2009年9月21日月曜日

組織の掟

   シネマヴェーラ渋谷で、妄執、異形の人々Ⅳ

   73年日活神代辰巳監督『女地獄 森は濡れた(541)』
    女主人殺しの罪に追われて、幸子は三日も走りづめだった。ここに来て初めて幸子は自由を得た気がしていた。
    幸子の前に車が停まり、洋装の貴婦人(中川梨絵)が降りてきて声を掛ける。貴婦人の名前は洋子。幸子を車に乗せ、私も、多分あなたと同じ悲しい境遇の女なのだと言う。 幸子が、10歳の時に両親と死に別れて以来、酷いことばかりだったと言うと、洋子は、19歳で、結婚をしたが、夫は世の中で最も恐ろしい人間だったと言う。二人が入った店で、蝋燭立てを持って来たウェイトレス(絵沢萌子)は、なにもかにも世の中が悪くなって、電気も来ませんと言い訳のように言う。洋子の家は山腹にある洋館作りのホテルだと言い、一緒に来てくれないかと頼まれた。
     自動車で山を登って行くと、白雲荘と言う看板が出ている。女中の花とありが出迎えた。主人の竜之助(山谷初男)は、洋子に私らの商売にはぴったりの美しく、汚れを知らない娘を連れて来たねと笑った。洋子は幸子を風呂に入れ自分の服を着させるよう女中たちに命じ、自分の部屋に案内してから、私の不幸を慰めるために、この家にずっと居てくれ、給金ではなく、私の財産の半分を上げてもよい、あの二人の女中たちも、私に仕えると同じように、あなたの面倒もみさせると言う。今までの不幸な人生を生きてきた幸子には、初めて自分を必要としてくれる洋子の言葉が何よりも嬉しかった。
    居間に戻ると、優しそうだった竜之助の表情が変わっている。「お前は、村井幸子19歳。この女、女主人殺しで、指名手配されている。警察から手配書が来ていた。危うく騙されるところだった」「いえ違います。ご子息に無実の罪をなすりつけられただけです。どうか信じて下さい。お願いします。」あんなに優しかった洋子も「あなたはそんなに虫も殺さないような顔をして、私を騙していたんですね」「私は何もしていません、信じて下さい」泣いて頭を下げる幸子。
    「まあ、私も、あなたが満更嘘を言っているようには思えない。ただ、そのことを隠していた罪滅ぼしに私たちの仕事を手伝って貰おうか…」「何でもいたします。」「私たち夫婦は一生遊んで暮らしても使い切れないような財産を持っている。それでも、このホテルをやっているのは、飽くまでも自分たちの楽しみのためだけだ。」そこに、狩猟をしに来ていた金持ちそうな二人組の客が泊めて欲しいと言っていますがと言いに来る女中のあり。泊めてやりなさいと竜之助。そして、食事を済ませてから、お前のその純粋な性格にあった役をやると言う。
    食堂で、竜之助と洋子、幸子3人の晩餐が始まった。幸子は、今まで見たこともないようなフランス料理と、どんなに恐ろしいことが自分を待っているか考えると、喉も通らない。ワインを飲み肉を食べながら、竜之助は、幸子にお前の仕事は二人の男たちに、ここの主人はとても恐ろしい人で、あなたたちの全財産と命を奪おうと企んでいるので、直ちに逃げ出しなさいと忠告することだと言う。その際に、一緒に逃げることが唯一幸子自身が助かる方法なのだと言う。
   給仕中に粗相をした女中の花は竜之介に、スカートを託しあげられ、下着を付けていない臀部をナイフで切られる。身動きもせず、苦痛に耐える花。いつしか、洋子も下半身を露出させられている。竜之介は幸子を下着姿にし、早く二人の客の部屋に行けと命ずる。
   燭台を持ち、幸子は二人の客の部屋をノックする。食事中の2人の男、栄太郎(堀弘一)と次平(高橋明)は、ホテルの主人が言っていた掘り出し物の女か、なる程美しく、汚れていない娘のようだと好色そうな目つきで、下着姿の幸子を見ている。幸子は恥ずかしさに震えながら、早く逃げて下さいと言うが、何かの余興かと思い、まずは飯を喰わせてくれと言う。


