2009年10月10日土曜日

やっぱり美貌に罪あり。

   ラピュタ阿佐ヶ谷で、銀幕に輝くヒロイン【第49弾】雪村いづみ
   56年東宝山本嘉次郎監督『お嬢さん登場(575)』
    かって伊達島藩だった街らしい。近隣の名所旧跡という看板に、雲月城、城下町、八幡神社、伊達島牧場、上泉道場と書かれている。上泉道場にスーツ姿の若い男(池部良)が入って行く。
奥では、腰を傷め寝込んでいる道場主上泉広正(古川ロッパ)の前に、かって伊達島藩家老だった大野黒兵衛(柳家金五楼)と山岸勘左衛門(森川信)が座っている。「世が世であれば、藩の剣術指南役だった私がこのていたらく」と嘆く上泉広正。
     そこに、息子の正夫(池部良)がやってくる。「どうした?」「お父さんが病気だと聞いたので」「大したことはない、それよりも仕事はどうした?」「休暇を貰いました。休暇や日曜日は、柳生の道場に通うと言う約束で東京に行ったのではなかったか」「もちろんいつも通っていますよ。今日はそれだけでなく、お殿様のお使いもありまして。」三人は、お殿様と言う言葉を聞いて姿勢を正す。「実は殿様が、東京で府会議員に立候補なさると言うのです。殿様がやっておられる帝国かきもち製造所は赤字なので、選挙資金百万を相談してこいと仰るのです。特に殿様から拝領した伊達島牧場で、大野と山岸は随分儲けているようだから、特に相談をしろと仰っていました。」大野と山岸は、そんなに儲けてはいないですと目を白黒させる。まあ、殿様も冗談半分でしたと言われ安心する。しかし、ともかく上泉広正の身の回りの面倒を見てくれる女の子を探して欲しいと言って、正夫は東京へと帰って行く。道場の床には埃が溜まり、蜘蛛の巣だらけになっている。
   伊達島牧場、トンコ(雪村いづみ)が来て以来、若い者たちが張り切って仕事をするようになって、牛は増えていないのに採乳料が倍になったと言う、そのトンコを上泉道場で働かせたいと言う大野。
トンコは、道場を瞬く間に綺麗にし、上泉広正の腰を揉み、料理を作る。働き者で、明るい彼女は、上泉広正の気持ちを癒やし、トンコと一緒に歌い出す程だ。
   ある日地元の新聞記者が、剣豪小説の有名な作家を連れて、上泉広正に会いに来ると言う。失礼のない対応をしたいが、お金がないと嘆く上泉広正に、私に任せておいてと、自転車で買い物に出掛けるトンコ。酒屋、肉屋始め、特上の物ばかり、「武士は相身互い。」の一言で、巻き上げるトンコ。大野には、旅館の宿代の請求書が行くから宜しくねと明るく言われ、みなトンコちゃんには困ったものだで、済んでしまう。
    トンコが用意したすき焼きを、小説家の穴山高介(南道郎)、東京毎々新聞の記者(柳沢真一)、上泉広正、大野、山岸が囲んでいる。穴山は、上泉家の古文書など資料を勝手に探し始め、価値のあるものをドンドン懐に突っ込む。あまりに乱暴な行動に怒ったトンコは穴山を一喝する。剣道、柔道、空手の有段者のトンコの勢いに、慌てて懐から古文書を放り出し、謝る穴山。しかし、高そうな一品だけ、こそこそ隠すせこい男だ。

    学校の体験入学の後はお茶の水に出て、

    神保町シアターで、川本三郎編 鉄道映画紀行 思ひ出は列車に乗って

   63年松竹大船山田洋次監督『下町の太陽(576)』
    総武線隅田川を越えてからの景色だろうが、スモッグで曇った空と、無秩序に埋め尽くされた屋根、下町の光景だ。
    銀座四丁目の交差点、ステレオを前に「やっぱり凄いな。他のが聴けなくなってしまうよ。」「値段が、値段よ。8万円だって」「ゼロが一つ多いよ。80万円だよ。」「!」宝飾店、「百万円だ」「誰が買うのかしら」「買う人がいるから売っているんだよ。」喫茶店で話し合う2人、寺島町子(倍賞千恵子)と毛利道夫(早川保)の二人はオリエント石鹸の工場で働いている。休日銀座までデートに来たのだ。丸の内まで歩き、「ほら、あそこがうちの本社だ。社員試験に通ったらあそこに通うんだ。」「道夫さんのお父さんと課長さんはどういう知り合いなの?」「軍隊時代に上官と部下だったんだ。」「課長さんが上官?」「いや親父が上官さ。だから課長も嫌とは言えないんだ。」
   二人で総武線か常磐線に乗る。川を越えると景色が変わってくる。「あっち側に住みたいんだ。まっちゃん、今日は楽しかったよ。」中川か江戸川か、土手を歩く松子。歩きながら、「下町の太陽」を歌う。地元商店街、近所の源吉(東野英治郎)が、笛を吹き交通整理をしている。源吉は息子の利夫が、交通事故にあって亡くなって以来、おかしくなってしまった。

   56年日活新藤兼人監督『銀[しろがね]心中(577)』
   吹雪の夜泣きながら歩く女の姿(乙羽信子)がある。白猿旅館に入ってきて、二階の自分の部屋に戻り、倒れ込んで号泣する。宿の下男の源作(殿山泰司)が、お客さん元気を出してくれと声を掛けるが、女が剃刀を出したので慌てて止める。酒を呷る女に「毒だ」と言う源作。顔に青あざのある田舎芸者が、襖を開け女を見て勝ち誇ったように笑う。石川佐喜枝(乙羽信子)は、太平洋戦争中、夫の喜一(宇野重吉)と東京で理髪店を開いていた。戦況は、硫黄島が玉砕し沖縄決戦が叫ばれていた。喜一の福島の姉の息子である珠太郎(長門裕之)が、修行のため店にやって来た。珠太郎が隠し持って来たつきたての餅は、喜一と佐喜枝を喜ばせた。灯火管制や空襲などが起きていたが、石川理髪店は平和だった。しかし、喜一に2度目の赤紙が来る。かって北支に3年送られた時とは戦況もかなり違う。喜一は、珠太郎に佐喜枝を支えてやってくれと頼んで出征していく。
   珠太郎は、実家から米と石鹸を持って帰る。福島駅で憲兵が張っていて怖かったと言う珠太郎と、無事を喜ぶ佐喜枝。
    しかし、間もなく珠太郎も徴兵検査を受け、甲種合格、慌ただしく出征して行った。

    池袋新文芸坐で、映画に輝く“天下の美女”山本富士子
    56年大映京都吉村公三郎監督『夜の河(578)』
    京都姉小路から御池、それも堀川の東一帯に京染の店が並ぶ。「丸由」は、舟木由次郎(東野英治郎)が?から暖簾分けをし、今では娘のきわ(山本富士子)の?染めの見事さで高い評価を受けていたが、既に着物の需要自体が減って、この界隈でも3軒程の染屋が潰れている。今日は妹の美代子(山野道子)が、清吉(夏目俊二)と結婚して東京に向かう日だ。由次郎は、妻を亡くしてから、きわと年の変わらない後妻のみつ(橘公子)と再婚して、まだ赤ん坊がいる。丸由の小僧の国男は、労働条件が悪すぎるので、ここを辞めて友人の電機工場に行くと言う。

   きわは妹を送ってから、きわを先生と呼んで崇拝する美大の学生、岡本五郎(川崎敬三)の展覧会に出掛ける。岡本の「髪を洗うT女」と言う絵のTって誰と尋ねると、勿論きわさんですと言う。きわは会場で女学校時代からの同級生のせつ子(阿井美千子)に会う。せつ子は、茶屋の美よしの女将をしている。二人とも戦争中に青春時代を過ごし、30になろうとしているのに独身だ。

竹村の娘あつ子(市川和子)岡本五郎(川崎敬三)竹村幸雄(上原謙)美代の夫清吉(夏目俊二)阪大の助手早坂(舟木洋一)桜屋(星ひかる)篠田(山茶花究)大沢はつ子(大美輝子)開陽亭の女主人(若杉曜子)近江屋妻やす(万代峰子)舟木由次郎(東野英治郎)近江屋(小沢栄)舟木の妻みつ(橘公子)
   
   映画館に行くようになった時には、スクリーンから姿を消していたので、顔立ちが凄く整った、第一回ミス日本ということで、偏見を持っていた山本富士子(苦笑)。大映女優陣の中でも、バンプ振りにやられる若尾文子に比べて、過小評価をしていた自分の子供さ加減を恥じる。完全に脱帽です。

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