2009年7月25日土曜日

フライパン、朝から振るうと腰に来る。

    朝から掃除をし、洗濯をし、料理を作る。冷蔵庫はいっぱいだ。野菜室にまで入れ、冷めないものは、部屋の冷房を強力にして、体験入学講師に出掛け る。留学生と言うことで、楽しみにしていたが、現れず、連絡も取れないと言う。結構他の先生方が、ドタキャンされているのを拝見していたが、自分の身に起 こるとは(笑)。まあ今日は早く帰れる方がありがたい。待機時間の90分本を読みながら待ち、帰宅。
   自宅居酒屋盛況。商売として儲かるかは別として、お客さんが喜んでいるだけで、まあいいか。

フライパン朝から振るうと腰に来る。

    朝から掃除をし、洗濯をし、料理を作る。冷蔵庫はいっぱいだ。野菜室にまで入れ、冷めないものは、部屋の冷房を強力にして、体験入学講師に出掛ける。留学生と言うことで、楽しみにしていたが、現れず、連絡も取れないと言う。結構他の先生方が、ドタキャンされているのを拝見していたが、自分の身に起こるとは(笑)。まあ今日は早く帰れる方がありがたい。待機時間の90分本を読みながら待ち、帰宅。
   自宅居酒屋盛況。商売として儲かるかは別として、お客さんが喜んでいるだけで、まあいいか。

2009年7月24日金曜日

たどりついたらいつも雨降り。

    ラピュタ阿佐ヶ谷で、昭和の銀幕に輝くヒロイン【第48弾】星由里子
    61年東宝恩地日出夫監督『若い狼(421)』
    福島特別少年院、自分がいた部屋を感慨深げに眺める川本信夫(夏木陽介)に、そろそろだぞと声を掛ける桜井光二(田中邦衛)。二人は今日出所するのだ。同室の仲間たちが声を掛ける。院長(松村達雄)から、入所時の所持金に、所内での労務報酬が渡される。
    郷里の仙台に帰る桜井と別れ、川本は、茨城の小さな炭坑街に帰る。廃坑になり、すっかり活気を失っている。翌朝、母親の好子(菅井きん)が、起こす声を無視して寝ている川本。父親は長男の孝雄と東京に出稼ぎに出たが、もう何ヶ月も仕送りが無く、幼い弟や妹が沢山いる川本家は、好子の日雇いで食べていた。
     川本は、かっての恋人の広瀬道子の家を訪ねる。道子の弟の三郎(小林政忠)は、喜んでくれたが、母のたね(三田照子)は、「あんたのせいで、道子はぐれてしまった。今年の春東京に出て行ったまま、帰ってこない」と吐き捨てる。しかし、三郎は、姉ちゃんからの手紙、見たいだろと持って来る。ただ一人川本を可愛がってくれた中学時代の恩師の北野先生も、春に奥さんと東京に行ってしまったと言う。
    川本は東京に向かう。同級生だった不良大学生福井桂一郎(鈴木和夫)に、案内して貰い、盛り場でズベ公と変わり果てた道子(星由里子)に再会する。大事に持っていた道子のセーラー服姿の写真とあまりに変わっていて、思わず「何だか薄汚れたな」と、口ばしる。福井は、ブツブツ言いながらも、狭い下宿を紹介してくれる。家賃と周旋屋に3500円掛かるからと川本のなけなしの金を取って行った。二人きりになり、あんたは、薄汚れたと言った。体を売ったけど、売るもんなんて自分しかないじゃないと言う。体は売っても、キスは許さなかったと言う道子。川本と美智子、狭い東京の下宿で、抱き合い、キスを交わす。
     どこかの組に入って売り出すのがいいと思うと道子は言うが、堅気になって出直したい川本。
しかし、保証人もない川本に仕事は見つからない。福井はしきりと、白狼組に入れと言う。坂田(西村晃)に若い乾分を紹介して、紹介料をせしめようと思っているのだ。坂田の紹介で、やっと街の小さな製本工場の仕事を見つけたと思うと、工場の組合が無期限ストライキに入っていて、困った社長が、スト破りのために雇ったうちの一人だった。組合員の吉村(佐田豊)から、何ヶ月も給料が払われず、追い込まれた労働者がやむにやまれず立ち上がったんだと懇願され、諦める。道子は、柏会の有沢芳男(飯田紀美夫)と競馬場に行く。最終レース、ヨシツネと言う馬が気になった道子は、ビギナーズラックで、三千円取った。みんなに奢ると言った道子だが、?は組合のデモに殴り込む仕事があると言って去る。道子は川本に会い、金が入ったからとデパートに誘う。最初、華やかな店内は彼らに豊かな気分を味あわせたが、彼らには想像も出来ない高価な家具や電化製品の数々は二人を打ちのめした。道子は川本に、白いマフラーを、自分には白い手乗り文鳥を買う。
  道子にいい暮らしをさせてやりたいと思いながらも、やるせない川本に、堅気になると言う自分の決意を支持してくれる道子の言葉は勇気づけた。
   考えが変わった川本は、道子からお金を借りて、入院していると言う恩師の北野(小栗一也)の所に出掛ける。奮発して200円でりんごを買って行ったが、先生の奥さん(一の宮あつ子)は、どうも郷里に帰ったほうがいいなどと及び腰だ。東京に来たばかりで、就職の面倒を見られないと言って頭を下げ、帰りの電車賃の足しにと500円札を出す北野の妻。となりのベッドの木島(織田政雄)が、取引先のパン工場で、真面目な若者を探しているので紹介すると言う。身元保証人に先生になっていただければと木島が頼むと北野夫妻は気まずそうに押し黙る。少年院を出たばかりの川本の身元保証人にはなることに躊躇するのだ。川本の目に悔し涙が浮かび、自分が一昨日少年院から出所したばかりで、昔はヒロポンでも何でも手を出した不良少年だったと告白し、病室を出る。更に500円札を返しに戻る。
   肩を落として歩いていると、突然名前を呼ばれる。桜井だ。皮ジャンを着て、懐が暖かそうな桜井は、田波一家柏会と言う組織に入ったと言う。縁日やら忙しいが、仕事がないなら来ないかと言う。堅気になろうと思うんだと言うと、そりゃいいな、でも住み込みで三千円の給料じゃ、スケと結婚できねえんじゃないか、二人で働くんだ、そうかでも、子供が出来たら、貧乏でガキがギャーギャー泣いて、悪い、自分の家を思い出しちまった。でも頑張れよ。しかし、その貧乏な家庭を想像すると自分の田舎を思い出させ、金がないことに絶望を感じる。
    歩いていると、愚連隊の連中に絡まれる。路地に連れて行かれ、ボコボコにされる川本。青島会の高野(桐野洋雄)だ、何かあったら訪ねて来いと言われる川本。結局福井と白狼会の坂田の待つ喫茶店に現れた。白狼会に参加する書面に拇印を押す川本。
   その頃、道子は、有沢にパンパンから足を洗いたいので、柏会が開くクラブ・ゴールドで働かせてくれと言う。理由を尋ねる有沢に、同棲する男が一昨日少年院から出てきて、堅気になろうと頑張っているので、自分も堅気になるのだと言う。少年院上がりと聞いて、その男を俺に紹介しろと言う。もう帰って来る頃だと言うので、歩いていると、柏会の若い衆が、白狼会に殴られているところに出くわす。有沢は割って入って、白狼会を追っ払い、クラブゴールドが開店するまでは、大人しくしていろといっただろ、これで、あいつらの思うつぼだ。出入りになるだろう。親分のところへ行って、事情を話し、組事務所から外に出るなと命令する。道子に、実は俺も年少あがりだったんだ。堅気になろうとしたが、駄目だった。そいつに、どんなにつらくてもヤクザにだけにはなるなと言っておけよ。改めて会わせてくれよと言う。
   しかし、既に、川本は、有沢にやられた白狼会の連中の仕返しに、殴り込みに行く坂田たちに同行していた。入って早々、男を上げる機会なんて、お前はついているなと坂田は言って、自分のドスを川本に渡した。クラブゴールドに向かう途中に、有沢に出くわす。多勢に無勢で、袋叩きに遭う有沢。最後に、川本は、有沢の腹を刺す。あまりにあっけなく有沢は死んだ。死んでいる。坂田たちは、焦って、車のボンネットに有沢の死体を置いて、逃げてしまう。一人、取り残され、殺した・・・とショックで立ち竦む川本。通行人たちが、有沢の死体と川本を取り囲んでいる。
  新聞記事が映される中に、川本が逮捕されたという記事がある。有沢の葬儀が盛大に行われている。弔問する坂田と、白狼会貝山一家会長の山崎十造(松本染升)の姿がある。柏会に随分儲けさせてしまったな。あの若い衆の使い方ももう少しあっただろう。そこに、福井も焼香に現れる。
  パチンコ屋で働く道子。チンピラが、玉でねえぞと言うが、入っていませんと道子。店長は、客の顔を見て、すぐに失礼しましたと謝って玉を出す。だって、入っていませんからと答える道子に、口答えするような奴はクビだと言う店長。風呂敷包みと、文鳥の入った鳥籠を下げた道子が、店から出てきて、雑踏の中をあてもなく歩く。
  川本は、護送車に乗せられ、刑務所に運ばれる。独房に入れられる時に、急に抵抗する。中で、こんなところにはいたくないと泣き叫ぶ川本。少年院を出て、三日で殺人を犯し、今度は刑務所に服役することになったのだ・・・。

