池袋新文芸坐で、
日本映画に輝く“天下の美女”山本富士子。
59年大映京都島耕二監督『細雪(579)』
阪急電鉄芦屋川駅、船場の旧家蒔岡家の三女雪子(山本富士子)が出てくる。次女幸子の家に向かって歩いていると、フラフープをしている女児3人のうちの一人が「あー!おねえさーん」と声を掛ける。「お母さんは?」「家にいてる。」幸子の一人娘の悦子(志摩多佳子)だ。悦子は、雪子にとても懐いていた。途中、外車のオープンカーの前でラジオから流れるジャズに合わせて体を揺する軽薄そうな男が雪子の姿を見て、こそこそ隠れる。
家では、幸子(京マチ子)が、四女の妙子(叶順子)に手伝わせて、夫の貞之助(山茶花究)と出掛ける演奏会の支度に大わらわだった。雪子は幸子が結ぼうとしている帯を見て、「中あんちゃん、その帯はあかんわ。以前一緒に演奏会に行った時、その帯はキュッキュッ音がして、とっても恥ずかしかったわ」幸子がお腹に力を入れると、確かにキュッキュッと音がする。「これはあかんわ」何本か確かめてみるが、どれも音が出る。妙子が「そうか分かった。新しい帯だと音がするんやわ。これやったら古くて、糸もよれてるさかい、大丈夫やと思うわ。」妙子は時計を見て人形教室の生徒を待たせていると言って慌てて帰って行った。外で車で待つ敬やんに人形教室まで送って貰う。雪子は幸子に、とうはん、また敬やんと付き合い始めたんかと尋ねる。かって、二人は駆け落ちをし、新聞タネになったことがあったのだ。もし、そんな事になったら本家に申し訳ないわと幸子。貞之助から連絡があり、音楽会には行けなくなったと言う。そんなんやったら、本家の姉さんのとこ行ってくるわと幸子。本家の門をくぐると、亡父が集めていた骨董やら、雪子の花嫁衣装だった着物で、すごいことになっている。鶴子(轟夕起子)は銀行員の辰雄(信欣三)を婿に取り蒔岡の家を継いでいたが、父親の残した多額な借金を返すために、辰雄の東京転勤を期にこの屋敷を売ることにしたのだ。「お姉さん、もっと落ち込んでいると思ったら元気やね。」
鶴子(轟夕起子)幸子(京マチ子)雪子(山本富士子)妙子(叶順子)辰雄(信欣三)貞之助(山茶花究)悦子(志摩多佳子)奥畑(川崎敬三)板倉(根上淳)お春(藤田佳子)橋寺(菅原謙二)奥畑のばあや(浦辺粂子)野村(船越英二)陣場(春本富士夫)夫人(村田知英子)光子(川上康子)メリー(リンダ・ビーチ)アパートの女主人(村田扶美子)チァイカのマダム(穂高のり子)看護婦(八潮悠子)おさく(滝花久子)玉置校長(三宅邦子)三好(北原義郎)丹生夫人(竹里光子)
58年松竹大船小津安二郎監督『彼岸花(580)』
東京駅、伊東、沼津行きの湘南電車のホーム、新婚旅行に出掛けるカップルと見送りでごった返している。2人の駅員が「今日は日がいいのかな」「大安かね、新婚が多いな」「しかし、案外綺麗な花嫁はいないもんだな」「ありゃ痩せすぎて酷いな」勝手なことを話している。
近くのホテルでは、やはり何件も挙式が行われている。大和商事常務取締役の平山渉(佐分利信)と妻の清子(田中絹代)も、平山の中学時代の同級生の河合利彦(中村伸郎)の娘の披露宴に出席している。祝辞を求められ「ともちゃん、おめでとう」と話を始める。話を終え、そういえば、三上が来ていないなと旧友たちの間で話題になる。案内は出したが、来なかったと河合。披露宴の後、いつもの若松で飲む友人たち、男が強いと女が生まれ、女が強いと男が生まれると誰かが言い出した。河合の家と、平山の家は娘が二人、堀江平之助(北竜二)の家は男ばかりだ。俺は見かけ倒しなんだと堀江。店の女将(高橋とよ)が挨拶に来たので、女将の所の子供は?と尋ねると、息子が三人だと答えた。やっぱりと皆が
