73年天象儀館大和屋竺監督『愛欲の罠(395)』。伊勢丹向かいのビル建設現場の屋上から 新宿通りを歩く男をライフルで狙撃する殺し屋。彼の名は星(荒戸源次郎)。電話ボックスで、依頼人と電話で話し、腕は合格した。彼は眉子(絵沢萌子)と言う情婦と暮らしている。依頼人高川から電話があり、羽田空港で自分の組織の大物を消して欲しいと言う。国際線ターミナルから外国人の男が出てくる。組織のかなりの人数が出迎えている。防弾ガラスつきの車で移動だ。しかし、なぜか冷房が故障しており、別の車に乗り換えることに。車を出た途端、ビルから狙撃され倒れる。星はトラックで逃走、しかしビルを降りた所で眉子を乗せ、組織に顔がバレていないのをいいことに殺害現場を見学する。帰宅すると高川から電話で、何故現場に現れるような素人のみたいな失敗をしたんだと攻められ、直ぐに翌日謝礼の金を引き出して眉子と逃げ身を隠せと言われる。自分のことを組織は知らない筈だと腑に落ちない星。
朝目覚めると眉子が消えている。星は、何故か三人の娘を家に連れてきて、酒池肉林だ。そこに、高川から電話が来る。眉子の心臓を一発撃って殺せという指令だ。葛藤しながら見事、眉子を仕留める星。しかし、数日後、眉子を見つけて驚く星。実は、眉子は、高川の愛人で星を見張っていたのだ。心臓に防弾カバーをしていたのだ。翌日、高川(大和屋竺)がやってくる。組織にバレ追われているという。しかし、怪しげな人形を操る殺し屋マリオに高川と眉子は殺される。高川の一味として、組織に追われることになる星。外出から戻ると待ち伏せしていた二人の殺し屋を消す星。
星は、逃走し、立川の青線に潜り込む。老婆(天野照子)と夢子(安田のぞみ)しかいない店に、星は10日居続ける。組織への脅えからインポになってしまう星。組織の殺し屋から連絡が入る。近くのゲームセンターに来いと言う。なぜ、俺の居場所を知ったのかと尋ねる星に、実は、ここの少し先に組織の本部がある。お前は逃げるつもりで、組織に近づいていたのだという言った。後頭部のあるツボを撃てば、笑ったような顔で死んでしまうので、空気銃で勝負を決めようと言う。殺し屋は、星の片目を打つ。星は一度逃げるが、戻る。星たちを尾行していた私服刑事が笑顔を浮かべて死んでいる。星の前に殺し屋が現れる。片目が使えない星が不利かと思ったが、星は、殺し屋の効き目を打ち、身体が揺れたところを後頭部を撃つ。
星は、夢子のもとへ戻る。インポが治り、二人は、寝る暇もなく抱き合っている。老婆が夢子しかいない店なのにチョンの間の客がいて、困るという。すぐ終わらせて帰ってくるといって夢子はほかの部屋に。約束の15分が経っても、30分が経っても夢子は戻らず、業をにやした星が客の部屋に行くと、夢子が、股間に桜の枝を突き刺されて死んでいる。血の花を咲かせやがってといい店を去る星。
車を組織の本部に向かい、しかし、広大な敷地の中には誰もいない。やっと、温室の中でマリオを見つける。向き合う星とマリオ。組織のメンバーは、アメリカの大組織にスカウトされ、今残っているのはボスと本郷だけだと言う。温室の中は蚊が多い。腹話術の人間に蚊が止まったのを見て、人形を撃つ星。果たして、マリオとは、人形遣いのほうが人形だったのだ。小さなホールのようなところの客席にボス(山谷初男)がいる。お前がボスかと聞いて、ボスを仕留める星。カメラに向かってお辞儀をする星。
うーん。大和屋竺監督、田中陽造脚本というキラ星のような映画だが、ほとんど上映されていないという話が頷けてしまう映画。ずっと観たかった映画だ。怪作と言えないことはないが、関わったすべての人間にとっての習作だったということかもしれないな。何よりも、荒戸源次郎は、カメラの前では役者以下の存在だ。この映画を製作したからこそ、その後の大プロデューサー荒戸源次郎が生まれたのかもしれないな。自主制作映画サークルが、ピンク映画というフィールドで自分たちの映画を作るのだというエネルギーに溢れた映画と考えれば、いろいろなことを思い出し、切なくなる映画だ。
新宿武蔵野館で、前田哲監督『豚がいた教室(396)』。6年2組の担任の星先生(妻夫木聡)4月の新学期クラスに子豚を連れてきた。1年間、みんなで育てて、最後に食べたいと言う。クラスで話し合って、飼うことに決めた。事後承諾になり、教頭(大杉漣)は渋い顔だが、校長(原田美枝子)は、若い原の生徒たちに命について考えさせようと言う熱意を買って承認する。生徒たちは、日曜日学校に来て、みんなで校庭に小屋を作る。名前もPちゃんと決めた。可愛さに夢中になるが、糞の処理や小屋を飛び出したり大変だ。母親たちが、子供が擦りむいたり、豚臭くなったり、Pちゃんの話しかしなくなったと文句を言いにやってくるが、校長は生徒たちと原の信頼関係を認め、もう少し見守ってやって欲しいと頭を下げる。
夏休み、台風、運動会、クリスマス、正月、沢山の思い出が出来るが、いよいよ3学期、卒業までに、Pちゃんをどうするか決めなければならない。生徒たちの意見は様々で、意見はまとまらない。最後に殺さずに、三年生のPちゃんを飼いたいと言ってきたクラスに後を託すか、食肉センターに渡すかと投票すると13票ずつ全くの同数だ。Pちゃんはかなり大きくなっていて三年生では世話が出来るか心配だ。最終的に、担任の星が6年2組の一員として、食肉センターに渡す決定を出した。結局自分たちが飼い始めたのだから自分たちが責任を持つと言うことを生徒たちは納得する。卒業式を経て、Pちゃんとの別れの日がやってきた。Pちゃんの大好物のトマトをみんなで一つずつやる。Pちゃんを載せたトラックが走り出す。いつまでも泣きながら追いかけていく生徒たち。
素晴らしいなあ。子役たちの魅力がほとんどの部分を占めるが、若い現代の教師の役を妻夫木聡が好演している。6年で転校してきて中々溶け込めなかった甘利花(甘利はるな)が、「コドモのコドモ」に続いてとてもいいが、他の子供たちもPちゃんと6年2組を体験し成長しながら演じている姿が本当にいい。子供いいなあ。
新宿ピカデリーで、福澤克雄監督『私は貝になりたい(397)』。高知の外れで床屋を営む清水豊松(中居正広)と房江(仲間由紀恵)の夫婦がいた。豊松に召集令状が来る。堅苦しい片足が不自由な豊松には、訓練はとても過酷だ。また滝田(荒川良々)をかばったことで、上等兵立石(六平直政)に目を付けられいたぶられた。戦局は悪化し、B29の大編隊が飛来し焼夷弾を落としていく。たった1機しか撃墜できなかったことで、面子の潰れた連隊長の安井中将は、撃墜機の乗員を必ず捕らえ、的確に処理しろと指令を出す。果たして2名の米兵が捕らえられ、部隊長の尾上大佐(伊武雅刀)は銃剣での刺殺を命じ、最も不甲斐ない隊員と言うことで、豊松と滝田が選ばれる。
終戦を迎え、再び豊松は床屋に戻る。房江は2人目を妊娠したようだ。生活の全てが戻ったかに見えたとき、家の前にMPのジープが止まる。豊松は、捕虜殺害の容疑で逮捕、身柄を横浜に送られた。安井始め部隊の主だった者が集められている。実行犯に当たる豊松と滝田の言うことは取り上げられない。むしろ連合軍側の関係者は嘲笑しているだけだ。判決の日が来た。指示を出した矢野中将と実行した豊松、滝田の3人には絞首刑が言い渡された。