   恩地日出夫の監督デビュー作。自分で書いた脚本のようだ。星由里子の不良少女役と言うことで、かなり期待したのだが…。色々盛り込み過ぎて、本当に薄っぺらくなってしまっている。尺の問題で、カットしなければならなかったのだろう。脇役陣もなかなか豪華なだけに、もったいない。まあ修作と言うことで(笑)。
   星由里子。美人は汚れの役を演じても美しいと言うか…。しかし、「二十才の設計」や「娘と私」などよりも、生き生きしていて、チャーミングだ。16才、初キスシーンだったのか・・・。

  その後、体験入学講師。4人の参加。この教室は、クーラーの効き方が悪く。風が講師に直接当たるので、どうも具合が悪くなる。机の位置を動かせばいいのだろうか。

  急いで帰宅。明日の自宅居酒屋に備えて、足りない食材を買いに出ると、いきなりの夕立的豪雨。久し振りにパンツまでずぶ濡れ。部屋の掃除、料理仕込み、

2009年7月23日木曜日

僕のマリー(笑)

    赤坂のメンタルクリニック。

    間に合わないかと思いながら渋谷へ。予告編本数が多かったと見えてぎりぎり間に合う。

  シアター・イメージフォーラムで、坪田義史監督『美代子阿佐ヶ谷気分(420)』
  寝ている美代子(町田マリー)。気怠そうに目覚まし時計を見て、11時か…もう1日休んじゃおうかな…。美代ちゃんは駄目ですね…。また眠る。起きて、何を食べよう。りんごでいい。私一人のときはいつもりんごだ。米を研ぐのもしみったれていて嫌だ。彼と別れたら、二号になろう。金持ちで、紳士で、ハゲでない男の二号だ。日が暮れるのは何て早いんだろう。謝国権の「これからのSEX」を読んでいる美代子。岡林信康の「今日をこえて」をギターのコードを押さえながら歌う美代子。「見る前に跳べ第2集」のジャケット。彼は帰ってこないのだろうか。またどこかを放浪しているのだろうか。押し入れの上の戸袋に上がろうとする美代子。MG5の瓶が転がる。

