2009年2月17日火曜日

リップバンウィンクルの話

   午前中は、水道橋の再就職支援会社で面談。
   渋谷で、ル・シネマでイサベル・コイシェ監督『エレジー(87)』。
  NYの大学教授のデヴィッド・ケペシュ(ベン・キングズレー)は、公共放送で番組を、ニューヨーカーで文学と演劇批評のコラムを持つ、少しは知られた知識人だ。ある日の講義で、遅れて入ってきた学生に目を奪われる。弁護士のような服装をし、完璧な美しさを持つ女子学生コンスエラ・カスティーリョ(ペネロペ・クルス)だ。一目見て、彼女の虜となるデヴィッド。試験が終わった後、自宅に学生たちを呼んでパーティを開くデイビッド。コンスエラと会話するなかで、久しぶりの恋心に揺れる。コンスエラは、了心と一緒に8歳で、キューバを出国。カレッジを出て、弁護士事務所で働いていたが、大学に入ったのだ。デイビッドは、ある演劇を見る約束にこぎつける。デヴイッドには、長い間SEXだけの関係を続けているキャロライン(パトリシア・クラークソン)という存在がある。
   芝居を見た後、コンスエラに、少し上ずった声で、酒に誘うデヴィッド。有名人と一緒なので、少し落ち着かないというコンスエラに、では、周りに人がいない家で飲むかいと誘うデヴィッド。一つ希望を叶えてくれるならと言うコンスエラ。彼女の望みとは、ホームパーティの時は、人が多くて恥ずかしいと言われ断られた、ピアノを弾いてほしいということだった。ピアノを弾くデヴィッドの横に座るコンスエラ。口づけを交わし、愛を確かめ合う二人。
   デヴィッドの長い親友で、ピューリッツア賞受賞の詩人、ジョージ・オハーン(デニス・ホッパー)は、運のいいやつだ、一夜限りの関係にするんだなと言うが、デヴィッドとコンスエラの距離はどんどん縮まっていく。過去の男性体験を聞かれ、5人と答えるコンスエラ。男たちに、猛烈な嫉妬心を感じ、コンスエラが今まで付き合ってきた男たちについて質問責めにするデヴィッド。子供じみた焼き餅に、うんざりしつつも、デヴィッドとの恋愛にのめり込んでいくコンスエラ。ゴヤの描いた「裸のマハ」「着衣のマハ」のマハに似て、完璧な美しさを絶賛するデヴィッド。
   しかし、タンポンをキャロラインに見つけられ、ジョージの忠告で、いつか若いコンスエラが自分を卒業していくのだという恐怖を覚えたデヴィッドは、コンスエラ家が開く、修士課程の卒業記念パーティに招待されていながら、車の故障でいけなくなったという稚拙な嘘で、自ら別れを告げた。とても、大切な日だからこそ、今日はデヴィッドに出席してほしかったのだというメッセージを聞き、涙するデヴィッド。動揺しているデヴィッドのもとを、デヴィッドの息子で、父親に母と自分は捨てられたのだという傷を持ち続けるケニー(ピーター・サースガード)がやってくる。妻子以外に愛してしまった子持ちの女がいると告げ、正直でありたいので、妻にこの事実を伝えたいと言うケニーに、思いとどまらせるデヴィッド。
to be continued. 
