2009年2月26日木曜日

探偵物語再評価

   シネマヴェーラ渋谷で東映セントラルフィルムの栄光。
   82年角川春樹事務所長谷部安春監督『化石の荒野(112)』
   雨の中、帰宅した刑事の仁科(渡瀬恒彦)。灯りをつけようとするが、気配を感じ、寝室のドアを開け確認し、誰もいないことを確かめてから、拳銃と警察手帳を机に置き、浴室のバスタブにお湯を出す。仁科の背中に拳銃が付きつけられる。激しい格闘になるが、多勢に無勢、首に注射を打たれ気を失う仁科。気が付くと、銃を持たされている。外国人が射殺されている。仁科は外を窺い逃走する。
   警視庁で、野川(青木義明)による記者会見が行われている。被害者は、米人の貿易商ジェイムス・ハンス。使われた拳銃は、私服警官が持つコルトローマン。容疑者として仁科草介が指名手配された。会見場で隣の記者(角川春樹)に、峰ちゃんの同期だったんじゃないかと言われる峰島悟(川津祐介)。新聞社に戻ると、仁科から電話が入る。ホテルの一室に出向く。「こんな処にいていいのか?」「こういった場所の方が、目立たない」「ジェイムス・ハンスは元進駐軍の将校で、来日するたびに、山に登っていたようだ」簡単なやりとりで、部屋を後にする仁科。ホテルのエレベーター前に、雪江千沙(浅野温子)がいる。「こんなところで会えるとは。新聞は読んだけど、あなたは犯人ではないと思ったわ」という千沙。ロビーで銃を突きつけられる仁科。4人の男に車に乗せられ、アイマスクを渡される。
   山沢(郷瑛次)と名乗えう男が待っていた。3人の男の尾行、追跡、調査をして欲しいと言う。相手は、総裁選への出馬が噂される大物政治家の中臣晴義(佐分利信)と息子の中臣克明(夏木勲)。克明は、警視庁のエリートだったが、FBIへの留学から帰国後、退職。何故か山を探索していると言う。ギャラは3000万。前金として2000万だと言う。44口径オートマグナムを渡され、克明は四国の剣岳にいるらしい。
   剣岳を登り、克明を追跡する仁科。向いの山から反射した光が当てられる。そこの場所に行ってみると、数人の靴跡がある。自分を見張る何者かがいるのだ。仁科は足を撃たれる。傷は浅いがうずくまる仁科。そこに克明が現れる。「仁科、冤罪を晴らしたいだろ。そのチャンスをやるので、忘れろ」と言う克明。山を下山し、ホテルで山沢と会う。山の上まで見張るのかと尋ねるが、自分たちではないと答える山沢。ホテルに向かってパトカーがやってくる。指名手配の仁科がいると何者かの通報があったのだ。仁科を乗せ山沢が運転する車と、徳島県警の殆どのパトカーによるカーチェイス。フェリー発着場に追い詰められるが、ヘリコプターで車を吊りあげ逃走する山沢と仁科。
   山沢のアジトに戻ると、契約通り、自白剤による麻酔分析をさせろと言われる仁科。かすかな記憶の中で、初老の男が現れ、しきりと仁科の故郷と子供のころのこと尋ねられたような気がする。ホテルのバーに、中臣晴義が、私設秘書の高桑(伊吹徹)らと打ち合わせしている。カウンターでバーの女(竹井みどり)に晴義のことについて話を聞く。雪江千沙の部屋を訪ねる仁科。なんで一目で俺が無実だと思ったのか?と聞く仁科に、自分は各刑務所で犯罪者の肖像を描いているが、そうした人間たち共通のものとは違ったからと答える千沙。網走に行った帰りに、サロマ湖の近くの湧別と言う漁村を訪れた。そこで一人で育ったのよねと言う千沙。何も答えないが、昔のことを思い出すような仁科の表情。今日は、ここでゆっくり眠っていってという千沙。勿論大人の男女だから眠るだけではない。
      翌日、河原のグランドで、サッカーをする少年たちを眺めている仁科と峰島。峰島の息子がサッカーをしている。峰島の調査により、ジェイムス・ハンスは来日の度に、 平井剛一(田中明夫)に会っていたことが分かる。平井は、昭和31年に日本ウラニウム公社を作って総裁 となっている。中臣晴義と軍隊時代の上官部下の関係だった。
   駒ヶ岳に向かう仁科。山頂付近で敢えて仕掛けて克明を襲撃する仁科。2人で組み合い格闘するも、部下たちが戻ってきて、逃走する仁科。駒ヶ岳のロープウェイに乗っていると緊急停止する。乗務員(竹田かほり)は、ごまかそうとするが、仁科が乗っていることを通報されたらしい。遥か下にパトカーが走るのが見える。乗客に拳銃を突き付け、緊急脱出装置を使い、ゴンドラから下降する仁科。しかし、停止した位置が最も高度の高い場所であり、まだ百メートル以上ある。ロープを揺らし、茂みに飛び降りる仁科。ニュースでは、指名手配犯の仁科が地元の人間でも足を踏み入れたことのない原生林に逃げたが、冬の夜では命が持たないだろうと告げている。峰島が、平井剛一を見張っていると、一人の男が現れ、言い争いをしている。その写真を自衛隊情報に詳しい記者の片山(江角英)に見せると、元厚木基地作戦部付将校で、最近まで自衛隊の特殊部隊を率いていた坂本英夫(大木実)だと言う。
   峰島のもとに千紗が訪ねてくる。そこに仁科から電話があり、千紗の車で待ち合わせに指定された長野の喫茶店に行く。中臣、平井、坂本という3人の関係と、剣岳や駒ケ岳など中臣克明が探索している山々では、白骨死体が発見されているが、中臣晴義が政治力で握りつぶしていると言う峰島の話を聞き、旧海軍の厚木基地が何かの鍵だとわかってきたが、北海道で育ち、警視庁で刑事をしていた自分を、ハントを殺すリスクまで負って、自分を巻き込んだのかは分からない。そこに白バイの巡査たち(宍戸錠、阿藤海)が現れる。喫茶店の女主人(范文雀 )は、指名手配の手配書を警官たちから体で隠す。
    横須賀で、太平洋戦争中の厚木基地の警備隊長で、今は身を持ち崩している松本安男(加藤武)に接触、50万の金で、終戦前後に厚木基地で起ったことを全て喋らせる。終戦直前に吉宗中佐が指揮する陸上攻撃機剣山が広島の極秘基地に向けて極秘物資を空輸する作戦があった。極秘物資とは、金塊5000kgで、ソ連に運び、和解工作資金にするつもりだったが、敗戦に間に合わず、結局オホーツク海に不時着、吉宗中佐と乗務員は金塊と共に行方不明になっていたのだ。進駐軍も含め、徹底した捜索がされたが、結局わからなかったのだ。ジェームス・ハントは当時進駐軍で、その捜査を担当していたのだ。中臣晴義、平井剛一、坂本英夫は、当時厚木基地で事実を知ることのできる立場にいたのだ。
    仁科は、日本ウラニウム公社の平井を直撃する。中臣晴義、克明父子や、非合法の特殊部隊を持つ坂本に対抗するために、子分の山沢を使って、仁科を罠にかけて手駒としたのだ。更に、吉宗たち搭乗員たちは、仁科の母が住む小屋にしばらく潜伏していたこととが、敗戦後すぐに追跡して行った中臣、平井、坂本は知って、翌年仁科を生んで直ぐに亡くなった母親から何か金塊について知っているのではないかと麻酔分析を行ったのだと言う。
       ホテルのバーにいると、電話が鳴る。峰島を攫ったと言う山沢からの電話だ。千沙の無事を確かめに部屋に行くと、何故か中臣克明がいる。お前と千沙と自分は異母兄弟なのだと言う。あの日、仁科の母の元に訪れた3人のうち、血液型がBなのは、中臣晴義だけなのだと言う。少し前に、その事実を聞いた千沙は、呆然として座り込んでいる。一緒に組んで面白いことをしようぜと言う克明に、首を横に振る仁科。束の間の兄弟気分だったが、これで終わりだと言い去る克明。
     峰島を引き取りに川崎球場に行く仁科。山沢は、仁科の冤罪を晴らしてやると言う。ハント殺人の実行犯の手下を射殺しておいて、仁科、峰島は真犯人を見つけたが撃ち合って死んだことにしてやると迫ってくる、しかし、平井、山沢たちを射殺、駆け付けるパトカーから逃げながら、息子のために手を引いてくれと峰島に言う仁科。