巣鴨プリズンに収監された。同室だった大西(草彅剛)は、翌日別ブロックに移り、深夜処刑される。
豊松は、最初、房江に判決のことを知らせていなかった。しかし、教誨師の小宮(上川隆也)が手紙を出す。二人の子供を連れ上京し、面会する房江。それから、房江は、助命嘆願書への200名の署名を集め始める。田舎で、戦犯を助けることへの抵抗は想像以上に強い。しかし、乳飲み子を背負い雪の中を
頭を下げ続ける房江。
200名の署名を集め、再び面会する房江。同房で英語に堪能な西沢(笑福亭鶴瓶)の助けで米大統領への手紙を出し、サンフランシスコ条約締結の準備が始まり、死刑の執行が長い間されていないのは、判決が見直される予兆だと巣鴨内では囁かれていることもあり、豊松の表情は明るい。房江も、町内にもう一軒床屋が開店する話があるので、散髪台を新調すると言って、豊松を驚かす。
豊松と西沢の房に、MPがやってくる。豊松にブロックを移れと言う。死刑囚、無期刑、有期刑などの房は分けられているのだ。助命嘆願が受け入れられたと、泣いて喜ぶ豊松、西沢、死刑囚の房全体が、豊松を祝福する声は唸りのように響いていた。しかし、別室に連れていかれた豊松への宣告は、180度違うものだった。今日の24時に絞首刑が執行されるのだ・・・。
中居正広頑張っているなあ、でもSMAP中居としては頑張っているというカッコが着いてしまう。橋本忍の脚本がいくらよくて、製作費を増やしても、今のお茶の間とか、テレビ文化の枠の中でしか楽しめない映画。ひょっとすると、世界にあの時代の日本を訴えることができる企画だったのに、もったいないなあ。「チェチェンへ アレクサンドラの旅」を見た後だけに本当にそう思う。
植田尚監督『特命係長 只野仁 最後の劇場版(398)』。大手広告代理店電王堂の総務部2課の係長只野仁(高橋克典)は、風采の上がらない窓際係長の表の顔とは別に、黒川会長(梅宮辰夫)の特命係長としての裏の顔がある。今、人気絶頂のグラビアアイドル、シルビア(秋山莉奈)が電王堂にやって来る。営業一部は、彼女が出演するCMを多数手掛けている。更に近々80億円のビッグプロジェクトのフラワー・アース・フェスティバルのイメージキャラクターとなっている。電王堂でビールメーカーのキャンペーンガールの記者発表が行われたが、最中にセットが崩れ落ち、危うく大怪我をするところを只野の機敏な対応で難を逃れた。
その後、只野は会長に呼ばれ、シルビアの事務所に暗黒王子というものから脅迫状が届いており、無事にイベントを成功させるため、電王堂のシルビア担当として護衛するよう指示される。とても鈍臭い只野はマネージャーの加藤エミ(西川史子)やシルビアに呆れられるばかりだ。営業二部の部長村川(吹越満)の行動が怪しい。村川が担当するクライアントは、シルビアのCMの競合メーカーに完敗し、恨みを持っているらしい。フラワー・アース・フェスティバルの担当は、大阪支社の山西(赤井英和)。黒川は、汚れ仕事を文句も言わずにやってきた山西に、何とか日の目を見せてやりたいと思っている。
しかし、投げナイフの名手や、巨大な男に阻まれ、只野は、シルビアを誘拐されてしまう。フラワー・アース・フェスティバルまであと時間はわずか。シルビアを救いだし、お台場の会場に連れていくことができるのか?また、この策略の黒幕は一体誰か?
テレビドラマの10倍予算があれば、映画になるのかということを思ってしまうが、まあ、この映画をお金払ってみる人は、そんなこと気にしないだろうし、テレビと同じ方がいいんだろうな。しかし、それで製作委員会は出資に見合った収入があったのだろうか。「私は貝になりたい」と一緒で、映画業界を馬鹿にしていながら、映画コンプレックスのあるテレビ屋主導の映画って、儲かるんだろうか。万が一儲かっているとして、儲け以外の何かを生み出しているのだろうか。
佐藤嗣麻子監督『Kー20 怪人二十面相・伝(399)』。電磁波の無線電動装置の公開記者発表が行われている。どこでも電線なしに、電力を送られるという画期的な装置は、小型模型でも凄まじい威力を発揮した。これは、兵器として利用されると大変なことになるが、実験助手に化けた怪人20面相によって奪い取られた。小林少年は、実はこの装置の開発には亡くなった羽柴財閥の先代が援助しており、実は完成しているという噂があると明智小五郎に説明している。その頃、遠藤平吉(金城武)は、サーカスで超人的な演技を見せていた。ここは、第二次世界大戦が回避された世界。1949年、日本は強大な軍隊の力と、厳しい階級社会となっている。資産家たちの財産を盗み貧しい者に配る怪人二十面相と探偵明智小五郎の対決が世間を賑わしている。ある日カストリ雑誌の編集者(鹿賀丈史)が、平吉を訪ねてくる。羽柴財閥令嬢の葉子(松たか子)と男爵明智小五郎(仲村トオル)との婚約式の模様を盗み撮りして欲しいと言うのだ。明智のもとに、怪人二十面相からの脅迫状が届く。婚約式の会場に飾られているバベルの塔を描いた模写の絵画を当日盗むというのだ。一石二鳥じゃないかと不敵に笑う明智小五郎。
高層の羽柴ビル最上階ホールで式が始まった。天井のガラスに張り付いた平吉がカメラのシャッターを押すと、中層階で爆発が起きて、ホールは大混乱に。明智の助手の小林少年が平吉を見つける。ガラスを射撃し、床に落下した平吉は逮捕される。内務省の取り調べは過酷な拷問だ。傷ついて独房に入れられた平吉。近くに収監されている男が、自分は20面相の素顔を見たことがあるから、平吉は違うという。男の言う特徴は、カストリ雑誌の編集者そのものだ。初めて平吉は嵌められたことに気がつく。
移送車に乗せられる平吉。しかし、車が橋に通りかかったときに、橋が壊され、平吉は奪還される。平吉を助けたのは、サーカスのカラクリ職人の源治(国村隼)だ。彼の本職は泥棒で、共同生活を送る泥棒村の仲間たちの手伝いで大がかりなカラクリを仕掛けたのだ。しかし、平吉は、泥棒なんて卑怯で、仲間を平気で裏切る最低の人間で、怪人二十面相と同じだと言って去る。しかし、泥棒村を出て、闇市をうろついていると、至る所に怪人二十面相遠藤平吉の写真入りの指名手配のビラが貼られている。追いかけられ逃げていると、サーカス団で働いていた孤児で、平吉を兄貴と慕うシンスケ(今井悠貴)に会う。彼は、身寄りのない子供たち数十人を守っていた。
シンスケたちを救うためにも、泥棒になると源治に頭を下げる平吉。源治は、泥棒村に伝わる泥棒ノートを平吉に貸す。怪人二十面相も学んだというその泥棒術を、自分は習得できなかったが、平吉ならマスターできるのではと言うのだ。サーカスで超人的な運動神経と奇術の器用さを持っていた平吉は、凄いスピードでマスターしていく。ある日、トレーニングで街を走っていると、羽柴葉子が、怪人二十面相に追いかけられているところを見つける。怪人二十面相と戦う平吉。さすがに、その時点では、二十面相の方が技術は上だ。しかし、何とか、葉子を助け出し泥棒村に連れていく。財閥令嬢の葉子のあまりの浮世離れに驚く平吉、源治、源治の妻菊子(高島礼子)。しかし、怒った平吉が、シンスケたち孤児たちが生活するバラックに置き去りにすると、翌朝、孤児たちに炊き出しをし、今後自分が何をすればよいか分かったと言う葉子に、平吉は好意を持つ。
