2009年7月20日月曜日

努力をしないといけないのか・・・・。

     神保町シアターで、没後四十年 成瀬巳喜男の世界
     39年東宝東京成瀬巳喜男監督『まごころ(416)』
     出征兵士を見送ったのだろう。駅から軍服姿の在郷軍人会や割烹着姿の大日本愛国婦人会が行進している。解散地点で、銀行家で市会議員の浅田敬吉の夫人(村瀬幸子)が、婦人会の会員と打合せの段取りをしている。二人連れの主婦は、浅田さんは、学生時代から浅田家から支援を受け、婿入りしたのだ、さすが奥様もテキパキしていると噂をしていると、セーラー服の少女が二人通る。あちらがご令嬢よと言う。
    浅田信子(悦ちゃん)と長谷山富子(加藤照子)は、とても仲がいい。6年生1学期の終業式で貰った通知表のことで話している。富子が一番になったが、信子は随分と下がって10番になってしまった。親に見せたくないなあと言う信子に、怒られる?と富子が尋ねると、お父さんはそんなに怒らないけど、お母さんはとっても怒るだろうと言う。
     富子は帰宅し、祖母(藤間房子)と母の鳶子(入江たか子)にあります通知表を見せる。信子が10位まで落ちてしまい。お父さんは怒らないが、お母さんに怒ると心配していたと何でも話す富子。母の鳶子は、夫を早く亡くし、着物仕立ての賃仕事で、祖母と富子の3人の生計を立てていた。
     一方、信子は帰宅し、女中に母親に来客中なことを知り、どのタイミングで話をしようか窺っている。婦人会の会員が帰り、籐の安楽椅子に座った母を後ろから目隠しし、上に乗ったり甘える作戦だ。ママ怒らない?と言って通知表を見せると、がっかりしながらも、水谷先生の時はずっと一番だったのに、下がったのは今の岩田先生の教え方が悪いのじゃないかしら、お父様に報告した上で?先生にご相談しにいくと言い出す。信子は、岩田先生はとってもいい先生で、大好きだと言うが、聞く耳を持たない母。
  銀行で敬吉(高田稔)が、骨董屋の持ってきた日本刀を見ている。では、明日手に入ると言うものを持ってきてくれたまえ。あちらであれば、ぜひお気に召すと思いますと帰っていく。 そこに女事務員が奥様がお見えですと言うので、応接室に通す。わざわざ仕事場までくるなんて何か起こったのかいと尋ねると、通知表を見せる。どれどれ、成績は少し下がったが、体格はぐんとよくなったから、とんとんというところか、悪くないじゃないかと言う夫に妻は不満顔だ。悪くないじゃありません水谷先生の時は1番だったのに、10番だなんてというと、水谷さんは、とかく噂のあったから、この位が実力相応じゃないのか、お前も、外向きの用事がこのところ多かったから、しばらく家にいてちょっとネジを巻いた方がいいんじゃないかと言う。
   家で、ピアノを弾いている信子。母親は岩田先生(清川荘司)のところに出かける。うちの主人は銀行やら市会やら忙しいので、私が参りましたが、今回の通知表を見て、学校での信子の様子を聞いてこいと申しましてと、夫のせいにする。「非常に明るくて利発なお子さんです。その性格はお宅の環境の賜物だと思います。しかし、一面、わがままで気まぐれなところがあります。いままでは、勉強をしなくてもいい成績を取れていたのが、6年生くらいになると、多少は努力をしないと成績は下がっていきます。努力をする習慣をつけないと、このあと我儘、気儘、偏狭という性格になってしまうのではないかと心配しているのです。」「前の水谷先生の時はずっと一番だったものですから・・・」「それは、私も経験豊富な水谷先生の後任では荷が重いと校長先生には申し上げたのですが・・・」「1等はどなたですか?」「長谷山冨子という娘です。」「長谷山の・・・。あのうちには、確か片親ですね・・。」「そうです、母親と祖母の三人暮らしですが、素直で、真面目にコツコツと努力をする。他の生徒の模範となる素晴らしい子供です。しかし、長谷山さんとお嬢さんはとても仲がいい。正反対の性格なのにあんなに仲がいいのはいいことなので、お嬢さんには、長谷山さんを見習ってほしいと思っています。お嬢さんだけでなく、生徒たちみんなに見習ってほしいと思っています。」長谷山という名を聞いて、少し動揺したような母。「では、このままでは、うちの信子は、不良になってしまうということですね。」「いや、不良になると私は言っておりません。誤解なきようお願い致します。そのあたりは、大きな問題となりかねませんので、一度、お父さんのところに、ご説明申し上げに伺わせて致します。」これでは、藪蛇だ。慌てて、「先ほども申し上げましたが、主人は何かと忙しいので、内向きは私に任せられておりますので・・・。」と打ち切った。   
   その夜、信子が眠ってから、妻は夫に、「何でも一番になったのは、お蔦さんの娘ですって。」「蔦子さんの娘か・・。そりゃそうだろう。」「ひょっとして、あなたは。今でもお蔦さんに想いを残している証拠じゃありませんか。」見当違いの嫉妬に泣き出す妻に、やれやれと嫌な顔の敬三。しかし、実は、二人の夫婦喧嘩を信子は聞いていた。