   阿佐ヶ谷の彼の部屋であたし平和よ(キスマーク)

   部屋で、服を脱ぐ美代子。ニコンで撮りながら、興奮してポーズを指示する愼一。

   ガロの1971年3月号で、安部愼一(水橋研二)は漫画家デビューした。阿佐ヶ谷で同棲する恋人の美代子との生活を描いた作品である。

  安部は、福岡県の炭坑町の田川で生まれた。子どもの頃から絵を描くことが好きだったが、ある時、永島慎二にショックを受け、漫画家を志して東京に出て来た。
 
    「今日、店出るのか?」美代子を押し倒す。「眠ることが恐ろしい?」「お客さんで、ガロとあんたのこと知っているお客さんがいたわ。」「話したのか?」「いいえ、出版社の人・・・。」

   「悪友 川本研二」と書かれた原稿用紙がある。美代子とは高校の夏に、新聞部の川本賢治(本多章一)を介して知り合った。川本も小説家になろうと上京している。

   「トルコが稼げるらしい。」「わたし、セックス下手だし・・・。」
  
   原稿を持って、川本の部屋に行く愼一。「書きあがったんですね」と川本。「やっぱり来たんだ」と友人の池田溺(松浦祐也)。ビー玉を持っている。これはこうやって見るんですと、ビー玉を窓の外の日の光に当てる。「シュールレアリスムやー」と池田。

   スナックたんたん、カウンターの中に美代子がいる。連れの女がトイレに行った隙に、「一人なんやろ・・」と声を掛ける男。「ママ、もうすぐ来るよ」と美代子。別の男が入ってきて、「今日一人?」「ママ遅くなるって」「なんや、旦那がおったんや・・」「旦那はいてへん・・」と美代子。

    公園で、美代子の友人の真知子(あんじ)の写真を撮る愼一。「コート脱いでみようか」と声を掛けて断られるが、その後二人で飲んでいる。「君をモデルに書きたくてね。体験したことしか書けないんだ。」二人の会話を聞きながら、共同便所の朝顔に吐いている川本。

   夜遅く帰宅したが、一人で天井を見上げている美代子。

   翌朝、真知子のベッドに、裸の愼一と真知子の姿。「君は、誰とでも寝るのか?」と愼一。答えず、愼一の頬を殴る真知子。まとまったお金を出し、殴り賃と言う真知子。「美代子には内緒よ。安部君、他で儲けなさい。お金のない男は駄目よ・・・。」「僕は漫画家になりますよ。」

   傘を借りて下宿に戻る愼一。「編集部に行って、ヤクザかポルノを書いて来いと言われた・・・。前借して、上着のポケットに入っている。新宿から歩いてきた。」机の上には、サガミのコンドームの箱が置いてある。

   ガロ編集部。ピストルという作品。編集者の松田(佐野史郎)に「絵のモデルは、彼女の美代子です。僕は絵に自信がないので、写真に撮ってから書いています。」

   居酒屋で向かい合う愼一と松田。「安部さんは甘えているんですよ。」「何に甘えているんですか?」「・・・青春にかな・・・。」「俺ばっかり抱え込んで・・・。」「青春は発見ですよ。体験なら二つが限界ですよ。」ふいに、カウンターに座っていたやくざ風の男(飯島洋一)、突然怒り始める。

  名曲喫茶、クラシックが掛かっている。女(しまおまほ)の胸を触ろうとして拒絶される男(杉作J太郎)。真知子と話している美代子。話していると、「お静かに」という紙をテーブルに置かれる。あたしんちに来ないと誘い、コーヒー代を二人分払う真知子。真知子の家、「最近誰か来た?」と真知子に尋ねる美代子。真知子は否定するが、美代子は何か気付いたようだ・・・。

   ガロ編集部。「松田さん。この安部っていいのかね。」と編集長(林静一)。「今度特集してみますか、松田さん。漫画はね、ただただ面白ければいいんだ。」「いいんですかね?」と松田。編集部に来ていた三人の男(つげ忠男、シバ、原マスミ)肯く。

   愼一、池田の下宿を訪ねる。「殴られたらしいね」と愼一が尋ねると、「来るような気がしていたんだ。」と池田。電気を止められているのかランプの灯り。さっきまで作っていたものを愼一に差し出して、「これ、玉子酒、飲んで、飲んで。」と勧める池田。躊躇うが飲んで、美味いと愼一。うれしそうに「そうだろ。普通は病気になった時に飲むもんだけど、気合をいれるためにいつも飲んでいるんだ。」と池田。待たされている間に、時計や火薬があって、爆弾を作っているような池田。「さっき、来るような気がしていたんだといったろ。実は君が来る夢を見ていたんだ。夢はこれから起きることを見せてくれたりするんだ。」と夢の話をする池田。池田と、愼一は、煙突のテッペンに立っている。

   阿佐ヶ谷書房で、安倍愼一特集のガロを買う美代子。いつもコロッケ三コを買う総菜屋で、嬉しそうにメンチカツもと言う美代子。雨が降り出す。愼一は帰ってこない。彼はどこへ行ったのかな・・・。
置いてある新聞に、派出所ツリー爆弾の記事が出ている。

