2009年9月22日火曜日

忍者ゆえに抜け忍になった。

   シネマート新宿で、デレク・チウ(趙崇基)監督『孫文(544)』
   映画会社日活の創始者・梅屋庄吉と孫文の会話から始まる。タイトルバックには、革命に失敗して、清王朝に処刑される数々の闘士たちの報道写真だ。
1910年、9回目の武装決起に失敗した孫文(ウィンストン・チャオ:趙文宣)は、日本からマレーシアのペナンに逃れる。度重なる敗北に新軍(革命軍)は疲弊し、孫文が集めた革命資金を着服しているなどとデマを流され、ペナンの華僑たちの間では決して歓迎されてはいない。また、孫文の暗殺の為に、清は多数の工作員を差し向けている。幸いにも、清国領事は、孫文を見つけ次第殺せと言う本国の命令を他国で行うことには非常に消極的だった。
     孫文は船の中で、ペナンの中国人学校ペナン栄華学校の教師の羅・・ルゥオ・ジャオリン(チャオ・チョン:趙 崢)に声を掛けられる。「項羽のように自殺しようとしているんですか?」「いや、殺されても、自ら死にはしない。」「あなたの首には銀70万両、10万ポンドの価値があるのですよ。」
   港に着いた羅は徐家の車が迎えに来ている。徐家の一人娘のシュー・ダンロン(アンジェリカ・リー:李心潔・・ウルトラマンのハヤタ隊員役黒部進の娘の吉本多香美似)が、羅を迎えに出ようと港に向かっていたが、ジャオリンの乗った車と危うくぶつかりそうになる。その時、ダンロンが下げていた翡翠の飾りが地面に落ちた。孫文は、?たちに案内され徐家に向かう途中、翡翠の飾りを拾う。?に翡翠は人を守ると言うので大事にしたほうがいいと言う。
    その日、徐(シュー)家は、頭領シュー・ボウホンの妻(ヴィッキー・リウ:劉瑞琪)の誕生日の茶会が盛大に開かれていた。羅に再会する。羅はボウホンの娘、ダンロンの教師にしてシュー家の使用人でもあった。ダンロンは、孫文が鞄に下げている翡翠の飾りが自分の物だと言うが、孫文から埠頭で拾ったと言われ、父親の手前、羅を迎えに埠頭に行ったことは打ち明けられない。こんな日に訪問した非礼を詫びた孫文に、シュー・ボウホン(ワン・ジェンチョン:王建成)は、孫文の滞在用に安全な部屋を用意し、いつまでもいればいいと言って、外出する際には、危険なのでインド人の使用人を必ず同行させろと言う。しかし、援助の話をする孫文に、既に何度も寄付をしたが、毎回失敗続き、これ以上投資出来ないと言う。しかし、諦めないことだけは尊敬すると言った。
    その話を聞いて、ノンビリしていられない孫文は、ホワンの家に向かう。ホワンは、友人の荒れ果てた別荘に案内する。ゆっくり休んでくれという?に、孫文は、逃走中に考えたことを纏めたいので、筆と紙を貸してくれと言う。十分注意してくれというホワン。分かったと言いながらも、孫文は原稿をまとめることに没頭する。そんな孫文を殺しに、ピストルを持った男の影がある。孫文の部屋に男は飛び込むが、ダンロンが読書をしているだけだ。実は、殺し屋の正体は羅・・ジャオリンだった。
   徐家からの資金調達が適わないと知った孫文は、シュー家を離れ、ペナン同盟会のホワンを訪ねる。そこには、10年来孫文の革命を支え続けてきたチェン・ツイフェン(ウー・ユエ:呉越・・・カダルカナルタカの妻の橋本志穂似)がいた。孫文はツイフェンとの再会を喜ぶが、ツイフェンは心の中では、孫文との穏かな生活を夢見ているが、叶わない望であることも知っていた。孫文が医師として、ツイフェンが看護婦として出会ってから、最も理解しあった“夫婦”でもあるのだ。

   中華民国建国の父孫文。辛亥革命、日本での活動など歴史の教科書に出ているような知識しかない自分には、中国人全員が共有しているような人間観はないだろう。そんな自分でも、港湾労働者の怪我を直しながら、労働者も雇用者と交渉すればいいんだと穏やかに説き、そこから目覚めた労働者たちの言葉で、自信喪失していた孫文の革命への情熱を取り戻すところと、ペナンの華僑の有力者を前に、中国と中国民族に対しての想いを熱く説く場面は強く伝わってくる。ところどころ、ぬるさを感じてしまう部分があり、もったいない気がする。

    新宿伊勢丹~ジュンク堂経由で、ラピュタ阿佐ヶ谷で、CINEMA★忍法帖

    58年東宝稲垣浩監督『柳生武芸帖 双龍秘剣(545)』
    江戸城に、大名格の行列が入って行く。徳川家光(岩井半四郎)の前で、柳生但馬守(大河内伝次郎)に、柳生武芸帖について問いただす老中松平伊豆守(小堀明男)の姿がある。智慧伊豆にしても、武芸帖の存在を、但馬守に認めさせることはできなかった。柳生但馬守(大河内伝次郎)は、武芸帖などと言うものは、柳生新陰流一万三千石の家名に掛けて存在しないと言い放った。伊豆守も、松平三万石に掛けてと言い返したが、何分にも決め手となる証拠に欠ける伊豆守の詮議を、家光は打ち切らせ、伊豆守をお役罷免とした。天下の御意見番、大久保彦左衛門(左卜全)は、家光に真意を尋ね、伊豆守には徳川家のみならず、朝廷の威信を傷つけかねない柳生武芸帖の行方を充分に調べろということだと言って慰めた。伊豆守は、配下な者を集め、必ず武芸帖を奪い取れと命じた。
   前編のあらましを簡単に纏めておく・・・。
   徳川家、禁裏(朝廷)の秘密が書かれた柳生武芸帖は、徳川家武芸指南役の柳生但馬守の屋敷と、禁裏藪大納言家、鍋島藩と三部存在した。備前霞忍軍の総帥山田浮月斎(東野英次郎)は、手下の大月多三郎(三船敏郎)千四郎(鶴田浩二)の忍びの兄弟に鍋島藩が所有する柳生武芸帖の奪取を命ずる。見事奪いとるものの鍋島藩に寄ってお取り潰しになった龍道寺家の遺児夕姫に奪われる。夕姫を打ち立てて、何とかお家再興を果たさんとした龍道寺家の残党たちだが、柳生十兵衛(戸上城太郎)によって、隠れ部落を焼き討ちされ、多三郎に助けられた夕姫と共に江戸に向かう。   
  浮月斎は、藪大納言家が所有する武芸帖が大久保彦左衛門の手に渡ったと知り、それを千四郎に奪い取れと命ずる。また千四郎は大胆にも柳生但馬守の江戸屋敷に潜入し発見されるが、危ないところを但馬守の息女於季(香川京子)によって救われる。一方、但馬守も、彦左衛門の手に武芸帖一巻が渡ったことを知る。武芸帖を持っていることで、一万三千石の大名として江戸柳生家があるのだ。彦左衛門から、智恵伊豆と呼ばれる老中松平伊豆守の手に渡りでもしたらと大変なことになる。
    但馬守は三男又十郎を、柳生家秘術くノ一の術を使い、江戸にやってくると言う竜元寺家の遺児夕姫に変装させた。くノ一の術とは、歯を全て抜き、顔自体を女人の人相に作り変えると言う厳しいものであった。歯を抜かれ傷が治るまで、下女のリカ(岡田茉莉子)は、粥を自分で咀嚼して口移しで食べさせるなど献身的に尽くした。このことは又十郎にリカへの強い愛情を抱かせた。リカも同じ気持ちだったが、所詮身分の違う恋、二人の想いの成就はならず、リカはいずこへか去った。
    又十郎の夕姫への変装は成功し、彦左衛門の屋敷で舞を披露する。彦左は大層喜んだ。しかし、屋敷に忍び込んでいた千四郎は、巻物を手に逃げようとする。しかし寸での所で、又十郎が手を伸ばし、半分に千切れ二人の手に残った。又十郎は、リカへの気持ちと、権謀術数の政りごとに明け暮れ、剣の道とは程遠い父親但馬守に疑問を抱き家を出た。多三郎も、夕姫と二人で生きて行こうと、川を筏津で下って行った。そして、後編の双龍秘剣に続く

