2009年3月18日水曜日

昔の名前で出ています。

    
   午前中は東銀座の映画会社にいる友人のところへ、今立ち上げ準備をしているプロジェクトの相談に。渋谷に出て、散髪の後に、映画監督,VJ&DJの若い友人と久し振りに。クラブイベントやらなんやかや毎回誘ってくれていたのに、年と共にどんどん夜は弱くなって、ご無沙汰だった。いい感じでいろんなことをやっているなあ。刺激を受ける。最近50年位昔の映画ばかりで、枯れ過ぎかと、ちょっとだけ反省し、ヒューマントラストシネマ東急文化村通りで、『エリートヤンキー三郎)』を観ようとするも、既に朝一回の上映に変わっており、仕方なしに

    TOEI②で宮藤官九郎監督『少年メリケンサック(161)』
    メイプルレコードの新人発掘担当の栗田カンナ(宮崎あおい)は、今日付けで契約が切れ退社の予定だった。明日からは、父親(哀川翔)の回転寿司屋で働くしかないのだ。しかしネットで、少年メリケンサックというパンクバンドの「ニューヨーク・マラソン」という曲のライブ映像を見つけ、社長の時田(ユースケ・サンタマリア)に見せたことで契約延長が認められる。癒し系のアコースティックやギターバンド、或いは看板アーティストのタクヤが所属するメイプルレコードだが、実は社長はタクヤとパンクバンド近親憎悪を組んでいたのだ。彼らと契約しアルバム1枚を出すことが社長命令だ。契約出来ればディレクターにしてやると言われる。カンナは、シンガーソングライターの年下の彼氏のマーくん(勝地涼)に、ディレクターになれるかもしれないと報告すると、頑張れと言って、カンナのために作ったという曲を歌ってくれた。
     彼らのホームページを見つけ電話をしてみると会うことに。高円寺の居酒屋?に出掛けると、アキオ(佐藤浩市)はいたが、酔っ払いで浮浪者のような50オヤジだ。本人だとは信じられないカンナが、ホームページの86年と言う生年月日を指すと、生年月日ではなく解散した年で、25年前に解散したバンドだった。その事実を伝えようと社長に電話をすると、既に会社のホームページに乗せたところ、十万アクセスを超え、全国のライブハウスから出演以来が殺到し、ツアーも決まりつつあると言われ、何も言えなくなる。
   困ったカンナにアキオは、再結成してやってもいいと言い、その代わりオリジナルメンバーを集めて来いと命ずる。カンナは、宮城の実家に帰っているアキオの弟ハルオ(木村祐一)に会いに出掛ける。しかし実家の酪農を継いだハルオは、その気はないといい、兄のアキオに父親が亡くなったと伝えてくれと言う。アキオに投げつけられた牛糞まみれになりながら、辞めることもできないカンナ。
   スタジオのリハーサル。ドラマーは自分でセットも満足に組めないヤング(三宅弘城)、車椅子でスタジオに連れてこられて、満足に話すことも出来ないボーカルのジミー。大口を叩いていたアキオも、久し振りなのか、ギターのカッティングもしょぼ過ぎる。「ニューヨーク・マラソン」さえ、満足に通して演奏出来ない3人のメンバーは、スタジオのモニターミキサー(UGギターウルフ)に鼻で笑われる始末だ。しかし、ギブソンのギターケースを持ってハルオが現れる。とりあえず、一曲通して演奏出来ただけだが、カンナは、少し興奮する。
   そしていきなり、全国ツアーがスタートする。グリーン車使用の筈だったが、スタジオで経費を使い過ぎたので、カンナの実家の回転寿司屋"栗ちゃん"の軽トラックで出発だ。名古屋のライブハウスは、ジミーとハルオが参加しメジャーデビューしていたアイドルバンド少年アラモードが出演した時に、小屋のローディーだったアキオと、地元の暴走族だったヤングが、ライブをボコボコにして、パンクバンド少年メリケンサックを産みだしたライブハウスだった。ウェブの動画で集まった名古屋のパンクスたちの前に現れたのは、ロクに演奏も出来ない、くたびれた中年たちだった。満員の客も、社長も、最高に盛り上がっていた気分は、最悪なものとなり、いたたまれないカンナは、ライブハウスから走って逃げだす。名古屋の場末の立ち飲み屋で酔いつぶれているカンナ。店の主人に携帯が鳴リ続けていると起こされる。夢の中では、演奏は酷くても、これがパンクな生き方だと社長に褒められていたが、現実には、荒れ果てたライブハウスに戻ると、破損の弁償代は社長が払うが、ツアーのキャンセル料は払わないので、このままツアーを続けて、戻ってきたら首にしてやると言われる。