   翌日、校庭の雑草取りを6年生の女子たちがしている。信子は、鎌でどんどん切っていくが、途中で飽きて、富子の所に行く。「富子さん、随分遅いのね。私はあんなにやったわ。きっと富子さんは、そんなに小さい小刀を使っているからだわ。一度、小刀と鎌を取り換えてやってみるといいわ。私あなたに話したい、面白い話があるの。」
   すると岩田先生が、やってきて、「いや、遅いんじゃない。瀬戸山さんは、丁寧に根っこも含めて抜いている。ところが、浅田さんは、早いが、土から上に出ている葉っぱの部分だけを刈っているので、明日にでもまた葉っぱが出てきてしまうのだ。しかし、遅すぎるのもよくないので、瀬戸山さんの丁寧さと、浅田さんの速さのそれぞれ、いいところを合わせた仕事をしようね。では、一旦休憩だ。」富子も、信子も、素直にはーいと返事をする。信子は冨子を、校舎の裏に連れていくと、「あなたのおかあさんと、わたしのおとうさんは、むかし結婚しようと思っていたらしいの。」「絶対違うわ、私には死んだけれどお父さんはいたし、あなたにおかあさんはいるじゃないの。」「そんなことじゃないわ、私たちが生まれるよりもずっとむかしのことよ。」「そのくらいはわたしにだって、わかっているわ。おかあさんは、おばあさんの娘ですもの。そんな馬鹿なことを誰から聞いたの?」「夜、おとうさんとおかあさんが私の成績のことで喧嘩していたの。そのときおかあさんが言ったわ。おとうさんも、おかあさんも私が眠っていると思っていたみたいだけど、私は起きていて、聞いてしまったの。」何か、自分の知らない母の秘密を聞かされたような気がして、富子はシクシクと泣き出す。それを見て、信子も泣きだす。
  富子は、家に帰り、仕立ての仕事をしている母を寝そべって見ている。「ああ、つまらないなあ。うちにはおとうさんがいないもの・・・・。」そんなことを言うことのない富子の発言に驚いて、母は「どうしたの?」と尋ねると、「信子さんのうちは夫婦喧嘩というものをするんですって。信子さんが、昔、信子さんのお父さんと、私のお母さんが、好き合っていたっていうの。」「誰がそんなことを言ったの?」「信子さんのお母さんが、夜お父さんにそう言って、喧嘩をしていたらしいの」鳶子は、「敬さん・・・・」と思わず口に出していた。その呼び方に子供ながらに何物かを感じた富子は、「もういいわ、お母さんなんて大嫌い」と言う。鳶子は「ちょうどいい機会だから話しておくわ。お母さんは、信子さんのお父さんと、遠い縁続きだったの。だから知り合いだったの、昔のことよ。」「そうなの、お母さんは、お父さんのことを好きだった?」「結婚したら、夫に尽くすのが妻の努めよ。」「でも、信子さんのおうちは、喧嘩をするわ。お父さんはいい人だった?」「とってもいい人だったわ。」
   そこに、外出していた祖母が帰ってくる。「子供にそんな嘘をついちゃいけない。私はいつか富子に本当のことを言おうと思っていた。まだ、富子は小さいが、いい機会だから、お婆ちゃんが、本当のことをはなしてやる。」「お母さん、止めてください」と鳶子が言っても、祖母は聞かず、「富子そこにお座り。あんたのお父さんは、大酒のみの暴れん坊のろくでなしだった。だからお母さんはとっても苦労して、お前を育てたんだ。私が、別れなさいと何度言っても、結局富子が可哀そうだからと、家に戻って行った。働きもしないろくでなしのために、おかあさんは暮し向きが大変だった。だから、私はあの男が死んだ時には、ほっとしたんだ。」
    初めて聞いた父親の話が、あんまりなので、飾られている父親の写真を見て、富子は泣いた。お婆ちゃんは、「泣いていないで、川に水浴びでもしておいで。」と言った。冨子は、水着に着替えて川に行く。顔を洗って、河原でぼーっとしていると、信子がやってきた。「富子さんも来ていたの?私もお父さんと来ているの、あそこで釣りをしているわ。」富子は、母親に信子から聞いた話をしたと話した。祖母から聞いた父親の話はしなかったが・・・。「信子さん、私が1番っていっても、信子さんが勉強したら、すぐに一番になるわ。」「面倒くさいのよ、泳ぎましょう!!」川に入る二人。しかし、川の中にガラスでもあったのか、信子は足を切ってしまう。河原に上がって見ると血が出ている。「家に戻って、薬と包帯を取ってくるわ。」というと、富子は家に走った。

   二人の少女の伸び伸びとした演技が素晴らしい。二人の子供を介して、かって思い合っていたが別々の相手と結婚したが、必ずしも幸せになれなかった男女を婉曲的に上品に描いている。父親の出征と送る女たちで、終わることで終わるが、国威発揚感というよりも、市井の生活のリアリティが、この映画を落ち着いたものにさせている気がする。1時間前後の小品だが、なかなか味のある映画だ。


   体験入学の講師、女子二名一人は一度来た子じゃないか(笑)。同じところでアーティスト名忘れ、小笑い。待ち時間で明日、明後日の一年生へのスキルアップ講座のレジュメをコピー。

   それから渋谷に出て散髪、渋谷東急東横、新宿東急ハンズ、週末の自宅居酒屋の仕入れ。調子に乗ってジュンク堂へ。

0 件のコメント: