58年松竹京都倉橋良介監督『忠臣蔵 暁の陣太鼓(222)』
新潟・新発田藩、藩主溝口信濃守(北原隆)が家臣たちと剣術の試合をしている。指南役の中川主膳(永田光夫)や家老(上田吉二郎)の立ち会いで、家臣たちは手加減をし、信濃守を増長させるばかりだ。馬鹿らしくなった中山安兵衛(森美樹)が去ろうとすると指名され相手をすることになり、手加減をしない安兵衛は信濃守をきりきり舞いさせ、信濃守の不興を買う。その夜、このままではいけないといよいよ殿への建白書を出さなければと爺と話をしていると、頭巾を被った不審者が安兵衛に襲いかかった。返り討ちにして、顔を改めると、指南役の中川主膳だ。爺はこのままでは安兵衛に不利になると、建白書は預かるので、藩を出奔するように勧める。
浅草浅草寺門前、新潟とは比べものにならない賑やかさに驚きながら歩く安兵衛の姿がある。ルーレットのような賭事をしている香具師がいる。誰も張っていない目にうまいこと矢印が指すのに感心した安兵衛が下を覗くと人がいる。香具師たちは、安兵衛を取り囲み文句があるかと絡んできた。そこに男装の女髪結いの三日月のお銀(嵯峨三智子)が通り掛かりとりなしてくれた。
三日月のお銀は、男嫌いで通っていた。しかし、何故か安兵衛が気になってしょうがない。お百(山鳩くるみ)に、安兵衛が礼を言いに来たかと尋ねても来ていないという。思わず客(石井冨子)の出来あがりかけた髪を崩し、こんな顔に似合わない髪型にするんじゃないと八つ当たりする。
to be continued.
シネマヴェーラ渋谷で、昭和文豪愛欲大決戦!
61年松竹中村登監督『斑女(223)』
画家の加賀美(山村聰)が、高台で東京タワーを描いている。そこに着ているものは垢抜けないが美しい女(岡田茉莉子)が現れて視界を塞ぐ、咳払いをすると女は追われているので、匿ってくれと言う。後ろにある電話ボックスに隠すと、若者(佐々木功)がやってくる。尋ねられるが、知らないと答えると走り去った。出てきた女に、特に悪そうな男には見えないが誰だいと尋ねると訳がありそうだ。東京タワーをエッフェル塔に見立てても駄目だなと加賀美は言って、女の話を聞く。タクシーが止まり、派手な若い娘ルリ子(芳村真理)が降りる。加賀美が絵を描いていたあたりに来ると、若い男がいる。このあたりで絵描き見なかったかと聞くと、男も自分も聞きだいことがあると答える。近くの喫茶店、ルリ子は若者にほらやっぱりいた、と声を掛ける。ここまで来る間に若者から事情を聞いていた。美しい女は英子、若者は義弟の浩。北海道での、折り合いの悪い夫との生活を捨てて東京に出て来たのだと言う英子。英子
を慕う浩も着いて来てしまい駆け落ちのようになったが、このままでは良くないと上野駅で、浩を置いて逃げてきたのだと言う。
加賀美は、中年だが独身主義で、ルリ子を愛人としていた。ルリ子は加賀美に姉弟の部屋など世話して上げる必要があるわねと言って、自分の今までの下宿を譲り、自分は友だちの?子が住む、東京タワーの見えるマンションに住まわせて欲しいと加賀美にねだる。
そして、いつも行くルリ子とカナ子(峯京子)が勤める銀座のクラブ王冠のマスター(佐野浅夫)に英子を紹介する。英子の美しさはマスターも大満足で、直ぐに働くことになる。加賀美は、衣装は店で貸してくれるが、何もアクセサリーを持たない英子に、高価な真珠のネックレスを強引にプレゼントした。ルリ子の住んでいた部屋に、直ぐ引っ越した。大家(沢村貞子)と、大阪から家出してきた彼女の姪が居候をしている。姪の清美(倍賞千恵子)は、浩に興味を持ったようだ。英子は大家に、浩が住み込みで働ける仕事を探してくれるよう頼んだ。その夜、英子を求める浩にあらがいながらも受け入れてしまう英子。
翌日、英子が店に出ていると、浩から電話があり、近くの中華料理屋の住込みの仕事が見つかったので、今日から引っ越すという。ひとり、帰宅した英子は寂しさを感じる。加賀美が真珠のネックレスを買ってくれた宝飾店の瀬川(杉浦直樹)が店にやってくる。閉店後、話があるので会って欲しいと言う瀬川。胸を躍らせて英子が出向くと、瀬川が連れてきていた外人バイヤーが英子を見染めたので、来日中、専属のホステスとなってくれと言う意外な言葉だった。英子は涙が出てきて、化粧室に行って泣く。瀬川の前に戻ってきた英子は承諾する。
