シネマヴェーラ渋谷で、消えゆく曽根中生!?
82年にっかつ曽根中生監督『悪魔の部屋(18)』
小田急線が前を通る高級マンション。電話が鳴り、新妻伏島世志子(中村れい子)が受話器を取る。「はい、もしもし」「伏島課長の奥さんでいらっしゃいますか?。私シルバー興業株式会社企画課の中村と申します。課長から出張に戻って食事をすることになっているので、迎えに行くよう申しつかりました。ホテルニューシルバーの最上階のお部屋もお取りしてあります」「はい」「では30分程後に迎えに伺います」「30分後ですね」
マンションに迎えに来た中村と言う男(ジョニー大倉)は茶色いスーツを着て、きっちり七三髪で、眼鏡わかけた真面目そうな会社員だった。タクシーで、待ち合わせだと言うホテルニューシルバーに行く間、「奥様は24歳だと、課長から伺いましたが、どうしてお知り合いになったんですか」「主人の妹と同じ大学だったんです」「新婚3ヵ月か、こんな綺麗な奥さん貰って課長は幸せだなあ」ホテルに着き、中村は2020号室の鍵を受け取り「ご案内します」「いえ、お部屋の鍵を頂けば自分で参りますわ」「いえ、仕事ですから…。」
2020号室のドアを開け、世志子を中に入れると、中村は鍵を閉める。何か不安の表情を浮かべる世志子に、「あんた幸せかい?」「あなた、一体誰なの?寛之さんの会社の人じゃないの?」「あんたの旦那の部下じゃないことだけは確かだな。だから中村でも、鈴木でも、佐藤でも、良かったんだ。だから、いくら待っても旦那は来ない。今日から、ここで俺と暮らすんだ」「あなた、このホテルの持ち主を知ってるの?私の主人の父です」「だから誘拐したんだ」締めていたネクタイを持つ男を見て「殺すのね!?助けて!!」世志子の頬を打ち、床に転がす男。倒れた世志子を引きずり、ベッドルームに連れて行く男。「やめてください!!今帰してくれたら、誰にもいいません!!警察にだって!」抵抗虚しく、陵辱される世志子。
その頃、東京駅に着いた夫の寛之(堀内正美)が、青電話から家に電話をするが、勿論誰も出ない。
世志子が気がつくと、男はシャワーを浴びていた。部屋の電話が繋がっていることを確認し、身にまとう物を探し逃げようとすると、「無駄なことはしないほうがいい」と男が出て来た。「これで帰宅すれば、何事も無かったと、寛之に取り繕えると思っているかもしれないが、俺は何があったかを全て話してやる。そうしたら、あんたの夫は二度とあんたに触れないだろう」唇を噛み涙を浮かべる世志子。「お腹が空いたわ、私は朝ご飯食べてから何も食べていないの…!?ジュースが飲みたい。」「ジュースなら冷蔵庫にあるだろう」「フレッシュースが飲みたいわ。食事もしたい」「我が儘だな。食べる物は何でもいいのか?」男はルームサービスを頼んでいた。「コーヒーもあるぞ」
食事を終えると「さあ、あんたの旦那に電話をするか」「止めて下さい」男は電話を掛け、寛之が出ると「あんたの奥さんを預かっている。俺はあんたの奥さんを犯した」信用しない寛之に、世志子をいたぶり声をださせ、「お前の親父とどうするか相談をしろ!俺の名前は、中戸川不時だと言え!!その間、お前のかわいい奥さんを、1日2回犯してやる。明日また電話をする!!」そして、ベッドに世志子を縛り付け、再び陵辱する男。
翌日、ベッドサイドの電話で、寛之に電話する男。「親父と相談したか」「さっきまで、ここにいた」「で、どういう結論になった!?」「警察にも届けない。探しもしない」「奥さんがどうなってもいいのか」「女房が帰って来るまで、待つと言うことだ!!いい加減にしろ!?」寛之が受話器を荒々しく切った。「聞いたかい?」「主人の周りには刑事たちが沢山いたのよ」「違うな、そうだったら、向こうから電話を切るなんてありえない」涙を浮かべる世志子を再び陵辱する男。
翌朝世志子「部屋の掃除を頼んで頂戴、ずっとシーツもガウンも同じものじゃ嫌だわ」巨人中日戦を見ていた男は「だいぶ苛立ってきたな。」フロントに電話をして「部屋の掃除を頼む。そしてルームサービスを頼む。フランス料理を二人前2012号室に」暫くしてテレビを消し「さあ行こうか!!」「?」部屋を出て廊下の向かいの2012号室に案内する男。