    しかし、峰島は、平井の告白をテープに収め、中臣晴義のもとに取引に行き、手を引かなければ新聞に書くぞと脅す。しかし、中臣ははるかに狡猾だった。門前払いをし、帰る峰島を、交通事故に見せかけて殺した。今際の際に、峰島は仁科宛に電話をする。晴義、あいつは悪者というより役者やの~と言ってから、大雪山の相沢という電話が入っていたことを伝え、息子のサッカーの試合を、たまには見に行ってくれと言い残して息絶える。いよいよ北海道に向かって決着をつけに行く仁科に、グッドラックと呟いて、ペンダントを渡す千沙。
    かって、自分と母親が住んでいたあばら家を眺めている仁科。冬のオホーツクの海は波打っている。白いポンチョを被り、大雪山を登り始める仁科。山中で克明たちのグループが見つめる先には、砂金採りをしている老人(垂水悟郎)がいる。5人の搭乗員の生き残りではなくとも、何か事情を知っているだろうと言い、明日親父が来るので、引っ張ってこいと命ずる克明。しかし、老人の顔を見た中臣晴義は、生きていたのか吉宗中佐と呻く。金塊はどこだと締め上げるが、口を割らない。今は、こういった便利なものがあるのだと、自白剤を注射しようとする晴義。明日隠し場所に案内するという吉宗。この金で、堕落した日本に活を入れるのだと野心を語る晴義。
     翌日、吉宗を先頭に、山を登る中臣親子と子分達の姿がある。グループから離れた隊員を一人づつ仕留める仁科。クレバスの隙間に出来た小さな洞窟がある。入口の岩をどかし、洞窟に入る吉宗、中臣父子。金の延べ棒が山と積まれている。大きな声を上げる晴義。その頃、洞窟の外では、坂本の率いる特殊部隊が、雪上車3台、ヘリコプター1台という大部隊で迫ってくる。外の騒ぎに、克明。激しい銃撃戦となる。双方とも次第に倒れている人間が多くなる。仁科は、入口を見張っている克明の隊員を倒し中に入る。晴義を射殺する。奥では、吉宗が自分の体にダイナマイトを結びつけ、誰にも渡さない、出て行けと言う。
   仁科が外に出ると、克明と坂本しか残っていない。坂本を倒し、克明と向かい合う。相打ちで、倒れる二人。克明の身体から血が流れ始める。仁科は、懐から千沙から貰ったペンダントを取り出す。グッドラックという言葉が、潰れている。自分の命を救ったペンダントを見つめている仁科。

   派手だなあ。これだけアクションシーンに派手に金を使えて、監督楽しかったろうな。

83年角川春樹事務所根岸吉太郎監督『探偵物語(113)』
   女子大生の新井直美(薬師丸ひろ子)が田園調布にある屋敷の壁を二階に上がり、自分の部屋に忍び込む。靴を持って玄関に降りる。家政婦の長谷部君江(岸田今日子)が電話をしている。電話の相手は直美の海外にいる父親らしい。長谷部は直美の父親に結婚を申し込まれており、その事は、直美に孤独感と屈折をもたらしている。
   翌朝、直美が叡智大学に向かうと、尾行している男(松田優作)がいる。大学につき、講義のあと、所属する広告研究会の部室に行く。あと1週間でアメリカに行くので、もうお別れだと言う直美。憧れていた先輩の長井(北詰友樹)が、送別会をしようと言ってくれる。海に行こうと言ってくれたので夢見ごこちの直美。キャンパス内で、永井は、同じゼミの友達だという正子(坂上味和)から、強引に金を借りる永井。
   バイクの二人乗りで海に向かう二人。海岸にある店でペアのネックレスを買ってくれる。貝殻とナメクジ、二つ合わせると蝸牛になるペンダントだ。夕暮れ時に、海岸のレストランで夕食を食べる二人。食事の終りに、このまま朝食を一緒に食べないかと誘う長井。ホテルの前で送っていくよと言う長井に、勇気を振り絞って泊って行こうかなと呟く直美。ホテルの部屋のベランダで潮風に当たっている二人。背中に手を回し、長井がキスをしようとした瞬間、ドアが叩かれる。なんなんだよと苛立ちながら、ドアの前に行き、誰ですかと尋ねる長井。フロントですが、という返事にドアを開けると男が立っていて、私は直美の叔父だが、お前は帰れと脅す男。そそくさと帰ってしまう長井。直美は、何をやっているんだと頬をぶたれるが、叔父でも何でもない見知らぬ男に驚き警察に電話をする。