   川本の下宿に来る美代子。「ごめんなさい。」「どうしたんですか・・。上がって下さい。」「私の友達が四ツ谷に住んでいるんです。そこにいっているんじゃないか思うんです。」「男の友達ですか・・・。」「この部屋いい部屋ですね、お酒が飲みたくなるような。」「お酒のほうがよかったですか。」「川本さん小説書いてる?」「すこしずつ書いてます。」「頑張ってね。」

   「本当に何もないのね、川本さんの部屋。」「美代子さんは浮気しないんですか?」「川本さん、コロッケ食べませんか?」

   「あれから美代子と寝た?」と尋ねる真知子に、「いや」と答える愼一。「それじゃ、一人でしていたの?教えてどうやってするの?」

   「私ここにいてもいいですか?」と美代子。川本、膝の上のこぶしを握り締めて、「安部さんは、四ツ谷にいます・・・。」

   服を脱ぐ真知子。自分のことは自分でするからと愼一。

   コロッケを食べながら泣く川本。

   裸の真知子の前で、自涜する愼一。そこに美代子が泣きながら現れる。「きさん!!」博多弁で愼一をののしる美代子。二人を見ながら、笑って手を叩く真知子。
   
   「昨日、美代子さんが来た」と川本。「彼女もなかなかやるな」と愼一。「相変わらず、シビアーなことをやっているんですね。安部さんは」「シビアーってどういうこと?」「過酷ということです。」



    美人か不美人か微妙な町田マリーは、70年の中央線阿佐ヶ谷で、売れない漫画家との同棲相手にぴったりで、なかなか好演。どこかに、体当たりでと書いてあった記憶があるが、毛皮族の体当たりと言うか、体を張った涙なしでは見られない芝居を何度も見ていると、とてもそんな気はしない。
   ロケとか、かなり頑張っている。二つだけ妙に気になったのが、MG5のボトルが転がるシーンだ。バーコードがある。個人的な思い込みだと思うが、バーコードは80年代に急速に広がったイメージがあるのだが・・・。もうひとつは、真知子の家から持ってきた赤い傘。ありゃ、絶対1990年以降の海外生産品だ。ジャンプ傘だし。

   池尻大橋と五反田で打合せ2件。

2009年7月22日水曜日

睡魔と終日。

    今日も朝から、エンタメ専攻1年生のスキルアップ講座。昨日の反省を元に、少し早く家を出ると、8時45分にはついてしまった。昨日の酒が残っている訳ではないが、眠い。誠に眠い。

   ラピュタ阿佐ヶ谷で、武満徹の映画音楽
   62年勅使河原プロ勅使河原宏監督『おとし穴(418)』
   北九州の廃坑になった炭住から、外を窺い、息子(宮原カズオ)を抱きかかえて夜逃げする男の姿(井川比佐志)がある。ボタ山に住み着いた野犬の吼える声が、地獄の底から響いてくるようだ。男は、仲間(大宮貴一)と、ひとのよいある百姓(松尾茂)を騙し、裏山に石炭の鉱脈があると言って、金は石炭が出てからでいいので、飯だけ食わして貰うことになった。離れた墓地から望遠レンズを使って、男の写真を撮る姿がある。
    出やしない石炭の話にも限界があるので、男と息子、仲間の三人は港湾都市に出る。口入れ屋と下宿を兼ねた労働下宿に潜り込む。今まで、小さな炭坑を渡り歩いてきた男は、組合のあるような大きな炭坑で働きたいと思っていたが、石炭不況の今、小さい炭坑は潰れ、大きなところも人員削減の真っ最中だ。港で、馴れない石炭荷役をしている男と仲間の男。
    ある日、男が港から帰ると下宿屋のオヤジがあんたにいい話があると言って、翌朝行くようにと、炭坑への地図を渡す。男が喜び勇んで出掛ける道すがら、あの男の写真を撮っていた男(田中邦衛)が現れ、男を殺す。男は気がつくと、目の前に自分の死体が倒れているのを見下ろしている。殺人者は、近くの駄菓子屋の女に金を渡し、警察から尋ねられたら、34、5歳の炭坑夫のようでした。頭に丸いハゲがありましたと偽証するように命じて、大金を女に渡した。
to be continued.

    61年岩波映画製作所/新東宝羽仁進監督『不良少年(419)』
    to be continued.

2009年7月21日火曜日

1時限目の初講義。

9時20分から12時半まで、エンタメ1年生のスキルアップ講座。余裕見て行くつもりが、ギリギリに。朝の通勤イメージが完全に消去されていて失敗。彼らに来年早々自主企画イベントを作らないといけない。学校って休みやら試験期間が多いんだなあ。

ラピュタ阿佐ヶ谷で、武満徹の映画音楽
60年松竹大船篠田正浩監督『乾いた湖(417)』
ゴミが浮くヨットハーバー、下条卓也(三上真一郎)と北村節子(炎加世子)が水着姿でキスをしている。どうも夕陽ってやつは哀しい気分にさせるなと呟いて、節子に冷やかされる下条。沖のヨットでは、枝村美代子(九条英子)の膝を無理やり開こうとする今井浩之(竹田公彦)、今流行りの膝遊びも飽きたなと、ヨットの持ち主で、木原財閥の跡取り息子の木原道彦(山下洵一郎)がいい、今度は君の番だと言って、桂葉子を指名した。葉子は嫌ですと断る。海に突き落とされる今井や品田哲春(林洋介)。みな文京大学(東大か?)の大学生である。
別荘の風呂に、美代子、今井、太田咲子(冨永ユキ)、品田たちが、混浴している。居間の木原が葉子に君はお風呂に入らないの?と尋ねる。ジャズのレコードが掛かっている。踊りましょうと葉子。道彦と踊っていると、女中が、桂さまと言う方にお宅からお電話がと取り次ぎ、電話に出る葉子。「はい、お友達の美代子さんと一緒です。えっ……、これから帰ります」道彦が運転する車の助手席に葉子の姿がある。後部座席の今井と美代子は濃厚なキスをしている。道彦が急ブレーキを踏み、葉子を抱き寄せる。葉子は、今は待ってと叫ぶ。父が自殺したの…。
葉子の父の桂孝作は、農産後者で部長をしていたが、農産汚職で、政党方面に累が及ぶのを防ぐために詰め腹を切らされたのだ。今回救われただろうと噂される保守党の大物代議士、大瀬戸(伊藤雄之助)も弔問に訪れた。父が亡くなり、母のあき(沢村貞子)、姉のしづえ(鳳八千代)と葉子の女三人となった。

