2009年7月7日火曜日

ブログタイトル変えましたが・・・。

   午前中は、大門歯医者から赤坂メンタルクリニック。

   昼から神保町シアターで、没後四十年 成瀬巳喜男の世界
   51年東宝成瀬巳喜男監督『めし(389)』
大阪市の南の外れ、小さいが、粗末ではない長屋が並んでいる一角、岡本三千代(原節子)は、周囲の反対を押し切って初之輔(上原謙)と結婚して4年、初之輔の勤めの都合でここに住んで?年が過ぎた。出勤の支度をした初之輔が、食卓に座り、めしはまだかい?と聞く。そのくせ、食事中初之輔は新聞の紙面に目を落としたままだ。戦時銘柄は堅調と言う。会社の皆さんは買っていらっしゃるの?証券会社に勤めていてやらないのはあなたくらいじゃなくて?と三千代が話し掛けても、初之輔は生返事だ。へそを曲げて、あなた食事中に新聞を読むのは止めて下さらないと怒る三千代。しかし、妻が何を怒っているの理解出来ないような初之輔。ハンカチと言って三千代から受け取り、出勤する初之輔。門の外まで見送り、溜め息をつく三千代。ちょうど、谷口家のしげ(浦辺粂子)が、息子の吉太郎(大泉滉)の就職試験の合格祈願に八幡さまに行くと言う。三千代の向かいの金澤りう(音羽久米子)が、欠伸をしながら、おはようございますと顔を出した。りうは、丸鍵の若旦那の二号で、飲み屋を出させて貰っているらしい。しげは、眉をしかめて、妾はこんな時間に起きてきて、いいご身分だと言う。
    その時、吉太郎に岡本さんのお住まいはどちらですかと尋ねる娘(島崎雪子)がある。垢抜けた美人に、ドギマギする吉太郎。三千代が、あら里子さん!と声をかける。しげに、主人の東京にいる姪ですのと答える三千代。里子を部屋に上げ、どうして急に大阪に来たの?と尋ねると、父親が勧める縁談が嫌で、家出をしてきたのと答える里子。 疲れたでしょうから昼寝をしたらと言うと、汽車の中で、ずっと眠っていたのと里子。初之輔さんは帰りは何時くらいなのと尋ねる里子に、三千代は早かったり遅かったりと答え、会社に電話をしておくわ、東京には電報を打っておくわね、ご心配でしょうからと三千代。

   初見。女人養い難しを地で行くようなあれこれ考えるが、非常に感情的な女と、鈍感で空気が読めなず、情けない男。まあどっちもどっちではある。こうしたウジウジした話、本当にうまい!渡る世間と違って、痛さがないのは、テレビとスクリーンの違いなのか。

   京橋のフィルムセンターで、特集・逝ける映画人を偲んで 2007-2008
   45年東宝教育市川崑監督『娘道成寺(390)』
   人形劇とアニメーション。こんな作品をやっていたんだな。