そこにはルームサービスが用意されている。「今日はここに泊まる。そして明日は向こうの部屋に泊まるんだ」「私は誰にも会わないのね」「何で俺がこんなにお金を持っているか不思議だろう…。指宿温泉って知ってるか?2カ月まで俺はそこの経営者だった。俺はこの計画を企てるに当たって、自分の旅館を売り払った。」その夜再び世志子を抱く男、しかし、世志子の反応は変わって来た。身体の底の変化を否定するかのように「わたし…指宿温泉って知っているわ…。行ったことはないけれど…。わたし、朝食に果物が食べたいわ…。そう、林檎が食べたいわ…」饒舌な世志子。
翌朝、世志子は林檎を剥いている。「かわいい人だ。あんたが煉瓦じゃないことが分かった。あんたの身体が俺に慣れて来ている」「違うわ!!私は諦めているだけよ!!」「それは、あんたの心が言っていることだろう。裏腹に、あんたの肉体と性感は、遥かに俺に慣れ始めている…」「止めて!!」「言ってやろうか!?濡れてただろう…」「止めて!!」果物を男に投げつける世志子。果物ナイフを手に立ち上がって「殺すわよ!!」揉み合いの末、果物ナイフを叩き落とすが、世志子は隠し持っていたフォークを男の腕に突き立てる。突き刺さったフォークを見て、我に返り「ごめんなさい」と言って、血を止めようと布を傷口に巻く世志子。「本当にごめんなさい。どうにでもして!!」「どうにでもして?」「殴るでも蹴るでも」「そうしたかったら、刺されて直ぐやっている。お前は謝ったから、今までのことは許してやる」泣きだす世志子。
67年日活鈴木清順監督『殺しの烙印(19)』
銃声、飛ぶ航空機。羽田国際空港、降りて来る花田五郎(宍戸錠)と真実(小川万里子)。タクシーに乗り込むが、運転手の春日義平(南廣)とは知り合いのようだ。「春日!久し振りだな」「隣の御婦人は?」「女房だ」「手を貸してくれないか?ドジを踏んで踏んで、組織を追い出された。何とか今回の仕事をやり遂げて、戻りたいんだ。花田が手伝ってくれれば、うまくやれる。報酬は500万だ」「やろう、俺も金が入り用なんだ」
バーのカウンター。困った顔のバーテン(長弘)に、花田「メシを炊けって言ってるんだ」真美「ライスのことよ。私はジョニ黒のダブル」酒を呷る春日「プロの寂しさに俺は耐えられなかった。酒と女は殺し屋の命取りだ。かってナンバーを持っていた俺は酒でしくじった」
組織の男藪原道彦(玉川伊佐男)は写真を出して「この男を防衛しながら、あるところまで運んでくれ。これは250万、残りは後で。殺し屋NO.3の腕に相応しい仕事だろう。車は品川に回しておく。1度はここに電話をして欲しい」とメモを見せると、燃やしてしまった。」
花田は、厨房で、料理人の不審な視線を受けながら、ガス炊飯器の湯気が出ているのを恍惚とした表情で見つめている。バーでは薮原は真美の身体を弄っている。「嫌な癖。ぞっとするわ、飯の炊ける臭いが、何よりも好きだっていうんだから・・・。」
春日を連れた花田が、組織が用意した車のところに行くと、後部座席に額を撃ち抜かれたばかりの死体がある。「車を運んできた男だろう」「どうする?」「しょうがない、このまま運んで、あっちで捨てよう。これだけの恐ろしい腕だ。心あたりはあるか?」「プロNo.2の佐倉か?No.4の高・・・。でなければ、No.1か?」「幻のNO.1か・・・」
沖合のクルーザーから、アクアラングを付けた男が海に飛び込む。どこかの埠頭で海からあがる。男(南原宏治)を後部座席に乗せ、「気にしないだろうから言うが、あんたの座っているところには、少し前まで死体が座っていたんだ」顔色ひとつ変えない男。春日が運転し、助手席に花田が座り、車を走らせていると、尾行する車がある。「もっとスピードを出せ」
緊迫感が高まり、春日はウィスキーのポケット瓶を取り出し、口にする。花田は止めろと言うが、手が震えると言うのだ。左折してすぐ停めろと花田が言う。急停車した助手席から、花田が飛び出すと、尾けてきたと思っていた黒い車は、若い連中が大騒ぎしながら、走り去った。春日は酒のためピストルが握れなくなっていた。
