昼から講義2コマ。卒業アルバム用に写真を撮ってもらう(苦笑)。
銀座シネパトスで、「日本映画レトロスペクティブ-PART6-」~喜劇 みんなで笑い初め!~
64年東京映画佐伯幸三監督『喜劇駅前女将(24)』
両国にある酒屋吉良屋の女将満子(森光子)が電話をしている。「お義姉さん!うちの人が兄さんとお相撲を見に行っているけど、銚子の叔父さんと和夫ちゃんが来ているので、そっちに寄ったら帰るように言って下さい。」電話をしている先は、柳橋の孫寿司の女将千代(京塚昌子)だ。吉良屋は、吉良上野介に贔屓にされた三百年の歴史を持つ老舗である。吉良屋の居間には銚子で漁師をしている力造(加東大介)と息子の和夫(峰健二→峰岸徹)がいる。
その頃、吉良屋の主人徳之助(森繁久彌)は、義兄の孫作(伴淳三郎)を連れて錦糸町の裏通りにあるバー凱旋門にやって来ていた。色気たっぷりのバーのマダム藤子(淡路恵子)に、徳之助は入れあげ、ダブルの高級ベッドを買ってやっていた。藤子の色香が気になる孫作。
満子の弟の次郎(フランキー堺)は、孫寿司で板前修行をしているが、腕は一向に上がらない。しかし置屋菊太郎の芸者染太郎(池内淳子)とは相思相愛の仲だ。早くに店仕舞いの支度をしている孫寿司に、染太郎がお腹が空いたと駆け込んで来た。次郎は染太郎を隣りの中華料理屋の六十番に入る。しかし六十番の主人大沢鶴吉(山茶花究)も店仕舞いをしている。「随分早いね」「ワタシ、一人でやっているから、風呂に行くヒマもない。銭湯に行こうと思っているヨ。もう10日も風呂入ってないヨ」嫌な顔をする染太郎だが、じゃあ、ラーメンを自分で作るからと次郎。銭湯に送り出し「ここは旨いが、不潔だからなあ」と言う。麺を纏めて湯に入れ、丼にスープを入れる。目分量で入れた麺は凄い量に膨らみ、丼に山盛りだ。シナチクやチャーシューを入れようとすると、何故か鶴吉が戻って来て、戸を開け「チャーシューは二枚ヨ」と声を掛ける。「はい、薄いチャーシュー二枚ね」と答えるが、出掛けてしまえばこちらのものだ。再び戸が開いたので、「はいはい薄いチャーシュー二枚ね」次郎が、顔も見ずに生返事をすると、クリーニング屋の山本平助(三木のり平)だ。次郎がせっかく染吉に食べさせようとしたチャーシューを横取りする山本。主人がいる時に届けないと、代金を払って貰えないのだと言いながら、次々にチャーシューを横取りする山本。しかし山本は、醤油かラー油の瓶を倒し、せっかく持ってきた鶴の白衣と次郎の白衣を汚してしまい、洗濯して来ると持って帰る。
夜遅く、吉良屋に酔った徳之助が帰って来た。「あんた今までどこ行っていたの?」「孫さんに強引に誘われちまって」「銚子の叔父さんが和夫ちゃんを連れていらしているのよ。せめて電話だけもしてくれれば!!」「叔父さんは?」「もうとっくに寝ちゃったわよ」「そうか…」「藤子さんと呑んでいたの?」「えっ!?」「あんたデパートから、こんなダブルベッドの配達証明書が届いているわよ!?足立藤子って誰なの?」「お前は俺を信用出来ないのか?」「前科があるじゃないの!?」「お前は警察か?これは違う。実は頼まれて名前を貸したんだ」「そんな見え透いた嘘を!!誰に貸したか言えないの!!」「しょうがないなあ。孫さんだよ」「えっ?兄さんが!!お義姉さんに言った方が」「それは、へんな波風立てない方がいいに決まっている。絶対秘密だぞ!!」「ごめんなさい。ワタシ焼き餅妬いちゃって…」「いいんだよ、お前。今の俺にはお前だけに決まっているじゃないか」「うっふん」
久しぶりに夫婦がいい感じになったところに、起きて来た力造がバツの悪そうに「あっ悪かったな、酒を少し飲めればと思ったんだ」救われた徳之助「いや、おい酒持って来い」すっかり機嫌を取り戻した光子が台所に行くて、「すみませんでした。」「和夫ちゃんは?」「模擬試験だって言うで、付いてきたんだ。もう来年は大学生だよ」「大学生か…」小指を立て「いや実はそれだけじゃなくてこっちのほうも(笑)…。川のあっち側は最近どうだい?悪いけど、明日付き合ってくれ」「明日ですか…」藤子と約束でもしていたのか、ちょっと歯切れの悪い徳之助。
翌朝、珍しく徳之助が店頭にいると、飲み屋の女が酒を買いに来る。ミカンの缶詰めか何かを黙って渡す徳之助。そこに町会の?がやって来て、ハンコ屋の爺さんが、吉良屋の家作を、子供たちの相撲道場に貸してくれと言う話の返事の催促に来た。町会長のところに行ってくると、そそくさと出掛ける徳之助。