   57年大映東京市川崑監督『満員電車(391)』
   東京で最高の、ということは日本で最高峰の平和大学、平大。明治9年の第1回卒業式での総長送辞から、大正1年、昭和元年と卒業生の数は飛躍的に増えていく。激しい雨の中、総長(浜村純)の送辞が行われている。誠に残念ながら昨夜講堂が焼失したため、野外での卒業式になったがと言う。埋め尽くされた雨傘、中に茂呂井民雄(川口浩)の姿もある。卒業証書を濡れないように大事そうに脇に抱える茂呂井。式が終わり、記念撮影だ。あまりの大人数にカメラマンは後ろに下がるが水溜まりに足を取られる。大声で、傘を閉じて下さい!と叫んで、撮影する。慌てて再び傘をさす。卒業生たち。更に雨脚が強くなるが、校庭に机が並べられ、ビール瓶と紙コップが置かれている。同級生(田宮二郎)に浮かない顔してるが、さっさと引き揚げろと言われるが、せっかくの祝杯だ。浮かない顔じゃなくて、ビールを飲んだら歯が痛くなったのだと茂呂井。
   下宿先で、荷物を纏め、詰め襟をスーツに着替えている。同室の若竹(入江洋佑)が、もう出発するんですかと尋ねると、今日の5時に会社に召集されてるんだと答える。ツンツルテンの学生服を着た若竹が、それいらないでしょう売ってくれませんかと頼む。ズボンは駄目だが、上着は古着屋に売ろうと思っていたのでいいよと茂呂井。古着屋より高く買わせたので、共同で買ったなべややかん、七輪は君に上げるよと言って下宿を出る。駅に向かって歩いていると、商店街では、バス同士がすれ違えずに、大騒ぎだ。虫歯がますます痛くなり、目の前の歯医者に入る。待合室は立錐の余地もないほど満員だ。昼飯抜きで治療をしていた医師(杉森燐)が診察室を出ると、まだ一人患者が残っていた。茂呂井だ。治療をしてもらっていると、歯科医の細君(響令子)が、保険診療をするから忙しくてしょうがないのに、一向に儲からないと愚痴を言う。茂呂井は、ここ痛みますよねと尋ねられるが、よく分からない。
デ   パートのネクタイ売り場でデパートガール(宮代恵子)に、いい加減なつもりで交際してきた訳ではないが、就職後、関西に赴任するので、一旦白紙にしたい、本来なら喫茶店でコーヒーを飲みながらゆっくりしたいが、残念ながら時間がないんだと言う。女は了解する。次に、キリマンジャロの雪を上映している映画館の切符売り場の女(久保田紀子)に先ほどと同じ話をしている茂呂井。平大裏と言うバス停で立っていると、壱岐留奈(小野道子)が声を掛けてくる。彼女は岩手の一関で、国語教師になるので、今から出発だと言う。デパガ、映画館と同じ話をし始めると、私もその方がいいと思うわと言ってキスをして、反対行きのバスに乗る壱岐。どちらのバスも満員だ。
   茂呂井が入社する大日本駱駝ビールの東京本社兼工場の通用門に到着すると、終業のサイレンが鳴り響く。社長室、総務部長(見明凡太郎)がやってくると、社長(山茶花究)は何で自分の許しもなく10人も新入社員を採ったのだ!自分は3名の採用は認めたが、あと7人は知らないと言う。総務部長は、定年などの10名の人員減の補充ですし、どれも各重役の皆様の縁故採用なのですと言って、それぞれどういった係累なのかを諳んじる。更に何日の会議で社長のご決裁もいただいていますと言う。社長は尚も、今の経営改善の課題は合理化による人員削減だと言っている。
    会議室に新卒採用者10名がいる。総務部長を先頭に重役たちが入ってくる。社長は、何事もなかったように、訓示を始める。4日間、社内各部門の話など、缶詰めだ。終わり次第、地方工場に配属されたものには、赴任地までの国鉄三等乗車券が配られる。釜ヶ崎工場に配属の室井と、札幌工場に赴任の同期の二人以外は、コネで入れてくれた重役と銀座に繰り出したらしい。コネ入社じゃないのは僕たちだけだったみたいだと言う同期の男は、一緒にビールを飲もうと言う。工場研修以来虫歯が痛むので、飲まないと答える茂呂井。サラリーマンになったんだなあと言う同期の男に、突然白墨を持って黒板に生涯賃金を書き始め、二千数百万を貰うからには、きちんと堅実に仕事をしたいんだと言う。
   茂呂井が乗った下りの東海道線特急列車が、小田原駅を通過する。室井の実家は、父親の権六(笠智衆)が、30年間自分の腕を信じて続けてきた時計屋だ。母親の乙女(杉村春子)は、下り列車が通過する度、今のに息子が乗っているかしら、初出勤の祝いに赤飯でも持たせてやりたかったと繰り返す。時計が狂うという客に、私が修繕した時計は絶対狂うことはありえないと断言する。
   茂呂井の初出勤の日、独身寮で身支度をして部屋を出ると、同時に、同じ格好の社員たちが沸き出てくる。通勤電車は超満員だ。最寄駅を降りて、会社に向かう道は、出勤する社員たちで埋め尽くされている。タイムカードを押すのも大行列だ。茂呂井が、こっちの列の方が早いかと変わると、機械の調子が悪くなる。始業時間だ。山のような発注伝票の山が茂呂井の席に積まれる。物凄いスピードで伝票の山を片付け始める茂呂井。30分ほどで終わってしまい、することもなくボーっとしていると、係長が廊下に呼び出す。君は体の具合が悪いのかと聞く。否定する茂呂井に、では何で仕事をしないんだと係長、いや終わってしまったのですと得意げに言う茂呂井に、君一人で会社が成り立って居る訳でない、君が流れを乱すと、会社全体の効率が悪くなるのだと叱られる。
    職場は、工場の中にあるので、物凄い騒音で、ほとんど会話が成り立たない。いつの間にか、歯が痛む茂呂井に、向かいの席に座る更利満(船越栄二)が、歯が痛いんですか?と尋ねる。社内の医務室に歯医者がいますよと教えてくれたので、医務室に行く茂呂井。女歯科医(新宮信子)は、どこも悪くはないわねと言って、医務室の担当医師の山居直(潮万太郎)が、ひょっとすると虫歯とかではなく工場の激しい騒音のストレスが歯に出ているのかもしれないと言う。どうしたら治るんですかという茂呂井に、治らないと言い放つ山居直。
      休日になっても、することもない茂呂井は、かっての三人のガールフレンドに、手紙を書く、周りのサラリーマンへの愚痴でしかない手紙を受け取った女 たちは、何の感慨もなく捨てる。デパートガールは、一瞥しただけで握りつぶし、映画館の女は破ってゴミ箱に捨て、壱岐留奈は答案の山の採点を続ける。その 返事が来ていないか、ポストを何度も見る茂呂井。当然、返事などない。そんな茂呂井に、独身寮の隣室に住む更利満が声を掛ける。自室に招き、お茶と甘いも のを出してくれる。サラリーマンの心得は、「健康が第一、怠けず休まず働かず」だと言う更利満に反発する茂呂井。しかし、更利満は、隣室のエリート社員が 自殺したのだと言う。窓の前をその隣人が飛び降りるのが見えたと淡々と話す更利満。よく考えると、自分の部屋の前の住人なのだ。部屋に戻ってもそんな痕跡 は、勿論ないのだが・・・。


   59年大映東京市川崑監督『野火(392)』
   フィリピンレイテ島、分隊長(伊達信)、お前はこの部隊にいても何も出来ないので、病院に行かせたのに、言われた通りに帰ってくる奴があるか、大事な食糧を5日分渡したのに、それも3日で戻ってくるとは、ガキの使いかと怒っている。食糧と手榴弾を渡すので、この部隊に帰って来ると思うなと命じた。曹長(潮万太郎)は、戦況は絶望的で、この島に上陸する段階で、既に半減している部隊は米軍からも相手にされていない、ここにいても塹壕掘りしかすることはない。隊長が何も言わないのは、言いようがないからだ、無駄死にだけはするなよと言う。田村(船越栄二)は、分隊長の言葉を復唱し、部隊を出発する。田村の姿を見て、塹壕堀りをする仲間たちは目を逸らす。田村は部隊のお荷物なのだ。

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