明智小五郎邸の、電線を切る源治の仲間たち。小林少年の修理依頼の電話に、電気会社を装って、邸に入り込む平吉と源治。バビロンの塔の複写絵を探し廻る二人。菊子と孤児たちは、シスターと聖歌隊に化け、小林少年を玄関に釘付けにする。一方、葉子も、明智小五郎を何とか、自分の家に引き留めようと下手な芝居を打っている。何とか、絵を見つけ修理完了を装って、邸を脱出しようとした瞬間、明智が帰宅。感のいい明智は、二人を捕まえる。縛られた二人の前で、明智の詰問に真相を告げる葉子。怪人20面相が狙ったこのバビロンの塔の複製画に、無線電送装置の隠し場所の秘密があるのではと思って、平吉たちに協力してもらったのだと説明する。なぜ自分に相談しなかったのだと聞きながら、反対する小林少年を押し切って、協力してこの謎を解こうと言う明智。平吉は、この絵の下に何かヒントが書かれているのではという。それを透かし見ることのできる装置は、帝都にたった一台。陸軍研究所にある。
明智に化けた平吉は怪人20面相から装置を盗むという脅迫状を理由に警備が厳重な陸軍研究所に入る。そして、本物の明智が現れ、騒ぎを起こしているうちに、バビロンの塔の複製がの下絵を写し取ることに成功する。それは、葉子が祖父から貰った寄木細工の図面であり、それを鍵に使い、羽柴ビルの最上階ホールの床の模様でもあった。果たして、平吉と葉子明智たちは、無線伝送装置を発見し、破壊することができるのか・・・?
原作読んだことはないが、なかなか脚本も出来ているし、49年の帝都というCGによる作り込みも虚構という前提でよく出来ている。そういう意味では、「私は貝になりたい」の焼け跡の光景は手抜きもいいところだ。ただ、怪人二十面相の姿は、どこかで見たまんまで、もう少し、考えて欲しかったなあ。扮装だけでなく、飛び方まで・・・。ハリウッドからパクったアジア映画に見えてしまうのが、もったいない。
アンドリュー・スタントン監督『WALL・E/ウォーリー(400)』
ストーリーは誰でも知っていると思うし、面倒なので書かない。一言でいえば、地球に人間が住めなくなってからも、ずっと未来のこと、散乱するゴミやガラクタを片付けるロボットが一台、そこに、地球から脱出した宇宙船から探査ロボットがやってくる。旧型のロボットと最新型のロボットのラブストーリー。今年見たハリウッド映画の中では、一番いいかもしれない。ひょっとして、役者のギャラが高すぎる弊害で、オールCGが一番安上がりなうえ、贅沢に制作できる方法なのかもしれない。
夏休み、台風、
素晴らしいなあ。子役たちの魅力がほとんどの部分を占めるが、若い現代の教師の役を妻夫木聡が好演している。6年で転校してきて中々溶け込めなかった甘利花(甘利はるな)が、「コドモのコドモ」に続いてとてもいいが、他の子供たちもPちゃんと6年2組を体験し成長しながら演じている姿が本当にいい。子供いいなあ。
新宿ピカデリーで、福澤克雄監督『私は貝になりたい(397)』
巣鴨プリズンに収監された。同室だった大西(草彅剛)は、翌日別ブロックに移り、深夜処刑される。
豊松は、最初、房江に判決のことを知らせていなかった。しかし、教誨師の小宮(上川隆也)が手紙を出す。二人の子供を連れ上京し、面会する房江。それから、房江は、助命嘆願書への200名の署名を集め始める。田舎で、戦犯を助けることへの抵抗は想像以上に強い。しかし、乳飲み子を背負い雪の中を
頭を下げ続ける房江。