   大阪では、メイプルレコードの売れ筋のギターバンドGOAの前座に格下げになっている。GOAのメンバーはファンでしたと言っていたが、実際に少年メリケンサックの酷い演奏に、金のために再結成したのか、老醜だと鼻で笑う。そんなことを言われても、腰は痛く、息も上がったアキオたちは、何も言い返すこともできない。しかし、ハルオはGOAのステージに上がり、メンバーたちを暴行する。警察からは事情聴取を受け、マーくんとご飯を食べようと約束していたカンナは、それどころではない。
   広島に向かう軽トラの中で、どんどん気分が荒んでいくカンナ。中年男たちの下品で臭くて無神経な発言や行動にブチ切れ続きだ。限界に達したカンナは、逃げ出し岡山でライブをしているマーくんの元に走る。アキオたちは、なんとか広島に着くが、ガス欠になり、楽器を持って商店街を走り回るが、どうしても目指すライブハウスにはたどり着けない。マーくんのライブを聞きながら、アキオたちに言われた、オメーの彼氏の音楽には何もないから無臭なんだと言われたことを思い出している。最後まで聞かずに、広島までタクシーを飛ばすカンナ。
   やっと、演奏らしいものになってきた少年メリケンサックのメンバー。客席のパンクスたちも盛り上がっている。夏祭りでの演奏も子供たちに大人気だ。カンナは、バンドメンバーのインタビューをビデオに撮りながら、社長宛に企画書を送る。いよいよ、アキオとハルオの出身地の仙台だ。25年前、アキオとハルオの確執が頂点に達し、仙台で解散したのだった。一旦、東京の自分の部屋に戻ると、マーくんと、マーくんのバイト先の女子高生がベッドにいる。
   徐々に、当時のことを思い出し始めるメンバーたち。かってハルオが童貞を捧げた、アキオの女(烏丸せつ子)とむかしのアキオそっくりの息子と再会したハルオ。アキオにされた数々の仕打ちを思い出しながら、ハルオの細い目は怒りに満ちている。ライブも絶好調、更に携帯に社長から、テルヤとのバーターでテレビ出演も決まったと聞いてカンナの目には涙が浮かぶ。しかし、終盤に、アキオの息子が見にきたところで、アキオとハルオの中で、25年前の感情がリセットされる。
   エンディングに楽器で殴り合い、アキオは左手を、ハルオは右手を骨折している。深夜の病院の待合室で、これでまた終わったと黙り込むメンバーとカンナ。ヤングは、また辞めるのかよと言いだし、続けようよ、また25年後では、みんな死んでいるかもしれないと叫ぶ。あんたたち馬鹿よ、テレビ出演も決まっていたのにと言うカンナに、微妙に反応するアキオとハルオ。渋谷宮下公園で歌っているマーくん。バリカンを手に襲撃するカンナ。
   テレビ局のスタジオ、テルヤがリスペクトするバンドとして紹介され、登場する少年メリケンサック。アキオとハルオは二人で同じギターを弾き、ベースには、異様な髪型をしたマーくんの姿が・・・。
    
   好きか嫌いは好み分かれるだろうが、馬鹿で貧相で幸薄い感じの娘カンナは、宮﨑あおい嵌り役。今の若手演技派女優NO.1とか、心にもない(誰にでもそういう惹句をつける時点でそう思う)ことを言う人間たちを裏切るには物足りない。ちっぽけな日本のお茶の間文化を、少しでも早く飛び出して、チャン・ツィイーを超えてほしい(笑)。
   随分前に買っていた前売り券が切れる前で良かった。今日は公開最後のレディースデーだからか、結構入っていて驚く。製作黒澤満のセントラルアーツだったんだな。そう思うと、少し採点は甘くなってしまう。実際楽しめたが、パンクロッカーたちのカメオ出演は微妙。老醜を曝して何の意味があるんだろうか。いや、自分が年を取ったんだなということを再認識させられるということか。

    夜は、高円寺の沖縄料理きよ香で、後輩で辞め同期のSと、島ブドウに泡盛。

0 件のコメント: