2009年9月25日金曜日

金曜日の渋谷の街

     学校は、1年のスキルアップ講座2コマ。年明けに実施する企画の内容の詰め。

     シネマヴェーラ渋谷で、妄執、異形の人々Ⅳ
     72年行動社/ATG 増村保造監督『音楽(548)』
精神科医の汐見和順(細川俊之)のもとに弓河麗子(黒沢のり子)と言う女がやってきた。食欲はなく、吐き気がするので、産婦人科に行ったが、そのような兆候はないと言われ、内科に廻されたが分からず、精神科に来たと言う。
    頻繁なまばたきを繰り返す麗子を一目診て、これはチックと言う症状で、食欲不振、吐き気は、ヒステリーの典型的な症状だと言う。麗子は、更に自分は音楽が聴こえないのだと言う。ラジオでもテレビでも、人の会話などは聴こえるが、音楽になると全く聴こえないのだと言う。汐見が、近くにあったラジオのスイッチを入れ、激しいジャズが流れるチャンネルに合わせたが、何も聴こえないと答える麗子。
    汐見が妊娠の心当たりがあるのかと尋ねると、1年前から同じ貿易会社に勤める江上隆一(森次浩司)と交際していると言う。交際して2ヶ月で、肉体関係を持ったと聞いて、早いですねと汐見。その前に、男性関係があったのかと聞くと、自分は17代も続いた旧家の生まれで、少女時代から親が決めた許婚、俊二がいて、高校生のときに俊二(三谷昇)に無理矢理奪われたのだと告白した。その男から逃れるために東京の女子大に進学し、卒業、今の会社に入社、江上と知り合ったのだと言う。結婚したいと強く思っているが、その婚約者とのことを告白出来ずにいるんですと言う麗子。汐見は、精神分析治療を続けようと言って、週に一度通院するように命ずる。看護婦の明美(藤田みどり)は、診察料6000円、精神分析料5000円、合わせて11000円ですと言う。麗子が帰った後、明美はいけ好かない患者だと言って、先生はあの女が美人だから気があるんでしょうと決め付けた。
    翌週予約の日、麗子は病院に電話をしてくる。更に症状が酷くなって、通院出来ないと言う。先生私を診察したいと言うので、ぜひ診察して、君を治したいんだと熱く言う汐見。じゃあ、なんとか行きますと答える麗子。明美が、馬鹿に低姿勢ね・・。惚れてるんだわと言う。馬鹿なことを言うな、あの患者は自分のプライドを満足させたいだけなんだと汐見。
    ようやくやってきた麗子は、先週酷い嘘を言ったせいで、よりひどくなってしまったんです。音楽が聞こえないというのは嘘なんです。感じないんです。セックスに感じないんです。恋人の江上さんは、たくましく、結構女性関係もあったようでセックスがうまいんです、でも私は感じない、「君は、僕が嫌いか?じゃあ、何で感じないんだ?!楽しまないんだ?!」と言われ、感じているふりをしてもばれてしまうんです。つまり不感症なんです。
   では、一つ自由空想療法
という治療法を試してみましょうと汐見。目を閉じて、心に浮かんだことを何でも話してみてください。
   ・・・・古い大きな屋敷がある。私の許婚だった俊ちゃんの家です。まだ子供の私は家にずんずん入って行く。俊ちゃんがお蔵の中に面白いものがあるという。私が逃げ出すと男の子たちが集まってきて私は捕まえられた。鋏をもった俊ちゃんが、みんなでジャンケンをして負けた子のあそこを切ってしまおうという。一人だけ女の子の自分はジャンケンに負ける。みんなにパンツを脱がされる。俊ちゃんが、「何だ、もうない。とっくに負けて切られているんだ」と言って、私は泣いた。はさみちゃん。はさみちゃんで何を切ろう。赤い紙、黄色い紙、青い紙・・・青い紙をザクザク切って行くと青い空を切っている私。空に出来た裂け目を覗くと、向こうから大きく恐ろしい牛がやってくる。牛の角は男のシンボル、ペニスです・・・。女学生に成長した私は、機械油を使って、鋏を磨いている。磨いているうちに、自分の足が、巨大な鋏に変わっている。美しい伯母(森秋子)が、とてもいい匂いのする外国製の、鋏を磨く油をくれた。私は、鋏に変わった自分の足を一生懸命磨いている。私は伯母と一緒に、山の中の旅館に出掛ける。夜、黒い服を着た若い男が忍んで来て、伯母を抱いた・・・。
   汐見が、あなたの話は、嘘が多いという。数日後、麗子の婚約者の江上が、汐見の元にやってくる。あんたか汐見という男は、診察と言って麗子の身体を弄んでいる悪徳医師は!!と怒り、殴りかからんばかりの勢いだ。いや、そんなことはしていないと汐見が答えると、証拠はあると言って、麗子の日記を取り出した。そこには、自分には感じない麗子が、汐見の治療中の愛撫によって、強い快楽を感じたことが赤裸々に書かれている。看護婦の明美が、「あんたこそ、騙されている。あの嘘つき女!!!うちの先生は、そんなことは絶対しない」と言い放ち、ようやく江上も落ち着いた。君は麗子さんの不感症を治したいと思うかと汐見が尋ねると、麗子を愛しているので何とか治したいんだと江上。