200名の署名を集め、再び面会する房江。同房で英語に堪能な西沢(笑福亭鶴瓶)の助けで米大統領への手紙を出し、サンフランシスコ条約締結の準備が始まり、死刑の執行が長い間されていないのは、判決が見直される予兆だと巣鴨内では囁かれていることもあり、豊松の表情は明るい。房江も、町内にもう一軒床屋が開店する話があるので、散髪台を新調すると言って、豊松を驚かす。
豊松と西沢の房に、MPがやってくる。豊松にブロックを移れと言う。死刑囚、無期刑、有期刑などの房は分けられているのだ。助命嘆願が受け入れられたと、泣いて喜ぶ豊松、西沢、死刑囚の房全体が、豊松を祝福する声は唸りのように響いていた。しかし、別室に連れていかれた豊松への宣告は、180度違うものだった。今日の24時に絞首刑が執行されるのだ・・・。
中居正広頑張っているなあ、でもSMAP中居としては頑張っているというカッコが着いてしまう。橋本忍の脚本がいくらよくて、製作費を増やしても、今のお茶の間とか、テレビ文化の枠の中でしか楽しめない映画。ひょっとすると、世界にあの時代の日本を訴えることができる企画だったのに、もったいないなあ。「チェチェンへ アレクサンドラの旅」を見た後だけに本当にそう思う。
植田尚監督『特命係長 只野仁 最後の劇場版(398)』。
その後、只野は会長に呼ばれ、
しかし、投げナイフの名手や、巨大な男に阻まれ、只野は、シルビアを誘拐されてしまう。フラワー・アース・フェスティバルまであと時間はわずか。シルビアを救いだし、お台場の会場に連れていくことができるのか?また、この策略の黒幕は一体誰か?
テレビドラマの10倍予算があれば、映画になるのかということを思ってしまうが、まあ、この映画をお金払ってみる人は、そんなこと気にしないだろうし、テレビと同じ方がいいんだろうな。しかし、それで製作委員会は出資に見合った収入があったのだろうか。「私は貝になりたい」と一緒で、映画業界を馬鹿にしていながら、映画コンプレックスのあるテレビ屋主導の映画って、儲かるんだろうか。万が一儲かっているとして、儲け以外の何かを生み出しているのだろうか。
佐藤嗣麻子監督『Kー20 怪人二十面相・伝(399)』。電磁波の無線電動装置の公開記者発表が行われている。どこでも電線なしに、電力を送られるという画期的な装置は、小型模型でも凄まじい威力を発揮した。これは、兵器として利用されると大変なことになるが、実験助手に化けた怪人20面相によって奪い取られた。小林少年は、実はこの装置の開発には亡くなった羽柴財閥の先代が援助しており、実は完成しているという噂があると明智小五郎に説明している。その頃、遠藤平吉(金城武)は、
高層の羽柴ビル最上階ホールで式が始まった。天井のガラスに張り付いた平吉がカメラのシャッターを押すと、中層階で爆発が起きて、ホールは大混乱に。明智の助手の小林少年が平吉を見つける。ガラスを射撃し、床に落下した平吉は逮捕される。内務省の取り調べは過酷な拷問だ。傷ついて独房に入れられた平吉。近くに収監されている男が、自分は20面相の素顔を見たことがあるから、平吉は違うという。男の言う特徴は、カストリ雑誌の編集者そのものだ。初めて平吉は嵌められたことに気がつく。
移送車に乗せられる平吉。しかし、車が橋に通りかかったときに、橋が壊され、平吉は奪還される。平吉を助けたのは、サーカスのカラクリ職人の源治(国村隼)だ。彼の本職は泥棒で、共同生活を送る泥棒村の仲間たちの手伝いで大がかりなカラクリを仕掛けたのだ。しかし、平吉は、泥棒なんて卑怯で、仲間を平気で裏切る最低の人間で、怪人二十面相と同じだと言って去る。しかし、泥棒村を出て、闇市をうろついていると、至る所に怪人二十面相遠藤平吉の写真入りの指名手配のビラが貼られている。追いかけられ逃げていると、サーカス団で働いていた孤児で、平吉を兄貴と慕うシンスケ(今井悠貴)に会う。彼は、身寄りのない子供たち数十人を守っていた。
シンスケたちを救うためにも、泥棒になると源治に頭を下げる平吉。源治は、泥棒村に伝わる泥棒ノートを平吉に貸す。怪人二十面相も学んだというその泥棒術を、自分は習得できなかったが、平吉ならマスターできるのではと言うのだ。サーカスで超人的な運動神経と奇術の器用さを持っていた平吉は、凄いスピードでマスターしていく。ある日、トレーニングで街を走っていると、羽柴葉子が、怪人二十面相に追いかけられているところを見つける。怪人二十面相と戦う平吉。さすがに、その時点では、二十面相の方が技術は上だ。しかし、何とか、葉子を助け出し泥棒村に連れていく。財閥令嬢の葉子のあまりの浮世離れに驚く平吉、源治、源治の妻菊子(高島礼子)。しかし、怒った平吉が、シンスケたち孤児たちが生活するバラックに置き去りにすると、翌朝、孤児たちに炊き出しをし、今後自分が何をすればよいか分かったと言う葉子に、平吉は好意を持つ。
明智小五郎邸の、電線を切る源治の仲間たち。小林少年の修理依頼の電話に、電気会社を装って、邸に入り込む平吉と源治。バビロンの塔の複写絵を探し廻る二人。菊子と孤児たちは、シスターと聖歌隊に化け、小林少年を玄関に釘付けにする。一方、葉子も、明智小五郎を何とか、自分の家に引き留めようと下手な芝居を打っている。何とか、絵を見つけ修理完了を装って、邸を脱出しようとした瞬間、明智が帰宅。感のいい明智は、二人を捕まえる。縛られた二人の前で、明智の詰問に真相を告げる葉子。怪人20面相が狙ったこのバビロンの塔の複製画に、無線電送装置の隠し場所の秘密があるのではと思って、平吉たちに協力してもらったのだと説明する。なぜ自分に相談しなかったのだと聞きながら、反対する小林少年を押し切って、協力してこの謎を解こうと言う明智。平吉は、この絵の下に何かヒントが書かれているのではという。それを透かし見ることのできる装置は、帝都にたった一台。陸軍研究所にある。
明智に化けた平吉は怪人20面相から装置を盗むという脅迫状を理由に警備が厳重な陸軍研究所に入る。そして、本物の明智が現れ、騒ぎを起こしているうちに、バビロンの塔の複製がの下絵を写し取ることに成功する。それは、葉子が祖父から貰った寄木細工の図面であり、それを鍵に使い、羽柴ビルの最上階ホールの床の模様でもあった。果たして、平吉と葉子明智たちは、無線伝送装置を発見し、破壊することができるのか・・・?
原作読んだことはないが、なかなか脚本も出来ているし、49年の帝都というCGによる作り込みも虚構という前提でよく出来ている。そういう意味では、「私は貝になりたい」の焼け跡の光景は手抜きもいいところだ。ただ、怪人二十面相の姿は、どこかで見たまんまで、もう少し、考えて欲しかったなあ。扮装だけでなく、飛び方まで・・・。ハリウッドからパクったアジア映画に見えてしまうのが、もったいない。
アンドリュー・スタントン監督『WALL・E/ウォーリー(
ストーリーは誰でも知っていると思うし、面倒なので書かない。一言でいえば、地球に人間が住めなくなってからも、ずっと未来のこと、散乱するゴミやガラクタを片付けるロボットが一台、そこに、地球から脱出した宇宙船から探査ロボットがやってくる。旧型のロボットと最新型のロボットのラブストーリー。今年見たハリウッド映画の中では、一番いいかもしれない。ひょっとして、役者のギャラが高すぎる弊害で、オールCGが一番安上がりなうえ、贅沢に制作できる方法なのかもしれない。
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