京橋フィルムセンターで、映画の中の日本文学Part.2。
54年新星映画社山本薩夫監督『太陽のない街(224)』
大正15年、常雇工36名の解雇から始まった大同印刷の労働争議は長期化していた。闘争本部だけでなく、組合員や家族たちも団結し、よく耐えていた。春木高枝(日高澄子)たち製本女工は行商などをしている。しかし、病気の母親を始め5人の家族を養うためカフェの女給をしているおきみ(岸旗江)を、婦人部の幹部たちは、貞操を売り物にしていると批判的だ。高枝たち、貧乏社宅住まいの女工たちはおきみの味方だ。大川印刷の職人だった高枝の父(薄田研二)は昔気質で、組合だ争議だと言う高枝を恩知らずのキチガイだと罵っている。しかし、父は印刷機で指を2本無くした時に僅かばかりの見舞金でクビにされたのだ。今は寝たきりで18になる妹の加代(桂通子)に面倒をみてもらっているのだ。
加代は父と姉の板挟みに悩んでいたが、争議団の特務班にいる宮地(原保美)が支えになっていた。宮地は会社側のスト破りの摘発など荒っぽい仕事をしている。加代は、宮地の子供を宿していた。ある日、大川社長(滝沢修)の自宅の放火未遂が起き、争議団の幹部たちが次々に捕縛された。実は、放火未遂は争議の進捗にいらいらした宮地が、高級車にふんぞり返って乗っている大川に腹を立てて、やったことだった。ある晩、孝枝が目を覚ますと隣の加代がいない。外のどぶ川に二人がいるのを見てそっと雨戸を閉めると、加代が宮地を連れてくる。犯行を告白する宮路に、孝枝は、逮捕された幹部を釈放させるためにも自首を勧め、加代にご飯を炊かせる。朝ご飯を食べさせ、宮地を送り出す孝枝と加代。
放火未遂で軽い刑で済むと思ったが、特高刑事たち(西村晃)は、宮路を思想犯として争議団を一網打尽にしようと宮地を激しい拷問にかける。釈放された争議団幹部たちも、会社が雇った暴力団と特高からの監視と妨害を受け、おきみの働くカフェの二階で秘密会議を開いている。石塚(加藤嘉)たち実力行使を主張する者に、臆病者と非難されながらも、組合員を守るため粘り強い説得をする萩村(二本柳寛)。組合員一人一人に暖かいまなざしと穏やかに語る萩村に孝枝は好感を持つ。
しかし、ある日、孝枝と萩村が食事をしていると、会社側の暴力団(花沢徳栄)たちに、襲われ重体に。孝枝は、不眠不休で看病をする。萩村がようやく意識を取り戻し、温めた牛乳を口にできるようになったところで、近所のおばさん(原泉)が、加代が警察に引っ張られると告げに来た。長屋へと走る孝枝。家の前で、特高刑事たちに連れていかれようとしている加代を助けようと刑事たちに飛びかかった孝枝も一緒に逮捕される。数日後、孝枝は釈放されたが、帰宅すると、孝枝だけでなく、可愛がっていた加代まで取っていた組合への憎悪で、動かない手足で組合の機関紙などを引き裂いている。数日後、加代は返されたが、激しい拷問で弱り切っていた。胎内の子供も、加代も皆の祈りにも関わらず助からなかった。18歳の短い命を絶たれた加代。
ある晩、工場から火が出た。火事騒ぎの最中に、争議団のメンバーを逮捕するために、大規模な警察がやってきて、主だったメンバーを逮捕していった。勿論、使われていない小屋が燃えただけなことでも分かるように完全に謀略だ。孝枝の目の前で萩村が連行されてく。帰宅すると父親は首を吊っている。
警官たちの厳重な監視の中、組合総会が開催された。主要幹部が逮捕された今、残された幹部たちは、全員解雇と涙金という、組合完全敗北の会社案を受け入れると一方的に発表する。死んだ仲間まで出した闘争は何だったのかと納得できない組合員も、当然多く、大混乱になる。団旗を取り戻せという声に、会社側のスパイや、警官も加わって、団旗の取り合いになる。しかし、組合員たちは、取り戻した団旗を掲げ、行進をしていく。抜け殻のようになっていた孝枝も、力を取り戻していく。
新潟・新発田藩、
浅草浅草寺門前、
三日月のお銀は、男嫌いで通っていた。しかし、何故か安兵衛が気になってしょうがない。お百(山鳩くるみ)に、安兵衛が礼を言いに来たかと尋ねても来ていないという。思わず客(石井冨子)の出来あがりかけた髪を崩し、こんな顔に似合わない髪型にするんじゃないと八つ当たりする。
to be continued.
シネマヴェーラ渋谷で、昭和文豪愛欲大決戦!
61年松竹中村登監督『斑女(223)』
画家の加賀美(山村聰)
を慕う浩も着いて来てしまい駆け落ちのようになったが、
加賀美は、中年だが独身主義で、ルリ子を愛人としていた。
そして、いつも行くルリ子とカナ
翌日、英子が店に出ていると、浩から電話があり、近くの中華料理屋の住込みの仕事が見つかったので、今日から引っ越すという。ひとり、帰宅した英子は寂しさを感じる。加賀美が真珠のネックレスを買ってくれた宝飾店の瀬川(杉浦直樹)が店にやってくる。閉店後、話があるので会って欲しいと言う瀬川。胸を躍らせて英子が出向くと、瀬川が連れてきていた外人バイヤーが英子を見染めたので、来日中、専属のホステスとなってくれと言う意外な言葉だった。英子は涙が出てきて、化粧室に行って泣く。瀬川の前に戻ってきた英子は承諾する。
京橋フィルムセンターで、映画の中の日本文学Part.2。
54年新星映画社山本薩夫監督『太陽のない街(224)』
大正15年、
加代は父と姉の板挟みに悩んでいたが、争議団の特務班にいる宮地(原保美)が支えになっていた。宮地
放火未遂で軽い刑で済むと思ったが、特高刑事たち(西村晃)は、宮路を思想犯として争議団を一網打尽にしようと宮地を激しい拷問にかける。釈放された争議団幹部たちも、会社が雇った暴力団と特高からの監視と妨害を受け、おきみの働くカフェの二階で秘密会議を開いている。石塚(加藤嘉)たち実力行使を主張する者に、臆病者と非難されながらも、組合員を守るため粘り強い説得をする萩村(二本柳寛)。組合員一人一人に暖かいまなざしと穏やかに語る萩村に孝枝は好感を持つ。
しかし、ある日、孝枝と萩村が食事をしていると、会社側の暴力団(花沢徳栄)たちに、襲われ重体に。孝枝は、不眠不休で看病をする。萩村がようやく意識を取り戻し、温めた牛乳を口にできるようになったところで、近所のおばさん(原泉)が、加代が警察に引っ張られると告げに来た。長屋へと走る孝枝。家の前で、特高刑事たちに連れていかれようとしている加代を助けようと刑事たちに飛びかかった孝枝も一緒に逮捕される。数日後、孝枝は釈放されたが、帰宅すると、孝枝だけでなく、可愛がっていた加代まで取っていた組合への憎悪で、動かない手足で組合の機関紙などを引き裂いている。数日後、加代は返されたが、激しい拷問で弱り切っていた。胎内の子供も、加代も皆の祈りにも関わらず助からなかった。18歳の短い命を絶たれた加代。
ある晩、工場から火が出た。火事騒ぎの最中に、争議団のメンバーを逮捕するために、大規模な警察がやってきて、主だったメンバーを逮捕していった。勿論、使われていない小屋が燃えただけなことでも分かるように完全に謀略だ。孝枝の目の前で萩村が連行されてく。帰宅すると父親は首を吊っている。
警官たちの厳重な監視の中、組合総会が開催された。主要幹部が逮捕された今、残された幹部たちは、全員解雇と涙金という、組合完全敗北の会社案を受け入れると一方的に発表する。死んだ仲間まで出した闘争は何だったのかと納得できない組合員も、当然多く、大混乱になる。団旗を取り戻せという声に、会社側のスパイや、警官も加わって、団旗の取り合いになる。しかし、組合員たちは、取り戻した団旗を掲げ、行進をしていく。抜け殻のようになっていた孝枝も、力を取り戻していく。
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