2008年12月16日火曜日

BGM;南沙織「17才」

   午前中は 赤坂のメンタルクリニック、不況の話は、盛り上がると言うのか盛り下がるというのか、仕事首になってメンタルクリニックに来る患者もいるらしい。日本は季節が変わるように、一挙に何でも冬のうすら寒い世の中に変わった。欧米と違って日本はバブル崩壊の経験があるから大丈夫と、少し前までみんな言っていた気がする(苦笑)。日本だけ良ければ円高が急速に進んで、車、家電厳しくなるのは誰でも分かるようなものだが。まあバブルで学んだといえば、風向きが変わったら、アメリカ的に直ちに人減らしして、利益率の下げ幅を圧縮して、企業防衛することだけは素早い決断して、町中に失業者溢れかえると言うことか。完全失業率も、職探しは、失業保険の間は、職安に通うが、支給が終わり次第職安から足が遠のき、お上は当てにならないので、自分で街を彷徨く限りは、失業者のカウントから外れる。何だか年金未払い者を数字の上だけ、除外して払込の率を改善したのと同じ手口だ、厚労省だし(苦笑)。
   お惣菜5品を独身美人OLに届け、昼ご飯を元同僚とフィッシュのチキン&キーマカレー。独身美人OLに坊主頭が少し伸びて怖くなくなったと言われたので、渋谷に出て散髪。床屋の鏡で出来上がりを見て、この人相ゆえに就活うまくいかないのかもと反省する。もっと、世の中に迎合した髪型や眼鏡にしたほうがいいのだろうか・・・。
   ユーロスペースで前から見たかったタナダユキ監督『俺たちに明日はないッス(365)』。
   比留間は(柄本時生)は、高校3年。ただただ、セックスの実現だけが頭をしめており、肥満児の安藤通称安パイ(草野イニ)の胸を100円で揉ませてもらうことと1日最高13回の自涜のみが毎日な青春だ。
   クラスの友野(三輪子)が、担任の吉田(田口トモロヲ)とラブホテルから出て来るところを目撃し、愛読書のフランス書院文庫の女子高生教師ものの文章が脳内を交錯する。口では、友野にやらせろと脅すが、病弱だが大人びてクールな友野が猛烈に気になっているのだ。仲間の峯(遠藤雄弥)は、学校をサボって公園で、昼寝をしていると、近くに同じ学校の制服を着た“ちづ”(安藤サクラ)が、倒れていて驚く。ちづは初潮を迎え貧血を起こして倒れたが、金魚屋の父親(ダンカン)とずっと2人暮らしだったので、全く生殖についての知識がなかったのだ。峯はスーパーに一緒に行って、生理用品を買ってやる。他人に言ったら殺すとちづには言われていたが、その夜ビールを飲みながら麻雀をやっていたら、楽しくなって全部話してしまう。安パイはビールを買いに行かされると巨乳で可愛い同級生の秋恵(水崎彩女)に会う。巨乳であることが、コンプレックスだと打ち明ける秋恵。
   翌日、峯は、二日酔いで学校の水飲み場で顔を洗っていると、千紗が男子にからかわれている。済まない気持ちになる。ちづがやってきて友達がいなくなったので、みんなが知っていることを教えろと言う。峯はちづをピンク映画館に連れて行く。ちづにセックスしたことあるかと聞かれて、勿論だと言う峯。ちづにセックスしようと言われ、好きでもないので嫌だと言う峯。友野は、朝礼などで度々倒れる。比留間は、心配で保健室を覗きに行くと、担任の吉田と友野がいちゃついている。校舎の裏で、吉田を殴る比留間。
  しづが、比留間たちにセックスしよと言う。大喜びで、何故か峯の家に行く。順番のジャンケンをしている比留間たち。峯は、もっと大事にしろ、好きな相手とやれと言う。しづは、峯を好きだからと言う。白けてふらふらと出ていく比留間たち。そのあと、峯としづは、ぎこちなく抱き合う。峯は自分も初めてだと言う。誰でも最初は初めてだと、嬉しそうに言うしづ。うまく出来ない峯、ピンク映画のように上に乗ってみるしづ。二人は結ばれる。ぎこちなく、しかし互いを大事そうに抱き合う二人。
   秋恵とデートをする安パイ。安パイといると安心すると言って、キスをする秋恵。秋恵とラブラブな安パイ。学校でもディープキスをする二人。しかし、何故か、秋恵は安パイの胸を揉む。安パイのおっぱいは痣だらけだ。
   友野は、家で吉田とのことを怒られたらしい。いつものようにやらせろという比留間にいいよと言う友野。手近のホテルでなく、バスに乗って海に行こうと言う比留間。友野は、身体が弱かったので海に来たのは何年振りだろうと言う。海辺のラブホテルの料金を見て愕然とする比留間。貸そうかという友野に、セックスはどこでもできると言う比留間。海岸の小屋で、キスをする比留間。しかし、13連発の自慢の息子は全く役にたたない。焦っているうちに、友野は体調を崩す。今度にしようよという友野に、今日じゃなくちゃなくちゃ駄目なんだと言うが、全く駄目なのは自分自身。南沙織の17才を歌いながら、水辺で戯れ、溺れる友野。慌てて、全裸で海に飛び込み、救急車に乗せる。病院の待合室に、比留間と吉田がいる。友野は大丈夫だ、自分は既に妻と別居しており、友野が卒業次第結婚するんだという吉田。よろめきながら、吉田だってガキじゃないか、これって何って言ったか、失恋というやつかとつぶやいて病院を出る比留間。
   安パイは、放課後、級友と掃除をしていると、秋恵の机が倒れる。中から出てきたのは、相撲やレスリングなどデブ専のマニアックな雑誌ばかりだ。気持ち悪がる級友たち。その後、校舎の裏で、秋恵と安パイが話している。安パイは、最初から僕の身体が目当てだったの?と聞く。最初はそうだけど、今は中身だと秋恵は言うが、納得しない安パイ。気持ちの問題だったら、他人の机の中を見るのはどうなのと言って秋恵は去る。
   しづは妊娠した、峯は既に金魚屋を手伝っている。卒業したら、本格的に継ぐらしい。安パイは激やせした。別人のようだ。卒業式を迎える。教室に戻ってきて、吉田が、自分も今日で教師を辞めると言う。みんなから希望とかパワーを貰ったんだと言う吉田に、希望なんて言うなと叫んで殴りかかる比留間。今回は吉田も逆襲して殴り返す。大騒ぎになり2人を止める級友たち。ぼこぼこの顔を水飲み場で冷やしている比留間。ティッシュを渡す友野。こういう時はハンカチだろと毒づきながら受け取る比留間。吉田は、生徒たちと記念撮影をしている。じゃあなと友野に一言言って校門に向かう比留間。その背中に、海に行ったことはずっと忘れないと言う友野。明日から何をしようかと考え始める比留間。明日を生まれて初めて意識したのだ。  
   きれいで美しい思い出ではなく、青臭く、恥とマスだけかいてやりきれない10代。いい映画だなあ。タナダユキよくなるなあ。特に、病院の吉田と比留間のやりとりのくだりはとてもいい。比留間も安パイもかっこよくなく、イケメンの筈の峯も何だか冴えない、女の子もみんなそこそこ可愛いんだけど、アイドルや女優のレベルまできれいでない(ほんとは、みんなモデルや女優だけど)感じがリアリティあっていい。青春映画ジャンル今年のベスト1を争うな。素晴らしい映画を観た。

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