   次の治療の際、なんであんな嘘を江上くんに言ったんだ。君は、江上くんを嫉妬させて楽しんでいるんだろう。いえ、江上さんを失いたくないんです。しばらくやりとりがあり、汐見は二枚の絵を見せた。一枚は牛の角が鋏になっているもの、もう一枚は女の足が鋏になっているもの。「あなたの話の中に何度も鋏が登場する。牛の角は男性性器、女性の足は良心を暗示している。あなたは、近親者、父親と特別な性的な関係はありませんでしたか?」「父は5歳の時に亡くなりました。」「じゃあ、お兄さんはいませんか?」麗子は、ショックを受けたようだが、肯き話し始めた。
   私が中学1年の夏、私が昼寝をしていると(石川啄木作品集という本を読んでいて寝てしまったようだ)、高校生だった兄(高橋長英)が横にやってきて、「麗子、動くなよ」と言って、下着の中に手を入れてきた。そして私の中に指が入ってきて、私は女として初めての快感を得ました・・・。」「その後は・・。」「それきりでしたが、次の年、大学に落ちて浪人となった兄は、山奥の旅館で勉強をしていました。私と伯母が近くの旅館に泊っていると、夜黒いシャツと黒いズボンを履いた男が忍んできました。その男は兄でした。兄と伯母のセックスを見てしまった私は、ショックでした。夫がいた伯母と兄の関係は、田舎のことなので、街の噂になりました。兄は翌年も大学に落ちてしまい、家出をして、行方不明になってしまいました・・・。実は、江上さんと兄は似ているんです。最初夏の日に、会社の外で、江上さんと待ち合わせた時、黒いシャツと黒いズボンで現れたんです。兄にそっくりな江上さんを好きになりました。その後、江上さんに、初めて連れ込み旅館に誘われた時に、私はあの、中学1年の時の快感の続きを味わえると思ったら、とてもドキドキしました。しかし、それは、全く裏切れたんです・・。そうだわ、江上さんは兄に似ているから好きになっただけだわ。」
   麗子は思い込みが激しい女だ。更に賢くもあるので、汐見が何度そんなに簡単ではないと言っても、すぐに自分で結論を導いて決めつけてしまう。今回も、許婚だった俊二が入院していて、余命幾許もないので、一目会いたいという手紙が来たので、病院に行って、献身的に看病をし始めた。江上が、病院を訪ねると、自分は逞しい江上ではなく、この痩せ細って死にかけの男がいいのだと言う。この男の死にかけの匂いは、再び自分に音楽が聞こえるのだと言う。しかし、麗子にとって幸せな期間は長くはなかった。俊二は死に泣い取り縋る鬼気迫る表情の麗子。
    麗子は絶望して旅に出る。海岸に、黒いシャツ、黒いズボンの男(松川勉)を見つける。自殺を感じているその男に、俊二と同じ匂いを感ずる麗子。男は、花井と言い、小説家志望で不能だった。小説もモノにならず、男としても不能なのは、絶望だと自殺をしに、この海に来ていたのだ。麗子の気分は高揚し、不能な花井と不感症の自分で旅をしようと言う。二人裸になって、何もせずに眠るのだといい、そのことは麗子を興奮させた。音楽を聞こえさせた。しかし、砂浜に掘った穴に男を埋め停る自分を大きな鋏が襲ってくる悪夢に魘されて目が覚めた麗子は、触ろうとする花井を罵倒し、腕に噛みつく。その事は花井に男を蘇らせ、花井は麗子を抱く。しかし、不能でなくなった花井に、麗子は死にかけの男の匂いを嗅ぐことはできない。
   前以上に酷い症状になった麗子が、江上のアパートにやってきた。首にグリグリが出来て、呼吸もままならないと言う麗子に、慌てて汐見に電話をする江上。江上が麗子を病院に連れてくる。精神分析室で、汐見と麗子は再び自由空想療法を始める。10歳位だろうか子供時代の麗子は、父親と一緒にお風呂に入っている。父親の男性自身を見つめ、鋏で切ってやろうと思う麗子。しかし、麗子の父親は5歳の時に亡くなっているのだから、それは父親ではない、ひょっとして、お兄さんとその後何かがあったんじゃないかと指摘する汐見。麗子は思い詰めた表情で真実を語り出した。
  5年前女子大に入ってしばらくした頃、寮にいた麗子を兄が訪ねて来たのだと言う。兄はかなりやさぐれた印象に変わっていたが、それ以来何度となく、恋人同士のようにデートをした。ある日、麗子は兄の暮らしている部屋に行ってみたいと言う。麗子が来るようなところではないと言ったが、麗子に折れて案内する兄。
     場末にあるアパートの狭い一部屋だ。部屋の中にストッキングが干されている。兄は、飲み屋で働く女のヒモだった。兄はウイスキーを飲み始める、麗子は兄の情婦が気になり自分もくれといい、ぐいぐお呑み始める。すると、情婦(森秋子)が帰ってくる。既に酔っている女は、急に生理になり接客する気分にならないので帰ってきたと言い、自分が仕事の間に女など連れ込んでいい身分だと言う。これは、実の妹だと言っても全く信じない


