2009年10月25日日曜日

奥多摩に行く筈が、天候悪く映画館に。

   京橋フィルムセンターで、生誕百年 映画女優 田中絹代

   44年松竹京都溝口健二監督『宮本武蔵(605)』
  宮本武蔵(河原崎長十郎)を追う者たちがいる。吉岡一門の門弟たちた。一乗寺での果たし合いを約して引き上げる武蔵の後を追う野々宮信夫(田中絹代)と源一郎(生島喜五郎)の姉弟。父親の仇を討つために弟子入りしようと都までやって来たのだ。嵯峨の寺で、菩薩像を彫る武蔵に、頭を下げるが、明日をも知れぬ身の上だと言って断る武蔵。

  兵法は道だ。武士への道だ。仇討ちなための方便ではない。

   佐々木小次郎(中村翫右衛門)野々宮源一郎(生島喜五郎)野々宮信夫(田中絹代)

   吉川英治版ではなく、菊池寛版。どっちも原作を読んでいる訳ではないが、監督自身か、スタッフか、モチベーションの低さがひしひしと伝わってくる映画。戦時下ということだけを理由にしてはいけないが・・・。


   45年松竹京都清水宏、溝口健二、マキノ正博、大曾根辰夫、高木孝一、田坂具隆、市川哲夫監督
  『必勝歌(606)』
  南方だろうか小隊長(佐野周二)が、部下の兵士たちと和やかに話をしている。
  模型飛行機を作る少年三平(島田照夫)が、壊れた模型を直しに戻ってくる。三平の家は竹細工をやっている。直して貰おうと子供たちが待っている。父親(大矢市次郎)は、「三平。先生に聞いたが、お前は少年飛行兵を志願したそうだな。何でワシに言わなかった?反対されると思ったか?」黙っている三平に「ウチが貧乏だからか?子供一人だからか。父ちゃんは、その話を聞いて嬉しかったぞ。お国のために立派に死んでこい。」にっこり頷く母親(沢村貞子)。
大川老人(小杉勇)
   酔っ払った工員・川西(三井秀男)工員・中村(斎藤達雄)が、満員の電車の中でふらふらしている。席を譲って貰った川西が、隣の陸軍中尉(高田浩吉)に寄りかかる。気にした中村が何とか川西を起こそうとするが、駄目だ。中尉は川西に肩を貸す。降りしな中尉は、中村に、こういう時期ですから身体を労ってやって下さいと声を掛ける。

雄一少年(沢村アキヲ)その父(河村黎吉)

信江(高峰三枝子)が見合いから帰ってくる。義姉の律子(轟夕起子)に報告する。高商を出て銀行員をしているが、なかなか武骨で、気に入ったようだった。父(坂本武)と母が帰ってきた。義姉・律子(轟夕起子)子守歌をうたふ女 (田中絹代)
海軍中尉・一野誠(上原謙)その母(吉川満子)妹・弓子(星美千子)大河内曹長の父(荒木忍)田中中尉の老父(藤野秀夫)

  うーん。国策映画ともプロパガンダ映画とも言われ、参加巨匠監督の恥部とも考えられるが、これによって国民が騙されたというよりも、昭和19年救いのなかった日本国民が求めていた気分に応えた映画じゃないだろうか。1億総懺悔ということではなく、この気分を後味悪く生きていくしかない筈が、簡単に総括してしまう安直な日本人のメンタリティ。

  渋谷ユーロスペースで、緒方明監督『のんちゃんのり弁(607)』
   フライパンで炒り玉子を作り、ホウレン草のお浸しを作る永井小巻(小西真奈美)。化粧をし、スーツ姿だ。娘の乃里子(佐々木りお)は自分で幼稚園の制服を着ている。夫の範朋(岡田義徳)は前夜飲んで、そのままだらしなく眠っている。その前のテーブルには小巻が署名捺印した離婚届が広げてある。小巻は、乃里子の弁当が出来ると、手を引き家を出る。両手両肩随分多くの荷物だ。幼稚園のお見送りの場所を素通りし、駅に向かう。範朋が猛スピードで自転車を漕いでいる。
  小巻が駅で切符を買った所で、範朋が追い付く。乃里子は無邪気に「お父さん!!」と喜ぶが、小巻は相手にしない。小巻を追って改札を通ろうとする範朋の前で、改札は閉まる。電車に乗り、窓の外を見る小巻の目に、自転車で電車を追い、笑顔で手を振る範朋の姿がある。腹を立てる小巻。
  墨田区京島の商店街を歩いていると、八百屋の主人(徳井優)や、買い物のおばちゃんたちに取り囲まれ、「原さんのお嬢さんじゃないの?」「今は違う名字よね。里帰り?」「旦那さん、何だか有名な小説家なんでしょ、いいわね」と離して貰えない。実家には原着付け教室と看板が掛かっている。小巻の母フミヨ(倍賞美津子)が着付けを教えながら一人で暮らしているのだ。「結婚する前から、あの男には甲斐性がないと言ったでしょ。」「やっと分かったのよ」「どうやって暮していくの?」「すぐに仕事を探すわよ・・・。」

  原作はモーニングに掲載中、結構気に入って読んでいた。緒方明も気になる監督の一人だ。小西真奈美頑張っている。時に同性から嫌われるだろう部分も含め、許してしまう位好きなタイプだろう。そんな彼女の31才のシングルマザー、娘のコブ付きだなんて母子共々メロメロだ。な筈なのだが、何だか物足りない。もっと激しく泣いて、笑って、怒って欲しかった。何だか小西オーラに、監督遠慮したんじゃないだろうか。もったいないなあ。

  久し振りに、博華で餃子とビール。隣の同世代で夫婦ではないと思われる男女が、何人かの役者の名前が出てこないなあと話し合っている。あぁ、余計な御世話だが、教えてあげたい・・・。男女でなければ、教えるのだがなあ(苦笑)

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