2010年8月29日日曜日

BBと多江。

   25才美人画家と、新宿武蔵野館のモーニングショーで、ブリジット・バルドー生誕祭。 
   56年ロジェ・ヴァディム監督『素直な悪女(134)』
   
   中年の紳士エリック(クルト・ユルゲンス)が、南仏の港町サン・トロペーズの高台にある一軒 家にやって来る。海側の庭には、大きなシーツなど洗濯物が干してある。その向こう側に、若く伸びやかな女の肢体が寝そべっているようだ、男は「君に頼まれていた車を持ってきたよ」「えっ!どんな車?」「赤いオープンカーだよ」
    そこにその家の主婦モラン夫人(ジャーヌ・マルカン)が帰って来る。「このあばずれ女!仕事もしないで、男と乳繰り合っているのかい!孤児院の院長に手紙を出して世の中に出られないようにしてやるよ!」「ちゃんと仕事はしているわ」と娘が家の中に入って行く。男は「お金で解決出来ないものですか?」「とんでもない!あんな娘は、孤児院に戻した方が世のため…」と主婦は相手にしない。二階の部屋の窓から、若い娘の肢体を覗いていた老人は、妻が帰って来たのを知って、慌てて窓を閉めるが、スカーフを窓に挟んでしまった。娘とモラン夫人は激しい口喧嘩をしながら、老人の部屋に上がって来た。窓に挟まったスカーフを目ざとく見つけ「あんたも、だらしなく若い女を覗いていたんだね」と罵る。
   娘の名はジュリエット(ブリジット・バルドー)。孤児院で育ち、18才になり、この街でモラン夫妻の書店の店番兼家政婦となったのだ。


  25歳の美人画家と、映画の感想を語りながら、王ろぢで昼食を取る。買い物をしてからバイトに行くと言う彼女と別れ、恵比寿の東京写真美術館に行く。専門学校の講師の先輩の写真家の方から招待券を貰っていたの『立ち止まらない女性たち1945ー2010 おんな』の最終日。写真展のメインアートに使われていた木村伊兵衛さんを始め、錚々たる顔ぶれだが。今ネットで話題の丸田祥三の少女写真も・・・。全て女の人は強く、フォトジェニックだった。フォトジェニックと言うのは、カメラマンの多くが男性であるからかもしれないが、原爆投下後の広島の若い母親、玉音放送を聞き呆然自失する女子挺身隊員も、水俣病に苦しむ患者も、21才の新妻の、激しい農作業で老女のもののような手のひらも、100才近くになっても働き続ける老婆のしわくちゃな顔も、写真として美しく、また、一人一人の女の一生の一瞬だ。 切ないなあ。
ついでに、3階で展示されていた『Look at me!私を見て! ヌードのポートレイト』も見る。

   吉祥寺バウスシアターで、篠崎誠監督『東京島(135)』
    スーツケーツに入れる荷物を出したり入れたりしながら悩む清子(木村多江)。「私は旅行中に使うものを悩んでいた。しかし結局、殆どの物は必要がなかった。清子は、夫の隆(鶴見辰吾)とクルーザーでの旅に出る。しかし、難破し、無人島に辿り着く。清子は島内を歩き、極彩色の蛇を見つけ、石で蛇の頭を叩き潰す。蛇の皮を剥ぐ清子。住み家(海風を直撃する場所に、美術スタッフが気合を入れて作ったようなかなり堅古ものだ)に帰り、隆に「食料採ったわよ」と声を掛ける。隆は、プリンなど食べ物の絵を地図の裏に一心不乱に書いている。「蛋白質を採らないと持たないわよ」と清子。数日後、与那国島の厳しいバイドから逃亡した16人のフリーターが島に漂着した。

    こりゃ本当に酷い(爆笑)。日本一の不幸女優木村多江初主演作。女の愚かさが生む薄幸じゃなくて、これではただの馬鹿な女。GAGAというか、ユーズフィルム何をやりたかったんだろう。ビデオストレートのようなストーリーで、女性客の共感を呼ぶシナリオってあるんだろうか。今の邦画界の新人、中堅監督潰しの典型のようなプロデュースだな。

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