花田は運転を変わり指示された山道を進む。先にある洋館の屋上に人影がある。仕掛けてくるのだろう。進路を車が塞いでいる。追突して停まると、撃ってきた。頼りの春日は、止めろと言っても酒を飲み続ける。クライアントを守れと春日を残し、走り数人を倒す。
吉祥寺バウスシアターでレイトショウ、松江哲明監督『ライブテープ(20)』
財布から5円玉(?)を出し、賽銭箱へ投げ、柏手を2回打つ娘(長澤つぐみ)。ピンク色の着物の着付けは素人目で見てもヒドい(苦笑)。着付けしてもらって外出し、どこかで脱いでしまったので、何とか自分で見よう見まねで着てみましたという感じ。初詣の参拝者の行列は長い。その横を娘は鳥居から出て行く。武蔵野八幡宮らしい。鳥居脇に、天然パーマ、黒サングラス、ヤマハのFGを下げた男が立っている。歌い始める。『18の夏』「失楽園で抜いてた…18の夏~♪」歩き始める。目の前の信号を渡りながら歌う。『豆腐』「♪豆腐のような毎日を~♪」
サンロードに入って『こころに脂肪がついちゃって』「♪こころに脂肪がついちゃって~♪」
ナチュラルハウスの前しゃがんで歌いだす、『100年後』「♪100年後、君と待ち合わせ。あの角の2階にある喫茶店で待ち合わせ~♪」バウスシアターの時計は、15時16分を指している。松江「今、82?120で!!」藤野「140で行く」
金子印店前からABC前の信号を渡り、再び『こころに脂肪がついちゃって』を歌いだす。サンロードを歩き始め、ホープ軒の路地に左折し、目の前の自販機でホットの飲み物を買い、手を温めながら飲む。松江「もうちょっとカッコ悪く。出せます?」「はい」『マン・ション』歌い始める。「♪~自動販売機で~♪」再びサンロードを歩き、伊勢丹方向に右折。松江「いつも、サングラスを掛けて歌っていますよね。今日はちょっと取りません?」一度手を伸ばすがいったん躊躇、しかし、思い切ってサングラスを外し、向こうから歩いてきた母子連れの男児に「あげるよ」と言って手渡す。
『このカラダ』を歌いながら、佐藤肉店の横を通り、いつの間にかハモニカ横丁に入って行く。二胡の奏者がいる。いつの間にか合奏になる。『ロマンスカー』歌っていると「めざましテレビ」の大塚さん似のおじさんが脇をすまなそうに通って行く。店の椅子に座り、フィンガーピッキング。再び歩き始め、バス通り、気がつくとポケットからサングラスを取り出し再び掛ける。『メッセージ』吉祥寺ロンロンの南北連絡路に入って行く。
南口カレー屋のシャッター前でアルペシオ。『ダンス』気がつくと横断歩道の先、ドトール前にサックスを持った男が立っている。いつのまにか、サックスとのデュオに。五日市街道を渡り、山梨中央銀行前に。カメラ信号が変わり渡れない。松江「前野さん!そこでサッドソング!!!」『sad song』歌い始める。カメラと松江追いつき、歩き始める「サングラス持ってたんですね。男の子にあげたちゃったのに。今回の段取りと違うんじゃないですか?」「いつも掛けて歌っているし・・。掛けないと見えない・・・。景色が見えないんだ・・・。」
武蔵野公会堂前で『青い部屋』を歌いながら歩く。立ち止り、松江入ってくる。「天気予報を作ったのはいつでしたっけ」「6年前?2001年?突然、父が心筋梗塞で倒れたっていうメールが母からあって・・・、倒れて死んじゃったって。親父がいきなり死んじゃって途方に暮れて・・・。その頃、歌をやり始めていた頃で。親父とのやりとりで、携帯ばっかいじっているという言葉が出て、一気に歌詞を書いた。」「お母さんは聞いているんですよね」「お母さん・・・聞いているんです」「何か言っています?」「健太らしくていいんじゃないのとメールが着て・・・。結構客観的で・・・」
月曜メンズ1000円のせいだか、祝日のせいだか凄い人だ。100人以上の入場だ。
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