   虚無僧が歩いている。3人、5人、10人、20人と増え、人里離れた場所に集まった。柳生武芸帖を追っている隠密たちらしい。現在、柳生武芸帖の1巻と半分は柳生但馬守の手元に、半分は、山田浮月斎の元に、多三郎が手放した最後の一巻は、修験者の格好をした男女二人組の手に渡ったようだと言い、その二人組を探し出せと指令を出していたお頭らしい人間が、ふと一人多いことに気がつく。符丁を言わせ確かめ、紛れ込んでいた人間が判明する。天蓋を取らせられると千四郎だ。20対1の戦いになったが、何とか逃げおおす千四郎。
    その頃、江戸の柳生家を出て、剣の道を再び学ぼうと心に決めた柳生又十郎は、街道で舞を舞う、リカに瓜二つの娘(岡田茉莉子)を見掛ける。娘と大道芸をしている男(上田吉二郎)が、街道を歩く又十郎に声を掛け、着物の紋は、柳生家の物、柳生御本家の方と見込んで、ご一緒に旅をさせてくれないかと切りだす。柳生家にとって大事なものを自分は持っているので、五千石で将軍家に仕官できるよう口を聞いてくれないかと言う。不審に思いながらも、同行することだけは承知した又十郎は、次の宿場で、リカに瓜二つの娘まやに秘密を打ち明けられる。男は天道法眼と言う妖術使いで、妖術によって妻にさせられている。法眼は、又十郎はお前に気があるようなので、自分の体で懐柔するように言われている。まやは、又十郎に、今晩私を抱くか、さもなくば、直ぐにここから逃げてくれないかと言う。
    まやの必死の訴えに、又十郎は、まやに気があるのではなく、まやとそっくりな女を愛していたのだと告げて、尾張に旅立った。しかし、二人のやりとりは偶然同じ宿に泊まっていた千四郎が聞いていた。法眼とまやこそが、武芸帖を手に入れた二人組だと確信した。
   千四郎は、まやに又十郎を誑かせるために、女郎屋に入った法眼を探し、襲い掛かった。裸にさせても出てこない武芸帖を宿の天井裏に隠していると白状させ、宿に戻ろうとする。法眼は妖術足止め術を使い、千四郎を身動き出来ないようにする。千四郎は辛くも火遁の術で脱出する。宿に戻り、法眼たちの荷物と天井裏を探っても武芸帖の巻物は出てこない。翌日、宿場を法眼とまやが出立すると、千四郎がどこまでもついて来る。お前は何者だ?と尋ねる法眼に、昨晩忍び装束だった男だと告白し、嘘をついたらいつまでもお前に付き纏い命を奪うと言ったではないかと笑う千四郎。
   虚無僧の集団は、朝廷の藪大納言の命で、柳生武芸帖を取り戻せと言われた永井家の清姫(乙羽信子)と配下の者たちだった。千四郎は、少し前まで、まやを口説いていたと思ったら、清姫まで虜にする(笑)。清姫は、朝廷の命で武芸帖を取り戻そうと千四郎に接近していたが、千四郎を愛し始めていた。また、女だけではなく、法眼まで千四郎に惚れこみ、自分の持っていた武芸帖を使ってくれと渡す。
   みな尾張に入り、法眼は尾張柳生家に下男として潜入する。肥桶を担いだ法眼は、庭を耕す男が、尾張柳生当主、柳生兵庫介(松本幸四郎)と知らずに、声を掛ける。兵庫介は、又十郎
柳生武芸帖が何であるかを語る。徳川家が絶対的な力を持つ以前、危険な芽を摘むために、柳生一門の高弟たちは、暗殺をした。その役目は籤によって決められ、本人以外は知らない。暗殺された中には、後水上天皇(?)の第一皇子、第二皇子も含まれていた。その謀略に参加した柳生高弟たちの名が記されているのが柳生武芸帖なのだ。本来柳生新陰流は、剣を極める筈のものが、政りごとの暗部に手を染め、そのことに拠って、今の柳生一万五千石があるのだ。柳生新陰流をあるべき姿に戻すのだと言う叔父兵庫介の言葉に力強く頷く又十郎。
   十兵衛(戸上城太郎)が尾張柳生家に現れる。兵庫介の言葉で、隠れる又十郎。十兵衛は、柳生武芸帖を預かってくれと兵庫介に頼む。
    

     渋谷FACEで、後輩Sに誘われてスペクトラム・トリビュート。結成30年、解散28年だという。まだ最後の学生生活だと思うが、記憶のあった曲は、なんだかオーディオのCMタイアップで、本人たちもファンカデリック一派のような珍妙な衣装で出演していたデビュー曲だけだった。しかし、高校時代キャンディーズのバックバンドでも演奏していた懐かしいオリジナルメンバーもゲスト参加。元々ホーンセクション好きな自分には中々楽しめた。ブラスいいなあ。

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