2010年1月15日金曜日

帰り道は遠かった。来た時よりも遠かった

     昨年見た黒澤映画が「白痴」だけだったのを反省し、京橋フィルムセンターに「野良犬」を見に行ったのだか、小ホール入れなかった(苦笑)。肩を落とし京橋から日比谷まで歩き、

    TOHOシネマズみゆき座で、マイケル・ムーア監督『キャビタリズム マネーは踊る(23)』
    自由競争、アメリカンドリーム、自由主義、資本主義、議会制民主主義、グローバル化、日米安保、勝ち組負け組、(株式)市場、成長戦略…。
    古今東西のフッテージが使うことで、かなり許諾料がかかったろうが、表現は洗練されている。
   ローマ帝国時代の奴隷制度の上に成り立つ民主制と今の貧しき人々の映像をミックスさせた冒頭など、切なく笑える。中流だとか、頑張って勝ち組にと言う幻想を振り撒いていた、新聞、テレビと言ったメディア産業が、ジャーナリズムと言う羊の皮を被った狼と言うより、狼におもねる狐たちの嘘。結局、1%の人間の利益の為に誘導している現実。アメリカとは少し違うが、政治家、官僚、資本家が私腹を肥やし世襲する家族制度がくっついている分、日本の土着的な臭いが嫌悪感を覚える。
   自民政権をリセットせざる負えなくなったが、民主党では、もっとも政治的に狡猾で、角栄以来の中国シンパの小沢一人を排除出来れば、むしろ官僚や資本家、労働官僚たちにとってコントロールしやすい政権だという判断なのかもしれない。今の小沢叩きは、日中国交回復の角栄がロッキードで地に落ちたことを思うと、同じ虎の尾を踏んだのか。
   暫く、事業仕分けなどで、官僚たちは痛めつけられた振りをして、国民のガス抜きをした後で、財政難と少子高齢化への不安と、アジア新興国からの恐怖心を煽って、再び戦前がやってくるような気がしてならない。「それでも、日本は『戦争』をまたまた選んだ」になって欲しくないな。
    戦後日本の街頭テレビに提供された、“プロレス”エンターテイメント・ショウ。
    我々が楽しめるキャストがいる限り、演出家は変わらない。未来は、カリスマ的指導者を戴く国家社会主義に進むのか、一つのパイを人数で分けるムーア言うところの民主主義に進むのか…。
    金融資本主義と金融恐慌に関する映画ではなく、資本主義が民主主義イコールではなかったと言う映画なのだと自分は思った。
   しかし、アメリカのパイロットたちの収入が、2万$に満たないというのは凄い。日本なら月収だろうと思うが、勿論年収。女性機長がウエイトレスのアルバイトをしたり、貧困者向けの食事の配給切符を貰っていたり、売血したり。ハドソン川に無事に不時着陸させ、ヒーロー扱いされた機長の話は日本でも相当報道された記憶があるが、議会の公聴会で、パイロットの地位改善について訴えていた話しは、一切報道されなかったと思う。
    欧米の格安エアラインについて、光の部分のみ報道されているが、サービスなどのコストカットではなく、パイロットや整備関係者の低賃金と過剰労働によってなりたっているのだとしたら、マイケル・ムーアの言う通り、そんなエアラインには乗りたくない。やはり、アメリカ化=グローバル化の呪縛から逃れるべきだ。

   夜は銀座の居酒屋で、富山の後輩Kと、某FM局の東京支社長と久しぶりに飲み会。老舗居酒屋で、飲んだだけでは済まず、丸の内の串揚げ、気がつくと立ち呑み食い出来なくなっていて終了(苦笑)。東京駅始発の中央線なのに、気が付くと吉祥寺。帰り道は遠かった。

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