午前中は渋谷で、小さなバイト。今週の映画代が稼げて何気に喜ばしい。青山で、フリーランス見本市を覗いた後、
ラピュタ阿佐ヶ谷で、CINEMA★忍法帖。
64年東映京都倉田準二監督『十兵衛暗殺剣(590)』
寛永十九年、近江国琵琶湖、竹生島。湖族と呼ばれる、水中の特別な戦闘訓練を受け、根城の琵琶湖を縦横無尽に戦う水の忍者たち、堅田党は、徳川の代になり、近在の農民が運ぶ船や漁民たちを襲う盗賊に なり果てていた。
彦根藩により捕らえられた湖族の頭、六右衛門を含む五人は、生きたまま艀の上に吊され、白鷺の群れに肉を啄まれる残酷な刑に処されていた。助けようと近付いた者も容赦なく発砲され亡くなった。その光景を、竹生島の断崖からじっと見つめるのは、六右衛門の娘、美鶴(宗方奈美)と配下の朝妻の源(高杉玄)と近江之介(雲井三郎)。
新陰流は、始祖 上泉伊勢守から、二人の高弟、柳生石舟斎と松田織部正に、引き継がれたが、織部正は豊臣の禄を食んだために、越前の山奥に逃れ隠遁生活を送った。織部の遺志を継いだ幕屋大休(大友柳太郎)は、新陰流の正統が、織部正にあることを世に明らかにするために、部下15人とともに、竹生島神社にあった印可状と守り刀を盗み出し、江戸に下った。
江戸馬喰町に、「新陰流正統幕屋道場」の看板を立てる。これは、勿論、将軍家剣術指南役の柳生新陰流の一門にとって、見過ごすことは出来ないものだった。柳生の道場では蜘蛛の子をつついたような騒ぎになる。そこに、師範代の庄田喜左衛門(内田朝雄)がやってきて、門弟たちを鎮め、大殿のお言葉があると言って、但馬守(香川良介)を呼びこんだ。但馬守は、「幕屋の剣に怯えるほど、自分たちの剣に自信がないのか」と一喝したが、騒ぎを鎮めることはできなかった。但馬守も、小太刀を使えば、石舟斎も敵わなかったという織部正の一番の弟子の幕屋の腕を測りかねていた。
その夜、幕屋道場では、幕屋と田丸宗十郎(神戸瓢介)が話していた。「幕屋の気持ちは分かっている。柳生1万5千5百石・・・、門弟3千人、この徳川家での柳生の地位を奪おうと思っているんだろう。」「明日は早いので、早く眠ることにしよう。」
翌朝、家光(林真一郎)が野駆けをしている。勿論、供の者は、柳生十兵衛三巌(近衛十四郎)、松平伊豆守(北竜二)を初めとして多くを従えている。突然、前に幕屋大休が現れ、馬の足を止めさせた。自分は新陰流の正統な後継者であり、十兵衛との果し合いをさせてくれというものだったが、乱心者とされ、せっかくの印可状と守り刀を取りだしながら幕屋は、その場に一人残された。幕屋を残し走る家光は、「天下第一の剣が二派あることは許されない。それは、徳川の名誉の問題だ。」と言った。実は、大休の小太刀が十兵衛の着物を切っていたことは、二人にしか分からない。
一人残された幕屋は、部下15人を連れ、柳生新陰流の道場を訪ね、看板を真っ二つに斬った。庄田が必至に止めるが、門弟たちの気はすまない。十兵衛が喜左衛門に今晩は不安だと言ったとおり、その夜、柳生新陰流の門弟たち20人は、幕屋道場を襲撃する計画を立てていた。それは、幕屋たちの計画通りだった。幕屋は、一人吉原に向かい、20人の柳生門弟を二つに分断する。吉原近くで待ち伏せした9人は、大休を取り囲むが、全く掠り傷一つ負わせることも出来ずに斬られる。城所早苗(河原崎長一郎)は、刀を抜いた際に手を切った上、大休の剣のあまりの凄さに、影に隠れる始末、一人生き残ったが、柳生新陰流には、臆病者がいると誹られ、道場に泥を塗ったことになった。また、幕屋道場を襲った者たちも、全く歯が立たなかった。真剣を抜いたこともない、道場剣法は一方的な敗北をする。
公儀の手で幕屋一派を捕まえると言う伊豆守に、自らの手で汚名を雪ぐと言う十兵衛。道場から使いが来て、幕屋道場に向かった十兵衛の前には、見るも無残な殺され方をした10人の門弟と、「印可状とともに、竹生島で待つ」という大休からの置き手紙だった。喜左衛門に、選りすぐりの門弟10名を一ときの間に集めよと告げ、直ぐに、琵琶湖へと向かった。途中、城所が現れ、汚名を雪ぐために、参加させてくれと土下座をするが、十兵衛、喜左衛門ら、誰も顧みなかった。
竹生島に戻った大休らは、彦根藩によって追い詰められる湖族の姿に、宋十郎は大休が将軍家剣術指南役につくことになり、その阻止のため柳生が竹生島に乗り込んでくると偽り、柳生待ち伏せの手勢として、湖族と手を結んだ。
水中を泳ぎまくり、十兵衛たちに襲いかかる湖族たちの戦闘シーンや、幕屋一門と十兵衛の水際の死闘は、流石に息を呑む。近衛十四郎、大友柳太郎の対決は時代劇の醍醐味だ。
去年の春に会社を辞めてから映画館で見た映画が990本になった。あと10本、だからどうだと言われればそれだけのことだ(苦笑)。
その後、地元西荻窪で、高校時代の後輩と飲む。
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