   好きな日本映画を10本挙げろと言われたら、微妙に入らないが、30本挙げろと言われたら、一番多い監督は増村保造かもしれない。50本と言われたら確実だ20本以上入るかもしれない。大映倒産後に、自分たちで行動社を立ち上げて作った"インディーズ"第1作。本当は、シネスコで撮りたかったろうなとか、ひょっとして、プロデューサーの藤井さんありきの企画で無理したんじゃないかとか、余計なことを考えてしまう。
   黒沢のり子は、東宝専属と表記があるが、葛井欣士郎「遺言」によれば、まだ16歳位だったらしい。自分の中では、リアルタイムでは、この映画と4年後の田中登監督の「人妻集団暴行致死事件」で室田日出男の妻役しか記憶がないので、何か、観るたびに印象は違うが、精神的に病んでいる役で、ちゃんと裸でも勝負する女優という気になる人だった。

   松濤サロンで、後輩Kから、林家たい平師匠のミニ落語会があると誘われていたので、出向く。生徒たちに、生落語デビューしないかと言うと、笑点のオレンジの人ですよねと中々反応は良かったが、今時の若者に、今日の今日の夜付き合わないかといっても無理だった。

2009年9月24日木曜日

僕らを救う正義の味方は誰なんだ?

    イベンター役員のTさんと表参道で昼ご飯を一緒にしながら、色々な話。男性シンガーソングライターをマネージメントし、CDを作り、ストリートから初めていると言う。Tさんの音楽を愛する情熱溢れる話久しぶりに聞き、エネルギー貰う。何か手伝えることあればいいなあ。

   新宿ピカデリーで、トニー・スコット監督『サブウェイ123 激突(546)』
   ニューヨーク市交通局地下鉄の運行指令室のウォルター・ガーバー(デンゼル・ワシントン)は、輸送課長だったが、新型車両の選定の際に日本の車両製造会社からカナダの企業経由で賄賂を受けた容疑で告発され降格し、指令室で指令担当をしていた。その日、ペラム駅1時23分発のペラム123号が、ライダー(ジョン・トラボルタ)たちのグループによってジャックされた。元交通局の元運転手レイキンとバシュキン、?の4人だ。
    1両目だけを残し、他の車両の乗客は解放し車掌レジーナに駅まで案内させた。その途中異変に気付いた私服警官は一味によって射殺された。ライダーは、指令室への無線で、犯行を告知、身代金として1000万ドルを1時間以内に用意させるようガーバーに命じた。
    その事実は直ちにニューヨーク市警に通報され、カモネッティ警部(ジョン・タトゥーロ)が到着する。ガーバーの収賄疑惑に、事件との関連性を疑われ、自宅の家宅捜索までされることになる。しかし、冷静で理知的なガーバーの人間性は、カモネッティ警部だけでなく、ライダーにも信頼され始める。ガーバーに今日は帰宅しろと言った上司とカモネッティは、そのことで、ペラム123の運転手、ジュリー・ボガードを射殺され、苦い思いをすることとなる。
    しかし、ライダーは、レイキンから輸送課長だったガーバーが指令係をしていることに疑問を持ち、ネットでガーバーが収賄疑惑で降格したことを知り、本当のことを言えと脅迫する。当初否定していたガーバーだが、人質の命と交換だと言われ、選定に関しては信念を持って結論を出したが、その後17歳と19歳の娘の教育費のために3万5千ドルを受け取ったことを告白する。
   地下鉄通勤をしていたNY市長(ジェームズ・ギャンドルフィーニ)は、事件の報告を受ける。本人も知らなかったが、1000万ドルというのは、NY市長が命じて出金が可能な限度額なのだ。市長の指示で、連邦中央銀行から1000万ドルを100ドル札で用意させ、白バイの警護付きのパトカーで運搬するが、当然NY中の道路は混雑しており、指定の時間までに届けることは厳しい。なんでヘリコプターを使わなかったんだと市長が言っても、もう遅い。結局、パトカーは事故を起こし、ライダーの指定時間には間に合わない。本当のことを言えというカモネッティと、今到着したと嘘を言えという市の幹部の指示は交錯し、ガーバーは、今着いたところだと言ってしまう。しかし、事件を生中継しているTV放送で、交通局に到着していないことをライダーは知っており、激怒させただけだった。夫がかって空挺団にいたことで、一緒にいる子供を救うためにも立ち上がってほしいと母親に言われていた元空挺団の男は、母親の身代りに射殺されてしまう。

  「サブウェイ・パニック」のリメイクらしい。劇場では見ていないが、随分とテレビ放映された気がする。ウォルター・ガーバーの役をウォルター・マッソーやっていたが、その時の役名もウォルター・ガーバーだったかなんて全く記憶はないが、テンポもよくサスペンスとして良く出来ていた記憶だけはある。今回は、NYを縦横無尽に、俯瞰の鳥目線から蟻目線、地下目線まで、ガンガン繋いでいくテンポは、最近のなんちゃってハリウッド邦画に辟易してる自分には、結構楽しめた。しかし、正義の味方スーパーマンではなく、市井の男を演じた筈のデンゼル・ワシントンが、最後に、今まで使ったこともない拳銃を手に、ライダーを追い掛けるために、車を奪い、携帯で警察に連絡を入れ、車を乗り捨て、?橋を疾走し、追い詰めるてしまうのは、結局、小市民ガーバーも、クラークケントで最後には、気弱な新聞記者のスーツを脱ぎ棄て結局活躍しちゃうんじゃんと突っ込みたくもなる。


   堤幸彦監督『20世紀少年 最終章 ぼくらの旗(547)』

2009年9月23日水曜日

お前は幕府の犬か!!



   元の会社で後輩だったTの多摩プラーザの家に喜々店主たちと。
    赤ん坊よりも、ワイマラナーのワラビーとダルメシアンのジルと言う生犬二匹と遊んで癒やされる。やっぱり犬はいいなあ。

2009年9月22日火曜日

忍者ゆえに抜け忍になった。

   シネマート新宿で、デレク・チウ(趙崇基)監督『孫文(544)』
   映画会社日活の創始者・梅屋庄吉と孫文の会話から始まる。タイトルバックには、革命に失敗して、清王朝に処刑される数々の闘士たちの報道写真だ。
1910年、9回目の武装決起に失敗した孫文(ウィンストン・チャオ:趙文宣)は、日本からマレーシアのペナンに逃れる。度重なる敗北に新軍(革命軍)は疲弊し、孫文が集めた革命資金を着服しているなどとデマを流され、ペナンの華僑たちの間では決して歓迎されてはいない。また、孫文の暗殺の為に、清は多数の工作員を差し向けている。幸いにも、清国領事は、孫文を見つけ次第殺せと言う本国の命令を他国で行うことには非常に消極的だった。
     孫文は船の中で、ペナンの中国人学校ペナン栄華学校の教師の羅・・ルゥオ・ジャオリン(チャオ・チョン:趙 崢)に声を掛けられる。「項羽のように自殺しようとしているんですか?」「いや、殺されても、自ら死にはしない。」「あなたの首には銀70万両、10万ポンドの価値があるのですよ。」
   港に着いた羅は徐家の車が迎えに来ている。徐家の一人娘のシュー・ダンロン(アンジェリカ・リー:李心潔・・ウルトラマンのハヤタ隊員役黒部進の娘の吉本多香美似)が、羅を迎えに出ようと港に向かっていたが、ジャオリンの乗った車と危うくぶつかりそうになる。その時、ダンロンが下げていた翡翠の飾りが地面に落ちた。孫文は、?たちに案内され徐家に向かう途中、翡翠の飾りを拾う。?に翡翠は人を守ると言うので大事にしたほうがいいと言う。
    その日、徐(シュー)家は、頭領シュー・ボウホンの妻(ヴィッキー・リウ:劉瑞琪)の誕生日の茶会が盛大に開かれていた。羅に再会する。羅はボウホンの娘、ダンロンの教師にしてシュー家の使用人でもあった。ダンロンは、孫文が鞄に下げている翡翠の飾りが自分の物だと言うが、孫文から埠頭で拾ったと言われ、父親の手前、羅を迎えに埠頭に行ったことは打ち明けられない。こんな日に訪問した非礼を詫びた孫文に、シュー・ボウホン(ワン・ジェンチョン:王建成)は、孫文の滞在用に安全な部屋を用意し、いつまでもいればいいと言って、外出する際には、危険なのでインド人の使用人を必ず同行させろと言う。しかし、援助の話をする孫文に、既に何度も寄付をしたが、毎回失敗続き、これ以上投資出来ないと言う。しかし、諦めないことだけは尊敬すると言った。
    その話を聞いて、ノンビリしていられない孫文は、ホワンの家に向かう。ホワンは、友人の荒れ果てた別荘に案内する。ゆっくり休んでくれという?に、孫文は、逃走中に考えたことを纏めたいので、筆と紙を貸してくれと言う。十分注意してくれというホワン。分かったと言いながらも、孫文は原稿をまとめることに没頭する。そんな孫文を殺しに、ピストルを持った男の影がある。孫文の部屋に男は飛び込むが、ダンロンが読書をしているだけだ。実は、殺し屋の正体は羅・・ジャオリンだった。
   徐家からの資金調達が適わないと知った孫文は、シュー家を離れ、ペナン同盟会のホワンを訪ねる。そこには、10年来孫文の革命を支え続けてきたチェン・ツイフェン(ウー・ユエ:呉越・・・カダルカナルタカの妻の橋本志穂似)がいた。孫文はツイフェンとの再会を喜ぶが、ツイフェンは心の中では、孫文との穏かな生活を夢見ているが、叶わない望であることも知っていた。孫文が医師として、ツイフェンが看護婦として出会ってから、最も理解しあった“夫婦”でもあるのだ。

   中華民国建国の父孫文。辛亥革命、日本での活動など歴史の教科書に出ているような知識しかない自分には、中国人全員が共有しているような人間観はないだろう。そんな自分でも、港湾労働者の怪我を直しながら、労働者も雇用者と交渉すればいいんだと穏やかに説き、そこから目覚めた労働者たちの言葉で、自信喪失していた孫文の革命への情熱を取り戻すところと、ペナンの華僑の有力者を前に、中国と中国民族に対しての想いを熱く説く場面は強く伝わってくる。ところどころ、ぬるさを感じてしまう部分があり、もったいない気がする。

    新宿伊勢丹~ジュンク堂経由で、ラピュタ阿佐ヶ谷で、CINEMA★忍法帖

    58年東宝稲垣浩監督『柳生武芸帖 双龍秘剣(545)』
    江戸城に、大名格の行列が入って行く。徳川家光(岩井半四郎)の前で、柳生但馬守(大河内伝次郎)に、柳生武芸帖について問いただす老中松平伊豆守(小堀明男)の姿がある。智慧伊豆にしても、武芸帖の存在を、但馬守に認めさせることはできなかった。柳生但馬守(大河内伝次郎)は、武芸帖などと言うものは、柳生新陰流一万三千石の家名に掛けて存在しないと言い放った。伊豆守も、松平三万石に掛けてと言い返したが、何分にも決め手となる証拠に欠ける伊豆守の詮議を、家光は打ち切らせ、伊豆守をお役罷免とした。天下の御意見番、大久保彦左衛門(左卜全)は、家光に真意を尋ね、伊豆守には徳川家のみならず、朝廷の威信を傷つけかねない柳生武芸帖の行方を充分に調べろということだと言って慰めた。伊豆守は、配下な者を集め、必ず武芸帖を奪い取れと命じた。
   前編のあらましを簡単に纏めておく・・・。
   徳川家、禁裏(朝廷)の秘密が書かれた柳生武芸帖は、徳川家武芸指南役の柳生但馬守の屋敷と、禁裏藪大納言家、鍋島藩と三部存在した。備前霞忍軍の総帥山田浮月斎(東野英次郎)は、手下の大月多三郎(三船敏郎)千四郎(鶴田浩二)の忍びの兄弟に鍋島藩が所有する柳生武芸帖の奪取を命ずる。見事奪いとるものの鍋島藩に寄ってお取り潰しになった龍道寺家の遺児夕姫に奪われる。夕姫を打ち立てて、何とかお家再興を果たさんとした龍道寺家の残党たちだが、柳生十兵衛(戸上城太郎)によって、隠れ部落を焼き討ちされ、多三郎に助けられた夕姫と共に江戸に向かう。   
  浮月斎は、藪大納言家が所有する武芸帖が大久保彦左衛門の手に渡ったと知り、それを千四郎に奪い取れと命ずる。また千四郎は大胆にも柳生但馬守の江戸屋敷に潜入し発見されるが、危ないところを但馬守の息女於季(香川京子)によって救われる。一方、但馬守も、彦左衛門の手に武芸帖一巻が渡ったことを知る。武芸帖を持っていることで、一万三千石の大名として江戸柳生家があるのだ。彦左衛門から、智恵伊豆と呼ばれる老中松平伊豆守の手に渡りでもしたらと大変なことになる。
    但馬守は三男又十郎を、柳生家秘術くノ一の術を使い、江戸にやってくると言う竜元寺家の遺児夕姫に変装させた。くノ一の術とは、歯を全て抜き、顔自体を女人の人相に作り変えると言う厳しいものであった。歯を抜かれ傷が治るまで、下女のリカ(岡田茉莉子)は、粥を自分で咀嚼して口移しで食べさせるなど献身的に尽くした。このことは又十郎にリカへの強い愛情を抱かせた。リカも同じ気持ちだったが、所詮身分の違う恋、二人の想いの成就はならず、リカはいずこへか去った。
    又十郎の夕姫への変装は成功し、彦左衛門の屋敷で舞を披露する。彦左は大層喜んだ。しかし、屋敷に忍び込んでいた千四郎は、巻物を手に逃げようとする。しかし寸での所で、又十郎が手を伸ばし、半分に千切れ二人の手に残った。又十郎は、リカへの気持ちと、権謀術数の政りごとに明け暮れ、剣の道とは程遠い父親但馬守に疑問を抱き家を出た。多三郎も、夕姫と二人で生きて行こうと、川を筏津で下って行った。そして、後編の双龍秘剣に続く