   近くの交番で取り調べられている男。男の名は、辻山秀一、興信所の探偵だ。直美の尾行と護衛の依頼を受けているが、依頼者は知らないと言う。長谷部さんが頼んだんだわと言って、もういいですと言って、交番を出る直美。帰りの電車の中を付けてくる辻山。
翌日大学に行くのを待ち構えている辻山。駅で、何とか捲いたが、大学に行くとやはり辻山の姿がある。長井に昨日の説明をしようと電話をしても、直美からだと分かると切られてしまう。電話局に問い合わせても、番号から住所は教えてくれない。困り果てた直美に辻山は、これでも探偵だからと調べてくれた。長井の住まいは、なかなかの高級なマンションだ。実はそこで正子と同棲をしているのだ。チャイムを鳴らすが、直美だと知った長井は居留守を使う。
   直美は、今日クラスメートが送別会を開いてくれると言うので、長井を誘おうと思っていたのだ。結局、辻山が参加する。隅で飲んでいる辻山が探偵だと聞いて興味津々なクラスの女子たち。一緒に踊ってと誘われるが、自分には踊れないと断る辻山。しかし、チークタイムになり、あぶれている直美に、依頼者の命令だと言われて、ぎこちなく直美と踊る辻山。家まで送る途中、直美に家族のことを尋ねられ妻とは別れたのだと答える辻山。生き方に不器用な男だとは分かり、気になり始めた直美は、辻山の後をつける。辻山が別れた妻幸子(秋川リサ)と会っている。幸子は、バニーガールクラブで歌手をしているが、クラブオーナー石崎(鹿内タケシ?)の愛人でもある。偶然、オーナーと冴子の浮気調査を受け、既に報告書を提出済みだと忠告しに来たのだ。何故か幸子は、関心を持たず、あなたは私のステージ見たことなかったわよねと言う冴子。金を持っていないと答えると、その位奢るわよと言われる。
   楽屋を抜ける途中、オーナーに殴られ脅されているバニーガールの姿を見かける辻山。客席に行くと何故か直美がいて驚く辻山。尾行される気持ちが分かったかと言う直美。先ほど殴られていたバニーガールが注文を取りにくる。長井の彼女の正子だ。あんたが長井のうちに来た時私もいたのよ、早く海外でもどこにでも行って頂戴と言う正子。直美はカッとして、ウィスキーをロックでガンガン飲み始めた。直美をおぶって、家の前の坂を登る辻山。送り届けてやっと帰宅する。
    夜中、いきなり叩き起こされる辻山。なぜか幸子がいる。目が覚めたら人が死んでてと動揺する幸子。朝テレビのニュースで、石崎組組長の息子でバーオーナーの男がラブホテルで殺され、昨夜一緒にチェックインし、明け方一人で逃げたクラブ歌手の幸子を重要参考人として指名手配したという報道があり驚く直美。辻山のアパートに行く。ドアを叩きニュースを見たと告げる。しきりと追い返そうとする辻山。アパートの近くに明らかにヤクザな車が停まる。慌てて、辻山に伝えて中に入る直美。バスタブの中に隠していた幸子を窓から逃がそうとするが、怯えて動けない。直美は冴子をバスタブに戻し、いきなり服を脱いで下着姿になり、敷いたままの布団に辻山を引っ張り込む。そこに石崎組のヤクザがドアをぶち壊して入ってくる。布団を手荒に捲ると、辻山と直美だ。冴子を隠しているだろうと脅して帰っていくが、ドアどうしてくれるのよーと叫ぶ直美に、若頭の沢田 (財津一郎)は、財布を取り出し、札を叩き付けて出て行く。
     しかし、近くで、冴子を張っている沢田たちに弱るが、隣家の夫婦に引っ越しを持ちかけ、運送屋を呼び、荷物に紛れて脱出に成功する。いかなり指名手配の女を連れてきて驚く長谷部に出ていけと言われるが、何とか匿うことに。真犯人を見つけなければならない。石崎の告別式に潜り込む直美。石崎の大泣きしている妻三千代(中村晃子)をいたわって控え室に連れて行く沢田。二人は怪しい。告別式を中座して家に戻ろうとする2人を尾行しようとタクシーに乗ると辻山が現れる。ヤクザ相手に何をやっているんだと怒る辻山。しかし、石崎の屋敷に忍び込んで、盗聴マイクを仕掛け録音をする。しかし、鏡を運ぶ車に二人の姿は映り、沢田に見つかってしまい、逃げる二人。