    うう、砂川事件、60日米年安保の時代の学生紛争、太陽の季節の時代の、無産学生の屈託。どうも煮え切らない感想を持ってしまう。だれもが、屈託を持つ世代で、時代性と言うよりも、成長期の通過儀式かと考えがちなのは、年をとったせいか(笑)。

    新宿でプリンターのインクを買い、六本木アークヒルズでN氏とすり合わせして、元会社の同僚たちに企画プレゼン。
    その後、系列のデザイン会社に行き、打合せをして、夜は外苑前の喜々で会食。明日も朝早い、早く帰る気持ちは充分だったが、では後一杯で最後と言っているうちにエンドレスに。ベロベロで帰る。

2009年7月20日月曜日

努力をしないといけないのか・・・・。

     神保町シアターで、没後四十年 成瀬巳喜男の世界
     39年東宝東京成瀬巳喜男監督『まごころ(416)』
     出征兵士を見送ったのだろう。駅から軍服姿の在郷軍人会や割烹着姿の大日本愛国婦人会が行進している。解散地点で、銀行家で市会議員の浅田敬吉の夫人(村瀬幸子)が、婦人会の会員と打合せの段取りをしている。二人連れの主婦は、浅田さんは、学生時代から浅田家から支援を受け、婿入りしたのだ、さすが奥様もテキパキしていると噂をしていると、セーラー服の少女が二人通る。あちらがご令嬢よと言う。
    浅田信子(悦ちゃん)と長谷山富子(加藤照子)は、とても仲がいい。6年生1学期の終業式で貰った通知表のことで話している。富子が一番になったが、信子は随分と下がって10番になってしまった。親に見せたくないなあと言う信子に、怒られる?と富子が尋ねると、お父さんはそんなに怒らないけど、お母さんはとっても怒るだろうと言う。
     富子は帰宅し、祖母(藤間房子)と母の鳶子(入江たか子)にあります通知表を見せる。信子が10位まで落ちてしまい。お父さんは怒らないが、お母さんに怒ると心配していたと何でも話す富子。母の鳶子は、夫を早く亡くし、着物仕立ての賃仕事で、祖母と富子の3人の生計を立てていた。
     一方、信子は帰宅し、女中に母親に来客中なことを知り、どのタイミングで話をしようか窺っている。婦人会の会員が帰り、籐の安楽椅子に座った母を後ろから目隠しし、上に乗ったり甘える作戦だ。ママ怒らない?と言って通知表を見せると、がっかりしながらも、水谷先生の時はずっと一番だったのに、下がったのは今の岩田先生の教え方が悪いのじゃないかしら、お父様に報告した上で?先生にご相談しにいくと言い出す。信子は、岩田先生はとってもいい先生で、大好きだと言うが、聞く耳を持たない母。
  銀行で敬吉(高田稔)が、骨董屋の持ってきた日本刀を見ている。では、明日手に入ると言うものを持ってきてくれたまえ。あちらであれば、ぜひお気に召すと思いますと帰っていく。 そこに女事務員が奥様がお見えですと言うので、応接室に通す。わざわざ仕事場までくるなんて何か起こったのかいと尋ねると、通知表を見せる。どれどれ、成績は少し下がったが、体格はぐんとよくなったから、とんとんというところか、悪くないじゃないかと言う夫に妻は不満顔だ。悪くないじゃありません水谷先生の時は1番だったのに、10番だなんてというと、水谷さんは、とかく噂のあったから、この位が実力相応じゃないのか、お前も、外向きの用事がこのところ多かったから、しばらく家にいてちょっとネジを巻いた方がいいんじゃないかと言う。
   家で、ピアノを弾いている信子。母親は岩田先生(清川荘司)のところに出かける。うちの主人は銀行やら市会やら忙しいので、私が参りましたが、今回の通知表を見て、学校での信子の様子を聞いてこいと申しましてと、夫のせいにする。「非常に明るくて利発なお子さんです。その性格はお宅の環境の賜物だと思います。しかし、一面、わがままで気まぐれなところがあります。いままでは、勉強をしなくてもいい成績を取れていたのが、6年生くらいになると、多少は努力をしないと成績は下がっていきます。努力をする習慣をつけないと、このあと我儘、気儘、偏狭という性格になってしまうのではないかと心配しているのです。」「前の水谷先生の時はずっと一番だったものですから・・・」「それは、私も経験豊富な水谷先生の後任では荷が重いと校長先生には申し上げたのですが・・・」「1等はどなたですか?」「長谷山冨子という娘です。」「長谷山の・・・。あのうちには、確か片親ですね・・。」「そうです、母親と祖母の三人暮らしですが、素直で、真面目にコツコツと努力をする。他の生徒の模範となる素晴らしい子供です。しかし、長谷山さんとお嬢さんはとても仲がいい。正反対の性格なのにあんなに仲がいいのはいいことなので、お嬢さんには、長谷山さんを見習ってほしいと思っています。お嬢さんだけでなく、生徒たちみんなに見習ってほしいと思っています。」長谷山という名を聞いて、少し動揺したような母。「では、このままでは、うちの信子は、不良になってしまうということですね。」「いや、不良になると私は言っておりません。誤解なきようお願い致します。そのあたりは、大きな問題となりかねませんので、一度、お父さんのところに、ご説明申し上げに伺わせて致します。」これでは、藪蛇だ。慌てて、「先ほども申し上げましたが、主人は何かと忙しいので、内向きは私に任せられておりますので・・・。」と打ち切った。   
   その夜、信子が眠ってから、妻は夫に、「何でも一番になったのは、お蔦さんの娘ですって。」「蔦子さんの娘か・・。そりゃそうだろう。」「ひょっとして、あなたは。今でもお蔦さんに想いを残している証拠じゃありませんか。」見当違いの嫉妬に泣き出す妻に、やれやれと嫌な顔の敬三。しかし、実は、二人の夫婦喧嘩を信子は聞いていた。
   翌日、校庭の雑草取りを6年生の女子たちがしている。信子は、鎌でどんどん切っていくが、途中で飽きて、富子の所に行く。「富子さん、随分遅いのね。私はあんなにやったわ。きっと富子さんは、そんなに小さい小刀を使っているからだわ。一度、小刀と鎌を取り換えてやってみるといいわ。私あなたに話したい、面白い話があるの。」
   すると岩田先生が、やってきて、「いや、遅いんじゃない。瀬戸山さんは、丁寧に根っこも含めて抜いている。ところが、浅田さんは、早いが、土から上に出ている葉っぱの部分だけを刈っているので、明日にでもまた葉っぱが出てきてしまうのだ。しかし、遅すぎるのもよくないので、瀬戸山さんの丁寧さと、浅田さんの速さのそれぞれ、いいところを合わせた仕事をしようね。では、一旦休憩だ。」富子も、信子も、素直にはーいと返事をする。信子は冨子を、校舎の裏に連れていくと、「あなたのおかあさんと、わたしのおとうさんは、むかし結婚しようと思っていたらしいの。」「絶対違うわ、私には死んだけれどお父さんはいたし、あなたにおかあさんはいるじゃないの。」「そんなことじゃないわ、私たちが生まれるよりもずっとむかしのことよ。」「そのくらいはわたしにだって、わかっているわ。おかあさんは、おばあさんの娘ですもの。そんな馬鹿なことを誰から聞いたの?」「夜、おとうさんとおかあさんが私の成績のことで喧嘩していたの。そのときおかあさんが言ったわ。おとうさんも、おかあさんも私が眠っていると思っていたみたいだけど、私は起きていて、聞いてしまったの。」何か、自分の知らない母の秘密を聞かされたような気がして、富子はシクシクと泣き出す。それを見て、信子も泣きだす。
  富子は、家に帰り、仕立ての仕事をしている母を寝そべって見ている。「ああ、つまらないなあ。うちにはおとうさんがいないもの・・・・。」そんなことを言うことのない富子の発言に驚いて、母は「どうしたの?」と尋ねると、「信子さんのうちは夫婦喧嘩というものをするんですって。信子さんが、昔、信子さんのお父さんと、私のお母さんが、好き合っていたっていうの。」「誰がそんなことを言ったの?」「信子さんのお母さんが、夜お父さんにそう言って、喧嘩をしていたらしいの」鳶子は、「敬さん・・・・」と思わず口に出していた。その呼び方に子供ながらに何物かを感じた富子は、「もういいわ、お母さんなんて大嫌い」と言う。鳶子は「ちょうどいい機会だから話しておくわ。お母さんは、信子さんのお父さんと、遠い縁続きだったの。だから知り合いだったの、昔のことよ。」「そうなの、お母さんは、お父さんのことを好きだった?」「結婚したら、夫に尽くすのが妻の努めよ。」「でも、信子さんのおうちは、喧嘩をするわ。お父さんはいい人だった?」「とってもいい人だったわ。」
   そこに、外出していた祖母が帰ってくる。「子供にそんな嘘をついちゃいけない。私はいつか富子に本当のことを言おうと思っていた。まだ、富子は小さいが、いい機会だから、お婆ちゃんが、本当のことをはなしてやる。」「お母さん、止めてください」と鳶子が言っても、祖母は聞かず、「富子そこにお座り。あんたのお父さんは、大酒のみの暴れん坊のろくでなしだった。だからお母さんはとっても苦労して、お前を育てたんだ。私が、別れなさいと何度言っても、結局富子が可哀そうだからと、家に戻って行った。働きもしないろくでなしのために、おかあさんは暮し向きが大変だった。だから、私はあの男が死んだ時には、ほっとしたんだ。」
    初めて聞いた父親の話が、あんまりなので、飾られている父親の写真を見て、富子は泣いた。お婆ちゃんは、「泣いていないで、川に水浴びでもしておいで。」と言った。冨子は、水着に着替えて川に行く。顔を洗って、河原でぼーっとしていると、信子がやってきた。「富子さんも来ていたの?私もお父さんと来ているの、あそこで釣りをしているわ。」富子は、母親に信子から聞いた話をしたと話した。祖母から聞いた父親の話はしなかったが・・・。「信子さん、私が1番っていっても、信子さんが勉強したら、すぐに一番になるわ。」「面倒くさいのよ、泳ぎましょう!!」川に入る二人。しかし、川の中にガラスでもあったのか、信子は足を切ってしまう。河原に上がって見ると血が出ている。「家に戻って、薬と包帯を取ってくるわ。」というと、富子は家に走った。