笑ったので、女将は気分を害する。みな、息子や娘が年頃になり、気になっている。たしか三上の娘は、うちの2つ上だと言う河合に、今日の花嫁か?と尋ねる平山に、上の娘だと答える河合。
平山の家では、妻の清子が着物を片付けていると、平山が帰宅した。「あれからどうしたんです?」「いつもの若松だ」「河合さんも一緒?」「ああそうだ」「今日くらい帰ってあげたほうが…。奥様寂しいでしょうに」「娘たちは?」「二人ともまだです。」時計を見て、平山は不機嫌そうだ。そこに次女の久子(桑野みゆき)が帰ってくる。久子と、長女の節子(有馬稲子)にボーイフレンド位いないのが、却って心配だと平山が言っていると、節子が帰宅する。
翌日平山が会社で仕事をしていると、三上周吉(笠智衆)が訪ねてきた。三上は、元海軍士官らしく寡黙で折り目正しい男だが、少し疲れているようだ。男手一つで育ててきた娘の文子が、男と恋愛をして家を出てしまったと言う。杉並区のアパートで同棲し、銀座のバーのルナと言う店で働いているらしいと言う。君なら銀座のバーとか詳しいかと思って…自分はとても会いに行けないと言う三上に、今度訪ねてみると答える平山。そこに秘書が、京都の佐々木さんと言うお客様がと言いにきた。祇園の宿の女将の佐々木初(浪花千栄子)は、馴染みだが話が長い。お中元に筍を贈ったが、安い物と高い物を客によって区別して贈っているが、今回間違えて平山に安い方を贈ってしまったと言う。気がついた時には、もう筍の季節は終わり竹になってしまったので、贈らなかったと初。竹はいらないと平山。旅館の上客で、東京の医師がいて、娘の幸子との縁談にどうかと思っていると言う。高い方の客だね、その医者を幸子ちゃんの旦那に?いや、そんなことあるまっかいな、そのお人は60いくつのおじいちゃんだっせ、その人のお弟子さんで、20代で博士の人がいてると言う初。まだまだ話が続きそうなので、トイレに行くと言って、応接間を出て、自分の部屋に戻り、仕事の続きを始める平山。
固辞する三上に、皆が無理矢理、呉で歌った「芳山楠木帯刀の歌」の詩吟を詠えと言う。仕方なしに詠ずる三上だが途中でこのあたりでいいだろと言う。中西(江川宇礼雄)が「青葉茂れる桜井の~」で始まる唱歌「桜井の訣別」を唄い出すと皆で歌う。
谷口正彦(佐田啓二)佐々木初(浪花千栄子)幸子(山本富士子)河合利彦(中村伸郎)伴子(清川晶子)堀江平之助(北竜二)元海軍士官三上周吉(笠智衆)文子(久我美子)近藤庄太郎(高橋貞二)銀座のバールナのマダムあけみ(桜むつ子)長沼一郎(渡辺文雄)若松の女将(高橋とよ)曽我良造(十朱久雄)派出婦富沢(長岡輝子)同窓生菅井(菅原通済)同、中西(江川宇礼雄)ボーイ(須賀不二夫)女中お松(橘一枝)
神保町シアターで、川本三郎編 鉄道映画紀行 思ひ出は列車に乗って。
65年日活柳瀬観監督『北国の街(581)』
55年松竹大船木下恵介監督『遠い雲(582)』
蒸気機関車が走ってくる。高山の駅に着く。ホームには、
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