲んで 2007-2008

     60年岩波映画黒木和雄監督『ルポルタージュ 炎(381)』
     激しく燃え上がる炎の前で踊り狂う女たちのシルエット。東京電力の火力発電所建設のドキュメンタリー。

     60年日活若杉光夫監督『ガラスの中の少女(382)』
     霧が掛かった湖を見ていた地元の男たちが女の子が浮いていると叫びあっている。もう助からないだろう、金にならない面倒を起こして最近の娘は困ったものだといいながら、船で引き揚げに向かう。仰向けに浮かぶ少女。
    高校生の沖中靖代(吉永小百合)は、四ツ谷駅で、中学時代の同級生の広田陽一(浜田光曠→光夫)に出会う。陽一に誘われ、靖代はみつ豆屋に行く。中学時代に陽一は靖代にラブレターを出したのは、友達と賭けに負けたがらだと言う。当時靖代はラブレターのことを家庭で話したために、大学教師の父親が腹を立てて、人間としていかがかと思うと叱られ陽一はかなり懲りたと言う。陽一は中学を出て玩具製造の町工場で働いているが、時々取引先に納品に来るようがあると言う。靖代に会いたい時は四ツ谷駅で待ち伏せすることにすると言う。
     帰宅した靖代に、母親の里子(轟夕起子)と、大学の助教授をする杉太郎(信欽三)が出迎える。オープンな何でも語り合う家族だったが、実は靖代の本当の父親の吉田は学徒出陣で出征し戦死した。万が一の場合は、恩師の?を訪ねよと里子に言っていたので、再婚し、実の娘以上に靖代を可愛がってきたのだ。しかし、あまりに女子の純潔と、結婚して幸せにすると口うるさい父親に、靖代は少し疑問を感じ始めていた。

   88年に製作された出目昌伸の同作は、吉永、浜田コンビ第1作のリメイクだと聞いていたので、まったく違うストーリーにびっくりだ。というか、この話を後藤久美子と吉田栄作(デビュー)コンビの映画化で、エンターテイメント性を高めたというのか、トンデモ映画にしてしまった88年版に、原作の有馬頼義は草葉の陰で泣いただろう(苦笑)。とはいえ、この映画も、確かに吉永・浜田コンビのフレッシュさは光っているが、65分の尺に纏めるためなのか、せっかくの民芸の役者陣や丁寧なロケ、セットなどもったいない使い方になっている。

      63年大映東京増村保造監督『黒の報告書(383)』
      殺人現場、資産家の柿本が殺されたのだ。凶器は青銅の壺だ。総武地方検察庁の検察官城戸明(宇津井健)は、河東署の捜査一係長の須藤警部補(中条静夫)や瀬川刑事(山中雄司)やベテラン刑事の津田進作(殿山泰司)らと、出動する。死亡推定時刻は午後10時過ぎ、第一発見者は被害者の息子で演出家の富美夫(仲村隆)が午前1時に帰宅して通報したのだ。富美夫曰わく、被害者の妻みゆき(近藤美恵子)とは夫婦仲が悪く毎晩夜中の2時過ぎの帰宅だと言う。その晩も、捜査中に帰宅した。みゆきの浮気の相手は、かって柿本の下で働いていた高利貸しの人見十郎。その日も来ていたようだ。