   二人の少女の伸び伸びとした演技が素晴らしい。二人の子供を介して、かって思い合っていたが別々の相手と結婚したが、必ずしも幸せになれなかった男女を婉曲的に上品に描いている。父親の出征と送る女たちで、終わることで終わるが、国威発揚感というよりも、市井の生活のリアリティが、この映画を落ち着いたものにさせている気がする。1時間前後の小品だが、なかなか味のある映画だ。


   体験入学の講師、女子二名一人は一度来た子じゃないか(笑)。同じところでアーティスト名忘れ、小笑い。待ち時間で明日、明後日の一年生へのスキルアップ講座のレジュメをコピー。

   それから渋谷に出て散髪、渋谷東急東横、新宿東急ハンズ、週末の自宅居酒屋の仕入れ。調子に乗ってジュンク堂へ。

2009年7月19日日曜日

若いという字は苦しい字に似てるわ。

   神保町シアターで、没後四十年 成瀬巳喜男の世界
   50年新東宝/藤本プロ成瀬巳喜男監督『石中先生行状記(413)』
   第一話隠匿物資の巻。弘前の町、電器屋の主人の中村金一郎(渡辺篤)が、スコップを持ち出掛ける。河野勇三(堀雄二)を連れ、石中先生(宮田重雄)の所に行く。石中先生は、本当にガソリンの入ったドラム缶が埋まっているのかい?東京にいる家内は娘の縁談が決まっているので、新聞に出るような変なことはしないでくれと言って来たが、大丈夫だろうねとのんびりした口調で尋ねる。中村は、そりゃもう、埋めた本人の河野君が言うんだから間違えありません。終戦直前に憲兵隊が、60人の兵隊を使って埋めたドラム缶460本ですよ。何に使うんだと尋ねる石中に、ちゃんと届けて、謝礼の一割だか四割だかを貰って、中古車を買って、友人全員を乗せて、どこまでも走ってやりますと中村。ライターのガソリンを僕にくれと石中。河野は、私は石中先生には初めてお目にかかりますが、従兄の木戸庄吉は、よく先生を存じ上げていて、何でも中学3年の時に、サーカスの女に熱を上げて家出をし、停学処分を食らったとお聞きしています。石中は、ん?木戸庄吉くん?そんなこともあったかなあと言う返事だった。
    中村は、石中と河野を連れ、ドラム缶が埋まっている筈の農家の山崎(進藤英太郎)のところに行く。河野は、山崎の一人娘のモヨ子(木匠久美子)が好きなようで、いきなりこの前頼まれていた美容クリームだよとプレゼントする。とりあえず畑に出て、河野くん鼻を利かせてくれ。ここ掘れワンワンと言う調子で、問い詰める中村。確かに佐藤少尉の指揮で、このあたりに埋めた筈ですが…と自信なさげな河野。何か匂わないか?ん?臭い!肥溜めの臭いだ。今朝、あっちの畑に堆肥を撒いたと山崎。
    とりあえずこのあたりかということになり、石中先生摘発隊と立て札を立て、石中が最初にツルハシを振るう。金属に当たった鈍い音がして色めき立つみんな。ドラム缶に穴を開けてしまうといけないと、中村は、河野と注意深く掘っていく。するとドラム缶でもなんともなく、小さな空き缶だった。ツルハシを石中は、3回振るうと疲れて昼寝を始める。中村も河野も疲労困憊だ。モヨ子が昼ご飯だと声を掛けに来る。酒も出される。
    山崎が、娘のモヨ子が去年のコンクールで一等を取った踊りを見てくれと言う。渡世人姿で出て来たモヨ子は、国定忠次を踊る。河野は拍手喝采だ。慣れない力仕事で疲れた中村は、高鼾で眠り始める。石中は、モヨ子さんは一人娘ですかと尋ねると、山崎は婿取り娘ですと答え、ドラム缶掘りは、皆さん大変でしょうから、自分がやりますよ、もちろん独り占めしようなんて料簡ではなく、出て来たらいち早く皆さんにご連絡いたしますからと言う。
    その頃、山崎のりんご園では、河野とモヨ子が語りあっていた。河野は、前回中村とここに来た時に、喉が渇いてりんごを貰えないかと声を掛けて、優しくしてくれたモヨ子に一目惚れをしたことと、ガソリンの話はみんながお前は手伝っただろと言われ、否定できなくなったので、実は埋めた場所も、埋めたかどうかもわからないと告白した。欲の皮が突っ張ったお父ちゃんはその気になっているけど、嘘だったのねと言う、しかし、モヨ子も河野を憎からず思っていて、二人の話を立ち聞きした石中が姿を表して、嘘だったんだねと言うとこの人をいじめないでてと立ちはだかった
    第二話仲たがいの巻。ヌードレビューのポスターが貼られてあり、石中と中村が見入っている。そこに通りかかった山田まり子(杉葉子)が、何を見ているのだろうとポスターに目をやり、不快そうな表情になって通り過ぎる。まり子の父の武造(藤原釜足)が営む山田書房に、木原亀吉(中村是好)が来ている。古本を一冊買う。すると、武造が声を潜め、ポスターを見せる。ヌードレビューのポスターだ。酷いもんですな青少年に決して見せてはいけないものだ、自分らの子供たちには絶対見せたくないと亀吉が言うと、武造は、実はチラシを一枚貼ってくれと切符を二枚置いていった。私は触るのも穢らわしいので、切符を破ってすてようと思っていると武造。すると、いくら風助良俗に反する物とは言え、ものを棄てると言うのはいかがなものか、どんなに酷いものなのかを我々が確認をして検討することはいいのではないか、我々が検察官を務めると言うことですな。今日の一時からであれば、ちょうどいい、一緒に行きましょうと相成った。
真ん中に座っていると、ダンサーがラインダンスをしているときに、ハイヒールが飛んで、武造の頭を直撃する。
   第三話干し草ぐるまの巻