満子が力造と、店の前に立っていると、ハンコ屋の孫娘の由美(大空真弓)が、祖父の唯一の楽しみの酒を買いに空の一升瓶を下げて来る。勤めの帰りに取りにくるのだ。店の前で、野球のユニフォームを着た山本の娘が車にはねられた。大したことはなくて光子は胸を撫で下ろす。吉良屋の裏の山本クリーニング店の平助と妻の京子(乙羽信子)には、7人の子供がある。親子で野球チーム、両国アイロンズを作っていて、週末は皆で試合なのだ。
両国駅に、景子(淡島千景)の姿がある。出迎えに来た染太郎と、菊太郎姐さん(沢村貞子)。「よく来てくれたね。変わらないね」「20年振りだから浦島太郎だわ」景子と染太郎は実の姉妹だった。二人とも柳橋で芸者をしていたが、戦争中徳之助と孫作が、召集の間に、結婚して大阪に行っていたが、未亡人となり、帰って来たのだ。東京見物をしながら帰ろうと金太郎の勧めで、水上バスに乗る三人。両国の水上バスの停留所で、染太郎に手を振っている由美の姿がある。「知り合い?」「学校の同級生で、親友なの…」由美は、停留所で切符売りをしているようだ。三人が錦糸町にやって来る。店を始めようという景子に、菊太郎はいい空き店があると聞いて連れて来たのだ。バー凱旋門の前で、孫作に会う。孫作は、この店の持ち主がハンコ屋の爺さんで、相撲道場をやるところと交換でなければ、貸してくれないと言って、一肌脱ぐと約束する。
その夜、銚子の叔父と、徳之助、孫の三人はお座敷で、芸者相手に、新ネタ二百三号地を見せていた。幸子が両国に帰って来ていると孫作から聞いて、気もそぞろな徳之助。
62年東京映画久松静児監督『喜劇駅前温泉(25)』
蒸気機関車が山を登ってくる。猪苗代湖らしき光景。岩代熱海駅に、沢山の観光客が降りてくる。5、6人の旅館の客引きが声を掛けるが、全員バスかタクシーで磐梯温泉に向かうのだ。駅前温泉街は、観光の目玉に欠け苦戦していた。番頭たち「このままじゃ、駄目だな」「今、観光協会で理事たちが相談しているんだろう」
駅前温泉観光協会。理事長の伴野孫作(伴淳三郎)が、かなりのズーズー弁で捲し立てている「いい、アイディアがなければ、この300年の歴史を持つ駅前温泉は駄目になる。やっぱり、一大温泉施設を作り、トルコ風呂から、人魚風呂サ作って・・」「人魚風呂って何だべ?」「裸の女が按摩のサービスをするんだ。アンマ屋主人きよ(赤木春恵)「うちの子たちにぜひやらせて下さいネ」芸者置屋金太郎姐さん(沢村貞子)「そんな下品な!!」孫作「前から、あんたんところの芸者にストリップやってくれと頼んでるでねえか」「お金はどうする?」「これを観光協会の一大事業として、半分のお金を会員に出して貰う。お金のない人は借金サしてもらうんだ」そこに、前理事長の吉田徳之助(森繁久弥)がやってきて「そんな低俗な企画は、絶対認めないぞ。そもそも三百年の歴史を持つこの伝統ある温泉を、低俗下劣な観光地にしてたまるものか。温泉はあくまでも、温かい温泉と人情、それが売り物なのであり・・・」「そんなこと言っているから、どんどん寂びれていくんでねえか」犬猿の仲の孫作ろ徳之助は喧々諤々でやり合い、揉み合っている。「くそ!!今日は流会だ!!!。おい!!事務局員何してる?」観光協会の事務局員の坂井次郎(フランキー堺)「では、よろしかったら、お蕎麦でも食べて」徳之助「観光協会の蕎麦など食べたら、腹をこわす」理事たち笑う。次郎「あっ、そろそろ下りの汽車が着く頃だっぺ」
磐梯温泉に向かう観光客が駅前から姿を消した頃、駅舎からこの街には場違いに都会的な女(淡路恵子)が出てくる。番頭たちが群がるが、「ほら、強引な客引きをすると、お客様が迷惑サしてるでねえか」と次郎は言って、「この温泉にお泊りですか?私観光協会の者ですが、ご案内させていただきます」と女をタクシーに乗せる。
駅前シリーズは、やっぱり個人的には、久松静児監督の映画だな。ドタバタの中に、ちょっと泣かせる要素がある。まあ、お涙頂戴に子役の使い方が上手いということもあるんだろうが。
大門の歯医者に行き、インプラントの調整をして帰る。
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