   虚無僧が歩いている。3人、5人、10人、20人と増え、人里離れた場所に集まった。柳生武芸帖を追っている隠密たちらしい。現在、柳生武芸帖の1巻と半分は柳生但馬守の手元に、半分は、山田浮月斎の元に、多三郎が手放した最後の一巻は、修験者の格好をした男女二人組の手に渡ったようだと言い、その二人組を探し出せと指令を出していたお頭らしい人間が、ふと一人多いことに気がつく。符丁を言わせ確かめ、紛れ込んでいた人間が判明する。天蓋を取らせられると千四郎だ。20対1の戦いになったが、何とか逃げおおす千四郎。
    その頃、江戸の柳生家を出て、剣の道を再び学ぼうと心に決めた柳生又十郎は、街道で舞を舞う、リカに瓜二つの娘(岡田茉莉子)を見掛ける。娘と大道芸をしている男(上田吉二郎)が、街道を歩く又十郎に声を掛け、着物の紋は、柳生家の物、柳生御本家の方と見込んで、ご一緒に旅をさせてくれないかと切りだす。柳生家にとって大事なものを自分は持っているので、五千石で将軍家に仕官できるよう口を聞いてくれないかと言う。不審に思いながらも、同行することだけは承知した又十郎は、次の宿場で、リカに瓜二つの娘まやに秘密を打ち明けられる。男は天道法眼と言う妖術使いで、妖術によって妻にさせられている。法眼は、又十郎はお前に気があるようなので、自分の体で懐柔するように言われている。まやは、又十郎に、今晩私を抱くか、さもなくば、直ぐにここから逃げてくれないかと言う。
    まやの必死の訴えに、又十郎は、まやに気があるのではなく、まやとそっくりな女を愛していたのだと告げて、尾張に旅立った。しかし、二人のやりとりは偶然同じ宿に泊まっていた千四郎が聞いていた。法眼とまやこそが、武芸帖を手に入れた二人組だと確信した。
   千四郎は、まやに又十郎を誑かせるために、女郎屋に入った法眼を探し、襲い掛かった。裸にさせても出てこない武芸帖を宿の天井裏に隠していると白状させ、宿に戻ろうとする。法眼は妖術足止め術を使い、千四郎を身動き出来ないようにする。千四郎は辛くも火遁の術で脱出する。宿に戻り、法眼たちの荷物と天井裏を探っても武芸帖の巻物は出てこない。翌日、宿場を法眼とまやが出立すると、千四郎がどこまでもついて来る。お前は何者だ?と尋ねる法眼に、昨晩忍び装束だった男だと告白し、嘘をついたらいつまでもお前に付き纏い命を奪うと言ったではないかと笑う千四郎。
   虚無僧の集団は、朝廷の藪大納言の命で、柳生武芸帖を取り戻せと言われた永井家の清姫(乙羽信子)と配下の者たちだった。千四郎は、少し前まで、まやを口説いていたと思ったら、清姫まで虜にする(笑)。清姫は、朝廷の命で武芸帖を取り戻そうと千四郎に接近していたが、千四郎を愛し始めていた。また、女だけではなく、法眼まで千四郎に惚れこみ、自分の持っていた武芸帖を使ってくれと渡す。
   みな尾張に入り、法眼は尾張柳生家に下男として潜入する。肥桶を担いだ法眼は、庭を耕す男が、尾張柳生当主、柳生兵庫介(松本幸四郎)と知らずに、声を掛ける。兵庫介は、又十郎
柳生武芸帖が何であるかを語る。徳川家が絶対的な力を持つ以前、危険な芽を摘むために、柳生一門の高弟たちは、暗殺をした。その役目は籤によって決められ、本人以外は知らない。暗殺された中には、後水上天皇(?)の第一皇子、第二皇子も含まれていた。その謀略に参加した柳生高弟たちの名が記されているのが柳生武芸帖なのだ。本来柳生新陰流は、剣を極める筈のものが、政りごとの暗部に手を染め、そのことに拠って、今の柳生一万五千石があるのだ。柳生新陰流をあるべき姿に戻すのだと言う叔父兵庫介の言葉に力強く頷く又十郎。
   十兵衛(戸上城太郎)が尾張柳生家に現れる。兵庫介の言葉で、隠れる又十郎。十兵衛は、柳生武芸帖を預かってくれと兵庫介に頼む。
    

     渋谷FACEで、後輩Sに誘われてスペクトラム・トリビュート。結成30年、解散28年だという。まだ最後の学生生活だと思うが、記憶のあった曲は、なんだかオーディオのCMタイアップで、本人たちもファンカデリック一派のような珍妙な衣装で出演していたデビュー曲だけだった。しかし、高校時代キャンディーズのバックバンドでも演奏していた懐かしいオリジナルメンバーもゲスト参加。元々ホーンセクション好きな自分には中々楽しめた。ブラスいいなあ。

2009年9月21日月曜日

組織の掟

   シネマヴェーラ渋谷で、妄執、異形の人々Ⅳ

   73年日活神代辰巳監督『女地獄 森は濡れた(541)』
    女主人殺しの罪に追われて、幸子は三日も走りづめだった。ここに来て初めて幸子は自由を得た気がしていた。
    幸子の前に車が停まり、洋装の貴婦人(中川梨絵)が降りてきて声を掛ける。貴婦人の名前は洋子。幸子を車に乗せ、私も、多分あなたと同じ悲しい境遇の女なのだと言う。 幸子が、10歳の時に両親と死に別れて以来、酷いことばかりだったと言うと、洋子は、19歳で、結婚をしたが、夫は世の中で最も恐ろしい人間だったと言う。二人が入った店で、蝋燭立てを持って来たウェイトレス(絵沢萌子)は、なにもかにも世の中が悪くなって、電気も来ませんと言い訳のように言う。洋子の家は山腹にある洋館作りのホテルだと言い、一緒に来てくれないかと頼まれた。
     自動車で山を登って行くと、白雲荘と言う看板が出ている。女中の花とありが出迎えた。主人の竜之助(山谷初男)は、洋子に私らの商売にはぴったりの美しく、汚れを知らない娘を連れて来たねと笑った。洋子は幸子を風呂に入れ自分の服を着させるよう女中たちに命じ、自分の部屋に案内してから、私の不幸を慰めるために、この家にずっと居てくれ、給金ではなく、私の財産の半分を上げてもよい、あの二人の女中たちも、私に仕えると同じように、あなたの面倒もみさせると言う。今までの不幸な人生を生きてきた幸子には、初めて自分を必要としてくれる洋子の言葉が何よりも嬉しかった。
    居間に戻ると、優しそうだった竜之助の表情が変わっている。「お前は、村井幸子19歳。この女、女主人殺しで、指名手配されている。警察から手配書が来ていた。危うく騙されるところだった」「いえ違います。ご子息に無実の罪をなすりつけられただけです。どうか信じて下さい。お願いします。」あんなに優しかった洋子も「あなたはそんなに虫も殺さないような顔をして、私を騙していたんですね」「私は何もしていません、信じて下さい」泣いて頭を下げる幸子。
    「まあ、私も、あなたが満更嘘を言っているようには思えない。ただ、そのことを隠していた罪滅ぼしに私たちの仕事を手伝って貰おうか…」「何でもいたします。」「私たち夫婦は一生遊んで暮らしても使い切れないような財産を持っている。それでも、このホテルをやっているのは、飽くまでも自分たちの楽しみのためだけだ。」そこに、狩猟をしに来ていた金持ちそうな二人組の客が泊めて欲しいと言っていますがと言いに来る女中のあり。泊めてやりなさいと竜之助。そして、食事を済ませてから、お前のその純粋な性格にあった役をやると言う。
    食堂で、竜之助と洋子、幸子3人の晩餐が始まった。幸子は、今まで見たこともないようなフランス料理と、どんなに恐ろしいことが自分を待っているか考えると、喉も通らない。ワインを飲み肉を食べながら、竜之助は、幸子にお前の仕事は二人の男たちに、ここの主人はとても恐ろしい人で、あなたたちの全財産と命を奪おうと企んでいるので、直ちに逃げ出しなさいと忠告することだと言う。その際に、一緒に逃げることが唯一幸子自身が助かる方法なのだと言う。
   給仕中に粗相をした女中の花は竜之介に、スカートを託しあげられ、下着を付けていない臀部をナイフで切られる。身動きもせず、苦痛に耐える花。いつしか、洋子も下半身を露出させられている。竜之介は幸子を下着姿にし、早く二人の客の部屋に行けと命ずる。
   燭台を持ち、幸子は二人の客の部屋をノックする。食事中の2人の男、栄太郎(堀弘一)と次平(高橋明)は、ホテルの主人が言っていた掘り出し物の女か、なる程美しく、汚れていない娘のようだと好色そうな目つきで、下着姿の幸子を見ている。幸子は恥ずかしさに震えながら、早く逃げて下さいと言うが、何かの余興かと思い、まずは飯を喰わせてくれと言う。


    69年東映京都石井輝男監督『やくざ刑罰史 私刑〈リンチ〉(542)』 
    (テロップ&菅原文太NA)「ヤクザ」それは、鉄の掟に縛られた男たちの集団である。
   タイトルバックには、豚の丸焼きのように括られて火に焼かれる男、虫めがねで目を焼かれる男、万力で固定された腕手のひらを電気ドリルで貫通される男、焼き鏝を顔に当てられ焼けただれる男、車に腕を繋がれ引きずりまわされる男。
    
ヤクザ渡世に御法度二つ、「盗むべからず」「間男するべからず」。
   江戸時代の出入り、


友造(大友柳太朗)般若の常(菅原文太)昇平(林真一郎)蝮の六(石橋蓮司)新吉(宮内洋)風天の松(八尋洋)黒磯の剛造(菅井一郎)神楽の大八(平沢彰)
おれん(藤田佳子)せつ(尾花ミキ)お民(賀川雪絵 )父(矢奈木邦二郎)尾形修二(大木実)雨宮(山本豊三)さよ(橘ますみ)桜井親分(村居京之輔 )
秋葉親分(浪花五郎)岩切(伊藤久哉)美之吉(蓑和田良太)秋葉組子分A(西田良)秋葉組子分B(香月涼二)桜井組子分A(山下義明)桜井組子分B(笹木俊志)
すみれ(浅松三紀子)(みつ(小山陽子)桃代(英美枝)島津昇平(藤木孝)広瀬辰(吉田輝雄)大村軍治(千葉敏郎)橋場仙八(沢彰謙)はるみ(片山由美子)
田口(高英男)浜村(林彰太郎)網木(江上正伍)真鍋(吉田潔)安西(河崎操)戸塚(宮城幸生)ディーラー(友金敏雄)男(深瀬)(池田謙治)
百合(飯野矢佳代)サリー(木山佳 )ジュン(三笠れい子)大村の情婦(千秋子 )

    石井輝男ファンには堪らない映画だろうな。

     渋谷シネパレスで、崔洋一監督『カムイ外伝(543) 』
     幼いカムイ(イ・ハソン)は、伊賀忍者。大頭(おおあたまじゃなくて、おおがしら。因みに何故かイーキン・チェン)と、抜け忍のスガルを追う。断崖絶壁から海に落ちた。忍者の掟は、頭の命令に背くことと、組を抜けることは、死を意味する。一生、追い忍たちに付け回されるのだ。
   14年の月日が経ち、カムイ(松山ケンイチ)も、故有って、抜け忍となり、仲間から追われている。共に育ち、技を磨いた忍者たちを、一人一人倒して行く。躊躇すれば、死ぬのは自分だ。備中松山藩五万石の藩主水谷軍兵衛(佐藤浩市)が森の中で狩をしている。軍兵衛が鹿を狩るように、カムイもまた大頭?に弓を射られ、逃げているのだ。大きな牝鹿を仕留め、満足した軍兵衛一行が休息を取っている。軍兵衛の愛馬一白を川で洗う馬屋番足軽の甚八(仲野茂)。突然吹き矢が飛んできて、一白の臀部に刺さる。驚いた一白が暴れたところに、鉈が飛んできて左前脚を切断する。落ちた脚を抱え逃げ去る一人の男。軍兵衛一行は大騒ぎになる。その一部始終を山の上から見ていたカムイは、脚を大事そうに抱えて逃げる男に興味を持った。

    何だかCGが10年前のハリウッド映画を見ているような気がする。最近の邦画バブルで、ポストプロ手薄になっているんじゃないかと思うのは穿った見方だろうか。
    貧しさ故に忍者になり、忍者故に抜け忍になり、抜け忍故に…ってないんじゃないか(苦笑)。脚本宮藤官九郎ちょっと手抜きじゃないか(笑)まあ、白土三平の世界を展開したら、付いていける人は、本当に少なくなるか。パンフにアクション娯楽大作と書いてあったが(苦笑)、それなら最近沢山出ている上手い子役使って、「カムイ伝 第一部」作った方がよかったんじゃないだろうか。何か、キャスト、スタッフ揃えた割には、出来は、帯に短し、襷に流しという感じなんですが・・・。

   渋谷HOMEと言うライブハウスで、浅草の歌姫辻香織。中学の同級生の音楽プロデューサーに、来てくれてありがとうと言われ、本当にビックリする。どうも、辻の前に出たアーティストをプロデュースしているらしい。世間と言うか、ライブハウスは狭いなあ。更に元の会社で辞め先輩のKさんが下北沢に続き、来ていて驚く。8月私の誕生日宴会以来、追っかけになってしまったようだ。手強いライバル登場だ(笑)

2009年9月20日日曜日

成瀬巳喜男の昭和30年代。

   今日は、午前中に高校の文化祭で、後輩たちの演奏があるので行こうと、Yと約束していたのだが、朝早く目が覚め、部屋の掃除を始め、頭をバリカンで刈り、風呂に入って、朝飯を食べ、洗濯物を干したら、なかなかのいい天気。うとうとしていたら、気がついたら、もう始まる時間に、すまんY。今度奢る。
   溜まった本を読む。晴耕雨読でもなく、こんないい天気を無駄にしている気がする。片岡義男の「映画の中の昭和30年代」がいい。成瀬巳喜男の映画作品を分析する中で、昭和の光景を切り取って行く。成瀬巳喜男の映画は寡黙なだけに、ファンは語り始めると饒舌になってしまう。50代になってようやく、寡黙な映像から読み取れるものが分かり始めた自分には、いちいち頷けるものの、言うのも野暮じゃないかと突っ込みたくなってしまう。勝ち負けではなく、成瀬の映画を語り始めると、止まらなくなるだけに、それは俺も思ったよと語り始めたくなるのだ。
   夕方買い物に出て、博華で、餃子とビール。