    69年東映京都石井輝男監督『やくざ刑罰史 私刑〈リンチ〉(542)』 
    (テロップ&菅原文太NA)「ヤクザ」それは、鉄の掟に縛られた男たちの集団である。
   タイトルバックには、豚の丸焼きのように括られて火に焼かれる男、虫めがねで目を焼かれる男、万力で固定された腕手のひらを電気ドリルで貫通される男、焼き鏝を顔に当てられ焼けただれる男、車に腕を繋がれ引きずりまわされる男。
    
ヤクザ渡世に御法度二つ、「盗むべからず」「間男するべからず」。
   江戸時代の出入り、


友造(大友柳太朗)般若の常(菅原文太)昇平(林真一郎)蝮の六(石橋蓮司)新吉(宮内洋)風天の松(八尋洋)黒磯の剛造(菅井一郎)神楽の大八(平沢彰)
おれん(藤田佳子)せつ(尾花ミキ)お民(賀川雪絵 )父(矢奈木邦二郎)尾形修二(大木実)雨宮(山本豊三)さよ(橘ますみ)桜井親分(村居京之輔 )
秋葉親分(浪花五郎)岩切(伊藤久哉)美之吉(蓑和田良太)秋葉組子分A(西田良)秋葉組子分B(香月涼二)桜井組子分A(山下義明)桜井組子分B(笹木俊志)
すみれ(浅松三紀子)(みつ(小山陽子)桃代(英美枝)島津昇平(藤木孝)広瀬辰(吉田輝雄)大村軍治(千葉敏郎)橋場仙八(沢彰謙)はるみ(片山由美子)
田口(高英男)浜村(林彰太郎)網木(江上正伍)真鍋(吉田潔)安西(河崎操)戸塚(宮城幸生)ディーラー(友金敏雄)男(深瀬)(池田謙治)
百合(飯野矢佳代)サリー(木山佳 )ジュン(三笠れい子)大村の情婦(千秋子 )

    石井輝男ファンには堪らない映画だろうな。

     渋谷シネパレスで、崔洋一監督『カムイ外伝(543) 』
     幼いカムイ(イ・ハソン)は、伊賀忍者。大頭(おおあたまじゃなくて、おおがしら。因みに何故かイーキン・チェン)と、抜け忍のスガルを追う。断崖絶壁から海に落ちた。忍者の掟は、頭の命令に背くことと、組を抜けることは、死を意味する。一生、追い忍たちに付け回されるのだ。
   14年の月日が経ち、カムイ(松山ケンイチ)も、故有って、抜け忍となり、仲間から追われている。共に育ち、技を磨いた忍者たちを、一人一人倒して行く。躊躇すれば、死ぬのは自分だ。備中松山藩五万石の藩主水谷軍兵衛(佐藤浩市)が森の中で狩をしている。軍兵衛が鹿を狩るように、カムイもまた大頭?に弓を射られ、逃げているのだ。大きな牝鹿を仕留め、満足した軍兵衛一行が休息を取っている。軍兵衛の愛馬一白を川で洗う馬屋番足軽の甚八(仲野茂)。突然吹き矢が飛んできて、一白の臀部に刺さる。驚いた一白が暴れたところに、鉈が飛んできて左前脚を切断する。落ちた脚を抱え逃げ去る一人の男。軍兵衛一行は大騒ぎになる。その一部始終を山の上から見ていたカムイは、脚を大事そうに抱えて逃げる男に興味を持った。

    何だかCGが10年前のハリウッド映画を見ているような気がする。最近の邦画バブルで、ポストプロ手薄になっているんじゃないかと思うのは穿った見方だろうか。
    貧しさ故に忍者になり、忍者故に抜け忍になり、抜け忍故に…ってないんじゃないか(苦笑)。脚本宮藤官九郎ちょっと手抜きじゃないか(笑)まあ、白土三平の世界を展開したら、付いていける人は、本当に少なくなるか。パンフにアクション娯楽大作と書いてあったが(苦笑)、それなら最近沢山出ている上手い子役使って、「カムイ伝 第一部」作った方がよかったんじゃないだろうか。何か、キャスト、スタッフ揃えた割には、出来は、帯に短し、襷に流しという感じなんですが・・・。

   渋谷HOMEと言うライブハウスで、浅草の歌姫辻香織。中学の同級生の音楽プロデューサーに、来てくれてありがとうと言われ、本当にビックリする。どうも、辻の前に出たアーティストをプロデュースしているらしい。世間と言うか、ライブハウスは狭いなあ。更に元の会社で辞め先輩のKさんが下北沢に続き、来ていて驚く。8月私の誕生日宴会以来、追っかけになってしまったようだ。手強いライバル登場だ(笑)

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