     シネマヴェーラ渋谷で、神代辰巳レトロスペクティブ
     94年ユニタリー映画/ティーエム・シー/エクセレント・フィルムズ
     神代辰巳監督『棒の哀しみ(384)』
      カジノバーで酔って管を巻いている男(奥田瑛二)がいる。そこに女の客(桃井かおり)がやって来て、バーテン(竹中直人)にブラッディーマリーを頼む。そのカウンターに男がふらふらと来て、ジンフィズのお代わりを頼むが氷や炭酸などに次々と因縁をつける。終いには、客を殴りつけ、ボーイと一緒に警察に連行される。女はバーテンに、男は酔っていなかった、多分本職だと思うと言う。今時、みかじめ代とか流行らないですよと答える。何か、店の営業を妨害するだけじゃないのと言われて、あっ連れて行かれたボーイは高校生だと言い、下手すれば営業停止じゃないのと言われる。
   警察の取調室で、手荒に扱われている男。彼の名は田中。大村組の組員で、刑務所にも4度、8年入っていた。翌日警察から出て来た田中は、自宅に戻り、部屋の掃除を始める。組長(平泉成)から電話がある。松川組とシャブの縄張りで小競り合いが起きて出入りだと騒いでいると言う。組長の大村は、若い女の所にしけこんで隠れているらしい。田中は、自分が話をつけるので、一人で出歩かないようにしてくれとだけ伝える。組長は、組のために何度も危ない橋を渡ってきた田中よりも、金勘定の上手い倉内(白竜)に目をかけ代貸にしていることが気に食わない。しかし他の組との諍いになると、組長は田中に頼るのだ。倉内は戦争の仕方を知らないのだ。
   情婦の亜弓に、出入りがありそうだとサツにたれ込めと電話をする田中。誰がこんな喧嘩でム所に入らなければならないんだからと独り言ちる。それから亜弓(高島礼子)のマンションに行く。どうした?と聞くと、私は大村組の田中の情婦だけど、田中に足を洗わせたいのでと言ったわと亜弓。満足そうに笑い、お前はいい女になったなと言う田中。田中の服を脱がせ、自分も裸になる亜弓。
    亜弓のマンションを出て田中が歩いていると鉄砲玉のチンピラが二人ドスを振り回して襲ってきた。叩きのめすが、足を刺される。今回の抗争のうまい絵を思いついた田中は、とりあえず止血だけして、舎弟の吉岡の所に行く。吉岡には、元大川組のチンピラだった梶田という弟分がいる。吉岡のアパートに行き、出入りだと言って上がり込んだ。杉本(哀川翔)にこっちに来いと電話をしてから、倉内には、鉄砲玉に足を刺された。全面戦争になるぞと脅かす。武器は木刀しかなかったが、杉本たちが来るといきなり梶田を殴りつけ、沈めろと拉致させる。田中は、梶田に、お前たちは大川組の内情を探りに、寝返ったふりをしようとしていたんだよなと言う。何のことか理解出来ない吉岡に繰り返した上で、大川をバラせと言う。仕返しに大川のタマ取らせたことにしたのだ。吉岡は見事、大川の腹に弾丸を数発打ち込み、自首した。
   田中は、大川組との手打ちに成功し、大村に呼ばれる。ロマネコンティを飲みながら、フォアグラを食べ、ヤクザと一緒でフォアグラは辞められないと言う大村。跡目の話かと貧乏揺すりをしながら話を聞く田中に、大村は、お前はいつまでも若いモンがやるような仕事でなく、直系を連れて自分の組を作れと言う。
    その晩、田中は自宅に杉本を呼び、組を作ることになったと言う。おめでとうございますと頭を下げる杉本に、自分の組と言っても、お前を含めてだった8人を連れて出るだけだ。上納金をしこたま奪われるだけなのだと吐き捨てる。
   田中には少し前から気になっている花屋の娘がいる。


   出だしはぬるいし、気が付くとVシネになっている。山中貞雄の「人情紙風船」じゃないが、これが神代辰巳の遺作なのかと考え始めると、色々と感慨が湧いてきたが、帰宅後、偶然撮影監督の書いたものを見つけて、邦画どん底時代(今、そこから何も変わっていないと思うが・・)の産みの苦しみを知って、休肝日のつもりがダラダラと飲み始めてしまう。


      74年日活神代辰巳監督『赤線玉の井 ぬけられます(385)』
      昭和30年頃、まだ赤線が廃止される前の話。玉の井の小福、ある年の正月のこと、直子(丘奈保美)が小さないびきをかきながら眠っている。隣に寝ていた客が、

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