    何とか田園調布の家まで逃げ帰る。幸子は地下室に隠れていたが、長谷部がいない。石崎組から電話があり、明日の昼までに幸子を渡せと言う。とりあえず、カセットテープをダビングする直美。沢田と三千代の悩ましげな喘ぎ声に眉をしかめる直美。ダビングが終わり、辻山を泊めた部屋の前に行くと、幸子の喘ぎ声がする。直美は傷つき、家を出る。ディスコに行くが、茫然自失なままの直美。そんな所に一人のサラリーマンに声を掛けられる。雨の中、ラブホテルに連れ込もうとするが、どこも満室だ。結局殺人事件が起きたホテルしか空いていない。同じ部屋に入り、バスルームにで、抜け穴がないか探し始める直美。
    翌朝早く直美が帰宅すると長谷部しかいない。結局、辻山と幸子はカセットテープを持って石崎のところに行ったのだ。しかし、違うテープを持って行ったのだ。急いで石崎会館に乗り込み、会長に強引にテープを聞いてもらう直美。辻山と幸子は痛めつけられ失神している。沢田と三千代が関係していたことがばれ、沢田は指を詰める。石崎を殺した真犯人が二人だと主張する直美。二人は否定したが、実際にホテルに行ってみることに、石崎が殺された浴室から実際に換気口を通って隣室に移動する直美。しかし、換気口の中で、ペンダントを発見してしまう。
   ラブホテルの支配人(三谷昇)が、指名手配の女と暴力団の団体が来ていると通報した。辻山と幸子は連行された。直美は大学に行き、永井を見つけ、正子の所に案内してもらう。ペンダントのことを問い質す直美。正子は、永井との交際のために、バニーガールのバイトをしており、そこで売春をしていた。止めようとしたが、石崎にそんな事をしたら、両親に教えると脅され、その日も客を取らされたので、いつも石崎と幸子が泊まるホテルに宿を取り、客が寝た隙に、バスルームの換気口から石崎の部屋に行き刺し殺したのだと告白する。永井は、ショックを受けるが、正子が自分の子供を妊娠していると聞いて、自首する正子に同行する。一人残される直美。帰宅すると長谷部が辻山からお礼の電話があったと伝える。直美は、長谷部にパパを愛しているかと尋ねる。そんな大事なことは口に出すとすり減ってしまいますと答える長谷部。
    日本最後の夜だ。直美は今晩も、門をよじ登って外出する。辻山が、アパートで洗濯していると、ドアをノックする。直美だ。部屋に上げて欲しいと言う。何故ラブホテルのバスルームの換気口がわかったんだと尋ねる辻山。思っていた通り、実際に行ってみたと言う返事に顔が歪む辻山。好きな人に相手がいたからだと言う直美に、永井のことかいと尋ねる辻山。今日は帰らないつもりで来たと言う直美。駄目だと辻山。子供じゃない、子供だと言うやり取りの後、泣きながら直美は帰っていく。沈痛な表情の辻山。
   翌朝、成田空港に直美が一人で現れる。チェックインし、税関へのエスカレーターに乗るが、表情が変わり、下りのエスカレーターを駆け上がる。辻山だ。柵越しに抱き合いキスをする二人。直美は手を小さく降り、エスカレーターに再び乗る。いつまでも動かない辻山。
    素晴らしい。ラストシーンは、女優薬師丸ひろ子の誕生の瞬間だ。一方、松田優作も、アクションスター、ダーティーヒーローを演じ続けてきたが、森田芳光、根岸吉太郎ら若い監督たちと組んで、作り上げた俳優松田優作。ここを経ての「ブラックレイン」。もしも、そのあとがあったなら、どんな凄い松田優作が現れたんだろうかと、考えて見てもせんないことだが・・・。傑作だ。

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