  成瀬巳喜男らしくないと評価はあまり高くない映画だが、男のスケベ心を全く肩に力を入れずに笑えるテンポのいい第二話と、何よりも若水ヤエ子の明るさがいい第三話が楽しめた。堀雄二、池部良、三船敏郎とイケメン三人、もう少しだなあ。

   体験入学の講師、男子一人と女子が二人。どうしても、目の前に座っている女子を見る時間が長いんじゃないかと気になる(苦笑)。

     池袋新文芸坐で、本当に面白かった日本映画たち。
     60年松竹大船大島渚監督『太陽の墓場(414)』
     寄せ松(伴淳三郎)の娘の花子(炎加世子)は、大阪港湾地区で元衛生兵の村田(浜村淳)を使って売血をやっている。一人300円。人集めはヤス(川 津祐介)やポン太(吉野憲治)が担当し、このあたりをシマにしているヤクザ大浜組(清水元)や愚連隊の信栄会の信(津川雅彦)の目を盗んでの大胆なシノギ だ。花子に使われているのも嫌気がさしたヤスとボン太、タケシ(佐々木功)は信栄会の仲間に入れてもらいに行く。
    ドヤ街に、帝国陸軍の元 士官だったと言う動乱屋(小沢栄太郎)が現れた。食うものもすむところもないくせに偉そうに、来たる対ソ戦のための武装資金が必要だと言う動乱屋を仲間に 入れ、父親の寄せ松のドヤに住まわせてやる花子。しかし、弁舌巧みな動乱屋は、寄せ松の手下だった桂馬と香車や、村田を手懐け、売血のシノギを乗っ取って しまう。タケシは、さらってきた女たちに売春をさせている信栄会のシノギがどうも好きになれない。直ぐに逃げ出して食堂の店員になるが、信栄会の副会長マ サ(戸浦六宏)や竜(松崎慎二郎)たちに見つかり、愚連隊を抜けることは出来ないと袋叩きにあう・・・。

     60年松竹大船大島渚監督『青春残酷物語(415)』
女子高生の新庄真琴(桑野みゆき)は、友人の石川陽子(森島亜紀)と遊んだ帰りに、外車を運転する中年の紳士に声を掛け、家まで送って貰うことでスリルを味わっていた。
しかし、その夜声を掛けたパッカードを運転する中年男(山茶花究)は、陽子を降ろした後、どこかで食事でもしないかと誘って来て、強引にホテルに連れて行こうとする。抵抗する真琴の唇を奪い、力が抜けたところに、大学生の藤井清(川津祐介)が現れ、男を殴りつけ、警察に行こうと言うと、男はそれだけは勘弁してくれと言って金を置いて逃げ出した。
   数日後、中年男が置いて行った5千円を使ってしまおうと、二人は待ち合わせた。ニュース映画館で、韓国での学生紛争の場面が流れる。映画館から出てきた藤井は、映画を見るのかと思ったわと言う真琴をタイミングが合わなくてと答える。街はメーデーのデモが行われている。ジグザグデモをする学生たちの中の伊藤好巳(田中晋二)に声を掛ける。伊藤は全学連のビラ配りをしている女と付き合っているのだ。木場をモーターボートで楽しむ二人。しかし、海に浮かぶ材木の上を歩いていると、藤井は豹変する。真琴に強引にキスをし、結局君たちは、男への興味やセックスへの好奇心で、金持ちの中年男たちに声を掛けて楽しんでいるんだろう。そんなに関心があるなら教えてやるぜと、真琴に抱きついた。真琴が激しく抵抗すると、海に落とす藤井。泳げない真琴が溺れそうになり、抵抗する元気も無くなったところで、引き上げ、抱きかかえる藤井。材木の上で、真琴は、女になった。裸の藤井が海に飛び込み、上がってくると、真琴は、私を嫌い?嫌いだからあんなことをしたの?と問い掛けた。藤井は好きだよと言って、君だけでない色々なことに腹を立てていたんだと言ってキスをする
   その後、藤井は馴染みのバー黒猫に真琴を連れて行く。そこには、愚連隊の男たちがいる。樋上功一(林洋介)寺田登(松崎慎二郎)ともう一人(水島信哉)。彼らは、真琴が席を外した隙に、藤井に、これからコマすのか?と声を掛ける。もう済ませたところさと藤井が答えると、捨てるならこっちで引き取るぜと言う。真琴は、また会ってくれと言って、一人暮らしの陽子の家の電話番号を藤井に教えた。店を出たところで、別れるつもりだったが、愚連隊の3人も店を出て来たのを見て、家まで送ると言う藤井。自宅の最寄駅で、真琴の姉の由紀(久我美子)に出会う。

藤井清(川津祐介)新庄新庄正博(浜村淳)坂口政枝(氏家慎子)伊藤好巳(田中晋二)西岡敏子(富永ユキ)秋本透(渡辺文雄)吉村茂子(俵田裕子)下西照子(小林トシ子)堀尾敬三(二本柳寛)津田春子(堀恵子)松本明(佐藤優)刑事(土田圭司、園田健二、宮坂将嘉、佐野浅夫)パッカード(山茶花究)マーキュリーの男(森川信)シボレー(春日俊二)