   シネマヴェーラ渋谷で、東映セントラル・フィルムの栄光
   80年角川春樹事務所村川透監督『野獣死すべし(88)』。
   ある激しい雨の降る夜、捜査1課の岡田警部補(青木義明)は、刺殺され拳銃を奪われる。数日後、闇カジノが襲われ、岡田の拳銃で組織の人間たちは皆射殺、多額のテラ銭が奪われた。犯人は、伊達邦彦(松田優作)。通信社のカメラマンをしていたが、退社し、通訳の仕事を細々としている温和しい男だ。闇カジノから盗んだ金で、オーディオ機器だけでなく、部屋の残響構造まで、贅を尽くした部屋で、クラシックを鑑賞する時がこの上ない幸福な伊達。
   伊達は、東洋銀行日本橋支店を訪れ、口座を開設、監視カメラの位置を確認、警備室に忍び込み、ビル内の地図などを盗む。その夜、日比谷公会堂でのピア ノ協奏曲の演奏会で、伊達は、外資系の会社で秘書をしている華田麗子(小林麻美)と隣の席になる。場末の歓楽街で娼婦(岡本麗)を買うが、女に一人でやらせ、それを見ながら詩を諳んじている伊達。
    銀座の高級宝石店のジュエルに電話をする。100万程度のダイヤをいくつか買いたいので外で会えるかと言い、東洋銀行日本橋支店での待ち合わせを指定 する。ダイヤ入りのアタッシュケースを待っている長友(草薙幸二郎)。そのことを確認し、銀行に電話をする。長友のことを銀行強盗だと言い、胸ポケットに拳銃、 アタッシュケースにダイナマイトを持っているので、男を呼び、金を渡せと指示を出す。女子行員は、支店長に強盗犯の暗号を出す。警備員たちに取り押さえられる長友。警備体制のテストを行ったのだ。何食わぬ顔で、外に出て行き、一人相棒が必要だと呟く伊達。それから伊達は人を探し始める。まずは、公園で寝ながら、場外馬券売り場を往復する男小林(泉谷しげる)を、観察する伊達。
    銀座のレコード店で、クラシックのレコードを見ていると、麗子に再会する。上司に頼まれていたレコードを探しに来たのだと言う麗子。探すのを手伝うが、素っ気ない伊達。次の演奏会には来ますかと尋ねられ頷く伊達。麗子を見送ると、殺された岡田の同僚だった刑事だという柏木(室田日出男)が現れる。刑事のカンだけで、伊達に辿り着いた柏木。他の刑事は誰一人気にしていないが、自分はお前に興味があると言う。
    偶然会った大学の同窓生たち(風間杜夫、阿藤海、岩城滉一他)の飲み会に参加する。そこで、客に因縁をつけるギラギラした眼差しの男真田(鹿賀丈史)に出会う。彼は横須賀のバーの女雪江(根岸季江)のヒモをしており、中南米に行きたいと言う女の望みを叶えようとして銀座でウェイターを始めるが、今までの人生と同様、何もうまくは行かない。徐々に男に近づき共犯者に仕上げる伊達。また、武器の密売人(佐藤慶)から、拳銃とライフルを買う。サイレンサーのテストをしがてら、密売人を射殺する伊達。ある日、雪江を連れて一緒に伊豆の貸別荘行こうと誘う伊達。それは射撃訓練をさせて、雪江を殺させることを意味した。伊達の指示に従い、フラメンコを踊る雪江を射殺する真田。いよいよ東洋銀行襲撃の決行だ。日比谷公会堂の演奏会に行き、再び麗子に会った。麗子は終演後伊達を誘う。しかし、伊達は麗子を車で送るだけだ。
   いよいよ決行する。全て計画どおりに、監視カメラを破壊、備室で非常ベルを切断、抵抗する警備員を射殺した。地下の金庫には、正に、その日の近辺の百貨店の売上が積み上げられている。 行員に持参したバッグに札束を入れさせる。一つだけ、予想外のことが起きていた。麗子が客の中にいたのだ。麗子は強盗犯の一人が愛する伊達だと気がついたようだ。銀行を去ろうとした時、麗子が後を追い、伊達の名を小さく呼ぶ。振り返り、マスクを外し、麗子を射殺する伊達。ゆっくり、伊達を見つめながら倒れる麗子。
    銀行を出て、打ち合わせ通り、銀座線で日本橋から神田に出て、山手線で東京へ、東海道線で熱海に行き、レンタカーで伊豆の貸別荘に行くつもりだ。しかし、銀座線で刑事の桂木に会う。どこに行くのだと尋ねられ、神田の出版社に翻訳の打合せに行き、東北に行くのだと言う伊達。神田駅で地上に出るが、殺気だったパトカーで、銀行強盗が起きたことを知り、今別れたばかりの伊達を追う桂木。東北本線に乗った伊達の近くに弁当を下げた桂木が乗ってくる。しばらくして車内が空いてくると、伊達の向かい合わせの席に座る桂木。3000円で買ったトランジスタラジオ経費で落ちるかなと気にしながら、スイッチを入れると、日本橋銀行強盗のニュースをやっている。犯人は車で逃走したと見ていたが、銀行裏に犯人たちが犯行に使った車が見つかったので、地下鉄を使った可能性が高いと言う報道にニヤリとする桂木。我慢比べだ。
   緊張感溢れる時間が過ぎていき、乗客は減り、ほとんど二人だけになる。ラジオが、警察は銀行の客で1人だけ射殺された麗子に重大な関心を持っていると告げると、桂木は、ピストルを伊達に突き付け、ようやく令状なしで、お前をパクる決心をしたと言う。網棚にあるバッグを取り、開ける。しかし、中に金はなく、汚い米軍のアーミージャケットが入っているだけだ。インドシナで着ていた戦闘服だと言われ、愕然とする桂木。桂木の頭にライフルが突き付けられる。真田だ。伊達は桂木の拳銃を取り上げ、弾を一発残して捨てる。伊達は、リップルバンウィンクルの話を知っているかと聞く。知らないという桂木に、ゆっくりと話し始める伊達。
   「リップバンウィンクルは、山に狩りに行く。そこで小人に会い、とても美味い酒を御馳走になる。あまりの旨さに、どんどん酔っ払い夢を見た。どんな狩りも許される。気が付くと小人はいなくなっていた。リップルバンウィンクルが村に帰ると、妻はとっても昔に亡くなっていて、村の様子も変わっていた。リップバンウィンクルがひと眠りしている間に何十年も経っていたのだ。彼が、飲んだ酒は、ラムに、レモンジュースを少し入れて、シェイクする。その酒の名は・・・」 
   桂木「XYZ・・・」。伊達「そうだ、おしまいだ」。引き金を引くが、弾は出なかった。しかし、葛城を殴りつけ、肩を打ち抜く。現れた車掌や、やってきた客を射殺し始める伊達と真田。伊達は、戦闘服に着替えている。「よし脱出するぞ」と言い、汽車の窓ガラスを割り、飛び降りる二人。銃を構え、夜道を進む。あるトンネルの前にバイクが停まっている。中に入ると、暴走族らしき男女が抱き合っている。伊達は、真田に男を殺し、女を犯せと命ずる。伊達の狂気は更に高まっていく。アンゴラ、レバノン、ウガンダ、インドシナ、血と殺戮の戦場での体験が彼の精神を異常なものにしていたのだ。真田と女を射殺し、伊達は姿を消した。
   日比谷公会堂で、ピアノコンチェルトの演奏会。伊達がいる。隣の席は空いている。ふと気が付くと、無人の公会堂に伊達が一人いるだけだ。のろのろと立ち上がり、公会堂の外に出る伊達。階段をおり始めると胸を射抜かれ、倒れようとする伊達。
   うう。やっぱりかっこいいなあ松田優作。しかし、この「野獣 死すべし」は、大藪春彦のものではなく、角川映画(現在の角川映画と混同するといけないので、角川春樹映画(苦笑))。角川春樹ならではの、誇大妄想的というか、暴走していく展開は、楽しいなあ。。原作のテイストは、仲代達矢のほうかな、どちらか選べと言われたら、仲代版だが。
   78年東映セントラル・フィルム村川透監督『殺人遊戯(89)』。凄腕の殺し屋鳴海昌平(松田優作)は、頭山会会長(今井健二)を射殺し、会長秘書の美沙子(中島ゆたか)を連れて逃走。港で殺さずに姿を消した。
    5年が経ち、鳴海が戻ってきた。舎弟の文太(阿藤海)は、大喜びだ。しかし、築地から銀座にかけては、老舗の寿会と、愚連隊上がりの新興勢力の花井組が争っており、関西の大組織が花井の後ろに付いていることで、表面的には落ち着いているが、一触即発な状態だ。
   5年振りにヤサに戻ると蜘蛛の巣だらけだ。鳴海は飲みに出る。ママに誘われて入ると、とんだ暴力バーだ。ビール2本と突き出しの乾きもので、3万5千円を請求される。困った鳴海に昭子(竹田かほり)が、知り合いだと言って3500円で済む。実は、昭子は、頭山会会長の娘だった。まだ高校生だった昭子は、父親が殺される直前、エレベーターの中で鳴海とすれ違っていた。しかし、昭子は父親が無くなったことで、気ままな生活をすることが出来たので、鳴海を恨んではおらず、目撃したことは誰にも言っていないと言う。
   文太を手伝い、銀座の飲み代の取り立て屋をやりしのぐ鳴海。美沙子を見かける。文太に聞くと、銀座アラビカのママで、寿会の勝田(佐藤慶)の情婦だと言う。さっそくアラビカに行き、ママに会わせてくれという鳴海。寿会の組員たちに追い払われる。なんとか美沙子に会う鳴海。勝田を鉄砲玉の二宮(桑原大輔)が襲い、銃撃するが、腕に怪我を負わせただけだ。関西の組織を恐れた勝田は、身内を抑え、鳴海を呼び、花井の殺しを2000万で依頼する。二宮を探しだした寿会は、二宮を殺し東京湾に沈め、二宮の情婦だった昭子を犯して殺す。
   ロードワークと筋トレで鍛える鳴海。花井組の花井(草薙幸二郎)は、勝田を消すための殺し屋を雇った。現れたのは鳴海だ。会長室で、金を出そうとする花井に、既に依頼がありましてと言って、花井を射殺、組員をすべて倒し、一人で花井組を全滅させた。寿会に戻り、勝田に会うと、勝田は花井を殺せなどと言っていないととぼける。鳴海は、勝田を、寿会の組員を、そして美沙子を射殺した。
   文太の元に、紙包みが届く。その中には、2000万が入っており、アパート経営でも堅実な仕事をしろと言う手紙が付いている。再び鳴海は、姿を消した。
    銀座シネパトスで、燃やせ!俺たちの70'sジャパニーズ・グラインドハウス魂!
    73年東映東京内藤誠監督『番格ロック90)』
    田口有紀子(山内えみ子)は特別少年院を2年半降りに出てきた。母親(初井言栄)が迎えにきた。家には保護司の今野 (山谷初男)が待っている。家で金属加工の下請けをしている父親(久保一)は、あんな娘は自分の子供だと思っていないのだ。由紀子は、着替えを済ますと窓から逃げ出した。裏山のお不動さんの御輿倉庫の鍵を大事そうに首から下げている。そこには、昔の彼氏の勝との写真を隠していた。
     由紀子は、赤羽百人会というスケ番グループの番格だ。赤羽百人会は、池袋騎兵隊と対立している。由紀子の特少仲間のアラブの鷹(柴田鋭子)が総番をしている池袋騎兵隊に対して、旗色は悪かったが、赤羽百人会は由紀子が戻ってきたことで、反撃のチャンスだと思う。由紀子も特少時代の対マンで負けた借りを返そうと思っている。しかし、アラブの鷹は、なかなか姿を表さない。
   ある日、由紀子は勝(誠直也)と再会する。勝は、城北睦会のチンピラになっていた。2年半降りの2人は激しく愛し合う。睦会は、池袋騎兵隊のスケ番たちを攫って来てはジャブ漬けにし、売り飛ばしていた。赤羽百人会は、執拗に池袋騎兵隊を狙うがことごとく返り討ちに会う。影で指示を出している総番のアラブの鷹を見つけられないのだ。
    由紀子は、騎兵隊のスケ番を捕まえて、腹に煙草を押し付け、髪を丸坊主に切って脅して、鷹の居場所を吐かせようとしているところを婦人警官に見つけられ追われることになる。ある夜、騎兵隊のスケ番の対マン待子(山口あけみ)が、勝の兄貴にあたる沖田(鹿内タケシ)に捕まり、鷹のヤサを教えるよう脅されだか、口を割らなかったため、殺される。警察は対抗グループで、特少あがりの由紀子を容疑者と断定する。
   ユキと突張り百人会も騎兵隊も、どんどん逮捕され警察はスケ番たちで一杯になる。敵味方入り乱れ大乱闘となり、刑事の荒田(室田日出夫)も呆れ顔だ。しかし、赤羽百人会のスケ番たちは、この事件でがたがたになり、突っ張りのお圭(ボルネオ・マヤ) 以外は、脱落していく。ようやく、騎兵隊が尚美学園の理科室で集会を開くということを知った由紀子は、単身乗り込む。スケ番たちは、待子の復讐だと色めき立つが、鷹は由紀子との対マン勝負を了解する。警備員(小松方正)が、警察に通報したぞと飛び込んできたが、皆逃げ出す。
   戸田の河原で、向かい合う二人。尖らせたハサミを持った二人の力は拮抗して、なかなか勝負がつかない。まず、由紀子が傷つく。しかし、最後に鷹の額を切り、気を失わせる。由紀子の勝ちだ。沖田と勝たちが現れ、病院に運ぶと言って車に乗せて去った。しかし、由紀子は、駆け付けた警察に捕まる。由紀子は、数日間、荒田たちに締め上げられるが、結局証拠不十分で釈放された。
   一方、鷹は、病院ではなく、沖田たちに弄りものにされていた。実は、女子高生だったころの鷹に乱暴しようとした沖田は、抵抗した鷹に顔に大きな傷をつけられ復讐しようとつけ狙っていたのだ。暴行の末、シャブ漬けにさせられ、客を取らされている鷹を、見つけた由紀子は、全てを知った。勝のヤサに行く。無事に帰ってきたと喜ぶ勝。しかし、スケ番たちを食い物にする沖田と勝を、勝の部屋に隠してあった沖田のライフルで射殺する由紀子。
  主題歌の番格ロックの提供と、ルイジアンナとファンキー・モンキー・ベイビーを劇中でも演奏しているキャロルが出演しているので、ぜひとも見たかったが、まあ、こんなもんだろうな。多人数のスケ番を集めているが、どう贔屓目にみてもメンバーの姉か母のようなスケ番やら、衣装やら、役名やらかなりいい加減、台詞もほとんど棒読み、人数だけ集めましたという感じが、プログラムピクチャーの醍醐味。

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